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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】形状記憶ポリマ容器閉塞デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021099840
(22)【出願日】2021-06-16
(62)【分割の表示】P 2020104156の分割
【原出願日】2016-09-02
(65)【公開番号】P2021164658
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】62/214,767
(32)【優先日】2015-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510162539
【氏名又は名称】ザ テキサス エーアンドエム ユニバーシティ システム
【氏名又は名称原語表記】THE TEXAS A&M UNIVERSITY SYSTEM
【住所又は居所原語表記】3369 TAMU College Station, Texas 77843-3369, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】メイトランド,ダンカン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ランズマン,トッド エル.
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ジェニファー エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ボイル,アンソニー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】グローチュスキ,アラン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴィエルツビッキ,マーク エー.
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0236533(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0253086(US,A1)
【文献】特表2008-521492(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0253634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 - A61B 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と、遠位端とを有する、外側導管と、
近位端と、遠位端とを有する、形状記憶ポリマ(SMP)フォームであって、SMPフォームがその転移温度を超えて加熱されるときに、SMPフォームの二次形状からSMPフォームの一次形状に移行する、SMPフォームと、
(a)(i)前記SMPフォームの前記近位端から前記SMPフォームの前記遠位端まで延び、前記SMPフォームによって概ね覆われる、第1の部分と、(a)(ii)前記SMPフォームの前記遠位端から遠位に延び、前記SMPフォームによって覆われない、第2の部分とを含む、金属背骨とを含み、
(b)(i)前記SMPフォーム及び前記金属背骨は、両方とも、前記外側導管内に含められ、(b)(ii)前記金属背骨の前記第2の部分は、前記金属背骨の前記第2の部分の巻かれていない二次形状から前記金属背骨の前記第2の部分の巻かれている一次形状に移行し、(b)(iii)前記金属背骨の前記第2の部分は、前記金属背骨の前記第2の部分の前記二次形状にあり、前記SMPフォームの前記遠位端と前記外側導管の前記遠位端との間に配置され、(b)(iv)前記金属背骨の前記第2の部分は、通路を含む外側金属部分と、前記通路内に含まれる内側金属部分とを含み、(b)(v)前記外側金属部分は、コイルを含む、
システム。
【請求項2】
前記内側金属部分は、ワイヤを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ワイヤは、ステンレス鋼、鋼合金、ニッケルとチタンとを含む組み合わせ、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ワイヤは、ニッケル及びチタンを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記内側金属部分は、モノリシックであり、前記SMPフォームの前記近位端から、前記SMPフォームの前記遠位端まで/前記SMPフォームの前記遠位端を通じて延び、前記SMPフォームの遠位にある前記外側金属部分の前記通路内に至る、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記金属背骨の前記第1の部分は、前記内側金属部分を含むが、前記外側金属部分を含まない、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記外側金属部分の少なくとも部分は、前記内側金属部分及び前記SMPフォームの両方よりも放射線不透過性である、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記金属背骨は、第3の部分を含み、該第3の部分は、前記SMPフォームの前記近位端から近位に延び、前記SMPフォームによって覆われない、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記SMPフォームの近位に配置される近位金属部分を含み、該近位金属部分は、前記SMPフォームよりも放射線不透過性である、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記金属背骨の前記第1の部分は、ある軸に沿って整列させられ、
前記SMPフォーム及び前記金属背骨の前記第2の部分は、上流の血圧が前記SMPフォームを前記金属背骨の前記第2の部分に向かって押すときに、前記金属背骨の前記第2の部分が、前記金属背骨の前記第2の部分の一次形状において、前記軸に対して概ね直交する方向に径方向に外向きに押圧し、前記上流の血圧に応答して、前記SMPフォームを前記金属背骨の前記第2の部分に向かって押すよう、互いに対して方向付けられる、
請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
前記外側金属部分は、白金、パラジウム、タングステン、イリジウム、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項12】
前記金属背骨の前記第1の部分は、前記内側金属部分と、前記外側金属部分とを含む、請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府が支援する研究又は開発に関する陳述)
この発明は、国立保健研究所並びに生物医学撮像及び生物工学研究所によって授与されたR01EB000462の下での政府支援によって行われた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
(関連出願の参照)
本出願は、その内容を参照として本明細書に援用する2015年9月4日に出願された「Shape Memory Polymer Vessel Occlusion Device」という名称の米国仮特許出願第62,214,767号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
米国における推定600万人が慢性静脈不全の重篤な症状に苦しんでいる。症状は、劇的な皮膚の変化から、しばしば下肢に見られる痛みを伴う手に負えない潰瘍に及ぶ。慢性静脈不全は、静脈圧の突然の上昇を引き起こす心臓に血液を運ぶ末梢静脈の逆流をもはや防ぐことができない弱くなった静脈弁によって引き起こされる。この高血圧は、静脈瘤及び静脈潰瘍の形成を引き起こし得る。より大きな伏在静脈は、慢性静脈不全のために治療される最も一般的な領域である。慢性静脈不全の徴候の治療の従来的な方法は、手動圧迫、外科的結紮及び剥離、硬化療法、並びにより大きな伏在静脈の静脈内アブレーションを含む。静脈内アブレーションは多くの欠点を有する。静脈内アブレーションを用いるならば、患者は、麻酔薬注入又はレーザ治療のいずれかにより痛みを経験する。更に、医師は静脈の断面全体を均一に切除し、レーザの引戻し速度を制御しなければならないので、再疎通が生じることがある。深部静脈血栓症、挫傷、感覚異常、皮膚の火傷、挫傷、血栓静脈炎、及び神経損傷のような、多くの他の合併症が生じることがある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の実施形態の構成及び利点は、添付の請求項、1つ又はそれよりも多くの例示的実施形態の以下の詳細な記述、及び対応する図面から明らかになるであろう。適切であると考えられる場合には、参照符号を図面の間で繰り返して、対応する又は類似の要素を示す。
図1】(A)乃至(C)及び(D)乃至(F)は、実施形態の進展を示している。
図2】(A)乃至(F)は、実施形態の進展を示している。
図3】(A)及び(B)は、膨張状態前及び後におけるアンカを備える形状記憶ポリマフォームを示している。
図4】(A)及び(B)は、膨張状態前及び後におけるアンカを備える形状記憶ポリマフォームを示している。
図5】(A)及び(B)は、膨張状態前及び後における二重アンカを備える形状記憶ポリマフォームを示している。
図6】花形状アンカを含む実施形態を示している。
図7】様々なフォーム配合物の熱化学的分析を示している。
図8】(A)及び(B)は、膨張状態前及び後におけるコイル上の形状記憶ポリマフォームを示している。
図9】コイル上の形状記憶ポリマフォームを示している。
図10】円錐形コイル上の形状記憶ポリマフォームを示している。
図11】実施形態のアンカが完全に展開させられる前の実施形態の画像を示している。
図12】(A)乃至(E)は、実施形態の展開を示している。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図面を今や参照する。図面では同等の構造が同等の接尾辞参照記号を備えて提供されることがある。様々な実施形態の構造をより明確に示すために、本明細書に含められる図面は、構造の図式的な表現である。よって、例えば、顕微鏡写真における、製造された構造の実際の外観は、例示の実施形態の請求される構造を依然として含むが、異なって見えることがある。その上、図面は、例示の実施形態を理解するのに有用な構造のみを示すことがある。当該技術分野において知られている追加的な構造は、図面の明瞭性を維持するために含められないことがある。「実施形態」、「様々な実施形態」及び同等の表現は、そのように記載される(複数の)実施形態が、特定の構成、構造、又は特性を含むことがあるが、必ずしも全ての実施形態が、特定の構成、構造、又は特性を含むとは限らない。幾つかの実施形態は、他の実施形態について記載した構成の一部又は全部を有することがあり、或いはいずれも有さないこともある。「第1」、「第2」、「第3」及び同等の表現は、共通の物体を記載しており、同等の物体の異なる事例が言及されていることを示している。そのような形容詞は、そのように記載される物体が、時間的、空間的、順位付け、又は任意の他の方法のいずれかにおいて、所与の順序で存在しなければならないことを暗示しない。「接続される」は、要素が互いに直接的に物理的又は電気的に接触することを示すことがあり、「結合される」は、要素が互いに協働し或いは相互作用することを示すことがあるが、それらは直接的に物理的又は電気的に接触してもしなくてもよい。
【0006】
一実施形態は、末梢血管系内の動脈及び静脈の完全な閉塞(occlusion)を達成する最小侵襲的なアプローチを提供する。末梢塞栓の費用、複雑性、再発、リスク、及び合併症は、本明細書において議論する実施形態を非常に望ましいものにする。
【0007】
一実施形態は、ポリウレタン形状記憶ポリマ(SMP)フォーム(foam)を使用して、持続的な血流が合併症を引き起こすことがある脈管構造の領域を選択的に閉塞する(occlude)。フォームの形態及び化学的性質は、それが圧縮されて導入器内に装填され、カテーテルを通じて標的領域に進められることを可能にする。循環血液と接触すると、フォームは(例えば、血液接触後2、4、6、8又は10分以内に)元の幾何学的形状に膨張し、血管内腔を完全に満たす。この手順は最小侵襲的な技法を利用する。
【0008】
一実施形態は、デバイスに対して近位、遠位、又は両方の場所に配置される、1つ又はそれよりも多くのアンカを含む。(複数の)アンカは、デバイスを血管内の所定の場所に保持する。特定の実施形態において、(複数の)アンカは、ニチノール及び/又は白金合金で作られる。
【0009】
追加的に、1つの実施形態では、ある物体(例えば、カテーテル、拡張バルーンカテーテル)を使用して、処置を必要とする血管内の(ガイドワイヤの付勢にある)場所にデバイスを案内する。これは、インプラントの場所への血流が最小な状態で、デバイスが血管内で完全に拡張することを可能にする。
【0010】
SMP血管閉塞デバイス(vessel occlusion device)の一実施形態は、多数の送達機構を利用することがある。そのような機構の1つは、フォームインプラントの容積内に配置されるコアワイヤであり、インプラントをコアワイヤ上にクリンプして、インプラントとコアワイヤとの間に摩擦を生成する。摩擦は、デバイスが治療血管の内腔内で完全に拡張されるまでデバイスの後退及び前進を可能にする。デバイスがひとたび完全に拡張されると、摩擦は、コアワイヤがデバイスの容積を通じて後退させられるのを可能にするのに十分な程に減少される。
【0011】
他のそのような送達機構は、デバイスが送達カテーテルから完全に排出されるまで、デバイスがガイドワイヤ又はプッシャ機構を用いてカテーテルを通じて単純に前進される、機構である。そのような実施形態は、芯線なしのフォームのみを含むことがある。その実施形態は、フォームの上流及び/又は下流から別個に移植(インプラント)される(複数の)アンカ(例えば、ニチノールメッシュ)と連結されることがある。
【0012】
他の送達機構は、デバイスの近位端が露出したステンレス鋼ワイヤを介してプッシャ機構に取り付けられたものである。デバイスが標的血管に送達されると、電流がプッシャ機構に加えられ、それは露出したステンレス鋼ワイヤの電気分解が引き起こす-プッシャ機構からインプラントを効果的に解放する。
【0013】
本明細書で議論する血管閉塞デバイスの実施形態は、骨盤静脈鬱血、精索静脈瘤、門脈静脈高血圧に関連する静脈瘤、外傷性出血、脾動脈瘤、及び慢性静脈不全(CVI)の管理を含む、広範囲の適応症(indications)を有する。これらの状態の各々において、特定の血管路を通る血流は、潜在的に生命を脅かす結果及び極端な量の痛みを提示する。これらの場合、医師は、閉塞デバイスに依存して、影響を受けやすい血管からの血流をそらせ(divert)、有害な結果を最小限に抑える。より一般的には、実施形態は、血管異常によってもたらされる任意の様式の血管問題を解決するために有用である。更により一般的には、フォームシステムは、非生物学的な脈絡における流れを遮断するために使用されてよい。例えば、(幾つかの実施形態では1以上のアンカ連結された)フォームは、一般的な配管の脈絡において使用されてよく、さもなければ(液体流が液体又は気体状態の流れを伴うことがある)流体流を迅速に妨げるために使用されてよい。
【0014】
一実施形態は、塞栓デバイス(embolic device)に関し、閉塞デバイスは、治療を受けている血管内の血液の流れを安定に閉塞するために使用される。この実施形態において、凝固形成及び安定的閉塞は、デバイスの展開後0~30分以内に生じる。例えば、HDI含有量に基づいて、閉塞は、フォームがカテーテルから展開された時から60秒未満で起こることがある。デバイスは、典型的には、5秒~30分の時間枠内で治療領域内に送達され且つ展開される。完全な血管閉塞を達成するために、1つよりも多くのデバイスが必要とされ且つ/或いは選択されることがある。
【0015】
一実施形態において、デバイスは、ポリウレタンSMPからなる。特定の実施形態において、ポリマは、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(HPED)、2,2’,2”-ニトリロトリエタノール(TEA)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(2,2,4-及び2,4,4-混合物)(TMHDI)から選択される。
【0016】
一実施形態では、血管の閉塞は、デバイスの形態構造(morphology)によって引き起こされる血流の停滞の結果として生じる。閉塞は、組織因子結合部位(tissue factor binding sites)の曝露及びデバイスの移植に対する血管内皮の組織損傷応答の結果としても生じる。
【0017】
特定の実施形態において、閉塞は、インプラントの形態構造によって引き起こされる血流内の再循環ゾーンの結果として生じる。他の実施形態において、閉塞は、デバイスの容積を通じる血小板凝集及び活性化の結果として生じる。
【0018】
インビトロ(in vitro)血流試験の間、フォームデバイスの完全閉塞が270秒で観察された。圧力逃がし弁を通じて流れをそらすことによって、完全な閉塞が証明された。この時点で、血栓形成によって生成された静脈モデル内の圧力は、圧力逃がし弁の設定を超え、流れはバイパス経路を通じてそらされた。結果は、血液がフォームデバイスの全容積に亘って浸透していることを示し、デバイスの長さに沿って相互接続された経路を創成する際のフォームセル細網化(form cell reticulation)の有効性を実証する。30秒の血液灌流後、フォームの各断面は、緩やかな散在させられたフィブリンに絡まされた赤血球で主に構成されていた。270秒で、フォームの近位区画の約50%が高密度フィブリンで構成され、それはこの時点で起こった完全な血管閉塞に寄与した可能性が高い。
【0019】
一実施形態は、治療を必要とする領域に塞栓デバイスを送達する送達機構に向けられている。特定の実施形態において、送達手段(delivery vehicle)は、カテーテル、拡張バルーンカテーテル、又はガイドワイヤである。送達手段がガイドワイヤであるときには、幾つかの実施形態において、デバイスをコアワイヤ上にクリンプして、インプラントとコアワイヤとの間に十分な摩擦を提供して、デバイスが治療血管の内腔内で完全に拡張されるまでデバイスの後退及び前進を可能にする。コアワイヤは、ステンレス鋼、ニチノール、鋼合金、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、若しくはナイロンワイヤ、又は編組ワイヤ若しくはコイルを含むこれらの材料の組み合わせから選択される。幾つかの実施形態において、コアワイヤの直径は、0.0005~0.050インチの間である。
【0020】
一実施形態は、血管の完全な閉塞を達成し且つポリウレタンSMPフォームの近位端及び遠位端でのニチノールアンカの使用を通じた再発を防止する、最小侵襲的なアプローチを提供する。SMPフォームは、迅速な止血及び治癒を促すが、デバイスアンカは、フォームが治療された血管内に留まることを保証し、標的血管の下流での塞栓及びデバイス移動のリスクを最小限に抑える。
【0021】
止血時間を最小限に抑え、装置の設計及び寸法を最適化し、各コンポーネントがデバイスの破損及び標的領域からの転位(dislocation)を防止する十分な機械的強度を保有することを保証するために、プラズマ表面処理、放射線不透過性充填材の添加、熱治療のような、材料修正(surface modifications)を利用することができる。
【0022】
一実施形態は、(他の実施形態は36、38、39℃又はそれよりも高い温度で作動するが)37度で作動するポリウレタンSMPフォームを使用し、それは移植後にフォームを膨張させるために外部加熱源を必要としないことを意味する。しかしながら、他の実施形態は、デバイスが、例えば、膨張を開始するために、加熱食塩水注入、高周波加熱、及び/又はレーザ加熱を介して積極的に加熱されることを必要とする、より高い転移温度を有する。
【0023】
一実施形態において、SMP血管閉塞デバイスは、望ましくない持続性血流が合併症を引き起こすことがある脈管構造の領域を選択的に閉塞するために、最小侵襲性の血管内技法を用いて送達される。SMPフォームは、コアワイヤ上にクリンプされ、且つプッシャシステムに取り付けられ、プッシャシステムは、標的部位に到達するために、デバイスがカテーテルの内腔を通じて操縦(ナビゲート)されるのを可能にする。血液と接触後、デバイスは膨張し、その予めクリンプされた幾何学的形状を再開する。これは治療領域へのデバイスの送達のための0~30分の間の時間窓を可能にする。フォームは、血管の断面全体を満たすために、カテーテルを出ると膨張する。フォームがひとたび完全に膨張すると、フォームとコアワイヤとの間のより少ない摩擦の故に、プッシャシステムを後退させることができる。これは、フォームインプラントを所定の場所に残したまま、プッシャシステム及びカテーテルを取り外すのを可能にする。一実施形態において、血栓症は、0~90分以内にフォームの全容積内で生じる。インプラントの多孔性形態構造は、血流中に流れの停滞及び多くの再循環ゾーンを創り出すことによって、凝固カスケード(clotting cascade)を開始させる。凝固カスケードは、内皮に損傷を与え、組織因子結合部位を露出させる、フォームインプラントの膨張によって更に刺激される。フォームインプラントの膨張は、異物反応を引き起こす。
【0024】
一実施形態は、SMPフォームが合成され、網状化され、生検パンチを用いて所望の形状に切断され、加熱したステントクリンパを用いて機械的に調整され、凍結乾燥機内で乾燥され、次に、その送達可能な幾何学的形状にクリンプされるよう、純粋なフォームデバイスを用いる。これは、フォームデバイスが、導入装置、カテーテル、及びガイドワイヤを介して、標的領域に送達されるのを可能にする。
【0025】
他の実施形態は、非限定的に動脈の流れを含む、高流量の領域に向かって方向付けられる。任意的にフォームの中央を通じて進む内部弾性ワイヤが、遠位アンカの外面にレーザ溶接され或いはエポキシ化される。近位アンカは、遠位アンカと同じ方法で取り付けられる。
【0026】
他の実施形態は、SMPフォームに対して近位、遠位、又は両方の位置にあるアンカを含む。アンカは、SMPフォームのシリンダを通じて中心的に挿入される長手部材を収容し、次に、それは、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(HPED)、2,2’,2”-ニトリロトリエタノール(TEA)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、及びSMPフォームをコイル背骨(coil backbone)に取り付けるエポキシとして作用するトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(2,2,4-及び2,4,4-混合物)(TMHDI)の組み合わせからなるニートポリマ溶液(neat polymer solution)で被覆される。ニートポリマ溶液は、それ自体が(フォームであってよい或いは発泡させられなくてよい)SMPを構成することがある。
【0027】
(フォーム及びデバイス合成)
SMPフォームの様々なバージョンが製造されている。例えば、1つのバージョンは、100%ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を含有し、他のバージョンは、ポリウレタン反応におけるイソシアネートモノマのためのHDIとトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(2,2,4-及び2,4,4-混合物)(TMHDI)の混合物を含有する。疎水性のより少ない100%HDIフォームは、外部加熱を必要とせずにインビボ(in vivo)でのVODの即時自己作動を可能にするよう血管移植のために特別に作られた。フォームは、血液中の水分に晒された後に体温で作動し、それは材料の転移温度の降下を引き起こす。両方のフォームを同じ方法で網状化し且つ化学的に後処理した。それらの異なる疎水性は別として、これらの2つのフォームは、極めて類似の機械的特性及び形状記憶特性を共有する。発泡プロセス(foaming process)の間、材料は容器の側壁によって拘束され(constrained)、それが上昇するに応じて上方から拘束解除される(unconstrained)。これらの条件及びそれらの超低密度の故に、フォームは、異方性形態構造(anisotropic morphology)を有することがある。
【0028】
より詳細には、(Landsman et al., Design and Verification of a Shape Memory Polymer Peripheral Occlusion Device, Journal of the Mechanical Behavior of Biomedical Materials 63 (2016): 195-206)に詳述されているように、(他の方法が用いられてよいが)フォームは以下のように製造された。適切な比率のN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(HPED,99%; Sigma-Aldrich Inc., St. Louis, MO)、トリエタノールアミン(TEA、98%; Sigma-Aldrich Inc.)、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI,TCI America Inc. Portland, OR)でイソシアネート(NCO)プレポリマを合成した。このプレポリマを20℃/時間の速度で室温から50℃の温度勾配で2日間に亘って反応させ、16時間に亘って50℃で一定温度で保持し、室温に戻るのを受動的に許容した。ヒドロキシル(OH)混合物を残余のモル当量のHPED及びTEAとブレンドさせた。この混合物は、脱イオン(DI)水(17MΩcmより大きい純度;Millipore water purifier system; Millipore Inc.)、及び触媒(T-131及びBL-22,Air Products and Chemicals, Inc., Allentown, PA)も含有した。発泡ステップ(foaming step)の間に、発泡カップ(foaming cup)内でNCOプレポリマ及びOH混合物を界面活性剤(DC198 and DC 5943, Air Products and Chemicals, Inc., Allentown, PA)及び物理的発泡剤(blowing agent)、Enovate 245fa (Honeywell International, Inc., Morristown, NJ)と共に結合させた。この溶液をFlackTek Speedmixer (FlackTek, Inc., Landrum, SC)で混合し、バケツに注いでフォームを形成させた。フォームを更なる処理のために受動的に室温まで冷却する前に、フォームを5分に亘って60℃で硬化させた。様々なフォーム配合物(foam formulations)及び細孔サイズ(通孔サイズ)(pore sizes)を製造して、異なる架橋密度、ガラス転移温度(Tg)、水分可塑化速度、及び後続のフォーム膨張率を備えるフォームを創成した。フォーム配合物は、H20-H60として示され、ここで、「H」の後に現れる数値は、ポリマプレミックス中のHPEA対TEA当量の比に対応する。フォーム配合物及び細孔サイズの両方を使用して、フォームの膨張率及びカテーテル送達を可能にする結果としての作業時間を制御した。
【0029】
製造後、フォームを厚さ2cm、長さ7cm、幅6cmのブロックに切断した。次に、これらのブロックを、以前に記載した同じ方法を用いて網状化した(Rodriguez, J.; Miller, M.; Boyle, A.; Horn, J.; Yang, C.; Wilson, T.; Ortega, J; Small, W.; Nash, L.; Skoog, H.; and Maitland, D., Reticulation of low density SMP foam with an in vivo demonstration of vascular occlusion, Journal of the Mechanical Behavior of Biomedical Materials 40 (2014): 102-114)。要するに、フォームは、低振幅、高周波数の摂動を受けながら、浮遊ピンアレイによって貫通され、それはフォーム細孔膜におけるピンホールの生成を可能にした。これらのピンホールは、フォームを通じて相互接続される細孔を作り、それは血流及び最終的な結合組織沈着がデバイス全体に亘って浸透することを可能にする。
【0030】
網状化後、3つの異なるデバイスサイズ(6、8、及び12mm)について、使捨て生検パンチ(Sklar Surgical Instruments, West Chester, PA, USA)でフォームを切断した。4、5、及び6Frカテーテルをそれぞれ通じる送達、及び約2~11mmの間の直径を備える血管を治療する能力を可能にするために、これらのデバイスサイズを使用した。フォームを最終的な幾何学的形状に切断した後、それらを洗浄して、あらゆる可塑剤及び未反応モノマをフォームから除去した。各洗浄サイクルは15分間続き、40℃のウォーターバス(水浴)中で超音波処理して行った。最初の2回の洗浄サイクルは、発泡体を99%イソプロピルアルコール(VWR, Ranor, PA)中に浸漬することを構成された。次に、フォームを4回のサイクルのContrad 70液体洗剤(Decon Lab, King of Prussia, PA)で洗浄する前に、逆浸透(RO)水ですすいだ。次に、Contrad 70残留物が明らかでなくなるまで、各フォームをRO水ですすいだ。最後に、フォームをRO水中で2サイクルに亘って洗浄した。洗浄後、湿ったフォームをFreeZone Freeze
Dryer(Labconco, Kansas City, MO)で24時間凍結乾燥させる前に、-20℃の冷凍庫内で12時間冷凍した。
【0031】
SMPフォームの低い径方向の力の故に、末梢塞栓デバイス(peripheral embolic device)(PED)の幾つかの実施形態にコイルアンカを組み込んで、デバイス移動のリスクを最小限に抑えた状態で動脈及び静脈の両方における移植を可能にする。インビトロデバイス検証試験のために使用されるコイルアンカを製造するために、それぞれ6、8、及び12mmのPEDデバイスのために、0.010インチの内径を備える0.018インチの直径の90/10%白金/イリジウムコイルを、0.005インチ、0.006インチ、及び0.008インチの直径の超弾性ニチノールワイヤの上で通した(threaded)。次に、各デバイスの直径に合わせて機械加工され且つ550℃の炉内で15分に亘って形状設定された(shape-set)ステンレス鋼マンドレルの周りにコイルを巻き付けた。15分後、マンドレルを室温水の中で直ちに急冷して、コイルの最終形状を設定した。コイルをマンドレルから取り外し、クリンピングの前にコイルの直線部分をフォームの中心に手動で通した。白金/イリジウムコイルの直ぐ上には、ニチノールワイヤを受け入れる通路を含むが、他の実施形態において、白金/イリジウムコイルとニチノールワイヤは、互いに連結されているに過ぎない。
【0032】
周囲実験室温度23±2℃で500Nロードセルを備えるインストロン荷重フレームを使用して硬質セルラープラスチックの圧縮特性についてのD1621-10標準試験方法に従ってSMPフォームの機械的試験を実施した。非網状化フォーム及び(化学的にエッチングされた或いはエッチングされていない)網状化フォームの両方の直径25.4mm×高さ25.4mmの円筒状サンプルを調製した。これらのサンプルを-80℃の冷凍庫内で一晩凍結し、引き続き、機械的試験の前に24時間凍結乾燥させた。ピン質量、一軸対三軸網状化、及び化学エッチングの影響を評価するために、(非網状化された制御を含む)9つの異なる網状化スキームを表1に略述するように調査した。各バージョンについて5つのサンプルを試験した。本明細書で取り扱った網状化スキーム及び方法の少なくとも一部は、更に、Rodriguez, J.; Miller, M.; Boyle, A.; Horn, J.; Yang, C.; Wilson, T.; Ortega, J; Small, W.; Nash, L.; Skoog, H.; and Maitland, D., Reticulation of low density SMP foam with an in vivo demonstration of vascular occlusion, Journal of the Mechanical Behavior of Biomedical Materials 40 (2014): 102-114)により詳細に取り扱われている。
【表0001】
【0033】
(インビボ血管閉塞評価)
直径10mmの生検パンチを用いて一軸及び三軸網状化SMPフォームサンプルを20~30mmの長さの円筒状サンプルに切断した。97℃でSC250ステントクリンパ(Machine Solutions Inc., Flagstaff, AZ)を用いて直径1mmまで径方向圧縮することによってサンプルを予備調整し、加熱してそれらの元の形状に膨張させた。次に、SMPフォームシリンダを化学的にエッチングし、すすぎ、且つ洗浄した。サンプルを真空中で乾燥させ、乾燥剤を備える気密容器内に貯蔵した。先の細いはさみを用いて円筒状のサンプルを8mmの直径に切断し、レーザブレードを用いて10mmの長さに切断した。次に、97℃でステントクリンパを用いて、サンプルを径方向に約1mmの最小直径まで圧縮し、圧縮下で冷却して圧縮形状を維持し、インビボで移植するまで乾燥剤を備える気密容器内に保存した。
【0034】
(1gのピン及びエッチングを用いて3つの単軸の及び3つの三軸の網状化された)6つのデバイスが、3ヶ月の年齢の25kgのブタの多数の後肢血管に成功裡に展開された(deployed)。VODの移植に先立って実行した血管造影は、血管の直径が平均2.6mmであり、それは非圧縮VODの直径8mmよりも小さいことを示した。従って、デバイスは、それらの元の直径の約33%まで拡張することができた。0.035インチのガイドワイヤを用いて内径0.055インチの5Fカテーテルを移植部位に進めた(ナビゲートした)。圧縮フォームVODを室温の生理食塩水中に2~5分間浸漬し、次に、32℃の生理食塩水中に3~5秒間浸漬した。デバイスをカテーテルの内側に5分間配置して、フォームが膨張し始めるのを可能にし、次に、0.035インチのガイドワイヤ(図1A乃至1C)を用いてカテーテルから押し出した。この手順は、インビトロ実証における予備的ベンチトップ(図1D乃至1F)において示すように、フォームがカテーテルから出てくるときに、直ちに膨張するフォームをもたらした。造影増強蛍光透視法を使用して、ガイドワイヤの位置を観察することによって、可能であれば、血管内に造影剤がないことを観察することによって、デバイスがいつ展開されたかを決定した。血管内への送達後、デバイスはその主要形状まで膨張し、引き続き、血管を遮断した。血管閉塞時間は、注入された造影剤がデバイスを通じて流れる或いはデバイスを越えて流れるのをやめるまで、デバイス送達後の時間として定義された。その時点で、凝固が起こる可能性が高い。展開後45秒の及び然る後の30秒間隔の血管造影で視覚化したヨウ素化造影剤注入を介して血管閉塞時間を決定した。
【0035】
(インビボ血管閉塞)
単軸網状化フォームの平均閉塞時間は90±11秒を有し、三軸網状化フォームの平均閉塞時間は128±77秒を有した。平均して、単軸網状化フォームは、三軸網状化フォームよりも速い閉塞を誘発した。この結果は予期されていない。何故ならば、血液流は、網状化のより少ないフォームによってより多く妨げられる可能性が高く、流れの停滞及び表面積の増大に起因するより迅速な凝固を潜在的にもたらすからである。三軸フォームが単軸フォームに対して示す閉塞時間の大きな相違の故に、閉塞時間に対する網状化の程度の影響は依然として調査されている。
【0036】
図1は、SMPフォーム血管閉塞デバイス(VOD)の血管内展開(endovascular deployment)及び実施形態の概略図を示している。(A)デバイスは、ガイドワイヤ101によって5Fカテーテル先端(カテーテルの遠位端)付近まで押されている。(B)ガイドワイヤ101は、自己作動デバイス103をカテーテル102から押し出している。(C)展開されたデバイスは、血管内腔104を充填している。図1(D乃至F)は、カテーテル103’から展開後のシリコーン管(内径3.5mm)内の37℃(体温)の水中のVODフォーム102’の直ぐの膨張を示すVOD展開の一実施形態のインビトロ実証を示している。
【0037】
図2は、カテーテル202を通じて進められた(ナビゲートされた)バルクフォームデバイス(A)、循環流に晒されたデバイスの遠位先端(B)、完全に膨張させられ且つ血管壁に並置させられたフォーム203の遠位先端(C)、デバイスを露出させること(unsheathing)(D)、完全に展開されたデバイス(E)、及び後続の第2のデバイス205の送達(F)を示している。
【0038】
図3は、前縁コイルアンカ306(遠位)と近位放射線不透過性マーカ307とを備える形状記憶ポリマフォーム303のプラグからなるデバイスの実施形態を示している。
【0039】
図4は、デバイスのコアを通じて延びる遠位コイルアンカ406を備える形状記憶ポリマフォームプラグ403からなる、クリンプされた(A)及び膨張させられた(B)デバイスの実施形態を示している。
【0040】
図5は、近位506及び遠位507のコイルアンカを有備える形状記憶ポリマフォーム503のプラグからなるデバイスの実施形態を示している。一実施形態において、アンカは、放射線不透過性マーカ508及び/又は509を含む。
【0041】
図6は、ニチノールのモノリシックチューブから切断された近位及び遠位の花形状のアンカ606,607を備える形状記憶ポリマフォームプラグ604からなるデバイスの実施形態を示している。
【0042】
図7は、デバイスのガラス転移温度の調節可能性を実証する、デバイス製造において使用される様々なフォーム配合物の熱機械的分析を示している。
【0043】
より詳細には、示差走査熱量測定(DSC)を使用して、実施形態の材料のTgに対応する実施形態の活性化温度を制御する能力を評価した。これらのデバイスの作動温度が、それらがフォームの時期尚早の膨張を防止するために貯蔵される温度よりも高いことが重要である。全てのフォーム配合物についてのTgは49~70℃の範囲であった。図7は、使用される各フォーム組成物についての代表的なサーモグラムを示しており、ここで、H20-H60は、HPEDの20~60%モル当量を備えるフォーム組成物に対応する。サーモグラムは、二次転移の徴候のない単一転移、並びにTEDに対するHPEDの比も増大するときの増大するTgの間に略直線的な関係を実証している。平均Tgは、H20(49.85℃)~H60(69.44)の範囲であった。
【表0002】
【0044】
H20及びH30配合物を使用して製造されたデバイスは急速に膨張し過ぎるので、カテーテルを介したデバイスの送達を可能にしない。この理由のために、幾つかの実施形態は、H40、H50、及びH60フォームを含む。フォームの架橋密度が増加するに応じて(より高いHPE含量)、37℃の水中に浸漬された最初の3分内に膨張率が減少する一般的傾向がある。水性環境への曝露の最初の3分は、血液又は生理食塩水と最初に接触した後の3分内に送達されるように設計された実施形態において重要である。細孔サイズも膨張率に劇的な効果を有し、フォームマトリックス内への水拡散を遅延させるフォーム密度の増加の故に細孔サイズが減少するに応じて膨張率が減少した。しかし、細孔サイズ及びフォーム組成に拘わらず、全てのサンプルは20分未満で100%の形状回復を経験した。
【0045】
図8は、コイル806がフォーム803の円筒状ピース803のコアを通じて中心的に配置されている、塞栓形成デバイス(embolization device)のフォーム上のコイル(foam-over-coil)の実施形態のクリンプされ且つ膨張させられた画像を示している。
【0046】
図9は、コイル906がフォーム904の円筒状ピースのコアを通じて中心的に配置され、フォームのない露出させられたコイルの遠位区画が存在する、塞栓形成デバイスのフォーム上のコイルの実施形態の例示を示している。一実施形態は、放射線不透過性マーカ908及び/又は909を含む。
【0047】
図10は、コイル1006がフォーム1003の円筒状ピースのコアを通じて中心的に配置され、コイルの直径が螺旋に類似してデバイスの一端に向かって徐々に増加する、塞栓形成デバイスのフォーム上のコイルの実施形態の例示を示している。一実施形態は、放射線不透過性マーカ1008及び/又は1009を含む。
【0048】
本明細書に記載するように、DSCの使用を通じて、実施形態は、TEAに対するHPEDの比率を変えることによって、SMPフォームの作動温度の精密な制御を可能にする。HPEDの量の増大に応じたTgの増加は、追加的なHPEDと関連付けられた架橋密度の増加及び鎖移動性を制限するHPEDの分子構造によってもたらされる立体障害の結果である。SMPフォームデバイスのTgを制御する能力は、循環する血液に曝されるときにデバイスの作動速度を制御するのに極めて有用である。これは、フォームの膨張運動学を変更する簡単な手段を提供して、異なるデバイス徴候について臨床医によって要求される特異な要件を満たす。
【0049】
SMPの活性化はエントロピー駆動であり、体温は各フォーム配合物のTgよりも低いので、ポリマの幾つかの実施形態は、膨張を開始させるようTgを十分に押し下げるために、送達カテーテル内の血液又は生理食塩水の注入において可塑化を受けなければならない。これらのフォームの転移温度は37℃よりも有意に高いが、フォームのTgは、100%の湿度に晒されるときに約10℃まで押し下げられる。この転移温度低下は、フォームが体内の37℃水性環境において膨張することを可能にする。膨張研究は、フォームの膨張させられた直径が送達カテーテルの内径の4倍である地点として定義される、提案されるデバイスの作業時間を調整する能力を実証した。フォーム製造中のTEAに対するHPEDの比率及びフォーム細孔サイズを変更することによって、1~5分で異なる作業時間でデバイスを製造することができる。
【0050】
人間の伏在静脈の平均破裂圧力は、約1,575mmHgである。この破裂圧力とPED直径8mm及び長さ2mmのデバイスに基づいて、静脈系における血管破裂を防止するために、フォームの径方向力は107Nを超えてならない。この最大の径方向力は、デバイスの長さ及び円周に沿って加えられる径方向力の均一な分布を推定する。この情報に基づいて、径方向力試験は、SMPフォームが血管破裂に必要とされるよりも劇的に小さい血管壁に対して径方向力を加えることを実証した。これは、フォームが血管の内径に対して50%だけ過大であることを考慮し、それは適切なサイズの血管プラグを選択するときの一般的なサイズ調整(sizing)の実践である。この試験は、どのフォーム配合物が用いられるかに拘わらず、フォーム膨張の結果としてこのデバイスで標的血管を破裂させるリスクが極めて低いことを実証した。血管穿孔又は破裂を引き起こす可能性がより高いデバイスコンポーネントは、コイルアンカである。コイルの径方向力はフォームの径方向力を超えるが、それは末梢閉塞のために使用される市販の血管プラグよりほぼ1桁小さい力、並びに伏在静脈グラフトを破裂させるのに必要な圧力の50%未満の圧力及び現在市販されているFDA承認された塞栓プラグよりも約50%低い圧力を加える。PEDによって加えられる機械的な力は、コイルアンカの結果としての血管破裂のリスクは低いことを暗示する。
【0051】
デバイス移動の研究は、実施形態が少なくともCook Nester(登録商標)コイルほど安定することを実証した。実施形態は、望ましくない血栓塞栓症と同等以上の耐性を提供したが、デバイス合成試験は、実施形態が、AVP IIのような、市場で使用されている現在の塞栓プラグより有意に剛性が低いことを実証した。膨張可能なニチノールメッシュよりもむしろ、安定性のためのコイルアンカの使用及び剛性の低下は、PED実施形態が、デバイスを前進させるために必要とされる過度の力及びカテーテルの撓みのリスクの故に、他の塞栓プラグにアクセス可能でないことがある小さな曲がりくねった血管に送達されることを可能にする。
【0052】
SMPフォームの実施形態は、超音波誘導を使用して送達を可能にするのに十分なエコー源性を提供する。超音波誘導を使用してこれらのデバイスを送達する能力は、血管内技法を用いて依然として送達し且つ視覚化することができる金属成分のないSMPフォームだけからなる実施形態も可能にする。体内の治療血管の深さに依存するが、超音波撮像は、患者を蛍光透視法の間に必要とされる造影剤注入(contrast injections)のいかなる放射線又は潜在的副作用にも晒すことなく、これらの装置を送達する手段を提供する。
【0053】
インビトロ血液灌流研究及び後続のSMPフォームデバイスの組織学的分析は、血液がデバイス全体に浸透したことを明らかにした。フォームのいずれの区画も血栓沈着がないと思われず、完全な血管閉塞が起こった瞬間に、密なフィブリンメッシュがデバイスの近位場所、中間場所、及び遠位場所ではっきりと見えた。デバイスを通じる270秒の血液灌流後に完全閉塞が確認された。この実験で使用された圧力設定(450mmHg)は、デバイスのインビトロ凝固の厳密な試験として役立った。何故ならば、流れはインビボでより一層低い圧力で治療血管からそらされる可能性があり、それにより、臨床的閉塞を創り出すことがあるからである。組織因子VIIの欠如及び血栓形成に対する外因性凝固カスケードからのあらゆる影響を考慮すると、5分未満での完全な閉塞は有意な成果である。特に、FDA承認された末梢塞栓形成デバイスを考慮することは、血管閉塞を達成するために5分以上を必要とすることがある。
【0054】
本明細書で議論する実施形態は、形状記憶ポリマPEDデバイスの機械的特性が安全であり、血管穿孔又は破裂を引き起こす可能性が低いことを示す。同時に、これらの研究は、デバイス移動及び望ましくない血栓塞栓症の可能性が最小限であることを実証した。実施形態はこれを達成しながら、商業的に入手可能な血管プラグと比較してデバイス全体の剛性の有意な低下を実証し、それは実施形態が従来の塞栓デバイスを使用してアクセス可能でないことがある曲がりくねった血管に送達されることを可能にする。実施形態は完全な血管閉塞を引き起こし、迅速な血栓形成を促進し、超音波及び/又は蛍光透視法並びに同等のものを用いたPEDの視覚化の容易さを実証する。
【0055】
図12(A)は、図3(A)と類似する実施形態を含む。例えば、(その一次形状にある)コイルがカテーテルから展開されている。SMPフォームは、カテーテルから未だ排出又は展開されていない。図3(B)において、SMPフォームは、コイルの上流のカテーテルから展開されている。この実施形態において、フォームは、ケージ構造(「膨張させられた送達チューブ」)内に展開される。このチューブは、もはやカテーテルによって拘束されなくなると、血管壁に対して力を投射するために径方向に開く(場合によっては、部分的に崩壊した離間した壁を広げるのを助ける)スプライン(splines)又はストラット(支柱)(struts)を有してよい。スプラインは超弾性であってよい。スプラインは、例えば、ステンレス鋼又はニチノールを含んでよい。フォームは、(部分的に又は完全に)ケージ構造のストラット内に依然としてありながら、その一次形状(primary shape)まで膨張する。
【0056】
発泡体が不適切に展開されたと医師が決定するならば、医師はケージをカテーテル内に引き戻し、そうする際に、誤って配置されたフォームの周りでケージアーム又はスプラインを崩壊させ、フォームをカテーテル内に引っ込めてよい。そのような場合、(フォームを「膨張させられた送達チューブ」から展開し、最終的にはデバイスを血管に送達するために使用される)ガイドワイヤ及びケージは、互いに分離していてよい。ガイドワイヤ及びケージは同時に引っ込められてよく、或いはガイドワイヤがカテーテル内に引っ込められる前にガイドワイヤの位置が維持されている間に、ケージは引っ込められてよい。
【0057】
図12(C)に見られるように、フォームが適切に配置されるならば、ケージを引っ込めて、ケージをカテーテル内で崩壊させる間に、ガイドワイヤは展開されたままであってよく(それにより、フォームが展開されたままにしてよい)。これは図12(C)で起こり始め、図12(D)において継続している。図12(D)に示すように、フォームは(金属背骨を介して)コイルアンカに連結されたままであり、フォームが下流に移動するならば、フォームはコイルアンカに向かって移動する。図12(D)において、ガイドワイヤは、ケージよりも(アンカにより近く)更に展開されていることがはっきりと示されている。
【0058】
上述のように、ガイドワイヤは、アンカ又はガイドワイヤに連結する金属背骨の近位部分を押し付けるに過ぎない(即ち、ガイドワイヤは、背骨に固定的に連結されない)。しかしながら、他の実施形態において、ガイドワイヤは、背骨及び同等物からの電解放出を有してよい(例えば、ガイドワイヤは、電解プロセス/反応を介して終了させることができるノードで背骨に連結する)。ガイドワイヤは、ネジ山を介して連結してよく、そのために、ガイドワイヤ及び背骨は、互いに連結するための相補的なネジ山を有する。
【0059】
図12(E)は、(「移植されたデバイス」と印された)展開されたアンカ及びフォームから離れる方向に引かれたカテーテル、ケージ、及びガイドワイヤを示している。
【0060】
一実施形態において、ケージフレームは、単一の連続的な材料から製造されたモノリシック設計であってよい。例えば、ストラットは、単一の連続的なチューブから形成されてよく、その場合、ストラットは切断され、チューブから位置付けられる。幾つかの実施形態において、ケージは、2~30個のストラットを有してよい。ストラットは、(遠位又は下流に示された)自由端と、それらが切断されていないチューブの部分に連結する固定端とを有してよい。換言すれば、それらの遠位端は、互いに自由であってよいのに対し、それらの近位端は、全て、アームが形成されたチューブの部分であるバンドで終端する。
【0061】
ストラットは、高いひずみ回復を有する弾性の生体適合性材料で構成されてよい。幾つかの実施形態では、3%のひずみ回復を有する形状記憶合金を使用されてよい(しかしながら、他の実施形態はそのように限定されず、4%、6%、8%、10%又はそれよりも多くのひずみ回復を備える形状記憶要素を含んでよい)。使用されてよい材料は、形状記憶合金、ニチノールのようなチタン合金、Cu-Al-Niのような銅基合金、Fe-Ptのような白金合金、Co-Cr-Moのようなクロム-コバルト合金、Ag-Cdのようなカドミウム基合金、ウレタンのような形状記憶ポリマ、ステンレス鋼を含むが、これらに限定されない。ストラットは、材料の組み合わせから構成されてよい。例えば、近位セグメントはニチノールであってよく、中間セグメントはステンレス鋼であってよく、遠位セグメントはCo-Cr-Moであってよい。
【0062】
ケージ構造を作るために、実施形態は、複数のスロットを弾性チューブに切断することを必要とする。チューブ、ワイヤ、又はロッドにスロットを切断することは、ストラットの形態を創成することがある。デバイスフレームを下る連続的なストラットを有するデバイスのために、単一のセットのスロットが切断されてよい。ストラットは、レーザ又は他の精密切断デバイスによって切断されてよい。デバイスケージフレームは、形状設定されてよい。形状設定することは、デバイスケージフレームのための恒久的な形状を創成することを含んでよい。金属フレームのために、形状設定することは、例えば、チューブからの展開を通じて、径方向の制限が取り除かれたときに、デバイスが戻る膨張形状に、デバイスフレームを成形することを含んでよい。デバイスフレーム成形は、デバイスフレームを形成すること、及びデバイスフレームを熱処理することを含んでよい。デバイス形成は、チューブを型構造にセットし、ストラットが予め構成された形状に膨張するようにチューブを圧縮することによって、行われてよい。所望の構造の長さに対応するスペーサが、チューブの対応する区画に配置されてよい。例えば、10mmのスペーサが、近位構造に対応するチューブの区画に配置されてよく、その場合、所望の近位構造の長さは10mmである。所望の構造直径に合わせて調整される外部フレームが、チューブの対応する区画の周りに配置されてよい。チューブは、側方ストラットが外部フレームに接触するまで及び/又は内部径方向ストラットがスペーサに接触するまで、軸方向に圧縮されてよい。プロセスは、デバイスフレームの他のセクションに引き続き又は同時に適用されてよい。予め構成された形状の形成後、外部的制限がひとたび取り除かれるとデバイスフレームが戻る恒久的な形状を創り出すよう、デバイスを熱処理してよい。
【0063】
以下の例は、更なる実施形態に関する。
【0064】
例1は、塞栓デバイスを含み、塞栓デバイスは、治療を受けている血管内の血液の流れを安定的に閉塞するために使用される。
【0065】
例2は、例1の塞栓デバイスを含み、凝固形成及び安定的閉塞が塞栓デバイスの展開後0~30分以内に起こる。
【0066】
例3は、例1の塞栓デバイスを含み、塞栓デバイスは、5秒~30分の時間枠内で治療領域に送達され且つ展開される。
【0067】
例4は、例1の塞栓デバイスを含み、塞栓デバイスは、ポリウレタンSMPで構成される。
【0068】
しかしながら、他の実施形態は、SMPフォームの代わりにヒドロゲル又は類似物を使用してよい。
【0069】
例5は、例4の塞栓デバイスを含み、ポリマは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(2,2,4-及び2,4,4-混合物)(TMHDI)、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(HPED)、2,2’,2”-ニトリロトリエタノール(TEA)の組み合わせを用いて製造される。
【0070】
例6は、例1の塞栓デバイスを含み、閉塞は、塞栓デバイスの形態構造によって引き起こされる血液の流れの停滞の結果として生じる。
【0071】
例7は、例1の塞栓デバイスを含み、閉塞は、デバイス移植に対する血管の内皮の組織損傷応答及び組織因子結合部位の曝露の結果として生じる。
【0072】
例8は、例1の塞栓デバイスを含み、閉塞は、インプラントの形態構造によって引き起こされる血流内の再循環ゾーンの結果として生じる。
【0073】
例9は、例1の塞栓デバイスを含み、閉塞は、装置の容積全体に亘る血小板凝集及び活性化の結果として生じる。
【0074】
例10は、例1の塞栓デバイスを含み、塞栓デバイスは、形状記憶フォームから作製される。
【0075】
例11は、塞栓デバイスを血管内の所定の場所に保持するアンカを更に含む、例1の塞栓デバイスを含む。
【0076】
例12は、例11の塞栓デバイスを含み、アンカは、塞栓デバイスに対する近位の場所、遠位の場所、又は両方の場所に配置される。
【0077】
例13は、例11の塞栓デバイスを含み、アンカは、ニチノール、白金(プラチナ)、ステンレス鋼、ポリカーボネート、又はこれらの材料の組み合わせを含む。
【0078】
例14は、送達機構を含み、送達機構は、例1の塞栓デバイスを治療を必要とする領域に送達し、塞栓デバイスを膨張させて閉塞を創成するまで、その場所に留まる。
【0079】
例15は、例14の送達機構を含み、送達機構は、カテーテル、拡張バルーンカテーテル、又はガイドワイヤである。
【0080】
例16は、例14の送達機構を含み、塞栓デバイスをコアワイヤ上でクリンプして、インプラントとコアワイヤとの間の十分な摩擦を提供して、塞栓デバイスが治療血管の慣行内に完全に膨張されるまで、塞栓デバイスの後退及び前進を可能にする。
【0081】
例17は、例14の送達機構を含み、コアワイヤは、ステンレス鋼、ニチノール、鋼合金、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、若しくはナイロンワイヤ、又は編組ワイヤ若しくはコイルを含むこれらの材料の組み合わせである。
【0082】
例18は、例14の送達機構を含み、コアワイヤの直径は、0.0005~0.050インチの間である。
【0083】
例19は、例5の塞栓デバイスを含み、フォームは、ヨウ素、タングステン、白金、硫酸バリウム、又はこれらの化合物の任意の組み合わせのような、放射線不透過性充填材を含む。
【0084】
例20は、例5の塞栓デバイスを含み、塞栓デバイスの形態構造及び表面化学的性質が180秒未満でフィブリン沈着及び血小板凝集を引き起こす。
【0085】
例21は、例12のアンカを含み、アンカの幾何学的形状は、螺旋(helix)、渦巻き(spiral)、又は塞栓デバイスの長さに亘って漸進的に増大する直径を備える螺旋を含む。
【0086】
例22は、例12のアンカを含み、アンカは、それが元のシリンダ幾何学的形状から外向きに延びることがある複数のストラット(支柱)を含むように切断された、円筒状チューブを含む。
【0087】
例23は、例4の塞栓デバイスを含み、塞栓デバイスは、相互接続される経路がSMPを通じて創成されるように修正される。
【0088】
例1aは、近位端と遠位端とを有する外側導管と、近位端と遠位端とを有し、そのガラス転移温度(Tg)を超えて加熱されると二次形状から一次形状に移行する形状記憶ポリマ(SMP)フォームと、(a)(i)SMPフォームの近位端からSMPフォームの遠位端まで延び、SMPフォームによって概ね覆われる、第1の部分と、(a)(ii)SMPフォームの遠位端から遠位に延び、SMPフォームによって覆われない、遠位部分とを含む、金属背骨(metal backbone)とを含み、(b)(i)SMPフォーム及び金属背骨は、両方とも、外側導管の遠位端に隣接する外側導管内に含められ、(b)(ii)金属背骨の遠位部分は、巻かれていない二次形状から巻かれている一次形状に転移し、(b)(iii)金属背骨の遠位部分は、金属背骨の遠位部分の二次形状にあり、SMPフォームの遠位端と外側導管の遠位端との間に配置される、システムを含む。
【0089】
例えば、外側導管は、カテーテル又は他の幾つかの内腔内に嵌合する導入シース(introducer sheath)又は内腔を含んでよい。一実施形態において、システムは、導入シースの遠位端の近くで導入シース内に既に「装填」されたSMPフォームを含む収容パッケージ内でエンドユーザに送達されるので、SMPフォームを側方への最小距離でシースから展開することができる。この場合、「遠位」端は、医師がデバイスを展開しているときに医師から最も遠いデバイスの端である。SMPフォーム一次形状は、図3の膨張後の図に示すシリンダのような膨張させられたシリンダであってよい。金属背骨の遠位部分の一次形状は、図3に示すようなコイルであってよい。更に、Tgは、可塑化の故に押し下がることがある。
【0090】
例えば、図3において、金属背骨は、SMPフォームの近位端からSMPフォームの遠位端まで延び且つSMPフォーム303によって概ね覆われる部分(例えば、部分310)を含む。金属背骨、SMPフォームの遠位端312から遠位に延び且つSMPフォームによって覆われない部分311も含んでよい。
【0091】
例えば、金属背骨の遠位部分は、巻かれていない二次形状から移行する。図11は、遠位アンカが依然としてカテーテル内にあり(或いはアンカの少なくとも部分が依然としてカテーテル内にあり)、それがコイルのその一次形状に戻ることがあるように未だ制約されていないときの、二次形状(「遠位Pt/Irコイル」を参照)を示している。
【0092】
本明細書で使用するとき、Tgは、特定の「ガラス転移温度」を指し、「転移温度」は、とりわけ、Tg、溶融転移又は結晶化温度を指すことができる。一実施形態において、SMPフォームはTgで作動するが、他の実施形態では溶融温度で作動することがある。
【0093】
実施例1aの他のバージョンは、近位端と遠位端とを有する外側導管と、近位端と遠位端とを有し、その転移温度を超えて加熱されると二次形状から一次形状に移行する、形状記憶ポリマ(SMP)フォームと、(a)(i)SMPフォームの近位端からSMPフォームの遠位端まで延び、SMPフォームによって概ね覆われる、第1の部分と、(a)(ii)SMPフォームの遠位端から遠位に延び、SMPフォームによって覆われない、遠位部分とを含む、金属背骨とを含み、(b)(i)SMPフォーム及び金属背骨は、両方とも、外側導管の遠位端に隣接する外側導管内に含められ、(b)(ii)金属背骨の遠位部分は、巻かれていない二次形状から巻かれている一次形状に移行し、(b)(iii)金属背骨の遠位部分は、金属背骨の遠位部分の二次形状にあり、SMPフォームの遠位端と外側導管の遠位端との間に配置される、システムを含む。
【0094】
一実施形態において、転移温度は、SMPフォームのTgと等しい。
【0095】
例2aは、例1のシステムを含み、SMPフォームは、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(HPED)、トリエタノールアミン(TEA)、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を含む、ポリウレタンSMPフォームである。
【0096】
例えば、HDIとは別に、TEAに対するHPEDの比率を用いて膨張率を調整してよい。膨張速度は、短くてよく(例えば、1、3、5、7、9分)、或いはより長くてよい(例えば、20、25、30分又はそれよりも長い時間)。実施形態は、例えば、20モルパーセントのHPED対TEAの範囲から、最大80モルパーセントのHPED対TEAを含んでよい。よって、実施形態は、0.2~0.8のTEAに対するHPEDのモル比を有してよい。しかしながら、他の実施形態は、それらの境界の外に出る。
【0097】
他の実施形態は、SMPフォームが、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(HPED)、トリエタノールアミン(TEA)、及びTEAよりも高いモル比のヒドロキシル基に寄与するトリメチルヘキサメチレンジアミン(TMHDI)を含む。
【0098】
他の実施形態は、SMPフォームが、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(HPED)、グリセロール、ペンタンジオール、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を含む。
【0099】
例3aは、例2のシステムを含み、金属背骨の遠位部分は、通路を含む外側金属部分と、通路内に含められる内側金属部分とを含む。
【0100】
例えば、白金/イリジウムコイルが超弾性ニチノールワイヤの上にどのように通されるか(threaded)についての記述について上記を参照のこと。例えば、図3の外側金属部分323内の内側金属部分322を参照のこと。
【0101】
例4aは、例3のシステムを含み、金属背骨の第1の部分は、内側金属部分も含むが、外側金属部分を含まず、内側金属部分は、モノリシックであり、SMPフォームの近位端から、SMPフォームの遠位端まで/SMPフォームの遠位端を通じて延びて、SMPフォームの遠位にある外側金属部分の通路内に至る。
【0102】
例えば、内側金属部分は、フォーム(領域310)を通じて外側金属部分(領域311)の通路に延びる(シーム又は溶接部のない一体成形品で形成された)長いモノリシックワイヤであってもよいのに対し、外側金属部分は、領域311に制約されてよい。図11に示すように、外側金属部分は、(例えば、ニチノールを含むことがある)内側金属部分及びフォームについて不足することがある、放射線不透過性をもたらす白金又はイリジウムを含んでよい。
【0103】
これは、図9及び/又は図10の実施形態についても当て嵌まることがある。例えば、フォームによって覆われない部分は、内側金属部分を覆う外側金属部分を含んでよく、フォームによって覆われる部分は、内側金属部分のみを含んでよい。
【0104】
また、超音波の下で実施形態を送達するとき、SMP及び白金コイルアンカの両方が、可視化を可能にするのに十分なエコー源性をもたらす。音響的に密な物質を示す有意な音響シャドーイング(acoustic shadowing)が確認され、実施形態がインビボで膨張後に急速な閉塞を引き起こす可能性が高いという更なる証拠を提供する。このシャドーイングは、血管内超音波(IVUS)を用いて動脈内の高密度石灰化病変を特定するために医師によって使用されるのと同じ現象である。
【0105】
例5aは、例4のシステムを含み、外側金属部分の少なくとも部分は、内側金属部分及びSMPフォームの両方よりも放射線不透過性である。
【0106】
実施例6aは、例5のシステムを含み、内側金属部分は超弾性である。
【0107】
例えば、内側金属部分は、ニチノールを含んでよい。超弾性は、擬似弾性と呼ばれることもある。本明細書で使用するとき、それは10%もの高さのひずみに可逆的に変形することができる形状記憶合金に特有の特性である。この変形特性は、(形状記憶効果のように)温度変化を必要としないが、材料は超弾性を有するために変態温度を上回る必要がある。
【0108】
例7aは、例6のシステムを含み、SMPフォームは、SMPフォームの近位端を含む近位部分と、SMPフォームの遠位端を含む遠位部分とを含み、SMPフォームの近位部分及び遠位部分の一方は、金属背骨の第1の部分に付着し、SMPフォームの近位部分及び遠位部分の他方は、金属背骨の第1部分に滑動可能に結合する。
【0109】
例えば、図3において、SMPフォームは、領域313及び/又は314及び/又は315で背骨部分310にエポキシ化される或いは他の方法で付着させられてよい。場所のうちの1つのみで発泡体を付着させることは、フォームが、径方向に膨張しながら背骨に沿って進行するのを可能にする。よって、一実施形態において、フォームは、径方向に膨張するときに直線的に僅かに収縮する。更に、ある場所でフォームを付着させることは、例えば、フォームがアンカの下流に配置されるようにシステムを展開することをユーザが選択するならば、フォームがアンカに連結させられたままであることを保証するのに役立つ。
【0110】
例8aは、例7のシステムを含み、SMPフォーム及び金属背骨の遠位部分は、SMPフォームが外側導管の遠位端から展開する前に、金属背骨の遠位部分が外部導管の遠位端から展開するよう、互いに対して及び外側導管に対して方向付けられる。
【0111】
例えば、図3において、システムは、下流の血圧内に下流の血圧に向かって、遠位方向316にカテーテル318から展開される(即ち、血液が方向317に移動している)。この場合、アンカ306は「前縁」(“leading edge”) を形成することができ、「下流」を指す(points “downstream”)のに対し、フォーム303はアンカの上流に配置される。これは、フォーム303の任意の下流の動きが実際にフォームをアンカに向かって押し、そうする際に、コイルにより大きな径方向力319を引き起こさせ、それにより、コイルを血管内に更に押し込み、それにより、システムを安定化させ、システムが下流に移動するのを防止するという利点を有する。血管の内皮層(endothelial lining)に加えられるこの力は、本明細書で記載する治癒応答を更に不当にする(illicit)ことがある。
【0112】
実施形態が下流に移動して意図しない血栓症を引き起こす限定的なリスクを有することを保証するよう、従来的な塞栓コイルであるCook MedicalのNester(登録商標)Embolic Coilとの比較のために各実施形態サイズについて最大流量を決定する研究を行った。結果は、実施形態がNester(登録商標)コイルと同等以上の流量に耐え得ることを示した。この分析は模擬静脈内で1つだけのNester(登録商標)コイルを用いても行われたが、典型的には、臨床で完全な血管閉塞を達成するために、少なくとも3つのコイルが移植される。3つのコイルが試験区画に移植されたならば、デバイス質量に亘る圧力降下は劇的に増加し、これらのコイルについての最大流量は更に減少する可能性が高い。
【0113】
例9aは、例8のシステムを含み、システムは、(c)(i)内側金属部分に連結された、(c)(ii)SMPフォームの近位に配置された、(c)(iii)外側導管内に含められた、並びに(c)(iv)内側金属部分及びSMPフォームの両方よりも放射線不透過性である、近位金属部分を含む。
【0114】
例えば、1つのそのような近位金属部分は、図3のノード307を含んでよい。図11の「近位マーカバンド」(“proximal marker band”)も参照のこと。そのような場合、医師は、バンドとアンカとの間「ゴースト」空間(“ghost” space)に基づいてフォームの場所を決定することができる(図11の「フォーム」(“foam”)を参照のこと)。
【0115】
例10aは、例8のシステムを含み、近位金属部分及び金属背骨のうちの少なくとも一方が、外側導管の内径の少なくとも50%である外径を含む。
【0116】
例えば、図11の「近位マーカバンド」は、それが存在するカテーテル又は外側導管の直径60、70、80、又は90%を含んでよい。従って、ガイドワイヤ又はプッシングロッド(pushing rod)は、マーカバンドとカテーテル壁との間で容易に滑動することができない。結果的に、ガイドワイヤ又はプッシングロッドは、デバイスに容易に結合し、デバイスをカテーテルから効率的に押し出すことができる。
【0117】
例11aは、例8のシステムを含み、金属背骨の第1の部分は、軸に沿って整列させられ、金属背骨の遠位部分は、その一次形状において、軸に対して概ね直交し且つSMPフォームによって加えられる他の径方向力よりも大きい径方向力をもたらす。
【0118】
そのような軸は、図3の軸320であり、アンカのそのような径方向力は、力319であり、フォームの径方向力は、力321である。
【0119】
径方向力試験は、フォームデバイスの径方向力は、デバイス直径が増加するに応じて一貫して増加することを示した。径方向力試験についての結果を以下に要約する。
【表0003】
【0120】
これらの試験は、様々なフォーム化学的性質(H40,H50,H60)を備えるSMPフォームの径方向力を示している。0.5mm、1mm、及び1.5mmの細孔サイズを備えるフォームサンプルの径方向力を試験した後に、全ての化学的性質の分析のために0.5±0.1mmの細孔サイズを選択し、それは最小の細孔サイズを備えるフォームがフォーム密度の増加の故に最大の径方向力を加えることを明らかにした。拘束回復試験は、フォームの均一な円筒状表面積を想定するならば、フォームが標的血管に対して50%過大であるときにフォーム膨張によって血管壁に加えられる最大の力が、バイパス処置において一般に使用される自己静脈を破裂させるのに必要とされる107Nの力よりも有意に低いことを示した。
【0121】
各異なる大きさのアンカの径方向剛性を、2つの従来的な血管プラグの剛性と比較した。デバイス剛性値を決定する径方向力試験の間に、8mmのデバイスは、4.0Nの平均最大径方向力を加えたのに対し、AMPLATXER(TM)Vascular Plugs (AVP II, St. Jude Medical, St. Paul, MN)は、標的血管に対して50%だけ過大であるときに、15.8Nの平均最大径方向力を加えた。8mmのPEDアンカコイルの顕微鏡撮像は、コイル表面の約30%が血管内皮と接触し、それは0.43cmの表面積に相当することを明らかにした。血管内腔と接触するコイルの推定表面積を考慮すると、PEDアンカは、血管内皮に対して約700mmHgの圧力、即ち、自己静脈グラフトの破裂を引き起こすのに必要とされる圧力の半分未満を血管内皮に加えるであろう。16mmのAVP IIが10mmの内径を備えるフレキシブルなPVCチューブ内に展開されるときには、約0.85cm2のデバイス表面積が管組織(tubing)の内径と接触し、約1400mmHgの径方向圧力をもたらすことが推定された。FDA認可をもたらしたAVP IIデバイスの実証済みの安全性及び有効性並びにPEDアンカによって加えられる径方向力及び圧力の顕著な低下を考慮すると、PEDコイルアンカがインビボで血管破裂又は穿孔を引き起こす可能性は低い。検証試験の前に、コイルアンカがPEDによって加えられる径方向力の大部分を占めると仮定された。径方向剛性試験は、試験したあらゆるフォームについての0.5N未満の最大径方向力によって実証されるように、これが正に当て嵌まることを明らかにした。
【0122】
例12aは、例8のシステムを含み、外側導管は、導入シースを含む。
【0123】
例13aは、例8のシステムを含み、金属背骨の第1の部分は、軸に沿って整列させられ、SMPフォーム及び金属背骨の遠位部分は、上流の血圧がSMPフォームを金属背骨の遠位部分に向かって押すときに、金属背骨の遠位部分が、その一次形状において、軸に対して概ね直交する方向径方向外向きに押圧し、上流血圧に応答して、SMPフォームを金属背骨の遠位部分に向かって押すよう、互いに対して方向付けられる。
【0124】
例14aは、HPEDよりも低いポリウレタンSMPフォームに対するヒドロキシル基のモル比に寄与するTEAを備える、例8のシステムを含む。
【0125】
例15aは、HPEDよりも高いポリウレタンSMPフォームに対するヒドロキシル基のモル比に寄与するTEAを備える、例8のシステムを含む。
【0126】
例16aは、例15のシステムを含み、ポリウレタンSMPフォームは、HDIからなるジイソシアネート成分を含み、他のジイソシアネート成分を含まない。
【0127】
例えば、TMHDIは使用されない。これは、血流を迅速に(例えば、5分未満で又は3分未満でさえ)停止させなければならない、外傷性損傷に関するシナリオにおいてフォームの急速な膨張を促進するために重要であり得る。
【0128】
例17aは、例8のシステムを含み、外側金属部分は、白金、パラジウム、タングステン、及びイリジウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0129】
例18aは、例8のシステムを含み、システムは、SMPフォームに近接し、SMPフォームによって覆われない、追加的な外側金属部分を含み、追加的な外側金属部分は、追加的な通路を含み、内側金属部分は、SMPフォームの近位端まで延び/SMPフォームの近位端を通じて延びて追加的な通路内に至り、SMPフォームの近位端まで/SMPフォームの近位端を通じて延びて追加的な通路内に至る内側金属部分も、巻かれていない(uncoiled)二次形状から巻かれている(coiled)一次形状に移行する。
【0130】
例えば、図5を参照のこと。そのような場合、内側金属部分は、内側金属部分ワイヤの両端でフォーム全長に亘って延びて白金被膜(例えば、外側金属部分)内に至る単一のニチノールワイヤであってよい。そのような場合、マーカバンドは必要とされないことがある。何故ならば、医師は2つのアンカ間の「ゴースト」空間に基づいてフォームの場所を決定することができるからである。
【0131】
例19aは、例8のシステムを含み、巻かれた金属背骨の遠位部分の一次形状は、円錐形コイルを含み、円錐形コイルは、SMPフォームと円錐形コイルの頂点との間に円錐形コイルの基部(ベース)を備える。
【0132】
例えば、図10において、基部1024は、頂点1025の後にカテーテル又は外側導管から排出されてよい。そのような場合、基部は頂点の上流に配置されてよい。更に、本明細書で使用するとき、「円錐形コイル」(“conically shaped coil”)は、円錐台形状(基部と概ね平行な平面によって頂部を切断することによって形成された中実円錐又はピラミッドのベース部分)を含む。更に、図3のコイルは、基部が頂点よりもフォームにより近い或いは頂点が基部よりもフォームにより近い、円錐形であってよい。これは図5のコイルの一方又は両方に当て嵌まり、図5のコイルの一方又は両方は、基部が頂点よりもフォームにより近い或いは頂点が基部よりもフォームにより近い、円錐形であってよい。
【0133】
例20aは、近位端と遠位端とを有する外側導管と、近位端と遠位端とを有する形状記憶ポリマ(SMP)であって、SMPフォームがそのガラス転移温度(Tg)を超えて加熱されたときに二次形状から一次形状に移行するSMPフォームと、(a)(i)SMPフォームの近位端からSMPフォームの遠位端まで延び、SMPフォームによって概ね覆われる、第1の部分と、(a)(ii)SMPフォームの遠位端から遠位に延び、SMPフォームによって覆われない、遠位部分とを含む、金属背骨とを含み、(b)(i)SMPフォーム及び金属背骨が、両方とも、外側導管の遠位端に隣接する外側導管内に含められ、(b)(ii)金属背骨の遠位部分は、巻かれていない二次形状から巻かれている一次形状に移行し、(b)(iii)金属背骨の遠位部分が、金属背骨の遠位部分の二次形状にあり、SMPフォームの遠位端と外部導管の遠位端との間に配置される、システムを提供するステップと、システムを患者内に前進させるステップと、金属背骨の遠位端を外側導管の遠位端から患者の血管内に展開するステップと、金属背骨の遠位端をその二次形状からその一次形状に移行させるステップと、金属背骨の遠位端をその二次形状からその一次形状に移行させることに応答して、金属背骨の遠位端を血管の壁に係合させるステップと、金属背骨の遠位端を外側導管の遠位端から展開することに応答して、SMPフォームを外側導管の遠位端から血管内に展開するステップと、SMPフォームをその二次形状から一次形状に移行させるステップと、SMPフォームをその二次形状から一次形状に移行させることに応答して、SMPフォームを血管の壁に係合させるステップと、SMPフォームを血管の壁に係合させることに応答して、容器を閉塞するステップとを含む、方法を含む。
【0134】
例20aの他のバージョンは、近位端と遠位端とを有する外側導管と、近位端と遠位端とを有する形状記憶ポリマ(SMP)フォームであって、SMPフォームがその転移温度を超えて加熱されるときに二次形状から一次形状に移行するSMPフォームと、(a)(i)SMPフォームの近位端からSMPフォームの遠位端まで延び、SMPフォームによって概ね覆われる第1の部分と、(a)(ii)SMPフォームの遠位端から遠位に延び、SMPフォームによって覆われない、遠位部分とを含む、金属背骨とを含み、(b)(i)SMPフォーム及び金属背骨は、両方とも、外側導管の遠位端に隣接する外側導管内に含められ、(b)(ii)金属背骨の遠位部分は、巻かれていない二次形状から巻かれている一次形状に移行し、(b)(iii)金属背骨の遠位部分は、金属背骨の遠位部分の第2の形状にあり、SMPフォームの遠位端と外側導管の遠位端との間に配置される、システムを提供するステップと、システムを患者内に前進させるステップと、金属背骨の遠位端を外側導管の遠位端から患者の血管内に展開するステップと、金属背骨の遠位端をその二次形状からその一次形状に移行させるステップと、金属背骨の遠位端をその二次形状からその一次形状に移行させることに応答して、金属背骨の遠位端を血管の壁に係合させるステップと、金属背骨の遠位端を外側導管の遠位端から展開することに応答して、SMPフォームを外側導管の遠位端から血管内に展開するステップと、SMPフォームをその二次形状から一次形状に移行させるステップと、SMPフォームをその二次形状から一次形状に移行させることに応答して、SMPフォームを血管の壁と係合させるステップと、SMPフォームを血管の壁と係合させることに応答して、血管を閉塞するステップとを含む、方法を含む。
【0135】
例21aは、例20の方法を含み、金属背骨の遠位部分は、通路を含む外側金属部分と、通路内に含められる内側金属部分とを含み、外側金属部分の少なくとも部分は、内側金属部分及びSMPフォームの両方よりも放射線不透過性である。方法は、外側金属部分の少なくとも部分が内側金属部分及びSMPフォームの両方よりも放射線不透過性であることに応答して、血管内のSMPフォームの場所を決定するステップを更に含む。
【0136】
例22aは、例8のシステムを含み、システムは、複数の弾性アーム部材を含み、弾性アーム部材は、弾性アーム部材の遠位端で互いに自由であり、弾性アーム部材の近位端で互いに固定的に連結され、金属背骨の第1の部分は、軸に沿って概ね整列させられ、SMPフォームの少なくとも部分は、軸に対して直交する平面がSMPフォーム及び複数の弾性アームと交差するように、複数の弾性アーム内に配置され、複数の弾性アームは、外側導管内で圧縮し、弾性アームが外側導管から展開するときに径方向に膨張する。
【0137】
本発明の実施形態の前述の記述は、例示及び記述の目的のために提示されている。それは網羅的であること又は本発明を開示の精密な形態に限定することを意図しない。この記述及び後続の請求項は、記述の目的のためにのみ使用され、限定として解釈されるべきでない、左、右、頂、底、上、下、上方、下方、第2、第2等のような、用語を含む。本明細書に記載するデバイス又は物品の実施形態は、多数の位置及び向きで製造され、使用され、或いは搬送されることができる。当業者は、上記教示に照らして多くの変更及び変形が可能であることを理解することができる。当業者は、図面に示す様々な構成要素(コンポーネント)の様々な等価な組み合わせ及び置換を認識するであろう。従って、本発明の範囲は、この詳細な記述によって限定されず、むしろ添付の請求項によって限定されることが意図されている。
図1
図2
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図12