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特許7131068設計支援装置及び設計支援モデル学習装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】設計支援装置及び設計支援モデル学習装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20220830BHJP
   G06F 30/27 20200101ALI20220830BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20220830BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/27
G06Q50/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018096404
(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公開番号】P2019200721
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】待永 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 昌英
(72)【発明者】
【氏名】竹内 満
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0138113(US,A1)
【文献】特開平10-301981(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0121571(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0220887(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/13
G06F 30/27
G06Q 50/08
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物を表す画像情報を表す入力情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部によって取得された前記入力情報を、学習用の建物を表す学習用画像情報と、該学習用の建物の設計条件との組み合わせを表す学習用データに基づき予め学習された学習済みモデルへ入力し、前記学習済みモデルによる演算によって、設計対象である建物の設計条件を出力すると共に、前記設計条件に応じたBIM(Building Information Modeling)モデルを更に出力する設計情報出力部と、
前記設計条件に応じた前記BIMモデルの各々に対してレンダリング処理を行うことにより、前記BIMモデルの各々に対応する3次元画像情報を生成する3次元画像情報生成部と、
前記3次元画像情報生成部によって生成された前記3次元画像情報の各々について、前記3次元画像情報を所定の位置から見た画像情報と、前記入力情報の前記建物を表す画像情報との一致度合いを表す評価情報を算出する評価部と、
前記評価部によって算出された前記評価情報に基づいて、前記評価情報が予め設定された閾値以上である前記3次元画像情報及び前記BIMモデルの少なくとも一方を出力する出力部と、
を含む設計支援装置。
【請求項2】
前記入力情報は、前記建物を表す言語情報を更に含み、
前記学習済みモデルは、前記学習用画像情報及び学習用の建物を表す学習用言語情報と該学習用の建物の設計条件との組み合わせを表す学習用データに基づき予め学習された学習済みモデルである、
請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項3】
前記設計条件は、前記建物の外装及び内装の少なくとも一方に関する設計条件である、
請求項1又は請求項2に記載の設計支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援装置及び設計支援モデル学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物を構成する部品の集合体の仮想3次元モデルを用いた集計システムが知られている(例えば、特許文献1)。また、建物を構成する各部品の集合体の仮想3次元モデルを用いた処理システムが知られている(例えば、特許文献2)。また、冷蔵庫のデザインと、人間のイメージや感性とを結びつけるデザイン支援システムが知られている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-115040号公報
【文献】特開2017-224014号公報
【文献】特開2004-295619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物のデザインイメージに関する要望は、画像又は言語によって建設会社へ提示される場合がある。しかし、上記特許文献1~上記特許文献3に記載の技術では、画像又は言語から建物の設計条件を自動的に生成することはできない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮して、画像情報又は言語情報から建物の設計条件を自動的に生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の設計支援装置は、建物を表す画像情報及び建物を表す言語情報の少なくとも一方を表す入力情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部によって取得された前記入力情報を、学習用の建物を表す学習用画像情報及び学習用の建物を表す学習用言語情報の少なくとも一方と、該学習用の建物の設計条件との組み合わせを表す学習用データに基づき予め学習された学習済みモデルへ入力し、前記学習済みモデルによる演算によって、設計対象である建物の設計条件を出力する設計情報出力部とを含む。これにより、画像情報又は言語情報から建物の設計条件を自動的に生成することができる。
【0007】
本発明の設計支援装置の前記設計情報出力部は、前記設計条件に応じたBIM(Building Information Modeling)モデルを更に出力するようにしてもよい。これにより、画像情報又は言語情報から建物の設計条件に応じたBIMモデルを自動的に生成することができる。
【0008】
本発明の設計支援装置は、前記入力情報は、前記建物を表す画像情報であり、前記設計条件に応じた前記BIMモデルの各々に対してレンダリング処理を行うことにより、前記BIMモデルの各々に対応する3次元画像情報を生成する3次元画像情報生成部と、前記3次元画像情報生成部によって生成された前記3次元画像情報の各々について、前記3次元画像情報を所定の位置から見た画像情報と、前記入力情報の前記建物を表す画像情報との一致度合いを表す評価情報を算出する評価部とを更に含むようにしてもよい。これにより、入力情報と、設計条件に応じたBIMモデルに対応する3次元画像情報との間の一致度を自動的に評価することができる。
【0009】
本発明の設計支援装置は、前記評価部によって算出された前記評価情報に基づいて、前記評価情報が予め設定された閾値以上である前記3次元画像情報及び前記BIMモデルの少なくとも一方を出力する出力部を更に含むようにしてもよい。これにより、入力情報に応じた適切な3次元画像情報を得ることができる。
【0010】
また、前記設計条件は、前記建物の外装及び内装の少なくとも一方に関する設計条件であるようにしてもよい。これにより、建物の外装及び内装の少なくとも一方の設計条件を出力することができる。
【0011】
本発明の設計支援モデル学習装置は、学習用の建物を表す学習用画像情報及び学習用の建物を表す学習用言語情報の少なくとも一方と、該学習用の建物の設計条件との組み合わせを表す学習用データに基づいて、建物を表す画像情報及び建物を表す言語情報の少なくとも一方から該建物の設計条件を出力するためのモデルを学習させる学習部を含む。これにより、画像情報及び言語情報から建物の設計条件を自動的に生成するための学習済みモデルを得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像情報又は言語情報から建物の設計条件を自動的に生成することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る設計支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態の画像情報を説明するための説明図である。
図3】本実施形態の学習済みモデルの一例を示す図である。
図4】BIMモデルのうちの矩形図の部分の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る設計支援モデル学習装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6】本実施形態の学習用データを説明するための説明図である。
図7】本実施形態に係る学習処理ルーチンの一例を示す図である。
図8】本実施形態に係る設計支援処理ルーチンの一例を示す図である。
図9】感性評価シートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
<本発明の実施形態に係る設計支援装置の構成>
【0016】
図1に、本発明の実施形態に係る設計支援装置100の構成の一例を示す。設計支援装置100は、機能的には、図1に示されるように、受付部10、コンピュータ20、及び表示部40を含んだ構成で表すことができる。本実施形態の設計支援装置100は、建築設計者によって行われる建築設計を支援する。
【0017】
建築設計の分野では、BIM(Building Information Modeling)の活用が進んでいる。建築設計者は、建築設計を行う際、設計対象の建物の3次元モデルを表すBIMモデルを作成することにより、設計作業を進める。
【0018】
BIMを活用することにより、コンピュータ上の空間内に建物の形状を表すオブジェクトが形成され、そのオブジェクトに対して属性情報が付与される。例えば、属性情報として、物理的特性に関する情報(比重、材質、強度、及び剛性等)又はコストに関する情報(例えば、1mあたりの単価及び施工コスト等)を、オブジェクトに対して紐づけることが可能となる。このため、例えば、BIMモデルと各種解析ツールとを連動させることにより、BIMモデルに応じて、構造解析及び熱負荷解析等を自動的に行うことができる。
【0019】
建築設計者は、建築設計を行う際、建物の外装又は内装に関する建築主の要望と、建物のコスト及び建物の各種性能(例えば、耐風荷重、及び断熱性能等)とを考慮して、建物の設計条件を決定する必要がある。この作業は、建築設計者の感覚と経験とに基づき行われる。
【0020】
しかし、建物の外装又は内装に関するイメージは個人の感覚によるため、建物の外装又は内装に関する建築主の要望を、設計条件へ適切に反映することは難しい。また、建物の外装又は内装に関する複数の設計条件を短時間に建築主へ提案することは難しい。
【0021】
そこで、本実施形態では、建物の外装又は内装の設計に関して、画像情報及び言語情報を入力情報とし、建物の外装又は内装の設計条件を出力する。画像情報及び言語情報は建築主の潜在的な要望が反映されているため、本実施形態によれば、建築主の潜在的な要望に応じた設計条件を出力することができる。また、本実施形態により、設計条件に応じたBIMモデルを自動的に生成することにより、建築設計の効率を向上させることができる。
【0022】
建物の外装の設計条件としては、例えば、外装のイメージを醸成する開口率、窓のプロポーション、腰壁又は垂れ壁の寸法、開口奥行の寸法、及び外装の素材等を設計条件として出力する。また、建物の内装の設計条件としては、例えば、内装のイメージを醸成する開口率、及び壁の素材等を設計条件として出力する。
【0023】
以下、本実施形態について具体的に説明する。
【0024】
受付部10は、ユーザから入力された入力情報を受け付ける。本実施形態の入力情報は、建物を表す画像情報及び建物を表す言語情報である。受付部10は、例えばキーボード、マウス、又は外部装置からの入力を受け付ける入出力装置等によって実現される。本実施形態では、建物の外装を設計対象とする場合を例に説明する。
【0025】
例えば、建物の建築主は、新規の建設プロジェクトが開始される際に、建物の外装の写真を選択する。例えば、図2に示されるように、建築主は、既に建築された複数の建物の写真P1,P2,P3から、建築主が有するイメージに近い写真を選択する。そして、設計支援装置100のユーザは、建築主によって選択された写真を画像情報として受付部10へ入力する。なお、画像情報として入力される写真は、単数であっても複数であってもよい。
【0026】
また、建物の建築主は、建築対象である建物の外装のイメージを表す単語を選択する。例えば、「温かい」、「開放的」、「現代的」、「健康的」、「自然」、及び「調和」等の建物のイメージを表す単語が選択される。そして、設計支援装置100のユーザは、建築主によって選択された単語を言語情報として受付部10へ入力する。なお、言語情報として入力される単語は、単数であっても複数であってもよい。また、入力される言語情報は、文章であってもよい。
【0027】
コンピュータ20は、CPU(Central Processing Unit)、各処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、記憶手段としてのメモリ、ネットワークインタフェース等を含んで構成されている。コンピュータ20は、図1に示されるように、機能的には、情報取得部22と、学習済みモデル記憶部23と、設計情報出力部24と、3次元画像情報生成部26と、評価部28と、出力部30とを備えている。
【0028】
情報取得部22は、受付部10によって受け付けられた入力情報を取得する。
【0029】
学習済みモデル記憶部23には、学習用データに基づき予め学習された学習済みモデルが格納されている。本実施形態の学習用データは、学習用の建物を表す学習用画像情報及び学習用の建物を表す学習用言語情報と、当該学習用の建物の設計条件との組み合わせを表すデータである。学習済みモデルからは、建物の設計条件の候補の確率が出力される。学習済みモデルの詳細については後述する。
【0030】
設計情報出力部24は、情報取得部22によって取得された入力情報を、学習済みモデル記憶部23に格納された学習済みモデルへ入力し、当該学習済みモデルによる演算によって、設計対象である建物の設計条件を出力する。本実施形態で出力される設計条件は、建物の外装に関する設計条件である。
【0031】
本実施形態では、図3に示されるような学習済みモデルを用いる。例えば、図3に示されるように、モデルの一例としてニューラルネットワークを用いることができ、学習アルゴリズムの一例としてディープラーニングを用いることができる。図3に示される学習済みモデルは、例えば、設計条件の候補に関する確率を出力する。図3に示される入力情報は、ニューラルネットワークが読み込み可能なような形式で表現される。例えば、言語情報としては、各単語の出現の頻度を表す頻度ベクトルがニューラルネットワークへ入力される。言語情報として文章が入力された場合には、文章中に含まれる各単語の出現の頻度を表す頻度ベクトルがニューラルネットワークへ入力される。また、画像情報としては、建物の写真の画素値がニューラルネットワークへ入力される。
【0032】
設計条件としては、建物の外装に関する仕様(例えば、外壁のタイプ(RC又はALC等)に関する情報、開口率に関する情報、窓の配置に関する情報、腰壁又は垂れ壁の寸法に関する情報、及び開口奥行き寸法に関する情報等)が用いられる。例えば、学習済みモデルから出力される設計条件1の確率として、外壁のタイプ:ALC、開口率:A1、窓の配置:B1、腰壁の寸法:C1、及び開口奥行き寸法:D1である確率が出力される。
【0033】
次に、設計情報出力部24は、設計条件に応じたBIMモデルを生成する。具体的には、設計情報出力部24は、設計条件の各々が表す情報(外壁のタイプ(RC又はALC等)に関する情報、開口率に関する情報、窓の配置に関する情報、腰壁又は垂れ壁の寸法に関する情報、及び開口奥行き寸法に関する情報等)に応じて、BIMモデルを生成する。BIMモデルの生成に関しては、寸法等に関する情報に応じて建物の外壁の形状を表すオブジェクトが生成される。例えば、図4に示されるように、設計条件の各々が表す情報に応じて、BIMモデルのうちの矩形図に対応する各部分(窓Wi、トップライトTL、及び外壁Wa等)が生成される。また、BIMモデルのオブジェクトに対して、設計条件を表す属性情報が付与される。
【0034】
3次元画像情報生成部26は、設計情報出力部24によって出力された設計条件に応じたBIMモデルの各々に対してレンダリング処理を行うことにより、BIMモデルの各々に対応する3次元画像情報を生成する。3次元画像情報としては、例えば、建物の外装のイメージを表すパースが生成される。
【0035】
評価部28は、3次元画像情報生成部26によって生成された3次元画像情報の各々について、3次元画像情報を所定の位置から見た画像情報と、入力情報のうちの建物を表す画像情報との一致度合いを表す評価情報を算出する。なお、例えば、所定の位置は、3次元画像情報のうちの画像情報と、入力情報のうちの建物を表す画像情報とが対応するように、ユーザによって設定される。
【0036】
例えば、3次元画像情報を所定の位置から見た画像情報の色情報と、入力情報のうちの画像情報の色情報との間の一致度合いや、3次元画像情報のうちの画像情報の窓の形状と、入力情報のうちの画像情報の窓の形状との一致度合い等が、評価情報として算出される。
【0037】
出力部30は、評価部28によって算出された評価情報に基づいて、評価情報が予め設定された閾値以上である3次元画像情報を出力する。なお、出力部30は、出力対象の3次元画像情報と併せて、設計情報出力部24によって生成されたBIMモデルを出力するようにしてもよい。また、出力部30は、3次元画像情報に代えて設計情報出力部24によって生成されたBIMモデルを出力するようにしてもよい。
【0038】
表示部40は、出力部30によって出力された3次元画像情報を表示する。
【0039】
ユーザは、表示部40によって表示された3次元画像情報を確認する。ユーザは、表示部40によって表示された3次元画像情報が、入力情報の画像情報及び言語情報のイメージと一致しているかを確認する。また、ユーザは、表示部40に表示された3次元画像情報を建築主に提示し、建築主の要望に応じたものとなっているか否かを確認する。
【0040】
<本発明の実施形態に係る設計支援モデル学習装置の構成>
【0041】
図5に、本発明の実施形態に係る設計支援モデル学習装置200の構成の一例を示す。設計支援モデル学習装置200は、機能的には、図5に示されるように、データ受付部210、及びコンピュータ220を含んだ構成で表すことができる。
【0042】
データ受付部210は、学習済みモデルを生成するための学習用データを受け付ける。
【0043】
コンピュータ220は、CPU、各処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM、データを一時的に記憶するRAM、記憶手段としてのメモリ、ネットワークインタフェース等を含んで構成されている。コンピュータ220は、図5に示されるように、機能的には、学習用データ取得部221と、学習用データ記憶部223と、学習部225と、学習済みモデル記憶部226とを備えている。
【0044】
学習用データ取得部221は、データ受付部210によって受け付けられた学習用データを取得する。そして、学習用データ取得部221は、学習用データを学習用データ記憶部223に格納する。本実施形態の学習用データは、学習用の建物を表す学習用画像情報及び学習用の建物を表す学習用言語情報と、当該学習用の建物の設計条件との組み合わせを表すデータである。
【0045】
学習用データ記憶部223には、学習用データ取得部221によって取得された学習用データが格納される。図6に、学習用データを説明するための説明図を示す。図6に示されるように、本実施形態の学習用データは、学習用の建物を表す学習用画像情報及び学習用の建物を表す学習用言語情報と当該学習用の建物の設計条件とが対応付けられて格納される。図6に示されるデータID「00001」の学習用データでは、学習用画像情報が「XXX1」であり、かつ学習用言語情報が「YYY1」であった場合に、学習用の建物の設計条件は「ZZZ1」であったことが表されている。
【0046】
学習用言語情報としては、例えば、「温かみ」、「現代的」、「健康的」、「自然」、及び「調和」等の建物のイメージを表す言語情報が予め設定される。学習済みモデルを学習させる際には、言語情報としては、例えば、単語の出現の頻度を表す頻度ベクトルが用いられる。また、学習用画像情報としては、例えば、学習用の建物の外観の写真の画像情報が用いられる。
【0047】
学習部225は、学習用データ記憶部223に格納された複数の学習用データに基づいて、建物を表す画像情報及び建物を表す言語情報から当該建物の設計条件を出力するためのモデルを学習させて、学習済みモデルを得る。これにより、上記図3に示されるような学習済みモデルが生成される。
【0048】
学習済みモデル記憶部226には、学習部225によって学習された学習済みモデルが格納される。
【0049】
<設計支援モデル学習装置200の作用>
【0050】
次に、設計支援モデル学習装置200の作用について説明する。設計支援モデル学習装置200のデータ受付部210が、学習用データの入力を受け付けると、学習用データ記憶部223へ格納する。そして、設計支援モデル学習装置200のコンピュータ220は、学習処理実行の指示信号を受け付けると、図7に示す学習処理ルーチンを実行する。
【0051】
ステップS100において、学習部225は、学習用データ記憶部223に格納された複数の学習用データを取得する。
【0052】
ステップS102において、学習部225は、上記ステップS100で取得された複数の学習用データに基づいて、建物を表す画像情報及び建物を表す言語情報から当該建物の設計条件を出力するためのモデルを学習させて、学習済みモデルを得る。
【0053】
ステップS104において、学習部225は、上記ステップS102で生成された学習済みモデルを学習済みモデル記憶部226に格納して、学習処理ルーチンを終了する。
【0054】
<設計支援処理ルーチン>
【0055】
設計支援モデル学習装置200によって生成された学習済みモデルが設計支援装置100へ入力されると、設計支援装置100の学習済みモデル記憶部23に格納される。そして、設計支援装置100のコンピュータ20は、設計支援処理実行の指示信号を受け付けると、図8に示す設計支援処理ルーチンを実行する。
【0056】
ステップS200において、情報取得部22は、受付部10によって受け付けられた入力情報を取得する。
【0057】
ステップS202において、設計情報出力部24は、情報取得部22によって取得された入力情報を、学習済みモデル記憶部23に格納された学習済みモデルへ入力し、当該学習済みモデルによる演算によって、設計対象である建物の設計条件の候補を出力する。
【0058】
ステップS204において、設計情報出力部24は、上記ステップS202で出力された設計条件の候補の各々に応じたBIMモデルの各々を生成する。
【0059】
ステップS206において、3次元画像情報生成部26は、上記ステップS204で生成されたBIMモデルの各々に対してレンダリング処理を行うことにより、BIMモデルの各々に対応する3次元画像情報を生成する。
【0060】
ステップS208において、評価部28は、上記ステップS206で生成された3次元画像情報の各々について、3次元画像情報を所定の位置から見た画像情報と、上記ステップS100で取得された入力情報のうちの画像情報との一致度合いを表す評価情報を算出する。
【0061】
ステップS210において、出力部30は、上記ステップS208で算出された評価情報の各々に基づいて、評価情報が予め設定された閾値以上である3次元画像情報を選択する。
【0062】
ステップS212において、出力部30は、上記ステップS210で選択された3次元画像情報を結果として出力して、設計支援処理ルーチンを終了する。
【0063】
設計支援装置100のユーザは、表示部40によって表示された3次元画像情報を確認する。そして、ユーザは、表示部40によって表示された3次元画像情報が、入力情報の画像情報及び言語情報のイメージと一致しているかを確認する。また、ユーザは、表示部40に表示された3次元画像情報を建築主に提示し、建築主の要望に応じたものとなっているか否かを確認する。
【0064】
以上詳細に説明したように、本実施形態の設計支援装置100は、建物を表す画像情報及び建物を表す言語情報を表す入力情報を、学習用データに基づき予め学習された学習済みモデルへ入力し、学習済みモデルによる演算によって、設計対象である建物の設計条件を出力する。これにより、画像情報及び言語情報から建物の設計条件を自動的に生成することができる。
【0065】
また、本実施形態の設計支援モデル学習装置200によれば、学習用データに基づいて、建物を表す画像情報及び建物を表す言語情報から当該建物の設計条件を出力するためのモデルを学習させることにより、画像情報及び言語情報から建物の設計条件を自動的に生成するための学習済みモデルを得ることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、コスト、美観、断熱性能、及び荷重等の、各種の要求性能と制約条件との下で建築主との多大な打ち合わせを経て決定される外装の設計において、建築主の要求性能、特に感覚に直結する画像情報及び言語情報に合致する可能性がある設計の候補を複数、短時間に提示することができる。
【0067】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0068】
例えば、上記実施形態では、モデルの一例としてのニューラルネットワークモデルをディープラーニングによって学習させる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ニューラルネットワークモデルとは異なる他のモデルを、ディープラーニングとは異なる他の学習方法によって学習させてもよい。例えば、統計分析で用いられるモデルを学習させてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、建物の外装の設計を対象とする場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、建物の内装の設計を対象としてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、画像情報及び言語情報を用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、画像情報及び言語情報の何れか一方を用いるようにしてもよい。
【0071】
また、所定の解析プログラムと外装に関する性能情報が格納されたデータベースとを連動させることにより、生成されたBIMモデルの外装の性能(例えば、断熱性能、耐荷重性能、及びコスト等)を更に算出するようにしてもよい。BIMモデルと解析プログラム等とを連動させることにより、設計条件の候補の外装に対応した断熱性能計算、耐荷重性能計算、及びコスト計算等を自動的に行うことができる。これにより、断熱性能、耐荷重性能、及びコスト等に関する制約条件を満たした設計条件の候補を、建築主に対して効率的に提示することができる。
【0072】
また、設計条件の候補を出力する際に、参考となる矩形図を所定のデータベースから選択して表示するようにしてもよい。また、設計条件に応じた外装に対応するBIMモデルを出力する際に、過去の品質問題(例えば、ひび割れ、漏水、及びタイル剥落等)の情報を更に出力するようにしてもよい。この場合、ワーニング及び対処方法を更にレコメンドするようにしてもよい。
【0073】
また、建築主に対してヒアリングを行った際の会話をマイニングして得られるキーワードを、言語情報として入力するようにしてもよい。
【0074】
また、感性評価シートを用いて学習用データを収集するようにしてもよい。例えば、図9に示されるような感性評価シートを用いて、学習用データのうちの画像情報及び言語情報を収集することができる。図9に示される感性評価シートでは、例えば、S1~S5の各観点について、複数の文章Seと建物の外観を表す写真Imとが対応付けられている。この場合、例えば、写真Imに対応する文章はSeのうち何れに当たるかのアンケートを実施することにより、学習用データとしての画像情報及び言語情報を収集することができる。また、学習用データとしての設計条件は、写真Imに写る建物の設計条件を用いることができる。
【0075】
また、設計支援装置100を動作させる際に、学習済みモデルから出力された複数の設計条件の候補のうちの建築主が選択した設計条件に対し報酬を付与して、学習済みモデルを再度学習させるようにしてもよい。これにより、建築主の選択しやすい候補を優先的に出力することができるようになる。
【0076】
また、建物の外装に関して、建物の各面の方位及び接道状況(正面性)等を更に考慮して、建物の外装面を区別し、区別された各外装面について設計条件の候補を出力するようにしてもよい。
【0077】
また、上記ではプログラムが記憶部(図示省略)に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM及びマイクロSDカード等の記録媒体の何れかに記録されている形態で提供することも可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 受付部
20,220 コンピュータ
22 情報取得部
23,226 学習済みモデル記憶部
24 設計情報出力部
26 3次元画像情報生成部
28 評価部
30 出力部
40 表示部
100 設計支援装置
200 設計支援モデル学習装置
210 データ受付部
221 学習用データ取得部
223 学習用データ記憶部
225 学習部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9