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  • 特許-電極素材用活性炭の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】電極素材用活性炭の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/42 20130101AFI20220829BHJP
   H01G 11/20 20130101ALI20220829BHJP
   H01G 11/24 20130101ALI20220829BHJP
   C01B 32/336 20170101ALI20220829BHJP
【FI】
H01G11/42
H01G11/20
H01G11/24
C01B32/336
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020534477
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 KR2018014500
(87)【国際公開番号】W WO2019124777
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2017-0175062
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519053658
【氏名又は名称】トカイ カーボン コリア カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ソル チャン ウク
【審査官】西間木 祐紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-212433(JP,A)
【文献】特開2016-076673(JP,A)
【文献】特開2017-088443(JP,A)
【文献】特開2008-037733(JP,A)
【文献】特開2004-107814(JP,A)
【文献】特開2004-047613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/42
H01G 11/20
H01G 11/24
C01B 32/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素材料を準備するステップと、
前記炭素材料を炭化するステップと、
前記炭化した炭素材料を活性化剤と混合するステップと、
前記活性化剤と混合した炭化した炭素材料を活性化するステップと、
前記活性化した炭素材料を洗浄して乾燥するステップと、
前記洗浄して乾燥するステップ以後に前記活性化した炭素材料を、塩素を含んでいるガスを含む雰囲気で熱処理するステップと、を含み、
前記活性化剤と混合するステップにおいて、前記活性化剤はKOHとNaOHとを混合比1:0.1~1(w/w)で混合した混合物であり、前記活性化剤は、前記炭化した炭素材料に対して1~5の重量比で投入され、
前記熱処理ステップ以後の活性化した炭素材料のうち、金属の不純物の含量が0.1ppm~20ppmであり、
前記塩素を含んでいるガスは、非活性ガスと混合して雰囲気を形成し、
前記塩素を含んでいるガスは、前記の雰囲気を形成するガスのうち10~40体積%であり、
前記熱処理するステップ以後の活性化した炭素材料の比表面積は、前記熱処理するステップ以前の活性化した炭素材料の比表面積に比べて減少し、減少比率が20%以下であり、
前記熱処理するステップ以後の活性化した炭素材料の電気伝導度が3S/cm~10S/cmである、電極素材用活性炭の製造方法。
【請求項2】
前記活性化するステップは、500℃~1000℃の活性化温度で行われる、請求項1に記載の電極素材用活性炭の製造方法。
【請求項3】
前記活性化するステップ以後に、活性化した炭素材料で活性化剤の含量は、50ppm以下である、請求項1に記載の電極素材用活性炭の製造方法。
【請求項4】
前記洗浄して乾燥するステップは、酸洗浄、及び蒸留水洗浄からなる群から選択された1種以上の方法で行われる、請求項1に記載の電極素材用活性炭の製造方法。
【請求項5】
前記洗浄して乾燥するステップは、50℃~200℃の温度で乾燥される、請求項1に記載の電極素材用活性炭の製造方法。
【請求項6】
前記洗浄して乾燥するステップ以後に、前記活性化した炭素材料のpHは6.5~7.5である、請求項1に記載の電極素材用活性炭の製造方法。
【請求項7】
前記塩素を含んでいるガスは、HCl、Cl、CHCl、ClO、BCl、SiCl、CCl、CHCl、COCl、CHCl及びCHClからなる群から選択された1種以上を含む、請求項1に記載の電極素材用活性炭の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理するステップは、500℃~1000℃の温度で行われる、請求項1に記載の電極素材用活性炭の製造方法。
【請求項9】
前記炭化するステップ以後に、前記炭化した炭素材料を平均3μm~20μmで粉砕するステップをさらに含む、請求項1に記載の電極素材用活性炭の製造方法。
【請求項10】
前記熱処理するステップ以後の活性化した炭素材料のうち酸素含量は、1%以下である、請求項1に記載の電極素材用活性炭の製造方法。
【請求項11】
前記熱処理するステップ以後の活性化した炭素材料のうち金属の不純物含量は、0.1ppm~20ppm以下である、請求項1に記載の電極素材用活性炭の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極素材用活性炭の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気電子技術の発達に伴って、各種の個人用端末と携帯用電子機器が普遍化し、それと同時にハイブリッド電気自動車に関する研究が盛んに行われることで、電池市場とそれに伴うエネルギー貯蔵装置の適用分野が拡大しつつある。最近は、電気的エネルギー貯蔵装置として低エネルギー密度特性の在来式のキャパシタ(Capacitor)と低出力密度の特性を有する二次電池の短所を補完し、瞬間的な高出力の充電・放電のできるエネルギー電気化学キャパシタが研究されている。電気化学キャパシタは、電気二重層キャパシタに類似の蓄電の2つの形態として分類される。電気二重層キャパシタは、活性炭のように相対的に電気伝導性が良好であり、イオンと接触する比表面積が極めて大きい多孔質物質を陽極と陰極の電極素材として使用することで、電気二重層原理により蓄電される電荷の量を最も大きくした電気化学キャパシタである。
【0003】
一方、電気二重層キャパシタの技術開発は、活性炭電極、電解液、分離膜の製造技術などの分野に分類される。活性炭電極に関する技術開発は、比表面積、気孔のサイズ分布、気孔体積、電気伝導度に関して主に行われ、均一な電圧、集電体に対する付着力、低い内部抵抗などの特性を有するように開発されている。最近には、電気二重層キャパシタの電極材料である活性炭の気孔構造と電気化学特性との相関関係を究明しようとする多くの研究が行われている。研究結果によれば、比表面積が増加するほど、一般に充電容量も増加するものと知られている。また、ある程度以上の比表面積が確保されれば、メソ細孔の分率の増加が充電容量に大きく影響を及ぼすと報告されている。従って、最近では、活性炭の比表面積を最大に増加させながら、メソ細孔の分率を確保する方法により、静電容量の向上された電極素材用活性炭製造技術に対する研究が多様に行われていた。しかし、活性炭の金属の不純物及び酸素を低減するために熱処理を行う方式が適用されていたが、このような熱処理工程により気孔構造などが破壊され、比表面積が20%~30%減少するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述した要求に対応するために開発された技術であって、熱処理工程で活性炭の比表面積の減少を最小化しながら、不純物を効率よく除去できる、電極素材用活性炭の製造方法に関する。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されることなく、言及されない更なる課題は、下記の記載によって当業者にとって明確に理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、活性化した炭素材料を塩素を含んでいるガスを含む雰囲気で熱処理するステップを含み、前記熱処理ステップ以後の活性化した炭素材料のうち、金属の不純物の含量が0.1ppm~20ppm以下である、電極素材用活性炭の製造方法に関する。
【0007】
本発明の一実施形態により、炭素材料を準備するステップと、前記炭素材料を炭化するステップと、前記炭化した炭素材料を活性化剤と混合するステップと、前記活性化剤と混合した炭化した炭素材料を活性化するステップと、前記活性化した炭素材料を洗浄して乾燥するステップと、前記洗浄して乾燥するステップ以後に前記活性化した炭素材料を塩素を含んでいるガスを含む雰囲気で熱処理するステップとを含むことができる。
【0008】
本発明の一実施形態により、前記活性化剤と混合するステップにおいて、前記活性化剤はアルカリ水酸化物であり、前記活性化剤は、前記炭化した炭素材料に対して1~5の重量比で投入されることができる。
【0009】
本発明の一実施形態により、前記活性化するステップは、500℃~1000℃の活性化温度で行われることができる。
【0010】
本発明の一実施形態により、前記活性化するステップ以後に、活性化した炭素材料で活性化剤の含量は、50ppm以下であり得る。
【0011】
本発明の一実施形態により、前記洗浄して乾燥するステップは、酸洗浄、蒸留水洗浄、及び不活性気体洗浄からなる群から選択された1種以上の方法で行われることができる。
【0012】
本発明の一実施形態により、前記洗浄して乾燥するステップは、50℃~200℃の温度で乾燥されることができる。
【0013】
本発明の一実施形態により、前記洗浄して乾燥するステップ以後に、前記活性化した炭素材料のpHは6.5~7.5であり得る。
【0014】
本発明の一実施形態により、前記塩素を含むガスは、HCl、Cl、CHCl、ClO、BCl、SiCl、CCl、CHCl、COCl、CHCl及びCHClからなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0015】
本発明の一実施形態により、前記塩素を含むガスは、不活性気体と混合して雰囲気を形成し、前記塩素を含むガスは、前記の雰囲気を形成するガスのうち1~50%(v/v)であり得る。
【0016】
本発明の一実施形態により、前記熱処理するステップは、500℃~1000℃の温度で行われることができる。
【0017】
本発明の一実施形態により、前記炭化するステップ以後に、前記炭化した炭素材料を平均3μm~20μmで粉砕するステップをさらに含むことができる。
【0018】
本発明の一実施形態により、前記熱処理するステップ以後の活性化した炭素材料の比表面積は、前記熱処理するステップ以前の活性化した炭素材料の比表面積に比べて20%以下に減少することができる。
【0019】
本発明の一実施形態により、前記熱処理するステップ以後の活性化した炭素材料のうち酸素含量は、1%以下であり得る。
【0020】
本発明の一実施形態により、前記熱処理するステップ以後の活性化した炭素材料のうち金属の不純物含量は、0.1ppm~20ppm以下であり得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、塩素を含むガスを用いて洗浄を適用し、比表面積の減少を防止し、酸素及び金属の不純物を効率よく洗浄できる、電極素材用活性炭の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る、本発明による活性炭の製造方法のフローチャートを例示的に示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付する図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。各図面に提示された同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0024】
以下で説明する実施形態には様々な変更が加えられることができる。以下で説明する実施形態は、実施形態に対して限定しようとするものではなく、これらに対する全ての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解しなければならない。実施形態で用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、実施形態を限定しようとする意図はない。単数の表現は文脈上、明白に相違に意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の異なる特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0025】
異なる定義がされない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含んで、ここで用いる全ての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0026】
また、図面を参照して説明する際に、図面符号に拘わらず同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。実施形態の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0027】
本発明は、活性炭の製造方法に関する。本発明の一実施形態により、図1を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る、本発明による活性炭の製造方法のフローチャートを例示的に示すものであり、図1で製造方法は、炭素材料を準備するステップ110、炭素材料を炭化するステップ120、炭化した炭素材料を活性化剤と混合するステップ130、活性化剤と混合した炭化した炭素材料を活性化するステップ140、活性化した炭素材料を洗浄して乾燥するステップ150、及び活性化した炭素材料を熱処理するステップ160を含む。
【0028】
本発明の一例として、炭素材料を準備するステップ110は、活性炭の主材料で使用され得る炭素材料を準備するステップである。例えば、炭素材料は、ピッチ、コークス、等方性炭素、異方性炭素、易黒鉛化性炭素、及び難黒鉛化性炭素からなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0029】
本発明の一例として、炭素材料を炭化するステップ120は、活性炭の結晶化度、性能、品質(例えば、純度)などを高めるために、炭素材料から炭素成分を除いた元素及び/又は不純物などを高温で除去するステップである。
【0030】
例えば、炭素材料を炭化するステップ120において、上記の炭素成分以外の成分は、油蒸気形態に蒸発され、炭化が完了する場合、本来における成分に応じて差があり得るが、準備されている炭素材料対比略3%~40%程度の重さが減少した炭化した炭素材料が収得され得る。
【0031】
例えば、炭素材料を炭化するステップ120において、炭化温度は、600℃~1200℃、600℃~1000℃、600℃~900℃、又は700℃~900℃の温度であってもよい。上記の温度範囲内に含まれれば、高いXRD最大ピーク強度、高い結晶化度、及びエネルギー貯蔵装置の電極として高い静電容量が実現可能な活性炭を提供することができる。
【0032】
例えば、炭素材料を炭化するステップ120は、10分~24時間、30分~24時間、1時間~24時間、又は、5時間~12時間の間に、空気、酸素、炭素、及び不活性気体の少なくとも1つ以上の雰囲気で実行されることができる。例えば、不活性気体は、アルゴンガス、ヘリウムガス、水素ガス、窒素ガスなどであってもよい。
【0033】
本発明の一例として、炭素材料を炭化するステップ120の後に、炭化した炭素材料を粉砕するステップ(図示せず)をさらに含むことができる。例えば、粉砕するステップは、平均3μm~20μmの粒子サイズで炭化した炭素材料を粉砕して粉末化することができる。上記の粒子サイズの範囲内に含まれれば、炭素材料の表面に活性化剤の吸着が円満に行われ、炭素材料の活性化面積を増加させることができる。
【0034】
例えば、炭化した炭素材料を粉砕するステップは、機械的ミーリングを用いるが、当該機械的ミーリングは、ローターミル、モルタルミーリング、ボールミル、遊星ボールミル(planetary ball milling)、ジェットミル、ビーズミル、及びアトリションミルからなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0035】
本発明の一例として、炭化した炭素材料を活性化剤と混合するステップ130は、炭素材料を炭化するステップ120で炭化した炭素材料と活性化剤とを混合するステップである。
【0036】
例えば、活性化剤は、炭化した炭素材料に対して1~5の重量比で投入されてもよい。上記の重量比の範囲内に含まれれば、低い比表面積を有しながら、静電容量などのような性能の向上した活性炭を提供することができる。
【0037】
例えば、活性化剤はアルカリ水酸化物であり、例えば、MOH(M=Li、Na、K、又はCsのアルカリ金属である)であってもよい。好ましくは、KOH、NaOHなどであってもよい。
【0038】
例えば、アルカリ水酸化物は、活性化工程で活性炭のメソ細孔を調節して比表面積を増加させるために混合物として投入され、例えば、1つのアルカリ水酸化物対残りのアルカリ水酸化物の混合比は、1:0.1~1(w/w)であってもよい。好ましくは、反応性の大きいアルカリ水酸化物対比較的に反応性の低い残りのアルカリ水酸化物の混合比は1:0.1~1(w/w)であってもよい。上記の混合比の範囲内に含まれれば、アルカリの活性化時に大きい比表面積を形成することができる。
【0039】
本発明の一例として、活性化剤と混合した炭化した炭素材料を活性化するステップ140は、炭化した炭素材料及び活性化剤の混合物に熱(又は、熱処理工程)を加え、活性化剤を分解させ、炭化した炭素材料の表面を活性化させて活性化した炭素材料(又は、活性炭)を形成するステップである。
【0040】
例えば、活性化剤と混合した炭化した炭素材料を活性化するステップ140は、500℃以上、500℃~1200℃、500℃~1000℃、又は600℃~800℃の活性化温度で行われることができる。上記の温度範囲内に含まれれば、比表面積が大きく、微細気孔などの形成が円満に行われ、活性炭の凝集などによる粒子サイズの増加などを防止することで、結晶化の優れた活性炭を提供することができる。
【0041】
例えば、活性化剤と混合した炭化した炭素材料を活性化するステップ140は、10分~24時間、30分~24時間、1時間~24時間、又は、5時間~12時間の間に実施され、上記の時間範囲内に含まれれば、活性化が十分に行われ、高温で長時間の露出による活性炭間の凝集などを防止することができる。
【0042】
例えば、活性化剤と混合した炭化した炭素材料を活性化するステップ140は、空気、酸素、及び不活性気体のうち少なくとも1つ以上を含む雰囲気で実施されることができる。例えば、不活性気体は、アルゴンガス、ヘリウムガス、水素、窒素などであってもよい。
【0043】
本発明の一例として、活性化剤と混合した炭化した炭素材料を活性化するステップ140後に、活性炭を粉砕するステップ(図示せず)をさらに含んでもよく、例えば、活性炭を粉砕するステップは、平均3μm~20μmの粒子サイズで粉砕して微粒子に粉末化することができる。
【0044】
本発明の一例として、活性化した炭素材料を洗浄して乾燥するステップ150は、活性化した炭素材料を洗浄して乾燥し、不純物などを除去するステップである。
【0045】
例えば、洗浄して乾燥するステップ150は、酸洗浄、蒸留水洗浄、及び不活性気体洗浄からなる群から選択される1つ以上の方法で実行されることができる。
【0046】
例えば、酸洗浄は、無機酸、有機酸又はこの2つを含む酸溶液を適用することができ、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、ギ酸、及びリン酸からなる群から選択された1種以上を含む酸水溶液を適用してもよい。
【0047】
例えば、洗浄して乾燥するステップ150は、洗浄された活性化した炭素材料を50℃~200℃、80℃~200℃、又は90℃~150℃の温度で10分以上、10分~40時間、30分~24時間、1時間~24時間、又は、5時間~12時間の間に乾燥し、真空、又は空気、不活性気体又はこの2つからなる雰囲気で乾燥することができる。
【0048】
例えば、洗浄して乾燥するステップ150の後に、活性化した炭素材料のpHは、6.5~7.5であり、活性化剤の濃度は、50ppm以下、又は、30ppm以下であってもよい。pH及び活性化剤の濃度は、洗浄、乾燥、又は2つの工程以後の数値であってもよい。
【0049】
本発明の一例として、活性化した炭素材料を熱処理するステップ160は、洗浄して乾燥するステップ150の後に、活性化した炭素材料を熱処理して不純物などを除去するステップである。例えば、金属の不純物、酸素(例えば、酸素官能基など)などを除去することができる。
【0050】
例えば、熱処理するステップ160は、塩素を含んでいるガスを含む雰囲気で、活性化した炭素材料を熱処理することができる。即ち、活性化した炭素材料を塩素を含んでいるガスを含む雰囲気で熱処理するため、金属の不純物、酸素などを効率よく除去しながら、熱処理による気孔構造の破壊などを防止し、比表面積の減少比率を最小化することができる。
【0051】
例えば、塩素を含むガスは、本発明の目的を逸脱しない限り、本発明の技術分野で活性炭の熱処理に適用可能なガスであれば、制限されることなく適用でき、例えば、HCl、Cl、CHCl、ClO、BCl、SiCl、CCl、CHCl、COCl、CHCl及びCHClからなる群から選択された1種以上を含むことができる。好ましくは、塩素を含むガスは、HCl、Cl、CHCl及びCHClであってもよい。
【0052】
例えば、塩素を含むガスは、単独又は不活性気体と混合して熱処理の雰囲気を形成することができ、塩素を含むガスは、上記の雰囲気を形成するガスのうち1~50%(v/v)、5~50%(v/v)、5~40%(v/v)、又は、10~30%(v/v)として含まれてもよい。上記の範囲内に含まれれば、水素ガスなどによる気孔構造の破壊などを防止して比表面積の減少を低くし、塩素による金属の不純物などの除去効率を向上させることができる。
【0053】
例えば、熱処理するステップ160は、300℃以上の温度、300℃~1000℃、又は500℃~1000℃の温度で10分以上、10分~40時間、30分~24時間、1時間~24時間、又は、5時間~12時間の間に実行されることができる。上記の温度及び時間範囲内に含まれれば、活性炭内の酸素及び、金属の不純物の除去が円満に行われ、比表面積などの減少を防止することができる。
【0054】
例えば、熱処理するステップ160の後に、活性化した炭素材料のうち金属の不純物は、0.1ppm~20ppm以下であってもよい。
【0055】
例えば、熱処理するステップ160の後に、活性化した炭素材料の比表面積は、熱処理するステップ前の活性化した炭素材料の比表面積に比べて20%以下、10%以下、又は、5%以下に減少し得る。
【0056】
例えば、熱処理するステップ160の後に活性化した炭素材料のうち酸素含量は、1%以下、0超過~1%以下、又は、0.01%~1%であってもよい。
【0057】
本発明は、本発明による製造方法で製造された活性炭を提供することで、本発明の一実施形態により、活性炭は、結晶性に優れ、比表面積が高く、酸素、金属の不純物などの含量が低く、電気伝導度、キャパシタ性能などが向上される。
【0058】
本発明の一例として、活性炭は、比表面積が300m/g~1500m/gであり、活性炭は、微細気孔(Micro-pore)の平均の大きさが0.6nm~1.3nmであってもよい。
【0059】
本発明の一例として、活性炭は、微細気孔体積が0.05cm/g~0.8cm/gであってもよい。
【0060】
本発明の一例として、活性炭の電気伝導度は3S/cm~10S/cmであってもよい。
【0061】
本発明の一例として、活性炭は均一な活性化が行われ、結晶化度が増加し得る。例えば、23°~26°(2θ)で最大X線回折(XRD)ピーク値を有し、このような結晶化度の増加は、高い静電容量を有するエネルギー貯蔵装置を提供することができる。
【0062】
本発明の一実施形態により、本発明は、本発明による活性炭を含むエネルギー貯蔵装置を提供することができる。
【0063】
本発明の一例として、本発明のエネルギー貯蔵装置は、ハウジング、本発明の一実施形態に係る活性炭を含む少なくとも1つ以上の電極、分離膜、及び電解質を含むことができる。
【0064】
本発明の一例として、電気エネルギー貯蔵装置の静電容量は、30F/cc~55F/ccであってもよい。
【0065】
本発明の一例として、電気エネルギー貯蔵装置は、キャパシタ、リチウム二次電池などであってもよい。
【実施例
【0066】
(実施例1)
石油系Coke材料を10時間の間に炭化して形成された炭化物及び活性化剤(KOH、NaOH=1、1(w/w))は1、5質量比(活性炭、KOH)をミキサー器に混合した。次に、混合物はるつぼに入れて1000℃の温度で不活性の雰囲気及び5時間の間に熱処理して活性化した。次に、塩酸水溶液で洗浄及び水洗を3回繰り返した後、100℃の温度で40時間の間乾燥させた。乾燥された活性炭をふるいに通過させて活性炭を取得した。
【0067】
活性炭はHCl及び水素、窒素ガスの雰囲気(HCl20%、H10%、N70%)で1000℃の温度で10時間の間熱処理して洗浄した。
【0068】
(実施例2)
Cl及び水素、窒素ガスの雰囲気(Cl20%、H10%、N70%)を適用したこと以外は実施例1と同一の方法で行った。
【0069】
(実施例3)
HCl及び水素、窒素ガスの雰囲気(HCl10%、H10%、N70%)を適用したこと以外は実施例1と同一の方法で行った。
【0070】
(実施例4)
HCl及び水素、窒素ガスの雰囲気(HCl20%、H10%、N70%)を適用したこと以外は実施例1と同一の方法で行った。
【0071】
(実施例5)
HCl及び水素、窒素ガスの雰囲気(HCl30%、H10%、N70%)を適用したこと以外は実施例1と同一の方法で行った。
【0072】
(実施例6)
HCl及び水素、窒素ガスの雰囲気(HCl60%、H10%、N70%)を適用したこと以外は実施例1と同一の方法で行った。
【0073】
(比較例1)
活性炭を水素及び窒素ガスの雰囲気(H30%、N70%)で熱処理して洗浄したこと以外は実施例1と同一の方法で行った。
【0074】
(比較例2)
活性炭を窒素ガスの雰囲気で熱処理して洗浄したこと以外は実施例1と同一の方法で行った。
【0075】
(試験例)
実施例1~2及び比較例1~2で製造された活性炭のBET及び電気伝導度を測定し、ICP分析によって金属濃度を測定し、EA分析によって酸素濃度を測定し、表1に示した。
【0076】
【表1】
【0077】
表1及び図2を考察すると、HClガスを適用した実施例は、熱処理洗浄以前及び以後に比表面積の減少比率が低く、酸素及び金属濃度が低くなることを確認できる。一方、比較例1は、比表面積の減少比率が低くなるが、金属濃度の除去率が低くなることを確認できる。また、比較例2は、比表面積の減少が20%以上発生したものと確認できる。
【0078】
表2は、HClの濃度による熱処理以後の金属の不純物の含量変化をICP分析による金属の不純物濃度で示した。
【0079】
【表2】
【0080】
表2を考察すると、HClの含量が40%以下で含まれる場合、20ppm以下の金属の不純物濃度を有していることが確認でき、60%に増加する場合には、金属の不純物濃度の減少率が低いことが確認できる。
【0081】
本技術分野で通常の知識を有する者であれば、上記記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順に実行されたり、及び/又は説明された構成要素が説明された方法と異なる形態に結合又は組み合せられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果を達成することができる。従って、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されて定められるものではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。
図1