(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】リスク管理装置、リスク管理方法及びリスク管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20220830BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20220830BHJP
G06Q 10/04 20120101ALI20220830BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220830BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20220830BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20220830BHJP
A61B 5/022 20060101ALN20220830BHJP
【FI】
G16H50/30
G06Q50/22
G06Q10/04
A61B5/00 G
A61B10/00 K
G16H20/00
A61B5/022 400A
(21)【出願番号】P 2018097906
(22)【出願日】2018-05-22
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博則
(72)【発明者】
【氏名】葉 思鋭
(72)【発明者】
【氏名】中村 文彦
(72)【発明者】
【氏名】野崎 大輔
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-122901(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0357771(US,A1)
【文献】谷口 博昭 他,食習慣と癌,医学のあゆみ,第202巻, 第12号,医歯薬出版株式会社,2002年09月21日,p.967-971
【文献】伊藤 修 他,V.冠動脈疾患における治療学の進歩-生活指導-運動療法,日本臨牀 増刊号 冠動脈疾患(上)-診断と治療の進歩- ,第69巻,株式会社日本臨牀社,2011年09月20日,p.491-494
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 50/30
G06Q 50/22
G16H 20/00
G06Q 10/04
A61B 5/00
A61B 10/00
A61B 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象者の生体パラメータに関する生体情報と前記評価対象者の行動パラメータに関する行動情報を取得する取得部と、
取得された前記生体情報及び前記行動情報に基づいてイベント発症率を算出するリスク算出部と、
前記生体情報及び前記行動情報の中から改善可能因子となる生体パラメータ及び行動パラメータを選択する選択部と、
前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータのそれぞれについて前記イベント発症率に対する寄与度を算出する寄与度算出部と、
前記寄与度算出部での算出結果を表す出力データを生成する生成部と、
を備え
、
前記寄与度算出部は、前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータのそれぞれについて前記イベント発症率に対する評価値を算出し、算出された前記評価値を合計した加算値を算出し、算出された前記加算値に対する前記生体パラメータの前記評価値及び前記行動パラメータの前記評価値のそれぞれの割合を前記寄与度として算出し、
前記改善可能因子は、前記イベント発症率の増加に寄与する悪影響因子と前記イベント発症率の減少に寄与する好影響因子とを含み、
前記寄与度算出部は、前記改善可能因子のうち前記悪影響因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータのそれぞれについて算出された前記評価値の合計値を前記加算値として算出する、
リスク管理装置。
【請求項2】
前記リスク算出部は、前記イベント発症率として、動脈硬化性心血管疾患の発症リスクを算出する、請求項1に記載のリスク管理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記生体情報として、人種、性別、年齢、血圧値、コレステロール値、糖尿病の有無及び遺伝情報のうちの少なくとも1つを取得する、請求項1に記載のリスク管理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記行動情報として、喫煙状況及び睡眠時間のうちの少なくとも一方を取得する、請求項1に記載のリスク管理装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記改善可能因子として、血圧値、コレステロール値、糖尿病の有無、喫煙の有無及び睡眠時間のうちの少なくとも1つを選択する、請求項1に記載のリスク管理装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記出力データとして、前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータの前記寄与度を相互に比較可能な画像データを生成する、請求項1に記載のリスク管理装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のリスク管理装置が備える各部の機能をプロセッサに実行させる、リスク管理プログラム。
【請求項8】
評価対象者に関するイベント発症率を管理する装置が実行するリスク管理方法であって、
前記評価対象者の生体パラメータに関する生体情報と前記評価対象者の行動パラメータに関する行動情報とを取得する過程と、
取得された前記生体情報及び前記行動情報に基づいてイベント発症率を算出する過程と、
前記生体情報及び前記行動情報に含まれる複数の前記生体パラメータ及び前記行動パラメータの中から改善可能因子となる生体パラメータ及び行動パラメータを選択する過程と、
前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータのそれぞれについて前記イベント発症率に対する寄与度を算出する過程と、
前記寄与度の算出結果を表す出力データを生成する過程と、
を備え
、
前記寄与度を算出する過程は、前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータのそれぞれについて前記イベント発症率に対する評価値を算出し、算出された前記評価値を合計した加算値を算出し、算出された前記加算値に対する前記生体パラメータの前記評価値及び前記行動パラメータの前記評価値のそれぞれの割合を前記寄与度として算出し、
前記改善可能因子は、前記イベント発症率の増加に寄与する悪影響因子と前記イベント発症率の減少に寄与する好影響因子とを含み、
前記寄与度を算出する過程は、前記改善可能因子のうち前記悪影響因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータのそれぞれについて算出された前記評価値の合計値を前記加算値として算出する、
リスク管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、評価対象者に関するイベント発症率を算出可能なリスク管理装置、リスク管理方法及びリスク管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生死予測装置が開示されている。この生死予測装置は、性別、総コレステロール値、糖尿病の有無等の入力情報を用いて、被験者の10年以内の死亡率を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の生死予測装置では、10年以内の死亡率は表示されるが、どの測定結果が10年以内の死亡率を押し上げているのかが分かりにくい。このため、どの要因によってリスクが上昇しているのか判断することが難しく、リスクを低減させるためにどのような行動をとれば良いかを判断することが難しい。
【0005】
本発明は、上記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、リスクの上昇に大きく寄与している要因を容易に把握することができる、リスク管理装置、リスク管理方法及びリスク管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために、例えば以下の対策を講じている。
【0007】
すなわち、本開示の一例に係るリスク管理装置は、評価対象者の生体パラメータに関する生体情報と前記評価対象者の行動パラメータに関する行動情報を取得する取得部と、取得された前記生体情報及び前記行動情報に基づいてイベント発症率を算出するリスク算出部と、前記生体情報及び前記行動情報の中から改善可能因子となる生体パラメータ及び行動パラメータを選択する選択部と、前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータのそれぞれについて前記イベント発症率に対する寄与度を算出する寄与度算出部と、前記寄与度算出部での算出結果を表す出力データを生成する生成部と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、イベント発症率に対する寄与度を因子別に比較することにより、イベント発症率を押し上げている要因を容易に把握することがきる。これにより、どの生体パラメータまたは行動パラメータがイベント発症リスクを押し上げているのかが分かりやすくなり、リスクを低減させるためにどのようにすれば良いのかを判断しやすくなる。
【0009】
また、上記構成では、取得した生体情報および行動情報のそれぞれのパラメータの中で、評価対象者が改善可能なパラメータが改善可能因子として選択される。そして、選択された改善可能なパラメータについて、イベント発症率に対する因子別寄与度が提示される。このため、上記構成によれば、ユーザは、改善可能で、かつ、イベント発症リスクの低減に大きく寄与する要因を把握することができ、リスクを低減させるためにどのようにすれば良いかを容易に判断できる。また、改善可能因子として選択されたパラメータについてのみ寄与度を算出すればよいので、全ての因子について寄与度を算出する場合に比べ計算量を削減し、これにより装置の処理負荷およびメモリ容量を抑制することができる。
【0010】
上記一例に係るリスク管理装置において、前記リスク算出部は、前記イベント発症率として、動脈硬化性心血管疾患の発症リスクを算出する。
【0011】
上記一例に係るリスク管理装置において、前記取得部は、前記生体情報として、人種、性別、年齢、血圧値、コレステロール値、糖尿病の有無及び遺伝情報のうちの少なくとも1つを取得する。
【0012】
上記一例に係るリスク管理装置において、前記取得部は、前記行動情報として、喫煙状況及び睡眠時間のうちの少なくとも一方を取得する。
【0013】
上記一例に係るリスク管理装置において、前記選択部は、前記改善可能因子として、血圧値、コレステロール値、糖尿病の有無、喫煙の有無及び睡眠時間のうちの少なくとも1つを選択する。
【0014】
上記一例に係るリスク管理装置において、前記生成部は、前記出力データとして、前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータの前記寄与度を相互に比較可能な画像データを生成する。
【0015】
上記一例に係るリスク管理装置において、前記寄与度算出部は、前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータのそれぞれについて前記イベント発症率に対する評価値を算出し、算出された前記評価値を合計した加算値を算出し、算出された前記加算値に対する前記生体パラメータの前記評価値及び前記行動パラメータの前記評価値のそれぞれの割合を前記寄与度として算出する。
【0016】
上記一例に係るリスク管理装置において、前記改善可能因子は、前記イベント発症率の増加に寄与する悪影響因子と前記イベント発症率の減少に寄与する好影響因子とを含み、前記寄与度算出部は、前記改善可能因子のうち前記悪影響因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータのそれぞれについて算出された前記評価値の合計値を前記加算値として算出する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、リスクの上昇に大きく寄与している要因を容易に把握することができる、リスク管理装置、リスク管理方法及びリスク管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、適用例に係るリスク管理装置の機能構成を例示するブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るリスク管理装置を含むリスク評価システムの構成を例示する模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る血圧測定装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る固定端末のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るサーバのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るリスク管理装置の一例としてのリスク評価回路の機能構成を例示するブロック図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るリスク管理装置の一例としてのリスク評価回路におけるリスク算出処理の手順を例示するフローチャートである。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係るリスク管理装置の一例としてのリスク評価回路におけるリスク算出処理において行われる処理を例示する模式図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るリスク管理装置の一例としてのリスク評価回路におけるリスク算出処理において用いられるテーブルを例示する図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係るリスク管理装置の一例としてのリスク評価回路における寄与度算出処理の手順を例示するフローチャートである。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るリスク管理装置の一例としてのリスク評価回路における寄与度算出処理において行われる処理を例示する模式図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係るリスク管理装置の一例としてのリスク評価回路におけるリスク算出処理において用いられる表示画面を例示する図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態に係るリスク管理装置の一例としてのリスク評価回路における寄与度算出処理において、因子別の寄与度を示す表示画面を例示する図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態に係るリスク管理装置の一例としてのリスク評価回路における寄与度算出処理において、因子別の寄与度を画像化して示す表示画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。また、共通する参照符号を有する複数の構成要素を区別する場合、当該共通する参照符号に後続する追加符号を更に付して区別する。なお、複数の構成要素について特に区別を要さない場合、当該複数の構成要素には、共通する参照符号のみが付され、追加符号は付さない。
【0020】
1.適用例
まず、
図1を用いて、本発明が適用されるリスク管理装置の一例について説明する。
【0021】
図1に示すように、リスク管理装置1は、取得部2と、リスク算出部3と、選択部4と、寄与度算出部5と、生成部6と、を備える。リスク管理装置1は、リスク評価プログラムに基づいて、リスク算出処理及び寄与度算出処理を実行する。リスク評価プログラムは、リスク管理プログラムの一例である。
【0022】
取得部2は、評価対象者に関する入力情報を取得する。入力情報は、生体情報及び行動情報を含む。
【0023】
生体情報は、評価対象者の生体パラメータに関する情報である。生体情報は、1つ以上の因子を含む。生体情報は、因子として、例えば、性別、人種、年齢、総コレステロール値、HDLコレステロール値、LDLコレステロール値、高血圧治療の有無、血圧値、糖尿病の有無、遺伝情報等を含む。
【0024】
行動情報は、評価対象者の行動パラメータに関する情報である。行動情報は、1つ以上の因子を含む。行動情報は、因子として、例えば、喫煙状況、睡眠時間等を含む。
【0025】
リスク算出部3は、入力情報に基づいて、評価対象者についてのイベント発症率を算出する。イベント発症率は、例えば、10年以内のASCVD発症リスク(10-Year Risk of Hard ASCVD Event)、生涯におけるASCVD発症リスク等である。例えば、10年以内のASCVD発症リスクは、心臓発作、虚血性脳卒中等の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)が、10年以内に発症する可能性を予測し、数値化したものである。
【0026】
選択部4は、入力情報の中から、改善可能因子に関する入力情報を抽出する。改善可能因子は、評価対象者が改善することが可能な要因に起因する因子である。改善可能因子は、例えば、総コレステロール値、HDLコレステロール値、LDLコレステロール値、血圧値、喫煙の有無、糖尿病の有無、睡眠時間等である。
【0027】
寄与度算出部5は、選択部4で抽出された改善可能因子に関する入力情報に基づいて、改善可能因子のそれぞれについて、イベント発症率に対する寄与度を算出する。イベント発症率に対する寄与度は、イベント発症率に対する改善可能因子の影響度である。
【0028】
生成部6は、イベント発症率の算出結果、及び、因子別寄与度の算出結果に基づいて、出力データを生成する。出力データは、例えば、イベント発症率の算出結果を提示するためのデータである。また、出力データは、例えば、改善可能因子のそれぞれの寄与度を比較可能に提示するための画像データである。生成部6は、生成した出力データを、外部に出力する。
【0029】
上述のような構成であれば、ユーザは、イベント発症率に対する寄与度を因子別に比較することにより、イベント発症率を押し上げている要因を容易に把握することができる。すなわち、上述の構成によれば、どの測定結果がリスクを押し上げているのかが分かりやすいため、ユーザは、リスクを低減させるためにどのようにすればよいのかを判断しやすい。
【0030】
また、上述の構成によれば、全ての因子についての入力情報に対する評価が正常の範囲内である場合であっても、イベント発症率に対する寄与度を因子別に比較することにより、ユーザは、リスクの上昇に大きく寄与する要因を把握することができる。
【0031】
また、上述のような構成であれば、取得した入力情報の中で、評価対象者が改善可能な項目が改善可能因子として抽出される。そして、改善可能な項目について、イベント発症率に対する因子別寄与度が提示される。このため、例えば、評価対象者は、改善可能で、かつ、リスクの低減に影響の大きい要因を容易に把握することができ、リスクを低減させるためにどのようにすれば良いかを容易に判断することができる。
【0032】
2.第1実施形態
上述の適用例に係るリスク管理装置の第1実施形態について、以下に説明する。以下では、リスク管理装置の一例としてのリスク評価回路を有する携帯端末を含む、リスク評価システムについて説明する。
【0033】
2.1 全体構成例
図2は、本実施形態に係るリスク評価システムの適用場面の一例を模式的に例示する図である。本実施形態に係るリスク評価システムは、評価対象者の生体情報及び行動情報を用いて10年以内のASCVD発症リスクを算出し、10年以内のASCVD発症リスクの算出結果を保存又は提示するシステムである。
【0034】
図2に示すように、リスク評価システムは、血圧測定装置10と携帯端末30とを備える。血圧測定装置10と携帯端末30とは、近距離無線通信、又は有線通信により、接続される。リスク評価システムは、更に、固定端末50と、サーバ70と、を備えてもよい。この場合、携帯端末30は、ネットワークNWを経由して、固定端末50及びサーバ70のそれぞれと接続される。これにより、血圧測定装置10は、携帯端末30を介して、固定端末50及びサーバ70のそれぞれと接続され得る。即ち、血圧測定装置10は、携帯端末30を介して、固定端末50及びサーバ70のそれぞれと通信可能である。本実施形態では、携帯端末30、固定端末50及びサーバ70の間の通信は、例えば、ネットワークNWを介する通信が適用可能であるが、これに限定されず、近距離無線通信、又は有線通信が適用されてもよい。携帯端末30及び固定端末50は、端末装置の一例である。
【0035】
血圧測定装置10は、任意の測定箇所(例えば、手首)に装着可能な装置である。血圧測定装置10は、測定箇所における評価対象者の血圧値を測定する。血圧測定装置10は、血圧値の測定結果等を含む血圧情報を、携帯端末30に送信することができる。また、血圧測定装置10は、睡眠情報等を含む活動情報を、携帯端末30に送信することができる。
【0036】
携帯端末30は、例えば、評価対象者が携帯可能な端末である。携帯端末30は、血圧測定装置10から血圧情報及び活動情報を受信する。携帯端末30は、受信した血圧情報及び活動情報を、固定端末50及びサーバ70に転送する。また、携帯端末30は、サーバ70から、評価対象者についての生体情報及び行動情報を受信する。
【0037】
固定端末50は、例えば、医師、評価対象者等が操作可能な端末である。固定端末50は、携帯端末30から血圧情報を受信する。固定端末50は、受信した血圧情報、及び、評価対象者に関する生体情報に基づいて、評価対象者に関する診断情報を生成する。固定端末50は、生成した診断情報を携帯端末30及びサーバ70に送信する。
【0038】
サーバ70は、携帯端末30及び固定端末50等から送信された情報を蓄積するサーバコンピュータである。
【0039】
サーバ70は、リスク評価回路80を備える。リスク評価回路80は、生体情報及び行動情報に基づいて、例えば、評価対象者についての10年以内のASCVD発症リスクを算出する。生体情報は、血圧測定装置10から受信した血圧情報、記憶部72に記憶された診断情報等を含む。行動情報は、血圧測定装置10から受信した睡眠情報等を含む。生体情報及び行動情報は、電子カルテ等に記憶される。また、リスク評価回路80は、生体情報及び行動情報に含まれる因子の中から、改善可能因子を選択する。そして、リスク評価回路80は、改善可能因子について、10年以内のASCVD発症リスクに対する寄与度を算出する。リスク評価回路80は、10年以内のASCVD発症リスクの算出結果、及び、寄与度の算出結果に基づいて、出力データを生成する。携帯端末30は、リスク評価回路80で生成された出力データ及び固定端末50から受信した診断情報等を表示する。
【0040】
2.2 ハードウェア構成例
本実施形態に係るリスク評価システムにおける各装置のハードウェア構成の一例について説明する。
【0041】
2.2.1 血圧測定装置のハードウェア構成例
まず、本実施形態に係る血圧測定装置10のハードウェア構成例について説明する。
図3は、本実施形態に係る血圧測定装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態に係る血圧測定装置10は、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14、表示部15、及び、血圧センサ16を備える。血圧測定装置10は、更に、加速度センサ17及び温湿度センサ18の少なくとも1つを備えてもよい。
【0042】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う。また、制御部11は、図示しないクロックを含み、現在の日時を取得する機能を有する。制御部11は、取得した日時を表示部15に表示する機能を有してもよい。
【0043】
制御部11は、血圧センサ16、加速度センサ17、温湿度センサ18による測定結果に基づき、血圧情報、活動情報、及び、環境情報を生成する。血圧情報は、例えば、血圧センサ16による評価対象者の血圧値の測定結果等を含む。活動情報は、加速度センサ17による測定に基づく、評価対象者の活動量、歩数、及び睡眠状態を含む。環境情報は、温湿度センサ18による測定に基づく、評価対象者の周辺の温度、及び湿度を含む。血圧情報、活動情報、及び環境情報の各々は、クロックにより取得した現在日時に基づく測定日時と関連付けられる。また、血圧情報、活動情報、及び環境情報の各々は、血圧測定装置10を一意に識別する機器IDと更に関連付けられてもよい。
【0044】
記憶部12は、例えば、ソリッドステイトドライブ等の補助記憶装置である。血圧測定装置10が、時計型のような小型機器では無く或る程度大きな機器として構成される場合には、記憶部12は、ハードディスクドライブであってもよい。記憶部12は、制御部11で実行されるプログラム、血圧情報、活動情報、及び環境情報等を記憶する。
【0045】
通信部13は、携帯端末30との通信を司る通信インタフェースである。通信部13は、例えば、血圧情報、活動情報、及び環境情報等を携帯端末30へ送信する。本実施形態では、通信部13による携帯端末30との通信は、例えば、ブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信が適用可能であるが、これに限定されない。通信部13による通信は、例えば、LAN(Local Area Network)のようなネットワークNWを介する通信、又は通信ケーブルを用いた有線の通信が適用されてもよい。
【0046】
操作部14は、例えば、タッチパネル及び操作ボタン等のユーザインタフェースを含む。操作部14は、当該ユーザインタフェースを介して評価対象者による操作を検出し、当該操作の内容を示す信号を制御部11に出力する。
【0047】
表示部15は、例えば、表示画面(例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又はEL(Electroluminescence)ディスプレイ等)及びインジケータ等を含む。表示部15は、制御部11からの信号にしたがって情報を表示し、評価対象者へ通知する。例えば、表示部15は、記憶部12に記憶された血圧情報、活動情報、及び環境情報等を表示することができる。
【0048】
血圧センサ16は、評価対象者の血圧値を測定する。血圧値は、例えば、最高血圧及び最低血圧等の代表的な指数を含む。以下の説明では一例として、血圧値が最高血圧であるものとして説明するが、最低血圧及びその他の指数が最高血圧に代えて用いられてもよく、これらの複数の指数が組み合わせて用いられてもよい。
【0049】
血圧センサ16は、例えば、評価対象者の血圧を、心拍の一拍ごと(連続的)に測定可能な連続測定型でもよく、所定の時期についてスポット(非連続的)で測定可能な非連続測定型でもよい。連続測定型の血圧センサ16には、例えば、脈波伝播時間(PTT;Pulse Transmit Time)に基づいて評価対象者の血圧を連続的に測定する手法、及び圧脈波に基づいて血圧を連続的に測定する手法(トノメトリ法)等が適用可能である。なお、連続的に血圧を測定する手法は、上述の例に限らず、発光素子を用いて脈波を検出する手法等が適宜適用可能である。非連続測定型の血圧センサ16には、例えば、カフを圧力センサとして用いて血管を圧迫することで脈波を検出する手法(オシロメトリック法)が適用可能である。
【0050】
加速度センサ17は、血圧測定装置10の装着箇所において生じる評価対象者の加速度を、3軸成分の組として検出する。また、加速度センサ17は、ジャイロセンサを更に含んでもよく、加速度に加えて、角速度を3軸成分の組として更に検出してもよい。
【0051】
温湿度センサ18は、評価対象者の周辺の温度及び湿度を測定する。
【0052】
2.2.2 携帯端末のハードウェア構成例
次に、携帯端末30のハードウェア構成例について説明する。
図4は、本実施形態に係る携帯端末30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態に係る携帯端末30は、制御部31、記憶部32、通信部33、操作部34、表示部35、及び、GPS(Global Positioning System)受信機36を備える。
【0053】
制御部31及び記憶部32はそれぞれ、血圧測定装置10の制御部11及び記憶部12と同様である。携帯端末30の記憶部32は、血圧測定装置10から受信した情報及びGPS受信機36によって生成される位置情報を記憶する。血圧測定装置10から受信した情報は、血圧情報、活動情報、環境情報等を含む。
【0054】
通信部33は、血圧測定装置10、固定端末50及びサーバ70との通信を司る通信インタフェースである。通信部33は、例えば、血圧情報、活動情報、及び環境情報等を、血圧測定装置10から受信する。また、通信部33は、血圧情報、活動情報、環境情報、位置情報等を固定端末50及びサーバ70に送信する。
【0055】
操作部34及び表示部35はそれぞれ、血圧測定装置10の操作部14及び表示部15と同様である。
【0056】
GPS受信機36は、携帯端末30の位置を測位し、位置情報を生成する。位置情報は、例えば、測位日時、並びに測位日時における携帯端末30の緯度、及び経度を含む。GPS受信機36による測位は、例えば、血圧測定装置10の血圧センサ16の測定と同期して行うことが可能である。
【0057】
2.2.3
固定端末のハードウェア構成例
次に、固定端末50のハードウェア構成例について説明する。
図5は、本実施形態に係る固定端末50のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、本実施形態に係る固定端末50は、制御部51、記憶部52、通信部53、操作部54、及び、表示部55を備える。
【0058】
制御部51及び記憶部52はそれぞれ、血圧測定装置10の制御部11及び記憶部12と同様である。固定端末50の制御部51は、評価対象者に関する生体情報、評価対象者に関する診断情報等を生成する。
【0059】
固定端末50の記憶部52は、携帯端末30から転送された情報、評価対象者に関する生体情報、評価対象者に関する診断情報等を一時的に記憶する。
【0060】
通信部53は、携帯端末30及びサーバ70との通信を司る通信インタフェースである。通信部53は、例えば、血圧情報、活動情報、及び環境情報等を、携帯端末30から受信する。また、通信部53は、評価対象者に関する生体情報及び評価対象者に関する診断情報等を携帯端末30及びサーバ70に送信する。
【0061】
操作部54及び表示部55はそれぞれ、血圧測定装置10の操作部14及び表示部15と同様である。操作部54では、各種検査装置によって取得した生体情報を入力することができる。生体情報は、院内LAN等のネットワークを介して、サーバ70に記録されてもよい。
【0062】
2.2.4 サーバのハードウェア構成例
次に、サーバ70のハードウェア構成例について説明する。
図6は、本実施形態に係るサーバ70のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、本実施形態に係るサーバ70は、制御部71、記憶部72、通信部73、及び、リスク評価回路80を備える。
【0063】
リスク評価回路80は、リスク管理装置の一例である。本実施形態では、リスク管理装置はサーバ70に設けられているが、血圧測定装置10、携帯端末30及び固定端末50のいずれかに設けられてもよい。
【0064】
制御部71及び記憶部72はそれぞれ、血圧測定装置10の制御部11及び記憶部12と同様である。サーバ70の記憶部72は、携帯端末30及び固定端末50から送信された情報等を記憶する。
【0065】
通信部73は、携帯端末30及び固定端末50との通信を司る通信インタフェースである。通信部73は、例えば、血圧情報、活動情報、及び環境情報等を、携帯端末30から受信する。通信部73は、例えば、血圧情報、活動情報、及び環境情報等を、固定端末50から受信する。また、通信部73は、評価対象者に関する生体情報、評価対象者に関する診断情報等を、固定端末50から受信する。通信部73は、記憶部72に記憶した情報を、携帯端末30及び固定端末50に送信する。
【0066】
リスク評価回路80は、例えばプロセッサ80aとメモリ80bとを備える。リスク評価回路80は、プロセッサ80aがメモリ80bに記憶されたプログラムを実行することにより、各種の動作制御およびデータ処理などを実現する。また、リスク評価回路80は、図示しないクロックを有し、現在の日時を計時することができる。
【0067】
プロセッサ80aは、例えば演算回路を含むCPUやMPU(Micro Processing Unit)などである。プロセッサ80aは、メモリ80bまたは記憶部32が記憶するプログラムを実行することにより各部の制御およびデータ処理が実行可能である。
【0068】
メモリ80bは、例えば、プロセッサ80aが実行するプログラムを記憶する不揮発性のメモリ、及び、ワーキングメモリとして使用するRAMなどの揮発性メモリを含む。
【0069】
リスク評価回路80は、リスク評価プログラムに基づいて、リスク算出処理及び寄与度算出処理を実行する。リスク評価プログラムは、リスク管理プログラムの一例である。リスク評価回路80によるリスク算出処理及び寄与度算出処理については、後述する。リスク評価プログラムは、リスク算出処理及び寄与度算出処理を、リスク評価回路80に実行させるためのプログラムである。リスク評価プログラムは、メモリ80bに記憶されていてもよく、記憶部32に記憶されていてもよい。
【0070】
なお、制御部71がリスク評価回路80として機能してもよい。即ち、制御部71がリスク評価回路80を兼用してもよい。この場合、制御部71のCPUがリスク評価回路80のプロセッサ80aとなり、制御部71のROMがリスク評価回路80のメモリ80bの不揮発性メモリとなり、制御部71のRAMがリスク評価回路80のメモリ80bの揮発性メモリとなる。
【0071】
2.3 機能構成例
次に、本実施形態に係るリスク評価システムの機能構成の一例について説明する。
【0072】
2.3.1 リスク評価回路の機能構成例
図7は、本実施形態に係るリスク評価システムのリスク評価回路80の機能構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【0073】
リスク評価回路80のプロセッサ80aは、メモリ80bの不揮発性メモリに記憶されたリスク評価プログラムをメモリ80bの揮発性メモリに展開する。そして、プロセッサ80aは、揮発性メモリに展開されたリスク評価プログラムを解釈及び実行することで、取得部82、リスク算出部83、選択部84、寄与度算出部85、及び、生成部86として機能する。
【0074】
メモリ80bの揮発性メモリは、入力情報記憶部87、評価情報記憶部88及び出力データ記憶部89として機能する。
【0075】
入力情報記憶部87には、評価対象者に関する入力情報が一時的に記憶される。入力情報は、生体情報及び行動情報を含む。
【0076】
生体情報は、評価対象者の生体パラメータに関する情報である。生体情報は、1つ以上の因子を含む。生体情報は、因子として、性別、人種、年齢、総コレステロール値、HDLコレステロール値、高血圧治療の有無、血圧値、及び、糖尿病の有無を含む。血圧値は、最高血圧の値である。生体情報は、因子として、LDLコレステロール値、遺伝情報等をさらに含んでいてもよい。
【0077】
行動情報は、評価対象者の行動に関する情報である。行動情報は、1つ以上の因子を含む。行動情報は、因子として、喫煙状況を含む。行動情報は、因子として、睡眠時間をさらに含んでいてもよい。
【0078】
評価情報記憶部88には、評価対象者に関する評価情報が一時的に記憶される。評価情報は、10年以内のASCVD発症リスクR、及び、10年以内のASCVD発症リスクに対する因子別寄与度等を含む。10年以内のASCVD発症リスクRは、イベント発症率の一例である。また、10年以内のASCVD発症リスクに対する因子別寄与度は、イベント発症率に対する寄与度の一例である。
【0079】
出力データ記憶部89には、画面表示用の出力データが一時的に記憶される。
【0080】
取得部82は、評価対象者に関する入力情報を取得する。取得部82は、例えば、記憶部32から、入力情報を取得する。取得部82は、取得した入力情報を、メモリ80bの入力情報記憶部87に記憶するとともに、リスク算出部83、選択部84及び寄与度算出部85に伝達する。
【0081】
リスク算出部83は、入力情報に基づいて、10年以内のASCVD発症リスクRを算出する。リスク算出部83は、10年以内のASCVD発症リスクRの算出結果を、メモリ80bの評価情報記憶部88に記憶するとともに、生成部86に伝達する。
【0082】
10年以内のASCVD発症リスクは、心臓発作、虚血性脳卒中等の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)が、10年以内に発症する可能性を予測し、数値化したものである。10年以内のASCVD発症リスクは、例えば、ACC/AHAによる心血管系リスクガイドライン(2013 ACC/AHA Guideline on the Assessment of Cardiovascular Risk)に基づいて、算出される。リスク算出部83によるリスク算出処理については、後述する。
【0083】
選択部84は、入力情報の中から、改善可能因子に関する入力情報を抽出する。選択部84は、改善可能因子に関する入力情報を、メモリ80bの評価情報記憶部88に記憶するとともに、寄与度算出部85に伝達する。
【0084】
改善可能因子は、評価対象者が改善することが可能な要因に起因する因子である。選択部84は、改善可能因子として、総コレステロール値、HDLコレステロール値、血圧値、喫煙の有無、及び、糖尿病の有無を選択する。入力情報に睡眠時間が含まれる場合は、選択部84は、改善可能因子として、睡眠時間をさらに選択してもよい。
【0085】
また、改善可能因子は、好影響因子及び悪影響因子のいずれかに分類することができる。好影響因子は、10年以内のASCVD発症リスクRの減少に寄与する因子である。例えば、HDLコレステロール値は、好影響因子である。悪影響因子は、10年以内のASCVD発症リスクRの増加に寄与する因子である。例えば、総コレステロール値、血圧値、喫煙状況、及び、糖尿病の有無等は、悪影響因子である。
【0086】
寄与度算出部85は、改善可能因子に関する入力情報に基づいて、改善可能因子のそれぞれについて、10年以内のASCVD発症リスクRに対する因子別寄与度を算出する。因子別寄与度は、10年以内のASCVD発症リスクRに対する改善可能因子の寄与度合い(寄与度)である。
【0087】
寄与度算出部85は、因子別寄与度を、メモリ80bの評価情報記憶部88に記憶するとともに、生成部86に伝達する。寄与度算出部85による寄与度算出処理については、後述する。
【0088】
生成部86は、10年以内のASCVD発症リスクRの算出結果、及び、因子別寄与度の算出結果に基づいて、出力データを生成する。出力データは、例えば、携帯端末30の表示部35に表示するための画像データである。出力データは、例えば、10年以内のASCVD発症リスクRの算出結果、改善可能因子の因子別寄与度を比較可能なグラフ等を含む。また、生成部86は、生成した出力データを、外部に出力する。
【0089】
2.4 動作例
次に、本実施形態に係るリスク評価システムの動作例について説明する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0090】
2.4.1 リスク算出処理におけるリスク評価回路の動作例
図8は、本実施形態に係るリスク評価回路80のプロセッサ80aにおける、リスク算出処理の手順の一例を示すフローチャートである。プロセッサ80aは、例えば、携帯端末30の操作部34においてリスク算出処理を開始させる操作入力が行われたことに基づいて、リスク算出処理を開始する。
【0091】
リスク算出処理では、プロセッサ80aは、まず、入力情報として、評価対象者に関する生体情報及び行動情報を取得する(S101)。例えば、プロセッサ80aは、操作部34で入力された生体情報及び行動情報を、記憶部32から取得し、メモリ80bの入力情報記憶部87に記憶する。
【0092】
次に、プロセッサ80aは、入力情報記憶部87に記憶した生体情報及び行動情報に基づいて、評価用算出値Aを算出する(S102)。評価用算出値Aは、評価対象者についての生体情報及び行動情報に応じて変化する。
【0093】
図9は、評価用算出値A(output)の算出手順の一例を、模式的に示す図である。評価用算出値Aの算出では、プロセッサ80aは、まず、変数N1~N6及び係数K1~K13に基づいて、積算値P1~P13を算出する。そして、プロセッサ80aは、積算値P1~P13の総和を算出することにより、評価用算出値Aを算出する。なお、この際、積算値P7~P8、及び、積算値P9~P10の一方は、評価用算出値Aの算出に用いられない。
【0094】
図9において、変数N1~N6は、入力情報に関する変数である。変数N1は、評価対象者の年齢の自然対数である。変数N2は、評価対象者の総コレステロール値の自然対数である。変数N3は、評価対象者のHDLコレステロール値の自然対数である。変数N4は、評価対象者の最高血圧の血圧値の自然対数である。変数N5は、評価対象者の喫煙状況を示す値である。変数N5は、例えば、評価対象者が喫煙者である場合に「1」となり、評価対象者が喫煙者でない場合に「0」となる。変数N6は、評価対象者の糖尿病の有無を示す値である。変数N6は、例えば、評価対象者が糖尿病である場合に「1」となり、評価対象者が糖尿病でない場合に「0」となる。変数N5の代わりに、睡眠時間を示す変数を用いてもよい。
【0095】
図9において、係数K1~K13は、10年以内のASCVD発症リスクRの算出処理に用いられる定数である。係数K1~K13のそれぞれは、評価対象者の人種及び性別に応じて、異なる値が用いられる。係数K1~K13のそれぞれの値は、例えば、入力情報記憶部87に記憶されている。
図10は、係数K1~K13の値の一例を示すテーブルである。
図10の一例では、係数K1~K13のそれぞれは、評価対象者の性別(Men又はWomen)、及び、評価対象者の人種(White又はAA)に応じて、異なる値が設定されている。
図10の一例では、評価対象者の性別について、男性(Men)と女性(Women)とに分類され、評価対象者の人種について、白人(White)とアフリカ系アメリカ人(African American)とに分類されている。プロセッサ80aは、入力情報記憶部87に記憶された入力情報及び
図10のテーブルに基づいて、係数K1~K13のそれぞれについて、算出対象者の人種、性別等に対応した値を設定する。
【0096】
図9において、積算値P1~P13のそれぞれは、変数N1~N6及び係数K1~K13を用いて、算出される。例えば、積算値P1は、変数N1と係数K1との積である。また、例えば、積算値P2は、変数N1を2乗した値と、係数K2との積である。また、例えば、積算値P4は、変数N2、変数N1及び係数K4の積である。
【0097】
なお、評価用算出値Aの算出では、積算値P7、P8及び積算値P9、P10のうちいずれか一方のみが、評価用算出値Aの算出に用いられる。したがって、積算値P7、P8及び積算値P9、P10のうちいずれか一方のみが、評価用算出値Aに反映される。高血圧治療の有無について治療中であることを示す入力情報が取得された場合には、積算値P7、P8のみが、評価用算出値Aの算出に用いられる。また、高血圧治療の有無について未治療であることを示す入力情報が取得された場合には、積算値P9、P10のみが、評価用算出値Aの算出に用いられる。
【0098】
次に、プロセッサ80aは、生体情報及び評価用算出値Aに基づいて、10年以内のASCVD発症リスク(10-Year Risk of Hard ASCVD Event)Rを算出する(S103)。
【0099】
下記の式(1)は、10年以内のASCVD発症リスクRの算出に用いられる算出式の一例である。式(1)では、10年以内のASCVD発症リスクRは、評価用算出値A、生存率BS、及び、基準値Mに基づいて算出される。
【0100】
【0101】
生存率BSは、特定の人種及び性別を有する対象者に関する、10年以内の生存率(Baseline Survival)である。基準値Mは、特定の人種及び性別を有する対象者全体における、評価用算出値Aの中間値(Mean)である。生存率BS及び基準値Mは、定数であり、評価対象者の人種及び性別に応じて、異なる値が用いられる。生存率BS及び基準値Mの値の一例を、
図10に示す。
図10の一例では、生存率BS及び基準値Mは、評価対象者の性別(Men又はWomen)、及び、評価対象者の人種(White又はAA)に応じて、異なる値が設定されている。プロセッサ80aは、入力情報及び
図10のテーブルに基づいて、生存率BS及び基準値Mのそれぞれについて、算出対象者の人種、性別等に対応した値を設定する。
【0102】
なお、係数K1~K13、生存率BS及び基準値Mのそれぞれは、評価対象者の遺伝情報等に応じて、異なる値が設定されてもよい。
【0103】
次に、プロセッサ80aは、S103で算出した10年以内のASCVD発症リスクRを、外部に出力する(S104)。プロセッサ80aは、10年以内のASCVD発症リスクRを、例えば、携帯端末30の制御部31に出力する。10年以内のASCVD発症リスクRは、制御部31によって、例えば、表示部35に表示される。
【0104】
2.4.2 寄与度算出処理におけるリスク評価回路の動作例
図11は、本実施形態に係るリスク評価回路80のプロセッサ80aにおける、寄与度算出処理の手順の一例を示すフローチャートである。プロセッサ80aは、例えば、携帯端末30の操作部34において寄与度算出処理を開始させる操作入力が行われたことに基づいて、寄与度算出処理を開始する。なお、寄与度算出処理は、リスク算出処理を開始させる操作入力が行われたことに基づいて、前述のリスク算出処理と同時に行われてもよい。
【0105】
寄与度算出処理では、プロセッサ80aは、まず、入力情報として、特定の評価対象者に関する生体情報及び行動情報を取得する(S111)。例えば、プロセッサ80aは、操作部34で入力された生体情報及び行動情報を、記憶部32から取得する。
【0106】
次に、プロセッサ80aは、入力情報に含まれる複数の因子の中から、改善可能因子を抽出する(S112)。
【0107】
次に、プロセッサ80aは、改善可能因子のそれぞれについて、因子別評価値を算出する(S113)。因子別評価値は、10年以内のASCVD発症リスクRに寄与する。他の条件が同一である場合は、因子別評価値が大きくなるほど、10年以内のASCVD発症リスクRが上昇する。
図12は、因子別評価値の算出手順の一例を、模式的に示す図である。
【0108】
因子別評価値の算出では、プロセッサ80aは、まず、変数N1~N6及び係数K3~K13に基づいて、積算値P3~P13を取得する。プロセッサ80aは、例えば、変数N1~N6及び係数K3~K13に基づいて、積算値P3~P13を算出する。変数N1~N6及び係数K3~K13のそれぞれは、前述のリスク算出処理と同様に算出及び設定される。また、積算値P3~P13のそれぞれは、前述のリスク算出処理と同様に算出される。なお、前述のリスク算出処理においてメモリ80bに記憶された積算値P3~P13を読み出すことにより、積算値P3~P13を取得してもよい。
【0109】
因子別評価値は、総コレステロール値についての因子別評価値D1と、HDLコレステロール値についての因子別評価値D2と、血圧値についての因子別評価値D3と、喫煙状況についての因子別評価値D4と、糖尿病についての因子別評価値D5と、を含む。因子別評価値D1は、積算値P3~P4の総和である。因子別評価値D2は、積算値P5~P6の総和である。因子別評価値D3は、積算値P7、P8、又は、積算値P9、P10の総和である。因子別評価値D4は、積算値P11~P12の総和である。そして、因子別評価値D5には、積算値P13が用いられる。因子別評価値D1、D3~D5は、正の値となる。因子別評価値D2は、負の値となる。
【0110】
なお、因子別評価値D3には、積算値P7、P8及び積算値P9、P10のうちいずれか一方のみが、反映される。例えば、高血圧治療の有無について治療中であることを示す入力情報が取得された場合には、積算値P7、P8が、因子別評価値D3に反映される。また、高血圧治療の有無について未治療であることを示す入力情報が取得された場合には、積算値P9、P10が、因子別評価値D3に反映される。
【0111】
次に、プロセッサ80aは、因子別評価値に基づいて、改善可能因子のそれぞれについて、10年以内のASCVD発症リスクRに対する因子別寄与度を算出する(S114)。
【0112】
因子別寄与度は、改善可能因子についての因子別評価値を合計した加算値に対する、因子別評価値の割合として算出される。因子別寄与度は、総コレステロール値についての因子別寄与度C1と、HDLコレステロール値についての因子別寄与度C2と、血圧値についての因子別寄与度C3と、喫煙状況についての因子別寄与度C4と、糖尿病についての因子別寄与度C5と、を含む。下記の式(2)~式(6)は、因子別寄与度C1~C5の算出に用いられる算出式の一例である。因子別評価値D1、D3~D5は正の値であるため、因子別寄与度C1、C3~C5は、正の値となる。因子別評価値D2は負の値であるため、因子別寄与度C2は、負の値となる。
【0113】
【0114】
本実施形態では、悪影響因子についての因子別評価値D1、D3~D5の合計値が、改善可能因子についての因子別評価値を合計した加算値として用いられる。例えば、因子別寄与度C1は、10年以内のASCVD発症リスクRに対する総コレステロール値の寄与度合いである。因子別寄与度C1は、悪影響因子についての因子別評価値D1、D3~D5の合計値に対する因子別評価値D1の割合として、算出される。因子別寄与度C2~C5についても、因子別寄与度C1と同様に、算出される。
【0115】
次に、プロセッサ80aは、S113及びS114での算出結果を用いて、出力データを生成する(S115)。出力データは、例えば、携帯端末30の表示部35又は固定端末50の表示部55に表示させる画像データである。生成された出力データは、例えば、メモリ80bの出力データ記憶部89に記憶される。
【0116】
次に、プロセッサ80aは、S115で生成された出力データを、外部に出力する(S116)。プロセッサ80aは、出力データを、例えば、携帯端末30の制御部31に出力する。出力された出力データは、制御部31によって、例えば、表示部35に表示される。
【0117】
2.4.3 表示例
図13は、生体情報及び行動情報の入力に用いる表示画面の一例を示す図である。
図13の表示画面は、例えば、携帯端末30の表示部35に表示される。
図13の表示画面は、例えば、固定端末50の表示部55に表示されてもよい。
【0118】
図13の表示画面では、入力情報表示部91及び、リスク表示部92が設けられている。入力情報表示部91では、評価対象者に関する入力情報が表示される。入力情報は、例えば、操作部34において入力される。リスク表示部92では、10年以内のASCVD発症リスクRの算出結果が表示される。
【0119】
入力情報表示部91では、性別(Gender)について、「Men」及び「Women」のいずれか一方が表示される。「Men」は、評価対象者が男性であることを示し、「Women」は、評価対象者が女性であることを示す。
【0120】
また、入力情報表示部91では、人種(Race)について、「White」、及び、「AA」のいずれか一方が表示される。「White」は、評価対象者が白人であることを示し、「AA」は、評価対象者がアフリカ系アメリカ人であることを示す。
【0121】
また、入力情報表示部91では、年齢(Age)について、評価対象者の年齢が表示される。また、入力情報表示部91では、総コレステロール値(Total Cholesterol)について、評価対象者の総コレステロール値(mg/dL)が表示される。また、入力情報表示部91では、HDLコレステロール値(High Density Lipoprotein-Cholesterol)について、評価対象者のHDLコレステロール値(mg/dL)が表示される。
【0122】
また、入力情報表示部91では、高血圧治療の有無(Hypertension Treatment)について、「Treated」及び「Untreated」のいずれか一方が表示される。「Treated」は、降圧剤を用いた高血圧治療について治療中であることを示す。「Untreated」は、降圧剤を用いた高血圧治療について未治療であることを示す。
【0123】
また、入力情報表示部91では、最高血圧の血圧値(Systolic BP)について、評価対象者の最高血圧の血圧値(mmHg)が表示される。
【0124】
また、入力情報表示部91では、喫煙状況(Current Smoker)について、「Yes」及び「No」のいずれか一方が表示される。「Yes」は、評価対象者が喫煙者であることを示す。「No」は、評価対象者が喫煙者でないことを示す。
【0125】
また、入力情報表示部91では、糖尿病の有無(Diabetes)について、「Yes」及び「No」のいずれか一方が表示される。「Yes」は、評価対象者が糖尿病であることを示す。「No」は、評価対象者が糖尿病でないことを示す。
【0126】
図13は、評価対象者が、男性であり、白人であり、50才であり、総コレステロール値が150 mg/dLであり、HD
Lコレステロール値が50 mg/dLであり、降圧剤を使用済みであり、最高血圧の血圧値が150 mmHgであり、喫煙者であり、糖尿病患者である場合の一例を示す。
【0127】
図14は、
図13に示す入力情報が取得された場合における、因子別寄与度C1~C5の算出結果を示す表示画面の一例を示す図である。
図14の表示画面は、例えば、携帯端末30の表示部35に表示される。
図14の表示画面は、例えば、固定端末50の表示部55に表示されてもよい。
【0128】
図14の表示画面では、寄与度表示部93が設けられている。寄与度表示部93では、総コレステロール値(Total Cholesterol)についての因子別寄与度C1と、HDLコレステロール値(HDL-C)についての因子別寄与度C2と、血圧値(BP)についての因子別寄与度C3と、喫煙状況(Smoking)についての因子別寄与度C4と、糖尿病の有無(Diabetes)についての因子別寄与度C5が表示される。
【0129】
図15は、
図13に示す入力情報が取得された場合において、前述の寄与度算出処理によって生成された出力データが表示された表示画面の一例を示す図である。
図15の表示画面は、例えば、携帯端末30の表示部35に表示される。
図15の表示画面は、例えば、固定端末50の表示部55に表示されてもよい。
【0130】
図15の表示画面は、グラフ94と、グラフ95と、を含む。グラフ94は、悪影響因子(Negative Factor)のそれぞれを構成要素とした積み上げ型棒グラフである。グラフ94の縦軸は、因子別寄与度であり、単位は%である。悪影響因子についての因子別寄与度は、総コレステロール値(Total Cholesterol)についての因子別寄与度C1と、血圧値(BP)についての因子別寄与度C3と、喫煙状況(Smoking)についての因子別寄与度C4と、糖尿病の有無(Diabetes)についての因子別寄与度C5と、を含む。
【0131】
グラフ95は、好影響因子(Positive Factor)を構成要素とした積み上げ型棒グラフである。グラフ95の縦軸は、因子別寄与度であり、単位は%である。好影響因子についての因子別寄与度は、HDLコレステロール値(HDL-C)についての因子別寄与度C2を含む。なお、グラフ94、95は、円グラフ等であってもよい。
【0132】
なお、グラフ94、95では、グラフの構成要素として、因子別寄与度C1~C5のそれぞれと10年以内のASCVD発症リスクRとの積算値が用いられてもよい。この場合、グラフ94、95の縦軸には、10年以内のASCVD発症リスクRが用いられる。
【0133】
また、表示画面では、悪影響因子の中から因子別寄与度が最も大きい因子が選択され、選択された因子についての名前と因子別寄与度のみが表示されてもよい。
【0134】
2.5 作用・効果
本実施形態では、リスク評価回路80のプロセッサ80aは、算出した因子別寄与度に基づいて、出力データを生成する。本実施形態によれば、10年以内のASCVD発症リスクに対する寄与度を因子別に比較することにより、10年以内のASCVD発症リスクを大きく押し上げている要因を容易に把握することがきる。これにより、どの測定結果がリスクを押し上げているのかが分かりやすくなり、ユーザは、リスクを低減させるためにどのようにすれば良いのかを判断しやすい。
【0135】
また、本実施形態によれば、例えば、全ての因子についての入力情報に対する評価が正常の範囲内である場合であっても、イベント発症率に対する寄与度を因子別に比較することにより、ユーザは、リスクの上昇に大きく寄与する要因を把握することができる。
【0136】
また、本実施形態では、取得した入力情報の中で、評価対象者が改善可能な項目が改善可能因子として抽出される。そして、抽出された改善可能な項目について、10年以内のASCVD発症リスクに対する因子別寄与度が提示される。このため、本実施形態によれば、ユーザは、改善可能で、かつ、リスクの低減に大きく寄与する要因を容易に把握することができ、リスクを低減させるためにどのようにすれば良いかを容易に判断できる。
【0137】
3. 実施形態等の共通構成
リスク管理装置(1:80)は、評価対象者の生体パラメータに関する生体情報と前記評価対象者の行動パラメータに関する行動情報を取得する取得部(2:82)と、取得された前記生体情報及び前記行動情報に基づいてイベント発症率を算出するリスク算出部(3:83)と、前記生体情報及び前記行動情報の中から改善可能因子となる生体パラメータ及び行動パラメータを選択する選択部(4:84)と、前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータのそれぞれについて前記イベント発症率に対する寄与度を算出する寄与度算出部(5:85)と、前記寄与度算出部(5:85)での算出結果を表す出力データを生成する生成部(6:86)と、を備える。
【0138】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0139】
[付記]
前記実施形態の一部または全部は、特許請求の範囲のほか以下の付記に示すように記載することも可能であるが、これに限られない。
【0140】
(付記1)
ハードウェアプロセッサとメモリとを有するリスク管理装置であって、
前記ハードウェアプロセッサは、
評価対象者の生体パラメータに関する生体情報と前記評価対象者の行動パラメータに関する行動情報を取得し、前記生体情報及び前記行動情報を前記メモリに記憶させ、
前記メモリに記憶された前記生体情報及び前記行動情報に基づいてイベント発症率を算出し、
前記メモリに記憶された前記生体情報及び前記行動情報の中から改善可能因子となる生体パラメータ及び行動パラメータを選択し、
前記メモリに記憶された前記生体情報及び前記行動情報のうち前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータに関する情報に基づいて、前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータのそれぞれについて前記イベント発症率に対する寄与度を算出し、前記寄与度を前記メモリに記憶させ、
前記メモリに記憶された前記寄与度に基づいて、出力データを生成する、
リスク管理装置。
【0141】
(付記2)
ハードウェアプロセッサとメモリとを有する装置が実行するリスク管理方法であって、
前記ハードウェアプロセッサが、評価対象者の生体パラメータに関する生体情報と前記評価対象者の行動パラメータに関する行動情報を取得し、前記生体情報及び前記行動情報を前記メモリに記憶させる工程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記メモリに記憶された前記生体情報及び前記行動情報に基づいてイベント発症率を算出する工程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記メモリに記憶された前記生体情報及び前記行動情報の中から改善可能因子となる生体パラメータ及び行動パラメータを選択する工程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記メモリに記憶された前記生体情報及び前記行動情報のうち前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータに関する情報に基づいて、前記改善可能因子として選択された前記生体パラメータ及び前記行動パラメータのそれぞれについて前記イベント発症率に対する寄与度を算出し、前記寄与度を前記メモリに記憶させる工程と、
前記ハードウェアプロセッサが、前記メモリに記憶された前記寄与度に基づいて、出力データを生成する工程と、
を具備するリスク管理方法。
【符号の説明】
【0142】
1…リスク管理装置、2…取得部、3…リスク算出部、4…選択部、5…寄与度算出部、6…生成部、10…血圧測定装置、11…制御部、12…記憶部、13…通信部、14…操作部、15…表示部、16…血圧センサ、17…加速度センサ、18…温湿度センサ、30…携帯端末、31…制御部、32…記憶部、33…通信部、34…操作部、35…表示部、36…GPS受信機、50…固定端末、51…制御部、52…記憶部、53…通信部、54…操作部、55…表示部、70…サーバ、71…制御部、72…記憶部、73…通信部、80…リスク評価回路、80a…プロセッサ、80b…メモリ、82…取得部、83…リスク算出部、84…選択部、85…寄与度算出部、86…生成部、87…入力情報記憶部、88…評価情報記憶部、89…出力データ記憶部、91…入力情報表示部、92…リスク表示部、93…寄与度表示部、94、95…グラフ、A…評価用算出値、BS…生存率、C1~C5…因子別寄与度、D1~D5…因子別評価値、K1~K13…係数、M…基準値、N1~N6…変数、P1~P13…積算値。