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  • 特許-車両用電源装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】車両用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20220830BHJP
   B60L 53/00 20190101ALI20220830BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H02J7/34 B
B60L53/00
H02J7/00 P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018068350
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019180157
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 友晴
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/087488(WO,A1)
【文献】特開2009-225587(JP,A)
【文献】特開2011-087408(JP,A)
【文献】特開2018-042370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0072179(US,A1)
【文献】特開2018-148680(JP,A)
【文献】特開2017-143662(JP,A)
【文献】特開2011-155730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/34
H02J 7/00
B60L 50/40
B60L 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられた直流電源の充電口を介して車両外部の電源から車両内部の電源へ電力を供給する車両用電源装置であって、
前記直流電源の充電口の正極と負極との間に接続されるキャパシタと、
前記車両内部の電源と接続される電装負荷と、
前記車両内部の電源の正極と前記キャパシタとの接続経路を開閉する第一スイッチと、
前記車両内部の電源の正極と前記電装負荷との接続経路を開閉する第二スイッチと、
前記車両内部の電源の正極と前記直流電源の充電口の正極との接続経路を開閉する第三スイッチと、
前記車両内部の電源の負極と前記キャパシタとの接続経路を開閉する第四スイッチと、
前記車両内部の電源の負極と前記電装負荷との接続経路を開閉する第五スイッチと、
前記車両内部の電源の負極と前記直流電源の充電口の負極との接続経路を開閉する第六スイッチと、
前記第一スイッチと前記第二スイッチと前記第三スイッチと前記第四スイッチと前記第五スイッチと前記第六スイッチの開閉を制御する制御部と、を備え、
前記キャパシタは前記第一スイッチと前記第四スイッチの間に接続され、前記電装負荷は前記第二スイッチと前記第五スイッチの間に接続され
前記制御部は、前記車両外部の電源から前記直流電源の充電口を介して前記車両内部の電源を充電する際に、前記第一スイッチと前記第四スイッチを開状態とする車両用電源装置。
【請求項2】
記制御部は、前記車両外部の電源から前記直流電源の充電口を介して前記車両内部の電源を充電する際に、前記第二スイッチと前記第三スイッチと前記第五スイッチと前記第六スイッチを閉状態とする請求項1に記載の車両用電源装置。
【請求項3】
交流電源の充電口と、
前記交流電源の充電口に供給される交流電力を直流電力に変換する充電器と、を備え、
前記充電器の正極は、前記第二スイッチと前記電装負荷との接続経路に接続され、前記充電器の負極は、前記第五スイッチと前記電装負荷との接続経路に接続される請求項1または請求項2に記載の車両用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載回路に混入するノイズを低減可能なインバータ装置が知られている。特許文献1では、直流電源からインバータに供給される電力に含まれるノイズを低減する為に、コンデンサを含むノイズ低減の回路を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-184328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両外部に設置された充電設備の電源から充電口を介して車両内部の電源に充電する場合に、充電経路上にノイズ低減回路が設置されていると、その回路中のキャパシタへ蓄電される。万が一キャパシタから充電口及び充電設備までの経路上で地絡すると、キャパシタに蓄積された電荷がキャパシタから放電する可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、車両内部の電源と直流電源の充電口との接続経路上に設置されたキャパシタが放電することを防止することができる車両用電源装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、車両に備えられた直流電源の充電口を介して車両外部の電源から車両内部の電源へ電力を供給する車両用電源装置であって、前記直流電源の充電口の正極と負極との間に接続されるキャパシタと、前記車両内部の電源と接続される電装負荷と、前記車両内部の電源の正極と前記キャパシタとの接続経路を開閉する第一スイッチと、前記車両内部の電源の正極と前記電装負荷との接続経路を開閉する第二スイッチと、前記車両内部の電源の正極と前記直流電源の充電口の正極との接続経路を開閉する第三スイッチと、前記車両内部の電源の負極と前記キャパシタとの接続経路を開閉する第四スイッチと、前記車両内部の電源の負極と前記電装負荷との接続経路を開閉する第五スイッチと、前記車両内部の電源の負極と前記直流電源の充電口の負極との接続経路を開閉する第六スイッチと、前記第一スイッチと前記第二スイッチと前記第三スイッチと前記第四スイッチと前記第五スイッチと前記第六スイッチの開閉を制御する制御部と、を備え、前記キャパシタは前記第一スイッチと前記第四スイッチの間に接続され、前記電装負荷は前記第二スイッチと前記第五スイッチの間に接続され、前記制御部は、前記車両外部の電源から前記直流電源の充電口を介して前記車両内部の電源を充電する際に、前記第一スイッチと前記第四スイッチを開状態とするものである。
【発明の効果】
【0007】
このように、本発明によれば、車両内部の電源と直流電源の充電口との接続経路上に設置されたキャパシタが放電することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施例に係る車両用電源装置のブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る車両用電源装置の回路図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る車両用電源装置のスイッチの変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る車両用電源装置は、車両に備えられた直流電源の充電口を介して車両外部の電源から車両内部の電源へ電力を供給する車両用電源装置であって、直流電源の充電口の正極と負極との間に接続されるキャパシタと、車両内部の電源と接続される電装負荷と、車両内部の電源の正極とキャパシタとの接続経路を開閉する第一スイッチと、車両内部の電源の正極と電装負荷との接続経路を開閉する第二スイッチと、車両内部の電源の正極と直流電源の充電口の正極との接続経路を開閉する第三スイッチと、車両内部の電源の負極とキャパシタとの接続経路を開閉する第四スイッチと、車両内部の電源の負極と電装負荷との接続経路を開閉する第五スイッチと、車両内部の電源の負極と直流電源の充電口の負極との接続経路を開閉する第六スイッチと、を備え、キャパシタは第一スイッチと第四スイッチの間に接続され、電装負荷は第二スイッチと第五スイッチの間に接続されるよう構成されている。
【0010】
これにより、車両内部の電源と直流電源の充電口との接続経路上に設置されたキャパシタが放電することを防止することができる。
【実施例
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る車両用電源装置について詳細に説明する。
【0012】
図1において、本発明の一実施例に係る車両用電源装置を搭載した車両1は、モータ2と、インバータ3と、電装負荷4と、バッテリパック5と、制御部6と、を含んで構成される。
【0013】
モータ2は、例えば、複数の永久磁石が埋め込まれたロータと、ステータコイルが巻きつけられたステータと、を備えた同期型モータで構成される。モータ2は、ステータコイルに三相交流電圧が印加されることでステータに回転磁界が形成され、この回転磁界によりロータが回転して駆動力を生成する。
【0014】
インバータ3は、制御部6の制御により三相交流電圧をモータ2に供給する。インバータ3は、制御部6から入力されるトルク指令値に基づいて三相交流電圧を生成してモータ2に出力する。
【0015】
電装負荷4は、車両1に搭載され、バッテリパック5から供給される電力で動作する各種の装置からなり、例えば、オーディオ装置、ナビゲーション装置、空調装置、計器類の表示装置及びヘッドランプなどの照明装置を含む。
【0016】
バッテリパック5は、インバータ3や電装負荷4などに電力を供給する。バッテリパック5は、例えば、ニッケル蓄電池やリチウム蓄電池等からなる電源としてのバッテリ51(図2参照)を備えている。
【0017】
バッテリパック5には、インバータ3や電装負荷4が並列に接続されている。バッテリパック5には、インバータ3や電装負荷4と並列に、充電器7が接続されている。充電器7は、交流電源の充電口としての普通充電口8に供給される交流の電力を直流の電力に変換する。
【0018】
バッテリパック5には、車両1外部に設置された充電設備の直流電源10の充電コネクタが接続されることにより、直流電源10から供給された電力によりバッテリ51(図2参照)を充電する、直流電源10の充電口としての急速充電口9が設けられている。急速充電口9は、直流電源10の充電コネクタが接続されているか否かを検出して、制御部6に通知するようになっている。
【0019】
バッテリパック5には、バッテリ51(図2参照)の電圧を検出する不図示の電圧センサ、バッテリ51の温度を検出する不図示の温度センサ、バッテリ51の充電電流及び放電電流を検出する不図示の電流センサなどが設けられている。
【0020】
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、フラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0021】
制御部6のROMには、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットを制御部6として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、制御部6として機能する。
【0022】
制御部6の入力ポートには、上述の急速充電口9と、電圧センサと、温度センサと、電流センサとを含む各種センサ類が接続されている。一方、制御部6の出力ポートには、インバータ3と、電装負荷4と、バッテリパック5とを含む各種制御対象類が接続されている。
【0023】
図2において、インバータ3には、インバータ3に供給される電力に含まれるノイズを低減するために、キャパシタ31、キャパシタ32、キャパシタ33を含むノイズ低減回路が設けられている。
【0024】
バッテリ51の正極とインバータ3との接続経路には、この接続経路を開閉する第一スイッチ11が接続されている。バッテリ51の正極と電装負荷4との接続経路には、この接続経路を開閉する第二スイッチ12が接続されている。バッテリ51の正極と急速充電口9の正極との接続経路には、この接続経路を開閉する第三スイッチ13が接続されている。
【0025】
バッテリ51の負極とインバータ3との接続経路には、この接続経路を開閉する第四スイッチ14が接続されている。バッテリ51の負極と電装負荷4との接続経路には、この接続経路を開閉する第五スイッチ15が接続されている。バッテリ51の負極と急速充電口9の負極との接続経路には、この接続経路を開閉する第六スイッチ16が接続されている。
【0026】
インバータ3は、第一スイッチ11と第四スイッチ14との間に接続されている。電装負荷4は、第二スイッチ12と第五スイッチ15との間に接続されている。
【0027】
充電器7の正極は、第二スイッチ12と電装負荷4との接続経路に接続され、充電器7の負極は、第五スイッチ15と電装負荷4との接続経路に接続されている。
【0028】
第一スイッチ11、第二スイッチ12、第三スイッチ13、第四スイッチ14、第五スイッチ15、第六スイッチ16は、制御部6によりオン(閉状態)オフ(開状態)される。
【0029】
制御部6は、急速充電口9に車両1外部の直流電源10の充電コネクタが接続されたことを検出すると、第一スイッチ11と第四スイッチ14を開状態とする。
【0030】
制御部6は、急速充電口9に車両1外部の直流電源10の充電コネクタが接続されたことを検出すると、第二スイッチ12と第三スイッチ13と第五スイッチ15と第六スイッチ16を閉状態とする。
【0031】
このようにすることで、急速充電口9からの充電中に、キャパシタ31、キャパシタ32、キャパシタ33を充電経路から切り離すことができ、キャパシタ31、キャパシタ32、キャパシタ33から放電することを防止することができる。キャパシタ31、キャパシタ32、キャパシタ33からの放電を防止することにより、キャパシタ31、キャパシタ32、キャパシタ33から車両1の急速充電口9及び直流電源10の充電設備までの経路上での漏電を防止することができる。
【0032】
また、急速充電口9からの充電中に、電装負荷4へ電力を供給することができ、エアコンやヒーター等の電装品を使用しながら充電を行なえる。
【0033】
以上のように構成された本実施例に係る車両用電源装置による動作について図3を参照して説明する。
【0034】
図3において、時刻t1でイグニッションスイッチがオフされると、第一スイッチ11と第二スイッチ12と第四スイッチ14と第五スイッチ15がオフされる。
【0035】
時刻t2において、車両1外部の直流電源10の充電コネクタが急速充電口9に接続され、充電開始の操作が完了すると、給電状態がオンにされる。
【0036】
給電状態がオンにされると、時刻t3において、第二スイッチ12と第三スイッチ13と第五スイッチ15と第六スイッチ16がオンされる。
【0037】
時刻t4において、充電が完了すると、給電状態がオフにされる。給電状態がオフにされると、時刻t5において、充電経路のスイッチが全てオフされる。
【0038】
時刻t6において、イグニッションスイッチがオンされると、第一スイッチ11と第二スイッチ12と第四スイッチ14と第五スイッチ15がオンされ、バッテリ51からインバータ3、電装負荷4へ電力が供給される。
【0039】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0040】
1 車両
4 電装負荷
6 制御部
7 充電器
8 普通充電口(交流電源の充電口)
9 急速充電口(直流電源の充電口)
10 直流電源
11 第一スイッチ
12 第二スイッチ
13 第三スイッチ
14 第四スイッチ
15 第五スイッチ
16 第六スイッチ
31、32、33 キャパシタ
51 バッテリ(電源)
図1
図2
図3