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特許7130726回転子、ブラシレスモータ、回転子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】回転子、ブラシレスモータ、回転子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2726 20220101AFI20220829BHJP
【FI】
H02K1/2726
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020214473
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100477
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2021-08-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507216098
【氏名又は名称】シチズン千葉精密株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】尾形 一成
(72)【発明者】
【氏名】木村 奨吾
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-005427(JP,A)
【文献】特開2015-195702(JP,A)
【文献】実開昭62-119182(JP,U)
【文献】特開2011-041371(JP,A)
【文献】特開平06-205554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0304234(US,A1)
【文献】特開2017-158340(JP,A)
【文献】米国特許第05936324(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/2726
H02K 15/03
H02K 1/22
H02K 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の中心線を中心として回転可能な回転子であって、
柱状のマグネットと、
軸部と筒状部とを有する回転軸と、
を備え、
前記マグネットにおける前記中心線方向の端部の外周面には、前記マグネットの中央外周面から凹んだ凹部が形成されており、
前記マグネットの前記凹部の外周面は、前記中心線方向に平行な面であり、
前記回転軸の前記筒状部は、前記マグネットの前記凹部に嵌め込まれているとともに、前記マグネットの前記中央外周面を覆っておらず、
前記マグネットの前記凹部の外周面と、前記回転軸の前記筒状部の内周面とが接合されていて、且つ、前記マグネットにおける前記中心線方向の端面と、当該端面と対向する前記回転軸における前記中心線方向の端面とが接合されていない
回転子。
【請求項2】
前記マグネットの前記凹部の前記外周面と、前記回転軸の前記筒状部の前記内周面とが接着により接合されている
請求項1に記載の回転子。
【請求項3】
固定子と、
当該固定子の内側に回転可能に設けられた請求項1又は2に記載の回転子と、を備えたブラシレスモータ。
【請求項4】
所定の中心線を中心として回転可能な回転子の製造方法であって、
柱状のマグネットにおける前記中心線方向の端部の外周面に接着剤を塗布する工程と、
前記接着剤が塗布された前記マグネットと、軸部と筒状部とを有する回転軸とを、相対的に前記中心線方向に移動させて、前記マグネットの前記外周面と前記回転軸の前記筒状部とを嵌め合わせることにより、前記マグネットの前記端部における前記中心線方向の端面と当該端面と対向する前記回転軸における前記中心線方向の端面とを前記接着剤で接着せずに、前記マグネットの前記外周面と前記回転軸の前記筒状部の内周面とを前記接着剤で接着する工程と、
を有する回転子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転子、ブラシレスモータ、回転子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所望の回転力を得つつ、小型化を図ることができるブラシレスモータが提案されている。
例えば、特許文献1には、界磁鉄心に巻装したコイルに電流を流すと永久磁石からなるロータが回転するブラシレスモータにおいて、一端面に回転軸を突設した保持体が円柱状のロータの両端面に一体に取り付けられた構成が記載されている。そして、保持体は、円柱状のロータの両端面にそれぞれ接着される。
特許文献1に記載された構成においては、回転軸を貫装する孔が設けられた円筒状の永久磁石からなるロータを用いた場合と比較して、回転力が向上し、モータの特性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭62-119182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
円柱状のマグネットの両端面に接着剤を塗布して回転軸を接着した場合、接着剤の厚みや空気だまりにより、回転軸が傾き、回転子のバランスが悪化するおそれがある。また、円柱状のマグネットの両端面に粘着や溶接により回転軸を接合した場合にも、粘着剤の厚みや溶接の歪みにより、回転軸が傾き、回転子のバランスが悪化するおそれがある。
本発明は、モータ特性の向上を図ったとしても回転子のバランスが悪化することを抑制することができる回転子等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的のもと完成させた本発明は、所定の中心線を中心として回転可能な回転子であって、柱状のマグネットと、軸部と筒状部とを有する回転軸と、を備え、前記マグネットの外周面と、前記回転軸の前記筒状部の内周面とが接合されていて、且つ、前記マグネットにおける前記中心線方向の端面と、当該端面と対向する前記回転軸における前記中心線方向の端面とが接合されていない回転子である。
ここで、前記マグネットの前記外周面と、前記筒状部の前記内周面とが接着されていても良い。
また、前記マグネットには、前記中心線方向における端部に、中央部の中央外周面から凹んだ凹部が形成され、前記回転軸の前記筒状部は、前記マグネットの前記凹部に嵌め込まれていても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、固定子と、当該固定子の内側に回転可能に設けられた前記回転子と、を備えたブラシレスモータである。
また、他の観点から捉えると、本発明は、所定の中心線を中心として回転可能な回転子の製造方法であって、柱状のマグネットにおける前記中心線方向の端部の外周面に接着剤を塗布する工程と、前記接着剤が塗布された前記マグネットと、軸部と筒状部とを有する回転軸とを、相対的に前記中心線方向に移動させて、前記マグネットの前記外周面と前記回転軸の前記筒状部とを嵌め合わせることにより、前記マグネットの前記外周面と前記回転軸の前記筒状部の内周面とを前記接着剤で接着する工程と、を有する回転子の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、モータ特性の向上を図ったとしても回転子のバランスが悪化することを抑制することができる回転子等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係るブラシレスモータの断面の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る回転子を構成する部品の一例を示す斜視図である。
図3】回転子の製造方法の一例を示す図である。
図4】第2の実施形態に係るブラシレスモータの断面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るブラシレスモータ1の断面の一例を示す図である。
図2は、第1の実施形態に係る回転子10を構成する部品の一例を示す斜視図である。
本実施の形態に係るブラシレスモータ1は、回転子10と、固定子20と、固定子20を収容するハウジング30とを備えている。
【0009】
回転子10は、回転軸11と、回転軸11と一体的に回転するマグネット12とを有している。以下では、回転軸11の中心線方向を、単に「軸方向」と称する場合もある。また、軸方向において、図1の左側を「一方側」、図1の右側を「他方側」と称する場合もある。
回転子10については、後で詳述する。
【0010】
固定子20は、円筒状のコイル21と、コイル21を保持する円筒状のスタック22と、スタック22における他方側の端面に設けられた中継基板23と、中継基板23に接続されたリード線24とを有している。
【0011】
ハウジング30は、回転軸11の軸方向の両端部が開口した円筒状のケース31と、ケース31における一方側の開口を覆う第1プレート32と、ケース31における他方側の開口を覆う第2プレート33とを有している。また、ハウジング30は、第1プレート32に保持されて、回転軸11の一方側の端部を回転可能に支持する第1軸受34と、第2プレート33に保持されて、回転軸11の他方側の端部を回転可能に支持する第2軸受35とを備えている。
第1プレート32、第2プレート33は、それぞれ、内側に、第1軸受34、第2軸受35を保持するとともに、ケース31の内部に嵌め込まれた、略円筒状の部材である。第1軸受34及び第2軸受35は、ボールベアリングであることを例示することができる。
【0012】
また、ブラシレスモータ1は、第2軸受35よりも他方側に設けられて、回転子10の回転角度を検出する検出装置50と、検出装置50を覆う有底円筒状のカバー60とを備えている。
検出装置50は、磁気センサ51と、磁気センサ51が実装されたセンサ基板52と、磁気センサ51に相対するように設けられたセンサ用のマグネット53を有するマグネットユニット54とを有している。
【0013】
(回転子10)
回転軸11は、マグネット12における一方側の端部に装着された第1回転軸70と、マグネット12における他方側の端部に装着された第2回転軸80とを有している。
第1回転軸70は、一方側に設けられた円柱状の第1円柱状部71と、第1円柱状部71よりも他方側に設けられた円筒状の第1円筒状部72とを有している。また、第1回転軸70は、第1円柱状部71と第1円筒状部72とを接続する第1接続部73を有している。
第2回転軸80は、他方側に設けられた円柱状の第2円柱状部81と、第2円柱状部81よりも一方側に設けられた円筒状の第2円筒状部82とを有している。また、第2回転軸80は、第2円柱状部81と第2円筒状部82とを接続する第2接続部83を有している。
【0014】
マグネット12には、軸方向における一方側の端部である第1端部91に、中央部93の中央外周面931から凹んだ第1凹部911が形成されている。また、マグネット12には、軸方向における他方側の端部である第2端部92に、中央部93の中央外周面931から凹んだ第2凹部921が形成されている。また、マグネット12には、中央部93における軸方向の両端部それぞれに面取り932が形成されている。
マグネット12は、円柱状の素材に対して、旋盤を用いて、第1凹部911及び第2凹部921が切削加工され、第1端部91の第1端面912及び第2端部92の第2端面922が切削加工され、面取り932が切削加工されることにより成形される。
【0015】
第1凹部911の第1外周面913は軸方向に平行な面であり、第1外周面913の径は、中央部93の中央外周面931の径よりも小さい。また、第2凹部921の第2外周面923は軸方向に平行な面であり、第2外周面923の径は、中央部93の中央外周面931の径よりも小さい。第1凹部911の第1外周面913の径と第2凹部921の第2外周面923の径は、同一であることを例示することができる。
【0016】
第1回転軸70の第1円柱状部71の外周面の径は、マグネット12の第1凹部911の第1外周面913の径よりも小さく、第1回転軸70の第1円筒状部72の第1内周面721の径は、マグネット12の第1凹部911の第1外周面913の径よりも僅かに大きい。そして、第1回転軸70は、第1円筒状部72が、マグネット12の第1凹部911の第1外周面913の一部を覆うとともに、第1接続部73の第1端面731が、マグネット12の第1端面912に接触するように、マグネット12に組み付けられている。言い換えれば、第1回転軸70の第1円筒状部72とマグネット12の第1凹部911とが嵌め合わせられている。
【0017】
第1回転軸70とマグネット12とが組み付けられる際、マグネット12の第1凹部911の第1外周面913上に接着剤が塗布された状態で、軸方向に、第1回転軸70とマグネット12とが相対的に移動させられる。例えば、第1回転軸70が、マグネット12に対して、軸方向の一方側から他方側に移動させられる。そして、接着剤は、第1回転軸70の第1円筒状部72の第1内周面721とマグネット12の第1凹部911の第1外周面913との間の隙間に介在し、第1回転軸70とマグネット12とを接着する。また、接着剤の一部は、第1回転軸70とマグネット12とが相対的に移動させられるのに伴って、軸方向の一方側から他方側に移動し、第1円筒状部72の先端部と、中央部93における一方側の端部や面取り932との間の隙間に移動する。この隙間に移動した接着剤は、必要に応じて、例えば拭き取られることで除去される。
【0018】
第2回転軸80の第2円柱状部81の外周面の径は、マグネット12の第2凹部921の第2外周面923の径よりも小さく、第2回転軸80の第2円筒状部82の第2内周面821の径は、マグネット12の第2凹部921の第2外周面923の径よりも僅かに大きい。そして、第2回転軸80は、第2円筒状部82が、マグネット12の第2凹部921の第2外周面923の一部を覆うとともに、第2接続部83の第2端面831が、マグネット12における他方側の端面に接触するように、マグネット12に組み付けられている。言い換えれば、第2回転軸80の第2円筒状部82とマグネット12の第2凹部921とが嵌め合わせられている。
【0019】
第2回転軸80とマグネット12とが組み付けられる際、マグネット12の第2凹部921の第2外周面923上に接着剤が塗布された状態で、軸方向に、第2回転軸80とマグネット12とが相対的に移動させられる。例えば、第2回転軸80が、マグネット12に対して、軸方向の他方側から一方側に移動させられる。そして、接着剤は、第2回転軸80の第2円筒状部82の第2内周面821とマグネット12の第2凹部921の第2外周面923との間の隙間に介在し、第2回転軸80とマグネット12とを接着する。また、接着剤の一部は、第2回転軸80とマグネット12とが相対的に移動させられるのに伴って、軸方向の他方側から一方側に移動し、第2円筒状部82の先端部と、中央部93における他方側の端部や面取り932との間の隙間に移動する。この隙間に移動した接着剤は、必要に応じて、例えば拭き取られることで除去される。
【0020】
以上のように構成されたブラシレスモータ1は、固定子20と、固定子20の内側に回転可能に設けられた回転子10とを備える。そして、回転子10は、円柱状のマグネット12と、軸部(例えば第1円柱状部71)とマグネット12の外周面(例えば第1外周面913)の一部を覆う円筒状の円筒状部(例えば第1円筒状部72)とを有する回転軸11とを備える。そして、回転子10は、マグネット12の外周面(例えば第1外周面913)と、回転軸11の円筒状部(例えば第1円筒状部72)の内周面(例えば第1内周面721)とが接合されていて、且つ、マグネット12における軸方向の端面(例えば第1端面912)と、回転軸11における軸方向の端面であってマグネット12における軸方向の端面(例えば第1端面912)と対向する端面(例えば第1端面731)とが接合されていない。それゆえ、回転軸11の回転軸心とマグネット12の中心線とが一致し易くなる。その結果、例えば、マグネット12における軸方向の端面(例えば第1端面912)と、回転軸11における軸方向の端面であってマグネット12における軸方向の端面(例えば第1端面912)と対向する端面(例えば第1端面731)とが接着剤にて接合されている構成と比較して、回転子10の回転軸まわりのバランスが悪化することを抑制することができる。
【0021】
そして、本実施の形態に係るブラシレスモータ1においては、マグネット12の外周面(例えば第1外周面913)と、回転軸11の円筒状部(例えば第1円筒状部72)の内周面(例えば第1内周面721)とが接着されている。このように、マグネット12と回転軸11とが接着されていることで、マグネット12と回転軸11とが一体として回転し易くなる。また、マグネット12と回転軸11とを接着剤を用いて接着することで、簡易にマグネット12と回転軸11とを一体にすることができる。
なお、マグネット12と回転軸11とを接合する手法は、接着に限定されない。例えば、マグネット12と回転軸11とを粘着しても良い。また、マグネット12と回転軸11とを溶接しても良い。
また、マグネット12と回転軸11とをこのように接着、粘着、溶接等により接合することに加えて、マグネット12(例えば第1外周面913)と回転軸11(例えば第1内周面721)とを圧入により固定しても良い。
【0022】
また、マグネット12には、回転軸11の軸方向における端部(例えば第1端部91)に、中央部93の中央外周面931から凹んだ凹部(例えば第1凹部911)が形成され、回転軸11の円筒状部(例えば第1円筒状部72)は、マグネット12の凹部(例えば第1凹部911)に嵌め込まれている。これにより、例えば、軸方向の端部に凹部が形成されていないマグネットに回転軸11の円筒状部(例えば第1円筒状部72)が嵌め込まれている構成と比較して、マグネット12の外周面(例えば中央外周面931)と、固定子20のコイル21との間のエアギャップを小さくすることができる。その結果、エアギャップの磁束密度を大きくすることができるので、ブラシレスモータ1の回転性能を向上させることができる。
【0023】
なお、マグネット12の中央部93の中央外周面931の外径と、回転軸11の第1円筒状部72及び第2円筒状部82の外周面の径とは、同一であると良い。これにより、例えば、マグネット12の中央部93の中央外周面931の径よりも回転軸11の第1円筒状部72及び第2円筒状部82の外周面の径の方が大きい場合と比較して、マグネット12の中央外周面(例えば中央外周面931)と、固定子20のコイル21との間のエアギャップを小さくすることができる。他方、例えば、マグネット12の中央部93の中央外周面931の径よりも回転軸11の第1円筒状部72及び第2円筒状部82の外周面の径の方が小さい場合であって第1円筒状部72及び第2円筒状部82の肉厚が同じである場合には、第1凹部911の第1外周面913及び第2凹部921の第2外周面923と、コイル21との間のエアギャップを小さくすることができる。その結果、エアギャップの磁束密度を大きくすることができるので、ブラシレスモータ1の回転性能を向上させることができる。
【0024】
また、第1軸受34及び第2軸受35にて回転可能に支持される、回転軸11の第1回転軸70の第1円柱状部71及び第2回転軸80の第2円柱状部81は、円柱状部に限定されない。例えば、第1円柱状部71及び第2円柱状部81は、円筒状であっても良い。
また、第1回転軸70の第1円筒状部72とマグネット12の第1凹部911との嵌め合いは、すきまばめに限定されず、中間ばめやしまりばめであっても良い。同様に、第2回転軸80の第2円筒状部82とマグネット12の第2凹部921との嵌め合いは、すきまばめに限定されず、中間ばめやしまりばめであっても良い。
【0025】
図3は、回転子10の製造方法の一例を示す図である。
先ず、図3(a)に示すように、円柱状である、マグネット12の素材に対して、旋盤を用いて切削加工することにより、第1凹部911及び第2凹部921、第1端面912及び第2端面922、面取り932を成形する。
【0026】
次に、図3(b)に示すように、切削加工されることにより成形された、第1凹部911及び第2凹部921、第1端面912及び第2端面922、面取り932を含む、マグネット12の表面全体が錆びることを抑制するために、マグネット12の表面全体にニッケルメッキ等の表面処理を施す。
【0027】
次に、図3(c)に示すように、マグネット12の第1凹部911の第1外周面913上に接着剤を塗布し、第1凹部911に、第1回転軸70の第1円筒状部72を嵌め合わせる。これにより、マグネット12と第1回転軸70とが接着剤にて接着される。また、マグネット12の第2凹部921の第2外周面923上に接着剤を塗布し、第2凹部921に、第2回転軸80の第2円筒状部82を嵌め合わせる。これにより、マグネット12と第2回転軸80とが接着剤にて接着される。
なお、接着剤を塗布する位置は、第1回転軸70の第1円筒状部72の第1内周面721上であっても良いが、この位置に接着剤を塗布すると、マグネット12に第1回転軸70の第1円筒状部72を嵌め合わせた際に、マグネット12の端面912に接着剤が付着するおそれがあるため、接着剤を塗布する位置は、上述のように、マグネット12の第1凹部911の第1外周面913上であることが望ましい。
【0028】
上述したように、回転子10の製造方法は、円柱状のマグネット12における中心線方向の端部に切削加工を施して中央部93の中央外周面931から凹んだ凹部(例えば第1凹部911)を形成する工程を有する。また、回転子10の製造方法は、凹部(例えば第1凹部911)に接着剤を塗布する工程と、接着剤が塗布されたマグネット12と回転軸(例えば第1回転軸70)とを相対的に中心線方向に移動させて、凹部(例えば第1凹部911)と円筒状部(例えば第1円筒状部72)とを嵌め合わせる工程と、を有する。
【0029】
なお、第1回転軸70には、第1接続部73の第1端面731における外周部に、第1端面731から凹んだ外凹部732が形成されている。外凹部732は、マグネット12にニッケルメッキ等の表面処理が施されるのに起因して、マグネット12における第1端面912と第1外周面913との交わり部に成形された第1端面912から軸方向に突出した凸部が、第1回転軸70の第1端面731に接触することを抑制するために成形されている。同様に、第2回転軸80には、第2接続部83の第2端面831における外周部に、第2端面831から凹んだ外凹部832が形成されている。
【0030】
また、第1回転軸70には、第1接続部73の第1端面731の中央部に、第1端面731から凹んだ中央凹部733が形成されている。中央凹部733は、旋盤を用いてマグネット12の第1端面912が切削加工されることに起因して、第1端部91に形成された、第1端面912の中央部から軸方向に突出した凸部が、第1回転軸70の第1端面731に接触することを抑制するために成形されている。同様に、第2回転軸80には、第2接続部83の第2端面831の中央部に、第2端面831から凹んだ中央凹部833が形成されている。
【0031】
また、マグネット12の面取り932は、切削加工が施されたマグネット12に対して表面処理を施すべく、切削加工が施されたマグネット12を搬送等する際や、マグネット12に表面処理を施している最中に、マグネット12同士が接触したとしても損傷しないようにするために成形されている。ただし、面取り932は、成形されていなくても良い。
【0032】
<第2の実施形態>
図4は、第2の実施形態に係るブラシレスモータ2の断面の一例を示す図である。
第2の実施形態に係るブラシレスモータ2は、第1の実施形態に係るブラシレスモータ1に対して、回転子10に相当する回転子210が異なる。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。第1の実施形態と第2の実施形態とで、同じ形状及び機能を有するものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0033】
第2の実施形態に係る回転子210は、回転軸211と、回転軸211と一体的に回転するマグネット212とを有している。
マグネット212は、第1の実施形態に係るマグネット12と異なり、第1凹部911及び第2凹部921が形成されておらず、純粋な円柱状である。それゆえ、マグネット212の外周面215の径は、軸方向の一方側の端部から他方側の端部まで同一である。
【0034】
回転軸211は、マグネット212における一方側の端部に装着された第1回転軸270と、マグネット212における他方側の端部に装着された第2回転軸280とを有している。
第1回転軸270は、第1円柱状部71と、第1円柱状部71よりも他方側に設けられた円筒状の第1円筒状部272とを有している。また、第1回転軸270は、第1円柱状部71と第1円筒状部272とを接続する第1接続部273を有している。
第1円筒状部272は、マグネット212における一方側の端部に嵌め込まれ、接着剤にてマグネット212に接着されている。マグネット212に第1凹部911が形成されていないため、第1回転軸270は、第1の実施形態に係る第1回転軸70に対して、第1円筒状部272の外周面の径が、マグネット212の外周面215(中央部の外周面を含む)の径よりも大きい点が異なる。
【0035】
第2回転軸280は、第2円柱状部81と、第2円柱状部81よりも一方側に設けられた円筒状の第2円筒状部282とを有している。また、第2回転軸280は、第2円柱状部81と第2円筒状部282とを接続する第2接続部283を有している。
第2円筒状部282は、マグネット212における他方側の端部に嵌め込まれ、接着剤にてマグネット212に接着されている。マグネット212に第2凹部921が形成されていないため、第2回転軸280は、第1の実施形態に係る第2回転軸80に対して、第2円筒状部282の外周面の径が、マグネット212の外周面215(中央部の外周面を含む)の径よりも大きい点が異なる。
【0036】
以上のように構成されたブラシレスモータ2は、固定子20と、固定子20の内側に回転可能に設けられた回転子210とを備える。そして、回転子210は、円柱状のマグネット212と、軸部(例えば第1円柱状部71)とマグネット212の外周面215の一部を覆う円筒状の円筒状部(例えば第1円筒状部272)とを有する回転軸211とを備える。そして、回転子210は、マグネット212の外周面215と、回転軸211の円筒状部(例えば第1円筒状部272)の内周面とが接合されていて、且つ、マグネット212における軸方向の端面と、回転軸211における軸方向の端面であってマグネット212における軸方向の端面と対向する端面(例えば第1接続部273における他方側の端面)とが接合されていない。それゆえ、回転軸211の回転軸心とマグネット212の中心線とが一致し易くなる。その結果、例えば、マグネット212における軸方向の端面と、回転軸211における軸方向の端面であってマグネット212における軸方向の端面と対向する端面(例えば第1接続部273における他方側の端面)とが接着剤にて接合されている構成と比較して、回転子210の回転軸まわりのバランスが悪化することを抑制することができる。
【0037】
なお、本発明において、回転子の形状は、回転子10及び回転子210の形状に限定されず、その他の形状であっても良い。
【符号の説明】
【0038】
1,2…ブラシレスモータ、10,210…回転子、11,211…回転軸、12,212…マグネット、20…固定子、21…コイル、30…ハウジング、50…検出装置、71…第1円柱状部、72…第1円筒状部、81…第2円柱状部、82…第2円筒状部、91…第1端部、92…第2端部、93…中央部、911…第1凹部、913…第1外周面、921…第2凹部、923…第2外周面、931…中央外周面
図1
図2
図3
図4