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特許7130871可動に支持された扉をガイドするためのガイドシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】可動に支持された扉をガイドするためのガイドシステム
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/26 20060101AFI20220829BHJP
   E05D 15/58 20060101ALI20220829BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20220829BHJP
   E06B 3/48 20060101ALI20220829BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20220829BHJP
   E05F 1/08 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
E05D15/26
E05D15/58 A
E05D15/06 125A
E06B3/48
A47B55/00
E05F1/08
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021526377
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 AT2019060350
(87)【国際公開番号】W WO2020097640
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】A50997/2018
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン ホフマン
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-041893(JP,U)
【文献】特開2003-074251(JP,A)
【文献】特開2008-063768(JP,A)
【文献】国際公開第2018/129573(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D15/48
E05D15/58
E06B 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具本体(2)に対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの扉(3a)をガイドするためのガイドシステム(5)であって、
- 長手方向(L2)に延在する少なくとも1つのガイドレール(17)であって、該ガイドレール(17)の前記長手方向(L2)は、前記家具本体(2)への組付け状態で前記家具本体(2)の奥行き方向(Z)に対して実質的に平行に延びている、ガイドレール(17)と、
- 前記少なくとも1つの扉(3a)を可動に支持するための支持体(11)であって、少なくとも部分的に前記ガイドレール(17)に沿って走行可能に支持されている支持体(11)と、
- 前記ガイドレール(17)の前記長手方向(L2)で少なくとも1つの前記支持体(11)の終端位置を確定するための少なくとも1つのストッパ(28)と、
- 前記少なくとも1つのストッパ(28)の位置を調整するための少なくとも1つの調整装置(25)と
を有する、ガイドシステム(5)において、
前記少なくとも1つのストッパ(28)は、前記少なくとも1つの調整装置(25)によって前記長手方向(L2)に沿って前記少なくとも1つのガイドレール(17)に対して相対的に調整可能であり、
前記調整装置(25)は、回動可能に支持された少なくとも1つの操作要素(26)を有し、該操作要素(26)の回動操作によって、前記少なくとも1つのストッパ(28)は、前記ガイドレール(17)に対して相対的に調整可能であり、
前記ガイドレール(17)は、組付け位置で手前側の端領域を有し、前記操作要素(26)は、前記ガイドレール(17)の前記手前側の端領域に配置されている
ことを特徴とする、ガイドシステム(5)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの扉(3a)は折戸であることを特徴とする、請求項1記載のガイドシステム。
【請求項3】
前記調整装置(25)はセルフロック式に形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載のガイドシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの操作要素(26)は、該操作要素(26)の回動操作時に前記ガイドレール(17)の前記長手方向(L2)で位置不変に配置されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項5】
前記操作要素(26)は、組付け位置で前記ガイドレール(17)の手前側の端面に配置されていることを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項6】
前記操作要素(26)は、前記ガイドレール(17)の前記長手方向(L2)に対して実質的に平行に延びる軸線を中心として回動可能に支持されていることを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項7】
前記操作要素(26)の回動運動を前記少なくとも1つのストッパ(28)の直動運動に変換する伝達機構が設けられていることを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項8】
前記伝達機構は、前記少なくとも1つのストッパ(28)に結合された少なくとも1つ連結ロッド(32)を有し、該連結ロッド(32)は、前記調整装置(25)の操作によって前記ガイドレール(17)に対して相対的に移動可能であることを特徴とする、請求項記載のガイドシステム。
【請求項9】
前記ガイドレール(17)は、前記長手方向(L2)に延びる、前記連結ロッド(32)を収容するための少なくとも1つのガイド通路(35)を有することを特徴とする、請求項記載のガイドシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのストッパ(28)を移動可能に支持するための少なくとも1つのリニアガイド(34a,34b,34c)が設けられていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのストッパ(28)は、該ストッパ(28)を、前記終端位置の奥側に位置する過剰押圧位置へと過剰に押圧することによって、前記支持体(11)を前記奥行き方向(Z)と逆方向に突き出すことができる突き出し装置(27)のエジェクタ(36)に配置されてることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項12】
前記突き出し装置(27)全体が、前記調整装置(25)によって前記ガイドレール(17)に対して相対的に調整可能であることを特徴とする、請求項11記載のガイドシステム。
【請求項13】
前記ガイドシステム(5)は、組付け状態で前記ガイドレール(17)に対して横方向に延在する長手方向レール(7)を有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項14】
前記ガイドシステム(5)は、組付け状態で前記ガイドレール(17)に対して実質的に直交して延在する長手方向レール(7)を有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項15】
家具本体(2)と、該家具本体(2)に対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの扉(3a)と、該扉(3a)を前記家具本体(2)に対して相対的にガイドするための、請求項1から14までのいずれか1項記載のガイドシステム(5)とを備える家具(1)。
【請求項16】
前記家具本体(2)にガイドレール(17)が配置されていて、前記家具本体(2)の奥行き方向(Z)に延在しており、前記少なくとも1つの扉(3a)は、支持体(11)に可動に結合されていて、該支持体(11)と一緒に前記ガイドレール(17)に沿って前記家具本体(2)の前記奥行き方向(Z)に移動可能に支持されていることを特徴とする、請求項15記載の家具。
【請求項17】
前記家具(1)は、第1の前記扉(3a)に枢動自在に結合された少なくとも1つの第2の扉(3b)を有し、前記第1の扉(3a)と前記第2の扉(3b)とは、前記第1の扉(3a)と前記第2の扉(3b)とが互いに実質的に同一平面を成すように整列させられた第1の位置と、前記第1の扉(3a)と前記第2の扉(3b)とが互いに実質的に平行に整列させられた第2の位置との間で可動に支持されており、前記第1の扉(3a)と前記第2の扉(3b)とは、前記第2の位置から出発して前記支持体(11)と一緒に前記ガイドレール(17)に沿って前記家具本体(2)の前記奥行き方向(Z)に移動可能に支持されていることを特徴とする、請求項16記載の家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具本体に対して相対的に可動に支持された、特に折戸の少なくとも1つの扉をガイドするためのガイドシステムであって、
- 長手方向を有する少なくとも1つのガイドレールであって、このガイドレールの長手方向は、家具本体への組付け状態で家具本体の奥行き方向に対して実質的に平行に延びている、ガイドレールと、
- 少なくとも1つの扉を可動に支持するための支持体であって、少なくとも部分的にガイドレールに沿って走行可能に支持されている支持体と、
- ガイドレールの長手方向で少なくとも1つの支持体の終端位置を確定するための少なくとも1つのストッパと、
- 少なくとも1つのストッパの位置を調整するための少なくとも1つの調整装置と
を有する、ガイドシステムに関する。
【0002】
さらに、本発明は、家具本体と、以下に説明する形態のガイドシステムによって家具本体に対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの扉とを備える家具に関する。
【0003】
欧州特許出願公開第0254041号明細書には、ヒンジを介して旋回可能に当接条片に支持された家具扉が示されている。当接条片は、シザーズ機構によって上側のガイドと下側のガイドとに沿って走行可能である。家具扉は、奥行き方向で家具本体内に可動である。下側のガイドは、調整可能なストッパを有しており、これによって、家具扉が、閉鎖位置で側方に位置調整可能となる。
【0004】
本出願人の国際公開第2018/129572号の図7a~図7dには、互いに直交して延在する2つのガイドレールを備えた扉用のガイドシステムが示されている。このガイドシステムには、少なくとも1つの扉を可動に支持するための細長いピラーの形態の支持体が設けられている。この支持体は、両扉と一緒に家具本体の奥行き方向に走行可能であり、これによって、扉を、使用しない際に、互いに平行に延在する位置で家具本体の側方の押込みシュート内に埋め込むことができる。この目的のために、家具本体の側壁にガイドレールが固定されている。このガイドレールに沿って、支持体が家具本体の奥行き方向に走行可能となる。しかしながら、支持体の走入された終端位置では、互いに平行に整列させられた扉が、生じている製造誤差または互いに異なる幅に基づき、側壁の狭幅面と同一平面を成さず、これによって、好ましくない視覚的な印象に加えて、扉の運動特性がマイナスに損なわれることが生じてしまう。その上、側壁へのガイドレールの不正確な組付けに基づき、ガイドレール同士の間の移行領域が正確に延在しておらず、これによって、ガイドレール同士の間での、扉をガイドするために設けられた走行キャリッジの移送が困難になることが起きてしまう。
【0005】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式のガイドシステムを改良して、上述した欠点が回避されているようにすることである。
【0006】
このことは、本発明によれば、請求項1の特徴によって解決される。本発明の更なる有利な構成は、従属請求項に定義してある。
【0007】
本発明によれば、少なくとも1つのストッパが、少なくとも1つの調整装置によって長手方向で少なくとも1つのガイドレールに対して相対的に調整若しくは移動可能であることが特定されている。
【0008】
言い換えると、支持体の終端位置を決定するための少なくとも1つのストッパが、組付け位置で奥行き方向に延在するガイドレールに対して相対的に調整可能であり、これによって、支持体の終端位置が、調整装置の操作により調整可能となる。
【0009】
したがって、支持体に結合することができる扉の、組付け状態にある手前側の狭幅面を、扉の押込み状態で家具本体の狭幅面に整合させることができるように、調整装置によって、扉を家具本体の奥行き方向で位置決めすることもできる。
【0010】
ガイドレールに対して相対的な少なくとも1つのストッパの調整は、例えば無段式に行うことができる。代替的には、調整装置が、ストッパを調整可能に配置するための複数の設定された位置を有していることが可能である。
【0011】
1つの実施例によれば、調整装置がセルフロック式に形成されていることが特定されていてよい。これにより、ガイドレールに対して相対的なストッパの予め調整された位置が、調整された各ポジションにとどまることが確保される。
【0012】
調整装置は、回動可能に支持された少なくとも1つの操作要素を有していてよく、この操作要素の回動操作によって、少なくとも1つのストッパが、ガイドレールに対して相対的に調整可能となる。
【0013】
1つの実施例によれば、ガイドレールが、組付け位置で手前側の端領域を有しており、操作要素が、ガイドレールの手前側の端領域に配置されていることが特定されていてよい。言い換えると、操作要素には、前方から、つまり、扉が奥行き方向で完全に押し込まれている場合でも、手動での調整または工具を用いて行われる調整のために直接またはダイレクトにアクセスが可能となる。例えば、操作要素が、ガイドレールの、組付け位置で手前側の端面に配置されていてよい。こうして、ガイドレールに対して相対的なストッパの、簡単で直感的なかつ快適に実施することができる調整が達成される。
【0014】
操作要素は、ガイドレールの長手方向軸線に対して実質的に平行に延びる軸線を中心として回動可能に支持されていてよい。
【0015】
ガイドレールは、ストッパを移動可能に支持するための少なくとも1つのリニアガイドを有していてよく、ストッパは、調整装置の操作によって少なくとも1つのリニアガイドでまたはリニアガイドに沿って移動可能である。
【0016】
ガイドシステムは、操作要素の回動運動をストッパの直動運動に変換する伝達機構を有していてよい。直動運動への回動運動の変換は、当業者に周知の措置であり、例えば、ラック・ピニオン装置、ウォーム伝動装置またはねじスピンドル・ねじナット装置によって生じさせることができる。伝達機構は、さらに、変速比の変更の可能性を提供する。例えば、操作要素は、バッテリドライバによって比較的高い回転数で駆動することができる。このとき、ストッパは、ストロークは少ないものの、大きな力で駆動可能となる。
【0017】
伝達機構は、例えば、少なくとも1つのストッパに結合された少なくとも1つ連結ロッドを有していてよく、この連結ロッドは、調整装置の操作によってガイドレールに対して相対的に可動である。ガイドレールは、連結ロッドを収容するための少なくとも1つのガイド通路を有していてよい。これによって、連結ロッドを視覚的に目立たせることなく、場合により起こり得る指や物体による干渉に対して安全にガイドレールに配置することができる。連結ロッドは、プッシュレバーまたはねじスピンドルとして形成されていてよい。
【0018】
1つの実施例によれば、少なくとも1つのストッパが、このストッパを、終端位置の奥側に位置する過剰押圧位置へと過剰に押圧することによって、支持体を奥行き方向と逆方向に突き出すことができる突き出し装置のエジェクタに配置されているかまたは形成されており、好ましくは、突き出し装置全体が、調整装置によってガイドレールに対して相対的に調整可能であることが規定されていることが特定されていてよい。
【0019】
本発明の更なる詳細および利点は、以下の図面の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a】家具本体と、この家具本体に対して相対的に可動の家具部分とを備えた家具の斜視図である。
図1b】家具本体と、この家具本体に対して相対的に可動の家具部分とを備えた家具の斜視図である。
図2a図1aおよび図1bに示した家具を家具部分相互の別の位置で示す図である。
図2b図1aおよび図1bに示した家具を家具部分相互の別の位置で示す図である。
図3】ガイドシステムの斜視図である。
図4】家具本体に配置されるようになっているガイドレールの斜視図である。
図5】ガイドシステムの分解図である。
図6a】ガイドレールに対して相対的な支持体の第1の終端位置を含むガイドレールの側面図である。
図6b】ガイドレールに対して相対的な支持体の第2の終端位置を含むガイドレールの側面図である。
【0021】
図1aには、家具本体2と、可動の扉3a,3b;4a,4bを有する折戸とを備えた家具1の斜視図が示してある。扉3a,3b並びに扉4a,4bは、それぞれガイドシステム5によって、扉3a,3b;4a,4bが互いに実質的に同一平面を成すように整列させられた第1の位置と、扉3a,3b;4a,4bが互いに実質的に平行に整列させられた第2の位置との間で可動に支持されている。扉3a,3bが、第2の(平行な)位置で家具本体2の側方の収容ポケット8a内に押込み可能となるのに対して、扉4a,4bは、互いに平行な位置で別の収容ポケット8b内に押込み可能となる。以下に扉3a,3bに基づき機能形式を説明する。なお、扉4a,4bについても同じ構成が当てはまる。ガイドシステム5は、長手方向(L)を有する長手方向レール7を備えている。第2の扉3bに連結可能な走行キャリッジ6が、長手方向レール7に沿って走行可能に支持されている。この長手方向レール7は、組付け位置で家具本体2の前縁に対して実質的に水平かつ平行に配置されている。
【0022】
図1bには、家具1が示してある。同図では、扉3a,3bが、図1aに示した同一平面の位置から出発して、互いに所定の角度を成す位置に運動させられている。第1の扉3aは、例えば2つまたはそれ以上の家具ヒンジ10を介して支持体11に可動に支持されていてよい。この支持体11は、奥行き方向(Z)で収容ポケット8a内に押込み可能である。図中、支持体11は移送位置にあり、これによって、走行キャリッジ6が長手方向レール7と支持体11との間で移動可能となる。図示の移送位置では、支持体11が長手方向レール7に解除可能にロックされている。長手方向レール7と支持体11との間のロックは、支持体11内または支持体11上への走行キャリッジ6の進入によって解除可能となる。支持体11は、扉3a,3bの高さの少なくとも半分の高さに相当する長さを有する細長いピラーの形態で形成されている。両扉3a,3bは、少なくとも1つのヒンジ金具9を介して、鉛直方向に延びる軸線を中心として互いに枢動自在に結合されている。第2の扉3bは、走行キャリッジ6を介して長手方向レール7に沿って走行可能に支持されている。
【0023】
図2aには、現状で互いに平行に整列させられている扉3a,3bを備えた家具1が示してある。支持体11は、走行キャリッジ6の進入によって長手方向レール7からロック解除されており、これによって、支持体11は(走行キャリッジ6および扉3a,3bと一緒に)、ガイドシステム5の、長手方向レール7の長手方向(L)に対して横方向に延在するガイドレール17(図3)に沿って奥行き方向(Z)で収容ポケット8a内に押込み可能となる。
【0024】
図2bには、現状で収容ポケット8a内に完全に押し込まれた状態にある扉3a,3bを備えた家具1が示してある。つまり、扉3a,3bは、ガイドシステム5によって、扉3a,3bが互いに実質的に同一平面を成すように整列させられた図1aに示した第1の位置と、扉3a,3bが互いに実質的に平行に整列させられていて、収容ポケット8aの内部に収容可能となる図2bに示した第2の位置とから、その都度から出発して移動できるように支持されている。こうして、例えば、図2aおよび図2bに示したキッチン12を完全に覆うことができ、これによって、このキッチン12を残りの居住空間の領域から視覚的に分離することができる。収容ポケット8aは、図示の実施例では、側壁13aと、この側壁13aから平行に間隔を置いて配置された固定の家具部分13bとによって形成される。扉3a,3bは、互いに平行な位置で側壁13aと固定の家具部分13bとの間に押込み可能となる。
【0025】
図3には、側壁13aと固定の家具部分13bとの間の領域に設けられたガイドシステム5の斜視図が示してある。側壁13aと固定の家具部分13bとの間には、扉3a,3bを収容するための収容ポケット8aが形成される。長手方向レール7は、組付け位置で家具本体2の前縁に対して平行に延在する長手方向(L)に延びている。固定の家具部分13bには、長手方向(L2)に延びるガイドレール17が配置されている。長手方向レール7の長手方向(L)とガイドレール17の長手方向(L2)とは、互いに交差して、好ましくは実質的に直交している。支持体11は、少なくとも1つの扉3aを可動に支持するために形成されている。この扉3aは、組付け状態において、例えば2つまたはそれ以上の家具ヒンジ10(図1b)を介して、組付け位置で鉛直方向に延びる軸線を中心として旋回可能に支持体11に支持されている。この支持体11は、少なくとも1つのガイド装置14を有している。このガイド装置14によって、支持体11は、ガイドレール17に沿って奥行き方向(Z)および奥行き方向(Z)とは逆方向に可動となる。図中、支持体11のガイド装置14は、ガイドレール17の第1の走行路17aに沿って可動に支持された少なくとも1つの走行ローラ14aを有している。
【0026】
図示の実施例では、支持体11が、受入れ装置15を介して長手方向レール7に解除可能にロック可能である。受入れ装置15は、走行キャリッジ6を受け入れるために形成されており、これによって、走行キャリッジ6が、長手方向レール7から出発して受入れ装置15内に走入可能となる。この目的のために、長手方向レール7に複数のガイド溝20,21を形成することができる。これらのガイド溝20,21は、長手方向レール7の長手方向(L)に延びていて、受入れ装置15の移送位置において、この受入れ装置15に設けられた対応するガイド溝20a,21aにそれぞれ一列に整列させられている。こうして、走行キャリッジ6の走行ローラが、好ましくない突合せ縁部なしに、長手方向レール7と受入れ装置15との間で走行可能となる。
【0027】
受入れ装置15と支持体11との間の切離しを改善するために、受入れ装置15が、支持体11のガイド装置14と別個の少なくとも1つの支持ローラ16を有していることが特定されていてよい。この支持ローラ16は、ガイドレール17に沿って可動に支持されている。好ましくは、このガイドレール17が、第1の走行路17aと、この第1の走行路17aと別個の少なくとも1つの第2の走行路17bとを有していることが特定されている。ガイド装置14の走行ローラ14aは、ガイドレール17の第1の走行路17aに沿って可動に支持されており、受入れ装置15の少なくとも1つの支持ローラ16は、ガイドレール17の第2の走行路17bに沿って可動に支持されている。
【0028】
支持体11と受入れ装置15とは、奥行き方向(Z)へのガイドレール17に沿った運動の際に連動するように互いに結合されている。好ましくは、支持体11と受入れ装置15は、奥行き方向(Z)および奥行き方向(Z)とは逆方向へのガイドレール17に沿った運動の際に遊びなしに互いに連結されている。支持体11の支持を改善するために、少なくとも1つの別のガイドレール18がさらに設けられていてよい。このガイドレール18に沿って、支持体11の少なくとも1つの別の走行ローラ19が走行可能に支持されている。
【0029】
図4には、固定の家具部分13bに家具本体2の奥行き方向(Z)に沿って配置されるガイドレール17が斜視図で示してある。このガイドレール17の手前側の端面には、回動可能に支持された操作要素26を備えた調整装置25が配置されている。工具を用いた操作要素26の回動操作によって、支持体11の終端位置を決定するための少なくとも1つのストッパ28が、ガイドレール17に対して相対的に調整可能となる。図示の実施例では、ストッパ28は、突き出し装置27のエジェクタ36に配置されているかまたは形成されている。ストッパ28を、終端位置の奥側に位置する過剰押圧位置へと終端位置を越えて過剰に押圧することによって、支持体11が、突き出し装置27の力により奥行き方向(Z)と逆方向に突き出し可能となる。
【0030】
図5には、ガイドシステム5が分解図で示してある。ガイドレール17は長手方向(L2)を有している。少なくとも1つのストッパ28は、調整装置25の操作によって長手方向(L2)に移動可能に支持されている。ガイドレール17の手前側の端部には、操作要素26が配置されている。この操作要素26は、回動可能であるものの長手方向(L2)には移動不能に支持部材30に配置されている。この目的のために、操作要素26は、支持部材30に形状接続的に取り付けることができる(例えば切欠きの形態の)アンダカットを有することができる。支持部材30は、第1のねじ31を介してガイドレール17の手前側の端領域に固定されるようになっている。操作要素26は、ねじ山区分37を介して連結ロッド32に螺合されている。この連結ロッド32は、操作要素26の操作によって長手方向(L2)に可動である。連結ロッド32は、第2のねじ33を介して突き出し装置27に結合されている。この突き出し装置27は、ガイドレール17の少なくとも1つのリニアガイド34aにまたはリニアガイド34aに沿って移動可能に支持されている。突き出し装置27によって、支持体11が奥行き方向(Z)と逆方向に突き出し可能となる。
【0031】
図示の実施例では、それぞれ突き出し装置27のエジェクタ36に配置されているかまたは形成されている2つのストッパ28が存在している。エジェクタ36は、公知の形式でそれぞれロック可能な蓄力器を有している。この蓄力器は、終端位置の奥側に位置している過剰押圧位置へのストッパ28の運動によってロック解除可能となる。突き出し装置27は、さらに、支持体11の一部に対する導入スリット29を有しており、これによって、終端位置において、支持体11の位置を、長手方向(L2)に対して横方向に延びる方向において安定させることができる。支持体11の終端位置で家具部分3a,3bを押圧することによって、支持体11の受入れ装置15がストッパ28に接触して、このストッパ28を過剰押圧位置へと移動させることができ、これによって、エジェクタ36の蓄力器がロック解除可能となり、この蓄力器の力によって、支持体11が奥行き方向(Z)と逆方向に突き出し可能となる。
【0032】
図6aには、ガイドシステム5が側面図で示してある。同図では、支持体11は、ガイドレール17に対して相対的な第1の終端位置を占めている。調整装置25によって、少なくとも1つのストッパ28がガイドレール17の長手方向(L2)に調整可能となる。ストッパ28および/または突き出し装置27を移動可能に支持するために、少なくとも1つまたは複数のリニアガイド34a,34b,34cを設けることができる。リニアガイド34aがガイドレール17に形成されているのに対して、別の両リニアガイド34b,34cは突き出し装置27に配置されている。リニアガイド34b,34c及び突き出し装置27は、調整装置25の操作によって、ガイドレール17に対して相対的に定位置に支持されたピン38a,38bに対して、相対的に移動可能である。
【0033】
図6bには、支持体11を備えたガイドシステム5が、第1の終端位置と異なる第2の終端位置において示されている。支持体11の一方の終端位置を確定するためのストッパ28の調整によって、扉3a,3bの製造誤差または扉3a,3bの互いに異なる幅を補償することができ、これによって、家具本体2の収容ポケット8a内に押し込まれた扉3a,3b(図2b)の手前側の端面が、側壁13a及び固定の家具部分13bの手前側の端面に対して同一平面を成すように整列可能となる。1つの実施例によれば、少なくとも1つのストッパ28が、調整装置25によって0mm~50mm、好ましくは0mm~130mmの間で調整可能であることが特定されていてよい。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6a
図6b