IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テルモ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-留置針組立体 図1
  • 特許-留置針組立体 図2
  • 特許-留置針組立体 図3
  • 特許-留置針組立体 図4
  • 特許-留置針組立体 図5
  • 特許-留置針組立体 図6
  • 特許-留置針組立体 図7
  • 特許-留置針組立体 図8
  • 特許-留置針組立体 図9
  • 特許-留置針組立体 図10
  • 特許-留置針組立体 図11
  • 特許-留置針組立体 図12
  • 特許-留置針組立体 図13
  • 特許-留置針組立体 図14
  • 特許-留置針組立体 図15
  • 特許-留置針組立体 図16
  • 特許-留置針組立体 図17
  • 特許-留置針組立体 図18
  • 特許-留置針組立体 図19
  • 特許-留置針組立体 図20
  • 特許-留置針組立体 図21
  • 特許-留置針組立体 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】留置針組立体
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
A61M25/06 510
A61M25/06 500
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020147304
(22)【出願日】2020-09-02
(62)【分割の表示】P 2019108511の分割
【原出願日】2011-03-23
(65)【公開番号】P2020192419
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2020-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2010122413
(32)【優先日】2010-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2010073414
(32)【優先日】2010-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】石田 昌弘
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】実公平03-013326(JP,Y2)
【文献】特開昭56-125058(JP,A)
【文献】特表平10-503094(JP,A)
【文献】特表2002-524216(JP,A)
【文献】特開2001-218852(JP,A)
【文献】特開2003-339858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に鋭利な針先を有する内針と、
前記内針の基端部に固定された内針ハブと、
前記内針が挿通される中空の外針と、
前記外針の基端部に固定され、突出部(軸受け32)を備えた外針ハブと、
前記外針の軸に沿って配置されている長尺状の本体部と、前記突出部へ当接する当接部(軸63)とを有し、前記内針ハブおよび前記内針に対して前記外針ハブおよび前記外針を移動させるカテーテル操作部材(押圧部材6)とを備え、
前記外針の軸に対して直交する方向から見て、前記本体部の基端部は、前記外針ハブと重なっており、
前記カテーテル操作部材を先端方向に移動させると、前記当接部が前記突出部に当接することにより前記カテーテル操作部材と共に前記外針ハブおよび前記外針が先端方向に移動し、
前記当接部は、前記突出部に対して着脱自在であることを特徴とする留置針組立体。
【請求項2】
前記突出部は、前記外針ハブの外側面に設けられている請求項1に記載の留置針組立体。
【請求項3】
前記外針が前記外針の軸に対して垂直な方向にずれることを防止するずれ防止手段を有する請求項1または2に記載の留置針組立体。
【請求項4】
前記カテーテル操作部材は、前記外針に対して所定位置まで回動することで、前記当接部が前記突出部から取り外し可能となる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の留置針組立体。
【請求項5】
前記カテーテル操作部材は、ヒンジ部により前記外針の軸に沿って配置された位置と前記外針から退避した位置とに変更可能に構成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の留置針組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、留置針組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者に対し輸液を行う際などには、輸液ラインと接続される留置針を患者の血管に穿刺し、留置してこれを行う。
【0003】
このような留置針(留置針組立体)は、末梢静脈カテーテルとして用いる中空の外針と、外針の基端に固着された外針ハブと、外針内に挿入され、先端に鋭利な針先を有する内針と、内針の基端に固着された内針ハブとで構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この留置針を患者の血管に穿刺する際には、内針を外針内に挿入し、内針の針先を外針の先端から突出させた組立状態で穿刺操作を行う。
【0005】
そして、内針の針先が血管内に到達すると、針先の開口より流入した血液は、内針の内腔を通り、透明な内針ハブの内部に流入する(フラッシュバック)。これにより、内針が血管を確保したことが確認(視認)できる。
【0006】
このフラッシュバックを確認したら、内針をガイドとして、外針を進め、当該外針を血管内に挿入(穿刺)する。
【0007】
次いで、内針を外針から抜き取り、外針ハブに輸液ラインのコネクタを接続して、輸液剤を投与する。
【0008】
ところで、前記末梢静脈カテーテルよりも長さが長く、患者の血管に留置され、輸液の投与に用いられるカテーテルとして、中心静脈カテーテル、PICC(Peripherally Inserted Central Catheter)、ミッドラインカテーテル等が知られている。
【0009】
このようなカテーテルを患者の血管に留置するには、まず、導入針を患者の血管に穿刺する。この導入針の穿刺は、その導入針として前記外針を用い、前記のようにして行う。そして、導入針内にカテーテルを送り込むことにより、患者にカテーテルを留置する。
【0010】
しかしながら、前記カテーテルを留置する際の手順は、前記外針を留置する場合に比べて、複雑であり、そのカテーテルを留置するのに手間がかかるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2009-232916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記の欠点は、前記留置針組立体の内針および外針の長さをそれぞれ長く設定し、その外針を前記中心静脈カテーテル、PICC、ミッドラインカテーテル等として使用することで解消することができる。
【0013】
しかしながら、内針および外針の長さを長くすると、穿刺操作の際、内針および外針が撓み、穿刺し難いという問題がある。特に、内針が細く、コシがない場合は、非常に穿刺し難い。
【0014】
本発明の目的は、内針や外針の長さによらず、穿刺操作を容易に行うことができる留置針組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、先端に鋭利な針先を有する内針と、
前記内針の基端部に固定された内針ハブと、
前記内針が挿通される中空の外針と、
前記外針の基端部に固定され、突出部(軸受け32)を備えた外針ハブと、
前記外針の軸に沿って配置されている長尺状の本体部と、前記突出部へ当接する当接部(軸63)とを有し、前記内針ハブおよび前記内針に対して前記外針ハブおよび前記外針を移動させるカテーテル操作部材(押圧部材6)とを備え、
前記外針の軸に対して直交する方向から見て、前記本体部の基端部は、前記外針ハブと重なっており、
前記カテーテル操作部材を先端方向に移動させると、前記当接部が前記突出部に当接することにより前記カテーテル操作部材と共に前記外針ハブおよび前記外針が先端方向に移動し、
前記当接部は、前記突出部に対して着脱自在であることを特徴とする留置針組立体である。
【0016】
本発明の留置針組立体では、前記突出部は、前記外針ハブの外側面に設けられていることが好ましい。
【0017】
本発明の留置針組立体では、前記外針が前記外針の軸に対して垂直な方向にずれることを防止するずれ防止手段を有することが好ましい。
【0018】
本発明の留置針組立体では、前記カテーテル操作部材は、前記外針に対して所定位置まで回動することで、前記当接部が前記突出部から取り外し可能となることが好ましい。
【0019】
本発明の留置針組立体では、前記カテーテル操作部材は、ヒンジ部により前記外針の軸に沿って配置された位置と前記外針から退避した位置とに変更可能に構成されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の留置針組立体の第1実施形態を示す断面図である。
図2図2は、図1に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための断面図である。
図3図3は、図1に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための断面図である。
図4図4は、図1に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための断面図である。
図5図5は、図1に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための断面図である。
図6図6は、本発明の留置針組立体の第2実施形態(組立状態)を示す斜視図である。
図7図7は、本発明の留置針組立体の第2実施形態(非組立状態)を示す斜視図である。
図8図8は、図6に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための斜視図である。
図9図9は、図6に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための斜視図である。
図10図10は、図6に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための斜視図である。
図11図11は、図6に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための斜視図である。
図12図12は、本発明の留置針組立体の第3実施形態(組立状態)を示す斜視図である。
図13図13は、図12に示す留置針組立体の押圧部材を示す側面図である。
図14図14は、図12に示す留置針組立体の押圧部材および外針を示す側面図である。
図15図15は、図12に示す留置針組立体の正面図である。
図16図16は、図12に示す留置針組立体の押圧部材および把持部材の先端部を示す斜視図である。
図17図17は、図12に示す留置針組立体の外針ハブおよび押圧部材を示す斜視図である。
図18図18は、図12に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための斜視図である。
図19図19は、図12に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための斜視図である。
図20図20は、図12に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための斜視図である。
図21図21は、図12に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための斜視図である。
図22図22は、図12に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の留置針組立体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0022】
<第1実施形態>
図1は、本発明の留置針組立体の第1実施形態を示す断面図、図2図5は、それぞれ、図1に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための断面図である。
【0023】
なお、以下では、図1~5中の左側を「基端(後端)」、右側を「先端」、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0024】
図1に示すように、留置針組立体1は、中空の外針2と、外針2の基端部に固定された外針ハブ3と、外針2内に挿通される内針4と、内針4の基端部に固定された内針ハブ5と、外針ハブ3に接続された押圧部材6とを有している。以下、各部の構成について説明する。
【0025】
外針2は、ある程度の可撓性を有するものが好ましく用いられる。外針2の構成材料は、樹脂材料、特に、軟質樹脂材料が好適であり、その具体例としては、例えば、PTFE、ETFE、PFA等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはこれらの混合物、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルナイロン樹脂、前記オレフィン系樹脂とエチレン-酢酸ビニル共重合体との混合物等が挙げられる。
【0026】
このような外針2は、その全部または一部が内部の視認性を有していてもよい。また、外針2の構成材料中には、例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸ビスマス、タングステン酸のようなX線造影剤を配合し、造影機能を持たせることもできる。
【0027】
また、外針2の長さL1は、特に限定されず、用途や諸条件等に応じて適宜設定されるが、2.0~50.0cm程度の範囲内の値に設定されることが好ましく、3.0~40.0cm程度の範囲内の値に設定されることがより好ましく、10.0~30.0cm程度の範囲内の値に設定されることがさらに好ましい。
【0028】
これにより、外針2を、例えば、中心静脈カテーテル、PICC、ミッドラインカテーテル等、末梢静脈カテーテルよりも長さが長いカテーテルとして用いることができる。なお、外針2を末梢静脈カテーテルとして用いてもよいことは、言うまでもない。
【0029】
外針2の基端部には、例えば、カシメ、融着(熱融着、高周波融着等)、接着剤による接着等の方法により、外針ハブ3が液密に固着(固定)されている。
【0030】
外針ハブ3は、ほぼ筒状の部材で構成され、その内部が外針2の内腔21と連通している。また、外針ハブ3の基端部の外周部には、フランジ31が形成されている。
【0031】
外針2には、先端に鋭利な針先41を備える内針4が挿通される。留置針組立体1は、内針4を外針2に挿通し、後述する内針ハブ5を外針ハブ3に嵌合させた状態(外針2の先端開口22から針先41が突出した状態)、すなわち、図1および図2に示す状態で使用される。以下、この状態を「組立状態」と言う。
【0032】
内針4の長さは、組立状態としたとき、少なくとも針先41が外針2の先端開口22から突出する程度の長さとされる。
【0033】
内針4は、中空針であってもよいが、中実針でもよい。内針4を中実針にした場合、その外径を小さくしつつも十分な強度を確保することができる。また、内針4を中実針とすることにより、操作終了後、内針4を廃棄する際に、内針4の内部に血液が残留したり、その血液が流出する虞がなく、安全性が高い。
【0034】
また、内針4が中空針である場合、当該内針4が血管を穿刺したときに血液が内針4の中空部に流入することにより、血液のフラッシュバックを確認するが、内針4を中実針とすることにより、血液が内針4と外針2との隙間に流入することとなり、血液のフラッシュバックをより早く確認することができる。
【0035】
なお、内針4は、中空部と中実部との双方を有する構成(例えば、中空針の内腔の一部を充填することにより、先端側を中空とし、基端側を中実とする構成等)とすることもできるが、その全体を一つの部材で構成することにより、内針4のコストの削減を図ることができる。
【0036】
また、内針4は、その外径が一定のものでもよく、また、その外径が異なる複数(本実施形態では、3つ)の部分を有していてもよい。
【0037】
このような内針4の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料が挙げられる。
【0038】
また、内針4は、後述する押圧部材6の押圧部64に対応する部位(押圧部64により押圧される部位)を固定し、先端部に対し、内針4の軸に対して垂直な方向に0.1Nの力を加えたとき、その先端部の内針4の軸に対して垂直な方向への変位量が3.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましい。
内針4の基端部には、内針ハブ5が固定されている。
【0039】
内針ハブ5は、ほぼ筒状の部材で構成され、その基端部の外周部には、フランジ51が形成されている。組み立て状態では、内針ハブ5のフランジ51より先端側の部位が、外針ハブ3の内部に挿入され、嵌合して固定される。
【0040】
また、内針ハブ5の基端側の開口には、その開口を覆うように、通気フィルタ52が設置されている。この通気フィルタ52は、気体は透過するが液体は遮断する性質を有するものである。
【0041】
通気フィルタ52の具体例としては、例えば、各種焼結多孔体、疎水性不織布、その他の多孔質体等が挙げられる。この場合、焼結多孔体としては、例えばポリエチレン等の高分子材料(粉末)と、親水性(水溶性、水膨潤性)ポリマーとを含む材料を焼結したものが好ましい。この焼結多孔体を用いると、液体(血液)との接触により通気も遮断されるので、外部からの空気の侵入を防止することができる。なお、内針4が中実針の場合は、前記通気フィルタ52を設ける必要はない。
【0042】
内針4の内針ハブ5に対する固定方法は、例えば、嵌合、カシメ、融着、接着剤による接着等の方法、あるいはこれらを併用した方法が挙げられる。
【0043】
このような内針ハブ5および前述した外針ハブ3は、それぞれ、好ましくは透明(無色透明)、着色透明または半透明の樹脂で構成され、内部の視認性が確保されている。これにより、外針2が血管を確保した際、流入する血液のフラッシュバックを目視で確認することができる。
【0044】
外針ハブ3および内針ハブ5の構成材料としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール等の各種樹脂材料が挙げられる。
【0045】
押圧部材6は、外針2を留置する操作において、組立状態で内針4の針先41および外針2の先端部を血管に穿刺する穿刺操作の際、指で外針2の基端と先端との間の部位(途中の部位)に押し付けられる押圧部64を有しており、その押圧部64により、外針2の基端と先端との間の部位を押圧する部材である。
【0046】
すなわち、押圧部材6は、外針2の軸(中心軸)に沿って配置され、外針2上に位置する長尺状の本体部61と、本体部61に設けられ、指を掛ける指掛け突起62と、本体部61における指掛け突起62の上下方向の反対側の部位で構成された押圧部64とを有している。指掛け突起62は、本体部61の先端部に、上方に向かって突出するように形成されている。指掛け突起62および本体部61の指が当たる部位は、それぞれ、例えば、平面、または湾曲した凹面、または湾曲した凸面をなしている。押圧部材6の上側の部位は、指を当てる指当て部を構成する。
【0047】
なお、押圧部64は、本実施形態では、本体部61の先端部をそのまま利用したものであるが、これに限らず、例えば、本体部61における指掛け突起62の上下方向の反対側の部位に形成された突起等で構成してもよい。
【0048】
また、押圧部材6の基端部、すなわち、本体部61の基端部は、外針ハブ3に接続されている。これにより、指掛け突起62は、外針2を留置する操作において、内針4に対して外針2を先端方向に移動させる際、指で押圧する部位を兼ねることができる。なお、押圧部材6が内針ハブ5等、他の部材に接続されていてもよいことは言うまでもない。
【0049】
また、押圧部材6は、外針ハブ3に、その外針ハブ3に対して回動(変位)し得るように接続されている。すなわち、本体部61の基端部に設けられた軸63と、外針ハブ3の外側の上部に設けられ、その軸63を支持する軸受け32とで構成されたヒンジ構造部により、押圧部材6は、本体部61の基端部を回動中心として、外針ハブ3に対して回動し得るようになっている。
【0050】
そして、押圧部材6は、外針2の軸に沿って配置された図1に示す第1の位置と、外針2から退避した図5(a)に示す第2の位置とに変位可能に構成されている。
【0051】
押圧部材6が第1の位置に位置するときは、押圧部材6は、外針2上に位置し、また、押圧部材6の先端部、すなわち指掛け突起62および押圧部64は、外針2の基端部よりも先端側で、外針2の先端部よりも基端側に位置する。これにより、内針4および外針2の長さが比較的長い場合でも、穿刺操作の際、押圧部材6の押圧部64を介して外針2の基端と先端との間の部位(押圧部64に対応する部位)を下方に押し付けることにより、内針4および外針2の撓みを抑制することができ、容易かつ確実に、その穿刺操作を行うことができる。
【0052】
また、内針ハブ5および外針ハブ3よりも内針4および外針2の先端部に近い押圧部材6の指掛け突起62に指を掛けて穿刺操作を行うことができるので、その穿刺操作の際、内針4の針先41を容易にコントロールすることができる。
【0053】
また、押圧部材6が第2の位置に位置するときは、押圧部材6は、外針2よりも基端側に位置する。外針2を留置する操作の際や、外針2が留置された後等、術者(使用者)や患者(被使用者)にとって、押圧部材6が邪魔になった場合には、押圧部材6をこの第2の位置に移動させることができる。
【0054】
また、押圧部材6は、外針ハブ3に対して着脱自在に構成されている。すなわち、本体部61の基端部に設けられた軸63は、外針ハブ3に設けられた軸受け32に着脱自在に装着し得るようになっている。これにより、外針2を留置する操作の際や、外針2が留置された後等、術者や患者にとって、押圧部材6が邪魔になった場合には、押圧部材6を取り外すことができ、また、押圧部材6が必要になった場合には、押圧部材6を取り付けることもできる。
【0055】
また、押圧部材6の寸法は、押圧部材6の押圧部64により、外針2の基端と先端との間の部位を押圧し得るように設定されていれば、特に限定されない。
【0056】
また、押圧部材6は、指で押圧部材6を押圧したとき、その指が外針2に触れない程度の大きさを有していることが好ましい。これにより、安全性を向上させることができる。なお、外針2や、押圧部材6の裏面等の外針2に触れる部位は、滅菌されている。
【0057】
押圧部材6の構成材料としては、特に限定されず、例えば、前述した外針ハブ3、内針ハブ5の構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0058】
次に、留置針組立体1の使用方法の一例(血管に穿刺する場合)(作用)について説明する。
【0059】
[1] 図2に示すように、留置針組立体1を組み立て状態とし、押圧部材6を第1の位置に位置させ、内針ハブ5を一方の手で把持し、人差し指を押圧部材6の指掛け突起62に掛け、その人差し指で指掛け突起62の根元部付近を下方に押圧しつつ、留置針組立体1の先端部(一体化された外針2および内針4の先端部)を、患者に押し当てるようにして、血管に向かって、表皮を穿刺する。この際、前述したように、押圧部64が外針2の基端と先端との間の部位を下方に押し付けることにより、内針4および外針2の撓みを抑制することができる。なお、内針ハブ5を左手で把持してもよいことは、言うまでもない。
【0060】
[2] 内針4の針先41が血管に穿刺されると、血圧により血液が内針4内を基端方向へ逆流し、内針ハブ5内に導入され、視認性を有する内針ハブ5を介してこのフラッシュバックを視認することができる。これにより内針4の針先41が血管を確保したことを知ることができる。
【0061】
なお、この血液の流入に伴い、内針ハブ5内の空気は、通気フィルタ52を通って排出されるが、血液は、通気フィルタ52を通過できず、外部への漏れ出しは生じない。
【0062】
[3] 次に、図3に示すように、内針4をガイドとし、内針4に沿って、さらに外針2を微小距離先端方向へ進める。この際、人指し指で、指掛け突起62を先端方向に押圧し、外針2を先端方向へ移動させる。
【0063】
[4] 次に、図4に示すように、他方の手で内針ハブ5の位置を固定しつつ、外針ハブ3を把持し、内針4をガイドとし、内針4に沿って、さらに外針2を先端方向へ進め、外針2の先端部を血管内の目的位置まで挿入する。
【0064】
[5] 次に、血管に留置されている外針2側の外針ハブ3や押圧部材6を左手で押さえつつ、右手で内針ハブ5を把持し、基端方向へ引っ張る。これにより、内針4が外針2から抜き取られる。内針4を外針2から抜去した後は、必要に応じて、図5(a)に示すように、押圧部材6を回動させ、第2の位置に位置させてもよく、また、図5(b)に示すように、外針ハブ3から押圧部材6を取り外してもよく、また、図5(c)に示すように、そのままでもよい。
【0065】
[6] 内針4が抜き取られた外針ハブ3には、輸液セットのコネクタ等(図示せず)を素早く接続し、定法に従い、輸液の投与を開始する。
【0066】
このようにして外針2から内針4を抜き取った後は、内針4および内針ハブ5は不用となるため、廃棄処分される。
【0067】
以上説明したように、この留置針組立体1によれば、内針4および外針2の長さが比較的長い場合でも、穿刺操作の際、押圧部材6の押圧部64を介して外針2の基端と先端との間の部位を下方に押し付けることにより、内針4および外針2の撓みを抑制することができ、容易かつ確実に、その穿刺操作を行うことができる。
【0068】
また、内針ハブ5および外針ハブ3よりも内針4および外針2の先端部に近い押圧部材6の指掛け突起62に指を掛けて穿刺操作を行うことができるので、その穿刺操作の際、内針4の針先41を容易にコントロールすることができる。
【0069】
また、指掛け突起62に指を掛けてその指掛け突起62を先端方向に押圧することにより、容易かつ確実に、内針4に対して外針2を先端方向に移動させることができる。
【0070】
<第2実施形態>
図6は、本発明の留置針組立体の第2実施形態(組立状態)を示す斜視図、図7は、本発明の留置針組立体の第2実施形態(非組立状態)を示す斜視図、図8図11は、それぞれ、図6に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための斜視図である。
【0071】
なお、以下では、図6図11中の左側を「先端」、右側を「基端(後端)」、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。また、図6図11においては、血管の図示は省略されている。
【0072】
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0073】
図6および図7に示すように、第2実施形態の留置針組立体1では、押圧部材6の指掛け突起62は、本体部61に、外針2の軸に沿って複数設けられている。また、図示の構成では、各指掛け突起62は、等間隔で配置されている。各指掛け突起62は、第1実施形態で述べた機能の他、外針2の血管への挿入長さを示す目盛りとしての機能を有する。
【0074】
また、押圧部64は、本実施形態では、本体部61における最先端の指掛け突起62の上下方向の反対側の部位で構成されている。
【0075】
なお、本体部61における各指掛け突起62の上下方向の反対側の部位がそれぞれ押圧部を構成していてもよい。この場合は、外針2の基端と先端との間の複数の部位から選択して所定の部位を押圧することができる。
【0076】
また、留置針組立体1は、基端部が内針ハブ5に接続(固定)され、内針ハブ5から先端方向に突出する把持部材7を有している。これにより、外針2を留置する操作の際、その把持部材7を手で把持することができ、容易かつ確実に、その操作を行うことができる。
【0077】
把持部材7は、長尺状をなし、底板71と、底板71に立設された2つの壁部72、73とで構成されており、内針4は、この把持部材7の内側の空間に配置されている。
【0078】
また、組立状態では、押圧部材6は、その長手方向に移動可能に、把持部材7の内側の空間に収納されている。この把持部材7は、押圧部材6が先端方向に移動する際に、その押圧部材6の移動方向を規制するガイド部材としての機能を有している。これにより、押圧部材6が先端方向に移動する際、その押圧部材6が横方向にずれるのを防止することができる。
【0079】
また、各壁部72、73の先端部の外側の表面には、それぞれ、手の滑り止め手段として、上下方向に延在する複数のリブ721、731が並設されている。これにより、把持部材7を手で把持する際、手が滑ってしまうことを防止することができる。
【0080】
図6に示すように、組立状態では、押圧部材6は、把持部材7の内部の空間に収納される。
【0081】
また、組立状態では、この把持部材7の先端部は、外針2の基端部よりも先端側に位置し、内針4の先端部よりも基端側に位置する。
【0082】
また、組立状態で、押圧部材6が第1の位置に位置するとき、把持部材7の先端部は、押圧部材6の先端部よりも基端側に位置する。
【0083】
これにより、容易かつ確実に、穿刺操作や、内針4に対して外針2を先端方向に移動させる操作を行うことができる。
【0084】
なお、把持部材7の構成材料としては、特に限定されず、例えば、前述した外針ハブ3、内針ハブ5の構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0085】
次に、留置針組立体1の使用方法の一例(血管に穿刺する場合)(作用)について説明する。
【0086】
[1] 図6に示すように、留置針組立体1を組み立て状態とし、押圧部材6を第1の位置に位置させ、内針ハブ5に設けられた把持部材7の先端部を右手(一方の手)で把持し、右手の人差し指を押圧部材6の最先端の指掛け突起62に掛け、その人差し指で指掛け突起62の根元部付近を下方に押圧しつつ、留置針組立体1の先端部を、患者に押し当てるようにして、血管に向かって、表皮を穿刺する。この際、押圧部64が外針2の基端と先端との間の部位を下方に押し付けることにより、内針4および外針2の撓みを抑制することができる。
【0087】
[2] 内針4の針先41が血管に穿刺されると、血管の内圧により血液が内針4内を基端方向へ逆流し、内針ハブ5内に導入され、視認性を有する内針ハブ5を介してこのフラッシュバックを視認することができる。これにより内針4の針先41が血管を確保したことを知ることができる。
【0088】
[3] 次に、図8に示すように、内針4をガイドとし、内針4に沿って、さらに外針2を微小距離先端方向へ進める。この際、人指し指で、最先端の指掛け突起62を先端方向に押圧し、外針2を先端方向へ移動させる。
【0089】
[4] 次に、図9に示すように、人指し指で、1つ基端側の指掛け突起62を先端方向に押圧し、外針2を微小距離先端方向へ移動させ、これを順次行い、外針2の先端部を血管内の目的位置まで挿入する。
【0090】
[5] 次に、図10に示すように、血管に留置されている外針2側の押圧部材6を左手で押さえつつ、右手で把持部材7の基端部や内針ハブ5を把持し、基端方向へ引っ張る。これにより、内針4が外針2から抜き取られる。内針4を外針2から抜去した後は、必要に応じて、図11(a)に示すように、外針ハブ3から押圧部材6を取り外してもよく、また、図11(b)に示すように、押圧部材6を回動させ、第2の位置に位置させてもよく、また、そのままでもよい。なお、以降の操作は、第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
この留置針組立体1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0091】
そして、この留置針組立体1では、指掛け突起62が外針2の軸に沿って複数設けられているので、その指掛け突起62を順次先端方向に押圧することにより、容易かつ確実に、内針4に対して外針2を先端方向に移動させることができる。
【0092】
また、把持部材7を有しているので、容易かつ確実に、外針2を留置する操作を行うことができる。
【0093】
<第3実施形態>
図12は、本発明の留置針組立体の第3実施形態(組立状態)を示す斜視図、図13は、図12に示す留置針組立体の押圧部材を示す側面図、図14は、図12に示す留置針組立体の押圧部材および外針を示す側面図、図15は、図12に示す留置針組立体の正面図、図16は、図12に示す留置針組立体の押圧部材および把持部材の先端部を示す斜視図、図17は、図12に示す留置針組立体の外針ハブおよび押圧部材を示す斜視図、図18図22は、それぞれ、図12に示す留置針組立体の使用方法の一例を説明するための斜視図である。
【0094】
なお、以下では、図12図14図16図22中の左側を「先端」、右側を「基端(後端)」、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。また、図18図22においては、血管の図示は省略されている。
【0095】
以下、第3実施形態について、前述した第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0096】
図12図13図19および図20に示すように、第3実施形態の留置針組立体1では、押圧部材6は、その長手方向の途中で外針2から離間する方向に湾曲または屈曲し得るように構成されている。すなわち、押圧部材6の本体部61の長手方向の途中に、薄肉部611が形成されており、その薄肉部611が曲げ変形することにより、湾曲または屈曲する。また、薄肉部611は、本体部61の長手方向に沿って複数箇所(図示の構成では、2箇所)に形成されている。なお、薄肉部611の形成箇所は、1つであってもよいことは言うまでもない。
【0097】
これにより、外針2を留置する際において、外針2を先端方向に移動させるとき、押圧部材6の先端部が患者の所定部位に当たったとしても、押圧部材6がその途中で湾曲または屈曲し、押圧部材6と患者の所定部位との干渉を回避することができ、これによって、容易かつ円滑に外針2を移動させることができる。具体例としては、上腕部の内側から穿刺し、外針2の先端を脇の手前まで挿入する場合、押圧部材6を先端方向に移動させてゆくと、押圧部材6の先端部が上腕二頭筋に対応する力こぶに当たってしまうことがあるが、そのような場合でも、押圧部材6は、その途中で湾曲または屈曲することにより邪魔にならない。
【0098】
また、2つの薄肉部611の配置は特に限定されないが、本実施形態では、押圧部材6の先端と先端側の薄肉部611との間の長手方向の長さをL1(図21参照)、先端側の薄肉部611と基端側の薄肉部611との間の長手方向の長さをL2(図21参照)としたとき、L1がL2よりも小さくなるように設定されている。
【0099】
また、長さL1およびL2は、それぞれ、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるが、長さL1は、10~30mm程度であることが好ましく、15~20mm程度であることがより好ましい。また、長さL2は、20~90mm程度であることが好ましく、30~70mm程度であることがより好ましい。
【0100】
また、図14に示すように、押圧部材6の先端部は、上方(外針2からその外針2の径方向に離間する方向)に向うよう設けられている。すなわち、押圧部材6の先端部は、外針2から離間するように反り返っている。
【0101】
これにより、外針2を留置する際において、外針2を先端方向に移動させるとき、押圧部材6の先端部が患者の所定部位に当たったとしても、押圧部材6の先端部は、それを容易かつ円滑に乗り越えることができ、これによって、外針2を移動させることができる。
【0102】
また、図15に示すように、留置針組立体1は、外針2がその外針2の軸に対して垂直な方向、すなわち、図15中横方向にずれることを防止するずれ防止手段として、押圧部材6に形成された溝(凹部)65と、把持部材7に形成された溝(凹部)74とを有している。
【0103】
溝65は、押圧部材6の本体部61の下面に形成され、その押圧部材6の長手方向に沿って延在している。なお、溝65は、図示の構成では、本体部61の先端から基端まで、その全長に亘って形成されているが、これに限定されず、本体部61の先端部のみに形成されていてもよい。
【0104】
また、溝74は、把持部材7の底板71の上面の溝65に対応する位置に形成され、その把持部材7の長手方向に沿って延在している。なお、溝74は、図示の構成では、底板71の先端から基端まで、その全長に亘って形成されているが、これに限定されず、底板71の先端部のみに形成されていてもよい。
【0105】
外針2は、溝65および74内に保持されている。これにより、外針2が図15中横方向にずれることを防止することができる。
なお、前記溝は、押圧部材6と把持部材7との一方のみに形成されていてもよい。
【0106】
また、図16に示すように、把持部材7の壁部72および73の先端部の内面には、それぞれ、側方に向って突出し、押圧部材6と係合するリブ(係合部)722および732が形成されている。各リブ722および732は、それぞれ、把持部材7の長手方向に沿って延在し、互いに平行になるように形成されている。
【0107】
これにより、組立状態において、押圧部材6が外針2からその外針2の径方向に離間する方向に変位すること、すなわち、押圧部材6が上側に持ち上がってしまうことを防止することができる。これによって、外針2が溝65および74内に挿入された状態が保持され、前述したように、外針2が図15中横方向にずれることを防止することができる。
【0108】
また、把持部材7は、壁部72および73の上部に形成され、把持部材7の内側の空間を覆う蓋部75を有している。この蓋部75は、図示の構成では、壁部72および73の基端から中央部よりも先端側まで設けられている。
【0109】
また、図17に示すように、押圧部材6は、外針ハブ3に対して着脱自在に構成されている。すなわち、押圧部材6の本体部61の基端部に設けられた軸63は、外針ハブ3に設けられた軸受け32に着脱自在に装着し得るようになっている。この場合、軸受け32は、1対のC字状の支持部321、322で構成されている。また、本体部61の基端部の軸63の先端側の部位は、軸方向に突出している。これにより、押圧部材6が、外針2の軸に沿って配置された図に示す第1の位置に位置しているときは、押圧部材6を取り外すことができない。すなわち、押圧部材6が外針ハブ3から離脱してしまうことを防止することができる。
【0110】
一方、押圧部材6が、図中時計回りに回動し、外針2に対して所定位置まで回動すると、押圧部材6を取り外すことができる。
【0111】
押圧部材6は、その押圧部材6が外針2の軸に沿って配置された図12および図17(a)に示す第1の位置に位置しているときに押圧部材6の外針ハブ3からの離脱を防止する離脱防止手段として、本体部61の軸63の先端側に形成された1対の段差部661、662を有している。
【0112】
一方、軸受け32は、1対のC字状の支持部321、322を有しており、各支持部321、322に対し、図17中の右側から押圧部材6の軸63を着脱するように構成されている。
【0113】
押圧部材6が外針2の軸に沿って配置された図17(a)に示す第1の位置に位置しているときは、押圧部材6を図17中右側に移動させ、その軸63を支持部321、322から取り外そうとしても、押圧部材6の段差部661、662が支持部321、322に当接し、これにより、軸63を支持部321、322から取り外すことはできない。これによって、押圧部材6が外針ハブ3から離脱してしまうことを防止することができる。
【0114】
また、押圧部材6を前記第1の位置から図17中時計回りに回動させた場合、図17(b)に示すように、押圧部材6が外針2に対して垂直になる手前では、前記と同様に、押圧部材6の段差部661、662が支持部321、322に当接し、押圧部材6の軸63を支持部321、322から取り外すことはできない。
【0115】
図17(c)に示すように、押圧部材6を図17中時計回りにさらに回動させ、押圧部材6が外針2に対して所定位置まで回動すると、図17(d)に示すように、押圧部材6の軸63を支持部321、322から取り外すことができる。
【0116】
次に、留置針組立体1の使用方法の一例(血管に穿刺する場合)(作用)について説明する。
【0117】
[1] 図12に示すように、留置針組立体1を組み立て状態とし、押圧部材6を第1の位置に位置させ、内針ハブ5に設けられた把持部材7の先端部を一方の手で把持し、人差し指を押圧部材6の最先端の指掛け突起62に掛け、その人差し指で指掛け突起62の根元部付近を下方に押圧しつつ、留置針組立体1の先端部を、患者に押し当てるようにして、血管に向かって、表皮を穿刺する。この際、押圧部64が外針2の基端と先端との間の部位を下方に押し付けることにより、内針4および外針2の撓みを抑制することができる。
【0118】
[2] 内針4の針先41が血管に穿刺されると、血管の内圧により血液が内針4内を基端方向へ逆流し、内針ハブ5内に導入され、視認性を有する内針ハブ5を介してこのフラッシュバックを視認することができる。これにより内針4の針先41が血管を確保したことを知ることができる。
【0119】
[3] 次に、図18に示すように、内針4をガイドとし、内針4に沿って、さらに外針2を先端方向へ進める。この際、人指し指で、最先端の指掛け突起62を先端方向に押圧し、外針2を先端方向へ移動させる。この際、押圧部材6の先端部が患者の所定の部位に当たると、図19に示すように、押圧部材6がその途中で湾曲または屈曲し、これにより、押圧部材6が邪魔になることなく、容易かつ円滑に外針2を移動させることができる。
【0120】
[4] 次に、図20に示すように、人指し指で、1つ基端側の指掛け突起62を先端方向に押圧し、外針2を先端方向へ移動させ、これを順次行い、外針2の先端部を血管内の目的位置まで挿入する。この際、前述したように、押圧部材が患者の所定の部位に当たると、押圧部材6がその途中で湾曲または屈曲し、これにより、押圧部材6が邪魔になることなく、容易かつ円滑に外針2を移動させることができる。
【0121】
[5] 次に、図21に示すように、血管に留置されている外針2側の押圧部材6を他方の手で押さえつつ、把持部材7の基端部や内針ハブ5を把持し、基端方向へ引っ張る。これにより、内針4が外針2から抜き取られる。内針4を外針2から抜去した後は、必要に応じて、図22に示すように、外針ハブ3から押圧部材6を取り外してもよく、また、押圧部材6を回動させ、第2の位置に位置させてもよく、また、そのままでもよい。なお、以降の操作は、第2実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
この留置針組立体1によれば、前述した第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0122】
なお、本実施形態では、押圧部材6の本体部61に薄肉部611を形成することにより、押圧部材6が湾曲または屈曲し得るように構成されているが、これに限定されず、例えば、押圧部材6の本体部61の長手方向の途中に、軸とその軸を支持する軸受けとで構成されたヒンジ構造部を設けてもよい。
【0123】
また、他の構成例としては、押圧部材6に外力が付与されていないときの自然状態において、押圧部材6が、その長手方向の途中で湾曲または屈曲した形状をなすように構成し、押圧部材6を直線状に延した状態で把持部材7の内側の空間に収納する。これによれば、押圧部材6は、把持部材7による規制が解除されると、湾曲または屈曲した元の形状に復元し、患者の所定部位との干渉を回避することができる。
【0124】
また、本実施形態では、押圧部材6の幅は、一定であったが、これに限らず、例えば、押圧部材6の幅を、その先端部のみが広くなるように設定し、押圧部材6の先端部のみが、リブ722、732に係合するように構成してもよい。この場合は、押圧部材6の先端部がリブ722、732に対応する位置に位置しているときは、その押圧部材6の先端部は、リブ722、732に係合し、上側に持ち上がってしまうことが防止される。そして、押圧部材6が先端方向に移動し、押圧部材6の先端部がリブ722、732に対応する位置よりも先端側に位置すると、押圧部材6とリブ722、732との係合が外れ、押圧部材6が上方に移動することが可能となる。すなわち、押圧部材6の先端部よりも基端側の部位が把持部材7の先端から抜ける前に、押圧部材6が上方に移動することが可能となる。
【0125】
以上、本発明の留置針組立体を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0126】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
【0127】
また、本発明の留置針組立体は、血管内に挿入して使用されるものに限定されず、例えば、腹腔内、胸腔内、リンパ管内、脊柱管内等に挿入して使用されるものに適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明によれば、内針および外針の長さが比較的長い場合でも、穿刺操作の際、押圧部材を介して外針の基端と先端との間の部位を下方に押し付けることにより、内針および外針の撓みを抑制することができ、容易かつ確実に、その穿刺操作を行うことができる。
【0129】
また、内針ハブおよび外針ハブよりも内針および外針の先端部に近い押圧部材の所定部位に指を当てて穿刺操作を行うことができるので、その穿刺操作の際、内針の針先を容易にコントロールすることができる。したがって産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0130】
1 留置針組立体
2 外針
3 外針ハブ
4 内針
5 内針ハブ
6 押圧部材
7 把持部材
21 内腔
22 先端開口
31 フランジ
32 軸受け
41 針先
51 フランジ
52 通気フィルタ
61 本体部
62 指掛け突起
63 軸
64 押圧部
65 溝
71 底板
72 壁部
73 壁部
74 溝
75 蓋部
321 支持部
322 支持部
611 薄肉部
661 段差部
662 段差部
721 リブ
722 リブ
731 リブ
732 リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22