(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】型締め装置、および、射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/16 20060101AFI20220830BHJP
B29C 45/64 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/64
(21)【出願番号】P 2018117577
(22)【出願日】2018-06-21
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】大河内 康夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直紀
(72)【発明者】
【氏名】苅谷 俊彦
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-149450(JP,A)
【文献】特開平07-195414(JP,A)
【文献】特開平07-195413(JP,A)
【文献】特開昭53-051258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型が取り付けられる固定盤と、反転金型が取り付けられる反転盤と、可動金型が取り付けられる可動盤と、
前記固定盤および前記可動盤を介して前記固定金型と前記可動金型を型締するタイバーと、前記固定盤と前記反転盤の間隔を拡大可能な第一離型アクチュエータと、を備える型締め装置であって、
前記第一離型アクチュエータは、
前記固定盤および前記反転盤の少なくとも一方の金型取付面より外側に設けられ、前記固定盤および前記反転盤の一方に連結される第一アクチュエータ本体と、
前記第一アクチュエータ本体に連結され、前記第一アクチュエータ本体の動作に応じて、前記固定盤および前記反転盤の他方と直接に接触および離間が可能な第一押圧体と、
を備え、
前記第一押圧体が、前記タイバーに嵌合されるとともに前記タイバーの軸方向に摺動自在に支持されていることを特徴とする、型締め装置。
【請求項2】
前記可動盤と前記反転盤の間隔を拡大可能な第二離型アクチュエータをさらに備え、
前記第二離型アクチュエータは、
前記可動盤および前記反転盤の少なくとも一方の前記金型取付面より外側に設けられ、
前記可動盤および前記反転盤の一方に連結される第二アクチュエータ本体と、
前記第二アクチュエータ本体に連結され、前記第二アクチュエータ本体の動作に応じて、前記可動盤および前記反転盤の他方と直接に接触および離間が可能な第二押圧体と、を備え
、
前記第二押圧体が、前記タイバーに嵌合されるとともに前記タイバーの軸方向に摺動自在に支持されている、
請求項1に記載の型締め装置。
【請求項3】
前記第一押圧体は、
前記金型取付面より外側において前記第一アクチュエータ本体と連結され、かつ、その一部である第一押圧部が前記固定盤と前記反転盤の、前記固定盤および前記反転盤の他方と当接可能であり、
前記第二押圧体は、
前記金型取付面より外側において前記第二アクチュエータ本体と連結され、かつ、その一部である第二押圧部が前記可動盤と前記反転盤の前記可動盤および前記反転盤の前記他方と当接可能であり、
前記第一押圧部は前記第一押圧体と前記第一アクチュエータ本体との連結部に対して前記固定盤または前記反転盤の中心線に向けて偏芯して設けられ、
前記第二押圧部は前記第二押圧体と前記第二アクチュエータ本体との連結部に対して前記可動盤または前記反転盤の中心線に向けて偏芯して設けられている、
請求項2に記載の型締め装置。
【請求項4】
前記第一離型アクチュエータは、
前記固定盤における一方の対角位置に設けられ、
前記第二離型アクチュエータは、
前記可動盤における一方の対角位置に設けられる、
請求項2または請求項3に記載の型締め装置。
【請求項5】
前記第一離型アクチュエータによる前記固定金型と前記反転金型の離型動作と、
前記第二離型アクチュエータによる前記可動金型と前記反転金型の離型動作と、が同時にまたは個別に行われる、
請求項2~請求項4のいずれか一項に記載の型締め装置。
【請求項6】
前記第一アクチュエータ本体を動作させて前記可動盤と前記反転盤を相互に押し付けることで前記可動金型と前記反転金型を閉じたままで、前記可動金型と前記反転金型を前記可動盤に近づく向きに移動させて、前記固定盤と前記反転盤により閉じられている前記固定金型と前記反転金型を開いて離型を行った後、
前記第二アクチュエータ本体を動作させて前記可動金型と前記反転金型の離型を行う、
請求項5に記載の型締め装置。
【請求項7】
前記第二アクチュエータ本体の動作の際に、前記第二アクチュエータ本体に加えて、型開閉アクチュエータまたは型締めアクチュエータの動作を利用して、前記可動金型と前記反転金型の離型を行う、
請求項6に記載の型締め装置。
【請求項8】
前記第二アクチュエータ本体を動作させて前記固定盤と前記反転盤を相互に押し付けることで前記固定金型と前記反転金型を閉じたままで、前記可動盤を前記固定盤から離れる向きに移動させて、前記可動盤と前記反転盤により閉じられている前記可動金型と前記反転金型の離型を行った後、
前記第一アクチュエータ本体を動作させて前記固定金型と前記反転金型を開いて離型を行う、
請求項5~請求項7のいずれか一項に記載の型締め装置。
【請求項9】
前記第一アクチュエータ本体の動作の際に、前記第一アクチュエータ本体に加えて型開閉アクチュエータまたは型締めアクチュエータの動作を利用して、前記固定金型と前記反転金型の離型を行う、
請求項6又は請求項8に記載の型締め装置。
【請求項10】
前記第一アクチュエータ本体と前記第一押圧体が揺動可能に連結されているとともに、
前記第二アクチュエータ本体と前記第二押圧体が揺動可能に連結されている、
請求項
2または請求項
3に記載の型締め装置。
【請求項11】
固定金型が取り付けられる固定盤と、反転金型が取り付けられる反転盤と、可動金型が取り付けられる可動盤と、前記固定盤および前記可動盤を介して前記固定金型と前記可動金型を型締するタイバーと、前記可動盤と前記反転盤の間隔を拡大可能な第二離型アクチュエータを備える型締め装置であって、
前記第二離型アクチュエータは、
前記可動盤および前記反転盤の少なくとも一方の金型取付面より外側に設けられ、
前記可動盤および前記反転盤の一方に連結される第二アクチュエータ本体と、
前記第二アクチュエータ本体に連結され、前記第二アクチュエータ本体の動作に応じて、前記可動盤および前記反転盤の他方と直接に接触および離間が可能な第二押圧体と、を備え、
前記第二押圧体が、前記タイバーに嵌合されるとともに前記タイバーの軸方向に摺動自在に支持されていることを特徴とする、型締
め装置。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の型締め装置と、
前記型締め装置により型締めされた金型に溶融された樹脂材料を射出する射出装置と、
を備えることを特徴とする射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反転盤の表裏の両側に形成される二つのキャビティのそれぞれに、二組の射出ユニットから異種の樹脂を射出して、二材を一体成形する二材成形用の射出成形機に好適な型締め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二材成形用の射出成形機は、可動盤に取り付けられる金型(可動金型)と、固定盤に取り付けられる金型(固定金型)と、両盤の間に設けられる反転盤の両側面に設けられる二つの金型(反転金型)とで形成される二つのキャビティを備える。この射出成形機は、キャビティに樹脂を充填した後に、離型工程が行われる。
離型工程は、反転盤を固定盤から離し、かつ、可動盤が反転盤から離す。これにより、二つのキャビティに射出して得られる成形品は、固定金型および可動金型からそれぞれ離型される。
【0003】
二材成形用の射出成形機における離型装置が、例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3に開示されている。
特許文献1は、一例として、固定金型(4)に押出用油圧シリンダ(4a)を設けるとともにこの押出用油圧シリンダ(4a)に反転金型を押し出す離型用押出ピン(59)を設ける。つまり、特許文献1は、金型の内部に離型装置を内蔵する。
【0004】
また、特許文献2および特許文献3は、反転盤(35)と固定盤(20)の離型のときに、可動盤(16)と反転盤(35)の間の第1の中間金型(38)が開かないように可動盤(16)と反転盤(35)の間を連結するボールねじ(42)をロックする。そして、型締めシリンダ(23)または固定盤(20)と可動盤(16)を連結するボールねじ(30)により、第1の中間金型(38)を可動盤(16)に向けて移動させて、第二の中間金型(39)を型開する。その後、可動盤(16)と反転盤(35)を連結するボールねじ(42)を可動盤(16)と反転盤(35)を離間する方向に動作させて、第1の中間金型(38)を離型する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-023267号公報
【文献】特開2011-136439号公報
【文献】特開2013-224042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、離型装置を組み入れるスペースが十分ある大型の金型に向いているが、小型の金型の場合、離型装置を内蔵するスペースを確保できない。特許文献1と同様の離型装置を金型の外周面に設ければ、金型内部のスペースの問題を解消できる。しかし、金型外形部とタイバー等の近隣部材との距離が近い場合は離型装置が近隣部材と干渉してしまい、金型の外周面においても離型装置を設ける十分なスペースを確保できないこともある。
また、金型の内部に離型装置を設けるには、それぞれの金型の費用が高額になる上、特に小型の金型の場合には、キャビティを設けることができるスペースが十分に取れない場合がある。
【0007】
次に、特許文献2、特許文献3においては、以下の問題がある。
離型力は、単なる型開閉動作時の推力に比べ大きな推力が必要であり、この大推力がボールねじ(30),(42)の圧縮方向に作用することになる。このときボールねじ軸の2箇所の回転支持部の芯同士が一致せず位置ずれを起こすと、ボールねじ(30),(42)に大きな座屈応力または回転曲げ応力が発生することになる。したがってこのボールねじ(30),(42)は、発生する座屈応力または回転曲げ応力に対応するサイズが必要となる。また、大推力が負荷されてボールねじ(30),(42)により回転方向に変換された大回転力をロックするサーボモータも大容量であることが必要となり、ボールねじ(30),(42)およびサーボモータが高額となる。
【0008】
そこで本発明は、固定盤と反転盤の間のスペース、および、可動盤と反転盤の間のスペースの小さい、またはタイバーなどの金型取付領域内の部材と金型との距離が近い成形機や金型であっても、離型のためのアクチュエータを無理なく設置できる型締め装置を提供することを目的とする。加えて本発明は、離型のためのアクチュエータの構成要素に位置ずれが生じたとしても、この位置ずれに起因する過大な曲げ応力が発生することのない型締め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、固定金型が取り付けられる固定盤と、反転金型が取り付けられる反転盤と、可動金型が取り付けられる可動盤と、固定盤と反転盤の間隔を拡大可能な第一離型アクチュエータと、を備える型締め装置に関する。
本発明における第一離型アクチュエータは、固定盤および反転盤の少なくとも一方の金型取付面より外側に設けられ、固定盤および反転盤の一方に連結される第一アクチュエータ本体と、第一アクチュエータ本体に連結され、第一アクチュエータ本体の動作に応じて、固定盤および反転盤の他方と直接に接触および離間が可能な第一押圧体と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明における好ましい型締め装置は、可動盤と反転盤の間隔を拡大可能な第二離型アクチュエータをさらに備える。この第二離型アクチュエータは、可動盤および反転盤の少なくとも一方の金型取付面より外側に設けられ、可動盤および反転盤の一方に連結される第二アクチュエータ本体と、第二アクチュエータ本体に連結され、第二アクチュエータ本体の動作に応じて、可動盤および反転盤の他方と直接に接触および離間が可能な第二押圧体と、を備える。
この型締め装置において、好ましくは、第一押圧体は、金型取付面より外側において第一アクチュエータ本体と連結され、かつ、その一部である第一押圧部が固定盤と反転盤の、固定盤および反転盤の他方と当接可能であり、第二押圧体は、金型取付面より外側において第二アクチュエータ本体と連結され、かつ、その一部である第二押圧部が可動盤と反転盤の可動盤および反転盤の他方と当接可能である。そして、第一押圧部は第一押圧体と第一アクチュエータ本体との連結部に対して固定盤または反転盤の中心線に向けて偏芯して設けられ、第二押圧部は第二押圧体と第二アクチュエータ本体との連結部に対して可動盤または反転盤の中心線に向けて偏芯して設けられる。
【0011】
本発明における第一離型アクチュエータは、好ましくは、固定盤における一方の対角位置に設けられる。また、本発明における第二離型アクチュエータは、好ましくは、可動盤における一方の対角位置に設けられる。
【0012】
本発明の型締め装置において、好ましくは、第一離型アクチュエータによる固定金型と反転金型の離型動作と、第二離型アクチュエータによる可動金型と反転金型の離型動作と、が同時にまたは個別に行われる。
【0013】
本発明の型締め装置において、第一アクチュエータ本体を動作させて可動盤と反転盤を相互に押し付けることで可動金型と反転金型を閉じたままで、可動金型と反転金型を可動盤に近づく向きに移動させて、固定盤と反転盤により閉じられている固定金型と反転金型を開いて離型を行った後、第二アクチュエータ本体を動作させて可動金型と反転金型の離型を行うことができる。
この離型動作において、第二アクチュエータ本体の動作の際に、第二アクチュエータ本体に加えて、型開閉アクチュエータまたは型締めアクチュエータの動作を利用して、可動金型と反転金型の離型を行うことが好ましい。
【0014】
本発明の型締め装置において、第二アクチュエータ本体を動作させて固定盤と反転盤を相互に押し付けることで固定金型と反転金型を閉じたままで、可動盤を固定盤から離れる向きに移動させて、可動盤と反転盤により閉じられている可動金型と反転金型の離型を行った後、第一アクチュエータ本体を動作させて固定金型と反転金型を開いて離型を行う、ことが好ましい。
この離型動作において、第一アクチュエータ本体の動作の際に、第一アクチュエータ本体に加えて型開閉アクチュエータまたは型締めアクチュエータの動作を利用して、固定金型と反転金型の離型を行う、ことが好ましい。
【0015】
本発明における第一押圧体は、好ましくは、金型取付面より外側において第一アクチュエータ本体と連結され、かつ、その一部である第一押圧部が固定盤と反転盤の固定盤および反転盤の他方と当接可能に設けられる。
また、本発明における第二押圧体は、好ましくは、金型取付面より外側において第二アクチュエータ本体と連結され、かつ、その一部である第二押圧部が可動盤と反転盤の可動盤および反転盤の他方と当接可能に設けられる。
本発明において、第一押圧部は第一押圧体と第一アクチュエータ本体との連結部に対して固定盤または反転盤の中心線に向けて偏芯して設けられ、第二押圧部は第二押圧体と第二アクチュエータ本体との連結部に対して可動盤または反転盤の中心線に向けて偏芯して設けられている。
【0016】
本発明による第一押圧体または第二押圧体は、好ましくは、タイバーに嵌合されるとともにタイバーの軸方向に摺動自在に支持されている。
また、本発明による第一アクチュエータ本体と第一押圧体の連結および第二アクチュエータ本体と第二押圧体の連結は、好ましくは、それぞれ揺動可能に連結されている。
【0017】
本発明における内側および外側は、相対的な位置関係を示す。具体的には、任意の基準点に対し、型盤(固定盤、可動盤および反転盤)の中心線に向かう方向を内側とし、中心線から離れる方向を外側とする。
【0018】
本発明は、以上説明したいずれかの型締め装置と、この型締め装置により型締めされた金型に溶融された樹脂材料を射出する射出装置と、を備える射出成形機を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の型締め装置によれば、固定盤および反転盤の少なくとも一方の金型取付面より外側に設けられ、固定盤および反転盤の一方に連結される第一アクチュエータ本体を備える。これにより、固定盤と反転盤の間のスペース、および、可動盤と反転盤の間のスペースの小さい成形機や金型であっても、第一離型アクチュエータを無理なく設置できる。
また、本発明の型締め装置によれば、第一アクチュエータ本体に連結され、第一アクチュエータ本体の動作に応じて、固定盤および反転盤の他方を押す第一押圧体を備えるが、この第一押圧体は固定盤および反転盤の他方とは連結されていない。したがって、本発明の型締め装置によれば、第一アクチュエータ本体の構成要素に位置ずれが生じたとしても、この位置ずれに起因する過大な曲げ応力が発生しない。
また、特に第一アクチュエータ本体が固定盤に連結され第一押圧体が反転盤の金型取付面または金型取付面の外側近傍を直接に押す場合は、反転盤に金型取付面からタイバー近傍または外側に至るほど突出する離型力受け台のような離型動作用の付加部材を設ける必要がない。そのため、反転盤の回転半径を拡大することがないのに加えて、反転盤を周辺部材と干渉せずに回転させるために反転盤の移動ストロークを拡大させる必要がないので、型締め装置の全長を変えずに離型装置を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る型締め装置の概略構成を示す縦断面図である。
【
図3】
図1の型締め装置を用いる射出成形機の動作を示すフロー図である。
【
図4】
図1の型締め装置の動作を示し、(a)は型締めされた状態を示し、(b)は型締アクチュエータを昇圧した状態を示す。
【
図5】
図4に引き続き型締め装置の動作を示し、(a)は金型キャビティに溶融樹脂を射出充填している最中を示し、(b)は溶融樹脂の射出充填を終えた後に割ナットの締結を解除した状態を示している。
【
図6】
図5に引き続き型締め装置の動作を示し、(a)は第一離型アクチュエータと第二離型アクチュエータを同時に動作させて第一金型と第二金型を同時に離型した状態を示し、(b)は移動架台を移動させて第一金型と第二金型のそれぞれの開度を広げた状態を示す。
【
図7】
図6に引き続き型締め装置の動作を示し、(a)は反転盤を反転させた状態を示し、(b)は型締めをした状態を示す。
【
図8】第一離型アクチュエータ35Aを反転盤61とタイバー22の間に備えるときの、該当する部材における力点、作用点および回転モーメントMを示している。
【
図9】第2実施形態に係る射出成形機の特徴部分を示す図である。
【
図10】第3実施形態に係る射出成形機の特徴部分を示す図である。
【
図12】第一金型を第二金型に先行して離型するときの型締め装置の動作を示し、(a)は第一金型を離型した状態を示し、(b)は第一金型に続いて第二金型を離型した状態を示し、(c)は第一金型と第二金型を型開きした状態を示す。
【
図13】第二金型を第一金型に先行して離型するときの型締め装置の動作を示し、(a)は第二金型を離型した状態を示し、(b)は第二金型に続いて第一金型を離型した状態を示し、(c)は第一金型と第二金型を型開きした状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、第1実施形態~第3実施形態に基づいて本発明に係る射出成形機を説明する。
【0022】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る射出成形機1は、
図1に示すように、射出装置10と型締め装置20を備えている。射出装置10は、型締め装置20に設けられる一次側キャビティC1および二次側キャビティC2のそれぞれに互いに異なる第一樹脂材料、第二樹脂材料を射出する。型締め装置20は、一次側キャビティC1に第一樹脂材料を射出すると、反転盤61を回転させて、第一樹脂材料からなる一次成形品を二次側キャビティC2に移送する。その後、二次側キャビティC2に第二樹脂材料を射出することにより、二次側キャビティC2において第一樹脂材料と第二樹脂材料の二材からなる成形品が得られる。
以下、射出成形機1について、射出装置10および型締め装置20の順にその構成を説明する。なお、射出成形機1における前後方向xおよび上下方向zは、
図1に示すxの矢印が示す方向およびzの矢印が示す方向で定義されるものとする。
【0023】
[射出ユニット]
射出装置10は、
図1に示すように、型締め装置20の固定要素30に設けられる一次側射出装置10Aと、型締め装置20の可動要素50に設けられる二次側射出装置10Bと、を備える。
【0024】
一次側射出装置10Aは、一次側キャビティC1に溶融された一次側樹脂材料(R1)を射出充填する。
一次側キャビティC1は、反転盤61の回転位置に応じて、固定金型33と第一反転金型63とで形成される場合と、固定金型33と第二反転金型65とで形成される場合がある。つまり、反転盤61の回転方向の位置に関わらず、一次側キャビティC1は、固定金型33が関与するキャビティであり、その位置は変わらない。
【0025】
二次側射出装置10Bは、二次側キャビティC2に溶融された二次側樹脂材料(R2)を射出充填する。
二次側キャビティC2は、反転盤61の回転位置に応じて、可動金型53と第二反転金型65とで形成される場合と、可動金型53と第一反転金型63とで形成される場合がある。つまり、反転盤61の回転方向の位置に関わらず、二次側キャビティC2は、可動金型53が関与するキャビティであり、その位置は変わらない。
二次側射出装置10Bは、可動要素50の可動盤51に接続されており、可動盤51の進退移動に伴って移動する。
【0026】
[型締め装置]
次に、型締め装置20について説明する。
型締め装置20は、
図1および
図2に示すように、基台21の上に、固定要素30と、可動要素50と、反転要素60と、を備える。
【0027】
[固定要素30]
固定要素30は、基台21の定位置に固定される固定盤31と、固定盤31に取り付けられる固定金型33と、を備える。固定盤31には、一次側射出装置10Aが接触および離間が可能に取り付けられており、固定金型33と第一反転金型63または第二反転金型65との間に形成される一次側キャビティC1に一次側樹脂材料(R1)を射出充填する。ここでいう接触とは、間接的な接触ではなく、直接的な接触を意味する。
【0028】
固定盤31は、その一方の対角位置のそれぞれに、固定金型33と第一反転金型63または第二反転金型65とを離型するための第一離型アクチュエータ35A,35Bを備えている。第一離型アクチュエータ35A,35Bは、固定盤31と反転盤61の間の間隔を拡大することが可能な機構である。本実施形態における第一離型アクチュエータ35A,35Bは、固定盤31の側面に備えられた復動型の油圧シリンダを例示するが、油圧シリンダと同様の機能を有するアクチュエータ、例えば電動モータで駆動されるボールネジなどを用いることもできる。後述する型締アクチュエータ41、第二離型アクチュエータ55A,55Bも同様である。
なお、一方の対角位置に第一離型アクチュエータ35A,35Bを設けるのは、反転盤61を第一押圧体39で押すときの荷重を反転盤61の重心、つまり離型力が作用する機械中心に対して略対象として反転盤61が傾かないようにバランスを図るためである。したがって、一方の対角位置に代えて他方の対角位置にも第一離型アクチュエータ35A,35Bを設けることもできるし、両方の対角位置に第一離型アクチュエータ35A,35Bを設けることもできる。第二離型アクチュエータ55A,55Bも同様の理由で可動盤51の対角位置に設けられる。
【0029】
第一離型アクチュエータ35A(35B)は、
図1に示すように、シリンダ室36と、シリンダ室36と外部を貫通して設けられるピストンロッド37と、ピストンロッド37の一方端側に固定され、シリンダ室36に収容されるピストン38と、ピストンロッド37の他方端側に固定され、シリンダ室36の外部に設けられる第一押圧体39と、を構成要素として備える。シリンダ室36、ピストンロッド37およびピストン38が、本発明の第一アクチュエータ本体に該当し、油圧の付加状態に応じて、ピストンロッド37およびピストン38が前進および後退する。ここでいう前進とは、第一離型アクチュエータ35A(35B)が伸長する動作であり、
図1中では第一押圧体39が反転盤61に近づく向きに移動する動作を示す。また、後退とはピストンロッド37がシリンダ室36内に収納されて第一離型アクチュエータ35A(35B)が収縮する動作であり、
図1中では第一押圧体39が反転盤61から離れる向きに移動する動作を示す。
【0030】
第一押圧体39は、
図1に示すように、反転盤61の金型取付面S2(
図2参照)より外側においてピストンロッド37と連結される。また。第一押圧体39、その一部である第一押圧部391が固定盤31と反転盤61の他方と当接可能に設けられる。この第一押圧部391は第一押圧体39とピストンロッド37との連結部に対して固定盤31または反転盤61の中心に向けて偏芯して設けられ、
図2に示すように、平面方向において、反転盤61の一部に干渉することができる。これにより、第一離型アクチュエータ35A,35Bは、第一押圧体39を反転盤61に押し付けることができる。ここでいう中心とは、
図2における左右方向および上下方向、つまり固定盤31または反転盤61の水平方向および鉛直方向における中心をいう。
【0031】
第一押圧体39は、厚さ方向を貫通し、タイバー22が挿通されるガイド孔39Hが形成される。ガイド孔39Hは、タイバー22の外周面とガイド孔39Hを区画する第一押圧体39の周縁面とが微小な抵抗力で摺動できるように、その径が設定される。
また、ガイド孔39Hの内径には、タイバー22との摺動部分に
図11(a),(b)に示すように摺動用ブッシュや直動転がり軸受等からなる摺動部材86を内挿し、第一押圧体39をタイバー22によって軸方向に摺動自在に支持してもよい。タイバー22によって軸方向に摺動自在に支持されることで、第一押圧体39はタイバー22に案内されながら移動することができる。なお、
図11(a)と
図11(b)は、第一押圧体39の向きが異なる。
【0032】
また、第一押圧体39がタイバー22と隙間なく嵌合していることによって、第一押圧部391が第一押圧体39とピストンロッド37との連結部に対して偏芯していることにより、第一押圧部391と反転盤61との当接時に第一押圧体39に作用するモーメント荷重をタイバー22で受けることができる。このように、モーメント荷重が第一離型アクチュエータ35Bに作用しないので、第一離型アクチュエータ35Bの損傷を防止できる。このとき第一押圧体39に作用するモーメントによって発生する第一押圧体39の傾きを抑制するために、
図11(a),(b)に示すようにガイド孔39Hの軸方向長さを第一押圧体39の第一押圧部391近傍の板厚さ寸法よりも大きい寸法とすることが好ましい。
【0033】
対角位置にそれぞれ設けられる第一離型アクチュエータ35Aと第一離型アクチュエータ35Bは、上述した同じ構成要素を備えている。しかし、
図2においては、上方に設けられる第一離型アクチュエータ35Aと下方に設けられる第一離型アクチュエータ35Bは、タイバー22とピストンロッド37の位置関係が相違する。つまり、第一離型アクチュエータ35Aは、ピストンロッド37がタイバー22より外側に配置されているのに対して、第一離型アクチュエータ35Bは、ピストンロッド37がタイバー22より内側に配置されている。これは、下方のタイバー22の外側の近傍には金型交換用の台車などの周辺装置の基台が近接して設置されることが多いことによる。特に、型締力が1000tonf以下の射出成形機などの、第一離型アクチュエータ35Bを下方のタイバー22の外側に設けるための十分なスペースを備えられない場合を考慮している。なお、型締力が1000tonf以下の射出成形機の場合でも、下方のタイバー22の外側に十分なスペースがある場合は、第一離型アクチュエータ35Bをタイバー22の外側に配置しても支障ない。
【0034】
また、反転盤61とタイバー22との間に第一離型アクチュエータ35Aを備えるのに十分なスペースが得られる場合は、第一離型アクチュエータ35Aを反転盤61とタイバー22の間、つまり反転盤61の外側であってかつタイバー22の内側に備えることが好ましい。例えば、型締力が1000tonfを超える大型射出成形機が該当する。これによると、
図8(a)に示すように、ピストンロッド37が第一押圧体39に離型力(推力)を負荷する力点が、作用点である第一押圧部391の近傍とすることができる。したがって、ピストンロッド37が第一押圧体39に離型力を負荷したときに第一押圧体39に発生する回転モーメントMを小さくできる。
ここで、
図8(b)に示すように、力点と作用点が離れていると回転モーメントMが大きくなるが、
図8(a)のように回転モーメントMを小さくできれば、第一押圧体39に発生し易い撓みや傾きを小さくできる。これにより、タイバー22の外周面とガイド孔39Hの片当たりによる過大な摺動抵抗を防止できる。
【0035】
次に、固定盤31は、その四隅のそれぞれに型締めのための型締アクチュエータ41を備えている。
型締アクチュエータ41は、
図1および
図2に示すように、シリンダ室43と、タイバー22の一方端側に固定され、シリンダ室43に収容されるピストン45と、を構成要素として備える。タイバー22は、型締アクチュエータ41のピストンロッドとして機能する。タイバー22の他方端側には、複数のリング溝23が形成されている。リング溝23に後述する割ナット24が噛み合うことで、タイバー22を把持しタイバー22と可動盤51の相対的な位置が固定される。
【0036】
[可動要素50]
次に、型締め装置20の可動要素50について説明する。
可動要素50は、
図1に示すように、基台21の上を前後方向xに移動可能に設けられる移動架台52と、移動架台52を移動させる第一型開閉アクチュエータ70Aと、移動架台52の上に固定される可動盤51と、可動盤51に取り付けられる可動金型53と、を備える。可動盤51には、二次側射出装置10Bが接触および離間が可能に取り付けられており、可動金型53と第二反転金型65または第一反転金型63との間に形成される二次側キャビティC2に二次樹脂材料(R2)を射出充填する。
【0037】
可動盤51は、
図1および
図2に示すように、その一方の対角位置のそれぞれに、可動金型53と第二反転金型65または第一反転金型63とを離型するための第二離型アクチュエータ55A,55Bを備えている。第二離型アクチュエータ55A,55Bは、可動盤51と反転盤61の間の間隔を拡大することが可能な機構である。第二離型アクチュエータ55Aは第一離型アクチュエータ35Aと対をなしており、反転盤61の前後方向xの両側に対向して配置される。また、第二離型アクチュエータ55Bは第一離型アクチュエータ35Bと対をなしており、反転盤61の前後方向xの両側に対向して配置される。なお、第二離型アクチュエータ55Bは、
図1および
図2に図示されていない。
【0038】
第二離型アクチュエータ55A(55B)は、
図2に示すように、可動盤51の側面に備えられた油圧シリンダであって、
図1に示すように、シリンダ室56と、シリンダ室56と外部を貫通して設けられるピストンロッド57と、ピストンロッド57の一方端側に固定され、シリンダ室56に収容されるピストン58と、ピストンロッド57の他方端側に固定され、シリンダ室56の外部に設けられる第二押圧体59と、を構成要素として備える。シリンダ室56、ピストンロッド57およびピストン58が、本発明の第二アクチュエータ本体に該当し、油圧の付加状態に応じて、ピストンロッド57およびピストン58が前進および後退する。ここでいう前進とは、第二離型アクチュエータ55A(55B)が伸長する動作であり、
図1中では第二押圧体59が反転盤61に近づく向きに移動する動作を示す。また、後退とはピストンロッド57がシリンダ室56内に収納されて第二離型アクチュエータ55A(55B)が収縮する動作であり、
図1中では第二押圧体59が反転盤61から離れる向きに移動する動作を示す。
【0039】
第二押圧体59は、
図1に示すように、反転盤61の金型取付面S2(
図2参照)より外側においてピストンロッド57と連結される。また、第二押圧体59は、その一部である第二押圧部591が可動盤51と反転盤61の他方と当接可能に設けられるとともに、第二押圧部591は第二押圧体59とピストンロッド57との連結部に対して可動盤51または反転盤61の中心線に向けて偏芯して設けられ、図示は省略されているが、平面方向において、反転盤61の一部に干渉することができる。これにより、第二離型アクチュエータ55A,55Bは、ピストン58を介して第二押圧体59を反転盤61に押し付けることができる。第二押圧体59が反転盤61に押し付けられる向きは、第一押圧体39が反転盤61に押し付けられる向きと逆をなしており、第二押圧体59と第一押圧体39はその表裏から反転盤61に押し付けられる。
【0040】
第二押圧体59は第一押圧体39と同様にタイバー22に案内されながら移動する。また
図11に示すようにガイド孔59Hに摺動用ブッシュや直動転がり軸受等の摺動部材86を内挿し、第二押圧体59をタイバー22によって軸方向に摺動自在に支持してもよいことも第一押圧体39と同様である。
上方の第二離型アクチュエータ55Aは第一離型アクチュエータ35Aと同様にタイバー22の外側に設けられ,下方の第二離型アクチュエータ55Bは第一離型アクチュエータ35Bと同様にタイバー22の内側に設けられている。
【0041】
可動盤51は、
図1に示すように、その四隅のそれぞれにタイバー22が貫通するタイバー孔54を備えている。可動盤51は、タイバー孔54のそれぞれに対応して、割ナット24を備えている。割ナット24は、型締めする際に、タイバー22のリング溝23に噛み合うことで、タイバー22を把持しタイバー22と可動盤51の相対的な位置を固定する。
【0042】
可動要素50において、移動架台52を移動させる第一型開閉アクチュエータ70Aの機構は任意であり、例えば特許文献1に開示される電動モータとボールねじを利用した駆動機構を用いることができる。また、第一型開閉アクチュエータ70Aは油圧駆動のアクチュエータであってもよい。さらに、反転要素60の移動架台62を移動させる後述する第二型開閉アクチュエータ70Bも同様に電動モータとボールねじを利用した駆動機構でもよいし、油圧駆動のアクチュエータであってもよい。
【0043】
可動盤51における金型取付面S1は、
図2に示すように、可動金型53が取り付けられて占有している面だけではなく、その周囲の面を含んでいる。つまり、金型取付面S1は
図2に示される可動盤51における平面の全域を含んでいる。
【0044】
[反転要素60]
次に、型締め装置20の反転要素60について説明する。
反転要素60は、
図1に示すように、基台21の上を前後方向xに移動可能に設けられる移動架台62と、移動架台62を移動させる第二型開閉アクチュエータ70Bと、移動架台62の上に設けられる反転盤61と、反転盤61の一方の側面(おもて面とする)に取り付けられる第一反転金型63および他方の側面(うら面とする)に取り付けられる第二反転金型65と、を備える。
【0045】
反転要素60は、反転盤61と移動架台62の間に旋回環67が介在されている。旋回環67は、外周面に歯が切られている歯車として機能し、図示を省略する移動架台62の側に備えられた電動モータ、電動モータの出力軸に設けられる歯車を用いて回転駆動される。このように旋回環67は、反転盤61を回転させる要素であり、移動架台62に対して回転軸心Cを中心にして回転可能に設けられるとともに、反転盤61と相互に固定されている。
【0046】
反転要素60は、
図1に示すように、第一反転金型63が固定金型33と対向して一次側キャビティC1を形成し、第二反転金型65が可動金型53と対向して二次側キャビティC2を形成することができる。この状態から、旋回環67を介して反転盤61を180°だけ回転させると、
図7(a)に示すように、第二反転金型65が固定金型33と対向して一次側キャビティC1を形成し、第一反転金型63が可動金型53と対向して二次側キャビティC2を形成することができる。以上の反転盤61の回転を適時に繰り返すことで、二材からなる樹脂成形品を得ることができる。
【0047】
反転盤61における金型取付面S2は、
図2に示すように、第一反転金型63が取り付けられて占有している面だけではなく、その周囲の面を含んでいる。つまり、金型取付面S2は
図2に示される反転盤61における平面の全域を含んでいる。
【0048】
[離型アクチュエータの配置]
以上の構成を有する型締め装置20は、第一離型アクチュエータ35A,35B、第二離型アクチュエータ55A,55Bは固定盤31および可動盤51の側面に備えられている。
【0049】
ただし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第一離型アクチュエータ35A,35B、および第二離型アクチュエータ55A,55Bのシリンダ室36をそれぞれ固定盤31および可動盤51に内蔵してもよい。また、第一離型アクチュエータ35A,35B、第二離型アクチュエータ55A,55Bを反転盤61よりも外側であって、かつ、固定盤31および可動盤51よりも内側の固定盤31および可動盤51の金型取付面S1に組み付けてもよい。これらの場合、固定盤31および可動盤51の金型取付面S1よりも反転盤61の金型取付面S2が小さいので、第一離型アクチュエータ35A,35B、第二離型アクチュエータ55A,55Bを固定盤31と可動盤51の投影面内に設けることができる。したがって、型締め装置20は、上下方向zの寸法を小さくできる。
【0050】
[成形手順]
次に、射出成形機1による二材からなる成形品の成形手順を
図3~
図7を参照して説明する。
図4(a)に示すように、以下の説明は、反転盤61が反転することにより、二次側キャビティC2に一次側樹脂材料R1による一次成形品が仕込まれている状態から始めるものとする。なお、この状態を初期状態として成形手順を以下の通り説明する。
初期状態において、移動架台52および移動架台62のそれぞれを固定盤31に近づく向きに移動させる。これにより、固定金型33と第一反転金型63を型締めして一次側キャビティC1を形成するとともに、可動金型53と第二反転金型65を型締めして二次側キャビティC2を形成する(
図3 可動盤閉、反転盤閉)。このとき、割ナット24は閉じており、タイバー22のリング溝23と噛み合っている。
この型締めの最中は、第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bは最も後退した位置で待機している。このとき、第一押圧体39は反転盤61から離れて固定盤31に近い位置に後退し、第二押圧体59は反転盤61から離れて可動盤51に近い位置に後退している。
なお、
図4以降において、理解を容易にするために、上側のタイバー22、第一型開閉アクチュエータ70A、第二型開閉アクチュエータ70Bなどの要素の記載を省略している。
【0051】
一次側キャビティC1および二次側キャビティC2を形成したならば、
図4(b)に示すように、割ナット24を閉じたままで、型締アクチュエータ41を動作させて型締めの圧力を昇圧する(
図3 割ナット閉、型締昇圧)。これで、射出充填の準備が整う。
【0052】
<射出・充填>
次に、
図5(a)に示すように、一次側射出装置10Aから一次側キャビティC1に一次側樹脂材料R1を射出、充填し、また、二次側射出装置10Bから二次側キャビティC2に二次側樹脂材料R2を射出、充填する。
この射出、充填の最中には、上述した型締めと型締アクチュエータ41による昇圧は維持される。また同時に、第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bを前進動作させて、第一押圧体39および第二押圧体59のそれぞれを反転盤61に向けて移動させる。第一押圧体39および第二押圧体59は、それぞれ反転盤61のおもて面およびうら面から反対の向きに押すことで、反転盤61を挟持する。
【0053】
所定量の一次側樹脂材料R1および二次側樹脂材料R2を充填し終えた後に、型締め、昇圧ならびに第一押圧体39および第二押圧体59による反転盤61の挟持を維持しながら、一次側樹脂材料R1および二次側樹脂材料R2を冷却する。
冷却期間の後半には、
図5(b)に示すように、型開きの準備のために、型締アクチュエータ41を降圧に転じるとともに、割ナット24を開いて割ナット24とリング溝23との噛み合いを解く。このときも第一押圧体39および第二押圧体59による反転盤61の挟持は維持される。
【0054】
<離型>
所定の冷却期間が終わると、
図6(a)に示すように、第一離型アクチュエータ35A,35Bを従前の位置から前進させる。
また、第一離型アクチュエータ35A,35Bの前進と同時に第二離型アクチュエータ55A,55Bを前進させる。
【0055】
以上の動作により、固定金型33と第一反転金型63が離型され、可動金型53と第二反転金型65が離型される。一次側キャビティC1で成形された一次成形品M1は第一反転金型63に貼り付き、二次側キャビティC2で成形された二材からなる二次成形品M2は第二反転金型65に貼り付いている。
【0056】
<型開き~取り出し~反転>
離型を終えると、
図6(b)に示すように、移動架台52および移動架台62を固定盤31から離れる向きにさらに所定位置まで移動させる。これで、固定金型33と第一反転金型63が型開きされ、可動金型53と第二反転金型65が型開きされる。
移動架台52および移動架台62の移動中に、第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bを所定位置まで後退させる。
【0057】
型開きを終えると、二次成形品M2を第二反転金型65から取り出す。一次成形品M1は、第一反転金型63に貼り付いたままである。二次成形品M2の取り出しは、図示を省略するが、第二反転金型65に設けられる押出ピンで押すことにより行うことができる。
【0058】
二次成形品M2の取り出しを終えると、旋回環67を180°だけ回転させることで、
図7(a),(b)に示すように、第二反転金型65を固定金型33に対向する位置に移動させ、かつ、第一反転金型63を可動金型53に対向する位置に移動させる。このとき、可動盤53と第一反転金型63の間のキャビティには一次成形品M1が収容されるが、固定盤51と第二反転金型65の間のキャビティは次のサイクルの射出を空の状態で待っている。
図7(b)に示す初期状態としてから、次のサイクルの射出成形を始める。
【0059】
[効果]
次に、本実施形態が奏する効果を説明する。
本実施形態は、第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bを、金型取付面S1または金型取付面S2の外側に設けている。これにより、固定盤31と反転盤61の間のスペース、および、可動盤51と反転盤61の間の金型取付スペースの小さい成形機や金型であっても、第一離型アクチュエータ35A,35B、第二離型アクチュエータ55A,55Bを無理なく設置できる。
【0060】
また、本実施形態は、第一離型アクチュエータ35A,35Bの第一押圧体39が、反転盤61に接触および離間が可能であり連結されていない。第一離型アクチュエータ35A,35Bはシリンダ室36の側を固定盤31に固定した片持ち構造である。ところが、ピストンロッド37の端部に備えられた第一押圧体39がタイバー22にガイドされている。これにより、第一離型アクチュエータ35A,35Bが自重で撓むことおよびピストンロッド37が第一押圧体39を押圧したときの自らの推力で撓むことを防止できる。したがって、ピストンロッド37などの第一離型アクチュエータ35A,35Bの構成要素に、位置ずれに起因する過大な曲げ応力が発生することはない。
【0061】
また、本実施形態は、第一離型アクチュエータ35A,35Bのピストンロッド37の動作線上に、つまり反転盤61の金型取付面S2の外側に、ピストンロッド37の伸長による押圧(離型力)を受けるための固定部材を設ける必要がない。または、金型取付面S2の外側に、反転盤61の全幅を拡大するなど反転盤61の外形寸法を拡大させる必要がない。したがって、本実施形態によれば、反転盤61の回転半径が拡大することがない。これにより、反転盤61の移動ストロークを拡大させるなどの反転盤61の回転時における干渉回避の設計検討を省略できる。ただし、反転盤61の回転領域近傍に十分な空きスペースがある場合は、第一押圧体39を金型取付面S2ではなく金型取付面S2の外側の反転盤の一部に第一押圧体39を当接させて離型してもよい。
以上の効果は、第二離型アクチュエータ55A,35Bの第二押圧体59についても同様に当てはまる。
【0062】
さらに、本実施形態は、第一離型アクチュエータ35A,35Bと第二離型アクチュエータ55A,55Bを同時に前進させる。そうすれば、固定盤31と反転盤61の間の金型である固定金型33と第一反転金型63の離型と、可動盤51と反転盤61の間の金型である可動金型53と第二反転金型65の離型を同時に行うことができるので、成形サイクルを短縮するのが容易である。
【0063】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る射出成形機について、
図9を参照して説明する。第2実施形態に係る射出成形機は、その基本的な構成は第1実施形態に係る射出成形機1と一致しており、以下では射出成形機1との相違点を中心に説明する。
【0064】
第2実施形態は、第一離型アクチュエータ35Aをタイバー22の外側に設ける場合に第一押圧体39に発生する回転モーメントを小さくするために、
図9に示される構成を採用する。この構成は、ピストンロッド37と第一押圧体39とを直接連結するのではなく、ピストンロッド37の推力を第一押圧体39に伝達する連結部材392を用いる。この連結部材392は、第一押圧体39との連結部、つまり伝達されたピストンロッド37の推力の第一押圧体39に対する作用点が、タイバー22の中心線上または中心線よりも内側となるように設けられる。ピストンロッド37と第一押圧体39が連結部材392を介して連結される。
【0065】
ピストンロッド37の推力を第一押圧体39に伝達する連結部材392を用いる第2実施形態によると、以下の効果を奏する。
ピストンロッド37がタイバー22の外側に設けられていても、第一離型アクチュエータ35Aをタイバー22の内側に備える場合と同様に、ピストンロッド37が第一押圧体39に離型力(推力)を負荷する力点が、作用点である第一押圧部391の近傍とすることができる。したがって、ピストンロッド37が第一押圧体39に離型力を負荷したときに第一押圧体39に発生する回転モーメントを小さくできる。また、この回転モーメントを小さくできることから第一押圧体39に発生し易い撓みや傾きを小さくできるので、タイバー22の外周面とガイド孔39Hの片当たりによる過大な摺動抵抗を防止できる。
【0066】
第2実施形態において、第一押圧体39と連結部材392は、別体として作製されてもよいし、一体に作製されてもよい。このことは、第二離型アクチュエータ55A,55Bの第二押圧体59についても同様に当てはまる。
【0067】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る射出成形機について、
図10を参照して説明する。第2実施形態に係る射出成形機は、その基本的な構成は第1実施形態に係る射出成形機1を踏襲しており、以下では射出成形機1との相違点を中心に説明する。
【0068】
第3実施形態は、第一押圧体39とピストンロッド37の連結を
図10(a)~(d)に示すような、揺動可能な連結構造とすることがさらに好ましい。このときこの揺動可能な連結構造は第一押圧体39とピストンロッド37を直接連結する連結部に備えてもよいし、第一押圧体39と連結部材392を連結する連結部あるいは連結部材392とピストンロッド37を連結する連結部に備えてもよい。これによると
図10(b)に示すような第一押圧体39に撓みや傾きが発生した場合に、ピストンロッド37に過大な曲げが作用するのを防止することができる。
【0069】
図10(a)に示す第一押圧体39は、クレビス81を介してピストンロッド37と接続され、第一押圧体39はピストンロッド37に対して揺動可能とされている。その結果、第一押圧体39がピストンロッド37の延在する方向に対して傾いても、その傾きはクレビス81のピンを軸とした回転により吸収されて、ピストンロッド37に曲げ破損が発生するのが抑制される。
【0070】
図10(b)に示す連結器83は、フランジ83Aとナックル83Bの、ピストンロッド37の延在方向の両側および進退方向に、クリアランスG、Hが設定されている。その結果、フランジ83Aが矢印R1方向に回動可能であり、第一押圧体39に傾きが生じても、その傾きはクリアランスG、Hで吸収される。
【0071】
図10(c)に示す球面継ぎ手84は、フランジ84Aと、ピストンロッド37に接続されたナックル84Bとを備え、フランジ84Aには内方に球面の一部からなる凹部84Cが形成されている。ナックル84Bは、凹部84Cと摺動可能で凹部84Cの球半径と同一あるいは凹部84Cの半径より若干量小さな球半径を有する球面の一部を備えていて、ナックル84Bが凹部84Cに挿入されることで、ナックル84Bはフランジ84Aに対して、所定範囲内で方向を選択することなく回動することができるようになっている。
【0072】
図10(d)に示すユニバーサルジョイント85は、第1フランジ85Aと、ピストンロッド37に接続された第2フランジ85Bと、第1フランジ85Aと第2フランジ85Bとを接続する接続部材85Cとを備え、第1フランジ85Aと接続部材85Cは軸線O1周りに、第2フランジ85Bと接続部材85Cは軸線O2周りに回動自在とされている。
【0073】
以上の構成は、第二離型アクチュエータ55A,55Bの第二押圧体59についても同様に当てはまる。
【0074】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、以上説明した実施形態では、離型時に固定盤31、反転盤61、可動盤51の平行度が崩れないように、つまり各型盤が互いに傾かないように配慮されている。つまり、第二離型アクチュエータ55Aは、第一離型アクチュエータ35Aと対をなして、反転盤61の前後方向xの両側に対向して配置される。また、第二離型アクチュエータ55Bは、第一離型アクチュエータ35Aと対にして、反転盤61の前後方向xの両側に対向して配置される。つまり、第二離型アクチュエータ55A、55Bのピストンロッド57と第一離型アクチュエータ35A、35Bのピストンロッド37がそれぞれ同一軸上となるように配置されている。
【0075】
ところが、本発明において第二離型アクチュエータ55A、55Bは第一離型アクチュエータ35A、35Bと対向するように配置されていなくてもよい。つまり、第二離型アクチュエータ55A、55Bのピストンロッド57と第一離型アクチュエータ35A、35Bのピストンロッド37がそれぞれ偏芯するように配置されてもよい。具体的には、第二離型アクチュエータ55Aが金型取付面S1の内側に設けられ、第一離型アクチュエータ35Aが金型取付面S1の外側に配置されてもよい。ただし、この場合、第一押圧体39と第二押圧体59のそれぞれの押圧部が対向するように、第一押圧体39と第二押圧体59のそれぞれの押圧部391,591の反転盤61の金型取付面S1への投影面が互いに重なるように配置されることが好ましい。
【0076】
また例えば、本実施形態では、固定盤31と反転盤61の間の金型と可動盤51と反転盤61の間の金型の離型をそれぞれ第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bのみで行っている。ところが本発明は、第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bに加えて、第一型開閉アクチュエータ70Aおよび第二型開閉アクチュエータ70Bを用いて金型の離型を行ってもよい。
【0077】
具体的には、固定盤31と反転盤61の間の金型の離型において、第一離型アクチュエータ35A,35Bの動作と同期して第一型開閉アクチュエータ70Aを離型方向に動作させてもよい。また、同様に可動盤51と反転盤61の間の金型の離型の離型において、第二離型アクチュエータ55A,55Bの動作と同期して第二型開閉アクチュエータ70Bを離型方向に動作させてもよい。これらの場合、第一型開閉アクチュエータ70Aおよび第二型開閉アクチュエータ70Bにより移動する移動架台52および移動架台62の動作を第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bの動作とそれぞれ同期させる際のそれぞれの移動距離をD52,D62とする。そうすると、本実施形態における移動距離D52,D62は、移動距離D52が移動距離D62よりも大きい(D52>D62)。なお、移動距離D52,D62の始点は、射出・冷却が行われているときの移動架台52および移動架台62の位置である。
【0078】
また、このときの第一離型アクチュエータ35A,35Bの移動距離をD35とすると、移動距離D35と移動距離D62は等しい(D35=D62)。また、第二離型アクチュエータ55A,55Bの移動距離をD55とすると、移動距離D52は移動距離D55と移動距離D35の和に等しい(D52=D55+D35)。
【0079】
なお、移動距離D35,D55の始点は、射出・冷却が行われているときの第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bが前進し第一押圧体39および第二押圧体59がそれぞれ反転盤61と当接した位置である。
これにより離型力に第一型開閉アクチュエータ70Aおよび第二型開閉アクチュエータ70Bの推力を使用できるので、第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bの小型化に寄与する。
【0080】
また例えば、本実施形態では固定盤31と反転盤61の間の金型と可動盤51と反転盤61の間の金型の離型を同時に行ったが、本発明はこれに限定されない。つまり、本実施形態は、固定盤31と反転盤61の間の金型と、可動盤51と反転盤61の間の金型をそれぞれ個別に離型させることができる。この個別離型機能を利用することにより、以下説明する離型動作を実現できる。なお、以下では、固定盤31と反転盤61の間の金型を第一金型といい、可動盤51と反転盤61の間の金型を第二金型ということがある。
【0081】
例えば、第二金型よりも第一金型を先に離型させたいことがある。これを第一離型パターンという。
第一離型パターンは、
図12(a)に示すように、第二金型が開かないように、第一離型アクチュエータ35A,35Bを前進させて反転盤61を可動盤51に押し付けて、反転盤61を固定盤31から離れる向きに移動させる。これにより、固定盤31と反転盤61の間の第一金型の離型が第二金型に先行して行われる。第一金型を先に離型したい場合に、第二金型が先に離型してしまうことを防止でき、第一金型を確実に先に離型できる。
【0082】
ここで、
図12(a)における第一金型の離型の際に、割ナット24を閉じたままで型締アクチュエータ41を離型方向に動作させた場合は、第一金型の離型に第一離型アクチュエータ35A,35Bの動作に加えて型締アクチュエータ41の動作を利用できる。この形態によれば、大推力が必要な離型を大口径の型締アクチュエータ41が担うので、第一離型アクチュエータ35A,35Bに必要な推力を小さく抑えることができ、第一離型アクチュエータ35A,35Bの小型化に寄与する。
【0083】
その後、第一離型アクチュエータ35A,35Bを前進させたまま、第二離型アクチュエータ55A,55Bを前進させることにより、可動盤51を反転盤61から離れる向きに移動させる。これにより、
図12(b)に示すように、第一金型の離型に続いて第二金型の離型が行われる。以後は、
図12(c)に示すように、移動架台52および移動架台62を固定盤31から離れる向きに移動させて、可動盤51および反転盤61を型開きするとともに、第一離型アクチュエータ35A,35B,55A,55Bによる反転盤61の挟持を解除して第一離型アクチュエータ35A,35B,55A,55Bを後退させる。
【0084】
ここで、
図12(b)における第一金型の離型の際に、割ナット24を閉じたままで型締アクチュエータ41を離型方向に動作させることで、第二金型の離型に第二離型アクチュエータ55A,55Bの動作に加えて型締アクチュエータ41の動作を利用できる。この形態によれば、大推力が必要な離型を大口径の型締アクチュエータ41が担うので、第二離型アクチュエータ55A,55Bに必要な推力を小さく抑えることができ、第二離型アクチュエータ55A,55Bの小型化に寄与する。
【0085】
型締アクチュエータ41の動作を利用する移動形態は、離型のための大推力を可動盤51と割ナット24を介して連結された型締アクチュエータ41が担い、第一離型アクチュエータ35A,35Bは反転盤61が可動盤51から離れない程度の力で押し付けるだけの場合を包含する。
【0086】
次に、以上の第一離型パターンとは逆に、第一金型よりも第二金型を先に離型させたいことがある。これを第二離型パターンという。
この場合、
図13(a)に示すように、第一金型が開かないように、第二離型アクチュエータ55A,55Bを前進させて反転盤61を固定盤31に押し付けて、可動盤51を固定盤31から遠くなる向きに移動させる。これにより、可動盤51と反転盤61の間の第二金型の離型を第一金型に先行して行う。第二金型を先に離型したい場合に、第一金型が先に離型してしまうことを防止でき、第二金型を確実に先に離型できる。
【0087】
その後、第一離型アクチュエータ55A,55Bを前進させたまま、第一離型アクチュエータ35A,35Bを前進させることにより、反転盤61を固定盤31から離れる向きに移動させることにより、
図13(b)に示すように、第二金型の離型に続いて第一金型の離型が行われる。以後は、
図13(c)に示すように、移動架台52および移動架台62を固定盤31から離れる向きに移動させて、可動盤51および反転盤61を固定盤31から離れる向きに移動させることで、型開きをするとともに第一離型アクチュエータ35A,35B,55A,55Bによる反転盤61の挟持を解除して第一離型アクチュエータ35A,35B,55A,55Bを後退させる。
【0088】
第二離型パターンにおいても、第一離型パターンと同様に、
図13(a),(b)における第一金型および第二金型の離型の際に、割ナット24を閉じたままで型締アクチュエータ41を離型方向に動作させることで、第一金型および第二金型の離型に第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bの動作に加えて型締アクチュエータ41の動作を利用できる。そうすれば、大推力が必要な離型を大口径の型締アクチュエータ41が担うので、第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bに必要な推力を小さく抑えることができ、第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bの小型化に寄与する。
【0089】
型締アクチュエータ41の動作を利用する移動形態は、離型のための大推力を可動盤51と割ナット24を介して連結された型締アクチュエータ41が担い、第一離型アクチュエータ35A,35B、第二離型アクチュエータ55A,55Bは反転盤61が固定盤31から離れない程度の力で押し付けるだけの場合を包含する。
また、第一離型パターンおよび第二離型パターンにおいても、第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bに加えて、第一型開閉アクチュエータ70Aおよび第二型開閉アクチュエータ70Bを用いてもよい。
【0090】
また、以上で説明した射出成形機1は、固定盤31に第一離型アクチュエータ35A,35Bを連結し、可動盤51に第二離型アクチュエータ55A,55Bを連結している。しかし、本発明はこれに限らず、反転盤61に第一離型アクチュエータ35A,35Bおよび第二離型アクチュエータ55A,55Bを連結することもできる。
そして、第一押圧体39は固定盤31に接触して押すことにより、反転盤61から固定盤31を遠ざけることにより、固定金型33と第一反転金型63または第二反転金型65を離型する。また、第二押圧体59は可動盤51に接触して押すことにより、反転盤61から可動盤51を遠ざけることにより、固定金型33と第二反転金型65または第一反転金型63を離型する。
【符号の説明】
【0091】
1 射出成形機
10 射出装置
10A 一次側射出装置
10B 二次側射出装置
20 型締め装置
21 基台
22 タイバー
23 リング溝
24 割ナット
30 固定要素
31 固定盤
33 固定金型
35A,35B 第一離型アクチュエータ
36 シリンダ室
37 ピストンロッド
38 ピストン
39 第一押圧体
39H ガイド孔
391 第一押圧部
591 第二押圧部
392 連結部材
41 型締アクチュエータ
43 シリンダ室
45 ピストン
50 可動要素
51 可動盤
52 移動架台
53 可動金型
54 タイバー孔
55A,55B 第二離型アクチュエータ
56 シリンダ室
57 ピストンロッド
58 ピストン
59 第二押圧体
60 反転要素
61 反転盤
62 移動架台
63 第一反転金型
65 第二反転金型
67 旋回環
70A 第一型開閉アクチュエータ
70B 第二型開閉アクチュエータ
81 クレビス
83 連結器
84 球面継手
85 ユニバーサルジョイント
C 回転軸心
C1 一次側キャビティ
C2 二次側キャビティ
M1 一次成形品
M2 二次成形品