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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20220829BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20220829BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20220829BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20220829BHJP
   H01M 4/136 20100101ALI20220829BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20220829BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20220829BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20220829BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20220829BHJP
   H01M 50/491 20210101ALI20220829BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M10/0566
H01M4/58
H01M4/587
H01M4/136
H01M4/133
H01M10/0525
H01M10/0569
H01M10/0567
H01M50/491
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020566300
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 CN2019090407
(87)【国際公開番号】W WO2020237713
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】201910473216.2
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】黄起森
(72)【発明者】
【氏名】王▲シ-▼▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼向▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ポン▼佳
(72)【発明者】
【氏名】李▲銘▼▲領▼
(72)【発明者】
【氏名】盛▲長▼亮
【審査官】増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108832134(CN,A)
【文献】国際公開第2014/034758(WO,A1)
【文献】特表2014-522549(JP,A)
【文献】特開2017-016879(JP,A)
【文献】国際公開第2014/080871(WO,A1)
【文献】特開2016-134241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00
H01M 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正電極シートと、負電極シートと、セパレータと、電解液と、を備え、
前記正電極シートは、正極集電体と、前記正極集電体の表面に設けられ、且つ正極活物質を含む正極活物質層と、を有し、前記負電極シートは、負極集電体と、前記負極集電体の表面に設けられ、且つ負極活物質を含む負極活物質層と、を有し、
前記正極活物質は、リン酸鉄リチウムを含み、前記負極活物質は、黒鉛を含み、
前記正極集電体及び前記負極集電体はいずれも複合集電体であり、前記複合集電体は、高分子材料及び高分子系複合材料の1種以上で構成される2層以上の有機支持層と、前記2層以上の有機支持層における前記有機支持層に対向する二つの面のうちの少なくとも一方の表面に設けられた導電層と、を含み、
前記2層以上の有機支持層の総厚さDは、μm≦Dμmであり、前記導電層の厚さDは、1.0μm≦D2.0μmであり、前記複合集電体の熱伝導率は、0.01W/(m・K)~W/(m・K)であり、
前記正極集電体の厚さは、1.8μm以上11.0μm以下であり、前記負極集電体の厚さは、3.6μm以上12μm以下であり、前記正極活物質層の厚さは、60μm以上90μm以下であり、前記負極活物質層の厚さは、30μm以上85μm以下であり、
前記有機支持層のヤング率Eは、2GPa≦E≦20GPaであり、且つ、前記有機支持層と前記導電層との間の結合力Fは、F≧100N/mであり、
前記高分子材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンエチレン(PPE)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTEE)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)、ポリアセチレン(PA)、シリコーンゴム、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ窒化硫黄系、ポリフェニレン、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PAN)、ポリチオフェン(PT)、ポリピリジン(PPY)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂のうちの1種以上であり、前記高分子系複合材料は、前記高分子材料及び添加剤を含み、前記添加剤は、金属材料及び無機非金属材料のうちの1種以上を含む、
リチウムイオン二次電池。
【請求項2】
記電解液の有機溶媒は、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含む混合溶媒であり、前記電解液の25℃での導電率は、8mS/cm~11mS/cmであり、且つ、
前記セパレータの空孔率は、30%~50%である、
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記電解液は、不飽和結合含有の環状カーボネートを含み、前記電解液における前記不飽和結合含有の環状カーボネートの質量百分率は、0.5%~4%であり、
前記不飽和結合含有の環状カーボネートは、ビニレンカーボネート(VC)、及びビニルエチレンカーボネート(VEC)のうちの1種以上を含む、
請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記電解液は、式Iに示される環状ジスルホン酸エステルを含み、前記電解液における前記環状ジスルホン酸エステルの質量百分率は、0.2%~2%であり、
【化1】
式Iにおいて、A及びBは、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルキレン基から選択され、
前記環状ジスルホン酸エステルは、メチレンメタンジスルホナート(MMDS)、エチレンエチルジスルホナート(EEDS)、及びプロピレンメタンジスルホネート(MPDS)のうちの1種以上を含む、
請求項1乃至のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
前記導電層は、金属材料、炭素系導電材料及び導電性高分子材料のうちの1種以上を含み、且つ、
前記導電層の体積抵抗率は、8.0×10-8Ω・m以下である、
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
前記複合集電体は、保護層をさらに備え、前記保護層は、前記導電層自体の厚さ方向に互いに対向する2つの面の少なくとも一方に設けられ、
前記保護層は、ニッケル、クロム、ニッケル基合金、銅基合金、アルミナ、酸化コバルト、酸化クロム、酸化ニッケル、黒鉛、超導電カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、及びカーボンナノファイバーのうちの1種以上を含み、
前記保護層の厚さDは、1nm≦D≦200nmであり、前記保護層の厚さDと前記導電層の厚さDとは、D≦0.1Dを満たす、
請求項1乃至のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項7】
記負極集電体となる複合集電体は、前記導電層の前記有機支持層とは反対側の面に設けられた上部保護層を含み、
前記上部保護層は、
前記導電層の前記有機支持層とは反対側の面に設けられた金属保護層と、
前記金属保護層の前記有機支持層とは反対側の面に設けられた金属酸化物保護層と、を含む、
請求項1乃至のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年05月31日付けで提出された発明名称「リチウムイオン二次電池」の中国特許出願第201910473216.2号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本願は、電気化学装置の技術分野に属し、特に、リチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン二次電池は、高い充放電性能を備え、且つ記憶の効果がなく、環境に優しいため、電気自動車や消費系電子製品に広く利用されている。リン酸鉄リチウムは、サイクル寿命が高く、安全性に優れ、高温に強い等の特性から、現在動力電池で最もよく使用されている正極活物質の一つである。しかし、リン酸鉄リチウムを用いたリチウムイオン二次電池は、一般的に低温性能が劣るという問題に直面しており、低温環境における電池の応用ニーズを満たすことができない。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施例は、リチウムイオン二次電池を提供し、それは、リン酸鉄リチウムを使用するリチウムイオン二次電池の低温性能を向上することを目的とする。
【0005】
本願の実施例は、リチウムイオン二次電池を提供し、リチウムイオン二次電池は、正電極シートと、負電極シートと、セパレータと、電解液と、を備え、正電極シートは、正極集電体と、正極集電体の表面に設けられ、且つ正極活物質を含む正極活物質層と、を有し、負電極シートは、負極集電体と、負極集電体の表面に設けられ、且つ負極活物質を含む負極活物質層と、を有し、正極活物質は、リン酸鉄リチウムを含み、負極活物質は、黒鉛を含み、正極集電体及び/又は負極集電体は、複合集電体であり、複合集電体は、有機支持層、及び有機支持層の少なくとも一方の表面に設けられた導電層を含む。
【0006】
本願の実施例により提供されるリチウムイオン二次電池は、正極活物質が、リン酸鉄リチウムを含み、負極活物質が、黒鉛を含み、正極集電体及び/又は負極集電体は、複合集電体であり、複合集電体は、有機支持層、及び有機支持層の少なくとも一方の表面に設けられた導電層を含む。複合集電体の有機支持層が有機材料を用いているため、従来の金属集電体に比べて、本願の複合集電体の熱伝導率が比較的小さく、断熱保温性能が良好であり、よって、電池が低温環境で動作する場合、環境温度の影響が小さく、且つ電池自体で発生する熱が速やかに放散されることがなく、これは、低温環境下のリチウムイオン二次電池のコア内部の適切な動作温度を維持でき、リン酸鉄リチウム電池の低温での動力学的性能が悪いという欠点を改善でき、リン酸鉄リチウム電池が良好な低温電気化学性能及び安全性を有するようにするのに有利である。また、この複合集電体は、従来の金属集電体よりも軽量であるため、電池の重量エネルギー密度も同時に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本願の実施例の技術的手段をより明確に説明するために、以下、本願の実施例で必要とされる図面について簡単に説明するが、当業者であれば、これらの図面に基づいて、創造的な作業なしで他の図面を得ることができる。
図1図1は、本願の一実施例による複合集電体の構造模式図である。
図2図2は、本願の他の実施例による複合集電体の構造模式図である。
図3図3は、本願の他の実施例による複合集電体の構造模式図である。
図4図4は、本願の他の実施例による複合集電体の構造模式図である。
図5図5は、本願の他の実施例による複合集電体の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願の発明の目的、技術的手段及び有益な技術的効果をより明確にするために、以下、本願を実施例と合わせてより詳細に説明する。本明細書に記載の実施例は、単に本願を説明するためのものであり、本願を限定するものではないことを理解すべきである。
【0009】
簡単のために、本明細書ではいくつかの数値範囲のみを明確に開示している。ただし、任意の下限は、任意の上限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成してもよく、任意の下限は、他の下限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成してもよく、同様に、任意の上限は、任意の他の上限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成してもよい。また、明確に記載されていないが、範囲の端点間の各点又は単一の数値はその範囲に含まれる。したがって、各点又は単一の数値は、それ自体の下限又は上限として、任意の他の点又は単一の数値と組み合わせて、又は他の下限又は上限と組み合わせて、明確に記載されていない範囲を形成してもよい。
【0010】
本明細書の記載において、特に説明しない限り、「以上」及び「以下」は、本数を含み、「1つ又はいくつか」のうち「いくつか」は、2つ以上を意味することに留意すべきである。
【0011】
本願の上記発明の概要は、本願に開示の各実施形態又は各実現形態を説明することを意図するものではない。以下の記載は、例示的な実施形態をより具体的に例示して説明する。本願全体を通して、様々な組み合わせの形で使用できる一連の実施例によってガイダンスが提供される。各例において、列挙は代表的なグループとしてのみ使用され、網羅的であると解釈されるべきではない。
【0012】
本願の実施例は、コアと、電解液とを備えるリチウムイオン二次電池を提供し、コア及び電解液は包装シェルに封入されてもよい。
【0013】
コアは、正電極シート、セパレータ、及び負電極シートを含む。コアは、正電極シート、負電極シート、及びセパレータを重ねたり巻いたりすることで形成され、ここで、セパレータは、正電極シートと負電極シートの間の絶縁体であり、隔離の役割を果たす。
【0014】
正電極シートは、正極集電体、及び正極集電体上に設けられた正極活物質層を含み、正極活物質層は、正極活物質を含む。負電極シートは、負極集電体、及び負極集電体上に設けられた負極活物質層を含み、負極活物質層は、負極活物質を含む。正極活物質と負極活物質の間でリチウムイオンが挿入・脱離を往復することにより、リチウムイオン二次電池の充放電を実現する。
【0015】
正極活物質は、リン酸鉄リチウムを含み、負極活物質は、黒鉛を含み、正極集電体及び/又は負極集電体は、複合集電体10である。
【0016】
図1は、本願の実施例による複合集電体10の構造模式図であり、図1を参照すると、複合集電体10は、積層された有機支持層101及び導電層102を含む。
【0017】
ここで、有機支持層101は、厚さ方向に互いに対向する第1の面101aと第2の面101bを有し、導電層102は、有機支持層101の第1の面101a及び第2の面101bに配置されている。
【0018】
なお、導電層102は、有機支持層101の第1の面101a及び第2の面101bのいずれかに設けられていてもよく、例えば、導電層102は、有機支持層101の第1の面101aに設けられていてもよく、勿論、導電層102は、有機支持層101の第2の面101bに設けられていてもよい。
【0019】
本願の実施例のリチウムイオン二次電池において、正極活物質は、リン酸鉄リチウムを含み、負極活物質は黒鉛を含み、正極集電体及び/又は負極集電体は複合集電体10であり、複合集電体10は、有機支持層101、及び有機支持層101の少なくとも一方の表面に設けられた導電層102を含む。複合集電体10の有機支持層101が有機材料を用いるため、従来の金属集電体に比べて、複合集電体10の熱伝導率が小さく、複合集電体10の断熱・保温性能が良好であり、よって、電池が低温環境で動作する際、環境温度の影響を受けにくく、且つ電池自体から発生する熱が急速に放散できない。これは、低温環境下のリチウムイオン二次電池がコア内の適正な動作温度を保つできるようにするのに有利であるため、低温での動力学的性能が悪いというリン酸鉄リチウム電池の欠点を改善でき、リン酸鉄リチウム電池が良好な低温電気化学的性能及び安全性を有するようにする。
【0020】
また、複合集電体10における有機支持層101は、導電層102を効果的に支持し、複合集電体10全体の強度を確保できるため、アルミニウム箔、銅箔等の従来の金属集電体に比べて、導電層102の厚さを大幅に薄くすることができ、破断しにくくなる。
【0021】
従来の金属集電体に比べて、導電層102の厚さが大幅に薄くなり、有機支持層101の密度が金属の密度よりも低いため、導電層102が良好な導電性及び集電性能を有することを確保するとともに、コア及びリチウムイオン二次電池の軽量化に寄与でき、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上できる。
【0022】
また、リン酸鉄リチウム及び黒鉛は、いずれも高サイクル寿命、高安全性、高温耐性等の特性を有するため、コア及び当該コアを用いたリチウムイオン二次電池は、高サイクル性能、高安全性、並びに良好な低温性能及び高温性能を有することができる。
【0023】
本願の実施例の複合集電体10において、導電層102の厚さDは、30nm≦D≦3μmであることが好ましい。導電層102の厚さDが上記範囲内であると、導電層102の導電や集電性が高くなり、リチウムイオン二次電池の低抵抗、電池分極の低減に有利であるため、リチウムイオン二次電池の電気化学的性能を向上でき、ここで、リチウムイオン二次電池は、高いレート性能及びサイクル性能を有する。導電層102の厚さDが上記範囲内であると、導電層102は加工及び使用中に破断しにくく、複合集電体10の機械的安定性及び動作安定性が高くなり、コア及びリチウムイオン二次電池の使用寿命を延長するのに有利である。
【0024】
導電層102の厚さDが3μm以下であると、リチウムイオン二次電池の釘刺し等の異常が発生した場合、導電層102に生成されるバリが小さいため、生成された金属バリが対極に接触するリスクを低減でき、リチウムイオン二次電池の安全性を改善できる。
【0025】
また、厚みの小さい導電層102を有機支持層101の表面に設けることで、複合集電体10の重量を著しく低減することができ、リチウムイオン二次電池の重量の低減に有利であり、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を著しく向上させる。
【0026】
いくつかの好ましい実施例において、導電層102の厚さDの上限は、3μm、2.5μm、2μm、1.8μm、1.5μm、1.2μm、1μm、900nm、750nm、450nm、250nm、100nmから選択でき、下限は、1.6μm、1μm、800nm、600nm、400nm、300nm、150nm、100nm、80nm、30nmから選択できる。導電層102の厚さDの範囲は、上記任意の上限値と任意の下限値との組み合わせにより形成されてもよいし、上記任意の上限値と任意の他の上限値との組み合わせにより形成されてもよいし、上記任意の下限値と任意の他の下限値との組み合わせにより形成されてもよい。
【0027】
さらに好ましくは、導電層102の厚さDは、300nm≦D≦2μmである。より好ましくは、導電層102の厚さDは、500nm≦D≦1.5μmである。より好ましくは、導電層102の厚さDは、800nm≦D≦1.2μmである。
【0028】
上記「導電層102の厚さD」とは、有機支持層101の片側に位置する導電層102の厚さを指す。
【0029】
本願の実施例の複合集電体10において、導電層102は、金属材料、炭素系導電材料及び導電性高分子材料のうちの1つ又はいくつかを含んでもよい。
【0030】
上記金属材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金のうちの1つ又はいくつかを含んでもよく、さらに、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、銀、ニッケル銅合金及びアルミニウムジルコニウム合金のうちの1つ又はいくつかを含んでもよい。
【0031】
上記炭素系導電材料としては、例えば、黒鉛、超導電カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの1つ又はいくつかを含むことができる。
【0032】
上記導電性高分子材料としては、例えば、ポリ窒化硫黄系、脂肪族共役ポリマー、芳香環共役ポリマー及び芳香族複素環共役ポリマーのうちの1つ又はいくつかを含むことができる。一例として、導電性高分子材料は、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、及びポリピリジンのうちの1つ又はいくつかを含むことができる。また、ドーピングにより導電性高分子材料の電子の非局在化を増大させ、導電率を向上させることもできる。
【0033】
いくつかの実施例において、正極集電体として複合集電体10を用いる場合、導電層102は、アルミニウム又はアルミニウム合金を含むことが好ましく、アルミニウム合金におけるアルミニウム元素の含有量は、好ましくは、80wt%以上であり、より好ましくは、90wt%以上である。負極集電体として複合集電体10を用いる場合、導電層102は、銅又は銅合金を含むことが好ましく、銅合金における銅元素の含有量は、好ましくは、80wt%以上であり、より好ましくは、90wt%以上である。
【0034】
本願の実施例の複合集電体10において、導電層102の体積抵抗率は、8.0×10-8Ω・m以下であることが好ましい。これは、導電層102が良好な導電性及び集電性を有するのに有利であるため、リチウムイオン二次電池のレート性能及びサイクル性能を向上させることができる。
【0035】
さらに、正極集電体として複合集電体10を用いる場合、導電層102の体積抵抗率は、3.2×10-8Ω・m~7.8×10-8Ω・mであることが好ましく、負極集電体として複合集電体10を用いる場合、導電層102の体積抵抗率は、1.65×10-8Ω・m~3.3×10-8Ω・mであることが好ましい。これは、導電層102が良好な導電性及び集電性を有するとともに、リチウムイオン二次電池の抵抗をさらに低くし、負極の分極を低減できるのに有利であるため、リチウムイオン二次電池は高いレート性能及びサイクル性能を兼ね備えることができ、特に、低温の条件下で、リチウムイオン二次電池の動力学的性能をより良く改善し、良好な低温レート性能等の低温電気化学的性能を確保できる。
【0036】
本願の実施例の複合集電体10において、有機支持層101の厚さDは、1μm≦D≦30μmであることが好ましい。有機支持層101の厚さDが上記範囲内であると、有機支持層101によるコア及びリチウムイオン二次電池の保温蓄熱の機能を好適に発揮でき、リチウムイオン二次電池の低温性能を向上できる。また、有機支持層101が高い機械的強度を有し、加工及び使用中に破断しにくくなり、導電層102に対して良好な支持及び保護作用を果たすことを確保でき、複合集電体10の機械的安定性及び動作安定性を向上できる。
【0037】
有機支持層101の厚さDが30μm以下であると、リチウムイオン二次電池の小型化及び軽量化に有利であり、リチウムイオン二次電池の体積エネルギー密度及び重量エネルギー密度を向上させることができる。
【0038】
いくつかの選択可能な実施例において、有機支持層101の厚さDの上限値は、30μm、25μm、20μm、18μm、15μm、12μm、10μm、8μmから選択でき、下限値は、1μm、1.5μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、9μm、16μmから選択できる。有機支持層101の厚さDの範囲は、上記任意の上限値と任意の下限値との組み合わせにより形成されてもよいし、上記任意の上限値と任意の他の上限値との組み合わせにより形成されてもよいし、上記任意の下限値と任意の他の下限値との組み合わせにより形成されてもよい。
【0039】
さらに好ましくは、有機支持層101の厚さDは、1μm≦D≦20μmである。より好ましくは、有機支持層101の厚さDは、1μm≦D≦15μmである。より好ましくは、有機支持層101の厚さDは、1μm≦D≦10μmである。より好ましくは、有機支持層101の厚さDは、1μm≦D≦8μmであり、2μm≦D≦8μmであることが好ましい。
【0040】
本願の実施例の複合集電体10において、有機支持層101のヤング率Eは、E≧2GPaであることが好ましい。これにより、有機支持層101は剛性を有し、導電層102に対する有機支持層101の高い支持作用を満たすとともに、複合集電体10の全体的な強度を確保しつつ、複合集電体10の加工中に有機支持層101が過度に伸びたり変形したりすることがなく、有機支持層101及び導電層102の破断をより効果的に防止でき、有機支持層101と導電層102との間の結合強度が高くなり、導電層102が剥がれにくくなり、複合集電体10の機械的安定性及び動作安定性が向上され、リチウムイオン二次電池の性能が向上される。
【0041】
さらに、有機支持層101のヤング率Eは、2GPa≦E≦20GPaであることが好ましく、例えば、2GPa、3GPa、4GPa、5GPa、6GPa、7GPa、8GPa、9GPa、10GPa、11GPa、12GPa、13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、18GPa、19GPa、20GPaである。これにより、有機支持層101は、剛性を有するとともに、適度な靭性を有し、有機支持層101及びこれを用いた複合集電体10が加工中に巻回できるような柔軟性を有するよう保証できる。
【0042】
本願の実施例の複合集電体10において、有機支持層101は、高分子材料及び高分子系複合材料のうちの1つ又はいくつかを用いる。
【0043】
上記高分子材料としては、例えば、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアルケン系、シロキサンポリマー、ポリエーテル系、ポリアルコール系、ポリスルホン系、多糖類ポリマー、アミノ酸系ポリマー、ポリ窒化硫黄系、芳香環ポリマー、芳香族複素環ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、それらの誘導体、それらの架橋体、及びそれらのコポリマーのうちの1つ又はいくつかであってもよい。
【0044】
さらに、高分子材料は、例えば、ポリカプロラクタム(ナイロン6と呼ばれる)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66と呼ばれる)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(PMIA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンエチレン(PPE)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTEE)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)、ポリアセチレン(Polyacetylene、PAと略称する)、シリコーンゴム(Silicone rubber)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレングリコール(PEG)、セルロース、デンプン、タンパク質、ポリフェニレン、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PAN)、ポリチオフェン(PT)、ポリピリジン(PPY)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、それらの誘導体、それらの架橋体、及びそれらのコポリマーのうちの1つ又はいくつかであってもよい。
【0045】
上記高分子系複合材料としては、例えば、上記高分子材料及び添加剤を含むものであってもよく、添加剤は、金属材料及び無機非金属材料のうちの1つ又はいくつかであってもよい。
【0046】
上記金属材料の添加剤は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、鉄、鉄合金、銀及び銀合金のうちの1つ又はいくつかである。
【0047】
上記無機非金属材料の添加剤は、例えば、炭素系材料、アルミナ、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ケイ酸塩及び酸化チタンのうちの1つ又はいくつかであり、さらに、例えば、ガラス材料、セラミック材料、及びセラミック複合材料のうちの1つ又はいくつかである。炭素系材料の添加剤としては、例えば、黒鉛、超導電カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバーのうちの1つ又はいくつかである。
【0048】
上記添加剤としては、金属材料被覆の炭素系材料、例えば、ニッケル被覆の黒鉛粉及びニッケル被覆の炭素繊維のうちの1つ又はいくつかであってもよい。
【0049】
有機支持層101としては、絶縁性高分子材料及び絶縁性高分子系複合材料のうちの1つ又はいくつかを用いることが好ましい。このような有機支持層101は、体積抵抗率が高く、リチウムイオン二次電池の安全性の向上に有利である。
【0050】
さらに、有機支持層101は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)及びポリイミド(PI)のうちの1つ又はいくつかを含む。
【0051】
本願の実施例の複合集電体10において、有機支持層101は、単層構造であってもよいし、2層、3層、4層等の2層以上の複合層構造であってもよい。
【0052】
図2は、本願の実施例による他の複合集電体10の構造模式図であり、図2を参照すると、有機支持層101は、第1の副層1011、第2の副層1012、及び第3の副層1013が積層された複合層構造である。複合層構造の有機支持層101は、互いに対向する第1の面101aと第2の面101bを有し、導電層102は、有機支持層101の第1の面101a及び第2の面101b上に積層して設けられている。勿論、導電層102は、有機支持層101の第1の表面101aのみに設けられていてもよいし、有機支持層101の第2の面101bのみに設けられていてもよい。
【0053】
有機支持層101が2層以上の複合層構造である場合、各の副層の材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0054】
複合集電体10の熱伝導率は、0.01W/(m・K)~10W/(m・K)であることが好ましい。複合集電体10の熱伝導率が10W/(m・K)より高いと、電池全体の低温電気化学的性能及び低温でのリチウム析出を改善する役割を果たすのに十分ではない。複合集電体10の熱伝導率が0.01W/(m・K)未満であると、通常、有機支持層101の厚さが厚くなり、電池の体積エネルギー密度及び重量エネルギー密度に影響を与える。
【0055】
より好ましくは、複合集電体10の熱伝導率は、0.1W/(m・K)~2W/(m・K)である。
【0056】
複合集電体10の熱伝導率は、導電層102の厚さD、導電層102の材料、有機支持層101の厚さD、有機支持層101の材料、導電層102の製造プロセス条件(例えば、堆積プロセスによって導電層102を製造する際の堆積速度、堆積温度、冷却速度等)、導電層102と有機支持層101との結合力等の要素の影響を受ける。複合集電体10の熱伝導率は、上述した要素の1つ又は複数を調節することによって改善できる。
【0057】
本願の実施例の複合集電体10は、保護層103をさらに選択的に含む。図3乃至図5を参照すると、導電層102は、自体の厚さ方向に互いに対向する2つの面を有し、保護層103は、導電層102の2つの面のいずれか一方又は両方に積層されて、導電層102を保護し、導電層102の化学腐食や機械的破壊等の損傷を防止し、複合集電体10の動作安定性及び使用寿命を確保し、よって、リチウムイオン二次電池が高い安全性及び電気化学的性能を有するのに有利である。また、保護層103は、複合集電体10の強度を高めることができる。
【0058】
図3乃至図5では、有機支持層101の片面に導電層102を有し、導電層102自体の厚さ方向に互いに対向する両面の一方又は両方に保護層103を有しているが、他の実施例では、有機支持層101の互いに対向する2つの面にそれぞれ導電層102を有していてもよく、いずれか一方の導電層102自体の厚さ方向に互いに対向する2つの面の一方又は両方に保護層103を有していてもよく、2つの導電層102自体の厚み方向に互いに対向する2つの面の一方又は両方に保護層103を有していてもよいことを理解すべきである。
【0059】
保護層103は、金属、金属酸化物、及び導電性カーボンのうちの1つ又はいくつかを含む。ここで、金属材料の保護層103は、金属保護層であり、金属酸化物材料の保護層103は、金属酸化物保護層である。
【0060】
上記金属は、例えば、ニッケル、クロム、ニッケル基合金及び銅基合金のうちの1つ又はいくつかである。上記ニッケル基合金は、純ニッケルを基体として1種又は複数種の他の元素を加えてなる合金であり、好ましくは、ニッケル-クロム合金である。ニッケル-クロム合金は、金属ニッケル及び金属クロムからなる合金であって、オプションとして、ニッケル-クロム合金におけるニッケルとクロムとの重量比は、1:99~99:1であり、例えば、9:1である。上記銅基合金は、純銅を基体として1種又は複数種の他の元素を加えてなる合金であり、好ましくは、ニッケル銅合金である。オプションとして、ニッケル銅合金におけるニッケルと銅との重量比は、1:99~99:1であり、例えば、9:1である。
【0061】
上記金属酸化物は、例えば、アルミナ、酸化コバルト、酸化クロム、及び酸化ニッケルのうちの1つ又はいくつかである。
【0062】
上記導電性カーボンは、例えば、黒鉛、超導電カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、及びカーボンナノファイバーのうちの1つ又はいくつかであり、さらに、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、及びグラフェンのうちの1つ又はいくつかである。
【0063】
いくつかの例として、図3を参照すると、複合集電体10は、積層された有機支持層101、導電層102、及び保護層103を含む。ここで、有機支持層101は、厚さ方向に互いに対向する第1の面101a及び第2の面101bを有し、導電層102は、有機支持層101の第1の面101a及び第2の面101bの少なくとも一方に積層されており、保護層103は、導電層102の有機支持層101とは反対側の面に積層されている。
【0064】
導電層102の有機支持層101とは反対側の面には保護層103(上部保護層と略称する)が設けられ、導電層102に対して化学的腐食や機械的破壊からの保護作用を果たし、複合集電体10と活物質層との界面を改善し、複合集電体10と活物質層との結合力を向上させる。
【0065】
いくつかの実施例において、複合集電体10の上部保護層は、金属保護層及び金属酸化物保護層のうちの少なくとも1つであることが好ましく、金属酸化物保護層及び金属保護層は、機械的強度が高く、耐食性が高く、且つ比表面積が大きいため、導電層102の化学的腐食や機械的破壊等のダメージをより好適に防ぐことができ、同時に、導電層102と正極活物質層との界面結合力をより高め、リチウムイオン二次電池の性能を向上させることができる。
【0066】
さらに、正極集電体として複合集電体10を用いる場合、複合集電体10の上部保護層は、金属酸化物保護層であることが好ましく、例えば、アルミナ、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化クロム等であり、金属酸化物保護層は、硬度及び機械的強度が高く、比表面積がより大きく、耐食性に優れ、導電層102をより良好に保護できる。また、電池の釘刺し安全性の改善にも有利である。
【0067】
又は、さらに、負極集電体として複合集電体10を用いる場合、上部保護層は、金属保護層であることが好ましく、金属保護層は、複合集電体10の導電性を向上でき、電池分極を低減でき、負極からのリチウム析出のリスクを低減し、リチウムイオン二次電池のサイクル性能及び安全性を向上させる。より好ましくは、二層保護層、即ち、一層の金属保護層と一層の金属酸化物保護層との複合層であり、ここで、好ましくは、金属保護層は、導電層102の有機支持層101とは反対側の面に設けられ、金属酸化物保護層は、金属保護層の有機支持層101とは反対側の面に設けられる。これにより、負極集電体の導電性能、耐食性能、及び導電層102と負極活物質層との界面等を同時に改善でき、総合性能の良い負極集電体を得ることができる。
【0068】
別の例として、図4を参照すると、複合集電体10は、積層された有機支持層101、導電層102、及び保護層103を含む。ここで、有機支持層101は、厚さ方向に互いに対向する第1の面101a及び第2の面101bを有し、導電層102は、有機支持層101の第1の面101a及び第2の面101bの少なくとも一方に積層され、保護層103は、導電層102の有機支持層101側の面に積層されている。
【0069】
導電層102の有機支持層101側の面には保護層103(下部保護層と略称する)が設けられており、下部保護層は、導電層102に対して化学的腐食や機械的破壊からの保護作用を果たすとともに、導電層102と有機支持層101との結合力を高め、導電層102と有機支持層101との分離を防ぎ、導電層102に対する支持及び保護作用を高めることができる。
【0070】
オプションとして、下部保護層は、金属酸化物保護層又は金属保護層であり、金属保護層及び金属酸化物保護層は、耐食性が高く、比表面積が大きいため、導電層102と有機支持層101との界面結合力をより高めることができ、下部保護層が導電層102を保護する役割をより良く果たすようにし、リチウムイオン二次電池の性能を向上させることができる。金属酸化物保護層は、硬度がより高く、機械的強度がより良好であり、複合集電体10の強度の向上により有利である。正極集電体として複合集電体10を用いる場合、下部保護層は、金属酸化物保護層であることが好ましい。負極集電体として複合集電体10を用いる場合、下部保護層は、金属保護層であることが好ましく、導電層102に対して化学的腐食や機械的破壊からの保護作用を果たすとともに、複合集電体10の導電性能を向上でき、電池分極を低減でき、負極からのリチウム析出のリスクを低減でき、リチウムイオン二次電池のサイクル性能及び安全性を向上できる。
【0071】
さらに別の例として、図5を参照すると、複合集電体10は、積層された有機支持層101、導電層102、及び保護層103を含む。ここで、有機支持層101は、厚さ方向に互いに対向する第1の面101a及び第2の面101bを有し、導電層102は、有機支持層101の第1の面101a及び第2の面101bの少なくとも一方に積層され、保護層103は、導電層102の有機支持層101とは反対側の面及び有機支持層101側の面に積層されている。
【0072】
導電層102の両面にはいずれにも保護層103が設けられており、導電層102をより十分に保護して、複合集電体10に高い総合性能を持たせる。
【0073】
導電層102の両面上の保護層103は、材料が同じであっても異なっていてもよく、厚さが同じであっても異なっていてもよいことを理解すべきである。
【0074】
保護層103の厚さDは、1nm≦D≦200nm、且つ、D≦0.1Dであることが好ましい。保護層103が薄すぎると、導電層102を保護するのに十分ではなく、厚すぎると、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度が低下する。
【0075】
いくつかの実施例において、保護層103の厚さDの上限値は、200nm、180nm、150nm、120nm、100nm、80nm、60nm、55nm、50nm、45nm、40nm、30nm、20nmであってもよく、下限値は、1nm、2nm、5nm、8nm、10nm、12nm、15nm、18nmであってもよい。保護層103の厚さDの範囲は、上記任意の上限値と任意の下限値との組み合わせにより形成されてもよいし、上記任意の上限値と任意の他の上限値との組み合わせにより形成されてもよい。上記任意の下限値と任意の他の下限値との組み合わせにより形成されてもよい。
【0076】
より好ましくは、保護層103の厚さDは、5nm≦D≦200nmであり、より好ましくは、10nm≦D≦200nmである。
【0077】
上記「保護層103の厚さD」とは、導電層102の片側に位置する保護層103の厚さを指す。即ち、上部保護層の厚さDは、1nm≦D≦200nm、且つ、D≦0.1Dであり、さらに、5nm≦D≦200nmであり、よりさらに、10nm≦D≦200nmである。下部保護層の厚さDは、1nm≦D≦200nm、且つ、D≦0.1Dであり、さらに、5nm≦D≦200nmであり、よりさらに、10nm≦D≦200nmである。
【0078】
導電層102の両面に保護層103が設けられている場合、即ち、複合集電体10が上部保護層及び下部保護層を含む場合、D>Dであることが好ましく、上部保護層及び下部保護層が協働して導電層102に対して化学的腐食や、機械的破壊からの保護作用を果たすとともに、リチウムイオン二次電池に高いエネルギー密度を持たせるのに有利である。より好ましくは、0.5D≦D≦0.8Dであり、上部保護層及び下部保護層の相乗的な保護作用をより良好に発揮することができる。
【0079】
保護層103の配置が複合集電体10の熱伝導率に与える影響は無視できることを理解すべきである。
【0080】
いくつかの実施例において、有機支持層101と導電層102との間の結合力Fは、好ましくは、F≧100N/m、より好ましくは、F≧400N/mである。これにより、有機支持層101と導電層102との間の剥離を効果的に防ぐことができ、全体の強度及び信頼性を向上でき、リチウムイオン二次電池の性能の向上に有利である。
【0081】
本願の実施例の複合集電体10において、導電層102として金属材料を用いる場合、有機支持層101上に機械的圧延、接着、気相蒸着法、化学めっき、電気めっきのうちの少なくとも1つによって形成してもよく、中でも、気相蒸着法、電気めっき法が好ましい。導電層102を気相蒸着法や電気めっき法によって有機支持層101上に形成することにより、導電層102と有機支持層101との間の結合をより強くするのに有利である。
【0082】
上記気相蒸着法は、物理気相蒸着法であることが好ましい。物理気相蒸着法は、蒸発法及びスパッタ法のうちの少なくとも1つが好ましく、中でも、蒸発法は、真空蒸着法、熱蒸発法及び電子ビーム蒸発法のうちの少なくとも1つが好ましく、スパッタ法は、マグネトロンスパッタ法が好ましい。
【0083】
一例として、上記機械的圧延により導電層102を形成する条件は、以下のとおりである。金属箔シートをメカニカルロールに入れて、20t~40tの圧力を加えて所定の厚さに圧延させる。次に、表面洗浄処理された有機支持層101の表面に配置した後、両者をメカニカルロールに入れて、30t~50tの圧力を加えることにより両者を密着させる。
【0084】
上記接着により導電層102を形成する条件は、以下のとおりである。金属箔シートをメカニカルロールに入れて、20t~40tの圧力を加えて所定の厚さに圧延させる。次に、表面洗浄処理された有機支持層101の表面に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とN-メチルピロリドン(NMP)との混合溶液を塗布する。最後に、上記所定の厚さの導電層102を有機支持層101の表面に接着させ、乾燥して両者を密着させる。
【0085】
上記真空蒸着法により導電層を形成する条件は、以下のとおりである。表面清浄処理された有機支持層101を真空チャンバ内に置き、金属蒸発室内の高純度ワイヤを1300℃~2000℃の高温で溶融蒸発させる。蒸発した金属は真空チャンバ内の冷却システムを経て、最後に有機支持層101の表面に堆積され、導電層102を形成する。
【0086】
導電層102としてカーボン系導電材料を用いる場合、有機支持層101上に、機械的圧延法、接着法、気相蒸着法、インサイチュ形成法及びコーティング法のうちの少なくとも1つにより形成してもよい。
【0087】
導電層102として導電性高分子材料を用いる場合、有機支持層101上に、機械的圧延法、接着法、インサイチュ形成法及びコーティング法のうちの少なくとも1つにより形成してもよい。
【0088】
複合集電体10が保護層103を有する場合、保護層103は、気相蒸着法、インサイチュ形成法及びコーティング法のうちの少なくとも1つにより導電層102上に形成してもよい。気相蒸着法は、上述のような気相蒸着法であってもよい。インサイチュ形成法は、インサイチュ不動態化法、即ち、金属表面にインサイチュで金属酸化物不動態化層を形成する方法が好ましい。コーティング法は、ロールコーティング、エクストルージョンコーティング、ナイフコーティング及びグラビアコーティングのうちの少なくとも1つが好ましい。
【0089】
好ましくは、保護層103は、気相蒸着法及びインサイチュ形成法のうちの少なくとも1つにより導電層102上に形成され、導電層102と保護層103との間に高い結合力を持たせるのに有利であり、これにより、複合集電体10に対する保護層102の保護作用がより良好に発揮され、複合集電体10の動作性能が確保される。
【0090】
上記いずれかの実施例の複合集電体10は、正極集電体及び負極集電体のいずれか一方又は両方として用いることができる。
【0091】
いくつかの実施例において、正極集電体は、金属集電体(例えば、アルミニウム箔又はアルミニウム合金集電体)又は複合集電体10であり、負極集電体は、複合集電体10である。銅の密度が高いため、従来の銅箔負極集電体を複合集電体10に置き換えることで、リチウムイオン二次電池の重量エネルギー密度を大幅に改善しつつ、リチウムイオン二次電池の低温性能を改善することができる。また、負電極シートに複合集電体10を用いることにより、リチウムイオン二次電池の低温性能を改善しつつ、負極の低温リチウム析出現象をより良好に防止することができ、リチウムイオン二次電池の動力学的性能、レート性能、安全性をより良く改善する。
【0092】
正極集電体及び負極集電体の両方が複合集電体10である場合、リチウムイオン二次電池の低温性能をよりよく改善することができる。
【0093】
本願において、導電層102の厚さD及び有機支持層101の厚さDは、当該技術分野で公知の機器及び方法を用いて測定することができ、例えば、0.1umデジタル型マイクロメータ(マイクロメータの一種)を用いてもよい。
【0094】
複合集電体10の熱伝導率は、当該技術分野で公知の機器及び方法を用いて測定することができ、例えば、熱伝導率計を用いてもよい。複合集電体10を5cm×5cmのサンプルに切断し、このサンプルの熱伝導率をTC3000型熱伝導率計を用いて測定する。
【0095】
導電層102の体積抵抗率ρは、ρ=R×dであり、ここで、ρの単位はΩ・mであり、Rは、導電層102のシート抵抗であり、単位はΩであり、dは、導電層102のm単位の厚さである。4プローブ法を採用して導電層102のシート抵抗Rを測定する方法は、RTS-9型二電測4プローブ測定器を使用し、測定環境は、常温23±2℃、0.1MPa、相対湿度≦65%であり、測定の時、正極集電体10のサンプルを表面洗浄した後、測定台上に水平に置き、4プローブを下ろして、プローブをサンプルの導電層102表面に良好に接触させ、次に、自動測定モードを調整してサンプルの電流範囲を測定し、適切な電流範囲でシート抵抗の測定を行い、同じサンプルの8乃至10個のデータ点をデータ測定の正確性及び誤差分析のために収集した。最後に、平均値を導電層102のシート抵抗として記録する。
【0096】
有機支持層101のヤング率Eは、当該技術分野で公知の方法を用いて測定することができる。一例として、有機支持層101を15mm×200mmのサンプルに切断し、0.1umデジタル型マイクロメータでサンプルの厚さh(μm)を測定し、高鉄引張機器(中国高鉄社の製品)を用いて、常温常圧(25℃、0.1MPa)で引張測定を行い、治具間のサンプル長さが50mm、引張速度が5mm/minとなるように初期位置を設定し、破断までの引張荷重L(N)、装置変位y(mm)を記録すると、応力ε(GPa)=L/(15×h)となり、歪みη=y/50、応力-歪み曲線をプロットし、初期線形領域曲線を取ると、この曲線の傾きがヤング率Eである。
【0097】
有機支持層101と導電層102との間の結合力Fは、当該技術分野で公知の方法によって測定することができる。例えば、導電層102が有機支持層101の一面に配置された複合集電体10を測定サンプルとしてを用いて、幅dは0.02mである。常温常圧(25℃、0.1MPa)で、3M 両面テープを使用し、ステンレス板に均一に貼り付け、さらに被測定サンプルを両面テープに均一に貼り付け、高鉄引張機器を用いて被測定サンプルの導電層102を有機支持層101から剥離し、引張力と変位のデータ図に基づき、最大引張力x(N)を読み取り、導電層102と有機支持層101との間の結合力F(N/m)は、F=x/dにより算出される。
【0098】
正電極シート
本願の実施例は、リチウムイオン二次電池用の正電極シートを提供する。正電極シートは、正極集電体、及び正極集電体上に設けられた正極活物質層を含む。一例として、正極集電体は、自体の厚さ方向に互いに対向する2つの面を有し、正極活物質層は、正極集電体の両面に積層されている。勿論、正極活物質層は、正極集電体の両面のいずれかに積層されていてもよい。
【0099】
負極集電体が金属集電体であると、正極集電体は、前述の複合集電体10である。負極集電体が前述の複合集電体10であると、正極集電体は、前述の複合集電体10であってもよいし、アルミニウム箔又はアルミニウム合金等の金属集電体であってもよい。
【0100】
正極集電体が前述の複合集電体10である場合、前述の対応する効果に加えて、リチウムイオン二次電池の安全性を向上させることができる。
【0101】
正極活物質層には、正極活物質を含み、正極活物質には、リン酸鉄リチウムが含まれる。
【0102】
正極活物質層は、リチウムイオンの可逆的な挿入・脱離が可能な当該技術分野で公知の他の正極活物質をさらに選択的に含んでいてもよい。
【0103】
他の正極活物質は、例えば、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リン酸バナジウムリチウム、リン酸コバルトリチウム、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、ケイ酸鉄リチウム、ケイ酸バナジウムリチウム、ケイ酸コバルトリチウム、ケイ酸マンガンリチウム及びチタン酸リチウムのうちの1つ又はいくつかであってもよい。例えば、他の正極活物質は、LiMn、LiNiO、LiCoO、LiNi1-yCo(0<y<1)、LiNiCoAl1-a-b(0<a<1、0<b<1、0<a+b<1)、LiMn1-m-nNiCo(0<m<1、0<n<1、0<m+n<1)、LiMPO(Mは、Mn、Co及びFeのうちの1つ又はいくつかであってもよい)、及びLi(POのうちの1つ又はいくつかである。
【0104】
オプションとして、正極活物質におけるリン酸鉄リチウムの含有量は、50wt%以上、さらに60wt%以上、よりさらに80wt%以上である。この場合、本願の実施例のリチウムイオン二次電池の低温性能をより顕著に改善することができる。
【0105】
正極活物質層は、接着剤を選択的に含んでいてもよく、本願において、接着剤の種類は特に限定されない。一例として、接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水性アクリル樹脂(water basedacrylic resin)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びポリビニルブチラール(PVB)のうちの1つ又はいくつかである。
【0106】
正極活物質層は、導電剤を選択的に含んでいてもよく、本願において、導電剤の種類は特に限定されない。一例として、導電剤は、例えば、黒鉛、超導電カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバーのうちの1つ又はいくつかである。
【0107】
正極活物質層の厚さTは、50μm~100μmであることが好ましい。正極活物質層の厚さTが上記範囲内であると、リチウムイオン二次電池の低温性能の改善効果がより良くなるとともに、正極の良好な動力学的性能を確保でき、リチウムイオン二次電池の電気化学的性能を改善できる。より好ましくは、正極活物質層の厚さTが60μm~90μmである場合、リチウムイオン二次電池の低温性能をさらに改善でき、総合性能に優れた正電極シート及びリチウムイオン二次電池を得ることができる。
【0108】
上記「正極活物質層の厚みT」とは、正極集電体の片側の正極活物質層の厚みを指す。
【0109】
正電極シートは、当技術分野で慣用されている方法、例えばコーティング法によって製造できる。一例として、正極活物質と選択可能な導電剤及び接着剤とを溶媒中に分散させて、均一な正極スラリーを取得し、ここで、溶媒はN-メチルピロリドン(NMP)であってもよい。その後、正極スラリーを正極集電体上に塗布し、乾燥等の工程を経て、正電極シートを得る。
【0110】
負電極シート
本願の実施例は、リチウムイオン二次電池用の負電極シートを提供する。負電極シートは、負極集電体、及び負極集電体上に設けられた負極活物質層を含む。一例として、負極集電体は、自体の厚さ方向に互いに対向する2つの面を有し、負極活物質層は、負極集電体の両面に積層されている。勿論、負極活物質層は、負極集電体の両面のいずれかに積層していてもよい。
【0111】
正極集電体が金属集電体であると、負極集電体は上述の複合集電体10である。正極集電体が上述した複合集電体10であると、負極集電体は上述の複合集電体10であってもよいし、銅箔や銅合金等の金属集電体であってもよい。
【0112】
負極集電体が上述した複合集電体10である場合、上述した対応する効果を有するので、ここでは説明を省略する。
【0113】
負極活物質層は、負極活物質を含み、負極活物質は、黒鉛、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛のうちの少なくとも1つを含む。
【0114】
負極活物質は、イオンの可逆的な挿入・脱離が可能な当該技術分野で公知の他の負極活物質をさらに選択的に含んでいてもよい。
【0115】
他の負極活物質は、例えば、金属リチウム、メソカーボンマイクロビーズ(MCMBと略記)、ハードカーボン、ソフトカーボン、シリコン、シリコン-カーボン複合体、SiO、Li-Sn合金、Li-Sn-O合金、Sn、SnO、SnO、スピネル構造のチタン酸リチウム、及びLi-Al合金のうちの1つ又はいくつかであってもよい。
【0116】
オプションとして、負極活物質における黒鉛の含有量は、50wt%以上、さらに60wt%以上、よりさらに80wt%以上である。この場合、本願の実施例のリチウムイオン二次電池の低温性能をより顕著に改善することができる。
【0117】
負極活物質層は、導電剤を選択的に含んでいてもよく、本願において、導電剤の種類は特に限定されない。一例として、導電剤は、黒鉛、超導電カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバーのうちの1つ又はいくつかである。
【0118】
負極活物質層は、接着剤を選択的に含んでいてもよく、接着剤の種類は特に限定されない。一例として、接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水性アクリル樹脂(water basedacrylic resin)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びポリビニルブチラール(PVB)のうちの1つ又はいくつかである。
【0119】
好ましくは、負極活物質層の厚さTは、30μm~70μmである。負極活物質層の厚さTが上記範囲内であると、リチウムイオン二次電池の低温性能の改善効果がより良くなるとともに、負極の良好な動力学的性能を確保でき、リチウムイオン二次電池の電気化学的性能を改善できる。より好ましくは、負極活物質層の厚さTが40μm~60μmである場合、リチウムイオン二次電池の低温性能をさらに改善でき、総合性能に優れた負電極シート及びリチウムイオン二次電池を得ることができる。
【0120】
上記「負極活物質層の厚みT」とは、負極集電体の片側の負極活物質層の厚みを指す。
【0121】
負電極シートは、当該技術分野で慣用されている方法、例えばコーティング法によって製造できる。一例として、負極活物質と選択可能な導電剤及び接着剤とを溶媒中に分散させて、均一な負極スラリーを取得し、ここで、溶媒は脱イオン水であってもよい。その後、負極スラリーを負極集電体上に塗布し、乾燥等の工程を経て、負電極シートを得る。
【0122】
電解液
本願の実施例は、リチウムイオン二次電池用の電解液を提供する。電解液は、有機溶媒、及び有機溶媒中に分散された電解質リチウム塩を含む。
【0123】
有機溶媒は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ペンテニルカーボネート、1,2-ブタンジオールカーボネート(1,2-BC)、2,3-ブタンジオールカーボネート(2,3-BC)、炭酸エチルメチル(EMC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジプロピル(DPC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、炭酸エチルプロピル(EPC)、炭酸ブチレン(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ギ酸メチル(MF)、ギ酸エチル(EM)、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル(PP)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1,4-ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、メチルエチルスルホン(EMS)、ジエチルスルホン(ESE)のうちの1つ又はいくつかであってもよい。
【0124】
いくつかの好ましい実施例において、有機溶媒は、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含む混合溶媒である。このような有機溶媒は、導電率、粘度等の総合性能が良好な電解液の製造に有利である。電解液の25℃での導電率は、8mS/cm~11mS/cmであることが好ましい。導電率が小さいと、電解液の動力学的性能は相対的に低下し、リン酸鉄リチウム電池の分極は相対的に大きく、常温サイクル性能及び低温性能に影響する。導電率が大きいと、電解液の熱安定性は相対的に低下し、リン酸鉄リチウム電池の高温サイクル性能に影響する。
【0125】
電解質リチウム塩は、例えば、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiBF(テトラフルオロホウ酸リチウム)、LiClO(過塩素酸リチウム)、LiAsF(ヘキサフルオロヒ酸リチウム)、LiFSI(ジフルオロスルホニルイミドリチウム)、LiTFSI(ジフルオロスルホニルイミドリチウム)、LiTFS(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)、LiDFOB(ジフルオロシュウ酸ホウ酸リチウム)、LiBOB(ジシュウ酸ホウ酸リチウム)、LiPO(ジフルオロリン酸リチウム)、LiDFOP(ジフルオロジシュウ酸リン酸リチウム)、及びLiTFOP(テトラフルオロシュウ酸リン酸リチウム)のうちの1つ又はいくつかであってもよい。
【0126】
電解液には、添加剤が選択的に含まれていてもよく、添加剤は、例えば、負極成膜用の添加剤を含んでいてもよいし、正極成膜用の添加剤を含んでいてもよいし、電池の特定の性能を改善できる添加剤を含んでいてもよい。例えば、電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温性能を改善する添加剤、電池の低温性能を改善する添加剤等を含んでいてもよい。
【0127】
いくつかの好ましい実施例において、添加剤は、不飽和結合含有の環状カーボネート、例えば、二重結合含有の環状カーボネートを含む。電解液に不飽和結合含有の環状カーボネートを含ませることにより、リン酸鉄リチウム正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池の高温環境下での保存及びサイクル充放電の容量保持率を改善でき、リチウムイオン二次電池の高温性能を向上できる。
【0128】
さらに、電解液における不飽和結合含有の環状カーボネートの質量百分率は、好ましくは、0.1%~4%であり、より好ましくは、0.5%~4%であり、さらに好ましくは、0.5%~3%である。
【0129】
本願の実施例に係るリチウムイオン二次電池において、電解液における不飽和結合含有の環状カーボネートの含有量が上記範囲内である場合、負極に良好な緻密性及び安定性の固体電解質界面(Solid Electrolyte Interphase、SEI)膜を形成でき、且つ該SEI膜が良好なイオン伝導性を有することにより、電池の高温サイクル性能を向上でき、電池がサイクル中で負極からリチウムが析出されるリスクを防止でき、電池の安全性を向上できる。
【0130】
いくつかの実施例において、電解液における不飽和結合含有の環状カーボネートの質量百分率の上限値は、4%、3.8%、3.5%、3.2%、3%、2.8%、2.5%、2.2%、2.0%であっってもよく、下限値は、0.1%、0.5%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.2%、1.4%、1.5%、1.7%、1.8%であってもよい。電解液における不飽和結合含有の環状カーボネートの質量百分率の範囲は、上記任意の上限値と任意の下限値との組み合わせにより形成されてもよいし、上記任意の上限値と任意の他の上限値との組み合わせにより形成されてもよいし、上記任意の下限値と任意の他の下限値との組み合わせにより形成されてもよい。
【0131】
さらに、上記不飽和結合含有の環状カーボネートは、ビニレンカーボネート(VC)及びビニルエチレンカーボネート(VEC)から選択される1種又は2種であってもよい。
【0132】
いくつかの好ましい実施例において、添加剤は、環状スルホン酸エステルを含み、好ましくは、式Iで示される環状ジスルホン酸エステルを含む。
【化1】
上記式Iにおいて、A及びBは、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルキレン基から選択される。
【0133】
電解液中に環状ジスルホン酸エステルを含むことにより、SEI膜の成膜抵抗を低減することができる。これにより、リン酸鉄リチウム正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池の低温性能、常温性能及び高温サイクル性能を改善し、電池寿命を効果的に延ばすことができる。
【0134】
さらに、電解液における環状ジスルホン酸エステルの質量百分率は、好ましくは、0.1%~2%であり、より好ましくは、0.2%~2%であり、さらに好ましくは、0.2%~1%である。
【0135】
本願の実施例に係るリチウムイオン二次電池において、電解液における環状ジスルホン酸エステルの含有量が上記範囲内にあると、SEI膜の成膜抵抗を効果的に低減でき、リン酸鉄リチウム正極活物質を用いるリチウムイオン二次電池の低温性能、常温性能及び高温サイクル性能を効果的に向上できる。
【0136】
いくつかの実施例において、電解液における環状ジスルホン酸エステルの質量百分率の上限値は、2%、1.8%、1.6%、1.5%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.95%、0.9%であってもよく、下限値は、0.1%、0.2%、0.25%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%であってもよい。電解液における環状ジスルホン酸エステルの質量百分率の範囲は、上記任意の上限値と任意の下限値との組み合わせにより形成されてもよいし、上記任意の上限値と任意の他の上限値との組み合わせにより形成されてもよいし、上記任意の下限値と任意の他の下限値との組み合わせにより形成されてもよい。
【0137】
さらに、上記環状ジスルホン酸エステルは、メチレンメタンジスルホナート(MMDS)、エチレンエチルジスルホナート(EEDS)、及びプロピレンメタンジスルホネート(MPDS)から選択される1つ又はいくつかであってもよい。
【0138】
セパレータ
本願の実施例において、セパレータの種類は特に限定されることなく、公知の良好な化学的安定性や機械的安定性を有する多孔質構造のセパレータを任意に選択でき、例えば、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリフッ化ビニリデンのうちの1つ又はいくつかであってもよい。セパレータは、単層フィルムであってもよいし、多層複合フィルムであってもよい。セパレータが多層複合フィルムである場合、各層の材料は同じであっても異なっていてもよい。セパレータは、複合セパレータであってもよく、例えば、有機セパレータの表面に無機コーティング層が設けられた複合セパレータであってもよい。
【0139】
セパレータの空孔率は、30~50%であることが好ましく、リチウムイオン二次電池の動力学的性能を改善でき、リチウムイオン二次電池の低温性能の改善に有利である。
【0140】
リチウムイオン二次電池の製造
正電極シート、セパレータ、負電極シートを順次に積層して、セパレータが正電極シートと負電極シートとの間で分離の役割を果たすようにして、コアを取得したが、巻いてコアを得ることもできる。コアを包装シェルに入れて電解液を注入し密封してリチウムイオン二次電池を取得する。
【0141】
実施例
以下の実施例は、本願に開示の内容をより具体的に説明する。これらの実施例は、単に説明のためのものであり、本願の開示の範囲内での様な修正及び変更は、当業者にとっては明らかである。特に明記しない限り、以下の実施例で報告される全ての部、百分率、及び比率は、重量に基づいており、実施例で使用される全ての試薬は市販されているか、又は常法に従って合成されており、さらに処理することなく直接使用することができる。また、実施例で使用される装置は市販されている。
【0142】
製造方法
通常の正電極シートの製造
正極活物質 リン酸鉄リチウム(LFP)、接着剤 ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電剤 アセチレンブラックを98:1:1の質量百分率で混合した後、溶媒 N-メチルピロリドン(NMP)を添加し、真空攪拌機の作用下で安定且つ均一になるまで攪拌して、正極スラリーを取得し、正極スラリーを正極集電体アルミニウム箔上に均一に塗布し、乾燥、冷間プレス、カットを経て、通常の正電極シートを得た。正電極シートの圧密密度は2.4g/cmである。
【0143】
正電極シートの製造
通常の正電極シートの製造と異なる点は、正極集電体は複合集電体であり、複合集電体は、真空蒸着法を用いて製造され、以下の工程を含むことである。所定の厚さの有機支持層を選択して表面洗浄処理を行い、表面清浄処理された有機支持層を真空チャンバ内に置き、金属蒸発室内の高純度アルミワイヤを1300℃~2000℃の高温で溶融蒸発させ、蒸発した金属は真空チャンバ内の冷却システムを経て、最後に、有機支持層の両面に堆積され、導電層を形成する。
【0144】
通常の負電極シートの製造
負極活物質 黒鉛、導電剤 アセチレンブラック、増粘剤 CMC、接着剤 SBRを97:1:1の質量百分率で混合した後、溶媒 脱イオン水を添加し、真空攪拌機の作用下で安定且つ均一になるまで攪拌し、負極スラリーを取得し、負極スラリーを負極集電体銅箔上に均一に塗布し、乾燥、冷間プレスを経て、通常の圧密密度が1.7g/cmの負電極シートを得た。
【0145】
負電極シートの製造
通常の負電極シートの製造と異なる点は、負極集電体は複合集電体であり、複合集電体は真空蒸着法を用いて製造され、以下の工程を含むことである。所定の厚さの有機支持層を選択して表面洗浄処理を行い、表面清浄処理された有機支持層を真空チャンバ内に置き、金属蒸発室内の高純度銅線を1300℃~2000℃の高温で溶融蒸発させ、蒸発した金属は真空チャンバ内の冷却システムを経て、最後に、有機支持層の両面に堆積し、導電層を形成する。
【0146】
電解液の製造
有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、炭酸エチルメチル(EMC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、プロピオン酸メチル(MP)の混合溶媒である。電解質リチウム塩は、LiPFである。電解液におけるLiPFの質量百分率は、12.5wt%である。
【0147】
リチウムイオン二次電池の製造
正電極シート、負電極シート及びセパレータを巻いてコアを得て、コアを包装シェルに入れた後、電解液を注液し密封して、静置、圧密、化成、排気等の工程を経て、リチウムイオン二次電池を得た。
【0148】
測定部分
(1)リチウムイオン二次電池の低温性能測定
25℃で、リチウムイオン二次電池を1Cで2.0Vまで放電し、1Cの定電流で3.6Vまで充電した後、電流が0.05Cになるまで定電圧で充電し、充電容量をCCとして記録する。次に、電池周囲温度を-10℃に調整し、1Cの定電流で2.0Vまで放電し、放電容量をCDとして記録する。放電容量CDと充電容量CCとの比は、リチウムイオン二次電池の-10℃での放電容量保持率である。
リチウムイオン二次電池の-10℃での放電容量保持率(%)=CD/CC×100%
【0149】
(2)リチウムイオン二次電池の高温サイクル性能測定
25℃で、リチウムイオン二次電池を1Cで2.0Vまで放電し、その後、リチウムイオン二次電池の周囲温度を60℃まで昇温し、1Cの定電流で3.6Vまで充電した後、電流が0.05Cになるまで定電圧で充電し、その後、1Cの定電流で2.0Vまで放電したものを一回の充放電サイクルとし、今回の放電容量をリチウムイオン二次電池の60℃での初回目サイクルの放電容量とする。上記方法で500回サイクル測定を行い、リチウムイオン二次電池の60℃での500回目サイクルの放電容量を記録する。
リチウムイオン二次電池の60℃で500回サイクル後の容量保持率(%)=500回目サイクルの放電容量/初回目サイクルの放電容量×100%。
【0150】
測定結果
1.電気化学装置の重量エネルギー密度の改善における複合集電体の作用
1)正極集電体が複合集電体である場合、電気化学装置の重量エネルギー密度の改善における作用
【表1-1】
表1-1において、正極集電体の重量百分率は、単位面積当たりの正極集電体の重量を単位面積当たりの通常の正極集電体の重量で割った百分率である。
【0151】
複合集電体を用いた正極集電体の重量は、従来のアルミニウム箔正極集電体と比較してある程度に軽減され、電池の重量エネルギー密度を向上させることができる。
【0152】
2)負極集電体が複合集電体である場合、電気化学装置の重量エネルギー密度の改善における作用
【表1-2】
表1-2において、負極集電体の重量百分率は、単位面積当たりの負極集電体の重量を単位面積当たりの通常の負極集電体の重量で割った百分率である。
【0153】
複合集電体を用いた負極集電体の重量は、従来の銅箔負極集電体と比較してある程度に軽減され、電池の重量エネルギー密度を向上させることができる。
【0154】
2.電気化学装置の電気化学的性能に対する複合集電体の影響
【表2】
表2の電池において、負極活物質層の厚さはいずれも52μmであり、正極活物質層の厚さはいずれも74μmである。
【0155】
表2のデータは、複合集電体の使用する場合、リン酸鉄リチウムリチウムイオン二次電池の低温電気化学的性能を改善できることを示す。
【0156】
3.複合集電体の熱伝導率及び電気化学装置の低温電気化学的性能への影響
【表3-1】
【0157】
【表3-2】
表3-2の電池において、負極活物質層の厚みはいずれも52μmであり、正極活物質層の厚みはいずれも74μmである。
【0158】
表3-2のデータから分かるように、複合集電体の熱伝導率が0.01W/(m・K)~10W/(m・K)であることにより、リン酸鉄リチウム電池の低温性能が向上される。
【0159】
4.電気化学装置の電気化学的性能に対する電解液の添加剤等の影響
【表4】
表4の電池において、正極集電体はいずれも通常の正極集電体であり、正極活物質層の正極活物質はいずれもLFPであり、正極活物質層の厚さはいずれも74μmである。負極活物質層の負極活物質はいずれも黒鉛であり、負極活物質層の厚みはいずれも52μmである。電解液の添加剤の含有量とは、電解液における添加剤の質量百分率である。
【0160】
表4のデータから分かるように、電解液に不飽和結合含有の環状カーボネート及び/又は環状ジスルホン酸エステルを添加することにより、リチウムイオン二次電池の低温性能及び高温サイクル性能が一層向上される。
【0161】
5.電気化学装置の低温性能に対する電極シートの活物質層の厚さの影響
【表5】
表5の電池において、正極活物質層の正極活物質はいずれもLFPであり、負極活物質層の負極活物質はいずれも黒鉛である。
【0162】
表5のデータから分かるように、正極活物質層の厚みTが50μm~100μmである場合、本願はリチウムイオン二次電池の低温性能の改善効果がより良好であり、さらに、正極活物質層の厚みTが60μm~90μmである場合、リチウムイオン二次電池の低温性能をさらに改善できる。負極活物質層の厚みTが30μm~70μmである場合、本願はリチウムイオン二次電池の低温性能の改善効果がより良好であり、さらに、負極活物質層の厚みTが40μm~60μmである場合、リチウムイオン二次電池の低温性能をさらに改善できる。
【0163】
6.電気化学装置の低温性能に対する保護層の影響
【表6-1】
表6-1において、正極集電体33を使った上で保護層を設ける。
【0164】
【表6-2】
表6-2の電池において、負極活物質層の厚みはいずれも52μmであり、正極活物質層の厚みはいずれも74μmである。
【0165】
表6-2のデータから分かるように、正極集電体が複合集電体である場合、保護層を設けることにより、電池の60℃、1C/1Cで500回サイクル後の容量保持率をさらに向上でき、電池の信頼性がより良好になる。
【0166】
【表6-3】
表6-3において、負極集電体35を使った上で保護層を設ける。
【0167】
表6-3において、ニッケル基合金には、ニッケル 90wt%、クロム 10wt%が含まれている。
【0168】
表6-3において、二層保護層は、導電層の有機支持層とは反対側の面に設けられた厚さ30nmのニッケル保護層と、ニッケル保護層の有機支持層とは反対側の面に設けられた厚さ30nmの酸化ニッケル保護層と、を含む。
【0169】
【表6-4】
表6-4の電池において、負極活物質層の厚みはいずれも52μmであり、正極活物質層の厚みはいずれも74μmである。
【0170】
表6-4のデータから分かるように、負極集電体が複合集電体である場合、保護層を設けることにより、電池の60℃、1C/1Cで500回サイクル後の容量保持率をさらに向上でき、電池の信頼性がより良好になる。
【0171】
以上、本願の具体的な実施形態について説明したが、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本願に開示の技術的範囲内において、様な等価な修正又は置換が容易に考えられ、これらの修正又は置換は、本願の範囲内に含まれるべきである。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に準ずるものとする。
【符号の説明】
【0172】
10 複合集電体、
101 有機支持層、
101a 第1の面、101b 第2の面、
1011 第1の副層、1012 第2の副層、1013 第3の副層、
102 導電層、
103 保護層。
図1
図2
図3
図4
図5