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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/247 20180101AFI20220830BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20220830BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20220830BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20220830BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220830BHJP
【FI】
F21S43/247
F21S43/237
F21S43/14
F21W103:55
F21Y115:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018147453
(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公開番号】P2020024789
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】中矢 喜昭
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2839989(EP,A1)
【文献】特開2015-115315(JP,A)
【文献】特開2016-119273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/247
F21S 43/237
F21S 43/14
F21W 103/55
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に設けられた車両用照明装置であって、
前記車両の前方に光を照射可能なヘッドライトと、
前記ヘッドライトとは別の光源部と、
前記ヘッドライトに付帯して設けられ、前記光源部から射出された光の一部を入射して、導光しながら外方に射出する第1ライトガイドと、
前記ヘッドライトに付帯して設けられ、前記光源部から射出された光の残部を入射して、導光しながら外方に射出する第2ライトガイドと、
前記光源部が設けられた箇所から前記車両の前方に向けて延びるように設けられ、前記光源部から射出された光を導光する第3ライトガイドと、
前記第3ライトガイドから分岐され、前記第1ライトガイドに接続され、前記第3ライトガイドを導光されてきた前記光の一部を、前記第1ライトガイドに導光する第4ライトガイドと、
を備え、
前記光源部から射出された光の前記一部は、前記第3ライトガイド及び前記第4ライトガイドを介して前記第1ライトガイドへと導光され、前記光源部から射出された光の前記残部は、前記第3ライトガイドを介して前記第2ライトガイドへと導光され、
前記車両の前部には、前記ヘッドライトに隣接するとともに、当該ヘッドライトよりも前記車両の前方側に向けて延びるように設けられた外装部材が設けられており、
前記第1ライトガイドと前記第4ライトガイドとの接続箇所における前方側は、前記外装部材の一部により覆われている、
車両用照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用照明装置において、
前記第1ライトガイドは、リング状をしており、
前記第4ライトガイドは、前記第1ライトガイドの周方向の一方側に向けて光を導光する第1分岐部分と、前記周方向の他方側に向けて光を導光する第2分岐部分と、を有する、
車両用照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用照明装置において、
前方側からの正面視において、前記第1ライトガイドは、前記ヘッドライトの周囲を囲むように配設されており、
前記第4ライトガイドは、前記第1ライトガイドの周方向の一方側に向けて光を導光する第1分岐部分と、前記周方向の他方側に向けて光を導光する第2分岐部分と、を有する、
車両用照明装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の車両用照明装置において、
前記第2ライトガイドは、前記外装部材における前端部分に沿って設けられている、
車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の車両用照明装置において、
前方側からの正面視において、前記第1ライトガイドは、前記ヘッドライトの周囲を囲むように配設されている、
車両用照明装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の車両用照明装置において、
前記光源部は、1または複数の半導体発光素子を以って構成されている、
車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関し、特に、車両前部に設けられるヘッドライトおよび当該ヘッドライトに付帯の複数の発光部を含む照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両においては、前部にヘッドライトが設けられている。そして、近年では、ヘッドライトに付帯して複数の発光部が設けられた車両が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ヘッドライトに対して、2つのデイタイムランニングランプが設けられた照明装置が開示されている。特許文献1に開示の照明装置では、各デイタイムランニングランプが棒状のライトガイド(導光部材)と光源とを有する構成が採用されている。
【0004】
なお、特許文献1に開示の照明装置では、光源の一例としてLED(Light Emitting Diode)が採用されており、ライトガイドの両端のそれぞれに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-32512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動車等の車両においては、軽量化および製造コストの低減を図ることが求められているが、上記特許文献1に開示の技術では、このような要求を満たすことが困難である。即ち、上記特許文献1に開示の技術では、ライトガイド毎に光源が設けられてなる構成が採用されており、車両の軽量化および製造コストの低減を図るうえで改善する必要がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、ヘッドライトに付帯した複数の発光部を設けることで機能面および意匠面で優れるとともに、車両の軽量化および製造コストの低減を図ることができる車両用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る車両用照明装置は、車両の前部に設けられた車両用照明装置であって、前記車両の前方に光を照射可能なヘッドライトと、前記ヘッドライトとは別の光源部と、前記ヘッドライトに付帯して設けられ、前記光源部から射出された光を入射して、導光しながら外方に光を射出する第1ライトガイドと、前記ヘッドライトに付帯して設けられ、前記光源部から射出された光を入射して、導光しながら外方に光を射出する第2ライトガイドと、前記光源部が設けられた箇所から前記車両の前方に向けて延びるように設けられ、前記光源部から射出された光を導光する第3ライトガイドと、前記第3ライトガイドから分岐され、前記第1ライトガイドに接続され、前記第3ライトガイドを導光されてきた前記光の一部を、前記第1ライトガイドに導光する第4ライトガイドと、を備え、前記光源部から射出された光の前記一部は、前記第3ライトガイド及び前記第4ライトガイドを介して前記第1ライトガイドへと導光され、前記光源部から射出された光の前記残部は、前記第3ライトガイドを介して前記第2ライトガイドへと導光され、前記車両の前部には、前記ヘッドライトに隣接するとともに、当該ヘッドライトよりも前記車両の前方側に向けて延びるように設けられた外装部材が設けられており、前記第1ライトガイドと前記第4ライトガイドとの接続箇所における前方側は、前記外装部材の一部により覆われている。
【0009】
上記態様に係る車両用照明装置では、ヘッドライトに付帯して設けられた第1ライトガイドと第2ライトガイドが光源部からの光を射出する発光部としてそれぞれ機能するので、対向車両や歩行者等に対して自車両のポジションや進行方向などを示すことができ、機能面で優位であるとともに、意匠面でも優位である。
【0010】
また、上記態様に係る車両用照明装置では、光源部から射出された光を第1ライトガイドと第2ライトガイドとに分配することにより、第1ライトガイドおよび第2ライトガイドから光を射出するように構成(発光部として機能するように構成)している。このため、上記態様に係る車両用照明装置では、発光部毎に光源部を設ける上記特許文献1に開示の技術などに比べて、光源部の数を減らすことができ、車両の軽量化および製造コストの低減を図ることができる。
【0012】
また、上記態様に係る車両用照明装置では、第3ライトガイドから分岐された第4ライトガイドを介して第1ライトガイドに光が導光されるとともに、第3ライトガイドから第2ライトガイドへも光が導光される。これにより、空間中を光が伝播される場合に比べて、少ない減衰で確実に第1ライトガイドおよび第2ライトガイドに導光することが可能である。
また、上記態様に係る車両用照明装置では、第2ライトガイドが外装部材の前端部分に沿って設けられているので、光源部から光を射出した場合に、外装部材の前端部分に沿った発光形態を実現することができ、高い意匠性を備えた照明装置を実現するのにより優位である。
さらに、上記態様に係る車両用照明装置では、第1ライトガイドと第4ライトガイドとの接続箇所における前方側が、外装部材の一部により車両の前方側が覆われているので、仮に各接続箇所で発光にムラが発生するようなことが危惧される場合にあっても、外装部材の一部が覆うことで外部(車両の前方側)からは視認できないようにすることができる。
【0013】
上記態様に係る車両用照明装置では、前記第1ライトガイドは、リング状をしており、前記第4ライトガイドは、前記第1ライトガイドの周方向の一方側に向けて光を導光する第1分岐部分と、前記周方向の他方側に向けて光を導光する第2分岐部分と、を有する、とすることもできる。
【0014】
上記のような構成を採用する場合においては、第1分岐部分及び第2分岐部分により第1ライトガイドにおける周方向の一方側と他方側との両側に向けて光が分配されて導光されるので、第1ライトガイドにおける周方向の一方側あるいは他方側だけに向けて光を導光させる場合に比べて、導光による光の減衰によってもリング状をした第1ライトガイドの全体でより均一な強さの光を射出させることができる。
上記態様に係る車両用照明装置では、前方側からの正面視において、前記第1ライトガイドは、前記ヘッドライトの周囲を囲むように配設されており、前記第4ライトガイドは、前記第1ライトガイドの周方向の一方側に向けて光を導光する第1分岐部分と、前記周方向の他方側に向けて光を導光する第2分岐部分と、を有する、とすることもできる。
【0018】
上記態様に係る車両用照明装置では、前方側からの正面視において、前記第1ライトガイドは、前記ヘッドライトの周囲を囲むように配設されている、とすることもできる。
【0019】
上記のような構成を採用する場合においては、光源部から光を射出した場合に、ヘッドライトの周囲を囲むように配された第1ライトガイドから光が射出される。よって、上記のような構成を採用する場合においては、高い意匠性を備えた照明装置を実現することができる。
【0020】
上記態様に係る車両用照明装置では、前記光源部は、1または複数の半導体発光素子を以って構成されている、とすることもできる。
【0021】
上記のような構成を採用する場合においては、光源部が半導体発光素子を以って構成されているので、フィラメント電球などを用いる場合に比べて照明装置全体でのコンパクト化を図ることができ、また、より長い寿命を確保することもできる。
【発明の効果】
【0022】
上記態様に係る車両用照明装置では、ヘッドライトに付帯した複数の発光部を設けることで機能面および意匠面で優れるとともに、車両の軽量化および製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る車両の前部構成を示す模式正面図である。
図2】照明装置とシグネチャウィングとの配置構成を示す模式正面図である。
図3図2のA部を模式的に拡大して示す模式図である。
図4図2のIV-IV断面を示す図であって、照明装置の内部構成を示す模式断面図である。
図5】ライトガイドの構成を示す模式正面図である。
図6】ライトガイドから射出された光の光路を示す模式断面図である。
図7】リング状のライトガイドの構成を示す模式背面図である。
図8】(a)は、図7のB部の断面構成、(b)は、図7のC部の断面構成、(c)は、図7のD部の断面構成をそれぞれ示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0025】
なお、以下の説明で用いる図において、「FR」は車両の前方(進行方向)、「RE」は車両の後方、「LE」は車両の左方、「RI」は車両の右方、「UP」は車両の上方、「LO」は車両の下方を示す。
【0026】
[実施形態]
1.車両前部1aの構成
実施形態に係る車両1の車両前部1aの構成について、図1を用いて説明する。
【0027】
図1に示すように、車両1の車両前部1aには、車幅方向の端部(図1では、左側部分)に車両後方側に凹んだ凹部1bが設けられている。凹部1bは、車両1の前方からの正面視で、車幅方向の中央側から車両側部1c側に向けて横方向に細長い形状を有する。
【0028】
凹部1bの奥側部分(図1の紙面奥側の部分)には、照明装置2とシグネチャウィング3とが配設されている。シグネチャウィング3は、凹部1bに沿って細長く延びる板状のウィング部分を有する。また、シグネチャウィング3は、凹部1bの奥側から外側(車両1の前方側)に向けて延びるように形成されている。
【0029】
なお、本実施形態におけるシグネチャウィング3は、外装部材に相当する。
【0030】
2.照明装置2とシグネチャウィング3との配置構成
照明装置2とシグネチャウィング3との配置構成について、図2および図3を用いて説明する。図2は、照明装置2とシグネチャウィング3との配置構成を示す模式正面図であり、図3は、図2のA部を模式的に拡大して示す模式図である。
【0031】
図3に示すように、本実施形態に係る照明装置2は、ヘッドライト5とリング発光部6とウィング発光部4とを備える。そして、図2および図3に示すように、リング発光部6の周上の一部箇所は、シグネチャウィング3の先端部3aにより前方側が覆われている。
【0032】
ヘッドライト5は、正面視で略円形の外観形状を有している。リング発光部6は、正面視でヘッドライト5の外周を囲むようにリング状に形成されている。
【0033】
一方、ウィング発光部4は、シグネチャウィング3の前端部(最も車両1の前方側に突出した峰部分)に沿って設けられている。
【0034】
なお、本実施形態におけるリング発光部6及びウィング発光部4は、それぞれがヘッドライト5に付帯する発光部に相当する。
【0035】
3.照明装置2の内部構成
照明装置2の内部構成について、図4を用いて説明する。図4は、図2のIV-IV断面を示す模式断面図である。
【0036】
図4に示すように、照明装置2は、灯室2a内にヘッドライト5を有する。ヘッドライト5の後方部分には、当該ヘッドライト5の点灯時に発生する熱を外部に放出するためのヒートシンク7が設けられている。ヒートシンク7の一部は、灯室2aから後方側に延出している。
【0037】
灯室2aは、アウターガラス13で外周および前面が覆われて構成された部屋部である。灯室2a内には、ヘッドライト5の外周を囲むように、リング状のライトガイド12も設けられている。ライトガイド12は、第1ライトガイドに相当する。
【0038】
さらに、灯室2a内には、1または複数の半導体発光素子(例えば、LEDチップ)を以って構成された光源部8と、当該光源部8に対して当接または近接した状態で配され、前方に向けて直線状に延びるライトガイド9、およびライトガイド9とライトガイド12とを接続するライトガイド11も設けられている。ライトガイド9は、第3ライトガイドに相当し、ライトガイド11は、第4ライトガイドに相当する。
【0039】
図4の拡大部分に示すように、照明装置2は、ライトガイド10も有する。ライトガイド10は、第2ライトガイドに相当し、アウターガラス13の介挿部13aを間に挟んだ状態で、ライトガイド9の端面と対向する端面を有する。光源部8からの光の一部は、アウターガラス13を透過してライトガイド9からライトガイド10へと導光される。
【0040】
ここで、リング発光部6は、ライトガイド12により構成され、ウィング発光部4は、ライトガイド10により構成される。ライトガイド10は、シグネチャウィング3の前端部に沿って延設されており、ライトガイド9から導光された光を、シグネチャウィング3の前端部に沿って導光しながら、車両1の前方側に光を射出する。
【0041】
4.ライトガイド9,11,12の構成
ライトガイド9,11,12の構成について、図5を用いて説明する。図5は、ライトガイド9,11,12の構成を示す模式正面図である。
【0042】
図5に示すように、ライトガイド11は、照明装置2の後方側から前方側に前伸するライトガイド9から分岐した状態(接続された状態)で設けられている。
【0043】
ライトガイド11は、2本の分岐部分11a,11bを有している。2本の分岐部分11a,11bの内の1本である第1分岐部分11aは、リング状のライトガイド12における周方向の一方側(右回りの側)に光を導光できるように接続されている。
【0044】
一方、2本の分岐部分11a,11bの内のもう1本である第2分岐部分11bは、リング状のライトガイド12における周方向の他方側(左回りの側)に光を導光できるように接続されている。
【0045】
なお、上述のように、ライトガイド9と第1分岐部分11aおよび第2分岐部分11bとの接続部分、ライトガイド12に対する第1分岐部分11aおよび第2分岐部分11bの接続部分は、シグネチャウィング3のウィング先端部3aにより前方側が覆われている。
【0046】
5.リング発光部6の発光形態
リング発光部6の発光形態について、図6を用いて説明する。図6は、ライトガイド12から前方側に向けて射出された光の光路を示す模式断面図である。
【0047】
図6に示すように、灯室2aは、側周部13bと前面部13cとが一体形成されてなる有底筒状のアウターガラス13と、アウターガラス13の後端部に接合された背面ケース14と、背面ケース14の内周側とヒートシンク7の外周との間の隙間を塞ぐシール部材15とにより画定されている。
【0048】
灯室2a内において、ライトガイド12は、ヘッドライト5に対して隙間を空けた状態で、ヘッドライト5の周囲を囲むように配設されている。ライトガイド12は、アウターガラス13の側周部13bの内側に沿って設けられたガイド支持部17により支持されている。
【0049】
アウターガラス13の側周部13bは、その外周の一部が外装ケース16により覆われている。アウターガラス13の側周部13bの内、外装ケース16により外周部が覆われているのは、灯室2a内にライトガイド12が配置された部分よりも前方側の部分である。
【0050】
次に、ライトガイド12中を導光されてきた光は、当該ライトガイド12の周方向全体から前方側に向けて射出される。ライトガイド12から前方側に向けて射出された光は、ライトガイド12の前方側に対向するアウターガラス13の入射部13dからアウターガラス13の側周部13b内部へと導光される。
【0051】
アウターガラス13の側周部13b内部では、破線で示したように、光は、側周部13bの径方向の内外の周面で反射を繰り返しながら前方側へと導光される。そして、導光されてきた光は、ライトガラス13における側周部13bの前端部である射出部13eから車両1の前方に向けて射出される(EL)。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る照明装置2では、1つの光源部8から射出された光を分岐してライトガイド10とライトガイド12とを導光させ、該ライトガイド10およびライトガイド12を発光させることとしている。
【0053】
6.ライトガイド12における反射部12aの構成
ライトガイド12における反射部12aの構成について、図7および図8を用いて説明する。図7は、ライトガイド12の構成を後方側から示す模式背面図であり、図8は、(a)がB部の断面構成、(b)がC部の断面構成、(c)がD部の断面構成、をそれぞれ示す模式断面図である。
【0054】
図7に示すように、本実施形態におけるライトガイド12の背面側には、凹凸を以って構成された反射部12aが周方向に沿って設けられている。
【0055】
図8(a)に示すように、第1分岐部分11aおよび第2分岐部分11bが接続された箇所に近接するB部では、反射部12aの凹凸高さはH1である。それに対して、接続箇所から離れたC部での反射部12aの凹凸高さはH2であり、さらに離れたD部での反射部12aの凹凸高さはH3である。H1,H2,H3は、次の関係を満たす。
【0056】
H1<H2<H3 ・・(数1)
なお、一例として、H2はH1の2~3倍であり、H3はH1の3~4倍とすることができる。
【0057】
本実施形態におけるライトガイド12では、背面側に周方向に凹凸高さが漸次変化する反射部12aを設けることにより、前方側に向けて射出される光の強度をライトガイド12の周方向で略同一に調整することができる。
【0058】
7.効果
本実施形態に係る照明装置2では、ヘッドライト5の近傍に付帯してライトガイド12及びライトガイド10を設けることで、光源部8から光が射出された際にライトガイド12及びライトガイド10から光が前方側に射出されるので、対向車両や歩行者等に対して自車両のポジションや進行方向などを示すことができ、機能面で優位であるとともに、意匠面でも優位である。
【0059】
また、本実施形態に係る照明装置2では、光源部8から射出された光をライトガイド9からライトガイド10とライトガイド12とに分配することにより、ライトガイド12とライトガイド10とから光が射出されるように構成している。このため、本実施形態に係る照明装置2では、発光部毎に光源部を設ける上記特許文献1に開示の技術などに比べて、光源部8を1つにすることができ、車両1の軽量化および製造コストの低減を図ることができる。
【0060】
また、本実施形態に係る照明装置2では、光源部8が設けられた箇所から車両1の前方に向けて延びるライトガイド(第3ライトガイド)9と、ライトガイド9から分岐し、ライトガイド(第1ライトガイド)12に接続されたライトガイド(第4ライトガイド)11と、を一体に構成してなる構成を採用しているので、ライトガイド12の一方側と他方側との両側に向けて光が導光される。よって、本実施形態に係る照明装置2では、空間中を光が伝播される場合に比べて、少ない減衰で確実にライトガイド12およびライトガイド10に導光することが可能である。
【0061】
また、本実施形態に係る照明装置2では、ライトガイド11の第1分岐部分11aおよび第2分岐部分11bによりライトガイド12における周方向の一方側と他方側との両方に向けて導光されるので、ライトガイド12における周方向の一方側あるいは他方側だけに向けて導光される場合に比べて、同行による光の減衰によってもリング状をしたライトガイド12の全体でより均一な強さの光を射出させることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る照明装置2では、ライトガイド11(第1分岐部分11aおよび第2分岐部分11b)とライトガイド12との接続箇所の前方側を、シグネチャウィング3のウィング先端部3aで覆うこととしているので、仮に各接続箇所で発光にムラが発生するようなことが危惧される場合にあっても、シグネチャウィング3のウィング先端部3aで覆っているので、外部(車両1の前方側)からは視認できないようにすることができる。
【0063】
本実施形態に係る照明装置2では、前方側からの正面視において、リング発光部6のライトガイド12を、ヘッドライト5の周囲を囲むように配設しているので、光源部8から光を射出した場合に、射出された光の一部がライトガイド12に導光され、これによりヘッドライト5の周囲を囲むようにリング状に発光する。よって、本実施形態に係る照明装置2では、高い意匠性を備える。
【0064】
また、本実施形態に係る照明装置2では、光源部8を、1または複数の半導体発光素子(例えば、LED:Light Emitting Diode)を以って構成することとしているので、フィラメント電球などを用いて光源部を構成する場合に比べて照明装置2全体でのコンパクト化を図ることができ、また、より長い寿命を確保することもできる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る照明装置2では、ヘッドライト5に付帯したリング発光部6およびウィング発光部4を設けることで機能面および意匠面で優れるとともに、車両1の軽量化および製造コストの低減を図ることができる。
【0066】
[変形例]
上記実施形態に係る照明装置2では、ヘッドライト5に付帯する発光部として、ヘッドライト5の周囲を囲むように設けられたライトガイド12からなるリング発光部6と、シグネチャウィング3の前端部に沿って車幅方向内側に向けてライン状に延びるライトガイド10からなるウィング発光部4と、の2つの発光部を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、2つの発光部がともに車幅方向に向けて延びる発光部であるという構成を採用することもできるし、ドット状の複数の発光部がヘッドライトに付帯して設けられた構成を採用することもできる。
【0067】
上記実施形態に係る照明装置2では、ライトガイド12がヘッドライト5の周囲を囲むように配設することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、リング状をしたライトガイドがヘッドライトに隣接して設けられた構成とすることもできる。
【0068】
上記実施形態に係る照明装置2では、リング発光部6およびウィング発光部4の光源部8として、1または複数のLED素子を以って構成された光源部を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、光源部として、有機EL素子や無機EL素子、あるいは半導体レーザ素子などを採用することも可能である。
【0069】
上記実施形態に係る照明装置2では、光源部8を駆動して光を射出した場合に、リング発光部6およびウィング発光部4の両方が発光することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、光源部と第1ライトガイドとの間や、光源部と第2ライトガイドとの間に、光学シャッターを設けておき、第1発光部と第2発光部とを選択的に発光させることも可能である。
【0070】
上記実施形態に係る照明装置2では、ヘッドライト5の光源については特に言及をしなかったが、種々の光源を採用することができる。例えば、LEDや無機EL素子および有機EL素子や半導体レーザ素子などといった半導体発光素子を採用することもできるし、ハロゲン電球や高輝度放電ランプなどを採用することも可能である。
【0071】
上記実施形態に係る照明装置2では、光源部8から射出される光の波長については特に言及しなかったが、所定の波長の光(例えば、オレンジ色となる波長)だけを射出するようにすることもできるし、印加電圧の調整などにより異なる波長の光(例えば、白色となる波長とオレンジ色となる波長)を射出するようにすることもできる。
【0072】
また、光源部からの光の射出を間欠的なものとし、複数の発光部あるいはその一部の発光部は点滅するようにすることもできる。
【符号の説明】
【0073】
1 車両
1a 車両前部
2 照明装置(車両用照明装置)
3 シグネチャウィング(外装部材)
3a ウィング先端部(外装部材の一部)
4 ウィング発光部
5 ヘッドライト
6 リング発光部
8 光源部
9 ライトガイド(第3ライトガイド)
11 ライトガイド(第4ライトガイド)
10 ライトガイド(第2ライトガイド)
12 ライトガイド(第1ライトガイド)
13 アウターガラス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8