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特許7130706キャリブレーションシステム、情報処理装置、プログラム、及び動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】キャリブレーションシステム、情報処理装置、プログラム、及び動作方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 18/00 20060101AFI20220829BHJP
   G08C 25/00 20060101ALI20220829BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
G01D18/00
G08C25/00 H
G08C19/00 301D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020141118
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036750
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2022-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397041093
【氏名又は名称】エヌケイエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 隆慶
(72)【発明者】
【氏名】中川 正紀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 竹一
(72)【発明者】
【氏名】上田 幸英
(72)【発明者】
【氏名】松田 力
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-253812(JP,A)
【文献】特開2006-30056(JP,A)
【文献】特開平11-211515(JP,A)
【文献】特開昭64-35324(JP,A)
【文献】特開平7-198430(JP,A)
【文献】特開2020-94822(JP,A)
【文献】国際公開第2021/156916(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 18/00
G08C 15/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量が標準値に設定された対象物の前記物理量に基づく電気信号から複数の計測装置にてそれぞれ算出されて表示される、前記物理量に対応する複数の計測値をそれぞれ撮像する複数の撮像装置と、
前記複数の撮像装置それぞれによる撮像画像に基づいて、前記複数の計測値がそれぞれ所定時間内に標準値と一致するか否かを判定する判定処理を行う情報処理装置と、
前記物理量が前記標準値になるように前記対象物に対する処理を行う標準器と、を有し、
前記情報処理装置は、前記判定処理を行った後、前記標準器に前記標準値を変更する指示を送って、前記判定処理を行う、
キャリブレーションシステム。
【請求項2】
物理量が標準値になるように対象物に対する処理が標準器にて行われるときに当該対象物の前記物理量に基づく電気信号から複数の計測装置にてそれぞれ算出されて表示される、前記物理量に対応する複数の計測値それぞれ複数の撮像画像を受ける通信部と、
前記複数の撮像画像に基づいて、前記複数の計測値がそれぞれ所定時間内に標準値と一致するか否かを判定する判定処理を行う制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記判定処理を行った後、前記標準器に前記標準値を変更する指示を送って、前記判定処理を行う、
情報処理装置。
【請求項3】
情報処理装置により実行されることで当該情報処理装置が請求項に記載の情報処理装置として動作する、
プログラム。
【請求項4】
複数の撮像装置と情報処理装置とを有するキャリブレーションシステムの動作方法であって、
前記複数の撮像装置は、物理量が標準値に設定された対象物の前記物理量に基づく電気信号から複数の計測装置にてそれぞれ算出されて表示される、前記物理量に対応する計測値をそれぞれ撮像し、
前記情報処理装置は、前記複数の撮像装置による複数の撮像画像のそれぞれに基づいて、前記複数の計測値がそれぞれ所定時間内に標準値と一致するか否かを判定する判定処理を行い、
前記情報処理装置は、前記判定処理を行った後、前記標準器に前記標準値を変更する指示を送って、前記判定処理を行う、
動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャリブレーションシステム、情報処理装置、プログラム、及び動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学プラント、工場等の安定的な運転を担保するために、計測機器(例えば、石油、化学、薬品等の各種プロセスに用いられる温度計、圧力計、流量計、分析計等)の校正作業を含む定期的な点検・保守が行われる。例えば、特許文献1には、化学プラント等における点検・保守を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-80147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の校正作業には効率化の余地がある。
【0005】
本開示は、校正作業を効率化することが可能な、キャリブレーションシステム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示におけるキャリブレーションシステムは、物理量が標準値に設定された対象物の前記物理量に基づく電気信号から計測装置にて算出されて表示される、前記物理量に対応する計測値を撮像する撮像装置と、前記撮像装置による撮像画像に基づいて、前記計測値が標準値と一致するか否かを判定する判定処理を行う情報処理装置と、を有する。情報処理装置10により判定処理を行う。これにより、校正作業の効率改善が可能となる。
【0007】
本開示の別の態様におけるキャリブレーションシステムは、前記物理量が前記標準値になるように前記対象物に対する処理を行う標準器を更に有し、前記情報処理装置は、前記判定処理を行った後、前記標準器に前記標準値を変更する指示を送って、前記判定処理を行う。これにより、標準器に設定する標準値を変更する作業の効率改善が可能となる。
【0008】
本開示の別の態様におけるキャリブレーションシステムは、別の計測装置にて前記電気信号から算出されて表示される、前記物理量に対応する別の計測値を撮像する別の撮像装置を更に有し、前記情報処理装置は、前記判定処理で更に、前記別の撮像装置による撮像画像に基づいて、前記別の計測値が前記標準値と一致するか否かを判定する。これにより、二以上の計測装置の校正作業を行う場合にも、効率改善が可能となる。
【0009】
本開示における情報処理装置は、物理量が標準値に設定された対象物の前記物理量に基づく電気信号から計測装置にて算出されて表示される、前記物理量に対応する計測値の撮像画像を受ける通信部と、前記撮像画像に基づいて、前記計測値が標準値と一致するか否かを判定する判定処理を行う制御部と、を有する。これにより、校正作業の効率改善が可能となる。
【0010】
本開示の別の態様における情報処理装置では、前記制御部は、前記物理量が前記標準値になるように前記対象物に対する処理を行う標準器に、前記標準値を変更する指示を前記通信部により送り、前記判定処理を行う。これにより、標準器に設定する標準値を変更する作業の効率改善が可能となる。
【0011】
本開示の別の態様における情報処理装置では、前記通信部が、別の計測装置にて前記電気信号から算出されて表示される、前記物理量に対応する別の計測値の撮像画像を更に受け、前記制御部は、前記判定処理で更に、前記別の撮像装置による撮像画像に基づいて、前記別の計測値が前記標準値と一致するか否かを判定する。これにより、二以上の計測装置の校正作業を行う場合にも、効率改善が可能となる。
【0012】
本開示におけるプログラムは、情報処理装置により実行されることで当該情報処理装置が本開示の情報処理装置として動作するプログラムである。
【0013】
本開示におけるキャリブレーションシステムの動作方法は、撮像装置と情報処理装置とを有するキャリブレーションシステムの動作方法であって、前記撮像装置は、物理量が標準値に設定された対象物の前記物理量に基づく電気信号から計測装置にて算出されて表示される、前記物理量に対応する計測値を撮像し、前記情報処理装置は、前記撮像装置による撮像画像に基づいて、前記計測値が標準値と一致するか否かを判定する判定処理を行う。これにより、校正作業の効率改善が可能となる。
【0014】
本開示の別の態様におけるキャリブレーションシステムの動作方法では、前記キャリブレーションシステムは、前記物理量が前記標準値になるように前記対象物に対する処理を行う標準器を更に有し、前記情報処理装置は、前記判定処理を行った後、前記標準器に前記標準値を変更する指示を送って、前記判定処理を行う。これにより、標準器に設定する標準値を変更する作業の効率改善が可能となる。
【0015】
本開示の別の態様におけるキャリブレーションシステムの動作方法では、前記キャリブレーションシステムは、別の計測装置にて前記電気信号から算出されて表示される、前記物理量に対応する別の計測値を撮像する別の撮像装置を更に有し、前記情報処理装置は、前記判定処理で更に、前記別の撮像装置による撮像画像に基づいて、前記別の計測値が前記標準値と一致するか否かを判定する。これにより、二以上の計測装置の校正作業を行う場合にも、効率改善が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、校正作業を効率化することが可能な、キャリブレーションシステム等が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】キャリブレーションシステムの構成例を示す図である。
図2】情報処理装置の構成例を示す図である。
図3】情報処理装置の動作手順を示すフローチャート図である。
図4】情報処理装置の動作手順を示すフローチャート図である。
図5】情報処理装置の動作手順を示すフローチャート図である。
図6】情報処理装置の動作手順を示すフローチャート図である。
図7】情報処理装置の動作手順を示すフローチャート図である。
図8】情報処理装置の動作手順を示すフローチャート図である。
図9】情報処理装置の動作手順を示すフローチャート図である。
図10】情報処理装置による出力画面の例を示す図である。
図11】情報処理装置による処理を模式的に示す図である。
図12】情報処理装置による出力画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、一実施形態におけるキャリブレーションシステムの構成例を示す図である。キャリブレーションシステム1は、温度キャリブレータ11、情報処理装置10、及び一以上の撮像装置(ここでは、撮像装置12、121、及び122)を有する。キャリブレーションシステム1は、化学プラント等の現場16で用いられる温度抵抗体13と、一以上の計測装置(ここでは、計測装置15、151、及び152)の校正作業を支援する。校正作業は、温度キャリブレータ11が石油、薬品といった対象物の物理量、つまり温度が標準値になるように対象物を加熱・冷却し、その対象物の温度を温度抵抗体13と計測装置15、151、及び152とで計測することにより、行われる。ここにおいて、温度キャリブレータ11が、対象物の物理量を標準値に設定する「標準器」に対応する。温度キャリブレータ11、情報処理装置10、並びに撮像装置12、121、及び122は、それぞれネットワーク19に有線又は無線で情報通信可能に接続される。
【0020】
温度キャリブレータ11は、恒温槽を備え、恒温槽内の対象物の温度が任意の標準値になるよう、対象物の加熱・冷却処理を行う。標準値は、現場16の作業員の手動により、又は、温度キャリブレータ11に内蔵されるプロセッサにより情報処理装置10からの指示に応じて設定される、温度値である。また、温度キャリブレータ11は、恒温槽内の対象物の温度を計測する温度計と、計測した温度を表示するディスプレイとを備える。
【0021】
温度抵抗体13は、温度キャリブレータ11により加熱・冷却処理された対象物の温度に応じたアナログの電気信号を出力する。このアナログの電気信号は、信号線17を介して計測装置15へ向けて送られる。
【0022】
計測装置15は、温度抵抗体13から受けたアナログ信号をデジタル信号に変換して処理し、対象物の温度を示す離散的な温度値を計測値として算出して表示する。計測装置15は、例えば、温度プロセス計である。計測装置15は、デジタル信号処理を行うプロセッサと、温度値を表示するディスプレイとを有する。計測装置15は、ディスプレイを一体的に含んで構成されてもよいし、外付けのディスプレイを外部構成として有してもよい。
【0023】
撮像装置12は、計測装置15が表示する温度値を撮像し、撮像画像を、ネットワーク19を介して情報処理装置10へ送る。撮像装置12は、例えば、ネットワークカメラ、又は、通信機能と撮像機能を有するスマートフォン等の端末装置である。撮像装置12は、現場16に設置される中継器経由で、又は移動体通信により、ネットワーク19に接続される。
【0024】
本実施形態では、計測装置151及び152が、それぞれ信号線171及び172により温度抵抗体13と接続され、温度抵抗体13が出力するアナログの電気信号を取得する。計測装置151及び152は、計測装置15と同等の構成を有する。計測装置151及び152は、それぞれ、温度抵抗体13からのアナログの電気信号をデジタル信号に変換して処理し、対象物の温度値を算出して表示する。ただし、計測装置151及び152は、計測装置15と異なる仕様・性能を有してもよい。計測装置151及び152が表示する温度値は、それぞれ撮像装置121及び122により撮像される。撮像装置121及び122は、それぞれ撮像装置12と同等の構成を有する。撮像装置121及び122は、それぞれ撮像画像を、ネットワーク19を介して情報処理装置10へ送る。計測装置151及び撮像装置121、並びに計測装置152及び撮像装置122は、例えば、現場16に近接した監視用の施設に設置される。
【0025】
ネットワーク19は、例えばインターネットである。ネットワーク19には、アドホックネットワーク、LAN(Local Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、もしくは他のネットワーク又はこれらいずれかの組合せが含まれてもよい。
【0026】
本実施形態における校正作業では、温度キャリブレータ11が対象物の温度が標準値となるように対象物を加熱・冷却すると、対象物の温度に応じた信号を温度抵抗体13が出力し、その信号からを計測装置15、151及び152が計測値を算出して表示する。表示される計測値を、それぞれ撮像装置12、121及び122が撮像する。撮像は、任意に設定される計測期間(例えば、数分~数十分)にわたって連続的あるいは間欠的に行われる。撮像装置12、121及び122は、それぞれ撮像画像を情報処理装置10へ送る。情報処理装置10は、撮像装置12、121及び122のいずれか一以上による撮像画像に基づいて、対応する計測装置15、151又は152の計測値が温度キャリブレータ11の標準値と一致するか否かを判定する判定処理を行う。計測値が標準値の任意の誤差範囲に収まる場合も、標準値と一致する場合に含まれる。判定結果は、情報処理装置10の操作者に表示等により提供されて、温度抵抗体13、並びに、計測装置15、151、及び152のいずれか一以上の、校正作業に利用される。
【0027】
計測装置15、151及び152の仕様・性能がそれぞれ異なり、温度抵抗体13が出力する電気信号から算出する温度値に装置間で差が生ずるような場合には、計測値毎に標準値と一致するか否かを判定することが必要となる。各計測値をそれぞれ作業担当者が現場16あるいは近接する監視場所で目視により確認し、作業担当者同士が連絡を取り合って確認結果を共有するような場合と比較したとき、本実施形態によれば、情報処理装置10により計測値を集約的に処理することで、計測値の確認作業のための人員を削減することが可能となる。さらに、計測値を目視することに伴う人為的エラーのおそれを低減することが可能となる。このように、一の計測装置の場合だけでなく、二以上の計測装置の場合も含めて、校正作業の効率改善が可能となる。
【0028】
以下、情報処理装置10の構成と動作を詳細に説明する。
【0029】
図2は、情報処理装置10の構成例を示す図である。情報処理装置10は、制御部21、記憶部22、通信部23、入力部25、及び出力部26を備える。情報処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータである。情報処理装置10は、互いに情報通信可能に接続されて連携動作する一以上のコンピュータにより構成されてもよい。
【0030】
制御部21は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上の専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化したGPU(Graphics Processing Unit)等の専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。制御部21は、情報処理装置10の各部を制御しながら、情報処理装置10の動作に係る情報処理を実行する。
【0031】
記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する1つ以上の半導体メモリ、1つ以上の磁気メモリ、1つ以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)である。RAMは、例えば、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)である。ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)である。記憶部22は、情報処理装置10の動作に用いられる情報と、情報処理装置10の動作によって得られた情報とを記憶する。
【0032】
通信部23は、1つ以上の通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部23は、情報処理装置10の動作に用いられる情報を受信し、また情報処理装置10の動作によって得られる情報を送信する。情報処理装置10は、通信部23によりネットワーク19に接続され、ネットワーク19経由で他の装置と情報通信を行う。
【0033】
入力部25は、1つ以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。入力インタフェースは、さらに、撮像画像又は画像コードを取り込むカメラ、又はICカードリーダーを含んでもよい。入力部25は、情報処理装置10の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部21に送る。
【0034】
出力部26は、1つ以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。出力部26は、情報処理装置10の動作によって得られる情報を出力する。
【0035】
情報処理装置10の機能は、制御プログラムを、制御部21に含まれるプロセッサで実行することにより実現される。制御プログラムは、情報処理装置10の動作に含まれるステップの処理をコンピュータに実行させることで、そのステップの処理に対応する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムである。すなわち、制御プログラムは、コンピュータを情報処理装置10として機能させるためのプログラムである。また、情報処理装置10の一部又は全ての機能が、制御部21に含まれる専用回路により実現されてもよい。
【0036】
図3図9は、情報処理装置10の動作手順を示すフローチャート図である。図3図9の手順は、情報処理装置の制御部21により実行される。
【0037】
図3の手順は、情報処理装置10を用いた校正作業を行う操作者の、操作入力に応答して実行される。以下では、制御部21は、各種情報を出力部26のディスプレイに表示して操作者に提示し、入力部25のタッチパネル、操作キー等により操作者からの指示、選択の入力を受け付ける。
【0038】
ステップS300において、制御部21は、ユーザ認証処理を行う。制御部21は、出力部26により認証画面G1を表示して、操作者にID、パスワードの入力を促す。図10に示すように、認証画面G1には、構成作業のジョブ番号とともにID、パスワードといった入力項目101、キャリブレーションシステム1の構成及び仕様の表示画面への遷移ボタン102及び103、本処理を中止するためのキャンセルボタン104が表示される。操作者が入力項目101に対応する情報を入力部25から入力すると、制御部21は、記憶部22に予め格納される認証情報と入力された情報を照合し、認証処理を行う。
【0039】
認証が完了すると、ステップS301において、制御部21は、出力部26によりプロセス選択画面G2を表示して、操作者に処理を選択させる。図10に示すように、プロセス選択画面G2には、選択可能な「A」~「F」のプロセスの選択肢105、及び本処理を中止するためのキャンセルボタン106が表示される。制御部21は、操作者により「A.RC構成機器の動作確認」プロセスが選択されると、図4のステップS400に進む。
【0040】
図4のステップS400において、制御部21は、キャリブレーションシステム1に含まれる機器の動作確認処理を行う。温度キャリブレータ11、計測装置15、151及び152、並びに、撮像装置12、121及び122は、それぞれ作業員により設置されて起動されている。制御部21は、温度キャリブレータ11、撮像装置12、121及び122に動作確認の応答を要求し、これらの装置の動作状態、通信状態等が正常か否かを確認する。制御部21は、全ての機器の動作確認がされないうちは(ステップS401のNo)、動作確認を繰り返す。その場合、制御部21は、例えば出力部26により確認を促す情報を表示し、操作者に確認を促してもよい。操作者は、作業員と連絡を取り合って温度キャリブレータ11等を起動させたり動作を確認させたりすることができる。制御部21は、動作確認が完了すると(ステップS401のYes)、ステップS301に戻って、出力部26によりプロセス選択画面G2を表示する。
【0041】
図10に示すプロセス選択画面G2において操作者により「B.表示器の読み取り」プロセスが選択されると、制御部21は、図5のステップS500に進む。ステップS500において、制御部21は、デジタル値(温度値)の位置確認処理を行う。具体的には、制御部21は、撮像装置12、121及び122それぞれから取得した撮像画像の所定の位置にデジタル値が撮像されているかを確認する。制御部21は、全ての撮像画像においてデジタル値の位置確認がされないうちは(ステップS501のNo)、位置確認処理を繰り返す。その場合、制御部21は、例えば出力部26により確認を促す情報を表示し、操作者に確認を促してもよい。操作者は、作業員と連絡を取り合って、撮像装置12、121又は122の位置又はアングルを調整させたり動作を確認させたりすることができる。制御部21は、撮像装置12、121及び122それぞれから取得した撮像画像全ての位置確認処理が完了すると(ステップS501のYes)、ステップS503に進む。
【0042】
ステップS503において、制御部21は、デジタル値の読取処理を行う。具体的には、制御部21は、撮像装置12、121及び122それぞれの撮像画像から画像認識により温度値を読み取って、読取った温度値を時系列に記憶部32に格納する。制御部21は、任意の確認期間における全ての撮像画像の読取りが完了されないうちは(ステップS504のNo)、読取りを繰り返し、読取りが完了すると(ステップS504のYes)、ステップS301に戻って、出力部26によりプロセス選択画面G2を表示する。この時点で、撮像装置12、121及び122の撮像が開始された状態となる。
【0043】
図10に示すプロセス選択画面G2において操作者により「C.Remote Calibration(リモート校正)」プロセスが選択されると、制御部21は、図6のステップS600に進む。ステップS600において、制御部21は、操作者に校正処理の手動又は自動の選択を促す。制御部21は、出力部26により選択画面G3を表示して、操作者に自動又は手動の選択を促す。図10に示すように、選択画面G3には、自動又は選択の選択肢108、及び本処理を中止するためのキャンセルボタン109が表示される。操作者がいずれかを選択して入力部25に入力すると、制御部21は入力を受け付ける。
【0044】
ステップS601において、制御部21は、温度キャリブレータ11に温度の校正点となる標準値を設定する、校正点設定処理を行う。制御部21は、温度キャリブレータ11に、標準値の設定指示を送る。標準値は、例えば、50℃、75℃、100℃といった温度値である。温度キャリブレータ11は、設定指示に応答して標準値を設定する。このように、作業員が手動で標準値を設定することなく、温度キャリブレータ11の標準値が設定されるので、作業の効率改善が可能となる。
【0045】
ここで、ステップS600で自動が選択されていた場合(ステップS602の「自動」)、制御部21はステップS604に進む。ステップS600で手動が選択されていた場合(ステップS602の「手動」)、ステップS603において、制御部21は、入力部25により、情報処理装置10の操作者からの次の処理へ進めるための入力を受け付ける。そして、制御部21はステップS604に進む。
【0046】
ステップS604において、制御部21は、計測装置15、151及び152のそれぞれについて安定判定処理を行う。制御部21は、計測装置毎に、撮像画像から読み取った温度値、つまり計測値が標準値と一致するか否かを判定する。例えば、制御部21は、計測値が標準値に対し任意の範囲内の誤差(例えば±5℃)を有する場合に、計測値が標準値と一致すると判定する。制御部21は、計測値と標準値の比較を、任意の時間(例えば、数分~十数分)内に繰り返し、一致する・しないを判定してもよい。また、一例では、制御部21は、計測期間における複数の計測値間の差が基準範囲内に収まるときに、計測値が標準値と一致すると判定する。図11は、安定判定処理の例を模式的に示す図である。縦軸は温度値、横軸は経過時間を示す。温度キャリブレータ11の標準値を50℃としたとき、恒温槽内の対象物の温度が時間経過とともに概ね50℃に向けて収束してゆくことを曲線L11が示す。制御部21は、例えば、5分間の計測期間T1において1分毎に5回取得した温度値の平均値と、直後又は数分のインターバルの後の別の5分間の計測期間T2において1分毎に5回取得した温度値の平均値との差を算出し、差が基準範囲(例えば±0.5℃以内)に収まっていれば安定判断を下し、収まっていなければ安定判断を保留する。安定判断を保留した場合、更に5分間の計測期間における1分毎の温度値の平均値を算出し、直前の計測期間における平均値との差が基準範囲に収まっているかを確認する。そして、差が基準範囲に収まるまで、同様の処理を繰り返す。このようにして、制御部21は、計測装置15、151及び152のそれぞれについて、計測装置毎に安定判定処理を行う。
【0047】
ここで、ステップS600で自動が選択されていた場合(ステップS605の「自動」)、制御部21はステップS607に進む。ステップS600で手動が選択されていた場合(ステップS602の「手動」)、ステップS606において、制御部21は、入力部25により、情報処理装置10の操作者からの次の処理へ進めるための入力を受け付ける。そして、制御部21はステップS607に進む。
【0048】
ステップS607において、制御部21は、安定判定処理の情報に対応するデータを記憶部22に格納する。例えば、制御部21は、計測装置15、151及び152のそれぞれについて、取得した温度値の履歴、計測期間毎の温度値の平均値の履歴、安定判定した時刻等を記憶部22に格納する。
【0049】
ここで、ステップS600で自動が選択されていた場合(ステップS608の「自動」)、制御部21はステップS610に進む。ステップS600で手動が選択されていた場合(ステップS608の「手動」)、ステップS609において、制御部21は、入力部25により、情報処理装置10の操作者からの次の処理へ進めるための入力を受け付ける。そして、制御部21はステップS610に進む。
【0050】
ステップS610において、制御部21は、判定精度外のデータの有無を確認する処理を行う。例えば、制御部21は、計測装置15、151及び152のそれぞれについて、取得した温度値が標準値の許容誤差(例えば、±0.5℃)内であるか否かを判定する。全てのデータが許容誤差内である場合、つまり判定精度外のデータが無い場合(ステップS610の無)、制御部21はステップS613に進む。許容誤差内でない、判定精度外のデータが有る場合(ステップS610の有)、制御部21はステップS611に進む。
【0051】
ステップS611において、制御部21は、判定精度外の処理を行う。例えば、制御部21は、出力部26に判定精度外データが検出された計測装置を特定する情報を表示し、操作者に対処を促す。操作者は、例えば、特定された計測装置を担当する作業員に連絡し、その計測装置の調整又は交換を要請する。操作者が作業員から作業完了の連絡を受け、作業が完了したことを入力部25により入力することで、制御部21は判定精度外処理の終了を確認する。判定精度外処理は、完了が確認されるまで継続され(ステップS612のNo)、完了が確認されると(ステップS612のYes)、制御部21はステップS613に進む。
【0052】
ステップS613において、制御部21は、全ての標準値について校正が完了したか否かを判定する。記憶部22には、校正作業を行うべき標準値(例えば、50℃、75℃、100℃といった標準値)と、校正作業の順序とが格納されている。制御部21は、格納されている標準値の全てについてステップS601~S612の処理を行った場合(ステップS613のYes)、ステップS614に進む。格納されている標準値の全てについてステップS601~S612を行っていない場合(ステップS613のNo)、制御部21は、ステップS601に戻り、次の標準値についてステップS601~S612の処理を行う。
【0053】
ステップS614において、制御部21は、初期状態の復帰処理を行う。例えば、制御部21は、出力部26により、初期状態の復帰を促す情報を表示して、操作者に復帰作業を促す。操作者は、例えば、現場16等の作業員に連絡し、温度キャリブレータ11、撮像装置等の撤収作業を指示する。ステップS614が終了すると、制御部21は、ステップS301に戻り、出力部26にプロセス選択画面G2を表示させる。
【0054】
図10に示すプロセス選択画面G2において操作者により「D.校正監視(グラフィック・監視)」プロセスが選択されると、制御部21は、図7のステップS700に進む。ステップS700において、制御部21は、校正監視手段を操作者に提供するための校正監視画面G4を出力部26に表示させ、操作者に選択を促す。図10に示すように、校正監視画面G4には、キャリブレーションシステム1の部分又は全体の選択肢110、及び本処理を中止するためのキャンセルボタン111が表示される。
【0055】
制御部21は、校正監視画面G4で部分又は全体の選択肢110のいずれかが操作者により選択されると、選択に応じた画面をステップS701において出力部26により表示する。例えば、全体が選択された場合には、計測装置15、151及び152が写真、イラスト、図形、記号等の視覚的要素の組合せにより表示され、各計測装置に対応する温度値が表示される。温度値は、例えば、安定判定された時点の直近の計測期間における平均値である。また、部分が選択された場合には、計測装置毎に視覚的要素の組合せによる表示と温度値とが表示される。ステップS701が終了すると、制御部21は、ステップS301に戻り、出力部26にプロセス選択画面G2を表示させる。
【0056】
図10に示すプロセス選択画面G2において操作者により「E.トレンド」プロセスが選択されると、制御部21は、図8のステップS800に進む。ステップS800において、制御部21は、校正結果の傾向に関するトレンド情報を操作者に提供するためのトレンド画面G5を出力部26に表示させ、操作者に選択を促す。図10に示すように、トレンド画面G5には、キャリブレーションシステム1の部分又は全体の選択肢112、及び本処理を中止するためのキャンセルボタン113が表示される。制御部21は、トレンド画面G5で部分又は全体の選択肢112のいずれかが操作者により選択されると、選択に応じた画面を出力部26により表示する。
【0057】
図12は、トレンド情報の表示例を示す。ここには、トレンド画面G5で部分が選択された場合の表示例として、トレンド情報画面120が示される。トレンド情報画面120には、計測装置15に表示される温度値の撮像画像1201、時系列に取得された計測装置15の温度値のデータ1203、温度値のデータ1203の推移を示すグラフ1205が示される。また、これらに対比させて、計測装置151に表示される温度値の撮像画像1202、時系列に取得された計測装置151の温度値のデータ1204、温度値のデータ1204の推移を示すグラフ1206が示される。例えば、時系列データ1203、1204の一つをポインティングデバイスで選択することにより、それぞれ選択されたデータに対応する温度値の撮像画像1201、1202が表示される。ここでは、部分が選択された場合に、計測装置151を計測装置150と対比させてトレンド情報を表示する例を示したが、計測装置151に替えて計測装置152のトレンド情報を表示することも可能である。あるいは、全体が選択された場合には、計測装置151のトレンド情報と併せて計測装置152のトレンド情報を表示してもよい。例えば、計測装置152の撮像画像を計測装置151の撮像画像1202のウインドウの直下のウインドウに並べて表示するとともに、計測装置152の時系列データを計測装置151の時系列データ124の横に並べて表示してもよい。かかるトレンド情報画面120によれば、操作者は、視覚的に各計測装置の傾向を把握することが可能となる。
【0058】
ステップS800が終了すると、制御部21は、ステップS301に戻り、出力部26にプロセス選択画面G2を表示させる。
【0059】
図10に示すプロセス選択画面G2において操作者により「F.ログ管理」プロセスが選択されると、制御部21は、図9のステップS900に進む。ステップS900において、制御部21は、校正結果のログの情報を操作者に提供するためのログ管理画面G6を出力部26に表示させ、操作者に選択を促す。図10に示すように、ログ管理画面G6には、キャリブレーションシステム1の部分又は全体の選択肢114、及び本処理を中止するためのキャンセルボタン115が表示される。制御部21は、ログ管理画面G6で部分又は全体の選択肢114のいずれかが操作者により選択されると、選択に応じた画面を出力部26に表示する。ログは、計測装置毎の操作履歴を含む。全体が選択されたときは、計測装置15、151及び152全体の操作履歴が例えばテキスト形式で表示される。また、部分が選択されたときは、計測装置15、151及び152のいずれかをさらに操作者に選択させ、選択された計測装置の操作履歴が表示される。
【0060】
ステップS900が終了すると、制御部21は、ステップS301に戻り、出力部26にプロセス選択画面G2を表示させる。
【0061】
画面G1又はG2において、キャンセルボタン104又は106が押されることで、制御部21は本処理を終了する。また、画面G3~G6のいずれかにおいて、キャンセルボタン109、111、113又は115が押されることで、制御部21はステップS301に戻って画面G2を表示させる。
【0062】
キャリブレーションシステム1の構成は、圧力計、流量計、分析計等の校正作業にも適用できる。圧力計の校正作業の場合、液体、気体等の対象物に加減圧して「標準値」としての圧力値を設定する機能を有する圧力キャリブレータが「標準器」に、圧力値を計測する圧力計が校正対象としての「計測装置」に対応する。流量計の校正作業の場合、液体、気体等の対象物に「標準値」としての流量値を手動で設定し、その流量値を計測するコリオリ流量計、電磁流量計等の流量計が校正対象としての「計測装置」に対応する。また、分析計の例として、水質計の校正作業の場合、対象物としてのpH標準液のpH値を「標準値」としたとき、標準液のpH値を計測するpH計が校正対象としての「計測装置」に対応する。
【0063】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、キャリブレーションシステム1は、計測装置の校正作業において、人為的エラーの減少及び人員削減に寄与できる。よって、校正作業の効率改善が可能となる。
【0064】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。従って、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含される。
【0065】
例えば、上述した各構成部の配置及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の配置及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0066】
また、本開示において、装置を中心に説明してきたが、本開示は装置の各構成部が実行するステップを含む方法、装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0067】
1 キャリブレーションシステム
10 情報処理装置
11 温度キャリブレータ
12、121、122 撮像装置
13 温度抵抗体
15、151、152 計測装置
16 現場
17、171、172 信号線
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
25 入力部
26 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12