IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 広東阿格蕾雅光電材料有限公司の特許一覧

特許7130872有機エレクトロルミネッセンス材料及びその調製方法並びに有機エレクトロルミネッセンスデバイス
<>
  • 特許-有機エレクトロルミネッセンス材料及びその調製方法並びに有機エレクトロルミネッセンスデバイス 図1
  • 特許-有機エレクトロルミネッセンス材料及びその調製方法並びに有機エレクトロルミネッセンスデバイス 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス材料及びその調製方法並びに有機エレクトロルミネッセンスデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20220829BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20220829BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220829BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220829BHJP
   C07D 471/14 20060101ALN20220829BHJP
【FI】
H05B33/14 B
C09K11/06 690
H05B33/10
C07B61/00 300
C07D471/14 102
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021527097
(86)(22)【出願日】2019-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 CN2019115178
(87)【国際公開番号】W WO2020125239
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】201811544417.9
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515177907
【氏名又は名称】広東阿格蕾雅光電材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】彭 嘉歓
(72)【発明者】
【氏名】李 慧楊
(72)【発明者】
【氏名】戴 雷
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗菲
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/080760(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107827913(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
C09K 11/06
H05B 33/10
C07B 61/00
C07D 471/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネッセンス材料であって、式(I)の構造を有し、
Arは、C6-C30の置換又は非置換のアリール、1つ又は複数のヘテロ原子を含むC5-C30の置換又は非置換のアリール、N-アリール置換のカルバゾリル、N-アリール置換のインデノカルバゾール誘導体置換基、ジアリールアミノ基、R-R置換のジアリールアミノ基及びその環状誘導体Cyから選択され、Cy中のZは、C(R、Si(R、O、S、NR及びSOのうちから選択され、R-Rはそれぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、非置換のアルキル、ハロゲン化アルキル、重水素化アルキル、シクロアルキル、非置換のアリール、アルキル置換のアリール、アルコキシ、シアノ、カルバゾリル及びジフェニルアミノのいずれか、あるいは、R-Rはそれぞれ独立して、隣接する基と5-8員環を形成し、
Lは、フェニレン、ビフェニレン及びナフチレンのうちから選択され、
Rは、水素、重水素、置換又は非置換のC6-C10のアリール及びC6-C10のヘテロアリールのうちから選択される、ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス材料。
【請求項2】
Arは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル、アリールアントリル、ピレニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キノリル、イソキノリル、トリアジニル、ピロリル、フリル、チアゾリル、キナゾリニル、トリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ジフェニルアミノ、アリールカルバゾリル、N-アリール置換のカルバゾリル、ジフェニルアミノ、アクリジニル及アクリジン誘導体置換基、フェノキサジニイル及びその誘導体置換基並びにフェノチアジニル及びその誘導体置換基のうちから選択され、Rは、水素、フェニル、ナフチル及びピリジルのうちから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス材料。
【請求項3】
Arは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル、アリールアントリル、ピレニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、トリアジニル、キナゾリニル、1,2,4-トリアゾリル、N-フェニル-カルバゾリル、ジフェニルアミノ並びにアクリジニル及びアクリジン誘導体置換基から選択される、ことを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス材料。
【請求項4】
式(I)は以下のいずれかの化合物である、ことを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス材料。
【請求項5】
式(I)は以下のいずれかの化合物である、ことを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス材料。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかの有機エレクトロルミネッセンス材料の調製方法であって、
(1)化合物Aを提供するステップと、
(2)アルカリ性条件下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを触媒として、Ar含有ボロン酸化物又はAr含有ボロン酸ピナコールエステルを化合物Aと反応させて、式(I)の化合物を取得するステップとを含む、ことを特徴とする調製方法。
【請求項7】
前記化合物Aの調製方法は、
A) n-ブチルリチウムの作用下で、2-ブロモ-1,8-ジナフチリジンと安息香酸メチルを反応させて、化合物Bを取得する工程と、
B)化合物Bと臭化Lのホルムアルデヒド化合物CHO-L-Brを反応させて、化合物Aを取得する工程を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の調製方法。
【請求項8】
前記化合物Aの調製方法は、
A) n-ブチルリチウムの作用下で、2-ブロモ-1,8-ジナフチリジンと4-ピコリン酸メチルを反応させて、化合物Bを取得する工程と、
B)化合物Bと臭化Lのホルムアルデヒド化合物CHO-L-Brを反応させて、化合物Aを取得する工程を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の調製方法。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス材料の有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおける使用。
【請求項10】
陽極、陰極及び有機層を含み、有機層は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を含み、前記有機層の少なくとも1つの層は、請求項1~5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス材料を含む、ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス材料を含む層は発光層である、ことを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス材料は発光層において、の化合物と混合して使用される、ことを特徴とする請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項13】
前記有機層は、1~1000nmの総厚を有する、ことを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス材料に関し、具体的には、イミダゾール[1,5-a][1,8]ナフチリジンに基づいた化合物に関し、また、発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
OLEDは、有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode)又は有機発光デバイス(Organic Light-Emitting)である。OLEDは、バックライトのない独立した発光デバイスであり、応答速度が速く、駆動電圧が低く、発光効率が高く、解像度が高く、視野角が広いという特徴を有する。そのため、特に携帯電話、コンピューター、テレビにおける、新世代のディスプレイ及び照明技術となり、曲げ可能で折り畳み可能な電子製品としての応用が大いに期待されている。
【0003】
現在、OLEDに使用されている発光材料には、蛍光材料及びリン光材料の2種類がある。初期のデバイスに使用されている発光材料は主に、有機小分子蛍光材料であり、スピン統計量子論によると、蛍光材料の理論的な内部量子効率はわずか25%である。1998年に、米国のプリンストン大学のForrest教授と南カリフォルニア大学のThompson教授は、室温での金属有機錯体分子材料のリン光エレクトロルミネセンス現象を発見した。重金属原子の強いスピン-軌道結合を用いて、電子の一重項状態から三重項状態への項間交差(ISC)を効果的に促進することができる。これにより、OLEDデバイスは、電気励起によって生成された一重項状態及び三重項状態励起子を十分に活用して、発光材料の理論的な内部量子効率を100%に到達させることを可能にする(Nature, 1998, 395, 151)。
【0004】
OLED材料では、ほとんどの有機エレクトロルミネッセンス材料は、電子を輸送する速度よりも1桁または2桁速い速度で正孔を輸送するため、発光層の電子と正孔の数に不均衡が生じやすくなる。その結果、得られたデバイスの効率が比較的低い。従って、発光層内のホスト材料の選択及び最適化は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの効率及び寿命の改善に大きな影響を及ぼす。CBPが発明されてから、リン光デバイスの発光層として広く使用されている。それらの中でカルバゾリル基は、CBPの三重項状態エネルギレベルを高くし、リン光材料の発光層に使用できるが、それが主に正孔輸送材料であり、電子輸送速度が遅いため、キャリア注入及び輸送の不均衡を引き起こしやすい。また、CBPのガラス転移温度Tgは比較的低く、デバイスの安定した使用には不利である。従って、高い安定性及びバランスのとれたキャリア輸送を有する発光層のホスト材料の開発は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの広範な使用にとって大きな価値がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、良好な熱安定性及び高い正孔/電子輸送バランス能力を有する、イミダゾール[1,5-a][1,8]ナフチリジンに基づいた化合物を提供する。本発明はまた、有機発光ダイオード(OLED)におけるこの化合物材料の用途を提供する。この有機エレクトロルミネッセンス化合物を使用して製造されたデバイスは、良好なエレクトロルミネッセンス効率、優れた色純度及び長寿命という利点を有する。
【0006】
有機エレクトロルミネッセンス材料は、以下の式(I)の構造を有する化合物である。
Arは、C6-C30の置換又は非置換のアリール、1つ又は複数のヘテロ原子を含むC5-C30の置換又は非置換のアリール、N-アリール置換のカルバゾリル、N-アリール置換のインデノカルバゾール誘導体置換基、ジアリールアミノ基、R-R置換のジアリールアミノ基及びその環状誘導体Cyから選択され、Cy中のZは、C(R、Si(R、O、S、NR及びSOから選択され、R-Rはそれぞれ独立して水素、重水素、ハロゲン、非置換のアルキル、ハロゲン化アルキル、重水素化アルキル、シクロアルキル、非置換のアリール、アルキル置換のアリール、アルコキシ、シアノ、カルバゾリル及びジフェニルアミノのうちのいずれか、あるいは、R-Rは独立して、隣接する基と5-8員環を形成し、
Lは、フェニレン、ビフェニレン及びナフチレンのうちから選択され、
Rは、水素、重水素、置換又は非置換のC6-C10のアリール並びにC6-C10のヘテロアリールのうちから選択される。
【0007】
Arは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル、アリールアントリル、ピレニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キノリル、イソキノリル、トリアジニル、ピロリル、フリル、チアゾリル、キナゾリニル、トリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ジフェニルアミノ、アリールカルバゾリル、N-アリール取代的カルバゾリル、ジフェニルアミノ、アクリジニル及アクリジン誘導体取代基、フェノキサジニイル及びその誘導体取代基並びにフェノチアジニル及びその誘導体取代基のうちから選択され、Rは、水素、フェニル、ナフチル及びピリジルのうちから選択される。
Arは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル、アリールアントリル、ピレニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、トリアジニル、キナゾリニル、1,2,4-トリアゾリル、N-フェニル-カルバゾリル、ジフェニルアミノ、アクリジニル及びアクリジン誘導体置換基のうちから選択されることが好ましい。
【0008】
式(I)の化合物の幾つかの具体的な例は以下のとおりであるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
上記の有機エレクトロルミネッセンス材料の調製方法は、
(1)化合物Aを提供するステップと、
(2)アルカリ性条件下で、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを触媒として使用して、Ar含有ボロン酸化物又はAr含有ボロン酸ピナコールエステルを化合物Aと反応させて、式(I)の化合物を取得するステップとを含む。
【0010】
前記化合物Aの調製方法は、
A) n-ブチルリチウムの作用下で、2-ブロモ-1,8-ジナフチリジンとR基置換のギ酸エステル(RCOOC 2n+1 を反応させて、化合物Bを取得する工程と、
B)化合物Bと臭化Lのホルムアルデヒド化合物CHO-L-Brを反応させて、化合物Aを取得する工程を含む。
【0011】
前記R基置換のギ酸エステル(RCOOC 2n+1 は、R基置換のギ酸メチル(RCOOCH である。
【0012】
本発明のイミダゾール[1,5-a][1,8]ナフチリジン化合物は、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、太陽電池、有機薄膜トランジスタ、又は有機レセプターの分野に適用することができる。
【0013】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスをさらに提供する。このデバイスは、陽極、陰極及び有機層を含む。有機層は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を含む。前記有機層の少なくとも1つの層は、式(I)のイミダゾール[1,5-a][1,8]ナフチリジン化合物を含む。
Ar、L、Rの定義は上記のとおりである。
【0014】
有機層は、発光層及び電子輸送層である。
又は、有機層は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層及び電子輸送層である。
又は、有機層は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層である。
又は、有機層は、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層である。
又は、有機層は発光層、正孔輸送層、電子注入層である。
式(I)のイミダゾール[1,5-a][1,8]ナフチリジンに基づいた化合物が存在する層は発光層であることが好ましい。
【0015】
式(I)に記載のイミダゾール[1,5-a][1,8]ナフチリジンを含む化合物は、構造式1-36の化合物であることが好ましい。
式(I)のイミダゾール[1,5-a][1,8]ナフチリジンを含む化合物を発光デバイスの製造に使用する場合、単独で使用してもよく、他の化合物と混合して使用してもよく、式(I)の2つ以上の化合物を同時に使用してもよい。
【0016】
本発明の有機エレクトロルミネッセンスデバイスのより好ましい形態は次のとおりである。本発明の有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極を含み、発光層は、式(I)の化合物を含む。発光層に含まれる化合物は、構造1-36の化合物であることが好ましい。
【0017】
本発明の有機エレクトロルミネッセンスデバイスの有機層の総厚は、1~1000nmであることが好ましく、50~500nmであることがより好ましい。
【0018】
本発明の有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて、本発明の式(I)の構造を有する化合物を使用する場合、他の材料を組み合わせて使用して、青色光、緑色光、黄色光、赤色光又は白色光を得ることができる。
【0019】
本発明の有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおける有機層の各層は、真空蒸着法、分子線蒸着法、溶媒に溶解されるディップコーティング法、バーコーティング法又はインクジェット印刷法によって調製され得る。金属モーターの場合、蒸着法又はスパッタリング法を使用して製造することができる。
【0020】
デバイス実験によると、本発明の式(I)に記載のイミダゾール[1,5-a][1,8]ナフチリジンを含む化合物は、良好な熱安定性及び高い正孔/電子輸送バランス能力を有する。この有機エレクトロルミネッセンス化合物を使用して製造されたデバイスは、良好なエレクトロルミネッセンス効率、優れた色純度及び長寿命という利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】化合物29のDSC測定結果を示す図である。
図2】本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスの構造を示す模式図であり、110はガラス基板、120は陽極、130は正孔注入層、140は正孔輸送層、150は発光層、160は電子輸送層、170は電子注入層、180は陰極を表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下は、本発明を実施する実施形態を説明するための実施例である。これらの実施例は、制限的なものとして解釈されるべきではない。特に明記しない限り、すべてのパーセンテージは重量によるものであり、すべての溶媒混合物の比は体積によるものである。
【0023】
中間体の合成
中間体1の合成
三つ口フラスコに、2-ブロモ-1,8-ジナフチリジン(10g、47.84mmol)、無水THF(100ml)を入れ、窒素雰囲気下で、-50℃で20分間撹拌した。その後、定圧力滴下漏斗によってn-ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液(2.2M、26ml、57mmol)を滴下添加した。添加が完了したら、温度を維持しながら30分間撹拌を続け、次に安息香酸メチルのTHF溶液(6.84g、50.2mmol)を滴下添加した。その後、ゆっくりと室温まで加熱し、一晩撹拌した。反応後、飽和塩化アンモニウム溶液で反応を停止させ、有機相を分離し、無機相を酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせた。生成物をカラムクロマトグラフィーで精製して、7.7gを取得した。収率は71%であった。
【0024】
中間体2の合成
合成原料は4-ピコリン酸メチルであり、合成方法は中間体1と同じであり、収率は68%であった。
【0025】
中間体3の合成
フラスコに、中間体1(3g、12.8mmol)、p-ブロモベンズアルデヒド(2.37g、12.8mmol)、酢酸アンモニウム(29.6g、0.38mol)及び酢酸60mlを入れた。窒素雰囲気下で、130℃に加熱し、15時間反応させた。反応後、冷却し、減圧下で酢酸を除去し、水を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機相を集め、乾燥及び濃縮して粗生成物を取得した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、3.5gを取得した。収率は70%であった。
【0026】
中間体4の合成
合成原料はm-ブロモベンズアルデヒドであり、合成方法は中間体3と同じであり、収率は65%であった。
【0027】
中間体5の合成
フラスコに、中間体2(6g、25.5mmol)、m-ブロモベンズアルデヒド(4.7g、25.5mmol)、酢酸アンモニウム(49g、0.64mol)及び酢酸100mlを入れた。窒素雰囲気下で、130℃に加熱し、16時間反応させた。反応後、冷却し、減圧下で酢酸を除去し、水を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機相を集め、乾燥及び濃縮して粗生成物を取得した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、6gを取得した。収率は59%であった。
【0028】
〈実施例1〉化合物18の合成
丸底フラスコに中間体4(1g、2.5mmol)、2,4-二フェニル-6-((3-ボロン酸ピナコールエステル)フェニル)-1,3,5-トリアジン(1.2g、2.75mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.29g、0.25mmol)、炭酸カリウム(0.86g、6.2mmol)及びジオキサン/水(10ml/2ml)を入れた。反応混合物を窒素雰囲気で110℃に加熱し、10時間撹拌した。反応後、水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出し、濃縮して粗生成物を取得し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1.27gを取得した。收率は81%であった。Ms(ESI):629.2(M+1)。
【0029】
〈実施例2〉化合物21の合成
丸底フラスコに中間体3(1g、2.5mmol)、N-フェニル-3-カルバゾールボロン酸(0.79g、2.75mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.29g、0.25mmol)、炭酸カリウム(0.86g、6.2mmol)及びトルエン/水(10ml/2ml)を入れた。反応混合物を窒素雰囲気で110℃に加熱し、8時間撹拌した。反応後、水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出し、濃縮して粗生成物を取得し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1.04gを取得した。收率は74%であった。Ms(ESI):563.2(M+1)。
【0030】
〈実施例3〉化合物29の合成
丸底フラスコに中間体5(2g,5mmol)、(3-(10H-スピロ[アクリジン-9,9’-フルオレン]-10-イル)フェニル)ボロン酸(2.47g、6mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.58g、0.5mmol)、炭酸カリウム(1.7g、12.5mmol)及びジオキサン/水(20ml/4ml)を入れた。反応混合物を窒素雰囲気で110℃に加熱し、10時間撹拌した。
【0031】
〈実施例4~6〉
有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造
【0032】
本発明の実施例に係る化合物を使用してOLEDを製造した。
まず、透明な導電性膜(ITO膜)ガラス基板110(その上に陽極120がある)を脱イオン水、エタノール、アセトン、及び脱イオン水で順次洗浄し、次に、酸素プラズマで30秒間処理した。
【0033】
次に、厚さ5nmの正孔注入層130(HATCN)を蒸着した。
【0034】
次に、正孔注入層上に厚さ50nmの正孔輸送層140(TAPC)を蒸着した。
【0035】
次に、正孔輸送層上に、10wt%Pt-1をドープした厚さ10nmの実施例の化合物を発光層150として蒸着した。
【0036】
次に、発光層上に厚さ50nmの電子輸送層160(TmPyPb)を蒸着した。
【0037】
最後に、厚さ1.2nmのLiFを電子注入層160として、及び厚さ100nmのAlをデバイスの陰極180として蒸着した。
【0038】
Photo Reasearch PR650分光計を用いて、製造したデバイス(図2に構造模式図を示す)の1000cd/mの電流密度における効率を測定した結果を表1に示す。
【0039】
〈比較例1〉
本発明の化合物に代えて、CBPを発光層として使用した他すべて実施例4と同様とした。
【0040】
Photo Reasearch PR650分光計を用いて、製造したデバイス(図2に構造模式図を示す)の1000cd/mの電流密度における効率を測定した結果を、表1に示す。
表1
【0041】
表1からわかるように、同じ条件下で、本発明のイミダゾール[1,5-a][1,8]ナフチリジンに基づいた化合物を使用して製造した有機エレクトロルミネッセンスデバイスの効率は、比較例のものよりも高い。上記のように、本発明の化合物は高い安定性を有し、本発明で製造された有機エレクトロルミネッセンスデバイスは高い効率を有する。
【0042】
デバイスで用いた各化合物の構造式は以下のとおりである。
【0043】
上述のように、本発明のイミダゾール[1,5-a][1,8]ナフチリジンに基づいた化合物をホストとして使用することによって、CBPで製造されたデバイスよりも高いデバイス効率を得ることができる。同じテスト条件下で、CBPで製造されたデバイスの1000cd/mのときの電流効率は41.9cd/Aであり、電力効率は29.1lm/Wであり、外部量子効率は12.1%である。本発明の実施例の化合物で製造されたデバイスはいずれも、上記効率よりも優れた値を達成できる。また、CBPのガラス転移温度Tは62℃であり、本発明の実施例29の化合物は、より高いガラス転移温度T(99℃)を有する。ガラス転移温度がより高く、デバイス発光層の形態的安定性が良好であり、アプリケーションの見通しが良好であり、有機発光ダイオードのホスト材料に対する要求にさらに適合する。
図1
図2