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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020207685
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2021136437
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2020029816
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】出村 健介
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】神谷 将也
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-043128(JP,A)
【文献】特開2018-026436(JP,A)
【文献】特開2018-160615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転可能な載置台と、
前記載置台と、前記基板と、の間の空間に、冷却ガスを供給可能な冷却部と、
前記基板の、前記載置台側とは反対の面に液体を供給可能な液体供給部と、
前記基板の回転、前記冷却ガスの流量、および、前記液体の供給量を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記基板の前記面の上にある前記液体が過冷却状態となるようにし、前記過冷却状態となった前記液体を凍結することで凍結膜を生成し、前記凍結膜の温度を低下させて前記凍結膜にひび割れを生じさせる冷却工程と、前記ひび割れが生じた前記凍結膜を解凍する解凍工程と、を少なくとも含む凍結洗浄工程を複数回繰り返して行い、
前記凍結洗浄工程の繰返し回数が20回以上なら、前記液体の供給量を制御して、前記基板の前記面の上にある前記液体の液膜の厚みを300μm以上、1200μm以下にする基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記凍結洗浄工程の繰返し回数が5回以上、10回未満なら、前記液体の供給量を制御して、前記基板の前記面の上にある前記液体の液膜の厚みを1000μm以上、1200μm以下にする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記液体供給部を制御して前記基板の載置台側とは反対の面に前記液体を凝固点よりも高い温度で供給させるとともに、前記冷却部を制御して前記冷却ガスを前記基板の前記載置台側の面に供給させた後に、所定時間が経過するまでこの状態を維持し、
前記所定時間の経過後に、前記載置台を制御して前記液膜の厚みが所定の厚みとなる第2の回転数に変更し、
前記第2の回転数に変更後、前記冷却部を制御して前記冷却ガスの供給を維持しながら、前記液体供給部を制御して前記液体の供給を停止させ、
前記液体の供給の停止後に、前記液膜の厚みが所定の厚みとなるまでの間、前記第2の回転数で前記基板を回転させ、
前記液膜の厚みが所定の厚みとなった後、前記載置台を制御して前記基板の回転を停止、あるいは第2の回転数よりも遅い回転数である第1の回転数とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ひび割れを検出する検出部をさらに備えた請求項1~3のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記検出部は、
前記基板の前記面の上にある前記液体の温度を検出し、
前記制御部は、
前記検出部が検出した前記温度から前記液膜が前記凍結膜となった時刻を検出し、予め決められた時間が経過したら、前記凍結膜を解凍させる請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記検出部は、
前記基板の前記面の上にある前記液膜の温度を検出し、
前記制御部は、
前記凍結膜にひび割れが発生する温度を予め記憶し、
前記検出部が検出した前記温度が前記ひび割れが発生する温度に達したら、前記凍結膜を解凍させる請求項4記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記検出部は、
前記基板の前記面を撮像し、
前記制御部は、
ひび割れの数、あるいはひび割れの面積を閾値として予め記憶し、
前記検出部が撮像した画像から前記ひび割れを検出し、前記ひび割れの数、あるいは前記ひび割れの面積が前記閾値以上となったら、前記凍結膜を解凍させる請求項4記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インプリント用テンプレート、フォトリソグラフィ用マスク、半導体ウェーハなどの基板の表面に付着したパーティクルなどの汚染物を除去する方法として、凍結洗浄法が提案されている。
【0003】
凍結洗浄法においては、例えば、洗浄に用いる液体として純水を用いる場合、まず、回転させた基板の表面に純水と冷却ガスを供給する。次に、純水の供給を止め、供給した純水の一部を排出して基板の表面に水膜を形成する。水膜は、基板に供給された冷却ガスによって凍結される。水膜が凍結して氷膜が形成される際に、パーティクルなどの汚染物が氷膜に取り込まれることで基板の表面から分離される。次に、氷膜に純水を供給して氷膜を融解し、純水とともに汚染物を基板の表面から除去する。
【0004】
凍結洗浄法によれば、基板の表面に付着した汚染物を効果的に除去することができる。 しかしながら、近年においては、汚染物の除去率をさらに高めることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-026436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、汚染物の除去率を向上させることができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る基板処理装置は、基板を回転可能な載置台と、前記載置台と、前記基板と、の間の空間に、冷却ガスを供給可能な冷却部と、前記基板の、前記載置台側とは反対の面に液体を供給可能な液体供給部と、前記基板の回転、前記冷却ガスの流量、および、前記液体の供給量を制御する制御部と、を備えている。前記制御部は、前記基板の前記面の上にある前記液体が過冷却状態となるようにし、前記過冷却状態となった前記液体を凍結することで凍結膜を生成し、前記凍結膜の温度を低下させて前記凍結膜にひび割れを生じさせる冷却工程と、前記ひび割れが生じた前記凍結膜を解凍する解凍工程と、を少なくとも含む凍結洗浄工程を複数回繰り返して行い、前記凍結洗浄工程の繰返し回数が20回以上なら、前記液体の供給量を制御して、前記基板の前記面の上にある前記液体の液膜の厚みを300μm以上、1200μm以下にする

【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、汚染物の除去率を向上させることができる基板処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る基板処理装置を例示するための模式図である。
図2】基板処理装置の作用を例示するためのタイミングチャートである。
図3】凍結洗浄工程における基板に供給された液体の温度変化を例示するためのグラフである。
図4】(a)、(b)は、汚染物の分離メカニズムを例示するための模式図である。
図5】液膜の厚みと、凍結洗浄工程の繰り返し数との関係を例示するためのグラフである。
図6】他の実施形態に係る基板処理装置を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下に例示をする基板100は、例えば、半導体ウェーハ、インプリント用テンプレート、フォトリソグラフィ用マスク、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に用いられる板状体などとすることができる。
なお、基板100には、表面にパターンである凹凸部が形成されていることもあるが、本実施の形態に係る基板処理装置1は、凹凸部が形成される前の基板(例えば、いわゆるバルク基板)の洗浄に好適に用いることができる。ただし、基板処理装置1の用途は、バルク基板の洗浄に限定されるわけではない。
【0011】
また、以下においては、一例として、基板100が、フォトリソグラフィ用マスクである場合を説明する。基板100が、フォトリソグラフィ用マスクである場合には、基板100の平面形状は、略四角形とすることができる。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置1を例示するための模式図である。
図1に示すように、基板処理装置1には、載置部2、冷却部3、第1液体供給部4、第2液体供給部5、筐体6、送風部7、検出部8、制御部9、および排気部11が設けられている。
【0013】
載置部2は、載置台2a、回転軸2b、および駆動部2cを有する。
載置台2aは、筐体6の内部に回転可能に設けられている。載置台2aは、板状を呈している。載置台2aの一方の主面には、基板100を支持する複数の支持部2a1が設けられている。基板100を複数の支持部2a1に支持させる際には、基板100の表面100b(洗浄を行う側の面)が、載置台2a側とは反対の方を向くようにする。
【0014】
複数の支持部2a1には、基板100の裏面100aの縁(エッジ)が接触する。支持部2a1の、基板100の裏面100aの縁と接触する部分は、テーパ面または傾斜面とすることができる。支持部2a1の、基板100の裏面100aの縁と接触する部分が、テーパ面となっていれば、支持部2a1と、基板100の裏面100aの縁とを点接触させることができる。支持部2a1の、基板100の裏面100aの縁と接触する部分が、傾斜面となっていれば、支持部2a1と、基板100の裏面100aの縁とを線接触させることができる。支持部2a1と、基板100の裏面100aの縁とを点接触または線接触させれば、基板100に汚れや損傷などが発生するのを抑制することができる。
【0015】
また、載置台2aの中央部分には、載置台2aの厚み方向を貫通する孔2aaが設けられている。
【0016】
回転軸2bの一方の端部は、載置台2aの孔2aaに嵌合されている。回転軸2bの他方の端部は、筐体6の外部に設けられている。回転軸2bは、筐体6の外部において駆動部2cと接続されている。
【0017】
回転軸2bは、筒状を呈している。回転軸2bの載置台2a側の端部には、吹き出し部2b1が設けられている。吹き出し部2b1は、載置台2aの、複数の支持部2a1が設けられる面に開口している。吹き出し部2b1の開口側の端部は、孔2aaの内壁に接続されている。吹き出し部2b1の開口は、載置台2aに載置された基板100の裏面100aに対向している。
【0018】
吹き出し部2b1は、載置台2a側(開口側)になるに従い断面積が大きくなる形状を有している。そのため、吹き出し部2b1の内部の孔は、載置台2a側(開口側)になるに従い断面積が大きくなる。なお、回転軸2bの先端に吹き出し部2b1を設ける場合を例示したが、吹き出し部2b1は、後述の冷却ノズル3dの先端に設けることもできる。また、載置台2aの孔2aaを吹き出し部2b1とすることもできる。
【0019】
吹き出し部2b1を設ければ、放出された冷却ガス3a1を、基板100の裏面100aのより広い領域に供給することができる。また、冷却ガス3a1の放出速度を低下させることができる。そのため、基板100が部分的に冷却されたり、基板100の冷却速度が速くなりすぎたりするのを抑制することができる。その結果、後述する液体101の過冷却状態を生じさせることが容易となる。また、基板100の表面100bのより広い領域において、液体101の過冷却状態を生じさせることができる。そのため、汚染物の除去率を向上させることができる。
【0020】
回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部には、冷却ノズル3dが取り付けられている。回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部と、冷却ノズル3dとの間には、図示しない回転軸シールが設けられている。そのため、回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部は、気密となるように封止されている。
【0021】
駆動部2cは、筐体6の外部に設けられている。駆動部2cは、回転軸2bと接続されている。駆動部2cは、モータなどの回転機器を有することができる。駆動部2cの回転力は、回転軸2bを介して載置台2aに伝達される。そのため、駆動部2cにより載置台2a、ひいては載置台2aに載置された基板100を回転させることができる。
【0022】
また、駆動部2cは、回転の開始と回転の停止のみならず、回転数(回転速度)を変化させることができる。駆動部2cは、例えば、サーボモータなどの制御モータを備えたものとすることができる。
【0023】
冷却部3は、載置台2aと、基板100の裏面100aと、の間の空間に、冷却ガス3a1を供給する。冷却部3は、冷却液部3a、フィルタ3b、流量制御部3c、および冷却ノズル3dを有する。冷却液部3a、フィルタ3b、および流量制御部3cは、筐体6の外部に設けられている。
【0024】
冷却液部3aは、冷却液の収納、および冷却ガス3a1の生成を行う。冷却液は、冷却ガス3a1を液化したものである。冷却ガス3a1は、基板100の材料と反応し難いガスであれば特に限定はない。冷却ガス3a1は、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガスとすることができる。
【0025】
この場合、比熱の高いガスを用いれば基板100の冷却時間を短縮することができる。例えば、ヘリウムガスを用いれば基板100の冷却時間を短縮することができる。また、窒素ガスを用いれば基板100の処理費用を低減させることができる。
【0026】
冷却液部3aは、冷却液を収納するタンクと、タンクに収納された冷却液を気化させる気化部とを有する。タンクには、冷却液の温度を維持するための冷却装置が設けられている。気化部は、冷却液の温度を上昇させて、冷却液から冷却ガス3a1を生成する。気化部は、例えば、外気温度を利用したり、熱媒体による加熱を用いたりすることができる。冷却ガス3a1の温度は、液体101の凝固点以下の温度であればよく、例えば、-170℃とすることができる。
なお、冷却液部3aが、タンクに収納された冷却液を気化させることで冷却ガス3a1を生成する場合を例示したが、窒素ガス等をチラーなどで冷却し、冷却ガス3a1とすることもできる。この様にすれば、冷却液部を簡素化できる。
【0027】
フィルタ3bは、配管を介して、冷却液部3aに接続されている。フィルタ3bは、冷却液に含まれていたパーティクルなどの汚染物が、基板100側に流出するのを抑制する。
【0028】
流量制御部3cは、配管を介して、フィルタ3bに接続されている。流量制御部3cは、冷却ガス3a1の流量を制御する。流量制御部3cは、例えば、MFC(Mass Flow Controller)などとすることができる。また、流量制御部3cは、冷却ガス3a1の供給圧力を制御することで冷却ガス3a1の流量を間接的に制御するものであってもよい。この場合、流量制御部3cは、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
【0029】
冷却液部3aにおいて冷却液から生成された冷却ガス3a1の温度は、ほぼ所定の温度となっている。そのため、流量制御部3cにより、冷却ガス3a1の流量を制御することで基板100の温度、ひいては基板100の表面100bにある液体101の温度を制御することができる。この場合、流量制御部3cにより、冷却ガス3a1の流量を制御することで、後述する過冷却工程において液体101の過冷却状態を生じさせることができる。
【0030】
冷却ノズル3dは、筒状を呈している。冷却ノズル3dの一方の端部は、流量制御部3cに接続されている。冷却ノズル3dの他方の端部は、回転軸2bの内部に設けられている。冷却ノズル3dの他方の端部は、吹き出し部2b1の、載置台2a側(開口側)とは反対の端部の近傍に位置している。
【0031】
冷却ノズル3dは、流量制御部3cにより流量が制御された冷却ガス3a1を基板100に供給する。冷却ノズル3dから放出された冷却ガス3a1は、吹き出し部2b1を介して、基板100の裏面100aに直接供給される。
【0032】
第1液体供給部4は、基板100の表面100bに液体101を供給する。後述する凍結工程(固液相)において、液体101が固体に変化すると体積が変化するので圧力波が生じる。この圧力波により、基板100の表面100bに付着している汚染物が分離されると考えられる。そのため、液体101は、基板100の材料と反応し難いものであれば特に限定はない。なお、過冷却状態の液体101は、液膜の温度不均一による密度変化、パーティクルなどの汚染物の存在、振動などが凍結開始の起点となる性質も有する。つまり、凍結開始の起点の何割かは、汚染物となる性質も有する。
【0033】
なお、液体101を凍結した際に体積が増える液体とすれば、体積増加に伴う物理力を利用して、基板100の表面に付着している汚染物を分離できるとも考えられる。そのため、液体101は、基板100の材料と反応し難く、且つ、凍結した際に体積が増える液体とすることが好ましい。例えば、液体101は、水(例えば、純水や超純水など)や、水を主成分とする液体などとすることができる。
【0034】
水を主成分とする液体は、例えば、水とアルコールの混合液、水と酸性溶液の混合液、水とアルカリ溶液の混合液などとすることができる。
水とアルコールの混合液とすれば表面張力を低下させることができるので、基板100の表面100bに形成された微細な凹凸部の内部に液体101を供給するのが容易となる。
【0035】
水と酸性溶液の混合液とすれば、基板100の表面に付着したパーティクルやレジスト残渣などの汚染物を溶解することができる。例えば、水と硫酸などの混合液とすれば、レジストや金属からなる汚染物を溶解することができる。
水とアルカリ溶液の混合液とすれば、ゼータ電位を低下させることができるので、基板100の表面100bから分離させた汚染物が基板100の表面100bに再付着するのを抑制することができる。
【0036】
ただし、水以外の成分が余り多くなると、体積増加に伴う物理力を利用することが難しくなるので、汚染物の除去率が低下するおそれがある。そのため、水以外の成分の濃度は、5wt%以上、30wt%以下とすることが好ましい。
【0037】
また、液体101にはガスを溶存させることができる。ガスは、例えば、炭酸ガス、オゾンガス、水素ガスなどとすることができる。液体101に炭酸ガスを溶存させれば、液体101の導電率を高めることができるので、基板100の除電や帯電防止を行うことができる。液体101にオゾンガスを溶存させれば、有機物からなる汚染物を溶解することができる。
【0038】
第1液体供給部4は、液体収納部4a、供給部4b、流量制御部4c、および液体ノズル4dを有する。液体収納部4a、供給部4b、および流量制御部4cは、筐体6の外部に設けられている。
【0039】
液体収納部4aは、前述した液体101を収納する。液体101は、凝固点よりも高い温度で液体収納部4aに収納される。液体101は、例えば、常温(20℃)で収納される。
供給部4bは、配管を介して、液体収納部4aに接続されている。供給部4bは、液体収納部4aに収納されている液体101を液体ノズル4dに向けて供給する。供給部4bは、例えば、液体101に対する耐性を有するポンプなどとすることができる。なお、供給部4bがポンプである場合を例示したが、供給部4bはポンプに限定されるわけではない。例えば、供給部4bは、液体収納部4aの内部にガスを供給し、液体収納部4aに収納されている液体101を圧送するものとしてもよい。
【0040】
流量制御部4cは、配管を介して、供給部4bに接続されている。流量制御部4cは、供給部4bにより供給された液体101の流量を制御する。流量制御部4cは、例えば、流量制御弁とすることができる。また、流量制御部4cは、液体101の供給の開始と供給の停止をも行うことができる。
【0041】
液体ノズル4dは、筐体6の内部に設けられている。液体ノズル4dは、筒状を呈している。液体ノズル4dの一方の端部は、配管を介して、流量制御部4cに接続されている。液体ノズル4dの他方の端部は、載置台2aに載置された基板100の表面100bに対向している。そのため、液体ノズル4dから吐出した液体101は、基板100の表面100bに供給される。
【0042】
また、液体ノズル4dの他方の端部(液体101の吐出口)は、基板100の表面100bの略中央に位置している。液体ノズル4dから吐出した液体101は、基板100の表面100bの略中央から拡がり、基板100の表面100bで略一定の厚みを有する液膜が形成される。なお、以下においては、基板100の表面100bに形成された液体101の膜を液膜と称する。
【0043】
第2液体供給部5は、基板100の表面100bに液体102を供給する。第2液体供給部5は、液体収納部5a、供給部5b、流量制御部5c、および液体ノズル4dを有する。
【0044】
液体102は、後述する解凍工程において用いることができる。そのため、液体102は、基板100の材料と反応し難く、且つ、後述する乾燥工程において基板100の表面100bに残留し難いものであれば特に限定はない。液体102は、例えば、水(例えば、純水や超純水など)や、水とアルコールの混合液などとすることができる。
【0045】
液体収納部5aは、前述した液体収納部4aと同様とすることができる。供給部5bは、前述した供給部4bと同様とすることができる。流量制御部5cは、前述した流量制御部4cと同様とすることができる。
【0046】
なお、液体102と液体101が同じである場合には、第2液体供給部5を省くことができる。また、液体ノズル4dを兼用する場合を例示したが、液体101を吐出する液体ノズルと、液体102を吐出する液体ノズルを別々に設けることもできる。
【0047】
また、液体102の温度は、液体101の凝固点よりも高い温度とすることができる。また、液体102の温度は、凍結した液体101を解凍できる温度とすることもできる。液体102の温度は、例えば、常温(20℃)程度とすることができる。
【0048】
なお、第2液体供給部5が省かれる場合には、解凍工程において、第1液体供給部4を用いる。つまり、液体101を用いる。液体101の温度は、凍結した液体101を解凍できる温度とすることもできる。液体101の温度は、例えば、常温(20℃)程度とすることができる。
【0049】
筐体6は、箱状を呈している。筐体6の内部にはカバー6aが設けられている。カバー6aは、基板100に供給され、基板100が回転することで基板100の外部に排出された液体101、102を受け止める。カバー6aは、筒状を呈している。カバー6aの、載置台2a側とは反対側の端部の近傍(カバー6aの上端近傍)は、カバー6aの中心に向けて屈曲している。そのため、基板100の上方に飛び散る液体101、102の捕捉を容易とすることができる。
【0050】
また、筐体6の内部には仕切り板6bが設けられている。仕切り板6bは、カバー6aの外面と、筐体6の内面との間に設けられている。
【0051】
筐体6の底面側の側面には複数の排出口6cが設けられている。図1に例示をした筐体6の場合には、排出口6cが2つ設けられている。使用済みの冷却ガス3a1、空気7a、液体101、および液体102は、排出口6cから筐体6の外部に排出される。排出口6cには排気管6c1が接続され、排気管6c1には使用済みの冷却ガス3a1、空気7aを排気する排気部(ポンプ)11が接続されている。また、排出口6cには液体101、102を排出する排出管6c2が接続されている。
【0052】
排出口6cは基板100よりも下方に設けられている。そのため、冷却ガス3a1が排出口6cから排気されることでダウンフローの流れが作りだされる。その結果、パーティクルの舞い上がりを防ぐことができる。
【0053】
平面視において、複数の排出口6cは、筐体6の中心に対して対称となるように設けられている。この様にすれば、筐体6の中心に対して、冷却ガス3a1の排気方向が対称となる。冷却ガス3a1の排気方向が対称となれば、冷却ガス3a1の排気が円滑となる。
【0054】
送風部7は、筐体6の天井面に設けられている。なお、送風部7は、天井側であれば、筐体6の側面に設けることもできる。送風部7は、ファンなどの送風機とフィルタを備えることができる。フィルタは、例えば、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)などとすることができる。
【0055】
送風部7は、仕切り板6bと筐体6の天井との間の空間に空気7a(外気)を供給する。そのため、仕切り板6bと筐体6の天井との間の空間の圧力が外部の圧力より高くなる。その結果、送風部7により供給された空気7aを排出口6cに導くことが容易となる。また、パーティクルなどの汚染物が、排出口6cから筐体6の内部に侵入するのを抑制することができる。
【0056】
また、送風部7は、基板100の表面100bに室温の空気7aを供給する。そのため、送風部7は、空気7aの供給量を制御することによって基板100の上の液体101、102の温度を変化させることができる。そのため、送風部7は、後述する過冷却工程において液体101の過冷却状態を制御したり、解凍工程において液体101の解凍を促進させたり、乾燥工程において液体102の乾燥を促進させたりすることもできる。
【0057】
検出部8は、仕切り板6bと筐体6の天井との間の空間に設けられている。検出部8は、液膜や、液体101が凍結した凍結膜の温度を検出する。この場合、検出部8は、例えば、放射温度計、サーモビューア、熱電対、測温抵抗体とすることができる。また、検出部8は、液膜の厚みや、凍結膜の表面位置を検出するものとしてもよい。この場合、検出部8は、例えば、レーザ変位計、超音波変位計などとすることができる。また、検出部8は、液膜の表面状態や、凍結膜の表面状態を検出する画像センサなどとしてもよい。
【0058】
検出された液膜の温度、厚み、表面状態は、後述する過冷却工程において液体101の過冷却状態を制御するのに用いることができる。なお、過冷却状態を制御するとは、過冷却状態にある液体101の温度変化のカーブを制御して、液体101が急激に冷却されることで凍結しないようにすること、すなわち、過冷却状態が維持されるようにすることである。
【0059】
また、検出された凍結膜の温度、厚み、表面状態は、後述する凍結工程(固相)において、「ひび割れの発生」を検出するのに用いることができる。例えば、検出部8が温度を検出するものである場合には、後述する凍結工程(固相)において、凍結膜の温度から「ひび割れの発生」を間接的に検出することができる。検出部8が厚みを検出するものである場合には、後述する凍結工程(固相)において、凍結膜の表面位置の変化から「ひび割れの発生」を検出することができる。検出部8が表面状態を検出するものである場合には、後述する凍結工程(固相)において、凍結膜の表面状態から「ひび割れの発生」を検出することができる。
【0060】
制御部9は、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。制御部9は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算素子と、半導体メモリなどの記憶素子を有することができる。制御部9は、例えば、コンピュータとすることができる。記憶素子には、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する制御プログラムを格納することができる。演算素子は、記憶素子に格納されている制御プログラム、操作者により入力されたデータ、検出部8からのデータなどを用いて、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。
【0061】
例えば、液体101の冷却速度は、液膜の厚みと相関関係がある。例えば、液膜の厚みが薄くなる程、液体101の冷却速度が速くなる。逆に、液膜の厚みが厚くなる程、液体101の冷却速度が遅くなる。そのため、制御部9は、検出部8により検出された液体101の厚み(液膜の厚み)に基づいて、冷却ガス3a1の流量、ひいては液体101の冷却速度を制御することができる。なお、液体101の温度や冷却速度の制御は、後述する過冷却工程において液体101の過冷却状態を制御する際に行われる。そのため、例えば、制御部9は、基板100の回転、冷却ガス3a1の流量、および、液体101の供給量を制御することができる。
【0062】
例えば、制御部9は、基板100の表面100bの上にある液体101が過冷却状態となるようにし、過冷却状態となった液体101を凍結することで凍結膜を生成し、凍結膜の温度を低下させて凍結膜にひび割れを生じさせる。
【0063】
次に、基板処理装置1の作用について例示をする。
図2は、基板処理装置1の作用を例示するためのタイミングチャートである。
図3は、凍結洗浄工程における基板100に供給された液体101の温度変化を例示するためのグラフである。
【0064】
なお、図2および図3は、基板100が6025クオーツ(Qz)基板(152mm×152mm×6.35mm)、液体101が純水の場合である。
【0065】
まず、筐体6の図示しない搬入搬出口を介して、基板100が筐体6の内部に搬入される。搬入された基板100は、載置台2aの複数の支持部2a1の上に載置、支持される。
【0066】
基板100が載置台2aに支持された後に、図2に示すように予備工程、液膜の形成工程、冷却工程、解凍工程、乾燥工程を含む凍結洗浄工程が行われる。
【0067】
まず、図2および図3に示すように予備工程が実行される。予備工程においては、制御部9が、供給部4bおよび流量制御部4cを制御して、基板100の表面100bに、所定の流量の液体101を供給する。また、制御部9が、流量制御部3cを制御して、基板100の裏面100aに、所定の流量の冷却ガス3a1を供給する。また、制御部9が、駆動部2cを制御して、基板100を第3の回転数で回転させる。
【0068】
ここで、冷却部3による冷却ガス3a1の供給により筐体6内の雰囲気が冷やされると、雰囲気中のダストを含んだ霜が基板100に付着し、汚染の原因となる可能性がある。予備工程においては、基板100の表面100bに液体101を供給し続けているので、基板100を均一に冷却しつつ、基板100の表面100bへの霜の付着を防止することができる。
【0069】
例えば、図2に例示したものの場合には、基板100の回転数は、第3の回転数として、例えば、50rpm~500rpm程度とできる。また、液体101の流量は、0.1L/min~1.0L/min程度とできる。また、冷却ガス3a1の流量は、40NL/min~200NL/min程度とできる。また、予備工程の工程時間を1800秒程度とすることができる。なお、予備工程の工程時間は、基板100の面内温度が略均一となる時間であればよく、予め実験やシミュレーションを行うことで求めることができる。
【0070】
予備工程における液膜の温度は、液体101がかけ流し状態であるため、供給される液体101の温度とほぼ同じとなる。例えば、供給される液体101の温度が常温(20℃)程度である場合、液膜の温度は常温(20℃)程度となる。
【0071】
次に、図2および図3に示すように液膜の形成工程が実行される。液膜の形成工程を行う際には、液膜の厚みが、高い除去率を得られる厚み(所定の厚み)となる回転数(第2の回転数)とする。第2の回転数は、例えば、50rpm~100rpmである。つまり、制御部9は、予備工程時の回転数と同じ、あるいは予備工程時の回転数よりも少ない回転数で基板100を回転させる。そして、図2に例示するように、予備工程において供給されていた液体101の供給を停止し、所定の厚みとなるまで基板100を第2の回転数で回転させる。所定の厚みとなったかどうかは、検出部8によって液膜の厚みを測定して確認してもよい。検出部8によって液膜の厚みを測定して所定の厚みとなる時間を予め算出しておき、所定の厚みとなる時間の間、第2の回転数を維持するようにしてもよい。その後、基板100の回転数を、供給部4bから基板100上に供給された液体101の液膜が、均一な厚みに維持される程度の回転数(第1の回転数)とする。第1の回転数は、遠心力により液膜の厚みがばらつくのを抑制することができる回転数であればよく、例えば0rpm~50rpm以下とすればよい。なお、液膜の形成工程の間、冷却ガス3a1の流量は、予備工程と同じ供給量に維持されている。前述の通り、予備工程において基板100の面内温度を略均一とした状態としている。液膜の形成工程において、冷却ガス3a1の流量を予備工程と同じ供給量に維持することで、基板100の状態を面内温度が略均一となった状態に維持することができる。
また、所定の厚みを厚くしたい場合、第3の回転数から第2の回転数とすることなく第1の回転数とすることもできる。また、この場合、第1の回転数は、0rpmに近い回転数とすることが好ましい。特に、基板100の回転が停止すれば、遠心力により液膜の厚みがばらつくのをより抑制することができる。
なお、予備工程から第1の回転数としてもよい。また、第3の回転数が第1の回転数よりも遅い回転数であってもよい。
【0072】
また、予備工程から液膜の形成工程に移行する際に、予備工程時に供給された液体101を、基板100を高速で回転させることで排出してもよい。この場合、液体101を排出後、基板100の回転数を均一な厚みの液膜が維持される程度の回転数(50rpm)以下、あるいは基板100の回転を停止させた後に、所定の量の液体101を基板100に供給すればよい。この様にすれば、所定の厚みを有する液膜を容易に形成することができる。
【0073】
後述するように、液膜の形成工程において形成される液膜の厚み(冷却工程を行う際の液膜の厚み)は、300μm~1300μm程度とすることができる。例えば、制御部9は、液体101の供給量および基板100の回転数を制御して、基板100の表面100bの上にある液膜の厚みを300μm~1300μm程度にする。
なお、液膜の厚みに関する詳細は後述する。
【0074】
次に、図2および図3に示すように冷却工程が実行される。なお、本実施の形態では、冷却工程のうち、過冷却状態となった液体101の凍結が始まる前までの間を「過冷却工程」、過冷却状態の液体101の凍結が開始し、凍結が完全に完了する前までの間を「凍結工程(固液相)」、凍結した液体101をさらに冷却してひび割れを生じさせるまでの間を「凍結工程(固相)」と呼称する。過冷却工程では、基板100の表面100bに液体101のみが存在する。凍結工程(固液相)では、基板100の表面100bに、液体101と液体101が凍結したものが存在する。凍結工程(固相)では、基板100の表面100bに、液体101が凍結したもののみが存在する。なお、固液相とは、液体101と液体101が凍結したものとが、全体的に存在している状態を意味する。また、液体101が凍結したもののみとなった状態を凍結膜101aと呼ぶ。
【0075】
まず、過冷却工程では、基板100の裏面100aに供給され続けている冷却ガス3a1により、基板100上の液膜の温度が、液膜の形成工程における液膜の温度よりもさらに下がり、過冷却状態となる。
【0076】
ここで、液体101の冷却速度が余り速くなると液体101が過冷却状態とならず、すぐに凍結してしまう。そのため、制御部9は、基板100の回転数、冷却ガス3a1の流量、および、液体101の供給量の少なくともいずれかを制御することで、基板100の表面100bの液体101が過冷却状態となるようにする。
【0077】
液体101が過冷却状態となる制御条件は、基板100の大きさ、液体101の粘度、冷却ガス3a1の比熱などの影響を受ける。そのため、液体101が過冷却状態となる制御条件は、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することが好ましい。
【0078】
過冷却状態においては、例えば、液膜の温度、パーティクルなどの汚染物や気泡の存在、振動などにより、液体101の凍結が開始する。例えば、パーティクルなどの汚染物が存在する場合、液体101の温度Tが、-35℃以上、-20℃以下になると液体101の凍結が開始する。また、基板100の回転を変動させるなどして液体101に振動を加えることで、液体101の凍結を開始させることもできる。
【0079】
過冷却状態の液体101の凍結が開始すると、過冷却工程から凍結工程(固液相)に移行する。凍結工程(固液相)においては、基板100の表面100bに、液体101と液体101が凍結したものが全体的に存在する。前述したように、過冷却状態の液体101は、凍結開始の起点の何割かが汚染物となる性質を持つ。この性質や、液体101が固体に変化した際の体積変化に伴う圧力波や、体積増加に伴う物理力などにより、基板100の表面100bに付着している汚染物が分離されると考えられている。そのため、液体101の一部が凍結した際に生じた圧力波や物理力などにより、基板100の表面100bに付着している汚染物を分離することができる。
【0080】
基板100の表面100bの液膜が完全に凍結すると、凍結工程(固液相)から凍結工程(固相)に移行する。凍結工程(固相)においては、基板100の表面100bの凍結膜101aの温度がさらに低下する。ここで、液体101には、主に、水が含まれている。そのため、基板100の表面100bの液膜が完全に凍結して凍結膜101aが形成され、凍結膜101aの温度がさらに低下すると、凍結膜101aの体積が縮小して凍結膜101aに応力が発生する。
【0081】
この場合、例えば、凍結膜101aの温度が-50℃以下になると、凍結膜101aにひび割れが発生する。凍結膜101aにひび割れが発生すると、基板100の表面100bに付着していた汚染物103が基板100の表面100bから分離される。汚染物103が基板100の表面100bから分離されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下の様に考えることができる。
【0082】
図4(a)、(b)は、汚染物103の分離メカニズムを例示するための模式図である。
図4(a)に示すように、凍結工程(固相)において、凍結膜101aの温度が低下すると、凍結膜101aの熱膨張係数と、基板100の熱膨張係数との差に応じた応力Fが発生する。
【0083】
そして、図4(b)に示すように、凍結膜101aの温度がさらに低下する(例えば、-50℃以下になる)と、増大した応力Fに耐えきれずに凍結膜101aにひび割れが発生する。この場合、一般的に、水を主成分とする凍結膜101aの熱膨張係数は、基板100の熱膨張係数よりも大きいので、図4(b)に示すように、凍結膜101aが外部に向けて凸状に変形してひび割れが発生する。
【0084】
凍結膜101aには汚染物103が取り込まれているので、凍結膜101aが外部に向けて凸状に変形した際(ひび割れが発生した際)に、図4(b)に示すように、汚染物103が基板100の表面100bから分離される。
【0085】
また、本発明者の得た知見によれば、過冷却工程を行う際の液膜の厚みを厚くすると、凍結工程(固相)において汚染物103の除去率が向上することが判明した。おそらく、液膜の厚みを厚くすることで、応力Fが増大し、凍結膜101aが外部に向けて凸状に変形した際の屈曲が大きくなったためと考えられる。この場合、凍結工程(固相)において汚染物103の除去率が向上すれば、凍結洗浄工程を複数回繰り返して行う際に実行回数を低減させることができる。そのため、凍結洗浄作業の時間の短縮、ひいては生産性の向上を図ることができる。
【0086】
図5は、液膜の厚みと、凍結洗浄工程の繰り返し数との関係を例示するためのグラフである。なお、図中の回数は、凍結洗浄工程の繰返し回数である。また、目標とする基板100上の汚染物の除去率を90%に設定した。なお、目標とする除去率(所定の除去率)は、基板100の洗浄における歩留まりが許容値となるように設定すればよい。また、遠心力の影響を除くため、第1の回転数を0rpmとした。このため、基板100の表面100b上に均一に液膜を形成できる厚みは、300μmであった。
【0087】
図5から分かるように、繰り返し数が20回以上の場合、過冷却工程を行う際の液膜の厚みを300μm以上とすれば、汚染物103の除去率を90%以上に向上させることができる。また、繰り返し数が10回以上の場合、液膜の厚みを600μm以上とすれば、汚染物103の除去率を90%以上に向上させることができる。また、繰り返し数が5回以上の場合、液膜の厚みを1000μm以上とすれば、汚染物103の除去率を90%以上に向上させることができる。
【0088】
ところで、液膜の厚みは、液体101の表面張力などの影響をうけるので、1300μm程度まで厚くすることができる。しかし、1300μm程度まで厚くすると、50rpm以下の回転数としても、液膜の一部が基板100からこぼれてしまうおそれがある。そのため、液膜の最大厚みは、1200μm程度とすることができる。そのため、過冷却工程を行う際の液膜の厚みは、繰り返し数が20回以上の場合、300μm以上、1200μm以下とすることが好ましく、繰り返し数が10回以上の場合、600μm以上、1200μm以下とすることがさらに好ましい。
【0089】
液膜の厚みを300μm以上、1200μm以下とすれば、凍結洗浄工程を20回繰り返し行うことで、汚染物103の除去率が90%以上に向上する。上記範囲の厚みの液膜を形成する場合、回転数を50rpm以下とすれば、遠心力によって液体101が振り切られることが無く、液膜を形成しやすい。また、液膜の厚みを600μm以上、1200μm以下とすれば、実行回数を10回以上、20回未満に減らすことが可能となる。そのため、凍結洗浄作業の時間の短縮、ひいては生産性の向上を図ることができる。実行回数を5回以上、10回未満とさらに減らすには、1000μm以上、1200μm以下とするのが好ましい。
なお、凍結洗浄工程の実行回数は、不図示の入出力画面を介して操作者により入力される。あるいは、基板を収納するケースに付属したバーコードやQRコード(登録商標)などのマークを基板処理装置1が読み込むようにしてもよい。
【0090】
なお、図5の結果は、ひび割れが発生する-50℃程度で解凍を行った場合のデータである。本発明者の得た知見によれば、凍結膜101aにひび割れが発生しても冷却を継続した場合、凍結洗浄工程を1回実施した際の除去率が90%を超えることが判明した。つまり、凍結工程(固相)の処理時間を長く設定すれば、1回の凍結工程でも高い除去率が得られる。さらに、凍結工程(固相)の処理時間を長く設定した場合、液膜の厚さに依らず、高い除去率が得られることも判明した。
凍結工程(固相)の処理時間を長く設定することで、なぜ除去率が液膜の厚さに依らず向上するのか、そのメカニズムについては、明らかではない。しかし、凍結工程(固相)の処理時間を所定の時間以上実施することで、1回の凍結工程でも高い除去率が得られる。
【0091】
次に、凍結膜101aにひび割れが発生した後に、図2および図3に示すように解凍工程が実行される。ひび割れの発生は、検出部8により検出することができる。例えば、検出部8が温度を検出するものである場合には、凍結工程(固相)において、凍結膜101aの温度(例えば、-50℃以下)から「ひび割れの発生」を間接的に検出することができる。検出部8が厚みを検出するものである場合には、凍結工程(固相)において、凍結膜101aの表面位置の変化から「ひび割れの発生」を検出することができる。検出部8が画像センサである場合には、凍結工程(固相)において、画像処理により「ひび割れの発生」を検出することができる。
【0092】
なお、図2および図3に例示をしたものは、液体101と液体102が同じ液体の場合である。そのため、図2および図3では液体101と記載している。解凍工程においては、制御部9が、供給部4bおよび流量制御部4cを制御して、基板100の表面100bに、所定の流量の液体101を供給する。なお、液体101と液体102が異なる場合には、制御部9が、供給部5bおよび流量制御部5cを制御して、基板100の表面100bに、所定の流量の液体102を供給する。
【0093】
また、制御部9が、流量制御部3cを制御して、冷却ガス3a1の供給を停止させる。また、制御部9が、駆動部2cを制御して、基板100の回転数を第4の回転数に増加させる。第4の回転数は、例えば、200rpm~700rpm程度とすることができる。
基板100の回転が速くなれば、液体101と液体101が凍結したものとを遠心力で振り切ることができる。そのため、液体101と液体101が凍結したものとを基板100の表面100bから排出することができる。この際、基板100の表面100bから分離された汚染物103も液体101と液体101が凍結したものととともに排出される。
【0094】
なお、液体101または液体102の供給量は、解凍ができるのであれば特に限定はない。また、基板100の第4の回転数は、液体101、液体101が凍結したもの、および汚染物103が排出できるのであれば特に限定はない。
【0095】
次に、図2および図3に示すように乾燥工程が実行される。乾燥工程においては、制御部9が、供給部4bおよび流量制御部4cを制御して、液体101の供給を停止させる。なお、液体101と液体102が異なる液体の場合には、制御部9が、供給部5bおよび流量制御部5cを制御して、液体102の供給を停止させる。
【0096】
また、制御部9が、駆動部2cを制御して、基板100の回転数を第4の回転数より速い第5の回転数に増加させる。基板100の回転が速くなれば、基板100の乾燥を迅速に行うことができる。なお、基板100の第5の回転数は、乾燥ができるのであれば特に限定はない。
凍結洗浄が終了した基板100は、筐体6の図示しない搬入搬出口を介して、筐体6の外部に搬出される。
以上の様にすることで、1回の凍結洗浄工程を行うことができる。
【0097】
なお、前述のように、凍結洗浄工程は複数回行われる。そのため、次の凍結洗浄工程が実施されるのであれば、解凍工程においても冷却ガス3a1の供給を維持する。こうすることで、予備工程と同じ状態を発生させることができる。このため、次の凍結洗浄工程における予備工程および乾燥工程を省くことができる。
【0098】
このため、複数回繰り返して凍結洗浄工程を行う場合、凍結洗浄工程は、基板100の表面101bの上にある液体101を過冷却状態にする過冷却工程と、液体101と液体101が凍結したものとが存在する凍結工程(固液相)と、液体101を完全に凍結して凍結膜101aを形成し、凍結膜101aの温度を低下させて凍結膜101aにひび割れを発生させる凍結工程(固相)と、解凍工程と、を少なくとも含んでいればよい。
【0099】
本実施の形態に係る基板処理装置1においては、凍結工程(固液相)において、汚染物を起点として凍結が開始する過冷却状態の液体の性質に加え、液体101が固体に変化した際の体積変化に伴う圧力波や、体積増加に伴う物理力などにより、基板100の表面に付着している汚染物103を分離する。
さらに、凍結工程(固相)において、凍結膜101aにひび割れを発生させることで、汚染物103が取り込まれている凍結膜101aが外部に向けて凸状に変形することで、基板100の表面に付着している汚染物103を分離する。
すなわち、基板処理装置1によれば、凍結工程(固液相)および凍結工程(固相)において、それぞれ異なるメカニズムにより汚染物103を分離する。そのため、汚染物103の除去率を向上させることができる。
【0100】
また、本実施の形態に係る基板処理装置1においては、冷却工程において、遠心力により液膜の厚みがばらつくのを抑制することができる第1の回転数としている。冷却工程において、所定の厚みとなる第2の回転数を維持した場合、第2の回転数による遠心力が基板100の表面100b上の液体101に加わる。遠心力は、回転中心から離れるほど大きくなる。このため、基板100の外縁に液体101が集まる。このとき、液体101の粘性や表面張力といった力が基板100の外縁の液体101に働くので、基板100の外縁の液膜の厚みが厚くなる。つまり、相対的に基板100の中央部分の液膜の厚みが薄くなる。
【0101】
前述の通り、過冷却工程を行う際の液膜の厚みを厚くすると、凍結工程(固相)において汚染物103の除去率が向上する。つまり、冷却工程において、所定の厚みとなる第2の回転数を維持した場合、基板100の中央部分の除去率が低下するおそれがある。
【0102】
また、本実施の形態では、冷却ガス3a1は、載置台2aの中央部分にある吹き出し部2b1から供給される。このため、基板100の中央部分の温度と比べると、基板100の外縁の温度は高くなる。前述の通り、冷却工程において、第2の回転数を維持した場合、基板100の外縁の液膜の厚みが厚くなる。このため、基板100の中央部分の液膜よりも厚い基板100の外縁の液膜を基板100の中央部分よりも冷却効率が劣る状態で冷却しなくてはいけない。このため、基板100の外縁の液膜は、基板100の中央部分と比べると冷却速度が低下する。つまり、基板100の外縁部でひび割れが発生するのが遅れる。
【0103】
凍結工程(固相)は、基板100の全ての面内において、ひび割れが発生したことが確認できたら処理を終了する。したがって、遠心力により液膜の厚みがばらついた状態で凍結工程(固相)を行うと、凍結工程(固相)の処理時間が長くなってしまう。
【0104】
つまり、遠心力により液膜の厚みがばらついた状態で凍結工程(固相)を行うと、処理時間が長くなり、かつ、期待通りの除去率が得られないおそれがある。したがって、冷却工程において、遠心力により液膜の厚みがばらつくのを抑制することができる第1の回転数とすることが好ましい。
【0105】
また、基板100の回転を停止させる(0rpmとする)と、基板100の中央部分の液膜の厚みが基板100の外縁の液膜の厚みに比べて厚くなる。液膜の厚みの勾配は、前述の基板100の温度勾配と反対である。つまり、基板100の中央部分と外縁部分で冷却速度が一定となる。基板100の中央部分と外縁部分で冷却速度が一定となると、基板100の中央部分と外縁部分で同時にひび割れが発生するようになるので、凍結工程(固相)の処理時間が長くなることを抑制することができる。したがって、基板100の回転を停止させる(0rpmとする)ことが好ましい。
【0106】
また、凍結洗浄工程の繰り返し数を20回以上とする場合、凍結洗浄工程を行う際の液膜の厚みを、300μm以上、1200μm以下とすれば、生産性を向上させつつ汚染物103の除去率を90%以上に効果的に向上させることができる。また、凍結洗浄工程の繰り返し数を5回以上とする場合、液膜の厚みを、1000μm以上、1200μm以下とすれば、さらに生産性を向上させつつ汚染物103の除去率を90%以上に効果的に向上させることができる。
【0107】
図6は、他の実施形態に係る基板処理装置1aを例示するための模式図である。
図6に示すように、基板処理装置1aには、載置部2、冷却部3、第1液体供給部4、第2液体供給部5、筐体6、送風部7、検出部8、温度検出部8a、ガス供給部10、排気部11、および制御部9が設けられている。
【0108】
温度検出部8aは、基板100と載置台2aとの間の空間の温度を検出する。この温度は、基板100と載置台2aとの間を流れる混合ガス(冷却ガス3a1とガス10dが混合されたガス)の温度とほぼ等しい。温度検出部8aは、例えば、放射線温度計、サーモビューア、熱電対、測温抵抗体などとすることができる。
【0109】
ガス供給部10は、ガス収納部10a、流量制御部10b、および接続部10cを有する。
ガス収納部10aは、ガス10dの収納と供給を行う。ガス収納部10aは、ガス10dが収納された高圧ボンベや工場配管などとすることができる。
流量制御部10bは、ガス10dの流量を制御する。流量制御部10bは、例えば、ガス10dの流量を直接的に制御するMFCとすることもできるし、圧力を制御することでガス10dの流量を間接的に制御するAPCとすることもできる。
【0110】
接続部10cは、回転軸2bに接続されている。接続部10cは、回転軸2bと冷却ノズル3dとの間の空間と、流量制御部10bとを接続する。接続部10cは、例えば、ロータリージョイントとすることができる。
【0111】
ガス10dは、基板100の材料と反応し難いガスであれば特に限定はない。ガス10dは、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガスとすることができる。この場合、ガス10dは、冷却ガス3a1と同じガスとすることができる。ただし、ガス10dの温度は、冷却ガス3a1の温度よりも高くなっている。ガス10dの温度は、例えば、室温とすることができる。
【0112】
液体101の冷却速度が余り速くなると液体101が過冷却状態とならず、すぐに凍結してしまう。すなわち、過冷却工程を行うことができなくなる。この場合、液体101の冷却速度は、基板100の回転数、および冷却ガス3a1の流量の少なくともいずれかにより制御することができる。ところが、冷却ガス3a1の温度は、冷却ガス3a1を供給する冷却部における温度設定によりほぼ一定となる。そのため、冷却ガス3a1の流量では、液体101の冷却速度を遅くすることが難しくなる場合がある。
【0113】
また、基板100の回転数を少なくすれば、液膜の厚みが厚くなるので冷却速度を遅くすることができる。しかしながら、液膜の厚みには、表面張力によって保たれる限界の厚みがあるので、基板100の回転数では液体101の冷却速度を遅くすることが難しくなる場合がある。
【0114】
そこで、本実施の形態においては、冷却ガス3a1よりも温度の高いガス10dと、冷却ガス3a1とを混合させることで、液体101の冷却速度を遅くすることができる様にしている。液体101の冷却速度は、ガス10dと冷却ガス3a1の流量、ガス10dと冷却ガス3a1の混合割合、ガス10dの温度などにより制御することができる。
【0115】
冷却ガス3a1に冷却ガス3a1よりも温度の高いガス10dを混合させることで、基板100と載置台2aとの間の空間に供給するガスの温度をより緻密に調整することができる。したがって、基板100の冷却温度をより高精度に調整できる。また、液体101の過冷却状態の制御をより容易に行うことができる。
【0116】
過冷却状態の液体101は、汚染物を起点として凍結を開始する性質を持ち、相変化による体積膨張率が過冷却を経ずに凍結した液体101と比べると大きい値となる。前述の性質は、液体が固体となる割合と相関があり、凍結開始温度が低いほど、汚染物を起点として凍結を開始する割合が高くなる。また、相変化による体積膨張率は、凍結開始温度が-20℃から-35℃の範囲で、最も高い値となる。これらのことから、凍結開始温度は、できるだけ低い温度、例えば、-20℃以下とすることが好ましい。
【0117】
前述のように、冷却ガス3a1に冷却ガス3a1よりも温度の高いガス10dを混合させることで、過冷却状態の液体101を-20℃以下まで冷却できる確率を高めることができる。結果として、凍結工程(固液相)において高い除去率を得ることができる。また、各凍結洗浄工程における凍結工程(固液相)までの除去率が安定する。その結果、各基板100の除去率も安定し、歩留りが向上する。そのため、汚染物の除去率が向上する。
【0118】
また、ガス供給部10が設けられていれば、前述した凍結開始時の温度Tが、-40℃以上、-20℃以下となるように冷却工程の凍結工程(固液相)における冷却速度を調整することができるようになる。
【0119】
また、検出部8により、液膜の温度を検出して冷却ガス3a1の流量を制御したとしても、基板100の表面100b側の温度(液膜の温度)と、基板100の裏面100a側の温度と、には差が生じている場合がある。そのため、検出部8で検出された液膜の温度のみに基づいて冷却ガス3a1の流量を制御すると、液膜の温度が適正温度になったとしても、液膜の温度と、基板100の裏面100aの温度との間に差が生じて基板100の厚み方向の温度勾配が大きくなる場合がある。基板100の厚み方向の温度勾配が大きくなると、温度不均一による密度変化が凍結の起点となることもあり、このため凍結のタイミングが基板100毎にばらつくおそれがある。
【0120】
また、温度勾配が大きくなると、密度のばらつきが生じやすくなり、この密度のばらつきによる密度の変化が凍結の起点となると考えられる。したがって、基板100の面内においても凍結のタイミングがばらつくおそれがある。
【0121】
本実施の形態によれば、制御部9は、温度検出部8aにより検出された温度に基づいて、ガス10dと冷却ガス3a1の流量、ガス10dと冷却ガス3a1の混合割合の少なくともいずれかを制御することができる。
【0122】
そのため、制御部9は、予備工程においてこのような制御を行い、検出部8で検出された温度と、温度検出部8aで検出された温度との差が所定の範囲内となった後に、予備工程から過冷却工程(液体101の供給停止)に切り替えることができる。この様にすれば、基板100の厚み方向の温度勾配が小さくなった状態で凍結を開始させることができるので、凍結のタイミングがばらつくのを抑制することができる。
【0123】
なお、流量制御部3cにより冷却ガス3a1の流量を制御することなく(冷却ガス3a1の流量を一定にして)、ガス供給部10から供給されるガス10dの流量を制御して、液体101の過冷却状態を制御することもできる。この様な場合には、流量制御部3cを省くことができる。ただし、流量制御部3cおよびガス供給部10を設ければ、液体101の過冷却状態の制御をより容易に行うことができる。
また、送風部7により供給される空気7aの量を制御することで、液体101の過冷却状態の制御を行うこともできる。
【0124】
また、検出部8で検出された温度に基づいて、凍結工程(固相)において、ガス供給部10からのガス10dの供給を停止するようにしてもよい。例えば、液体101が完全に凍結した場合、潜熱による温度上昇が無くなるため、凍結した液体101の温度は再び低下し始める。この温度低下を温度検出部8により検出することで、液体101が完全に凍結したと判断し、ガス供給部10からのガス10dの供給を停止するようにすればよい。
このようにすることで、凍結工程(固相)の時間、つまり、ひびが入るまでの時間を短縮することができる。
【0125】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述した実施形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【0126】
例えば、基板処理装置1が備える各要素の形状、寸法、数、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0127】
また、凍結工程(固液相)および凍結工程(固相)の開始時刻から予め決められた時間、所定の条件で冷却を続けるようにしてもよい。例えば、温度を観測し、過冷却状態から温度上昇を観測した点、温度平行な状態から低下して、全凝固となったことが判断できる点などを起点とする。
このように、凍結工程(固液相)および凍結工程(固相)の開始時刻を検出部8で検出できれば、検出部8のデータを解析または演算して求めた、結果からひびの発生の有無を判断する機能を基板処理装置1に取付け無くてもよい。つまり、簡易な制御部9とすることができる。
【0128】
また、反射率によってひび割れを検出するようにしてもよい。ひび割れが発生すると、凍結膜が基板から剥離した状態となるので、反射率が変化する。この反射率の変化により、十分に氷が剥離したと判断して、解凍を始める。
このように、反射率によってひび割れを検出することで、温度変化からでは検出できないひび割れを確実に検知をすることができる。結果的に、より確実にパーティクルの除去をすることができる。
【0129】
また、-50℃以下であれば、ひびが発生するという知見から、-50℃をしきい値として、凍結膜の温度がしきい値以下となったらひびが発生したとして、解凍を始めるようにしてもよい。
このようにすることで、反射率、屈折率をおよび画像を撮像する機構を不要とでき、簡易な構成とすることができる。なお、しきい値となってから0.2~2.0秒程度経過してから解凍を始めるようにしてもよい。
【0130】
また、基板100の処理面を撮像し、撮像した画像からひび割れを観測するようにしてもよい。例えば、撮像した画像を処理し、所定のひび割れ状態(数、面積)を検知する。ひびは白い筋に見えるため、画像を白黒の2値化処理してひびを検出する。そして、ひび割れの数、あるいはひび割れの面積が閾値以上となったら、十分に氷が剥離したと判断して、解凍を始めるようにすればよい。
このようにすることで、ひびの発生を直接検知するので、より確実にパーティクルの除去をすることができる。
【符号の説明】
【0131】
1 基板処理装置、1a 基板処理装置、2 載置部、3 冷却部、3a1 冷却ガス、4 第1液体供給部、5 第2液体供給部、6 筐体、8 検出部、9 制御部、10 ガス供給部、10d ガス、100 基板、100a 裏面、100b 表面、101 液体、101a 凍結膜、102 液体、103 汚染物
図1
図2
図3
図4
図5
図6