(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】ペリクル
(51)【国際特許分類】
G03F 1/62 20120101AFI20220829BHJP
C08F 8/00 20060101ALI20220829BHJP
C08F 20/10 20060101ALI20220829BHJP
C08F 290/12 20060101ALI20220829BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20220829BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20220829BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
G03F1/62
C08F8/00
C08F20/10
C08F290/12
C09J7/38
C09J7/29
C09J133/00
(21)【出願番号】P 2021509638
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014049
(87)【国際公開番号】W WO2020196836
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2019064910
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 靖
(72)【発明者】
【氏名】畦崎 崇
(72)【発明者】
【氏名】田中 博文
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-501106(JP,A)
【文献】国際公開第2006/028227(WO,A1)
【文献】特開2011-107469(JP,A)
【文献】特開2011-128605(JP,A)
【文献】特開2013-159738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 1/62
G03F 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペリクル枠と、
前記ペリクル枠の一端面に張設されたペリクル膜と、
前記ペリクル枠の他端面に設けられた粘着剤層とを有するペリクルであって、
前記粘着剤層が、ポリマー(A)と、ラジカル重合開始剤(B)とを含む樹脂組成物の硬化物である(メタ)アクリル系粘着剤を含み、前記ポリマー(A)が、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位、及び炭素-炭素多重結合含有基からなる側鎖を有する、ペリクル。
【請求項2】
前記ポリマー(A)の多重結合当量が、156g/mol以上100,000g/mol以下である、請求項1に記載のペリクル。
【請求項3】
前記炭素-炭素多重結合含有基が、炭素-炭素二重結合含有基である、請求項1または2に記載のペリクル。
【請求項4】
前記ポリマー(A)の重量平均分子量が、1万以上100万以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のペリクル。
【請求項5】
前記ラジカル重合開始剤(B)が、熱ラジカル重合開始剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載のペリクル。
【請求項6】
前記ラジカル重合開始剤(B)が、過酸化物系ラジカル重合開始剤またはアゾ系ラジカル重合開始剤である、請求項5に記載のペリクル。
【請求項7】
前記樹脂組成物が、架橋剤(C)をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のペリクル。
【請求項8】
前記架橋剤(C)が、多官能性の炭素-炭素多重結合を有する化合物である、請求項7に記載のペリクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばLSI、超LSIなどの半導体装置や液晶ディスプレイパネルなどのリソグラフィ工程において、リソグラフィ用マスクのゴミよけとして使用されるペリクルに関する。
【背景技術】
【0002】
ペリクルは、LSI、超LSIなどの半導体装置や液晶ディスプレイパネルなどのリソグラフィ工程において、リソグラフィ用マスク上に装着して、マスクへの異物の付着を防ぐ目的で使用される。ペリクルは、通常、ペリクル枠と、その上端面に張設された透明なペリクル膜と、下端面に設けられ、ペリクルをマスクに貼り付けるための粘着剤層とを有する。通常、1枚のペリクルが繰り返し使用されているため、当該粘着剤層は、ペリクルをマスク上に剥離可能に固定するためのものである。よって、ペリクルの粘着剤層には、高い耐荷重性と同時に、ペリクル剥離後の糊残りの抑制が求められる。
【0003】
ペリクルの粘着剤層に使用される粘着剤としては、ゴム系やポリウレタン系の粘着剤や、特許文献1に記載のようなシリコーン系の粘着剤、特許文献2に記載のアクリル系の粘着剤等が知られている。
【0004】
近年では、マスクパターンの微細化に伴い、露光光の短波長化が進んでいる。短波長の光の例には、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等のエキシマ光などがある。このような短波長は高エネルギーであることから、露光中に粘着剤の成分が分解しやすく、粘着剤の成分の分解によって、アウトガスと呼ばれる有機ガス成分が発生することが知られている。さらにアウトガスはペリクル膜の汚れ(「ヘイズ」とも言う)の原因となることも知られている。
【0005】
例えば、特許文献2のペリクルは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と硬化剤との反応生成物を含む、有機ガス吸着性能を有する(メタ)アクリル系粘着剤を使用する。当該ペリクルにおいては、(メタ)アクリル系粘着剤による有機ガス吸着によってアウトガスの発生を抑制して、ペリクルのヘイズの発生を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平05-281711号公報
【文献】特開2011-128605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のシリコーン系の粘着剤は、アウトガスの発生が多いことが報告されている。よって、短波長の露光光を使用したリソグラフィ工程においては、ヘイズの発生が多いといった問題がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の(メタ)アクリル系粘着剤は、エポキシ系やイソシアネート系の化合物を架橋剤として使用するものである。エポキシ系やイソシアネート系の化合物は化合物自体が高反応性化合物であるため、反応混合物である樹脂組成物の安定性に懸念がある。
【0009】
本発明は、特定のポリマー(A)をラジカル重合開始剤(B)と共に使用することで、溶液安定性の高い樹脂組成物を提供し、当該樹脂組成物を用いることで、糊残りが少なく、アウトガスの発生が抑制されたペリクルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる課題を解決することを目的として鋭意研究した結果、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位、及び炭素-炭素多重結合含有基からなる側鎖を有するポリマー(A)と、ラジカル重合開始剤(B)とを含む(メタ)アクリル系粘着剤の溶液は、溶液安定性が高いことを見出した。これは主材として多重結合を有する化合物を使用することで、反応混合物の安定性が高まるためと考えられる。これら知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0011】
よって、本発明は、以下のペリクルに関する。
[1] ペリクル枠と、前記ペリクル枠の一端面に張設されたペリクル膜と、前記ペリクル枠の他端面に設けられた粘着剤層とを有するペリクルであって、前記粘着剤層が、ポリマー(A)と、ラジカル重合開始剤(B)とを含む樹脂組成物の硬化物である(メタ)アクリル系粘着剤を含み、前記ポリマー(A)が、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位、及び炭素-炭素多重結合含有基からなる側鎖を有する、ペリクル。
[2] 前記ポリマー(A)の多重結合当量が、156g/mol以上100,000g/mol以下である、[1]に記載のペリクル。
[3] 前記炭素-炭素多重結合含有基が、炭素-炭素二重結合含有基である、[1]または[2]に記載のペリクル。
[4] 前記ポリマー(A)の重量平均分子量が、1万以上100万以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のペリクル。
[5] 前記ラジカル重合開始剤(B)が、熱ラジカル重合開始剤である、[1]~[4]のいずれかに記載のペリクル。
[6] 前記ラジカル重合開始剤(B)が、過酸化物系ラジカル重合開始剤またはアゾ系ラジカル重合開始剤である、[5]に記載のペリクル。
[7] 前記樹脂組成物が、架橋剤(C)をさらに含む、[1]~[6]のいずれかに記載のペリクル。
[8] 前記架橋剤(C)が、多官能性の炭素-炭素多重結合を有する化合物である、[7]に記載のペリクル。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、特定のポリマー(A)をラジカル重合開始剤(B)と共に使用することで、溶液安定性の高い粘着剤溶液が得られる。当該粘着剤溶液を用いることで、糊残りが少なく、アウトガスの発生が抑制されたペリクルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例で作製したペリクルの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.ペリクル
本発明のペリクルは、ペリクル枠と、ペリクル枠の一端面に張設されたペリクル膜と、ペリクル枠の他端面に設けられた粘着剤層とを有する。
【0015】
1-1.ペリクル枠
ペリクル枠は、ペリクル枠として通常用いられるものであってもよい。ペリクル枠の材質の例には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ポリエチレン、黒色アルマイト処理したアルミニウムなどが含まれる。これらの中でも、軽量であることなどから、アルミニウム合金や黒色アルマイト処理したアルミニウムなどが好ましい。
【0016】
1-2.ペリクル膜
ペリクル膜は、ペリクル枠の一方の開口部に固定されている。ペリクル膜は、ペリクル膜として通常用いられているものであってよい。ペリクル膜の材質は、例えばニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、プルラン化合物、非晶性フッ素系重合体、シリコーン変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、エキシマ光に対して充分な耐性を有する非晶性フッ素系重合体が好ましい。
【0017】
1-3.粘着剤層
粘着剤層は、ポリマー(A)と、ラジカル重合開始剤(B)とを含む樹脂組成物の硬化物である(メタ)アクリル系粘着剤を含む。
【0018】
[ポリマー(A)]
ポリマー(A)は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)、及び炭素-炭素多重結合含有基からなる側鎖を有するポリマーである。また、ポリマー(A)は、構造単位(I)以外に、ヒドロキシ基を含む構造単位(以下、「構造単位(II)」ともいう)をさらに有することが好ましい。また、構造単位(I)~(II)以外のその他の構造単位をさらに有していてもよい。
【0019】
ポリマー(A)は、炭素-炭素多重結合含有基からなる側鎖をさらに有する。炭素-炭素多重結合含有基は、構造単位(II)やその他の構造単位に含まれていてもよい。以下、炭素-炭素多重結合含有基及び各構造単位について説明する。
【0020】
(炭素-炭素多重結合含有基)
炭素-炭素多重結合含有基は、炭素-炭素二重結合および/または炭素-炭素三重結合を含む基である限り特に限定はない。重合性炭素-炭素多重結合は、エチレン性ならびにアルキン性の炭素-炭素多重結合を意味する。
【0021】
炭素-炭素二重結合含有基は、炭素-炭素二重結合を含む基である限り、特に限定はない。例えば、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、イソプレン、ジアリルエーテル、ジビニルベンゼン((メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基等)が挙げられる。また、炭素-炭素三重結合含有基は、炭素-炭素三重結合を含む基である限り、特に限定はない。例えば、ヘキサン-1,5-ジインやジエチニルベンゼンやジエチレングリコールビス(2-プロピニル)エーテルが挙げられる。これらの中で、ラジカルの安定性と反応性により優れ、加熱後の粘着力の低下幅がより十分に大きくなる観点から、炭素-炭素二重結合含有基である(メタ)アクリル基が好ましい。
【0022】
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」という表現を用いる場合、「アクリル」及び「メタクリル」の一方又は両方を意味するものとし、「(メタ)アクリロイル」についても同様の意味をもつものとする。
【0023】
ポリマー(A)は、多重結合含有基を、側鎖及び末端のいずれに有していてもよいが、重合性炭素-炭素多重結合の反応性を向上させ、加熱またはUV硬化後の粘着力の低下幅をより十分に大きくする観点から、側鎖に有することが好ましい。
【0024】
側鎖に多重結合含有基が導入されたポリマー(A)は、例えばヒドロキシ基、エポキシ基を側鎖に有する前駆体ポリマーを用意し、前駆体ポリマーのヒドロキシ基、カルボキシ基に対し、多重結合を有するイソシアネート化合物、エポキシ化合物を反応させる手法によって得ることができる。
【0025】
ポリマー(A)中の多重結合含有基の含有量を表す、多重結合当量の範囲は、156g/mol以上100,000g/mol以下が好ましく、500g/mol以上50,000g/mol以下がより好ましく、1000g/mol以上20,000g/mol以下がさらに好ましい。多重結合含有基の含有量を上記範囲とすることで、加熱あるいはUV照射による硬化後の粘着力を弱粘着から強粘着まで設計可能となり、かつ糊残りをより十分に低減することができる。
【0026】
多重結合当量は、ポリマー(A)の有する多重結合(即ち、二重結合および三重結合)の合計モル数(mol)に対する、ポリマー(A)の固形分質量(g)であり、下記式で表すことができる。
多重結合当量(g/mol)=ポリマー(A)中の固形分質量(g)/ポリマー(A)の多重結合のモル数。
尚、ここでいうポリマー(A)の固形分質量とは、ポリマー(A)の平均分子量(Mw)である。また、ポリマー(A)の多重結合のモル数は、側鎖に位置する重合性多重結合基を有する化合物のモル数である。
【0027】
ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量である。その測定方法については後述する。
【0028】
また、ポリマー(A)の多重結合のモル数は、1H-NMRの積分値から計算することができる。例えば、ポリマー(A)に対して任意の量(例えば、0.1mmol)の標準試薬(スチレンなど)を添加した溶液を用意し、それを重溶媒(例えば、CDCl3)で希釈し、試料溶液を調製する。調整した試料溶液を1H-NMRを測定してスペクトルを得る。得られたスペクトルについて、標準試薬由来のピークの積分値と、ポリマー(A)に含まれる多重結合由来のピークの積分値とから、多重結合のモル数を得ることができる。
【0029】
(構造単位(I))
構造単位(I)は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位である。構造単位(I)は、-CH2-CH(COOCH3)-で表される構造を有している。
【0030】
さらに構造単位(I)は、炭素数4以上10以下のアルキル基を含む(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位である。炭素数4以上10以下のアルキル基としては、例えばn-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-デシル基等が挙げられる。これらの中で、n-ブチル基及び2-エチルヘキシル基が好ましい。
【0031】
さらに構造単位(I)は、構造単位(I)に由来する脱離物が、沸点150℃以下の化合物となるものが好ましい。例えば、構造単位(I)がアクリル酸ブチルの場合、脱離物は沸点117℃のブタノールである。脱離物の沸点が150℃以下であれば、アウトガスの除去が容易である。沸点が150℃以下の脱離物を生じる構造単位(I)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、酢酸ビニルなどの、エステル基の炭素数が5以下の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0032】
ポリマー(A)が構造単位(I)を有する場合、構造単位(I)の含有割合の下限としては、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましく、40質量%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、95質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、70質量%がさらに好ましく、60質量%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、粘着剤層の強度をさらに高めることができ、その結果、粘着力をさらに高めることができる。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、粘着力を弱粘着から強粘着まで設計可能となり、かつ糊残りを十分に低減することができる。
【0033】
(構造単位(II))
構造単位(II)は、ヒドロキシ基を含む構造単位である。ポリマー(A)が構造単位(II)を有することで、粘着力がより向上する。
【0034】
ヒドロキシ基としては、例えばアルコール性ヒドロキシ基等が挙げられる。これらの中で、糊残り低減化の観点から、アルコール性ヒドロキシ基が好ましい。
【0035】
構造単位(III)を与えるモノマーとしては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシナフチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアリール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中で、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、ヒドロキシアルキルアクリレートがより好ましく、ヒドロキシエチルアクリレートがさらに好ましい。
【0036】
ポリマー(A)が構造単位(II)を有する場合、構造単位(II)の含有割合の下限としては、1質量%が好ましく、3質量%がより好ましく、4質量%がさらに好ましく、5質量%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、30質量%が好ましく、25質量%がより好ましく、15質量%がさらに好ましく、10質量%が特に好ましい。
【0037】
ポリマー(A)の重量平均分子量は、1万以上100万以下が好ましく、3万以上10万以下の範囲内にあることがより好ましい。上記範囲内にあると、粘着剤層の凝集力、接着力が適度な大きさになり、糊残りしにくいため好ましい。
【0038】
尚、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)である。
【0039】
ポリマー(A)の分子量分布、即ち、GPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)の下限としては、通常1であり、1.1が好ましい。上記比の上限としては、5が好ましく、3がより好ましく、2がさらに好ましく、1.7が特に好ましい。分子量分布が上記範囲にあることで、架橋度のコントロールが可能になり、糊残りに悪いとされる官能基のコントロールが良くなり、糊残りが低減される。
【0040】
本明細書においてポリマー(A)のMw及びMnを測定するために用いたGPCの各条件は、以下の通りである。
GPCカラム:例えば東ソー社の「TSKgel Multipore HXL-M」2本、
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)
流量: 1.0mL/分
試料濃度: 0.05質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0041】
[ラジカル重合開始剤(B)]
粘着剤に使用するラジカル重合開始剤(B)の種類に特に限定はなく、光ラジカル重合開始剤および熱ラジカル重合開始剤を使用することができる。
【0042】
光ラジカル重合開始剤とは、光照射を受けてラジカルを発生する化合物、すなわち、光エネルギーを吸収し、分解してラジカル種を発生する化合物をいう。また、熱ラジカル重合開始剤とは、熱によってラジカルを発生する化合物、すなわち、熱エネルギーを吸収し、分解してラジカル種を発生する化合物をいう。ラジカル重合開始剤(B)としては、光ラジカル重合開始剤および熱ラジカル重合開始剤のいずれか1種を使用することもできるし、複数種のラジカル重合開始剤を併用することもできる。しかし、ペリクルは光照射下で使用するものであるため、使用環境下の光によって粘着剤に残存する光ラジカル重合開始剤が反応し、粘着剤の物性や特性を変化させることを防止する上で、光ラジカル重合開始剤よりも熱ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0043】
熱ラジカル重合開始剤(B)としては、過酸化物系ラジカル重合開始剤、またはアゾ系ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0044】
過酸化物系ラジカル重合開始剤の具体例としては、以下の化合物および市販品を例示できる。ジイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ[4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキシル]プロパン、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、n-ブチル-4,4-ジーt-ブチルパーオキシバレレート、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、p-メタンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン-3-イン、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、o-クロロベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、トリス(t-ブチルパーオキシ)トリアジン、2,4,4-トリメチルペンチルパーオキシネオデカノエート、α-クミルパーオキシネオデカノエート、t-アミルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ-t-ブチルパーオキシトリメチルアジペート、ジ-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコールビス(t-ブチルパーオキシカーボネート)、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエートが挙げられる。
【0045】
日本油脂株式会社より市販されているパーヘキサH等のケトンパーオキサイド類、パーヘキサTMH等のパーオキシケタール類、パーブチルH-69等のハイドロパーオキサイド類、パークミルD、パーブチルC、パーブチルD、パーブチルO等のジアルキルパーオキサイド類、ナイパーBW等のジアシルパーオキサイド類、パーブチルZ、パーブチルL等のパーオキシエステル類、パーロイルTCP等のパーオキシジカーボネートが挙げられる。
【0046】
化薬アクゾ社製のトリゴノックス36-C75、ラウロックス、パーカドックスL-W75、パーカドックスCH-50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH-70、パーカドックスBC-FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、パーカドックス12-XL25、トリゴノックス22-N70(22-70E)、トリゴノックスD-T50、トリゴノックス423-C70、カヤエステルCND-C70、トリゴノックス23-C70、トリゴノックス257-C70、カヤエステルP-70、カヤエステルTMPO-70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP-65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF-C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH、カヤカルボンI-20、カヤカルボンBIC-75、トリゴノックス117、カヤレン6-70も挙げられる。
【0047】
上記過酸化物系ラジカル重合開始剤は、1種単独で使用しても、複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0048】
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、アゾニトリル化合物、アゾエステル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物、アゾイミダゾリン化合物、高分子アゾ系化合物等の、アゾ基を有する化合物が挙げられる。
【0049】
アゾニトリル化合物の例には、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス-2-メチルイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2メチルブチロニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)等が含まれる。
【0050】
アゾエステル化合物の例には、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ジメチル1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)、1,1’-アゾビス-(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)等が含まれる。
【0051】
アゾアミド化合物の例には、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ハイドロキシメチル)-2-ハイドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2‐ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド等が含まれる。
【0052】
アゾアミジン化合物の例には、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン)テトラヒドレート、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)ジハイドロクロライド等が含まれる。
【0053】
アゾイミダゾリン化合物の例には、2,2’-アゾビス[2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン]ジヒドロキシクロライド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン―2-イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン―2-イル)プロパン]ジスルフェイトジハイドレート等が含まれる。
【0054】
高分子アゾ系化合物の例には、商品名VPE-0201、VPE-0401、VPE-0601、VPS-1001(いずれも和光純薬社製)等が含まれる。
【0055】
上記アゾ系ラジカル重合開始剤は、1種単独で使用しても、複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0056】
ラジカル重合開始剤(B)の10時間半減期温度は、50℃~150℃であることが好ましく、より好ましくは60℃~140℃、さらに好ましくは70℃~130℃である。10時間半減期温度が上記範囲内であると、硬化不良が少ないため、糊残りを抑制することができる。
【0057】
尚、ラジカル重合開始剤(B)の10時間半減期温度の数値は、文献から得ることも可能であり、製造メーカーのカタログ等を参照することができる。例えば、日油株式会社のカタログ値(http://www.nof.co.jp/upload_public/sogo/B0100.pdf)などを参照することができる。
【0058】
本発明で用いることのできる光ラジカル重合開始剤(B)は、光硬化時に使用する光源に対して吸収性を示すものである限り特に限定はない。例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドなどを用いることができる。
【0059】
上記化合物は、市販品として入手可能であり、OMNIRAD1000、同248、同481、同4817、同4MBZ-flakes、同500、同659、同73、同784、同81、同BDK、同MBS、同BP-flakes、同DETX、同EDB、同EHA、同EMK、同ITX、同MBF、同OMBB、同TPO、同410、同BL723,同BL724,同BL750,同BL751、同1173、同127、同184、同184FF、同2022、同2100、同2959、同369、同369E、同379、同379EG、同4265、同754、同819、同819DW、同907、同907FF、同BP、同127D、ESACURE1001M、同ONE、同A198,同KIP 160、同KIP 150、同KIP100F、同KIP-LT、同KIP-IT、同KTO-46、同DP-250、同TZT、同KT-55(IMG社製)などが挙げられる。
【0060】
ラジカル重合開始剤(B)の配合量は、ポリマー(A)100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。配合量が0.01質量部以上であれば、硬化性が十分であり、10質量部以下であれば、開始剤由来のアウトガスが大量に発生することはない。
【0061】
[架橋剤(C)]
本発明に係る樹脂組成物は、架橋剤(C)をさらに含むことが好ましい。
架橋剤(C)は、加熱によってポリマー(A)に架橋構造を形成することができる成分である。当該樹脂組成物が架橋剤(C)をさらに含むことで、架橋構造を有する粘着剤層を形成することができる。
【0062】
架橋剤(C)は多官能性の炭素-炭素多重結合を有する化合物であることが好ましく、特に多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0063】
多官能(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を2個以上10個以下有するものである限り特に限定はないが、(メタ)アクリロイル基の数が2以上6以下であることが好ましい。
【0064】
架橋剤(C)として用いる多官能(メタ)アクリレートの具体的としては、以下の化合物を例示することができる。アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基含有アルキルアクリレート、ポリアルキレングリコールアクリレート、ジオキサンアクリレート、トリシクロデカノールアクリレート、フルオレンアクリレート、アルコキシ化ビスフェノールAアクリレート、(アルコキシ化)トリメチロールプロパンアクリレート、アルコキシ化セリンアクリレート、(カプロラクトン変性)イソシアヌレートアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、アルコキシ化ペンタエリスリトールアクリレート、(アルコキシ化)ペンタエリスリトールアクリレート、(アルコキシ化)ジトリメチロールプロパンアクリレート、(アルコキシ化)ジペンタエリスリトールアクリレート。
【0065】
多官能のアクリレート化合物の好ましい例としては、新中村化学社製のポリエチレングリコール♯400ジアクリレート(NKエステルA-400(分子量508))、ポリエチレングリコール♯600ジアクリレート(NKエステルA-600(分子量742))、A-DOD-N,A-BPE-10、A-GLY-9E,A-9300,A-9300-1CL、AD-TMP-Lも挙げられる。
【0066】
架橋剤(C)は、1分子中に2個以上10個以下のアクリレート基を含む2官能以上の(メタ)アクリレート硬化剤であることがより好ましい。このような化合物の具体的としては、グリセロールプロピル付加トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが例示できる。
【0067】
架橋剤(C)の有する炭素-炭素多重結合の含有量に特に限定はないが、その多重結合当量は、60g/mol以上1000g/mol以下が好ましく、80g/mol以上900g/mol以下がより好ましく、100g/mol以上700g/mol以下がさらに好ましく、200g/mol以上400g/mol以上がさらに好ましい。
尚、多重結合当量は、ポリマー(A)に関連して上述した方法により求めることができる。
【0068】
架橋剤(C)の配合量は、ポリマー(A)100質量部に対して、0質量部以上20質量部以下が好ましく、0.5質量部以上5質量部以下がより好ましい。架橋剤(C)の含有量を上記範囲とすることで、糊残りをさらに抑制することができる。
【0069】
[その他成分]
本発明に係る樹脂組成物は、上記成分に加えて、その他の任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、保存安定剤、熱重合禁止剤、可塑剤、濡れ性改良剤、密着性付与剤、粘着付与剤(タッキーファイヤー)、有機溶媒等が挙げられる。これら任意成分は1種でもよいが、2種以上を加えることもできる。
【0070】
このような任意成分は、本発明の効果を損なわない量で加えればよく、例えば、その配合量は、粘着剤の全体的な質量100質量部に対して、0質量部以上10質量部以下である。
【0071】
[(メタ)アクリル系粘着剤]
ペリクルの粘着剤層を形成する(メタ)アクリル系粘着剤の製造方法に特に限定はなく、粘着剤の製造方法として公知の方法で製造することができる。例えば、上述したポリマー(A)と、ラジカル重合開始剤(B)と、所望により架橋剤(C)、有機溶媒およびその他の成分を、上述した配合量で混合することで、樹脂組成物を得て、当該樹脂組成物を硬化することで、(メタ)アクリル系粘着剤を得ることができる。
【0072】
樹脂組成物の粘度に特に限定はないが、高すぎると均一に塗布しにくい。よって、ペリクル枠に粘着剤層を設ける際の塗布が容易であることから、樹脂組成物は溶液安定性が高いことが好ましい。本発明においては、樹脂組成物の調製から72時間後の粘度が、調製直後の粘度(初期粘度)に対して、著しく増加しないことをもって、溶液安定性が高いとする。例えば、樹脂組成物の調整後、室温で72時間経過後の粘度の増加割合は、調製直後の初期粘度と比べて、30%未満であることが好ましい。保存後の粘度増加率の低い、即ち、溶液安定性の高い樹脂組成物は、ディスベンサー塗工を行う際の塗工溶液の塗布量が安定し、塗工工程における歩留りが低減されるため好ましい。
【0073】
尚、樹脂組成物の粘度(初期粘度および保存後粘度)は、E型粘度計により測定することができる。
【0074】
本発明に係る樹脂組成物を硬化することで、(メタ)アクリル系粘着剤が得られるが、硬化方法などについては、以下のペリクルの製造方法の2)のステップを参照されたい。
【0075】
2.ペリクルの製造方法
本発明のペリクルは、上述した(メタ)アクリル系粘着剤を用いた粘着層を設けること以外は、従来のペリクルと同様に製造することができる。例えば、1)ペリクル枠の一方の開口部の端面にペリクル膜を張設し、2)次にペリクル枠の反対の開口部の端面に粘着剤層を設けることで、ペリクルを得ることができる。尚、ステップ1)および2)は、順番を入れ替えて実施することもできる。
【0076】
1)のステップについて
ペリクル枠の一方の開口部に、ペリクル膜を張設する。ペリクル膜の張設は、通常の方法で行うことができる。例えば、通常用いられる接着剤を、ペリクル枠の一方の端面に塗布して接着剤層を形成し、当該接着剤層上にペリクル膜を固定すればよい。
【0077】
接着剤は、公知のものであってよく、例えばセルロース誘導体、塩素化ポリプロピレン、ポリアミド系接着剤、フッ素樹脂系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ樹脂、ポリイミド系接者剤などでありうる。
【0078】
2)のステップについて
次に、ペリクル膜を張設したのと反対側のペリクル枠の開口部の端面に、粘着剤層を設ける。粘着層の形成には、上記樹脂組成物そのものまたは樹脂組成物を含む塗工溶液を調製し、ペリクル枠の開口部の端面に塗布し、乾燥及び硬化させて粘着剤とし、粘着層を形成する。
【0079】
塗工溶液は、樹脂組成物と共に有機溶媒をさらに含んでいてもよい。溶媒の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-5-ヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;塩化メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;
エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、プロピレングリコール等のグリコールエーテル系溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルカルボキシレート系溶媒。
有機溶媒は1種でもよいが、2種以上を混合して用いることもできる。
【0080】
有機溶媒の沸点(即ち、1種の場合は使用する溶媒の沸点、2種以上の場合は混合物の沸点)は、150℃以下であることが好ましい。ポリマー(A)として使用する(メタ)アクリル重合物の熱分解開始温度は150℃付近であるため、使用する有機溶媒の沸点が150℃以下であれば、ポリマー(A)が分解しうる150℃付近まで加熱することなく、有機溶媒を除去することが可能である。
【0081】
有機溶媒の配合量に特に限定はないが、通常、塗工溶液の全体的な質量100質量部に対して、0質量部以上90質量部以下が好ましく、0質量部以上50質量部以下がより好ましい。
【0082】
樹脂組成物または塗工溶液の塗布は、任意の塗布手段を用いて行うことができ、例えばスプレー塗布法、ディッピング塗布法、刷毛塗り法、ヘラ塗り法、ローラコート法、流延塗布法などによって行うことができる。流延塗布法では、例えばペリクル枠の表面上に液滴を滴下した後、当該液滴を、治具により引き延ばして均―な厚みに塗布することができる。
【0083】
塗布後の(メタ)アクリル系粘着剤は、乾燥させ、その後、加熱または光照射によって硬化させて粘着剤とする。乾燥および硬化は同時に行ってもよい。加熱条件としては、温度40℃~170℃で10分~2880分で実施することができる。光照射の条件としては、波長254nm~365nmの条件下、10分~30分で実施することができる。
【0084】
こうして得られる粘着剤の厚みに特に限定はないが、一般的に0.2mm以上0.8mm以下とする。また、マスクへの均一な塗布を可能にする観点から0.1mm以上であることが好ましい。
【0085】
上記のようにして得られた粘着剤を粘着剤層とする。粘着層には、保護フィルムを貼付することもできる。保護フィルムとしては、シリコーンやフッ素で離形処理を施したポリエステルフィルムやポリエチレンフィルムを使用することができる。
【0086】
また、粘着剤層に対して、さらに平坦化処理を行うことができる。平坦化処理を行うことで、粘着剤層の厚みを調節すると共に、その平坦度を高めることができる。たとえば、平坦度の高い定盤にペリクルを挟み込むこと、硬化と成形を2段階で行うことによって、ペリクルを平坦化することができる。2段階で成形を行う場合には、2段目の成形温度を、1段目の成形温度よりも高く設定することが好ましい。なお、成形温度は粘着剤の組成に応じて適宜決定することができるが、1段目の硬化温度は40℃~150℃程度であることが好ましく、2段目の成形温度は60℃~200℃程度であることが好ましい。
【0087】
さらに粘着剤層によるアウトガスの発生を抑制するために、揮発成分の除去を行うこともできる。例えば、粘着層やペリクル膜が劣化しない条件、例えば、150℃で4時間や、120℃で20時間ペリクルを加熱乾燥することで、揮発成分を除去することができる。
【0088】
3.ペリクルの用途
このようにして得られるペリクルは、上記粘着層を介してマスク上に装着される。それにより、マスクに異物が付着するのを防止しうる。マスクに付着した異物は、それに露光光の焦点が合うと、ウェハへの解像不良を引き起こす。そのため、ペリクルは、マスクの露光エリアを覆うように装着される。
【0089】
マスクとは、パターン化された遮光膜を配置されたガラス基板などである。遮光膜とは、CrやMoSiなどの金属膜でありうる。
【0090】
そして、露光光が、マスクの遮光膜以外の部分から入射され、ペリクル膜を透過する。露光光は、通常、ペリクル膜の法線に略平行に入射されるが、ペリクル膜の法線に対して斜め方向に入射されることもある。
【0091】
半導体素子に描画される回路パターンの形成工程等のリソグラフィに用いられる露光光は、水銀ランプのi線(波長365nm)や、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)等の短波長のエキシマ光などでありうる。
【0092】
前述した通り、粘着剤層は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位および炭素-炭素多重結合含有基からなる側鎖を有するポリマー(A)と、ラジカル重合開始剤(B)とを含む(メタ)アクリル系粘着剤であることから、良好な粘着性と、エキシマ光のような短波長の光に対する良好な耐光性とを有しうる。
【実施例】
【0093】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定して解釈されない。
【0094】
1.材料
以下の実施例および比較例において、下記の材料を使用した。
【0095】
1-1.ポリマー(A)
RA-341:根上工業社製の「アートキュアRA-341」(多重結合当量:13000g/mol、重量平均分子量:80000)
RA-331P:根上工業社製の「アートキュアRA-331P」(多重結合当量:7500g/mol、重量平均分子量:100000)
DT-7:根上工業社製(多重結合当量:1600g/mol、重量平均分子量:200000)
SKダイン1495:綜研化学社製のアクリル酸エステル共重合物(多重結合当量:0g/mol)
【0096】
1-2.ラジカル重合開始剤(B)
パーカドックス12-XL25:化薬アクゾ社製の過酸化物系ラジカル重合開始剤(熱ラジカル重合開始剤)
Omnirad1173:IGM Resins B.V.社製の光重合開始剤、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン
【0097】
1-3.架橋剤(C)
A-600:新中村化学工業社製の「NKエステルA-600」(アクリレート基の数:2個)
L-45:綜研化学社製のイソシアネート系硬化剤「L-45」
【0098】
2.樹脂組成物の調製
実施例1: 樹脂組成物1の調製
根上工業社製の「アートキュアRA-341」(固形分濃度:100%)100質量部に、トルエンを65質量部を添加し、室温で攪拌し、固形分濃度35%のポリマー(A)を調整した。ポリマー(A)100質量部に対し架橋剤(C)(新中村化学工業社製の「NKエステルA-600」、固形分濃度:100%)を1.0質量部と、過酸化物系ラジカル重合開始剤(B)(化薬アクゾ社製の「パーカドックス12-XL25」、固形分濃度:25%)を0.22質量部添加し、室温で攪拌することで、固形分濃度比でRA-341:A-600:パーカドックス12-XL25=100:2.86:0.16の樹脂組成物1を得た。
【0099】
実施例2: 樹脂組成物2の調製
根上工業社製の「アートキュアRA-331P」(固形分濃度:45%)100質量部に、トルエンを10質量部を添加し、室温で攪拌し、固形分濃度35%のポリマー(A)を調整した。ポリマー(A)100質量部に対し架橋剤(C)(新中村化学工業社製の「NKエステルA-600」、固形分濃度:100%)を1.0質量部と、過酸化物系ラジカル重合開始剤(B)(化薬アクゾ社製の「パーカドックス12-XL25」、固形分濃度:25%)を0.22質量部添加し、室温で攪拌することで、固形分濃度比でRA-331P:A-600:パーカドックス12-XL25=100:2.86:0.16の樹脂組成物2を得た。
【0100】
実施例3: 樹脂組成物3の調製
根上工業社製の「アートキュアDT-7」(固形分濃度:45%)100質量部に、トルエンを10質量部を添加し、室温で攪拌し、固形分濃度35%のポリマー(A)を調整した。ポリマー(A)100質量部に対し架橋剤(C)(新中村化学工業社製の「NKエステルA-600」、固形分濃度:100%)を1.0質量部と、過酸化物系ラジカル重合開始剤(B)(化薬アクゾ社製の「パーカドックス12-XL25」、固形分濃度:25%)を0.22質量部添加し、室温で攪拌することで、固形分濃度比でDT-7:A-600:パーカドックス12-XL25=100:2.86:0.16の樹脂組成物3を得た。
【0101】
実施例4: 樹脂組成物4の調製
架橋剤(C)を使用しないこと以外は実施例1と同様に樹脂組成物を調製し、樹脂組成物4を得た。
【0102】
実施例5: 樹脂組成物5の調製
過酸化物系ラジカル重合開始剤(B)の量を2.7質量部に変更したこと以外は実施例4と同様に樹脂組成物を調製し、樹脂組成物5を得た。
【0103】
実施例6: 樹脂組成物6の調製
根上工業社製の「アートキュアRA-341」(固形分濃度:100%)100質量部に、トルエンを32質量部を添加し、室温で攪拌し、固形分濃度68%のポリマー(A)を調整した。ポリマー(A)100質量部に対し、過酸化物系ラジカル重合開始剤(B)(化薬アクゾ社製の「パーカドックス12-XL25」、固形分濃度:25%)を2.7質量部添加し、室温で攪拌することで、固形分濃度比でRA-341:パーカドックス12-XL25=100:1の樹脂組成物6を得た。
【0104】
実施例7: 樹脂組成物7の調製
根上工業社製の「アートキュアRA-341」(固形分濃度:100%)100質量部に、過酸化物系ラジカル重合開始剤(B)(化薬アクゾ社製の「パーカドックス12-XL25」、固形分濃度:25%)を4質量部添加し、室温で攪拌することで、固形分濃度比でRA-341:パーカドックス12-XL25=100:1の樹脂組成物7を得た。
【0105】
実施例8: 樹脂組成物8の調製
根上工業社製の「アートキュアRA-341」(固形分濃度:100%)100質量部に、過酸化物系ラジカル重合開始剤(B)(化薬アクゾ社製の「パーカドックス12-XL25」、固形分濃度:25%)を4質量部と光ラジカル開始剤(BASF社製の「omnirad1173」)を0.01質量部添加し、室温で攪拌することで、固形分濃度比でRA-341:パーカドックス12-XL25:omnirad1173=100:1:0.01の樹脂組成物8を得た。
【0106】
比較例1: 樹脂組成物9の調製
ポリマー(A)(アクリル樹脂SKダイン1495、固形分濃度:35%)100質量部に対し、架橋剤(C)としてL-45(固形分濃度:45%)を0.09質量部添加し、混合して固形分濃度比でSKダイン1495:L-45=100:0.12の粘着剤溶液9を得た。
【0107】
比較例2: 粘着剤溶液10の調製
過酸化物系ラジカル重合開始剤(B)を使用せず、架橋剤(C)として0.09質量部のL-45(固形分濃度:45%)を使用すること以外は実施例1と同様に樹脂組成物を調製し、樹脂組成物10を得た。
【0108】
比較例3: 樹脂組成物11の調製
ポリマー(A)(アクリル樹脂SKダイン1495、固形分濃度:100%)100質量部に対し、架橋剤(C)としてL-45(固形分濃度:45%)を0.09質量部添加し、混合して固形分濃度比でSKダイン1495:L-45=100:0.04の樹脂組成物11を得た。
【0109】
3.ペリクルの作製
上記樹脂組成物1~11をそれぞれ使用し、
図1に示したようなペリクルを作製した。
陽極酸化処理したアルミニウム製のペリクルフレーム14(外寸:149mm×122mm、枠高さH:5.8mm、枠幅W:2mm)を用意した。そして、当該ペリクルフレーム14の一方の端面に、粘着剤溶液をディスペンサーで塗布した。これを加熱乾燥(60℃30分)させた。接着剤層の表面にセパレータを貼付け平坦面に押し付け、更に加熱成形(120℃30分)を行った。ペリクルフレーム14の他方の端面上に、膜接着剤13を介してペリクル膜12を貼付けしてペリクル10を得た。
尚、実施例8においては、加熱乾燥後に、ドーズ量が410mJ/cm
2になるよう照射量を調節して、光硬化処理を行った。
【0110】
4.評価方法
4-1.溶液安定性
上記で調製した各樹脂組成物の溶液安定性を次の方法で評価した。
樹脂組成物の調製直後に、L型粘度計(東機産業株式会社、TV-22L)を用いて、初期粘度を測定した。
次に、樹脂組成物を、25℃で5時間保存した。保存後の樹脂組成物について、初期粘度と同様にL型粘度計を用いて粘度を測定し、保存後粘度を得た。次に保存後の粘度変化率(%)を下記式に基づいて計算した。
粘度変化率(%)=[(保存後粘度-初期粘度)/初期粘度]×100
【0111】
粘度変化率に基づき、以下の評価基準に従って、溶液安定性を評価した。
○: 粘度変化率が10%未満
×: 粘度変化率が10%以上
【0112】
4-2.糊残り
各実施例で得た粘着剤付ペリクルについて、保護フィルムを剥がした。石英基板に対して、簡易型マウンターを使用して、当該ペリクルの加重(10kg、30秒)貼付を行い、ペリクルを貼り付けた基版を得た。ペリクルを貼り付けた基版を、室温(20±3℃)にて24時間放置後、基版を水平に固定し、石英基板側から5mm角の波長193nmのArF光(エネルギー密度15J/cm2、頻度:10Hz)を照射した。次にペリクルの長辺を引張試験機により引き上げ、ペリクルを基板から剥離させた。各被着体(石英基板)表面の様子を観察し、糊残りを以下の基準に従って評価した。
○: 糊残り面積が、貼付け面積全体の0%以上、20%以下
×: 糊残り面積が、貼付け面積全体の20%超、100%以下
【0113】
4-3.アウトガス
粘着剤付きペリクルから粘着剤を10mg剥がし、得られた粘着剤10mgを2口のキャップが付いたガラスインサートに入れ、加熱脱着装置(TDTS-2020、アジレント・テクノロジー株式会社製)にセットした。片側からキャリアガスとしてH2ガスを流し込みながら100℃で30分間加熱して揮発性成分を抽出後、-20℃のコールドトラップで凝集した。次いで、コールドトラップを10℃/分で280℃まで再加熱し、抽出し、凝集させた揮発性成分について、ガスクロマトグラフ(GC)及び質量分析計を用いて発生ガス量(デカン換算)を測定し、アウトガスの発生量とした。GC-MSの測定条件は以下の通りである。
測定装置名: QP2010plus
カラム: DB-1(内径:0.32mm、長さ:60.0m、厚み:1.00μm)
スキャン範囲: 35~450m/z
イオン化: 0.78kV
測定方法:100℃、30分で発生したガス量をデカン換算で算出
【0114】
算出したガス発生量に基づき、以下の基準に従ってアウトガスについて評価した。
○:ペリクル1枚分の粘着剤層から発生する総アウトガス量≦10ppm
×:ペリクル1枚分の粘着剤層から発生する総アウトガス量>10ppm
【0115】
評価結果を、使用した粘着剤溶液の組成と共に、下記表1にまとめた。
尚、表中の「nv」は、固形分濃度である。
【0116】
【0117】
(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位、及び炭素-炭素多重結合含有基からなる側鎖を有するポリマー(A)と、ラジカル重合開始剤(B)とを含む実施例1~8の粘着剤溶液は、いずれも5時間保存後の粘度変化率が10%未満であり、良好な溶液安定性を示した。
【0118】
一方、ラジカル重合開始剤(B)を含まない比較例1~3の粘着剤溶液は、いずれも5時間保存後の粘度変化率が10%以上であった。特に比較例1の粘着剤溶液は、初期粘度が2597mPa・Sであり、5時間保存後の粘度は測定装置の測定限界である4469mPa・Sであり、度増加率は72%であった。よって、粘度増加率は10%を遥かに超えており、溶液安定性は低かった。
【0119】
本出願は、2019年3月28日出願の特願2019-064910に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、全て本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明によれば、本発明に係る粘着剤溶液を用いることで、溶液安定性の高い粘着剤溶液を提供することができる。
【符号の説明】
【0121】
10 ペリクル
12 ペリクル膜
13 粘着剤層
14 ペリクル枠