IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オキュラス ブイアール,エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】流体ポンプおよびラッチゲート
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/02 20060101AFI20220829BHJP
   F16K 15/16 20060101ALI20220829BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
F04B43/02 D
F16K15/16 Z
G06F3/01 560
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020512807
(86)(22)【出願日】2018-08-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 US2018046486
(87)【国際公開番号】W WO2019050658
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】15/695,272
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】オクス, ギャレット アンドリュー
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】スイス国特許発明第00522157(CH,A)
【文献】特開2008-164239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/02
F04B 43/06
F04B 53/10
F16K 7/17
F16K 15/16
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体入口から流体出口に流体を輸送するように構成されたチャネル導管であって、前記第1の流体入口が、前記チャネル導管中の前記流体のための入力部であり、前記流体出口が、前記チャネル導管中の前記流体のための出力部である、チャネル導管と、
第2の流体入口から流体を受け取るように構成されたポンプ室であって、前記第2の流体入口が、前記ポンプ室中の前記流体のための入力部であり、前記ポンプ室が、第1の内面と第2の内面とを含み、前記ポンプ室の前記第2の内面の部分が、前記チャネル導管に隣接し、前記ポンプ室の前記第2の内面の前記部分中の間隙が、前記チャネル導管の前記第1の流体入口を形成する、ポンプ室と、
前記ポンプ室内に位置する弁装置であって、前記弁装置が、前記ポンプ室内の流体圧力に従って、前記チャネル導管の前記第1の流体入口を介した前記ポンプ室から前記チャネル導管への流体流の速度を制御するために位置を変更するように構成され、前記弁装置が、前記ポンプ室内の第1の流体圧力に従って、前記チャネル導管の前記第1の流体入口を介した前記ポンプ室から前記チャネル導管への流体の第1の流速を誘導し、前記第1の流体圧力よりも高い前記ポンプ室内の第2の流体圧力に従って、前記チャネル導管の前記第1の流体入口を介した前記ポンプ室から前記チャネル導管への流体の第2の流速を誘導するように構成された、弁装置と
を備え、
前記弁装置が複数のセグメントを備え、前記複数のセグメントが、第1のセグメントと第2のセグメントとを含み、前記第1のセグメントが、第1の結合点において前記ポンプ室の前記第1の内面に結合され、前記第2のセグメントが、第2の結合点において前記ポンプ室の前記第2の内面に結合され、前記複数のセグメントの各セグメントが、追加の結合点において少なくとも1つの他のセグメントに結合された、流体デバイス。
【請求項2】
前記複数のセグメントが第3のセグメントをさらに含み、前記第1のセグメントが、第3の結合点において前記第3のセグメントに結合され、前記第3のセグメントがまた、第4の結合点において前記第2のセグメントに結合され、前記第2のセグメントがまた、前記第4の結合点において前記第3のセグメントに結合された、請求項に記載の流体デバイス。
【請求項3】
前記ポンプ室内の増加する流体圧力は、前記複数のセグメントが前記複数のセグメントのそれぞれの結合点を中心として回転することを引き起こし、その動きが、前記チャネル導管に流体を送出するように働く、請求項に記載の流体デバイス。
【請求項4】
前記ポンプ室の前記第1の内面上の結合点と、前記ポンプ室の前記第2の内面上の結合点とが、所定の位置に固定される、請求項またはに記載の流体デバイス。
【請求項5】
前記第1の流体圧力から前記第2の流体圧力への前記ポンプ室内の圧力の周期的変化は、前記弁装置が前記チャネル導管に流体を周期的に送出することを引き起こす、請求項からのいずれか一項に記載の流体デバイス。
【請求項6】
第1の内面と第2の内面とを含む第1のチャネル導管であって、前記第1のチャネル導管が、第1の流体入口から第1の流体出口に流体を輸送するように構成され、前記第1の流体入口が、前記第1のチャネル導管中の前記流体のための入力部であり、前記第1の流体出口が、前記第1のチャネル導管中の前記流体のための出力部である、第1のチャネル導管と、
第3の内面と第4の内面とを含む第2のチャネル導管であって、前記第2のチャネル導管は、前記第1のチャネル導管と前記第2のチャネル導管とが共通壁を共有するように、前記第1のチャネル導管に隣接して位置し、前記共通壁が、前記第1のチャネル導管の前記第2の内面の部分と、前記第2のチャネル導管の前記第3の内面の部分とを含み、前記第2のチャネル導管が、第2の流体入口から第2の流体出口に流体を輸送するように構成され、前記第2の流体入口が、前記第2のチャネル導管中の前記流体のための入力部であり、前記第2の流体出口が、前記第2のチャネル導管中の前記流体のための出力部である、第2のチャネル導管と、
前記第2のチャネル導管の前記第2の流体入口と、前記第2のチャネル導管の前記第2の流体出口との間に位置するネックであって、前記ネックが、前記第2のチャネル導管の前記第4の内面の部分と、前記共通壁中に含まれる前記第2のチャネル導管の前記第3の内面の部分とを備える、ネックと、
前記第1のチャネル導管内に位置する弁装置であって、前記弁装置が、位置を変更して前記共通壁を変形することによって、前記第1のチャネル導管中の流体圧力に従って前記第2のチャネル導管中の流体流の速度を制御するように構成され、それにより、前記共通壁の変形が、前記ネックの断面積を変化させ、前記第2のチャネル導管中の流体流の前記速度を変化させ、前記弁装置が、前記第1のチャネル導管内の第1の流体圧力に従って前記第2のチャネル導管中の前記流体の第1の流速を誘導し、前記第1のチャネル導管内の第2の流体圧力に従って前記第2のチャネル導管中の前記流体の第2の流速を誘導するように構成され、前記第2の流体圧力が、前記第1の流体圧力よりも高い、弁装置と
を備える、流体デバイス。
【請求項7】
前記第1のチャネル導管の前記第1の流体入口が、前記第2のチャネル導管の前記第2の流体出口に隣接し、前記第1のチャネル導管の前記第1の流体出口が、前記第2のチャネル導管の前記第2の流体入口に隣接する、請求項に記載の流体デバイス。
【請求項8】
前記弁装置が複数のセグメントを備え、前記複数のセグメントが、第1のセグメントと第2のセグメントとを含み、前記第1のセグメントが、第1の結合点において前記第1のチャネル導管の前記第1の内面に結合され、前記第2のセグメントが、第2の結合点において前記第1のチャネル導管の前記第2の内面に結合され、前記複数のセグメントの各セグメントが、追加の結合点において少なくとも1つの他のセグメントに結合された、請求項またはに記載の流体デバイス。
【請求項9】
各セグメントが、少なくとも1つの結合点を中心として回転するように構成された、請求項に記載の流体デバイス。
【請求項10】
前記複数のセグメントが第3のセグメントをさらに備え、前記第1のセグメントが、第3の結合点において前記第3のセグメントに結合され、前記第3のセグメントが、第4の結合点において前記第2のセグメントに結合された、請求項またはに記載の流体デバイス。
【請求項11】
前記第1のチャネル導管の前記第1の内面上の結合点と、前記第1のチャネル導管の前記第2の内面上の結合点とが、所定の位置に固定される、請求項10に記載の流体デバイス。
【請求項12】
前記第2の流体圧力への増加する流体圧力は、前記複数のセグメントが、前記共通壁を変形するように動くことを引き起こす、請求項から11のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)のための流体デバイスに関し、より詳細には、仮想現実システムにおいて流体デバイスを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想現実(VR)は、コンピュータ技術によって作成され、VRシステムなどを通してユーザに提示される、シミュレートされた環境である。いくつかのVRシステムでは、ウェアラブルデバイス(たとえば、グローブ)は、ユーザが仮想オブジェクトと対話することを可能にする。そのようなウェアラブルデバイス上の回路要素は、複雑であり、かさばり、場合によっては重くなることがある。その結果、従来のウェアラブルデバイスは、VRシステムとのユーザの体験を損なうことがある。
【発明の概要】
【0003】
開示される発明の実施形態は、VRシステム、拡張現実(AR)システム、および/または複合現実(MR)システムにおいて使用される流体デバイスを含む。流体デバイスは、電子デバイス(たとえば、電界効果トランジスタ、電気ダイオード、抵抗器、キャパシタなど)と同様に機能する流体処理デバイスである。加えて、流体デバイスは構成可能であり、これは、流体デバイスが互いに結合されて、複合流体デバイス(たとえば、デコーダ)を形成し得ることを意味する。いくつかの実施形態では、流体デバイスのグループが互いに結合されて、VRシステムのためのウェアラブルデバイス(たとえば、触覚グローブ)上の触覚装置のためのコントローラとして働く。
【0004】
一実施形態では、流体デバイスは、チャネル導管と、ポンプ室と、弁装置とを備える。チャネル導管は、第1の流体入口から流体出口に流体を輸送するように構成される。第1の流体入口は、チャネル導管中の流体のための入力部である。流体出口は、チャネル導管中の流体のための出力部である。ポンプ室は、第2の流体入口から流体を受け取るように構成される。第2の流体入口は、ポンプ室中の流体のための入力部である。ポンプ室は、第1の内面と第2の内面とを含む。ポンプ室の第2の内面の部分は、チャネル導管に隣接し、ポンプ室の第2の内面の部分中の間隙が、チャネル導管の第1の流体入口を形成する。弁装置はポンプ室内に位置する。弁装置は、ポンプ室内の流体圧力に従って、チャネル導管の第1の流体入口を介したポンプ室からチャネル導管への流体流の速度を制御するために位置を変更するように構成される。詳細には、弁装置は、ポンプ室内の第1の流体圧力に従って、チャネル導管の第1の流体入口を介したポンプ室からチャネル導管への流体の第1の流速を誘導するように構成される。弁装置は、ポンプ室内の第2の流体圧力に従って、チャネル導管の第1の流体入口を介したポンプ室からチャネル導管への流体の第2の流速を誘導するようにさらに構成され、第2の流体圧力は、第1の流体圧力よりも高い。
【0005】
代替実施形態では、流体デバイスは、第1のチャネル導管と、第2のチャネル導管と、ネックと、弁装置とを備える。第1のチャネル導管は、第1の内面と第2の内面とを含む。第1のチャネル導管は、第1の流体入口から第1の流体出口に流体を輸送するように構成される。第1の流体入口は、第1のチャネル導管中の流体のための入力部である。第1の流体出口は、第1のチャネル導管中の流体のための出力部である。第2のチャネル導管は、第3の内面と第4の内面とを含む。第2のチャネル導管は、第1のチャネル導管と第2のチャネル導管とが共通壁を共有するように、第1のチャネル導管に隣接して位置する。共通壁は、第1のチャネル導管の第2の内面の部分と、第2のチャネル導管の第3の内面の部分とを含む。第2のチャネル導管は、第2の流体入口から第2の流体出口に流体を輸送するように構成される。第2の流体入口は、第2のチャネル導管中の流体のための入力部である。第2の流体出口は、第2のチャネル導管中の流体のための出力部である。ネックは、第2のチャネル導管の第2の流体入口と、第2のチャネル導管の第2の流体出口との間に位置する。ネックは、第2のチャネル導管の第4の内面の部分と、共通壁中に含まれる第2のチャネル導管の第3の内面の部分とを備える。弁装置は第1のチャネル導管内に位置する。弁装置は、位置を変更して共通壁を変形することによって、第1のチャネル導管中の流体圧力に従って第2のチャネル導管中の流体流の速度を制御するように構成される。共通壁の変形は、ネックの断面積を変化させる。ネックの断面積のこの変化は、第2のチャネル導管中の流体流の速度を変化させる。詳細には、弁装置は、第1のチャネル導管内の第1の流体圧力に従って第2のチャネル導管中の流体の第1の流速を誘導するように構成される。弁装置は、第1のチャネル導管内の第2の流体圧力に従って第2のチャネル導管中の流体の第2の流速を誘導するようにさらに構成され、第2の流体圧力は、第1の流体圧力よりも高い。
【0006】
本発明による実施形態は、特に、流体デバイスを対象とする添付の特許請求の範囲において開示され、ある請求項カテゴリー、たとえば、流体デバイスにおいて述べられた特徴は、別の請求項カテゴリー、たとえば、方法、システム、記憶媒体、およびコンピュータプログラム製品においても請求され得る。添付の特許請求の範囲における従属関係または参照は、形式上の理由で選定されるにすぎない。ただし、前の請求項への意図的な参照(特に複数の従属関係)から生じる主題も請求され得、その結果、請求項とその特徴との任意の組合せが、開示され、添付の特許請求の範囲で選定された従属関係にかかわらず請求され得る。請求され得る主題は、添付の特許請求の範囲に記載の特徴の組合せだけでなく、特許請求の範囲における特徴の任意の他の組合せをも含み、特許請求の範囲において述べられた各特徴は、特許請求の範囲における任意の他の特徴または他の特徴の組合せと組み合わせられ得る。さらに、本明細書で説明または示される実施形態および特徴のいずれかは、別個の請求項において、ならびに/あるいは、本明細書で説明もしくは示される任意の実施形態もしくは特徴との、または添付の特許請求の範囲の特徴のいずれかとの任意の組合せで請求され得る。
【0007】
本発明による一実施形態では、流体デバイスは、
第1の流体入口から流体出口に流体を輸送するように構成されたチャネル導管であって、第1の流体入口が、チャネル導管中の流体のための入力部であり、流体出口が、チャネル導管中の流体のための出力部である、チャネル導管と、
第2の流体入口から流体を受け取るように構成されたポンプ室であって、第2の流体入口が、ポンプ室中の流体のための入力部であり、ポンプ室が、第1の内面と第2の内面とを含み、ポンプ室の第2の内面の部分が、チャネル導管に隣接し、ポンプ室の第2の内面の部分中の間隙が、チャネル導管の第1の流体入口を形成する、ポンプ室と、
ポンプ室内に位置する弁装置であって、弁装置が、ポンプ室内の流体圧力に従って、チャネル導管の第1の流体入口を介したポンプ室からチャネル導管への流体流の速度を制御するために位置を変更するように構成され、弁装置が、ポンプ室内の第1の流体圧力に従って、チャネル導管の第1の流体入口を介したポンプ室からチャネル導管への流体の第1の流速を誘導し、第1の流体圧力よりも高いポンプ室内の第2の流体圧力に従って、チャネル導管の第1の流体入口を介したポンプ室からチャネル導管への流体の第2の流速を誘導するように構成された、弁装置と
を備え得る。
【0008】
弁装置は複数のセグメントを備え得、複数のセグメントは、第1のセグメントと第2のセグメントとを含み得、第1のセグメントは、第1の結合点においてポンプ室の第1の内面に結合され得、第2のセグメントは、第2の結合点においてポンプ室の第2の内面に結合され得、複数のセグメントの各セグメントは、追加の結合点において少なくとも1つの他のセグメントに結合され得る。
【0009】
複数のセグメントは第3のセグメントを含み得、第1のセグメントは、第3の結合点において第3のセグメントに結合され得、第3のセグメントはまた、第4の結合点において第2のセグメントに結合され得、第2のセグメントはまた、第4の結合点において第3のセグメントに結合され得る。
【0010】
ポンプ室内の増加する流体圧力は、複数のセグメントが複数のセグメントのそれぞれの結合点を中心として回転することを引き起こし得、その動きが、チャネル導管に流体を送出するように働く。
【0011】
ポンプ室の第1の内面上の結合点と、ポンプ室の第2の内面上の結合点とは、所定の位置に固定され得る。
【0012】
第1の流体圧力から第2の流体圧力へのポンプ室内の圧力の周期的変化は、弁装置がチャネル導管に流体を周期的に送出することを引き起こし得る。
【0013】
本発明による一実施形態では、流体デバイスは、
第1の内面と第2の内面とを含む第1のチャネル導管であって、第1のチャネル導管が、第1の流体入口から第1の流体出口に流体を輸送するように構成され、第1の流体入口が、第1のチャネル導管中の流体のための入力部であり、第1の流体出口が、第1のチャネル導管中の流体のための出力部である、第1のチャネル導管と、
第3の内面と第4の内面とを含む第2のチャネル導管であって、第2のチャネル導管は、第1のチャネル導管と第2のチャネル導管とが共通壁を共有するように、第1のチャネル導管に隣接して位置し、共通壁が、第1のチャネル導管の第2の内面の部分と、第2のチャネル導管の第3の内面の部分とを含み、第2のチャネル導管が、第2の流体入口から第2の流体出口に流体を輸送するように構成され、第2の流体入口が、第2のチャネル導管中の流体のための入力部であり、第2の流体出口が、第2のチャネル導管中の流体のための出力部である、第2のチャネル導管と、
第2のチャネル導管の第2の流体入口と、第2のチャネル導管の第2の流体出口との間に位置するネックであって、ネックが、第2のチャネル導管の第4の内面の部分と、共通壁中に含まれる第2のチャネル導管の第3の内面の部分とを備える、ネックと、
第1のチャネル導管内に位置する弁装置であって、弁装置が、位置を変更して共通壁を変形することによって、第1のチャネル導管中の流体圧力に従って第2のチャネル導管中の流体流の速度を制御するように構成され、それにより、共通壁の変形が、ネックの断面積を変化させ、第2のチャネル導管中の流体流の速度を変化させ、弁装置が、第1のチャネル導管内の第1の流体圧力に従って第2のチャネル導管中の流体の第1の流速を誘導し、第1のチャネル導管内の第2の流体圧力に従って第2のチャネル導管中の流体の第2の流速を誘導するように構成され、第2の流体圧力が、第1の流体圧力よりも高い、弁装置と
を備え得る。
【0014】
第1のチャネル導管の第1の流体入口は、第2のチャネル導管の第2の流体出口に隣接し得、第1のチャネル導管の第1の流体出口は、第2のチャネル導管の第2の流体入口に隣接し得る。
【0015】
弁装置は複数のセグメントを備え得、複数のセグメントは、第1のセグメントと第2のセグメントとを含み得、第1のセグメントは、第1の結合点において第1のチャネル導管の第1の内面に結合され得、第2のセグメントは、第2の結合点においてチャネル導管の第2の内面に結合され得、複数のセグメントの各セグメントは、追加の結合点において少なくとも1つの他のセグメントに結合され得る。
【0016】
各セグメントは、少なくとも1つの結合点を中心として回転するように構成され得る。
【0017】
複数のセグメントは第3のセグメントをさらに備え得、第1のセグメントは、第3の結合点において第3のセグメントに結合され得、第3のセグメントは、第4の結合点において第2のセグメントに結合され得る。
【0018】
第1のチャネル導管の第1の内面上の結合点と、第1のチャネル導管の第2の内面上の結合点とは、所定の位置に固定され得る。
【0019】
第2の流体圧力への増加する流体圧力は、複数のセグメントが、共通壁を変形するように動くことを引き起こし得る。
【0020】
本発明のさらなる実施形態では、1つまたは複数のコンピュータ可読非一時的記憶媒体は、ソフトウェアを具備し、ソフトウェアは、実行されたとき、本発明によるシステム、または上述の実施形態のいずれかにおいて、実施するように動作可能である。
【0021】
本発明のさらなる実施形態では、コンピュータ実装方法は、本発明によるシステム、または上述の実施形態のいずれかを使用する。
【0022】
本発明のさらなる実施形態では、好ましくはコンピュータ可読非一時的記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品は、本発明によるシステム、または上述の実施形態のいずれかにおいて使用される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】一実施形態による、低圧状態においてポンプとして機能する例示的な流体デバイスの断面図である。
図1B】一実施形態による、図1Aに示されている例示的な流体デバイスの、その流体入口の透視図からの断面図である。
図1C】一実施形態による、図1Aに示されている例示的な流体デバイスの、高圧状態における断面図である。
図1D】一実施形態による、図1Cに示されている例示的な流体デバイスの、その流体入口の透視図からの断面図である。
図2A】一実施形態による、低圧状態においてラッチングゲートとして機能する例示的な流体デバイスの断面図である。
図2B】一実施形態による、図2Aに示されている例示的な流体デバイスの、その流体入口の透視図からの断面図である。
図2C】一実施形態による、図2Aに示されている例示的な流体デバイスの、高圧状態における断面図である。
図2D】一実施形態による、図2Cに示されている例示的な流体デバイスの、その流体入口の透視図からの断面図である。
図3】一実施形態による、VRシステムを含むシステム環境のブロック図である。
図4】一実施形態による、仮想オブジェクトと対話するための例示的な触覚グローブである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図は、単に説明の目的で本開示の実施形態を示す。本明細書で説明される開示の原理またはうたわれている利益から逸脱することなく、本明細書で示される構造および方法の代替実施形態が採用され得ることを、当業者は以下の説明から容易に認識されよう。
【0025】
システムの全体像
開示される発明の実施形態は、仮想現実(VR)システム、拡張現実(AR)システム、および/または複合現実(MR)システムにおいて使用される流体デバイスを含む。いくつかの実施形態では、流体デバイスは、情報を送信するために流体で充填された、ミリメートルまたはより小さいチャネルを使用するソフト材料から作られたデバイスであり、流体デバイスは、一般に、論理を実装し、情報を送信するための制御アクチュエータを有する。一実施形態では、流体デバイスは、電気システムにおいて電子デバイス(たとえば、電気トランジスタ、電気ダイオードなど)と同様に機能する流体処理デバイスである。たとえば、流体デバイスは、流体ラッチングゲートまたはポンプとして動作するように設計され得る。加えて、流体デバイスは構成可能であり、これは、流体デバイスが互いに結合されて、複合流体デバイスを形成し得ることを意味する。いくつかの実施形態では、流体デバイスのグループが互いに結合されて、VRシステムのためのウェアラブルデバイス(たとえば、触覚グローブ)上の触覚装置のためのコントローラとして働く。
【0026】
図1A図2Dを参照しながら、ラッチングゲートおよびポンプとして機能する流体デバイスに関する詳細な例が以下で説明される。
【0027】
一実施形態では、ウェアラブルデバイスが、そのデバイスを着用するユーザにVR、AR、MR、またはそれらの何らかの組合せの体験を提供するためのシステムにおいて実装される。より詳細には、ウェアラブルデバイスは、システムのコンソールからの命令に応答して、ユーザに触覚フィードバックを与える。ウェアラブルデバイスは、少なくとも1つのアクチュエータと、コントローラとを含む。コントローラは、上記で説明されたように、複数の流体デバイスから構成される。いくつかの実施形態では、流体デバイスは、互いに結合されて、1つまたは複数の複合流体デバイスを形成する。複合流体デバイスは、互いに結合されて流体回路を形成する複数の流体デバイスから形成されるデバイスであり、流体デバイスは、複数の流体デバイスが互いに結合されてより大きい構造を生成し得るという点で「構成可能」である。「複合流体デバイス」に関するさらなる詳細は、たとえば、両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第62/449,323号および米国特許出願第62/399,153号において見つけられ得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、流体デバイスはポンプとして機能する。これらの実施形態では、流体デバイスは、流体入口を含むポンプ室と、ポンプ室内の弁装置と、ポンプ室に接続された流体入口、および流体出口を含むチャネル導管とを含む。弁装置上に加えられる流体圧力は、チャネル導管の流体入口を周期的に開閉するように弁装置を制御し、これは、ポンプ室からの流体がチャネル導管に周期的に送出されることを可能にする。
【0029】
代替実施形態では、流体デバイスはラッチングゲートとして機能する。これらの実施形態では、流体デバイスは、内面によって画定され、流体入口および流体出口を有する第1のチャネル導管と、第1のチャネル導管内の弁装置と、内面によって画定され、流体入口および流体出口を含む第2のチャネル導管とを含む。特に、弁装置は、第2の導管チャネルに隣接する第1のチャネル導管の内面の一部に接続される。弁装置上に加えられる第1のチャネル導管の流体入口からの流体圧力は、第1のチャネル導管の内面を引っ張り、さらに、第1のチャネル導管に隣接する第2のチャネル導管の内面の一方の側面を引っ張るように弁装置を制御し、これは、第2のチャネル導管が開かれることを可能にし、第2のチャネル導管内の流体が流体入口から流体出口に流れることを可能にする。
弁装置に加えられる流体圧力に応答して第2のチャネル導管を開くことは、このモードにおける流体デバイスをラッチングゲートとして機能させる。
【0030】
流速は、流体デバイスのチャネル導管中で一方の端部から他方の端部に流れる流体のスピードを指示する。例示的な体積流量は、60ml/分である。流体デバイスのチャネル導管中の流速は、たとえば、対応する流体入口からの流体の圧力によって、影響を及ぼされ得る。
【0031】
チャネル導管の「開」状態は、チャネル導管中の流体が、何らかの開しきい値流速で一方の端部から他方の端部に流れているときの状態を指す。対照的に、チャネル導管の「閉」状態は、チャネル導管中の流体の流れが、何らかの閉しきい値流速よりも小さく、チャネル導管中の流れが一方の端部から他方の端部に流れるのを妨げるときの状態を指す。加えて、チャネル導管が開状態から閉状態に、または閉状態から開状態に遷移するとき、「遷移」状態が発生する。
【0032】
ここで説明される「高圧」、「遷移」圧力、および「低圧」は、流体デバイス構造と、流体デバイスを充填する流体の圧力とに依存する。概して、「低圧」は、低圧範囲内に入る流体の圧力であり、「高圧」は、高圧範囲内に入る流体の圧力であり、「遷移」圧力は、低圧範囲と高圧範囲との間にある流体の圧力である。いくつかの実施形態では、高圧範囲および低圧範囲はあるが、遷移範囲はないことに留意されたい。その上、流体デバイスの異なる構成要素は、異なる高圧範囲と、異なる遷移圧力範囲と、異なる低圧範囲とを有し得る。たとえば、ゲートの高圧範囲は、ソースの高圧範囲よりもかなり小さいことがある。
【0033】
次に、ポンプとして機能する例示的な流体デバイス100の説明を参照すると、図1Aは、一実施形態による、低圧状態においてポンプとして機能する例示的な流体デバイス100の断面図である。流体デバイス100は、ポンプ室105と、チャネル導管110と、弁装置115とを含む。
【0034】
ポンプ室105は、流体デバイス100の一部であり、内面120(120と総称される120Aおよび120B)によって画成され、図1Aに示されている断面図では、内面120Aの一方の側面および内面120Bの他方の側面が示されている。特に、内面120Bの側面は、チャネル導管110に隣接し、以下で説明される、チャネル導管の流体入口125を形成する間隙が、内面120Aの側面上にある。一実施形態では、ポンプ室105の内面120は、薄い膜から作られる。ポンプ室105はまた、流体入口130を含み、流体入口130からの流体がポンプ室に流れる。以下でより十分に説明されるように、ポンプ室105内の流体は、チャネル導管が開状態にあるとき、チャネル導管110のほうへ、およびその中に向けられる。ポンプ室105は、以下で説明される弁装置115をも含む。
【0035】
チャネル導管110は、チャネルを密閉する流体デバイス100の一部であり、流体がチャネル内を流れる。チャネル導管110は、内面135によって画成される。チャネル導管110は、流体入口125と流体出口140とを含み、チャネル導管内の流体は、チャネル導管が開状態にあるとき、流体入口から流体出口に流れる。チャネル導管110は、チャネル導管の流体入口125を介してポンプ室105の内面120Bの側面に接続される。
【0036】
弁装置115は、流体デバイス100の一部である。弁装置115は、2つの結合されたセグメントが2つの結合されたセグメントの結合点において回転し得るように互いに結合された複数のセグメントを含む。その回転は、Z軸に平行な軸に沿って発生し得、時計回りまたは逆時計回りであり得る。一実施形態では、弁装置115は、図1Aおよび図1Cに示されている、セグメント145A、145Bおよび145Cとしてラベリングされた3つのセグメントを含む。複数のセグメントのうち、セグメント145Aは、内面120Aの側面に結合され、セグメント145Cは、内面120Bの側面に結合され、セグメント145Bは、セグメント145Aとセグメント145Cとに結合される。内面120Aに結合されたセグメント145Aの部分と、内面120Bに結合されたセグメント145Cの部分とは、それぞれの結合点において結合される。また、各結合点において、Z軸に平行な軸を中心に回転が発生し得、その回転は、時計回りまたは逆時計回りであり得る。ポンプ室105中のセグメント145Bのロケーションは、流体圧力とともに変化し得る。固定されたままである、それぞれ、内面120Aおよび120Bとの、セグメント145A、145Cの結合点を除いて、セグメント145Aおよび145Cも同様に位置を変更し得る。一実施形態では、弁装置115は、プラスチックなどの変形可能な材料から作られる。弁装置115の3つのセグメント145A、145B、145Cは、ポンプ室105内の流体圧力に従って、より詳細には、ポンプ室の流体入口130からの流体圧力に従って動くことができる。一例として、流体入口130からの増加する流体圧力は、セグメント145Aが、内面120Aとのセグメント145Aの結合点を中心に反時計回りに回転することと、セグメント145Cが、内面120Bとのセグメント145Cの結合点を中心に時計回りに回転することとを引き起こす。セグメント145Aおよび145Cの動きは、セグメント145Bも、正のy方向に動き、また、反時計回りに回転することを引き起こす。図1Aでは、流体デバイス100は、チャネル導管110の対応する開状態を伴う低圧状態にある。
【0037】
流体デバイス100の低圧状態は、ポンプ室105内の流体圧力が、あるしきい値を下回り、たとえば、流体の流速が、あるしきい値を下回り得ることを指示する。低圧状態では、弁装置115上に加えられる流体入口130からの流体圧力が、しきい値に達するかまたはしきい値を超えることなしに、弁装置は、ある距離内で内面120Bの側面から離れて配置され、特に図1Aに示されているように、セグメント145Aおよびセグメント145Bは、内面120Bの側面から離れている。したがって、チャネル導管110の流体入口125は開いており、これは、ポンプ室105内の流体が、チャネル導管のほうへ向けられ、チャネル導管の中に流れることを可能にし、チャネル導管は開状態にある。
【0038】
流体デバイス100の遷移状態は、高圧状態と低圧状態との間の状態である。一例として、高圧状態から低圧状態への流体デバイス100の遷移状態の間、ポンプ室105内の流体圧力は、最初は閉じられていた間隙が開いて、チャネル導管110が閉状態から開状態に移行することを可能にするまで、徐々に減少している。別の例として、低圧状態から高圧状態への流体デバイス100の遷移状態の間、ポンプ室105内の流体圧力は、最初は開いていた間隙が閉じて、チャネル導管110が開状態から閉状態に移行することを可能にするまで、徐々に増加している。
【0039】
図1Bは、一実施形態による、図1Aに示されている例示的な流体デバイス100の、その流体入口130の透視図からの断面図150である。図1Bに示されているように、断面図150は矩形形状である。図1Bでは、チャネル導管110は開状態にあり、セグメント145Aは、内面120Bの側面から離れており、開口部155があり、開口部155は、流体入口130からの流体が、チャネル導管110のほうへ、およびその中に向けられることを可能にし、これは、流体デバイス100が開状態にあることを指示する。代替実施形態では、流体入口130からの断面図150は、異なる形状、たとえば、円形、正方形、または何らかの他の形状を有することができる。チャネル導管110は、この図には示されていないことに留意されたい。ただし、チャネル導管110は、矩形断面、あるいは、代替的に、円形、正方形、または何らかの他の形状を有し得る。
【0040】
図1Cは、一実施形態による、図1Aに示されている例示的な流体デバイス100の、高圧状態における断面図である。図1Cの実施形態では、流体デバイス100は高圧状態にある。流体デバイス100の高圧状態は、ポンプ室105内の流体圧力が、あるしきい値に達するかまたはあるしきい値を上回り、たとえば、流体の流速が、あるしきい値を上回り得ることを指示する。高圧状態では、弁装置115上に加えられる流体圧力は、弁装置115のセグメント145Aおよびセグメント145Bを流体入口130から離れるように押す。流体圧力はまた、弁装置115のセグメント145Aおよびセグメント145Bの部分を内面120Bの側面に押しつける。これは、チャネル導管110の流体入口125を閉じ、したがって、ポンプ室105内の流体がチャネル導管110中に流れるのを妨げ、チャネル導管を閉状態にする。
【0041】
図1Dは、一実施形態による、図1Cに示されている例示的な流体デバイスの、その流体入口130の透視図からの断面図155である。図1Dでは、チャネル導管110は閉状態にあり、セグメント145Aの部分は、内面120Bの側面に押しつけられ、したがって、チャネル導管の流体入口125を閉じ、ポンプ室105内の流体がチャネル導管中に流れるのを妨げる。
【0042】
一実施形態では、ポンプ室105内の流体からの一定の圧力インパルスとともに、弁装置115のセグメント145A、145B、145Cは、周期的に、y軸のほうへ動いて内面120Bに押しつけられ、および内面120Bから遠ざかる。弁装置115のこの周期的動きは、流体を遮断し、およびチャネル導管110中に入らせ、チャネル導管120を周期的に閉状態にし、および開状態にする。チャネルの閉状態から開状態への(または開状態から閉状態への)周期的変化は、流体デバイス100がポンプとして機能することを可能にする。
【0043】
図2Aは、一実施形態による、低圧状態においてラッチングゲートとして機能する例示的な流体デバイス200の断面図である。流体デバイス200は、第1のチャネル導管205と、第1のチャネル導管205から分離された第2のチャネル導管210と、第1のチャネル導管内の弁装置215とを含む。図2Aに示されている流体デバイス200は一例にすぎず、示されていない代替実施形態では、流体デバイス200は、追加の/より少数の、または異なる構成要素を含み得る。
【0044】
第1のチャネル導管205はチャネルを密閉し、流体がチャネル内を流れる。第1のチャネル導管205は、内面220(220と総称される220Aおよび220B)によって画成され、図2Aに示されている断面図では、内面220Aおよび220Bの2つの側面が示されている。第1のチャネル導管205は、流体がそこから第1のチャネル導管中に流れる流体入口215を含む。第1のチャネル導管205と第2のチャネル導管210とは、共通壁を共有する。共通壁は、第1のチャネル導管中の内面220Bの部分と、第2のチャネル導管中の内面225Aの部分とを含む。共通壁はまた、内面220Bおよび/または内面225Aが、たとえば、弁装置215によって共通壁上に及ぼされる力によって、(たとえば、X軸に平行な軸に沿って)引っ張られるかまたは押され得るという点で、変形可能である。
【0045】
弁装置215は、一実施形態では、複数のセグメントを含む、流体デバイス200の一部である。一実施形態では、弁装置215は、図2Aおよび図2Cに示されている、セグメント230A、230Bおよび230Cとしてラベリングされた3つのセグメントを含む。3つのセグメント230A、230B、230Cは、2つの結合されたセグメントが2つの結合されたセグメント間の結合点において回転し得るように互いに結合される。内面220Aに結合されたセグメント230Aの部分と、内面220Bに結合されたセグメント230Cの部分とは、それぞれの結合点において結合される。セグメント230Bは、セグメント230Aとセグメント230Cの両方に、それぞれの結合点において結合される。また、各結合点において、Z軸に平行な軸を中心に回転が発生し得、その回転は、時計回りまたは逆時計回りであり得る。以下で説明されるように、第1のチャネル導管205中のセグメント230Bのロケーションは、流体圧力とともに変化し得る。固定されたままである、それぞれ、内面220Aおよび220Bとの、セグメント230A、230Cの結合点を除いて、セグメント230Aおよび230Cも同様に位置を変更し得る。複数のセグメントのうち、セグメント230Aは、内面220Aの側面に結合され、セグメント230Cは、内面220Bの側面に結合され、セグメント230Bは、セグメント230Aとセグメント230Cとを接続している。一実施形態では、弁装置215は、プラスチックなどの変形可能な材料から作られる。弁装置215のセグメント230A、230B、230Cは、第1のチャネル導管205内の流体圧力に従って、より詳細には、第1のチャネル導管の流体入口215からの流体圧力に従って動くことができる。一例として、流体入口215からの(しきい値を上回る)増加する流体圧力は、セグメント230Aが、内面220Aとのセグメント230Aの結合点を中心に反時計回りに回転することと、セグメント230Cが、内面220Bとのセグメント230Cの結合点を中心に時計回りに回転することとを引き起こす。セグメント230Aおよび230Cの動きは、セグメント230Bも、正のy方向に動き、また、反時計回りに回転することを引き起こす。図2Aでは、流体デバイス200は、第2のチャネル導管210の対応する閉状態を伴う低圧状態にある。
【0046】
第2のチャネル導管210は、第1のチャネル導管205に隣接して配置される。第2のチャネル導管210は、内面225(内面225と総称される内面225Aおよび225B)によって画成され、図2Aに示されている断面図では、内面225Aおよび225Bの2つの側面が示されている。第2のチャネル導管210は、流体入口235と流体出口240とを含み、流体は、第2のチャネル導管210が開状態にあるとき、流体入口から流体出口に流れる。第2のチャネル導管210はまた、流体入口235と流体出口240との間にネック245を含む。ネック245は、第2のチャネル導管210を通る流体流を調整するために、第2のチャネル導管210の断面の面積が調整され(すなわち、増加または減少され)得る、第2のチャネル導管210中のロケーションである。ネック245は、第1のチャネル導管205との共通壁を含む。共通壁は、内面220Bの部分と内面225Aの部分とを含む。共通壁の一部である内面220Aの部分上への調整力が、ネック245の断面を調整することができる。以下で詳細に説明されるように、調整力は、第1のチャネル導管205中の流体圧力に部分的に基づいて、弁装置215によって加えられる。
【0047】
流体デバイス200は、低圧状態(すなわち、第2のチャネル導管210が閉状態にある)、高圧状態(すなわち、第2のチャネル導管210が開状態にある)、または遷移状態(すなわち、第2のチャネル導管210が、開状態と閉状態との間にある)にあり得る。
【0048】
流体デバイス200の低圧状態は、第1のチャネル導管205が、あるしきい値を下回り、たとえば、流体の流速が、あるしきい値を下回り得ることを指示する。低圧状態では、十分に大きい圧力が弁装置215上に加えられることなく、その結果、弁装置215は、内面220Bをその元の位置から離れるように引っ張らない。したがって、ネック245の断面は小さいままであり、これは、第2のチャネル導管210の流体入口235から流体出口240への流体流を制限し(および、いくつかの実施形態では、停止し)、第2のチャネル導管210を閉状態にする。
【0049】
流体デバイス200の遷移状態は、高圧状態と低圧状態との間の状態である。一例として、低圧状態から高圧状態への流体デバイス200の遷移状態の間、第1のチャネル導管205内の流体圧力は増加しており、結果として、内面220B上に弁装置215によって-X方向により多くの力が生じる。これは、ネック245の断面を増大させる内面220Bの変形を引き起こす。これは、第2のチャネル導管210が閉状態から開状態に移行することを可能にする。別の例として、高圧状態から低圧状態への流体デバイス200の遷移状態の間、第1のチャネル導管205内の流体圧力は徐々に減少しており、結果として、内面220B上に弁装置215によって-X方向により少ない力が生じる。これは、内面220Bのより小さい変形を引き起こし、ネック245の断面を縮小させ、第2のチャネル導管210を閉状態にする。
【0050】
図2Bは、一実施形態による、図2Aに示されている例示的な流体デバイス200の、その流体入口215の透視図からの断面図250である。図2Bに示されているように、断面図250は、2つの部分255および260を含む。断面図255は、第1のチャネル導管205に対応し、断面図260は、第2のチャネル導管210に対応する。図2Bに示されているように、断面図255は矩形形状を有し、断面図は円形形状を有する。図2Bでは、流体デバイス200は低圧状態にあり、第2のチャネル導管210は閉状態にある。代替実施形態では、断面図255および断面図260は、異なる形状、たとえば、楕円、正方形、または何らかの他の形状を有することができる。
【0051】
図2Cは、一実施形態による、図2Aに示されている例示的な流体デバイス200の、高圧状態における断面図である。図2Cの実施形態では、流体デバイス200は高圧状態にあり、第1のチャネル導管205の流体入口215からの流体の圧力は、あるしきい値に達しているかまたはあるしきい値を超えており、内面220Bを負のX方向に動かし、したがって、第2のチャネル導管210の内面225Aをも負のX方向に動かす。この変形は、ネック245の断面を増大させ、第2のチャネル導管210を通る流体の流速を増加させる。しきい値流速に達すると、第2のチャネル導管210は開状態にある。
【0052】
流体デバイス200の高圧状態は、第1のチャネル導管205内の流体圧力が、あるしきい値を上回ることを指示する。高圧状態では、十分に大きい圧力が弁装置215上に加えられて、弁装置は、第1のチャネル導管205の内面220Bを負のx軸のほうへ動かす量の力を与える。したがって、第1のチャネル導管205と第2のチャネル導管210とによって共有される共通壁により、第2のチャネル導管210の内面225Aも負のx軸のほうへ動き、ネック245の断面が増大する。これは、第2のチャネル導管210内の流体が、流体入口235から流体出口240に流れることを可能にし、第2のチャネル導管210を開状態にする。
【0053】
第1のチャネル導管205内の流体圧力が、しきい値圧力に達するにつれて、ネック245の断面は、第2のチャネル導管210を開状態にするのに十分な程度まで増大する。したがって、第1のチャネル導管205中の流体圧力を制御することによって、第2のチャネル導管210内の流体流に影響を及ぼすために、流体デバイス200は、ラッチングゲートとして機能する。
【0054】
図2Dは、一実施形態による、図2Cに示されている例示的な流体デバイス200の、その流体入口215の透視図からの断面図250である。図2Dに示されているように、断面図250は、2つの部分255および260を含む。断面図255は、第1のチャネル導管205に対応し、断面図260は、第2のチャネル導管210に対応する。図2Dに示されているように、断面図255は矩形形状を有し、断面図は円形形状を有する。図2Dでは、流体デバイス200は高圧状態にあり、第2のチャネル導管210は開状態にある。代替実施形態では、断面図255および断面図260は、異なる形状、たとえば、楕円、正方形、または何らかの他の形状を有することができる。
【0055】
図3は、一実施形態による、触覚アセンブリ305を含むシステム300のブロック図である。システム300は、VR環境、拡張現実(AR)環境、複合現実(MR)環境、またはそれらの何らかの組合せにおいて動作し得る。システム300は、各々コンソール320に結合された、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)310と、イメージングデバイス315と、触覚アセンブリ305とを備える。図3は、1つのHMD310と、1つのイメージングデバイス315と、1つの触覚アセンブリ305とを含む、例示的なシステム300を示すが、他の実施形態では、任意の数のこれらの構成要素が、システム300中に含まれ得る。たとえば、各々、関連する触覚アセンブリ305を有し、1つまたは複数のイメージングデバイス315によって監視される、複数のHMD310があり得、各HMD310、触覚アセンブリ305、およびイメージングデバイス315は、コンソール320と通信する。代替構成では、異なるおよび/または追加の構成要素が、システム300中に含まれ得る。加えて、いくつかの実施形態では、システム300は、ARシステム環境など、他のシステム環境を含むように修正され得る。
【0056】
HMD310は、ユーザにメディアを提示する。HMD310によって提示されるメディアの例は、1つまたは複数の画像、ビデオ、オーディオ、またはそれらの何らかの組合せを含む。いくつかの実施形態では、オーディオは、外部デバイス(たとえば、スピーカーおよび/またはヘッドフォン)を介して提示され、この外部デバイスは、HMD310、コンソール320、またはその両方からオーディオ情報を受信し、そのオーディオ情報に基づいてオーディオデータを提示する。HMD310は、1つまたは複数の剛体を備え得、これらの剛体は、剛性的にまたは非剛性的に、一緒に互いに結合され得る。剛体間の剛性結合は、結合された剛体が単一の剛性エンティティとして働くことを引き起こす。対照的に、剛体間の非剛性結合は、剛体が互いに対して動くことを可能にする。いくつかの実施形態では、HMD310はまた、拡張現実(AR)ヘッドセットおよび/または複合現実(MR)ヘッドセットとして働き得る。これらの実施形態では、HMD310は、コンピュータ生成された要素(たとえば、画像、ビデオ、音など)を用いて物理的現実世界の環境のビューを拡張する。
【0057】
HMD310は、電子ディスプレイ325と、光学ブロック330と、1つまたは複数のロケータ335と、1つまたは複数の位置センサー340と、慣性測定ユニット(IMU)345とを含む。
【0058】
光学ブロック330は、電子ディスプレイ325から受け取られた光を増強し、画像光に関連する光学エラーを補正し、補正された画像光は、HMD310のユーザに提示される。光学要素は、アパーチャ、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ、フィルタ、または電子ディスプレイ325から放出される画像光に影響を及ぼす任意の他の好適な光学要素であり得る。その上、光学ブロック330は、異なる光学要素の組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、光学ブロック330中の光学要素のうちの1つまたは複数は、反射防止コーティングなど、1つまたは複数のコーティングを有し得る。
【0059】
互いに対して、およびHMD310上の特定の基準点に対して、HMD310上の特定の位置に位置するオブジェクトがある。ロケータ335は、発光ダイオード(LED)、コーナーキューブリフレクタ、反射マーカー、HMD310が動作する環境と対照をなすタイプの光源、またはそれらの何らかの組合せであり得る。ロケータ335がアクティブである実施形態(すなわち、LEDまたは他のタイプの発光デバイス)では、ロケータ335は、可視帯域内(-380nm~750nm)、赤外(IR)帯域内(-750nm~1mm)、紫外帯域内(10nm~380nm)、電磁スペクトルの何らかの他の部分、またはそれらの何らかの組合せの光を放出し得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、ロケータ335は、HMD310の外面の下に位置し、この外面は、ロケータ335によって放出または反射される光の波長に対して透過性であるか、あるいはロケータ335によって放出または反射される光の波長を実質的に減衰させないほど十分に薄い。加えて、いくつかの実施形態では、HMD310の外面または他の部分は、光の波長の可視帯域内で不透過性である。したがって、ロケータ335は、IR帯域内で透過性であるが可視帯域内で不透過性である外面の下で、IR帯域内の光を放出し得る。
【0061】
IMU345は、位置センサー340のうちの1つまたは複数から受け取られた測定信号に基づいて高速較正データを生成する電子デバイスである。位置センサー340は、HMD310の運動に応答して1つまたは複数の測定信号を生成する。位置センサー340の例は、1つまたは複数の加速度計、1つまたは複数のジャイロスコープ、1つまたは複数の磁力計、運動を検出する別の好適なタイプのセンサー、IMU345のエラー補正のために使用されるタイプのセンサー、またはそれらの何らかの組合せを含む。位置センサー340は、IMU345の外部に、IMU345の内部に、またはそれらの何らかの組合せで位置し得る。
【0062】
1つまたは複数の位置センサー340からの1つまたは複数の測定信号に基づいて、IMU345は、HMD310の初期位置に対するHMD310の推定位置を指示する高速較正データを生成する。たとえば、位置センサー340は、並進運動(前/後、上/下、左/右)を測定するための複数の加速度計と、回転運動(たとえば、ピッチ、ヨー、ロール)を測定するための複数のジャイロスコープとを含む。いくつかの実施形態では、IMU345は、測定信号を迅速にサンプリングし、サンプリングされたデータからHMD310の推定位置を計算する。たとえば、IMU345は、加速度計から受け取られた測定信号を経時的に積分して速度ベクトルを推定し、その速度ベクトルを経時的に積分してHMD310上の基準点の推定位置を決定する。代替的に、IMU345は、サンプリングされた測定信号をHMD310に与え、HMD310は、高速較正データを決定する。基準点は、HMD310の位置を表すために使用され得る点である。基準点は、概して、空間内の点として定義され得るが、しかしながら、実際には、基準点は、HMD310内の点(たとえば、IMU345の中心)として定義される。
【0063】
IMU345は、コンソール320から1つまたは複数の較正パラメータを受け取る。以下でさらに説明されるように、1つまたは複数の較正パラメータは、HMD310の追跡を維持するために使用される。受け取られた較正パラメータに基づいて、IMU345は、1つまたは複数のIMUパラメータ(たとえば、サンプルレート)を調整し得る。いくつかの実施形態では、ある較正パラメータは、IMU345が基準点の初期位置を更新することを引き起こし、したがって、その初期位置は、基準点の次の較正された位置に対応する。基準点の初期位置を基準点の次の較正された位置として更新することは、決定された推定位置に関連する累積エラーを低減するのを助ける。ドリフトエラーとも呼ばれる累積エラーは、基準点の推定位置が経時的に基準点の実際の位置から離れて「ドリフト」することを引き起こす。
【0064】
イメージングデバイス315は、コンソール320から受け取られた較正パラメータに従って低速較正データを生成する。低速較正データは、イメージングデバイス315によって検出可能であるロケータ335の観測された位置を示す1つまたは複数の画像を含む。イメージングデバイス315は、1つまたは複数のカメラ、1つまたは複数のビデオカメラ、ロケータ335のうちの1つまたは複数を含む画像をキャプチャすることが可能な任意の他のデバイス、またはそれらの何らかの組合せを含み得る。加えて、イメージングデバイス315は、(たとえば、信号対雑音比を増加させるために使用される)1つまたは複数のフィルタを含み得る。イメージングデバイス315は、イメージングデバイス315の視野内のロケータ335から放出または反射された光を検出するように設計される。ロケータ335が受動要素(たとえば、再帰反射器)を含む実施形態では、イメージングデバイス315は、ロケータ335の一部または全部を照明する光源を含み得、それらのロケータ335は、イメージングデバイス315中の光源のほうへ光を再帰反射する。低速較正データは、イメージングデバイス315からコンソール320に通信され、イメージングデバイス315は、コンソール320から1つまたは複数の較正パラメータを受け取って、1つまたは複数のイメージングパラメータ(たとえば、焦点距離、焦点、フレームレート、ISO、センサー温度、シャッタースピード、開度など)を調整する。
【0065】
触覚アセンブリ305は、ユーザがコンソール320にアクション要求を送ることを可能にするデバイスである。アクション要求は、特定のアクションを実施するための要求である。たとえば、アクション要求は、アプリケーションを開始または終了するためのものであるか、あるいはアプリケーション内で特定のアクションを実施するためのものであり得る。触覚アセンブリ305はまた、仮想オブジェクトに接触するという知覚を含む触覚フィードバックを与える。一実施形態では、触覚アセンブリ305は、1つまたは複数の複合流体デバイスを形成する、複数の構成可能な流体デバイスを含む。複合流体デバイスは、たとえば、コンソール320からの触覚フィードバック信号に従って触覚アセンブリ305中に含まれるアクチュエータをアドレス指定するために使用され得る。一実施形態では、図4において以下でより十分に説明されるように、触覚アセンブリ305は触覚グローブであり、触覚グローブを通して、コンソール320は、ユーザが仮想オブジェクトと対話することを可能にする。
【0066】
図3では、触覚アセンブリ305は、ロケータ350と、1つまたは複数の位置センサー355と、慣性測定ユニット(IMU)360とをさらに含む。いくつかの実施形態では、ロケータ350、1つまたは複数の位置センサー355、慣性測定ユニット(IMU)360は、触覚アセンブリ305の物理的位置または動きを決定するために設置される。加えて、触覚アセンブリ305は、コンソール320から、ユーザへの触覚フィードバックに対応する触覚フィードバック信号を受け取る。触覚アセンブリ305は、触覚フィードバック信号に従って、仮想空間内の仮想オブジェクトに触れるという触覚フィードバックをユーザに与える。詳細には、触覚アセンブリ305は、仮想空間内の仮想オブジェクトと接触しているユーザの部分の物理的動きを防止するかまたは可能にする。たとえば、ユーザの指が仮想空間内の仮想オブジェクト(たとえば、仮想壁)と接触している場合、触覚アセンブリ305は、仮想空間内の仮想オブジェクトを通り抜ける方向にユーザの指が動くという物理的動きを防止する。したがって、ユーザは、仮想オブジェクトに接触するという知覚を受け取ることができる。
【0067】
一実施形態では、触覚フィードバック信号は、作動されるべき触覚アセンブリ305の位置または部分と、触覚フィードバックを与えるための触覚アセンブリ305の位置または部分の作動の量とを指示する。この実施形態では、作動の量は、触覚アセンブリ305の物理的位置に対応する触覚アセンブリ305の仮想位置と、仮想空間内の仮想オブジェクトの仮想位置とに従って、たとえば、コンソール320によって決定される。触覚アセンブリ305は、触覚フィードバック信号によって指示された作動の量に従って、ユーザが仮想オブジェクトに触れるという触感知覚を与える。
【0068】
ロケータ350は、互いに対して、および触覚アセンブリ305上の触覚アセンブリ305の特定の基準点に対して、触覚アセンブリ305上の特定の位置に位置するオブジェクトである。ロケータ350は、ロケータ350が触覚アセンブリ305の一部であることを除いて、ロケータ335と実質的に同様である。加えて、いくつかの実施形態では、触覚アセンブリ305の外面または他の部分は、光の波長の可視帯域内で不透過性である。したがって、ロケータ350は、IR帯域内で透過性であるが可視帯域内で不透過性である外面の下で、IR帯域内の光を放出し得る。
【0069】
位置センサー355は、触覚アセンブリ305の運動に応答して1つまたは複数の測定信号を生成する。位置センサー355は、位置センサー355が触覚アセンブリ305の一部であることを除いて、位置センサー340と実質的に同様である。位置センサー355は、IMU360の外部に、IMU360の内部に、またはそれらの何らかの組合せで位置し得る。
【0070】
1つまたは複数の位置センサー355からの1つまたは複数の測定信号に基づいて、IMU360は、触覚アセンブリ305の初期位置に対する触覚アセンブリ305の推定位置を指示する、触覚アセンブリ305の高速較正データを生成する。たとえば、位置センサー355は、触覚アセンブリ305の並進運動(前/後、上/下、左/右)を測定するための複数の加速度計と、回転運動(たとえば、ピッチ、ヨー、ロール)を測定するための複数のジャイロスコープとを含む。いくつかの実施形態では、IMU360は、測定信号を迅速にサンプリングし、サンプリングされたデータから触覚アセンブリ305の推定位置を計算する。たとえば、IMU360は、加速度計から受け取られた測定信号を経時的に積分して速度ベクトルを推定し、その速度ベクトルを経時的に積分して触覚アセンブリ305の基準点の推定位置を決定する。
代替的に、IMU360は、サンプリングされた測定信号をコンソール320に与え、コンソール320は、触覚アセンブリ305の高速較正データを決定する。触覚アセンブリ305の基準点は、触覚アセンブリ305の位置を表すために使用され得る点である。触覚アセンブリ305の基準点は、概して、空間内の点として定義され得るが、しかしながら、実際には、触覚アセンブリ305の基準点は、触覚アセンブリ305内の点(たとえば、IMU360の中心)として定義される。
【0071】
IMU360は、コンソール320から触覚アセンブリ305の1つまたは複数の較正パラメータを受け取る。以下でさらに説明されるように、触覚アセンブリ305の1つまたは複数の較正パラメータは、触覚アセンブリ305の追跡を維持するために使用される。触覚アセンブリ305の受け取られた較正パラメータに基づいて、IMU360は、1つまたは複数のIMUパラメータ(たとえば、サンプルレート)を調整し得る。いくつかの実施形態では、触覚アセンブリ305のある較正パラメータは、IMU360が触覚アセンブリ305の基準点の初期位置を更新することを引き起こし、したがって、その初期位置は、触覚アセンブリ305の基準点の次の較正された位置に対応する。触覚アセンブリ305の基準点の初期位置を触覚アセンブリ305の基準点の次の較正された位置として更新することは、決定された推定位置に関連する累積エラーを低減するのを助ける。
【0072】
コンソール320は、イメージングデバイス315、VRヘッドセット305、および触覚アセンブリ305のうちの1つまたは複数から受け取られた情報に従って、ユーザへの提示のためのメディアをHMD310に与える。図3に示されている例では、コンソール320は、アプリケーションストア365と、追跡モジュール370と、仮想現実(VR)エンジン375とを含む。コンソール320のいくつかの実施形態は、図3に関して説明されるものとは異なるモジュールを有する。同様に、以下でさらに説明される機能は、ここで説明されるものとは異なる様式でコンソール320の構成要素間で分散され得る。
【0073】
アプリケーションストア365は、コンソール320が実行するための1つまたは複数のアプリケーションを記憶する。アプリケーションは、プロセッサによって実行されたとき、ユーザへの提示のためのコンテンツを生成する命令のグループである。アプリケーションによって生成されたコンテンツは、HMD310または触覚アセンブリ305の動きを介してユーザから受け取られた入力に応答し得る。アプリケーションの例は、ゲームアプリケーション、会議アプリケーション、ビデオ再生アプリケーション、または他の好適なアプリケーションを含む。
【0074】
追跡モジュール370は、1つまたは複数の較正パラメータを使用してVRシステム300を較正し、HMD310の位置の決定におけるエラーを低減するために、1つまたは複数の較正パラメータを調整し得る。たとえば、追跡モジュール370は、HMD310上の観測されたロケータについてのより正確な位置を取得するために、イメージングデバイス315の焦点を調整する。その上、追跡モジュール370によって実施される較正はまた、IMU345から受け取られた情報を考慮する。加えて、HMD310の追跡が失われた(たとえば、イメージングデバイス315が、少なくともしきい値数のロケータ335の見通し線を失った)場合、追跡モジュール370は、システム300の一部または全部を再較正する。
【0075】
追跡モジュール370は、イメージングデバイス315からの低速較正情報を使用してHMD310の動きを追跡する。追跡モジュール370は、低速較正情報からの観測されたロケータとHMD310のモデルとを使用して、HMD310の基準点の位置を決定する。追跡モジュール370はまた、高速較正情報からの位置情報を使用して、HMD310の基準点の位置を決定する。加えて、いくつかの実施形態では、追跡モジュール370は、高速較正情報、低速較正情報、またはそれらの何らかの組合せの部分を使用して、HMD310の将来のロケーションを予測し得る。追跡モジュール370は、HMD310の推定または予測された将来の位置をVRエンジン375に与える。
【0076】
VRエンジン375は、システム300内でアプリケーションを実行し、追跡モジュール370から、HMD310の位置情報、加速度情報、速度情報、予測された将来の位置、またはそれらの何らかの組合せを受け取る。受け取られた情報に基づいて、VRエンジン375は、ユーザへの提示のためのHMD310に与えるべきコンテンツを決定する。たとえば、受け取られた情報が、ユーザが左を見ていることを指示する場合、VRエンジン375は、仮想環境におけるユーザの動きを反映するHMD310のためのコンテンツを生成する。加えて、VRエンジン375は、触覚アセンブリ305から受け取られたアクション要求に応答して、コンソール320上で実行しているアプリケーション内でアクションを実施し、アクションが実施されたことのフィードバックをユーザに与える。与えられるフィードバックは、HMD310を介した視覚または可聴フィードバック、あるいは触覚アセンブリ305を介した触覚フィードバックであり得る。
【0077】
図4は、一実施形態による、仮想オブジェクトと対話するための例示的な触覚グローブ400である。図4に示されている触覚グローブ400は、グローブ本体410、触覚装置420、コントローラ430、シグナリング経路440、1つまたは複数のロケータ425、位置センサー460およびIMU480を含む。説明を簡略化するために、シグナリング経路440、1つの触覚装置420、1つの位置センサー460および1つのIMU480のみが図4に示されている。示されていない代替実施形態では、触覚グローブ400は、コントローラ430に接続された複数のチューブ、位置センサーおよび触覚装置を含むことができ、たとえば、触覚グローブ400の各指について、触覚装置、位置センサーおよびIMUのセットがコントローラに接続され得る。同じく、触覚グローブ400の様々なエンティティによって実施される機能は、異なる実施形態では異なり得る。加えて、触覚グローブ400の様々なエンティティは、グローブ本体410上の異なる場所に配置され得る。一例として、追加の触覚装置420および位置センサー460が、グローブ本体410の異なる部分に位置する。別の例として、触覚装置420は、グローブ本体410の指全体に結合されるか、または指全体を包む。別の例として、コントローラ430は、たとえば手首または手のひらに対応する、グローブ本体410の異なる部分に結合される。
【0078】
グローブ本体410は、手を覆う装置であり、たとえば、位置センサー460と、触覚装置420と、コントローラ430と、シグナリング440とに結合された衣類(garment)である。一実施形態では、位置センサー460は、グローブ本体410の対応する指(たとえば、グローブ本体の指先に対応する部分)に結合され、触覚装置420は、グローブ本体410の対応する指部分(たとえば、2つの指骨間の関節に対応する部分)に結合され、コントローラ430は、手の甲(すなわち、背面)に対応するグローブ本体410の部分に結合される。シグナリング経路440は、コントローラ430と触覚装置420との間に結合される。一実施形態では、これらの構成要素のうちの1つまたは複数は、グローブ本体410の外面の下に置かれ、したがって外側からは見えない。追加または代替として、これらの構成要素のうちのいくつかは、グローブ本体410の外面上に置かれ、視覚的に検出可能である。
【0079】
一実施形態では、触覚グローブ400は、図3に示されている触覚アセンブリ305であり得、触覚グローブ400のロケータ425、位置センサー460およびIMU480は、図3に示されている触覚アセンブリ305の対応するロケータ350、位置センサー355およびIMU360であり得る。ユーザの手の動きが、IMU480からの高速較正データおよび/またはイメージングデバイス315からのロケータ425の低速較正に従って、検出および追跡され得る。その上、ユーザが仮想オブジェクトに接触するという知覚を含む触覚フィードバックが、コントローラ430、シグナリング440、および触覚装置420によってユーザに与えられ得る。
【0080】
触覚装置420は、ユーザが仮想オブジェクトに触れるという知覚を含む触覚フィードバックを与える。一実施形態では、触覚装置420は、コントローラ430から受け取られた命令に従って作動される。一実施形態では、触覚装置420は、グローブ本体410の2つの指骨間の関節に対応する部分に結合される。別の実施形態では、触覚装置420は、グローブ本体410全体を覆うか、またはグローブ本体410の他の部分(たとえば、2つの異なる指の間の関節に対応する領域)上に置かれる。触覚装置420は、たとえば、複数のアクチュエータであり得る。
【0081】
コントローラ430は、特定の機能を実施するようにとの命令を触覚装置420に与えるデバイスである。コントローラ430は、コンソール320から命令または触覚フィードバックを受け取り得、それに応じて触覚装置420を作動させる。コントローラ430は、1つまたは複数の触覚装置(たとえば、アクチュエータ)のための命令を生成する複数の流体デバイスを含む。図1A図2Bに関して上記で詳細に説明されたように、流体デバイスは構成可能であり、互いに結合されて、たとえばデコーダのような複合流体デバイスを形成し得る。デコーダは、たとえば、コントローラ430内の論理接続および/または触覚装置420への接続の数を低減するのを助けることができる。
したがって、コントローラ430は、図1A図2Dに関して上記で説明されたものの様々な組合せを含む、複数の流体デバイスから構成され得る。コントローラ430と同様に、シグナリング経路440は、図1A図2Bを参照して流体デバイスから形成されたチューブまたは流体デバイスであり得る。
【0082】
追加の構成情報
本開示の実施形態の上記の説明は、説明の目的で提示されており、網羅的であること、または開示される正確な形態に本開示を限定することは意図されない。当業者は、上記の開示に照らして多くの修正および変形が可能であることを諒解することができる。
【0083】
本明細書のいくつかの部分は、情報に関する動作のアルゴリズムおよび記号表現に関して本開示の実施形態について説明する。これらのアルゴリズム説明および表現は、データ処理技術分野の当業者が、他の当業者に自身の仕事の本質を効果的に伝えるために通常使用される。これらの動作は、機能的に、計算量的に、または論理的に説明されるが、コンピュータプログラムまたは等価な電気回路、マイクロコードなどによって実装されることが理解される。さらに、一般性の喪失なしに、動作のこれらの構成をモジュールと呼ぶことが時々好都合であることも証明された。説明される動作およびそれらの関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組合せにおいて具現され得る。
【0084】
本明細書で説明されるステップ、動作、またはプロセスのいずれも、1つまたは複数のハードウェアまたはソフトウェアモジュールで、単独でまたは他のデバイスとの組合せで実施または実装され得る。一実施形態では、ソフトウェアモジュールは、コンピュータプログラムコードを含んでいるコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品で実装され、コンピュータプログラムコードは、説明されるステップ、動作、またはプロセスのいずれかまたはすべてを実施するためにコンピュータプロセッサによって実行され得る。
【0085】
本開示の実施形態はまた、本明細書の動作を実施するための装置に関し得る。この装置は、必要とされる目的のために特別に構築され得、および/あるいは、この装置は、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的にアクティブ化または再構成される汎用コンピューティングデバイスを備え得る。そのようなコンピュータプログラムは、非一時的有形コンピュータ可読記憶媒体、または電子命令を記憶するのに好適な任意のタイプの媒体に記憶され得、それらの媒体はコンピュータシステムバスに結合され得る。さらに、本明細書で言及される任意のコンピューティングシステムは、単一のプロセッサを含み得るか、または計算能力の増大のために複数のプロセッサ設計を採用するアーキテクチャであり得る。
【0086】
本開示の実施形態はまた、本明細書で説明されるコンピューティングプロセスによって製造される製品に関し得る。そのような製品は、コンピューティングプロセスから生じる情報を備え得、その情報は、非一時的有形コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、本明細書で説明されるコンピュータプログラム製品または他のデータ組合せの任意の実施形態を含み得る。
【0087】
最終的に、本明細書において使用される言い回しは、主に読みやすさおよび教育目的で選択されており、本明細書において使用される言い回しは、本発明の主題を定めるかまたは制限するように選択されていないことがある。したがって、本開示の範囲はこの詳細な説明によって限定されるのではなく、むしろ、本明細書に基づく出願に関して生じる請求項によって限定されることが意図される。したがって、実施形態の開示は、以下の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲を例示するものであり、限定するものではない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4