(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】基板を位置合わせする方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
H01L21/60 311T
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020195315
(22)【出願日】2020-11-25
(62)【分割の表示】P 2019506179の分割
【原出願日】2016-08-29
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァーゲンライトナー
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ツィナー
(72)【発明者】
【氏名】ユアゲン マークス ズュース
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ズィン
(72)【発明者】
【氏名】ユアゲン マリンガー
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-135836(JP,A)
【文献】国際公開第2009/022457(WO,A1)
【文献】特開2014-013916(JP,A)
【文献】特表2016-503589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板(16)の第1のコンタクト面(16i)と、第2の基板(17)の第2のコンタクト面(17i)と、を位置合わせして接触させる方法であって、
前記方法は、
-前記第1の基板(16)の第1の載置面(16o)を第1の基板ホルダ(10)に固定し、前記第2の基板(17)の第2の載置面(17o)を、前記第1の基板ホルダ(10)に対向して配置可能な第2の基板ホルダ(13)に固定するステップと、
-第1の位置合わせマーク(20)の第1のX-Y位置および/または第1の位置合わせ方向を検出するステップと、
-第2の位置合わせマーク(21)の第2のX-Y位置および/または第2の位置合わせ方向を検出するステップと、
-前記第2の基板(17)に対して前記第1の基板(16)を位置合わせするステップと、
-前記第2の基板(17)に対して位置合わせされた前記第1の基板(16)と前記第2の基板(17)とを接触させるステップと、
を有する方法において、
前記位置合わせの前に、前記第1の基板ホルダ(10)および/または前記第1の基板(16)の、第3の位置合わせマーク(22)の第3のX-Y位置および/または第3の位置合わせ方向を第3の検出ユニット(7)によって付加的に検出し、前記第3の検出ユニット(7)を用いて、前記位置合わせを開ループ制御し、
前記第1の基板(16)および前記第2の基板(17)の位置合わせのために、前記第3のX-Y位置および/または前記第3の位置合わせ方向と、a)前記第1のX-Y位置および/または前記第1の位置合わせ方向およびb)前記第2のX-Y位置および/または前記第2の位置合わせ方向の少なくとも1つと、の相関が行われ、リアルタイムの測定および閉ループ制御が前記位置合わせ中に行われる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の位置合わせマーク(20)と、前記第3の位置合わせマーク(22)と、
が前記第1の基板(16)または前記第1の基板ホルダ(10)の、Z方向にみて互いに反対側に位置する面に配置されている、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の位置合わせマーク(20)および前記第3の位置合わせマーク(22)の前記検出を、関連する処理ステップにおいて
、第1の検出ユニット(3)と前記第3の検出ユニット(7)とを同期させることによって行う、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記第1の位置合わせマーク(20)および前記第3の位置合わせマーク(22)の前記検出を、関連する処理ステップにおいて、同時に行う、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記位置合わせ中、前記第2の基板ホルダ(13)を、少なくともX-Y方向に固定する、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
第1の検出ユニット(3)およ
び第2の検出ユニット(4)は、共通のX-Y位置決め装置に取り付けられており、かつ/または前記第1の検出ユニット(3)の光軸および前記第2の検出ユニット(4)の光軸は、互いに位置合わせされているかまたは対応付けられて
いる、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記第3の検出ユニット(7)を
、第1の検出ユニット(3)およ
び第2の検出ユニット(4)から成る光学系(2)に対し、前記検出中、少なくとも位置合わせされるまで、X方向およびY方向に位置固定に配置し
、自由度を有しないようにする、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記位置合わせの前記開ループ制御を、前記第3のX-Y位置および/または前記第3の位置合わせ方向の前記検出だけで行う、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記第1の基板および前記第2の基板を、前記検出中および前記位置合わせされるまで、Z方向において前記第1のコンタクト面と前記第2のコンタクト面との間
に間隔Aを設けて、前記第1の基板ホルダと前記第2の基板ホルダとの間に配置する、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記間隔Aは、500マイクロメートル以
下である、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記間隔Aは、100マイクロメートル以下である、
請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記間隔Aは、50マイクロメートル以下である、
請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記間隔Aは、10マイクロメートル以下である、
請求項9記載の方法。
【請求項14】
第1の基板(16)の第1のコンタクト面(16i)と、第2の基板(17)の第2のコンタクト面(17i)と、を位置合わせして接触させる装置であって、
-前記第1の基板(16)の第1の載置面(16o)を固定する第1の基板ホルダ(10)と、
-前記第2の基板(17)の第2の載置面(17o)を固定する、前記第1の基板ホルダ(10)に対向して配置可能な第2の基板ホルダ(13)と、
-第1の位置合わせマーク(20)の第1のX-Y位置および/または第1の位置合わせ方向を検出する第1の検出ユニット(3)と、
-第2の位置合わせマーク(21)の第2のX-Y位置および/または第2の位置合わせ方向を検出する第2の検出ユニット(4)と、
-前記第2の基板(17)に対して前記第1の基板(16)を位置合わせする位置合わせ手段と、
-前記第2の基板(17)に対して位置合わせされた前記第1の基板(16)と前記第2の基板(17)とを接触させる接触手段(15)と、
を有する装置において、
前記装置は、前記第1の基板ホルダ(10)および/または前記第1の基板(16)の第3のX-Y位置および/また第3の位置合わせ方向を検出する第3の検出ユニット(7)を有しており、前記第3の検出ユニット(7)を用いて、前記位置合わせを開ループ制御可能であり、
前記第1の基板(16)および前記第2の基板(17)の位置合わせのために、前記第3のX-Y位置および/または前記第3の位置合わせ方向と、a)前記第1のX-Y位置および/または前記第1の位置合わせ方向およびb)前記第2のX-Y位置および/または前記第2の位置合わせ方向の少なくとも1つと、の相関が行われ、リアルタイムの測定および閉ループ制御が前記位置合わせ中に可能である、
ことを特徴とする装置。
【請求項15】
前記第1の検出ユニット(3)および前記第3の検出ユニット(7)は、同期可能であるかまたは同期されている、
請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記位置合わせ中、前記第2の基板ホルダ(13)が、少なくともX-Y方向に固定可能に構成されている、
請求項14記載の装置。
【請求項17】
前記第1の検出ユニット(3)および前記第2の検出ユニット(4)は、共通のX-Y位置決め装置に取り付けられており、かつ/または前記第1の検出ユニット(3)の光軸および前記第2の検出ユニット(4)の光軸は、互いに位置合わせされているか対応付けられて
いる、
請求項14記載の装置。
【請求項18】
前記第3の検出ユニット(7)は
、前記第1の検出ユニット(3)および前記第2の検出ユニット(4)から成る光学系(2)に対し、前記検出中、少なくとも位置合わせされるまで、X方向およびY方向に位置固定に配置され
、自由度を有しない、
請求項14記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載された第1の基板と第2の基板とを位置合わせして接触させる方法および請求項10に記載された対応する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業では、複数の基板、特にウェハを互いに位置合わせし、これにより、これらの基板が後続のプロセスステップにおいて互いに接合されるようにするため、位置合わせ装置(英語:aligner)が使用される。この接合過程は、ボンディングと称される。
【0003】
ボンディングすべき基板表面に位置合わせマークを設ける位置合わせ過程は、フェース・ツー・フェース位置合わせと称される。
【0004】
ボンディングすべき基板表面とは反対側の、外側の基板表面から位置合わせマークの位置および方向を検出および/または特定できるようにするため、測定に使用される電磁ビームに対し、基板が非透過である場合、基板を互いに接近させる前に、基板の間で画像検出手段を用いて位置合わせマークが検出される。
【0005】
このことは、特にカメラによる粒子汚染や、検出のために2つの基板間にカメラを配置するため、基板間の間隔が大きくなるというようなさまざまな欠点を有していた。このことから、互いに接近させる際に位置合わせ誤りが発生する。
【0006】
フェース・ツー・フェース位置合わせの改善は、最も近い従来技術と見なすことができる刊行物米国特許第6214692号明細書(US6214692B1)の位置合わせ装置に示されている。この位置合わせ装置では、2つの基準点を備えたシステムを形成するため、互いに対向するそれぞれ2つの光学素子を備えた2つの光学素子群が使用されており、このシステムを基準にして基板が交互に位置決めされる。これらの基準点は、互いに対向する2つの光学素子の光軸の交点である。
【0007】
この従来技術に伴う問題は、開示された開ループ制御方式によっては、ますます高まる位置合わせ精度要求にもはや到達できないことである。
【0008】
刊行物米国特許第6214692号明細書(US6214692B1)は、位置合わせマークの2つの画像の比較および位置決め補正に基づいている。フェース・ツー・フェースに配置された2つの基板上の位置合わせマークの方向は、カメラシステムを用いて個別に検出される。位置合わせマークの計算した相対的な方向および相対的な位置から、位置決め台(基板ホルダおよびステージ)が駆動制御され、これにより、誤った位置が補正される。この位置決め台は、ガイドセンサおよび駆動部近くに配置されたインクリメント方式の変位センサを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の課題は、より正確かつより効率的に基板を位置合わせして接触させることが可能な、基板を位置合わせして接触させる装置および方法を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1および請求項10の特徴的構成によって解決される。本発明の有利な発展形態は、従属請求項に示されている。本発明の枠内には、明細書、特許請求の範囲および/または図面に示した複数の特徴的構成のうちの少なくとも2つからなるすべての組み合わせも含まれる。値の範囲が指定される場合、言及した境界内にある値も、境界値として開示されており、任意の組み合わせで請求できるものとする。
【0011】
本発明の根底にある着想は、位置合わせの前に、位置合わせ対象の複数の基板のうちの1つかまたは基板ホルダかのいずれかに被着される付加的な(特に第3の)位置合わせマークを付加的に検出することである。特に、この付加的な位置合わせマークは、基板のコンタクト面に配置されない。好適には、この付加的な位置合わせマークは、コンタクト面とは反対側の、またはコンタクト面に対して平行に配置された、基板の面または基板ホルダの面に配置される。
【0012】
基板の相互の位置合わせは、特に、基板のコンタクト面に設けられている複数の位置合わせマークを用いて間接的に行われる。対向する基板の対向する面の位置合わせマークは、特に、互いに相補的である。位置合わせマークは、十字、円または正方形またはプロペラ状の形成物または格子構造、特に空間周波数領域に対する位相格子のような、任意の互いに位置合わせ可能な対象体であってよい。
【0013】
位置合わせマークは、好適には、所定の波長および/または波長範囲の電磁ビームを用いて検出される。これらに含まれるのは、現在の所、赤外線ビーム、可視光または紫外線ビームである。しかしながらEUVまたはX線ビームのような、より短い波長のビームを使用することも同様に可能である。
【0014】
本発明の(特に独自の)1つの様相は、位置合わせが、特に、付加的な位置合わせマークの検出だけを用いて行われることである。「検出だけ」とは、別の(特に第1および第2の)位置合わせマークが、位置合わせ中に検出されないかまたは検出できないことを意味する。
【0015】
本発明の有利な1つの実施形態によれば、第1の基板および第2の基板は、Z方向において第1のコンタクト面と第2のコンタクト面との間に間隔Aを設けて、第1の基板ホルダと第2の基板ホルダとの間に配置される。間隔Aは、特に、500マイクロメートル以下、特に好ましくは100マイクロメートル以下、最適なケースでは50マイクロメートル以下、理想的なケースでは10マイクロメートル以下である。
【0016】
本発明による方法は、特に、任意の電磁ビームによる、特にUV光による、さらに好ましくは赤外光による、最も好ましくは可視光による、かつ/または第1の位置合わせマークおよび第2の位置合わせマークを観察するために光路を順次に開放することによる、少なくとも2つの基板をフェース・ツー・フェースで位置合わせする方法であり、ここでは、基板位置および基板ホルダ位置を正確に再現するために少なくとも1つの付加的な光路を補足することが規定されており、この光路は、基板を位置合わせする際に、基板の間には配置されていないかまたは延在しておらず、検出は外部から可能になる。
【0017】
本発明による方法は、特に、付加的に取り付けられた検出ユニットおよび/または測定システムおよび閉ループ制御システムによって検出されかつ位置合わせの開ループ制御に使用される付加的なX-Y位置情報および/または方向情報を用いることにより、位置決め精度を向上させる。
【0018】
このために本発明による装置は、特にソフトウェアサポートされた制御ユニットを有しており、この制御ユニットを用いて、ここで説明しているステップおよび構成部分が制御される。本発明では、閉じた制御ループおよび閉ループ制御が、この制御ユニットに含まれると理解するものとする。
【0019】
X方向およびY方向およびX位置およびY位置とは、X-Y座標系、もしくはX-Y座標系の任意のZ平面に延在する方向または配置された位置と理解される。Z方向は、X-Y方向に対して直交して配置されている。
【0020】
X方向およびY方向は、特に横方向に対応する。
【0021】
位置特徴は、基板の位置合わせマークの位置値および/または方向値から、かつ基板ホルダ上の位置合わせマークから導出/計算される。
【0022】
本発明では、特に、新しい付加的な光路を有する少なくとも1つの付加的な測定システムにより、少なくとも1つの付加的な位置特徴を検出する。少なくとも1つの付加的な位置合わせマークは、好適には、基板の位置合わせマークの近傍に設けられる。
【0023】
したがって本発明による方法および本発明による装置は、特に、少なくとも1つの付加的な測定システムおよび/または閉ループ制御システムを有しており、ここでは付加的な測定値により、また別の複数の検出ユニットの複数の測定値のうちの1つとの相関により、位置合わせ精度が向上する。コンタクト面間のボンディングインタフェースにおいて測定された複数の位置合わせマークのうちの少なくとも1つと、基板を位置合わせする際にも可視である位置合わせマークとを相関させることにより、位置合わせマークを直接、観察することができ、ひいては位置合わせ中のリアルタイムな測定と閉ループ制御が可能になる。これにより、基板の位置合わせ精度が向上する。
【0024】
付加的な位置合わせマークは、特に、基板ホルダの背面に配置される。
【0025】
付加的に付け加えられる、基板ホルダ上の位置特徴と、基板上の位置特徴と、の間には、特に、好適には位置合わせされるまでかつ位置合わせ中に変更されない一意の相関が形成される。
【0026】
基板上の位置特徴と一意に相関される、基板ホルダに付加的に付け加えられる位置特徴により、基板上の位置特徴の直接の観察を、基板ホルダの位置特徴の直接の観察によって置き換えることができる。このことの利点は、実質的につねに、付加的な測定システムの視野もしくは測定領域内に、基板ホルダの観察可能な部分を配置できることである。
【0027】
位置決めおよび位置補正のためにデータを能動的にフィードバックすることにより、従来技術における開ループ制御された位置決めに比べて精度が向上する。というのは閉じた制御ループでは、位置の実際状態が制御できるからである。これにより、特に、所定数のインクリメントを有するあらかじめ設定した区間を走行するのではなく、すでに走行した区間が測定され、これにより、特に速度および/または加速度について、目標値と実際値との間の比較を行うことができる。本発明の目標は、特にボンディングインタフェースの外からリアルタイムに位置合わせを観察することができる方法を用いて2つの基板の位置合わせの精度を向上させることである。ここでは、基板は、特に互いに最小の間隔で配置されており、基板間には好適には装置対象物が存在しない。
【0028】
本発明の核心となる着想は、特に、少なくとも1つの付加的な測定システムおよび閉ループ制御システムを導入すること、および既存の測定値と、新たに検出した付加的な位置値および/または方向値とを結び付けることである。ボンディングインタフェースにおいて測定される位置合わせマークと、位置合わせ中に、特に直接検出可能であり、基板ホルダ上の、特にその背面の位置合わせマークおよび/または基板上の、特にその背面の位置合わせマークとを相関させることにより、付加的な位置合わせマークを直接観察でき、リアルタイムの測定およびリアルタイムの閉ループ制御が可能になる。このような手段により、位置合わせ精度が改善される。
【0029】
第1の位置合わせマークを検出中、第2の基板および第2の基板ホルダは、X-Y方向に第1の検出ユニットの光軸から移動されて出され、これにより、検出が可能になる。
【0030】
第2の位置合わせマークの検出中、第1の基板および第1の基板ホルダは、X-Y方向に第2の検出ユニットの光軸から移動されて出され、これにより、検出が可能になる。
【0031】
装置
少なくとも2つの基板を位置合わせする本発明の装置は、特に互いに位置合わせされた2つの光学素子または検出ユニットから成り、その光路が好適には共通の焦点において交わる少なくとも1つの光学系を有する。
【0032】
この光学系には、有利な実施形態によれば、ミラー、レンズ、プリズム、特にケーラー照明である光源のようなビーム形成素子および/または偏向素子と、カメラ(CMOSセンサまたはCCD、またはフォトトランジスタのような面または行または点検出手段)のような画像検出手段と、集束のための移動手段と、光学系を閉ループ制御するための評価手段とが含まれる。
【0033】
この装置の本発明による1つの実施形態では、ターンオーバ位置調整の原理による、基板位置決めのための光学系および回転システムが使用される。これについては、Friedrich HansenのJustierung、VEB Verlag Technik、1964、第6.2.4節、Umschlagmethodeを参照されたい。ここでは、所定の位置における少なくとも1回の測定と、180°回転させ、逆向きに方向付けられた、ターンオーバされた位置における少なくとも1回の測定とが行われる。このようにした得られる測定結果には、特に偏心誤差がない。
【0034】
本発明による装置の1つの発展形態には、互いに位置合わせされかつ互いに相対的に固定可能な光学素子を備えた、特に同一の、同じ構造の2つの光学系が含まれている。
【0035】
この装置の本発明による1つの発展形態には、位置合わせされた光学素子を備えた、2つよりも多くの同じ光学系が含まれている。
【0036】
さらに本発明による装置には、位置合わせ対象の基板を収容するための基板ホルダが含まれている。
【0037】
本発明による装置の別の1つの実施形態では、所定の個所において、2つの基板面を特に同時に観察するため、少なくとも部分的に透過であり、好ましくは95%以上透過である少なくとも1つの基板ホルダを使用する。
【0038】
本発明による装置の別の1つの実施形態では、所定の個所において、2つの基板面を特に同時に観察するため、複数の開口部および/または貫通孔および/または点検窓を有する少なくとも1つの基板ホルダを使用する。
【0039】
さらに、本発明による装置は、プレボンディングを形成するためのシステムを含んでいてよい。
【0040】
さらに本発明による装置には、好適には、光学系ならびに基板ホルダおよび/または基板を移動し、位置決めし、かつ互いに位置合わせするため、駆動システム、ガイドシステム、固定システムおよび測定システムを備えた複数の移動装置が含まれている。
【0041】
これらの移動装置は、個別移動の結果として任意の移動を形成することができ、これにより、これらの移動装置は、好ましくは、精度要求には対応しない高速の粗な位置決め装置と、精確に動作する精密な位置決め装置とを含むことができる。
【0042】
到達すべき位置の目標値は、理想値である。移動装置は、この理想値に接近する。理想値の周りの所定の範囲に到達することは、目標値に到達したことと理解することができる。
【0043】
粗な位置決め装置とは、全体的な走行路または回転可能な回転駆動部では360°が1回転である回転範囲を基準にして、到達精度および/または繰り返し精度が、目標値から0.1%以上、好ましくは0.05%以上、特に好ましくは0.01%以上偏差している場合の位置決め装置と理解される。
【0044】
したがって、例えば、600mm以上の走行路を有する粗な位置決め装置では、600mm×0.01%の到達精度が、すなわち60マイクロメートル以上が、結果的に、残余の不確かさ(Restunsicherheit)になる。
【0045】
粗な位置決めの別の実施形態では、到達精度または繰り返し精度の残余の不確定さは、100マイクロメートル以下、好ましくは50マイクロメートル以下、特に好ましくは10マイクロメートル以下である。この際には、熱的な外乱量を、好適には一緒に考慮すべきである。
【0046】
粗な位置決め装置は、実際に到達する実際位置と、この位置の目標値と、の間で、対応する精密な位置決め装置の処理範囲のずれがある場合にのみ、十分な精度で位置決めの役割を果たす。
【0047】
択一的な粗な位置決め装置は、実際に到達する実際位置と、この位置の目標値と、の間で、対応する精密な位置決め装置の処理範囲の半分のずれがある場合にのみ、十分な精度で位置決めの役割を果たす。
【0048】
精密な位置決め装置とは、到達精度および/または繰り返し精度の残余の不確定さが、目標値から、全体的な走行路または回転範囲を基準にして、500ppb以下、好適には100ppb以下、理想的なケースでは1ppbを上回らない場合の位置決め装置と理解される。
【0049】
好適には、本発明による精密な位置決め装置は、5マイクロメートル以下の、好ましく1マイクロメートル以下の、特に好ましくは100nm以下の、特に極めて好ましくは10nm以下の、最適なケースでは5nm以下の、理想的なケースでは1nm以下の絶対的な位置決め誤差を有する。
【0050】
本発明の装置およびこれに対応する方法は、最大限の精度および再現性を備えた少なくとも2つの位置決め装置を有する。基板の位置合わせの品質に対し、相互の誤差補正のコンセプトを使用することが可能である。したがって基板およびこれに対応する位置決め装置の位置合わせ不良(ねじれおよび/またはずれ)が既知のとき、補正値もしくは補正ベクトルを用いて、別の位置決め装置および別の基板の位置を位置調整および補正することにより、位置決め精度を上げることができる。この際に開ループ制御もしくは閉ループ制御により、誤り補正のために、どのように粗な位置決めおよび精密な位置決めが使用され、または粗な位置決めだけもしくは精密な位置決めだけが使用されるかは、ねじれおよび/またはずれの大きさおよび種類の問題である。
【0051】
以降のテキストでは、位置決め装置(粗な位置決め装置または精密な位置決め装置または組み合わされた位置決め装置)と、位置合わせ手段とを同義と見なして使用する。
【0052】
複数の基板の相互の位置合わせは、本発明により、6つのすべての運動の自由度において行うことができる。すなわち、座標方向x、yおよびzにしたがった3つの並進運動と、座標軸方向の周りの3つの回転運動において行うことができる。本発明では、移動をどの方向および方角にも行うこともできる。基板の位置合わせには、好適には刊行物欧州特許第2612109号明細書(EP2612109B1)の開示内容による、特に受動的または能動的なウェッジエラー補償が含まれる。
【0053】
基板運搬のためのロボットは、移動装置に含まれる。固定部は、移動装置に構成部材として組み込まれるかまたは機能的に組み込まれていてよい。
【0054】
さらに、本発明による装置は、説明したステップ、特に移動のフローを実行するため、補正を行うため、本発明による装置の動作状態を分析して記憶するため、好適には、閉ループ制御システムおよび/または評価システムを、特に計算機を含んでいる。
【0055】
プロセスは、好適には手順書として作成され、機械読み取り可能な形態で実行される。手順書は、機能的またはプロセス技術的に関連するパラメータの最適な値の集合体である。手順書を利用することにより、製造フローの再現性を保証することができる。
【0056】
さらに、本発明による装置は、有利な1つの実施形態によれば、給電システムおよび補助システムおよび/または補足システム(圧縮空気、真空、電気エネルギ、液圧、冷媒、熱媒体のような液体、温度安定化のための手段および/または装置、電磁シールド)を含んでいる。
【0057】
さらに、本発明による装置は、フレーム、外装、振動を抑止するかまたは減衰または消滅させる能動的または受動的なサブシステムを含んでいる。
【0058】
測定
さらに、本発明による装置には、特に変位測定システムおよび/または角度測定システムとして実施することが可能な、それぞれの運動軸に対する測定ユニットを好ましくは備えた少なくとも1つの測定システムを含んでいる。
【0059】
触覚式すなわち探触方式の測定方法または非触覚式の測定方法を使用することも可能である。測定標準スケール、測定のユニットは、物理的・物質的な対象体、特に基準器であってよく、または使用されるビームの波長のように測定方法に暗黙的に備わっていてよい。
【0060】
位置合わせ精度に到達するため、少なくとも1つの測定システムを選択して使用することができる。測定システムにより、測定方法が実行される。ここでは、特に、
・誘導方式、および/または
・容量方式、および/または
・抵抗方式、および/または
・比較方式、特に光学式画像認識方式、および/または
・(特に基準器としてのガラス基準スケールまたは干渉計、特にレーザ干渉計または電磁式基準スケールを用いた)インクリメントまたは絶対値方式、および/または
・伝搬時間測定(ドップラー法、タイム・オブ・フライト方式)または別の時間検出方式、および/または
・三角法、特にレーザ三角法、
・自動焦点方式、および/または
・光ファイバ方式距離測定器のような強度測定方式を使用することができる。
【0061】
変化形態を有する付加的な測定システム、基板ホルダ
さらに、本発明による装置の特に好ましい1つの実施形態は、複数の基板のうちの1つおよび/または複数の基板ホルダのうちの1つのX-Y位置および/または位置合わせ方向および/または角度位置を、所定の基準に対し、特にフレームに対して検出する、少なくとも1つの付加的な測定システムを含んでいる。フレームとして、特に、硬い天然鉱石またはミネラルキャストまたは球状黒鉛キャストまたは水硬性コンクリートから成る部分を設けることができ、このフレームは、特に、振動を減衰するようにおよび/または振動を絶縁するように、かつ/または振動を消滅するように構成される。
【0062】
本発明では、測定値を、特に互いに組み合わせ、かつ/または相互に参照し、かつ/または相関させることができ、これにより、1つの位置合わせマークを測定することにより、これに関連する別の位置合わせマークの位置を推定することができる。
【0063】
本発明による1つの実施形態では、基準に対し、特に第1の基板の第1の位置合わせマークおよび/または第2の基板の第2の位置合わせマークに対し、基板ホルダの位置が、1つの点(または個所または測定スポットまたは視野)において検出される。
【0064】
本発明による別の1つの実施形態では、基板ホルダの位置が、基準に対して丁度2つの点において検出される。
【0065】
本発明による別の1つの実施形態では、基板ホルダの位置が、基準に対して丁度3つの点において検出され、これにより基板ホルダの位置および方向が特定される。
【0066】
1つの点または2つの点または3つの点または任意個数の点における位置特定のため、本発明の第1の実施形態では、カメラシステムを用いた光学式のパターン認識および基板ホルダに被着されたパターンを使用することができる。パターンは、特に、位置合わせ中に連続して、リアルタイムシステムにおいて検出される。
【0067】
位置特定に対しては、引用した測定方法も同様に使用することができる。
【0068】
本発明では、特に、検出ユニットを基板ホルダに取り付け、位置合わせマークをフレームに取り付けることにより、逆も考えられる。
【0069】
任意の時点に、特に持続的に検出、評価および開ループ制御を行うことができるようにするため、有利な実施形態では、閉ループ制御ユニット(および/または開ループ制御ユニット)に、特に連続して測定値を供給することを目的として、検出ユニットの画像検出ユニットの視野よりも広い面積にパターンを分配する。
【0070】
装置の本発明による別の1つの実施形態では、複数の基板ホルダのうちの少なくとも1つは、基板の載置面から、位置合わせマークを検出するための貫通開口部を有する。
【0071】
本発明において有利であるのは、複数の基板のうちの少なくとも1つが、ボンディングすべき表面(コンタクト面)に少なくとも1つの位置合わせマークを有し、かつ反対側の表面(載置面)に少なくとも1つの位置合わせマークを有する場合である。
【0072】
これらの位置合わせマークは、好適には、複数の基板のうちの少なくとも1つの載置面において、特に一意に対応付けることが可能な、好適には均等に分配された複数の位置合わせマークである。載置面における位置合わせマークは、少なくともそのX-Y位置および/または位置合わせ方向について、同じ基板の位置合わせマークのX-Y位置および/または位置合わせ方向に相関させることが可能である。これにより、基板をロードして位置合わせする間、基板が接触するまで、連続して位置を特定することができる。
【0073】
本発明の1つの発展形態では、載置面の位置合わせマークは、基板の縁部ゾーン(エッジ除外ゾーン)を除いて、特に均等に分配される。
【0074】
複数の基板のうちの少なくとも1つの別の1つの実施形態では、載置面の複数の位置合わせマークは、同じ基板のコンタクト面およびこのコンタクト面に配置された位置合わせマークに対して一意に分配される。
【0075】
少なくとも1つの点におけるX-Y位置の特定に対し、本発明による別の1つの実施形態では、基板ホルダのX-Y位置を特定するため、かつ/または方向を特定するため、対応して、特にモノリシックに構成された反射器を備えた少なくとも1つの干渉計を使用することができる。干渉計の個数は、特に反射器の反射面の個数と同じである。
【0076】
特にモノリシックブロックから形成される基板ホルダは、好適には以下の複数の機能のうちの少なくとも2つを有する。すなわち、
・真空を用いた基板の固定(真空トラック、接合部)
・好ましくは特に欧州特許第2656378号明細書(EP2656378B1)、国際公開第2014/191033号(WO2014191033A1)に開示されている、機械式および/または液圧式および/または圧電式および/または焦電式および/または電熱式の操作素子を用いた基板を変形させるための形状補償
・(測定基準器、反射面および/またはプリズム、特に干渉計用の反射器、トンボおよび/またはトンボフィールド、2次元に形成された測定基準器、3次元基準器、特に段)位置の特定および/または方向の特定
・移動(ガイドトラック)
を有する。
【0077】
微調整には使用されない、本発明による移動装置は、好適にはインクリメント式の変位センサを有する、特にロボットシステムとして構成される。補助的な移動に対するこの移動装置の精度は、基板積層体の位置合わせの精度とは切り離されており、これにより、この補助的な移動は、1mm以下の、好ましくは500マイクロメートル以下の、特に好ましくは150マイクロメートル以下の低い繰り返し精度で行われる。
【0078】
(横方向の)位置合わせ(微調整)のための本発明による移動装置の開ループ制御および/または閉ループ制御は、特に、別の測定手段によって検出したX-Y位置および/または位置合わせ方向に基づいて行われる。この移動装置の精度は、好適には200nm以下、好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下、特に極めて好ましくは20nm以下、最適なケースでは10nm以下、理想的なケースでは1nm以下である。
【0079】
方法
本発明による位置合わせ方法の第1の実施形態には、以下の、特に少なくとも一部分が順次になっているステップおよび/または同時のステップが、特に以下の順序で含まれている。
【0080】
第1の処理ステップ:第1の/下側の基板を、載置面を下にして第1の/下側の基板ホルダにロードする。対向する面(コンタクト面)に、第1の位置合わせマークが設けられる(存在している)。
【0081】
第2の処理ステップ:特に粗な調整のための移動装置を使用して、光学系の第1の/上側の検出ユニットの検出位置の視野に、第1の/下側の基板を、基板ホルダと共に移動する。
【0082】
第3の処理ステップ:光学系が第2の処理ステップによってすでに処理されていない場合、この光学系を検出位置に移動する。オプションではすでに現段階で、または検出位置への移動を開始する前に、光学系の自己較正を行うことができる。
【0083】
第4の処理ステップ:基板のボンディングすべきコンタクト面に配置されている、第1の位置合わせマークの識別すべきパターンに第1の/上側の検出ユニットを集束する。
【0084】
オプションでは、光学系により、第2の/下側の検出ユニットを、第1の/上側の検出ユニットの焦平面に位置調整することができる。
【0085】
第5の処理ステップ:特にパターン認識を用いて、第1の位置合わせマークを検出する。同時に、特に第1の検出ユニットと同期させることにより、本発明による(第3の検出ユニットを備えた)付加的な測定システムにより、好適にはコンタクト面とは別の面において、第1の基板ホルダおよび/または第1の基板のX-Y位置および/または位置合わせ方向を検出する。
【0086】
第6の処理ステップ:特に機械式および/または電子式および/または磁気的に、特にすべての自由度をゼロにすることにより、光学系の位置をクランプする。
【0087】
第7の処理ステップ:光学系により、第1の/上側の検出ユニットの焦平面に第2の/下側の検出ユニットを位置調整する。
【0088】
オプションではこの位置調整は、第4の処理ステップに続いて実行されて省略される。
【0089】
第8の処理ステップ:位置合わせを開ループ制御するための測定結果を得るため、(特に開ループ制御ユニット内の)閉ループ制御計算機および評価計算機により、抽象化および/または計算を行う。すなわち、閉ループ制御計算機および評価計算機は、特に、光学系および(第3の)付加的な測定システムの測定結果の相関を形成し、特に、第1の/下側の基板ホルダおよび第1の/下側の基板のX-Y位置および/または位置合わせ方向の目標値として、この結果を記憶する。
【0090】
第9の処理ステップ:第1の/下側の基板ホルダを光学系の視野(検出のためのビーム路)から移動する。これにより、第1の検出ユニットに対する光路が遮断されなくなる。光学系は、好適には引き続いて固定されたままである。
【0091】
第10処理ステップ:第2の/上側の基板は、第2の/上側の基板ホルダにロードされる。この処理ステップは、先行する複数の処理ステップのうちの1つの前に前もって行うことが可能である。
【0092】
第11処理ステップ:第2の/上側の基板と共に第2の/上側の基板ホルダを光学系の視野に移動する。
【0093】
第12処理ステップ:光学系の第2の/下側の検出ユニットにより、第1の/下側の検出ユニットと同様に、第2の/上側の基板における位置合わせマークを探して検出する。この際に光学系は、機械的に移動しないが、集束の補正は考えられる。しかしながら好ましくは、集束運動も実行しない。
【0094】
第13処理ステップ:第2の/上側の基板および第2の/上側の基板ホルダにより、第1の/上側の検出ユニットの光路を遮り、これにより、位置合わせされた位置において、第1の/下側の基板のボンディングすべきコンタクト面は、直接、観察/検出できないようになる。
【0095】
第14処理ステップ:閉ループ制御計算機および評価計算機により、位置合わせ誤りを求める。刊行物米国特許第6214692号明細書(US6214692B1)、国際公開第2014/202106号(WO2014202106A1)の開示内容を参照されたい。位置合わせ誤りから、特に位置合わせ誤りベクトルを作成する。これに続いて、特に少なくとも1つの補正ベクトルを計算する。補正ベクトルは、位置合わせ誤りベクトルに平行でありかつこれとは逆向きのベクトルであってよく、これにより、位置合わせ誤りベクトルと補正ベクトルとの和はゼロになる。特別なケースでは、補正ベクトルの計算に別のパラメータを考慮することができ、これにより、結果はゼロとは異なるようになる。
【0096】
第15処理ステップ:第2の/上側の基板(基板ホルダを含めた)のX-Y位置および/または位置合わせ方向は、補正ベクトルにしたがって設定され、引き続いてクランプされ、これにより、計算した位置合わせ誤りは、少なくとも最小化され、好ましくは取り除かれる。
【0097】
第16処理ステップ:第2の/上側の基板のクランプ/固定を行った後、第2の/下側の検出ユニットにより、上側の第2の基板のX-Y位置を再度、検出/チェックする。これにより、クランプによって生じたずれおよび/またはねじれを識別し、第12~15処理ステップを繰り返すことによって最小化し、特に取り除くことができる。
【0098】
択一的には、検出したずれおよび/またはねじれを補正値および/または補正ベクトルを作成するために考慮することができ、これにより、後続の処理ステップにおいてこれらを取り除くことを考慮することができる。ずれに対する補正値は、好適には5マイクロメートル以下、好ましくは1マイクロメートル以下、特に好ましくは100ナノメートル以下、特に極めて好ましくは10ナノメートル以下、最適なケースでは5ナノメートル以下、理想的なケースでは1ナノメートル以下である。ねじれに対する補正値は、特に50マイクロラジアン以下、好ましくは10マイクロラジアン以下、特に好ましくは5マイクロラジアン以下、特に極めて好ましくは1マイクロラジアン以下、最適なケースでは0.1マイクロラジアン以下、理想的なケースでは0.05マイクロラジアン以下である。
【0099】
第1の5処理ステップでは、第1の2処理ステップと同様に、上側の基板の固定の前に位置の少なくとも1つの測定と、上側の基板の固定の後の位置の少なくとも1つの測定とを行うことできる。本発明にしたがい、誤りの繰り返しの補正を考えることができ、これにより、所定の精度要求(閾値)に達してはじめて、つぎの処理ステップを実行する。
【0100】
第1の6処理ステップ:目標値のすでに検出した位置および方向に第1の/下側の基板ホルダを、戻す(第8の処理ステップを参照されたい)。この際には、(基板と共に)下側の基板ホルダのX-Y位置および位置合わせ方向が、付加的な測定システムにより、特にリアルタイムに制御される。クランプされた上側の基板ホルダによって光路が遮断されるため、第1の基板の第1の位置合わせマークは、観察できない。
【0101】
第1の7処理ステップ:第1の/下側の基板ホルダの実際のX-Y位置および位置合わせ方向は、目標値との差分がゼロになるまで修正されるが、少なくとも所定の閾値を上回らないようになるまで修正される。
【0102】
オプションの第1の8処理ステップ:基板を接合する。刊行物国際公開第2014/191033号(WO2014191033A1)の開示内容を参照されたい。
【0103】
第1の9処理ステップ:基板積層体を装置からアンロードする。
【0104】
本発明による位置合わせ方法の択一的な第2の実施形態に含まれるのは、上側および下側の基板についてのロードの順序の、第1の実施形態に対する以下の変更である。
【0105】
本発明による第1の処理ステップとして、第1の/下側の基板を第1の/下側の基板ホルダにロードする。
【0106】
本発明による第2の処理ステップとして、第2の/上側の基板を第2の/上側の基板ホルダにロードする。
【0107】
引き続いて、第1の実施形態の処理ステップを同様に適用する。
【0108】
本発明による方法の第3の実施形態において、第1の方法および/または第2の方法を変更し、これにより、本発明による装置においても方法においても共に上下の方向が交換されるようにする。したがって、特に上側の基板ホルダを、少なくとも1つの付加的な測定システムによって観察する。
【0109】
本発明による方法の第4の実施形態では、説明した処理を変更し、これにより、処理結果が同じままで、基板のロードの順序を変更する。
【0110】
本発明による方法の第5の実施形態では、処理ステップを並列化することにより、高速化し、特に第1の基板におけるパターン認識ステップ中、すでに第2の基板のロードを実行する。
【0111】
本発明による方法の第6の実施形態およびこれに対応する装置では、付加的な測定システムにより、上側の基板ホルダおよび下側の基板ホルダの両方の位置および/または方向、および/または上側の基板および下側の基板の両方の位置および/または方向を検出することができる。
【0112】
本発明による方法の第7の実施形態およびこれに対応する装置では、付加的な測定システムにより、上側の基板ホルダおよび/または上側の基板の位置および/または方向を検出することができる。
【0113】
技術的に考えられ得るすべての組み合わせおよび/または順列、および装置の機能的および/または材料的な部分の多重化ならびにこれに必然的に伴う変更は、複数の処理ステップまたは方法の少なくとも1つに開示されていると見なされる。
【0114】
ここにおいてかつ/またはこれに続く図の説明において、装置の特徴が開示される場合、この特徴は、方法の特徴としても開示されかつ有効であるものとし、またその逆も成り立つものとする。
【0115】
本発明の別の利点、特徴および詳細は、好ましい実施例の以下の説明から得られ、また図面によって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【
図1】本発明による装置の1つの実施形態の概略断面図である。
【
図2a】
図1に示した実施形態の、第1の処理ステップにおける概略拡大断面図である。
【
図2b】
図1に示した実施形態の、第2の処理ステップにおける概略拡大断面図である。
【
図2c】
図1に示した実施形態の、第3の処理ステップにおける概略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0117】
図面では、本発明の実施形態にしたがい、本発明の利点および特徴が、これらをそれぞれ識別する参照符号で示されており、同じ機能もしくは同じ作用を有する機能の構成部材もしくは特徴は、同じ参照符号で示されている。
【0118】
図1には、位置合わせ装置1の第1の実施形態の主構成部材の概略的かつ縮尺通りでない機能図が描画されている。位置合わせ装置1は、
図1に書き入れられていない基板16(第1の基板および/または下側の基板と称される)、基板17(第2の基板および/または上側の基板と称される)および/または基板積層体を互いに位置合わせし、互いに少なくとも部分的に接合することができる、かつ/または一時的に接合(いわゆるプレボンディング)することができる。以下で説明する機能的な構成部材の考えられ得る移動/自由度は、矢印でシンボリックに描画されている。
【0119】
第1の基板16は、第1の基板ホルダ10にロードされ、また第1の基板ホルダ10に対する基板16の自由度を残すことなく、第1の基板ホルダ10に固定可能である。第2の基板17は、第2の基板ホルダ13にロードされ、第2の基板ホルダ13に対する基板16の自由度を残すことなく、第2の基板ホルダ13に固定可能である。
【0120】
特に下側の第1の基板ホルダ10は、第1の基板ホルダ10を保持し、かつ供給運動および位置調整運動(位置合わせ)を実行するための第1の移動装置11に配置されている。
【0121】
特に上側の第2の基板ホルダ13は、第2の基板ホルダ13を保持し、かつ供給運動および位置調整運動(位置合わせ)を実行するための第2の移動装置14に配置されている。移動装置11、14は、すべての機能部材の振動を低減/最小化するため、特に共通の頑丈な台またはフレーム9に固定されている。
【0122】
第1の位置合わせマーク20および第2の位置合わせマーク21を観察する(検出する)ため、光学系2は、以下から構成される。すなわち、
-第1の基板16の第1の位置合わせマーク20を検出する、特に画像検出手段である第1の検出ユニット3と、
-第2の基板17の第2の位置合わせマークを検出する、特に画像検出手段である第2の検出ユニット4と、から構成される。
【0123】
第1の基板16および第2の基板17が位置合わせのために配置されている場合、光学系2は、第1の基板16と第2の基板17との間に配置される、好適には共通な焦平面12に集束可能である。光学系2の、特にX、YおよびZ方向の移動は、光学系2を位置決めする位置決め装置5を用いて行われる。位置決め装置5は、特に頑丈な台またはフレームに固定されている。
【0124】
特に好ましい、図示しない1つの実施形態において、(位置決め手段5、検出ユニット3および4などを備えた)全体的な光学系2は、二重の鏡映対称の実施形態において使用される。
【0125】
少なくとも1つの第3の検出ユニット7を備えた、特に光学式の付加的な少なくとも1つの測定システム6は、第3の位置合わせマーク22を検出することによって、本発明にしたがって位置合わせ精度を向上させるために使用される。付加的な測定システムの移動は、位置決め装置8によって実行される。
【0126】
測定装置が、光学式の測定システム6である場合、位置決め装置8は、第3の検出ユニット7をZ方向に移動させることにより、第3の位置合わせマーク22に対して集束を行うことできる。X-Y方向における位置決めも同様に考えることができ、この際には位置決め中、特に、好適には台/フレームに測定システム6が固定される。択一的には、測定システム6の正確なX-Y位置が既知でなければならない。
【0127】
位置合わせ装置1の図示した本発明による実施形態では、付加的な測定システム6により、下側の基板ホルダ10の、特にX-Y位置および/または方向が(特に回転方向も)、特に高い精度で検出される。
【0128】
位置合わせ装置1の図示しない本発明による別の実施形態では、付加的な測定システムにより、上側の基板ホルダの、特に位置および/または方向が、特に高い精度で検出される。
【0129】
位置合わせ装置1の図示しない本発明による別の実施形態では、付加的な測定システムにより、上側の基板ホルダおよび下側の基板ホルダの、特に位置および/または方向が、特に高い精度で検出される。
【0130】
位置合わせ装置の図示しない本発明による別の実施形態では、少なくとも1つの測定システムにより、特に、2つの基板のうちの少なくとも1つの基板の位置および/または方向が、特に高い精度で検出される。このために、コンタクト面の位置合わせマークと、コンタクト面とは反対側の面のマークとを検出する。
【0131】
図2aには、少なくとも2つの検出ユニットの測定値を対応付ける本発明による処理ステップの概略図が示されており、特に、第1の基板16および/または第1の基板ホルダ10の異なる側の面に配置された位置合わせマーク20、22の少なくとも2つのX-Y位置をそれぞれ検出する2つの検出ユニットの測定値を対応付ける本発明による処理ステップの概略図が示されている。
【0132】
第1の基板ホルダ10の第1の固定面10aには、第1の/下側の基板16が固定されている。固定の仕方としては、特に、メカクランプおよび/または静電クランプや、真空固定とも称される、標準大気の周囲環境と、第1の基板ホルダ10における負圧と、の間の圧力差に起因して形成される押圧力が使用される。この固定は、特に、本発明による全体的な方法の間に第1の基板16が、第1の基板ホルダ10に対して相対的に寄生的な移動または不所望の移動をしないように行われ、ここでは、第1の基板ホルダ10および第1の基板16がそれぞれ、対応する熱膨張係数、好適には線形に対応して経過する熱膨張係数を有し、熱膨張係数の違いおよび/または熱膨張係数の線形の経過の違いが、好適には5%以下、好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である場合に、特に熱膨張を阻止または低減させることができる。
【0133】
上記の装置は、好ましくは、位置合わせサイクル中の温度変動が、0.5ケルビン以下、好ましくは0.1ケルビン以下、特に好ましくは0.05ケルビン以下、最適なケースでは0.01ケルビン以下に維持可能な温度安定化された周囲環境において、特にクリーンルームで動作される。
【0134】
互いに相対的に移動できないように固定された第1の基板16および第1の基板ホルダ10は、第1の基板16の移動を行うための擬似的なモノリシックボディと理解することができる。
【0135】
この基板の固定は、形状結合によって、かつ/または好ましくは力結合によって行うことが可能である。擬似的なモノリシックな接合により、基板ホルダと基板との間にずれおよび/またはねじれおよび/または変形を生じさせ得る複数の影響が、少なくとも低減され、好ましくは少なくとも1桁は低減され、特に好ましくは取り除かれる。
【0136】
上記の複数の影響は、熱的なもの、および/または機械的なもの、および/または流れに起因するもの、および/または材料的なもの(粒子)が考えられる。
【0137】
形状結合または力結合により、基板は基板ホルダに固定され、これにより、特に熱膨張の差分を抑圧することができる。さらに基板ホルダにより、基板のそれ自体の変形を低減し、取り除き、かつ/または補正することができる。これについては欧州特許第2656378号明細書(EP2656378B1)を参照されたい。
【0138】
第1の位置合わせマーク20の検出中、第1の基板ホルダ10は、(上側の)第1の検出ユニット3の光路内にある。第1の位置合わせマーク20は、第1の基板16のボンディングすべきコンタクト面16iにおいて、(上側の)第1の検出ユニット3の視野に、特に光路に配置されている。第1の検出ユニット3は、ここでは十字の形の位置合わせマークとして略示されている、特にデジタルの画像を形成する。第1の位置合わせマーク20は、複数の位置合わせマークから構成することも可能である。位置合わせマークの画像からは、特に、第1の基板16のX-Y位置および/または(特にZ方向周りの回転方向における)位置合わせ方向、すなわち位置合わせ状態を特徴付ける測定値が形成/計算される。
【0139】
第1の位置合わせマーク20の検出中、第2の/下側の検出ユニット4は、好適には測定値を供給しない。というのは、特に第2の基板17は、第1の検出ユニット3の光路外に配置されている/配置されていたからである。
【0140】
第1の/下側の基板ホルダ10および/または第1の/下側の基板16は、第3の位置合わせマーク22を有しており、第3の位置合わせマーク22に基づいて、基板ホルダ10および/または第1の基板(16)のX-Y位置および/または(特にZ方向周りの回転方向における)位置合わせ方向、すなわち位置合わせ状態が、特に別の方向から検出され、好適には第1の検出とはZ方向に反対方向から直径方向に検出される。
【0141】
好適には、第3の検出ユニット7に対する第1の検出ユニット3の相対的な移動は測定可能であるか、さらに好ましくは、第1の位置決めマーク20および第3の位置決めマーク22の検出から、第1の基板16と第2の基板17との接触まで、第1の検出ユニット3と第3の検出ユニット7との間には相対的な移動は行われない。
【0142】
付加的な測定システム6の(付加的な)第3の検出ユニット7は、第1の/下側の基板ホルダ10の第3の位置合わせマーク22の測定から、第1の/下側の基板ホルダ10のX-Y位置および/または方向の測定値を供給する。この測定値は、特に、十字としてシンボリックに描画した、好適にはデジタルの画像から形成される。第3の位置合わせマーク22は、複数の位置合わせマークから構成することも可能である。
【0143】
2つの測定値(第1の基板16のX-Y位置および/または位置合わせ方向、ならびに第1の基板ホルダ10または第1の基板16の第3の位置合わせマーク22のX-Y位置および/または位置合わせ方向)は、互いに対応付けられ、かつ/または互いに相関され、これにより、第1の位置合わせマーク20のX-Y位置および/または位置合わせ方向は、つねに、このX-Y位置および/または位置合わせ方向に基づいて、特にX-Y位置および/または位置合わせ方向を検出することにより、第3の位置合わせマークに一意に対応付けることができる。
【0144】
この処理ステップにより、第1の基板16と第2の基板17とを位置合わせしかつ/または接触させる間に、第1の位置合わせマーク20および/または第2の位置合わせマーク21のX-Y位置および/または位置合わせ方向を直接に検出することなく、位置合わせが実現される。さらに、位置合わせ中に基板間の間隔を最小化することができる。この間隔は、好適には、第1の位置合わせマークおよび第2の位置合わせマークの検出中にすでに基板の間隔に対応させることが可能である。
【0145】
言い換えると、特に、基板ホルダ10と付加的な測定システム6との間に、妨げるもののない光路が得られ、この光路により、開制御ループにおいて、基板の位置合わせを実行することができるか、または基板の位置合わせが実行される。この処理ステップにより、第1の基板ホルダ10のX-Y位置および/または位置合わせ方向を、ひいては第1の基板ホルダ10に固定された第1の基板のX-Y位置および/または位置合わせ方向を正確に特定し、再現可能に復元することできる。
【0146】
特に基板ホルダ10のX-Y位置および/または位置合わせ方向の復元、および特にこれにモノリシックに接合される基板のX-Y位置および/または位置合わせ方向の復元は、特に独自の核心的な1つの態様である。これについての処理ステップは、すでに別の個所で論じた。
【0147】
特に、反転時の遊びとしても知られている(2つの基板間の相対的な位置合わせ誤りとして測定される)位置決めの繰り返し精度は、1マイクロメートル以下、好ましくは100nm以下、特に好ましくは30nm以下、特に極めて好ましくは10nm以下、最適なケースでは5nm以下、理想的なケースでは1nm以下に達する。この反転時の遊びは、移動装置11、14および/または5、8を用いた、所定の位置への繰り返しの到達であってもよい。この反転時の遊びは、検出位置だけを変化させた、移動装置の移動の結果生じ、これにより、測定量が、相対的な位置合わせ誤りになる。基板に影響を及ぼさない移動装置の位置決め精度は、関連しない反転時の遊びとみなすことができる。
【0148】
本発明にしたがい、位置決め精度をさらに向上させるために好ましいのは、第1の検出ユニット3と、第3の検出ユニット7とを時間的に同期させて動作させることであり、特に、10分の1秒以下、好ましくは1ミリ秒以下、特に好ましくは10マイクロ秒以下、特に極めて好ましくは1マイクロ秒以下、最適なケースでは1ns以下、理想的なケースでは0.0nsの、測定値の検出の時間差で動作させることである。これは特に有利である。なぜならば、機械的な振動のような障害的な影響を取り除くことができるからである。機械的な振動は、特に数千m/sの固体伝送音で材料内を伝搬する。閉ループ制御および検出手段が、固体伝送音の伝搬速度よりも高速に動作する場合、障害は低減されるかまたは取り除かれる。
【0149】
障害により、第1の基板ホルダ10における第1の基板16の方向が変化し、これにより、第1の検出ユニット3は、すでに測定値を記録しているが、検出ユニット7を備えた付加的な測定システム6が、まだ測定値を記録していない場合、この障害は、位置合わせの精度の低下の一部になり得る。というのは、検出手段3および7の測定値の記録の間の時間において、特に、振動に起因する、高速の位置変化がナノメートルまたはマイクロメートルのオーダで生じ得るからである。測定値の記録が、(秒または分のオーダで)時間的に遅延して行われる場合、温度に起因する形状変化または長さ変化のような別の障害的な影響も同様に位置合わせ精度を低下させ得る。
【0150】
(特に検出の同時のトリガ、および検出時間の調整、および/またはカメラシステムに対する同じ積分時間により)第1の検出ユニット3と、第3の検出ユニット7とが互いに同期される場合、いくつかの障害的な影響を低減することができ、最適なケースでは取り除くことができる。というのは、障害的な影響が、可能な限りに最小の影響を検出精度に及ぼす時点に検出を行うからである。
【0151】
装置の考えられ得る1つの実施形態において、特に周期的な障害的な影響が既知であるとき、特に振動の極点に同期して検出を行うことが可能である。このために好適には、精度に関わる装置の個所の振動センサ(加速度センサ、干渉計、バイブロメータ)により、あらかじめ障害的な影響を記録し、これを取り除くため、特に計算ユニット、コンピュータにおいて処理することができる。別の実施形態では、装置の特徴的な個所に複数の振動センサを固定して組み込むことができる。
【0152】
考えられ得る別の実施形態において、装置は、特に、能動的かつ/または受動的な振動減衰器、能動的かつ/または受動的な振動消滅器、および/または能動的かつ/または受動的な振動絶縁器からなる組み合わせで実施して使用することができ、またこれらをカスケード接合して実施して使用することもできる。付加的には振動を障害的な影響として、強制振動と重ね合わせ、これにより、位置合わせマークの検出をいわゆるロックイン方式を行うことが可能である。装置を特徴付けるため、また振動状態をチェックするため、モード解析および/またはFEMを使用することができる。このことならびにこのような装置の設計は、当業者には公知である。
【0153】
第1の位置合わせマーク20および第3の位置合わせマーク22の検出する前または検出する際または検出した後、第1の検出ユニット3および第3の検出ユニット7をクランプし、少なくとも、絶対的かつ/または相対的な、X方向およびY方向における自由度をゼロに低減する。相対的とは、第3の検出ユニット7に対する第1の検出ユニット3の移動のことである。
【0154】
図2bは、第2の/上側の基板17を測定値を検出するための本発明による処理ステップの概略図である。光学系2は、特に、すでにクランプされた状態にあり、第1の/下側の基板16の少なくとも1つの位置合わせマークの画像および/またはX-Y位置が、記憶されている(図示せず)。クランプされた状態において、少なくとも、第1の検出ユニットに対する、第2の検出ユニットの少なくとも絶対的かつ/または相対的な、X方向およびY方向における自由度は、ゼロに低減されている。
【0155】
クランプされた状態において、第1、第2および第3の位置合わせマークのX-Y位置および/または位置合わせ方向は、同じX-Y座標系に関連付けることができる。択一的または付加的には、第1、第2および第3の検出ユニットは、同じX-Y座標系において較正される。
【0156】
第2の/上側の基板ホルダ13に固定された第2の/上側の基板17は、第2の基板ホルダ13を移動させる第2の移動装置14によって検出位置に移動され、第2の/下側の検出ユニット4により、第2の基板17の第2の位置合わせマーク21のX-Y位置および/または位置合わせ方向が、検出/捕捉される。
【0157】
目標は、第1の/下側の基板16のX-Y位置および/または方向に対する、第2の基板17の可能な限りに完全な位置合わせである。下側の基板16は、第2の検出ユニット4によって第2の/上側の基板17の第2の位置合わせマーク21を観察するための光路における妨害になり得るため、特にX方向および/またはY方向に移動させることにより、好適にはZ方向に移動させることなく、この光路から第1の/下側の基板16を外に移動させる。
【0158】
2つの基板のX-Y位置および相対的な方向の補正は、第1の位置合わせマークおよび第2の位置合わせマークのX-Y位置および/または位置合わせ方向の比較により、第3の位置合わせマークに対して相関させて行われる。
【0159】
第2の/上側の基板の位置合わせ状態が、特に最小の位置合わせ誤りで、好ましくは位置合わせ誤りが取り除かれて達成された後、この処理ステップにおいて上側の基板ホルダをクランプし、すなわち、少なくともX方向およびY方向にその自由度を奪う。
【0160】
図2cには、特にクランプされた第2の基板17に対して第1の基板16を位置合わせするための本発明による処理ステップが略示されている。
【0161】
光学系2の光路は、第1の検出ユニット3と第2の検出ユニット4との間で、第1の基板ホルダ10および第2の基板ホルダ13により、位置合わせ中に遮られており、これにより、検出ユニット3、4は、位置合わせ中、使用することができない。
【0162】
特に好ましい実施形態において、顕微鏡を備えたカメラシステムである、第3の検出ユニット7を備えた付加的な測定システム6は、好ましくはリアルタイムに、特に連続して、X-Y位置閉ループ制御および/または方向閉ループ制御に対して生データとして使用可能な画像データを形成する。
【0163】
ボンディングすべきコンタクト面16i、17iの(理論的または平均的な)間隔(特に場合によって生じ得るプレロードまたは撓みを考慮しない)は、特に1mm以下、好ましくは500マイクロメートル以下、特に好ましくは100マイクロメートル以下、最適なケースでは50マイクロメートル以下、理想的なケースでは10マイクロメートル以下である。特にこの間隔は、移動装置11および/または移動装置14によって設定可能である。
【0164】
基板16および基板17を位置合わせするため、特に、
図2aにしたがって求めた/確定した目標値を使用する。この目標値には、特に、第1の基板ホルダ10の第3の位置合わせマーク22の画像データ、および/または第1の基板ホルダ10の移動装置11に対する、求めたX-Y位置データおよび/または位置合わせ方向データ、および/またはX-Y位置に最適に到達するための軌跡のような閉ループ制御パラメータ、および/または特に駆動部に対する機械読み取り可能な値が含まれている。
【0165】
別の実施形態では、上側および/または下側の基板の位置決めの際に取り除かれなかった残りの誤差は、別の(下側もしくは上側の)基板の位置決めに対する補正値として考慮することが可能である。
【0166】
第1の基板ホルダ10は、付加的な測定システムの目標値と、基板ホルダの実際位置および/または方向とから計算される位置合わせ誤差が最小化され、理想的なケースでは取り除かれるまで、もしくは中断の判定に到達するまで、第1の移動装置11により、位置決めが閉ループ制御されかつ特に方向が閉ループ制御された形態で移動される。言い換えると、下側の基板ホルダ10は、コントロールされ、閉ループ制御された仕方で、すでに既知である、測定したX-Y位置合わせ位置に戻されるのである。
【0167】
別の実施形態では、上側の基板および/または下側の基板の位置決めの際に取り除かれなかった残りの誤差は、別の(下側もしくは上側の)基板の位置決めに対する補正値として同様に考慮することが可能である。
【0168】
別の補正ファクタは、特に、前に説明したように装置または装置部分の振動状態から得ることができ、ここでこれらの補正ファクタは、基板の位置決めに使用されて、位置決めの残余の不確定さを低減し、位置合わせ精度を向上させる。最終的な位置を検証するため、再度、既知になったすべての障害要因および影響を考慮して、対応して補正することができる。
【0169】
最後に、本発明によるこの処理ステップにおいて、すべての駆動部をクランプすることにより、基板ホルダ10、13のX-Y方向における移動が阻止される。
【0170】
本発明による複数の方法のうちの1つにしたがって基板16、17を位置合わせした後、これらの基板をプレボンディングによって互いに接合するため、複数の基板のうちの少なくとも1つを、基板変形装置15によって、別の基板の方向に変形させることができる。
【符号の説明】
【0171】
1 位置合わせ装置
2 光学系
3 第1の/上側の検出ユニット
4 第2の/下側の検出ユニット
5 位置決め装置
6 付加的な測定システム
7 第3の/付加的な検出ユニット
8 付加的な測定システムの位置決め装置
9 フレーム
10 第1の基板ホルダ
10a 第1の固定面
11 第1の移動装置
12 光学系の共通の理論的な焦平面
13 第2の/上側の基板ホルダ
13a 第2の固定面
14 第2の移動装置
15 基板変形装置
16 下側の基板
16i 第1のコンタクト面
16o 第1の載置面
17 上側の基板
17i 第2のコンタクト面
17o 第2の載置面
20 第1の位置合わせマーク
21 第2の位置合わせマーク
22 第3の位置合わせマーク