(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】荷台のシート部および荷台シート装置
(51)【国際特許分類】
B60P 7/04 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
B60P7/04 B
(21)【出願番号】P 2021063395
(22)【出願日】2021-04-02
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】505101514
【氏名又は名称】株式会社 アール・エレック
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【氏名又は名称】浅見 保男
(74)【代理人】
【識別番号】100199820
【氏名又は名称】西脇 博志
(72)【発明者】
【氏名】市川 粒二
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08857887(US,B1)
【文献】特開2000-052868(JP,A)
【文献】実開平01-157037(JP,U)
【文献】実開平03-053337(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 7/04
B60P 7/02
B60R 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台の上面を覆うことが可能な幅と長さとされ、両側の端部に所定間隔で設けられた磁石と、先端部に所定間隔で複数の係止孔が形成された把持部と、該把持部の後端に設けられた係合部とを有する柔軟な布製とされたシートと、
該シートを巻き取って収納するリールと、該リールを回転可能に保持する回転軸と、前記シートを巻き取る回転方向に前記リールを付勢する付勢手段とが収納されている巻き取りケースと、
を備え、
前記巻き取りケースを車両の荷台に取り付けて、前記把持部を把持して前記シートを前記巻き取りケースから引き出して車両の荷台を覆うようにした際に、前記シートの両側の端部がコ字状の形状の第1保持部材のコ字状内に挿通されて、前記磁石が前記第1保持部材の内面に吸着されると共に、前記把持部の前記複数の
係止孔がコ字状の形状の第2保持部材の内面から突出するよう形成された棒状の複数の係止凸部にそれぞれ係合されるようにしたことを特徴とするシート部。
【請求項2】
前記シートが、左右前後に伸縮可能なツーウェイストレッチ素材からなることを特徴とする請求項1に記載のシート部。
【請求項3】
車両の荷台の上面を覆うことが可能な幅と長さとされ、両側の端部に所定間隔で設けられた磁石と、先端部に所定間隔で複数の係止孔が形成された把持部と、該把持部の後端に設けられた係合部とを有する柔軟な布製とされたシートと、
該シートを巻き取って収納するリールと、該リールを回転可能に保持する回転軸と、前記シートを巻き取る回転方向に前記リールを付勢する付勢手段とが収納されている巻き取りケースと、
車両の荷台の右側壁の上端に固着可能なコ字状の形状の第1保持部材と、
荷台の左側壁の上端に固着可能なコ字状の形状の第2保持部材と、
コ字状の形状の上の内面あるいは下の内面から棒状の複数の係止凸部が突出するよう形成され、リア側壁の上端に固着可能な第3保持部材と、
を備え、
前記巻き取りケースを車両の荷台に取り付けて、前記把持部を把持して前記シートを前記巻き取りケースから引き出して車両の荷台を覆うようにした際に、前記シートの両側の端部が前記第1保持部材および前記第2保持部材のコ字状内に挿通されて、前記磁石が前記第1保持部材および前記第2保持部材の上の内面あるいは下の内面に吸着されると共に、前記把持部が前記第3保持部材のコ字状内に挿通されて前記把持部の前記複数の
係止孔が前記第3保持部材の前記複数の係止凸部にそれぞれ係合されるようにしたことを特徴とする荷台シート装置。
【請求項4】
前記シートが、左右前後に伸縮可能なツーウェイストレッチ素材からなることを特徴とする請求項3に記載の荷台シート装置。
【請求項5】
両端部に磁石が設けられており、細長い矩形状の容易に折り曲げられない複数枚のシート板を、表側シートと裏側シートとの間に所定間隔で挟み込んで構成されたシート部からなり、
前記シート部において、
前記シート板の両端部に設けられている前記磁石の極が、隣接する前記シート板において反対の極とされていると共に、前記シート板の間の空隙が折り曲げ可能な折曲部とされ、前記シート部を車両の荷台の開口面とされる上面に設置した際に、前記シート板の両端部に設けられている前記磁石が、車両の荷台を構成している右側壁および左側壁の上面に吸着されて、前記シート部により車両の荷台の上面を覆うことが可能とされ、前記シート部を前記折曲部で折り曲げることにより、前記シート板が重なるように折り畳
んだ際に、隣接する前記シート板の両端部に設けられている前記磁石が互いに吸着することを特徴とする荷台シート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方が開口する荷台を備えた車両の荷台における上面の開口面を覆う荷台のシート部および荷台シート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上方が開口する荷台を備えた車両は、荷物運搬用や作業用の車両として使用されることが多くされ、荷台には荷物や工具、資材が積まれる。荷物や資材は雨に濡れると商品としても価値が下がるものが多く、工具には電動工具のように雨に濡れると故障してしまうものが多くされている。このため、荷台に雨を避けることが望まれる荷物や工具、資材が積まれている時は、積まれた荷物や工具、資材を覆う荷台のシートが使用される。積まれた荷物や工具、資材を覆うようにシートを設置する場合は、シートで荷台の両側壁およびリア側壁で囲まれた空間における上面の開口面を覆うようにしている。この場合、シートの外縁に所定間隔で複数のゴムバンドが設けられている時は、複数のゴムバンドを荷台の基部や両側壁およびリア側壁に設けられているフックに引っかけてシートを荷物や工具、資材の上に張ることにより、荷台が確実に覆われるようにしている。また、シートの外縁に設けられている挿通穴に通した紐を上記フックにかけてシートを荷物や工具、資材の上に張ることにより、荷台の上面の開口面が確実に覆われるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートで荷物や工具、資材が確実に覆われるように作業するのには、繁雑な作業を時間をかけて行うことになる。さらに、車両が目的地に着いた際には、荷物や工具、資材を覆っているシートを、設置した順序と逆の順序で取り外す作業を行う必要があると共に、取り外したシートを収納するスペースが必要になってしまう。
そこで、従来、荷台カバーを引き出して荷台の上面を覆うことができる車両の荷台構造が特許文献1に開示されている。特許文献1には、荷台の後部で車幅方向に沿って起立し、該荷台の後方を区画するテールゲートと、柔軟性を有するトノカバーと、前記テールゲートの内部に設けられ、前記トノカバーを引き出し自在に巻き取る巻取装置と、前記テールゲートの上端部と前記巻取装置との間に設けられ、該巻取装置から引き出された前記トノカバーの移動を許容するカバー移動路と、前記カバー移動路の上端から車両前方へ導出された前記トノカバーを、前記荷台の少なくとも後方上部を覆う所定位置に保持するカバー保持手段とを備えた車両の荷台構造が開示されている。
【0005】
上記した従来の車両の荷台構造では、荷物や工具、資材を簡易な作業を行うだけでトノカバーで覆うことができると共に、トノカバーを取り外す作業および収納スペースを不要とすることができる。しかしながら、荷台構造が複雑な構造になると共に、高価格になるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、簡易な構成で荷台の上面を覆うことができ、低価格とすることができる荷台のシート部および荷台シート装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のシート部は、車両の荷台の上面を覆うことが可能な幅と長さとされ、両側の端部に所定間隔で設けられた磁石と、先端部に所定間隔で複数の係止孔が形成された把持部と、該把持部の後端に設けられた係合部とを有する柔軟な布製とされたシートと、該シートを巻き取って収納するリールと、該リールを回転可能に保持する回転軸と、前記シートを巻き取る回転方向に前記リールを付勢する付勢手段とが収納されている巻き取りケースとを備え、前記巻き取りケースを車両の荷台に取り付けて、前記把持部を把持して前記シートを前記巻き取りケースから引き出して車両の荷台を覆うようにした際に、前記シートの両側の端部がコ字状の形状の第1保持部材のコ字状内に挿通されて、前記磁石が前記第1保持部材の内面に吸着されると共に、前記把持部の前記複数の係止孔がコ字状の形状の第2保持部材の内面から突出するよう形成された棒状の複数の係止凸部にそれぞれ係合されるようにしたことを最も主要な特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の荷台シート装置は、車両の荷台の上面を覆うことが可能な幅と長さとされ、両側の端部に所定間隔で設けられた磁石と、先端部に所定間隔で複数の係止孔が形成された把持部と、該把持部の後端に設けられた係合部とを有する柔軟な布製とされたシートと、該シートを巻き取って収納するリールと、該リールを回転可能に保持する回転軸と、前記シートを巻き取る回転方向に前記リールを付勢する付勢手段とが収納されている巻き取りケースと、車両の荷台の右側壁の上端に固着可能なコ字状の形状の第1保持部材と、荷台の左側壁の上端に固着可能なコ字状の形状の第2保持部材と、コ字状の形状の上の内面あるいは下の内面から棒状の複数の係止凸部が突出するよう形成され、リア側壁の上端に固着可能な第3保持部材とを備え、前記巻き取りケースを車両の荷台に取り付けて、前記把持部を把持して前記シートを前記巻き取りケースから引き出して車両の荷台を覆うようにした際に、前記シートの両側の端部が前記第1保持部材および前記第2保持部材のコ字状内に挿通されて、前記磁石が前記第1保持部材および前記第2保持部材の上の内面あるいは下の内面に吸着されると共に、前記把持部が前記第3保持部材のコ字状内に挿通されて前記把持部の前記複数の係止孔が前記第3保持部材の前記複数の係止凸部にそれぞれ係合されるようにしたことを最も主要な特徴としている。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の他の荷台シート装置は、両端部に磁石が設けられており、細長い矩形状の容易に折り曲げられない複数枚のシート板を、表側シートと裏側シートとの間に所定間隔で挟み込んで構成されたシート部からなり、前記シート部において、前記シート板の両端部に設けられている前記磁石の極が、隣接する前記シート板において反対の極とされていると共に、前記シート板の間の空隙が折り曲げ可能な折曲部とされ、前記シート部を車両の荷台の開口面とされる上面に設置した際に、前記シート板の両端部に設けられている前記磁石が、車両の荷台を構成している右側壁および左側壁の上面に吸着されて、前記シート部により車両の荷台の上面を覆うことが可能とされ、前記シート部を前記折曲部で折り曲げることにより、前記シート板が重なるように折り畳んだ際に、隣接する前記シート板の両端部に設けられている前記磁石が互いに吸着することを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート部は、車両の荷台の上面を覆うことが可能なシートを、シートを巻き取って収納する巻き取りケースから構成されることから、簡易な構成で荷台の上面を覆うことができ、低価格とすることができるようになる。
また、本発明の荷台シート装置は、本発明のシート部と、荷台の左右およびリアの側壁に固着される断面コ字状の第1保持部材ないし第3保持部材から構成されることから、簡易な構成で荷台の上面を覆うことができ、低価格とすることができるようになる。
さらに、本発明の他の荷台シート装置は、両端部に磁石が設けられており、細長い矩形状の容易に折り曲げられない複数枚のシート板を、表側シートと裏側シートとの間に所定間隔で挟み込んで構成されたシート部から構成されていることから、簡易な構成で荷台の上面を覆うことができ、低価格とすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施例にかかるシート部の構成を示す側面図である。
【
図2】本発明の第1実施例にかかるシート部の構成を示す上面図である。
【
図3】本発明の第1実施例にかかるシート部のシートが収納された状態の構成を示す側面図である。
【
図4】本発明の第1実施例にかかるシート部のシートが収納された状態の構成を示す示す上面図である。
【
図5】本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置の構成を断面図で示す側面図である。
【
図6】本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置の構成を断面図で示す上面図である。
【
図7】本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置のシートが収納された状態の構成を断面図で示す側面図である。
【
図8】本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置のシートが収納された状態の構成を断面図で示す上面図である。
【
図9】本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置のシートが引き出された状態の構成を断面図で示す側面図である。
【
図10】本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置のシートが引き出された状態の構成を断面図で示す上面図である。
【
図11】本発明の第1実施例の荷台シート装置を車両に搭載した構成を示す側面図である。
【
図12】本発明の第1実施例の荷台シート装置を車両に搭載した構成を示す上面図である。
【
図13】本発明の第1実施例の荷台シート装置における右側保持部材の構成を示す上面図、下面図、側面図である。
【
図14】本発明の第1実施例の荷台シート装置におけるリア側保持部材の構成を示す上面図、下面図、側面図である。
【
図15】本発明の第2実施例にかかる荷台シート装置の構成を断面図で示す上面図である。
【
図16】本発明の第2実施例にかかる荷台シート装置の構成を示す側面図である。
【
図17】本発明の第2実施例にかかる荷台シート装置を折り畳んだ状態の構成を示す側面図である。
【
図18】本発明の第2実施例の荷台シート装置を折り畳んで車両に搭載した構成を示す側面図である。
【
図19】本発明の第2実施例の荷台シート装置を車両に搭載して展開した構成を示す側面図である。
【
図20】本発明の第2実施例の荷台シート装置を車両に搭載して展開した構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本発明の第1実施例のシート部>
本発明の第1実施例のシート部の構成を
図1ないし
図4を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施例にかかるシート部10の構成を示す側面図であり、
図2は本発明の第1実施例にかかるシート部10の構成を示す上面図であり、
図3は本発明の第1実施例にかかるシート部10においてシート10aが収納された状態を示す側面図であり、
図4は本発明の第1実施例にかかるシート部10においてシート10aが収納された状態を示す上面図である。なお、
図1および
図2にはシート10aが引き出し途中とされている。
これらの図に示す本発明の第1実施例にかかるシート部10は、左右前後に伸縮可能なツーウェイストレッチ素材からなる柔軟な布製とされているシート10aと、シート10aが巻き取られて収納されている巻き取りケース11とから構成されている。シート10aの幅は、シート部10が搭載される車両の荷台の横幅とほぼ等しくされ、シート10aの長さは該車両の荷台の縦方向の長さ以上の長さとされて、シート10aにより上記車両の荷台の上面を覆うことができるようにされている。
また、シート10aの両側の端部には所定間隔で複数の磁石10bが設けられており、シート10aの先端には剛性の強い素材からなる把持部10cが、シート10aの幅と同じ長さで幅方向に装着されている。把持部10cには所定間隔で係止孔10dが形成されており、把持部10cとシート10aとの境界に縦長の係合部10eが、シート10aの幅と同じ長さで幅方向に設けられている。
【0013】
巻き取りケース11は、板金を加工して作成されたり合成樹脂製とされ、断面が矩形とされた横に長い筒体状とされている。巻き取りケース11は、内部に金属製あるいは合成樹脂製のリール11aとリール11aを回転可能に支持する回転軸11bとが収納されている。リール11aにはシート10aが巻き取られて収納されており、リール11aは図示しないゼンマイバネ等の付勢手段により、リール11aにシート10aを巻き取る回転方向に付勢されている。
図3および
図4に示すように、シート部10においては、通常はシート10aが巻き取りケース11に巻き取られて収納されている。シート10aが巻き取りケース11に収納されている状態では、付勢手段によりシート10aに巻き取り方向のテンションがかかっているが、巻き取りケース11の後述する引出口11cの外側に係合部10eが係合していることから、巻き取りケース11からはシート10aの先端に装着されている把持部10cが突出するようにされている。
そして、把持部10cを把持して
図1および
図2に示す方向に力を加えるとリール11aに巻き取られていたシート10aが図示するように引き出されていくようになる。例えば、シート部10における巻き取りケース11を車両の荷台の前端に取り付けて、把持部10cを引き出して荷台の上面を覆うようにすると、シート10aの両側の端部が磁石10bにより荷台の両側壁の上端に吸着される。ここで、把持部10cに形成された係止孔10dを利用して、把持部10cを荷台のリア側壁に固着することにより、シート10aにより荷台の上面を覆うことができるようになる。この場合、シート10aには付勢手段により巻き取り方向のテンションがかかっていると共に、シート10aの両側の端部が磁石10bにより荷台の両側壁の上端に吸着されていることから、確実にシート10aにより荷台の上面を覆うことができるようになる。
【0014】
<本発明の第1実施例の荷台シート装置>
本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置1を
図5ないし
図10を参照して説明する。
図5は本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置1の構成をB-B線で切断した断面図で示す側面図であり、
図6は本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置1の構成をA-A線で切断した断面図で示す上面図であり、
図7は本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置1のシートが収納された状態の構成をB-B線で切断した断面図で示す側面図であり、
図8は本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置1のシートが収納された状態の構成をA-A線で切断した断面図で示す上面図であり、
図9は本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置1のシートが引き出された状態の構成を断面図で示すB-B線で切断した側面図であり、
図10は本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置1のシートが引き出された状態の構成をA-A線で切断した断面図で示す上面図である。
これらの図に示す本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置1は、本発明にかかるシート部10と、断面コ字状の右側保持部材20とリア側保持部材21および左側保持部材22とから構成されている。右側保持部材20ないし左側保持部材22は、鉄素材等の強磁性体製のチャンネル部材から構成することができるが、合成樹脂製のチャンネル部材のコ字状の下側における内面に強磁性体製の板金を埋め込んだり貼着して構成するようにしてもよい。リア側保持部材21のコ字状内においては、棒状とされ若干後ろ側に折り曲げられている形状とされた複数の係止凸部21aがコ字状の下側における内面から上方へ突出して形成されている。複数の係止凸部21aの形成されている位置は、把持部10cに設けられている複数の係止孔10dの位置に対応している。
【0015】
右側保持部材20および左側保持部材22は、巻き取りケース11から引き出されたシート10aの両端部が挿通される位置に配置され、リア側保持部材21は、引出が完了したシート10aの把持部10cが挿入される位置に配置される。
図7および
図8に示すようにシート10aが巻き取りケース11に収納されている通常の状態において、把持部10cを把持して
図5および
図6に示す方向に力を加えるとリール11aに巻き取られていたシート10aが図示するように引き出されていくようになる。この際に、シート10aの両側は右側保持部材20および左側保持部材22のコ字状内に挿通されてシート10aが引き出されていく。そして、シート10aの引き出しが完了した
図9および
図10に示す状態においては、把持部10cがリア側保持部材21のコ字状内に挿入されて、把持部10cに設けられている複数の係止孔10dを、リア側保持部材21のコ字状内に形成された複数の係止凸部21aに挿入して係止することができるようになる。また、シート10aの引き出しが完了した
図9および
図10に示す状態においては、シート10aの両側の端部に設けられた複数の磁石10bが右側保持部材20および左側保持部材22のコ字状内の下面に吸着されるようになる。そして、この状態においては、シート10aに付勢手段により巻き取り方向のテンションがかかっていることから、シート10aは引き出された際にほぼ平面状を維持することとなる。
【0016】
<本発明の第1実施例の荷台シート装置の使用態様>
本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置1を軽トラック100に搭載することができる。本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置1を軽トラック100に搭載した説明を
図11および
図12を参照して説明する。
図11は本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置1を軽トラック100に搭載した構成を示す側面図であり、
図12は本発明の第1実施例にかかる荷台シート装置1を軽トラック100に搭載した構成を示す上面図である。
これらの図に示すように、本発明にかかる荷台シート装置1における巻き取りケース11を軽トラック100の荷台110の前端に取り付け、右側保持部材20を軽トラック100の荷台110の右側壁の上端に固着すると共に左側保持部材22を軽トラック100の荷台110の左側壁113の上端に固着し、さらに、リア側保持部材21を軽トラック100の荷台110のリア側壁112の上端に固着する。この場合、右側保持部材20とリア側保持部材21と左側保持部材22とのコ字状の開口面は荷台110の内側を向くようになる。本発明にかかる荷台シート装置1は、
図7および
図8に示すように把持部10cと係合部10eを残してシート10aは巻き取りケース11内に収納されている。
【0017】
そして、把持部10cを把持して後方に向かって引き出していくと、
図11および
図12に示すようにシート10aの両側は右側保持部材20および左側保持部材22のコ字状内に挿通されてシート10aが引き出されていくようになる。さらにシート10aを引き出していくと、
図9および
図10に示すように、把持部10cがリア側保持部材21のコ字状内に挿入される。そこで、把持部10cに設けられている複数の係止孔10dを、リア側保持部材21のコ字状内に形成された複数の係止凸部21aに挿入すると、シート10aは巻き取りケース11に巻き取られる方向に引っ張られながら停止する。この状態においては、軽トラック100の荷台110の上面がシート10aにより覆われるようになる。そして、シート10aの両側の端部が磁石10bにより右側保持部材20および左側保持部材22のコ字状内の下面に吸着される。
【0018】
これにより、軽トラック100が走行時にシート10aに風が当たっても、シート10aの両側の端部および先端部が右側保持部材20とリア側保持部材21と左側保持部材22とのコ字状内に挿通されて固着されていることから、シート10aが巻き上げられることがなく、荷台110の上面がシート10aにより覆われる状態を維持することができるようになる。従って、簡易な構成とされた本発明の第1実施例の荷台シート装置1を軽トラック100の荷台110に搭載することにより、荷台110に積まれた荷物や工具、資材が雨に濡れることを防止できるようになる。
また、把持部10cに設けられている複数の係止孔10dを、リア側保持部材21のコ字状内の係止凸部21aから外すようにすると、シート10aには巻き取り方向のテンションがかかっていることからシート10aが自動的に巻き取りケース11内に収納されていくようになり、シート10aの取り外し作業を簡略化することができる。
【0019】
<保持部材>
コ字状の右側保持部材20とリア側保持部材21と左側保持部材22とは、ネジにより固着される。右側保持部材20の詳細構成を
図13(a)(b)(c)に示す。
図13(a)は右側保持部材20の構成を示す上面図であり、
図13(b)は右側保持部材20の構成を示す下面図であり、
図13(c)は右側保持部材20の構成を示す側面図である。
図13(a)~(c)に示すように、右側保持部材20は細長い矩形状の上部20aと、上部20aと直交する側部20bと、上部20aと対面し側部20bと直交する下部20cとから構成されている。上部20aには中央と両側にそれぞれ第1穴部20dが形成されており、下部20cには第1穴部20dと同心円とされた第2穴部20eが中央と両側にそれぞれ形成されている。第2穴部20eはネジが挿通される穴で小径とされているが、第1穴部20dはネジを締め付けるドライバーの軸が挿入可能な第2穴部20eより大きい径とされている。これにより、右側保持部材20を軽トラック100の荷台110の右側壁の上面に当接するよう配置して、第2穴部20eにネジを挿通して、当該ネジを第1穴部20dに挿通したドライバーで締着することにより、右側保持部材20を右側壁の上面に固着することができる。
【0020】
リア側保持部材21の詳細構成を
図14(a)(b)(c)に示す。
図14(a)はリア側保持部材21の構成を示す上面図であり、
図14(b)はリア側保持部材21の構成を示す下面図であり、
図14(c)はリア側保持部材21の構成を示す側面図である。
図14(a)~(c)に示すように、リア側保持部材21は細長い矩形状の上部21bと、上部21bと直交する側部21cと、上部21bと対面し側部21cと直交する下部21dとから構成されている。上部21bには中央と両側にそれぞれ第3穴部21eが形成されており、下部21dには第3穴部21eと同心円とされた第4穴部21fが中央と両側にそれぞれ形成されている。第4穴部21fはネジが挿通される穴で小径とされているが、第3穴部21eはネジを締め付けるドライバーの軸が挿入可能な第4穴部21fより大きい径とされている。これにより、リア側保持部材21を軽トラック100の荷台110のリア側壁112の上面に当接するよう配置して、第4穴部21fにネジを挿通して、当該ネジを第3穴部21eに挿通したドライバーで締着することにより、リア側保持部材21をリア側壁112の上面に固着することができる。
左側保持部材22は、右側保持部材20と点対称の構成とされていることから、右側保持部材20の取り付けと同様にして左側保持部材22を左側壁113の上面に固着することができるが、その説明は省略する。
【0021】
<本発明の第2実施例の荷台シート装置>
本発明の第2実施例の荷台シート装置の構成を
図15ないし
図17を参照して説明する。
図15は本発明の第2実施例にかかるシート装置2の構成を示す上面図であり、
図16は本発明の第2実施例にかかるシート装置2の構成を示す側面図であり、
図17は本発明の第2実施例にかかるシート装置2を折り畳んだ状態の構成を示す側面図である。なお、第15図では第2実施例の荷台シート装置2の構成を明確に示すために、第2実施例の荷台シート装置2の厚み方向の中央で切断した断面図とされている。
これらの図に示す本発明の第2実施例にかかるシート装置2は、複数枚の容易には折れ曲がらない細長い矩形状のシート板52が、柔軟な素材からなる表側シート50aと裏側シート50bとの間に所定間隔で配置されて固着されている。表側シート50aと裏側シート50bとでシート部50が構成されている。シート板52は、合板や樹脂板あるいは金属板で構成することができ、表側シート50aおよび裏側シート50bは柔軟な樹脂製とされる。複数枚のシート板52のそれぞれは、接着あるいは貼着により裏側シート50bの上に所定間隔で固着され、その上に表側シート50aを配置して、接着あるいは貼着により複数枚のシート板52および裏側シート50bに表側シート50aが固着されている。この場合、表側シート50aと裏側シート50bとを溶着により固着してもよい。そして、複数枚のシート板52は、所定間隔で配置されていることから、シート板52の相互の間の間隙では、表側シート50aと裏側シート50bとが圧着されて、折り曲げ可能な折曲部50cが構成されている。
【0022】
第2実施例の荷台シート装置2において特徴的な構成は、各シート板52の両端部に細長い矩形板状の磁石51が設けられている構成とされている。これにより、第2実施例の荷台シート装置2を
図15および
図16に示すように展開して、車両の左側壁と右側壁およびリア側壁で囲まれた荷台の空間における上面の開口面を覆うように、第2実施例の荷台シート装置2を左側壁と右側壁およびリア側壁の上に配置すると、各シート板52の両端に設けられている磁石51のそれぞれが荷台の空間を構成する左側壁および右側壁の上面に吸着して、第2実施例の荷台シート装置2が強固に左側壁および右側壁の上面に固着されて、第2実施例の荷台シート装置2により荷台の上面を覆うことができるようになる。磁石51は、吸着力の強力な磁石が知られていることから、走行中に風で第2実施例の荷台シート装置2があおられてもシート部50が荷台から外れることを防止することができる。なお、第2実施例の荷台シート装置2におけるシート部50の横幅は荷台の横幅にほぼ等しくされると共に、その長さは荷台の縦の長さにほぼ等しくされている。
【0023】
各シート板52の両端部に設けられている磁石51の極は、隣接するシート板52では反対の極とされている。例えば、
図15に示すようにおもて面から見た磁石52の極が最も左側のシート板52ではN極、右隣のシート板52の磁石51ではS極、さらに右隣のシート板52の磁石51ではN極とされており、隣接するシート板52では磁石51の極が反対の極とされている。
これにより、第2実施例の荷台シート装置2を折曲部50cで折り曲げてシート板52が重なるように、折り曲げ方向を右と左に交互に折り曲げていくことにより、第2実施例の荷台シート装置2を
図17に示すようにコンパクトな形状になるよう折り畳むことができる。すなわち、折り畳んで対面するシート板52の両端部に設けられている磁石51の極が逆となるため、互いに吸着するようになり、
図17に示す形状で設置された状態を維持できるようになる。このため、第2実施例の荷台シート装置2を使用しない場合や荷台に収納した荷物や工具、資材を取り出す時は、荷台の上においてシート部50を折り畳むことで、第2実施例の荷台シート装置2をコンパクトな形状とすることができる。また、
図17に示す形状とされている場合も最も下のシート板52の両端部に設けられている磁石51が左側壁および右側壁の上面に吸着するので、シート部50を折り畳んだ状態でも荷台に設置されるようになる。
【0024】
<本発明の第2実施例の荷台シート装置の使用態様>
本発明の第2実施例にかかる荷台シート装置2を軽トラック100に搭載することができる。本発明の第2実施例にかかる荷台シート装置2を軽トラック100に搭載した説明を
図18ないし
図20を参照して説明する。
図18は本発明の第2実施例にかかる荷台シート装置2を折り畳んで軽トラック100に搭載した構成を示す側面図であり、
図19は本発明の第2実施例の荷台シート装置を車両に搭載して展開した構成を示す側面図であり、本発明の第2実施例の荷台シート装置を車両に搭載して展開した構成を示す上面図である。
これらの図に示すように、第2実施例のシート装置2を折り畳んで軽トラック100の荷台110の前端に搭載すると、第2実施例のシート装置2の一番下側のシート板52の両端部に設けられている磁石51が右側壁111および左側壁113の上面に吸着して固着される。
【0025】
そして、折り畳まれた第2実施例のシート装置2において、シート板52を順次展開していくと、
図19および
図20に示すように展開されたシート板52の両端部に設けられている磁石51が右側壁111および左側壁113の上面に吸着して固着される。
これにより、軽トラック100が走行時にシート部50に風が当たっても、シート部50は右側壁111および左側壁113への吸着状態が維持されると共に、容易には折り曲げられない複数枚のシート板52を備えていることから、シート部50が巻き上げられることがなく、荷台110の上面がシート部50により覆われる状態を維持することができるようになる。従って、簡易な構成とされた本発明の第2実施例のシート装置2を軽トラック100の荷台110に搭載することにより、荷台110に積まれた荷物や工具、資材が雨に濡れることを防止できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上の説明では、本発明の実施例にかかるシート部および荷台シート装置を軽トラックに適用したが、これに限ることはなく荷台を備える車両であれば、本発明の実施例にかかるシート部および荷台シート装置を適用することができる。
以上説明した本発明の第1実施例にかかるシート部および荷台シート装置においては、シートの中に所定間隔でピアノ線を左右方向に伸びるように配置しておくことができる。このようにすると、シートの剛性を高めることができ荷台を覆うようにシートを張った際に中央部がへこむことを防止することができる。
本発明の実施例にかかるシート部および荷台シート装置においては、シートの幅および長さを荷台シート装置を搭載させる車両の荷台の幅および長さに応じて変更することができる。
本発明の第1実施例にかかるシート部および荷台シート装置の巻き取りケースは、車室と荷台との境界における立設されている壁部および荷台の右側壁および左側壁にネジ手段等で固着することができる。
以上説明した本発明の第2実施例の荷台シート装置において、横幅や長さおよびシート板の枚数は、車両の荷台の寸法等に合わせて任意に変更することができる。また、最も左側のシート板および最も右側のシート板の隣接するシート板がない端部においては、横幅方向にも細長い磁石を配置して、この磁石を車室と荷台との境界やリア側壁の上面に吸着することにより、第2実施例の荷台シート装置を設置するようにしてもよい。
以上説明した本発明の実施例の荷台シート装置において、シートあるいは表側シートと裏側シートとを、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂製のシートとしてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1,2 荷台シート装置、10 シート部、10a シート、10b 磁石、10c 把持部、10d 係止孔、10e 係合部、11 巻き取りケース、11a リール、11b 回転軸、11c 引出口、20 右側保持部材、20a 上部、20b 側部、20c 下部、20d 第1穴部、20e 第2穴部、21 リア側保持部材、21a 係止凸部、21b 上部、21c 側部、21d 下部、21e 第1穴部、21f 第2穴部、22 左側保持部材、50 シート部、50a 表側シート、50b 裏側シート、50c 折曲部、51 磁石、52 シート板、100 軽トラック、110 荷台、111 右側壁、112 リア側壁、113 左側壁
【要約】
【課題】 簡易な構成で荷台の上面を覆うことができ、低価格とすること。
【解決手段】 巻き取りケース11を荷台110の前方に搭載する。シート10aは巻き取りケース11に収納されており、把持部10cを把持してシート10aを引き出していく。把持部10cに形成された複数の係止孔10dを、コ字状のリア側保持部材21内に挿入して、内部に形成されている係止凸部に係合させる。これにより、シート10aを荷台110の上面を覆うように貼ることができる。シート10aの両側の端部に複数の磁石10bが設けられており、シート10aの両側の端部がコ字状の右側保持部材20および左側保持部材22の内部に磁石10bの吸着により固定される。
【選択図】
図12