(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】打抜きされたロータキャリアを含むハイブリッドモジュール
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20220829BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20220829BHJP
B60K 6/26 20071001ALI20220829BHJP
B60K 6/387 20071001ALI20220829BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20220829BHJP
H02K 7/10 20060101ALI20220829BHJP
F16H 41/24 20060101ALN20220829BHJP
【FI】
H02K9/19 B
B60K6/48 ZHV
B60K6/26
B60K6/387
B60K6/40
H02K7/10 C
F16H41/24 B
(21)【出願番号】P 2020560765
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(86)【国際出願番号】 US2019029431
(87)【国際公開番号】W WO2019212903
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-10-29
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー サイモン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ブルカート
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0324290(US,A1)
【文献】特開2007-336646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
H02K 1/12
B60K 6/48
B60K 6/26
B60K 6/387
B60K 6/40
H02K 7/10
F16H 41/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機であって、
ステータと、
ロータと、
前記ロータの半径方向内側に前記ロータに回転不能に固定され
、内部に形成された環状溝を有する外周面を含む軸方向に延在する円筒部を含む、ロータキャリアと
を備え
、
前記軸方向に延在する円筒部が第1の部分、第2の部分および第3の部分を含み、
前記第2の部分が、軸方向において前記第1の部分と前記第3の部分との間にあり、前記環状溝を形成するように前記第1の部分及び前記第3の部分よりも半径方向内側に突出し、
前記第2の部分は、前記第2の部分を通って前記半径方向に延在するチャネルを含み、前記チャネルは前記円筒部の半径方向内側から前記環状溝に流体を供給する、電動機。
【請求項2】
前記第1の部分、前記第2の部分および前記第3の部分は、ほぼ同じ厚さである、請求項
1に記載の電動機。
【請求項3】
前記第1の部分および前記第3の部分の少なくとも一方は、前記外周面に形成されたノッチを含み、前記ノッチは、前記ロータキャリアを前記ロータに回転不能に接続する、請求項
1に記載の電動機。
【請求項4】
前記ノッチを含む前記第1の部分および前記第3の部分の少なくとも一方が、前記ノッチと円周方向に隣接し、かつ前記ノッチから半径方向外向きにオフセットした半径方向外周面部分を含み、前記半径方向外周面部分が少なくとも1つの弧によって形成されている、請求項
3に記載の電動機。
【請求項5】
前記第2の部分の内周面が歯またはスプラインを含む、請求項
1に記載の電動機。
【請求項6】
変速機の上流かつ内燃機関の下流のトルク経路に配置するように構成されたハイブリッドモジュールであって、
請求項1に記載の電動機と、
前記環状溝の半径方向内側で前記ロータキャリアに回転不能に直接接続された少なくとも1つのクラッチプレートを含むクラッチと
を備える、ハイブリッドモジュール。
【請求項7】
ロータの半径方向内側に前記ロータに回転不能に固定されるように構成され、内部に形成された環状溝を有する外周面を含む軸方向に延在する円筒部を含み、前記軸方向に延在する円筒部が第1の部分、第2の部分および第3の部分を含み、前記第2の部分が、軸方向において前記第1の部分と前記第3の部分との間にあり、前記環状溝を形成するように前記第1の部分及び前記第3の部分よりも半径方向内側に突出し、前記第2の部分は、前記第2の部分を通って前記半径方向に延在するチャネルを含み、前記チャネルは前記円筒部の半径方向内側から前記環状溝に流体を供給する、ロータキャリアを形成する方法であって、
打抜きによって、内部に形成された環状溝を有する外周面を含む軸方向に延在する
前記円筒部を含む、ロータキャリアを形成すること
を含む、方法。
【請求項8】
前記第1の部分、前記第2の部分、および前記第3の部分が前記打抜きの前後でほぼ同じ厚さである、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記ロータキャリアの前記形成工程が、前記第1の部分および前記第3の部分の少なくとも一方において、前記外周面にノッチを打抜きすることを含む、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電動機ロータに関し、特に、ハイブリッドモジュールにおける電動機ロータに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車のドライブトレインは、従来の方法で鋳造により形成された電動機ロータキャリアを有するハイブリッドモジュールを含む。
図1は、鋳造により形成されたロータキャリア110の斜視図を示す。ロータキャリア110は、ロータキャリア110の半径方向外側のベース表面114から半径方向外向きに突出する複数の軸方向に延在する歯112を含む。歯112は、流体の流れのための軸方向に延在する溝を画定するように構成される。
【0003】
米国特許出願公開第2016/0105060号明細書(U.S.Pub.No.2016/0105060A1)は、従来のロータキャリアを含むハイブリッドモジュールを示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
電動機は、ステータ、ロータ、およびロータの半径方向内側に回転不能に固定されたロータキャリアを含む。ロータキャリアは、内部に形成された環状溝を有する外周面を含む軸方向に延在する円筒部を含む。
【0005】
実施形態において、電動機は、第1の部分、第2の部分および第3の部分を含むことがあり、第2の部分が軸方向において第1の部分と第3の部分との間にあり、環状溝が第2の部分に形成される。第1の部分、第2の部分、および第3の部分は、ほぼ同じ厚さであり得る。第1の部分および第3の部分の少なくとも一方は、外周面に形成されたノッチを含むことがあり、ノッチは、ロータキャリアをロータに回転不能に接続する。ノッチを含む第1の部分および第3の部分の少なくとも一方は、ノッチと円周方向に隣接し、かつノッチから半径方向外向きにオフセットした半径方向外周面部分を含み得る。半径方向外周面部分は、少なくとも1つの弧によって形成される。ノッチは複数のノッチであってもよく、少なくとも1つの弧は複数の弧であり得る。第1の部分および第3の部分のそれぞれは、複数のノッチのうちの少なくとも2つおよび複数の弧のうちの少なくとも2つを含み得る。ノッチは平坦に形成され得る。第2の部分は、第1の部分および第3の部分よりもさらに半径方向内側に延在することがある。第2の部分の内周面は、歯またはスプラインを含み得る。第3の部分は、ロータキャリアの自由端を形成し、ロータキャリアは、第1の部分に隣接する半径方向に延在するセクションを含む。
【0006】
変速機の上流かつ内燃機関の下流のトルク経路に配置するように構成されたハイブリッドモジュールもまた提供される。ハイブリッドモジュールは、電動機と、環状溝の半径方向内側でロータキャリアに回転不能に直接接続された少なくとも1つのクラッチプレートを含むクラッチとを含む。ロータキャリアは、軸方向に延在する円筒セクションの軸端部に半径方向に延在する円筒セクションを含み得る。ハイブリッドモジュールは、前カバーを含むトルクコンバータをさらに含み得る。ロータキャリアは、ロータキャリアの半径方向に延在するセクションを通過する留め具によってトルクコンバータに固定され得る。ハイブリッドモジュールは、内燃機関に接続するように構成された入力シャフトをさらに含み得る。クラッチは、トルクコンバータを入力シャフトに選択的に接続するか、またはトルクコンバータを入力シャフトから切断するように構成され得る。
【0007】
ロータキャリアを形成する方法もまた提供される。方法は、打抜きによって、内部に形成された環状溝を有する外周面を含む軸方向に延在する円筒部を含むロータキャリアを形成することを含む。
【0008】
方法の実施形態では、前記軸方向に延在する円筒部は第1の部分、第2の部分および第3の部分を含むことがあり、前記第2の部分が軸方向において前記第1の部分と前記第3の部分との間にあり、前記環状溝が前記第2の部分に形成される。第1の部分、第2の部分および第3の部分は、打抜きの前後でほぼ同じ厚さであり得る。ロータキャリアの形成工程は、第1の部分および第3の部分の少なくとも一方において、外周面にノッチを打抜きすることを含み得る。
【0009】
ハイブリッドモジュールを形成する方法もまた提供される。この方法は、電動機のロータキャリアを形成し、ロータキャリアをロータに回転不能に接続し、ロータキャリアをトルクコンバータのカバーに固定することを含む。トルクコンバータは、タービンと、インペラからタービンに流れる流体を介してタービンを駆動するように構成されたインペラとを含み得る。この方法は、少なくとも1つのクラッチプレートを、環状溝の半径方向内側に直接、ロータキャリアの軸方向に延在するセクションの内周面に回転不能に固定することを含み得る。トルクコンバータのカバーは、前カバーを含み得る。ロータキャリアは、軸方向に延在するセクションの軸端部に半径方向に延在するセクションを含み得る。ロータキャリアをカバーに固定することは、留め具を介して前カバーを半径方向に延在するセクションに固定することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、以下の図面を参照して以下に説明される。
【
図1】従来の鋳造技術によって形成されたロータキャリアの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるハイブリッドモジュールの図である。
【
図3a】
図2に示されるハイブリッドモジュールのロータキャリアの拡大された半径方向断面図である。
【
図3b】
図3aに示されるロータキャリアの斜視図である。
【
図4】
図2および
図3に示されるロータキャリアを形成するための中間部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、多孔性の問題を有する重いロータキャリアをもたらす鋳造ではなく、打抜きによってロータキャリアを形成する方法を提供する。打抜きによってロータキャリアを形成すると、多孔性の問題が解消され、鋳造ロータキャリアと比較してロータキャリアの重量を低減する。打抜きされたロータキャリアを形成するために、インデントが追加され、部品の外側から内側に材料を移動する。次に、この移動した材料をブローチ加工して、内側のスプラインを生成できる。この材料の移動により、同じ材料厚を部品全体で使用可能になり、鋳造物はより厚くする必要があり、重量が増加する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態によるハイブリッドモジュール10を示す。モジュール10は、内燃機関への取り付けのために構成されたハイブリッド駆動ユニット12と、変速機入力シャフトへの取り付けのために構成されたトルクコンバータ14とを含む。既知の方法で、ハイブリッド駆動ユニット12は、内燃機関からトルクコンバータ14にトルクを伝達するか、または駆動ユニット12の電動機16を介してトルクコンバータ14を直接駆動するように選択的に動作可能である。これらの線に沿って、ハイブリッド駆動ユニット12は、トルクコンバータ14を入力シャフト20に選択的に接続するためのエンジン接続/切断クラッチ18を含み、これは、例えばフライホイールを介して内燃機関のクランクシャフトに回転不能に接続するか、またはトルクコンバータを電動機16のみによって駆動できるように、トルクコンバータ14を入力シャフト20から切断するように構成される。
【0013】
電動機16は、ステータ22およびロータ24を含み、ステータ22は、ハイブリッド駆動ユニット12のハウジング26に固定される。ステータ22のコイルに電流が供給されると、コイル内の電流によって付勢される複数の永久磁石セグメント24aを含むロータ24により、ロータ24は、既知の方法でハイブリッドモジュール10の中心軸CAの周りを回転する。本明細書で使用される軸方向、半径方向、および円周方向という用語は、中心軸CAに対して使用される。磁石セグメント24aは、ロータキャリア28によって自身の内周に支持されている。ロータキャリア28は、磁石セグメント24aの内周を支持する円筒状の軸方向に延在するセクション28aと、軸方向に延在するセクション28aの端部から半径方向外向きに突出する半径方向に延在するセクション28bとを含む。トルクコンバータ14は、トルクコンバータ14のカバー31を通過する複数の留め具29によって、ロータキャリア28の半径方向に延在するセクション28bにおいてハイブリッド駆動ユニット12に固定される。
【0014】
クラッチ18は、複数のクラッチプレート30を含み、少なくともその一部は、軸方向に延在するセクション28aの内周面に形成されたスプラインすなわち歯32によって、クラッチプレートの外径端部で軸方向に摺動可能に支持されている。クラッチプレート30の少なくとも1つは、シャフト20に回転不能に固定されたカウンタプレッシャプレート36に固定された内側支持体34によって、クラッチプレートの内径端部で軸方向に摺動可能に支持されている。クラッチ18はさらに、シャフト20の外周に沿って軸方向に摺動可能なピストン38を含み、ピストン38の前後の流体圧力差に基づいてクラッチ18を係合および解放する。ピストン38がクラッチプレート30をカウンタプレッシャプレート36に押し付けると、クラッチ18が係合され、シャフト20からのトルクがクラッチプレート30を介してロータキャリア28に伝達され、ロータキャリア28は受けたトルクをダンパアセンブリ64に伝達する。ピストン38は、支持プレート42によって支持されたばね40によってクラッチプレート30から軸方向に離れて保持される。ピストン38はまた、クラッチプレート30に対するピストン38のリフトオフを制限するリフトオフ制御プレート43に弾性的に接続される。
【0015】
ハウジング26は、シャフト20の半径方向外側のクラッチ18のエンジン側に設けられた軸方向に延在する突起部44を含む。突起部44は玉軸受46を支持し、玉軸受46は突起部44上のロータフランジ48を回転可能に支持する。玉軸受46のインナレースは、突起部44の外周面に着座し、ロータフランジ48は、玉軸受46のアウタレースの外周面から、ロータキャリア28の軸方向に延在するセクション28aまで延在する。
【0016】
トルクコンバータ14は、カバー31を一緒に形成する前カバー31aおよび後カバー31bを含み、留め具29は、半径方向内側に延在して中心軸CAと交差する前カバー31aの半径方向に延在するセクションを、軸方向に通過する。後カバー31bは、複数のインペラブレード54を含むインペラ52のインペラシェル50の形状を含み、複数のインペラブレード54は、環状ボウルとして形作られ、インペラブレード54の後端部に接触するインペラシェル50の丸みをもたせたブレード支持部分50aによって支持される。
【0017】
トルクコンバータ14はまた、タービン56の係合セクションがインペラシェル50の係合セクションと係合してロックアップクラッチを形成するように、インペラシェル50に向かって、およびインペラシェル50から離れるように軸方向に移動可能なピストンを画定するように構成されるタービン56を含む。タービン56は、複数のタービンブレード60を支持するタービンシェル58を含む。トルクコンバータ14はまた、タービン56とインペラ52との間に軸方向にステータ62を含み、流体がインペラブレード54に到達する前に、タービンブレード60から流れる流体を方向転換して、トルクコンバータ14の効率を高める。トルクコンバータ14は、タービンシェル58に固定されたダンパアセンブリ64をさらに含む。ダンパアセンブリ64は、タービンシェル58からトルクを受け取り、トルクを変速機入力シャフトに伝達するように構成される。変速機入力シャフトにトルクを伝達するために、ダンパアセンブリ64は、変速機入力シャフトの外周面に回転不能に接続するためのスプライン付き内周面を含む支持ハブ66を含む。
【0018】
摩擦材料68は、ブレード54の半径方向外側にあり、かつインペラシェル50の係合セクションを形成するインペラシェル50の半径方向に延在する壁72に係合するために、ブレード60の半径方向外側にあり、かつタービン56の係合セクションを形成するタービンシェル58の外側半径方向延長部70の半径方向に延在するインペラに面する表面上に接着される。他の実施形態では、外側半径方向延長部70に接着される代わりに、またはそれに加えて、摩擦材料68は、半径方向に延在する壁72の半径方向に延在するタービンに面する表面または半径方向延長部70と壁72との間の1つ以上の追加ディスクに接着され得る。摩擦材料68が外側半径方向延長部70、半径方向に延在する壁72、または1つ以上の追加ディスクに接着されているか否かに関係なく、摩擦材料68は延長部70と壁72の間に軸方向に設けられて、タービン56の係合セクションをインペラシェル50の係合セクションに選択的に回転係合する。トルクコンバータ14は、前カバー31aの留め具29を介してハイブリッド駆動ユニット12から入力されたトルクを受け取り、これはインペラ52に伝達される。インペラ52は、ロックアップクラッチが解放されているときは、インペラブレード54からタービンブレード60への流体の流れを介して、またはロックアップクラッチが係合されているときは、摩擦材料68を介してタービン56を駆動する。次いで、タービン56がダンパアセンブリ64を駆動し、次にダンパアセンブリが変速機入力シャフトを駆動する。
【0019】
電動機16を再び参照すると、それは、ロータキャリア28上にロータ24を軸方向に保持するために軸方向に延在するセクション28aに固定されたロータクランプリング74をさらに含む。ロータクランプリング74は、磁石24aがセクション28bとリング74との間に軸方向にクランプされるように、半径方向に延在するセクション28bが設けられているロータキャリア28の第2の軸すなわち後軸28dと対向するロータキャリア28の第1の軸端部すなわち前軸端部28cに設けられている。第1の非鉄板75aは、ロータ24とリング74との間に軸方向に設けられ、第2の非鉄板75bは、ロータ24とセクション28bとの間に軸方向に設けられる。板75a,75bは、アルミニウムで形成され、ロータ磁石と接触して、本質的に磁束場の短絡であり、電動機の効率を低下させる渦電流を遮断し得る。
【0020】
図3aは、ロータキャリア28の拡大された半径方向断面図を示し、
図3bは、ロータキャリア28の斜視図を示し、第2の部分78に形成されたスプライン32の構成を示す。ロータキャリア28は、打抜きによって形成され、軸方向に延在するセクション28aを形成する複数の部分76,78,80を含む。軸方向に延在するセクション28aは、半径方向に延在するセクション28bから前方D1に軸方向に延在する第1または最後部76、第1の部分76から前方D1に延在する第2または中間部78、ならびに第2の部分78から前方D1に軸方向に延在する第3または最前部80を含む。より具体的には、第1の部分76の後軸端部76aは半径方向に延在するセクション28bに結合し、第2の部分78の後軸端部78aは第1の部分76の前軸端部76bに結合し、第3の部分80の後軸端部80aは第2の部分78の前軸端部78bに結合し、第3の部分80の前軸端部80bは、軸方向に延在するセクション28aの前軸端部28c、すなわち自由軸端部を形成する。部分76,78,80は、軸方向に延在するセクション28aの外周面28eおよび内周面28fの両方を画定する。第1の部分76は、第1の部分76の最外周面である外周面28eの半径方向外周面部分76cを含み、第3の部分80は、第2の部分80の最外周面である外周面28eの半径方向外周面部分80cを含む。第2の部分78は、第2の部分78の最も内側の外周面である、外周面28eの半径方向内側の外周面部分78cを含む。表面部分76c,80cは、第2の部分78が第1の部分76と第3の部分80との間に環状溝82を形成するように、半径方向内側の外周面部分78cの半径方向外側に配置される。第2の部分78は、それを通って半径方向に延在する半径方向に延在するチャネル84を含み、電動機16の動作中にロータ24を冷却するために、ロータキャリア28の軸方向に延在するセクション28aの半径方向内側から溝82に流体を供給する。環状溝82は、中心軸CAの周りに連続的に延在する。
【0021】
第1の部分76および第3の部分80のそれぞれには、それぞれの半径方向外周面部分76c,80cの下に半径方向に延在する少なくとも1つのノッチ76d,80dによってそれぞれ形成される半径方向内側の外周面部分が設けられる。ノッチ76d,80dは、ロータ24とロータキャリア28とを一緒に回転不能に接続するために、ロータ24の内周面上の対応する形状の突起部24b,24cと係合するようにそれぞれ構成される。言い換えると、ロータキャリア28が電動機16の動作中に中心軸CAの周りでロータ24と共に回転するように、ノッチ76d,80dは突起部24b,24cと係合する。この実施形態では、
図3bに示すように、表面部分76cが少なくとも1つの弧によって形成され、表面部分80cが少なくとも1つの弧によって形成されるように、ノッチ76d,80dは、半径方向外周面部分76c,80cに打ち抜かれた平面として形成される。
図3bに示す実施形態では、部分76には2つのノッチ76dが設けられ、表面部分76cは複数の円周方向に離間した弧により形成され、部分80には2つのノッチ80dが設けられ、表面部分80cは複数の円周方向に離間した弧により形成される。他の実施形態では、部分76,80は、異なる数のノッチおよび弧を含むことができる。
図2~
図4に示す実施形態では、ノッチ76d,80dは、第2の部分78の半径方向内周面部分78cの半径方向外側にあり、ノッチ76d,80dの半径方向に最も内側の軸方向に延在する表面76e,80eは、半径方向内周面部分78cの半径方向外側にある。
【0022】
ロータキャリア28は、部分76,78,80がそれぞれほぼ(+/-10%)同じ半径方向厚さTを有するように打ち抜かれる。したがって、第2の部分78は、第1および第3の部分76,80よりも半径方向内側に突出し、その結果、第2の部分78における内周面28fの内周面部分92は、部分76,80において内周面28fの内周面部分90,94よりも半径方向内側にある。内周面部分92は、ロータフランジ48の外周面およびクラッチプレート30の少なくともいくつかの外周面に、回転不能に接続するように構成される。
図2、
図3aおよび
図3bに示す実施形態では、内周面部分92は、1つおきのクラッチプレート30に回転不能に接続されている。好ましい実施形態では、内側表面部分90は、ロータフランジ48の外周面およびクラッチプレート30の外周面上の軸方向に延在するスプラインすなわち歯と駆動係合するように構成された軸方向に延在するスプラインすなわち歯32を備える。スプライン32はそれぞれ、ロータキャリア28の最内周面を画定する長径面32aと、短径面32bとを有する。
【0023】
図4は、ロータキャリア28の形成中に作成される中間部品88の斜視図を示し、第1および第2の部分76,80のノッチ76d,80dと、第2の部分78における環状溝82の構成とを示す。上記のように、
図4に示すように、第1の部分76の半径方向外周面部分76cおよび第3の部分80の半径方向外周面部分80cは、第2の部分78の半径方向内周面部分78cの半径方向外側に配置され、その結果、第2の部分78は、ロータキャリア28の外周面の第1の部分76と第3の部分80との間に軸方向に環状溝82を形成するように、ロータキャリア28の外周面における部分76,80に対して引っ込んでいる。
【0024】
図4はまた、第2の部分78が、第1および第3の部分76,80よりも半径方向内側に突出し、その結果、またスプライン32を設けられていない第2の部分78の内周面部分92は、部分76,80のそれぞれ内周面部分90,94よりもさらに半径方向内側にある様子を示す。より具体的には、内周面部分90,94は、それぞれ、半径方向内側表面部分90a、94aで形成され、これらは、ノッチ76d,80dの形成中に生成され、したがってノッチ76d,80d、および半径方向外側表面部分90b,94bのそれぞれと半径方向に整列する半径方向内側に延在する突起部96,98によって形成される。この実施形態では、突起部96,98は、内周面部分90,94の半径方向外側表面部分90b,94bがそれぞれ少なくとも1つの弧によって形成されるように、半径方向外周面部分76c,80cの打抜きによって形成される。
図2~
図4に示す実施形態では、半径方向外側表面部分90bが2つの円周方向に離間した弧により形成されるように、部分76には2つの突起部96が設けられ、半径方向外側表面部分94bが2つの円周方向に離間した弧により形成されるように、部分80には2つの突起部98が設けられる。
【0025】
中間部品88はさらに処理されて、ロータキャリア28を形成する。スプライン32すなわち歯は、内周面78dに形成されることがあり、半径方向に延在するセクション28bは、前カバー31aに固定するためにさらに成形されることがあり、部分80は、ロータクランプリング74を受け入れるようにさらに成形されることがある。
【0026】
前述の明細書では、本発明は、特定の例示的な実施形態およびその例を参照して説明されてきた。しかしながら、以下の特許請求の範囲に記載されるような本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更および変形が行われることができることは明らかであろう。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な方法で見なされるべきである。
【符号の説明】
【0027】
CA 中心軸
D1 前方方向
10 ハイブリッドモジュール
12 ハイブリッド駆動ユニット
14 トルクコンバータ
16 電動機
18 エンジン接続/切断クラッチ
20 入力シャフト
22 ステータ
24 ロータ
24a 磁石セグメント
26 ハウジング
28 ロータキャリア
28a 円筒状の軸方向に延在するセクション
28b 半径方向に延在するセクション
28c 第1の軸端部
28d 第2の軸端部
28e 外周面
28f 内周面
29 留め具
30 クラッチプレート
31 カバー
31a 前カバー
31b 後カバー
32 軸方向に延在するスプライン
32a 長径面
32b 短径面
34 内側支持体
36 カウンタプレッシャプレート
38 ピストン
40 ばね
42 支持プレート
43 リフトオフ制御プレート
44 ハウジング突起
46 玉軸受
48 ロータフランジ
50 インペラシェル
50a 丸みをもたせたブレード支持部
52 インペラ
54 インペラブレード
56 タービン
58 タービンシェル
60 タービンブレード
62 ステータ
64 ダンパアセンブリ
66 支持ハブ
68 摩擦材
70 外側半径方向延長部
72 半径方向に延在する壁
74 ロータクランプリング
75a 非鉄板
75b 非鉄板
76 第1の部分
76a 後軸端部
76b 前軸端部
76c 半径方向外周面部分
76d ノッチ
76e 半径方向に最も内側の軸方向に延在する表面
78 第2の部分
78a 後軸端部
78b 前軸端部
78c 半径方向内側の外周面部分
80 第3の部分
80a 後軸端部
80b 前軸端部
80c 半径方向外周面部分
80d ノッチ
80e 半径方向に最も内側の軸方向に延在する表面
82 環状溝
84 半径方向に延在するチャネル
88 中間部品
90 第1の内周面部分
90a 半径方向内側表面部分
90b 半径方向外側表面部分
92 第2の内周面部分
94 第3の内周面部分
94a 半径方向内側表面部分
94b 半径方向外側表面部分
96 突起部
98 突起部