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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】ネイルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   A45D 29/18 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
A45D29/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018157892
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020031670
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】安本 淳史
(72)【発明者】
【氏名】谷 俊郎
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204743005(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 29/18-29/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指の爪に印刷を施すためのネイルプリンタであって、
前面に前記指を所定方向に挿入するための開口部を有する筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記開口部を通して前記筐体の内部に配置された前記指の爪に印刷を施す印刷部と、を備え、
前記筐体は、さらに、前記開口部の両側にそれぞれ配置された一対の傾斜壁部であって、前記筐体の前記前面から背面に向けて、前記所定方向に対して斜め下方に傾斜する一対の傾斜壁部を有し、
前記ネイルプリンタは、さらに、前記一対の傾斜壁部の前記所定方向に対する傾斜角度を可変させる可動機構を備える
ネイルプリンタ。
【請求項2】
指の爪に印刷を施すためのネイルプリンタであって、
前面に前記指を所定方向に挿入するための開口部を有する筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記開口部を通して前記筐体の内部に配置された前記指の爪に印刷を施す印刷部と、を備え、
前記筐体は、さらに、
前記開口部の両側にそれぞれ配置された一対の傾斜壁部であって、前記筐体の前記前面から背面に向けて、前記所定方向に対して斜め下方に傾斜する一対の傾斜壁部と、
前記一対の傾斜壁部からそれぞれ前記筐体の外部に向けて突出する一対の突部と、を有し、
前記一対の突部はそれぞれ、前記一対の傾斜壁部に沿ってスライド可能である
イルプリンタ。
【請求項3】
前記筐体は、さらに、前記開口部と前記一対の傾斜壁部との間にそれぞれ配置され、前記一対の傾斜壁部よりも前記筐体の外部に向けてそれぞれ突出する一対の側壁部を有する
請求項1又は2に記載のネイルプリンタ。
【請求項4】
前記印刷部は、
前記筐体の内部に移動可能に配置されたキャリッジと、
前記キャリッジに配置され、前記指の爪に向けてインクを吐出するヘッド部と、を有する
請求項1~のいずれか1項に記載のネイルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指の爪に印刷を施すためのネイルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの手の指の爪に印刷によるマニキュアを施すためのネイルプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。ネイルプリンタは、筐体と、筐体の内部に配置されたプリントヘッドとを備えている。筐体の前面には、指を挿入するための開口部が形成されている。プリントヘッドは、筐体の内部で二次元的に移動しながら、開口部を通して筐体の内部に配置された指の爪に向けてインクを吐出する。
【0003】
ユーザが例えば手の五指を筐体の開口部に順次挿入することにより、五指の各爪に例えば色又は絵柄等の印刷が施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-194838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のネイルプリンタでは、ユーザが指を筐体の開口部に挿入している際に、乾燥前の印刷済みの他の指の爪が筐体の前面に接触した場合には、当該他の指の爪に施された印刷が剥がれるおそれが生じる。そのため、ユーザは、筐体の開口部に挿入していない指の爪が筐体の前面に接触しないように、当該指をしっかりと折り曲げておく必要がある。
【0006】
しかしながら、ユーザが、印刷の実行中において、筐体の開口部に挿入していない指をしっかりと折り曲げた状態で維持することは、ユーザにとって大きな身体的負担になるという課題が生じる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、印刷の実行中におけるユーザの身体的負担を軽減することができるネイルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るネイルプリンタは、指の爪に印刷を施すためのネイルプリンタであって、前面に前記指を所定方向に挿入するための開口部を有する筐体と、前記筐体の内部に配置され、前記開口部を通して前記筐体の内部に配置された前記指の爪に印刷を施す印刷部と、を備え、前記筐体は、さらに、前記開口部の両側にそれぞれ配置された一対の傾斜壁部であって、前記筐体の前記前面から背面に向けて、前記所定方向に対して斜め下方に傾斜する一対の傾斜壁部を有する。
【0009】
本態様によれば、筐体の開口部の両側にはそれぞれ一対の傾斜壁部が配置されているので、ユーザは、筐体の開口部に挿入していない指を傾斜壁部に沿って軽く伸ばすことができる。その結果、ユーザは、筐体の開口部に挿入していない指をしっかりと折り曲げた状態で維持する必要が無いため、印刷の実行中におけるユーザの身体的負担を軽減することができる。
【0010】
例えば、本発明の一態様に係るネイルプリンタにおいて、前記ネイルプリンタは、さらに、前記一対の傾斜壁部の前記所定方向に対する傾斜角度を可変させる可動機構を備えるように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、例えばユーザの手の大きさ等に応じて、一対の傾斜壁部の所定方向に対する傾斜角度を任意の角度に可変させることができる。その結果、ユーザが筐体の開口部に挿入していない指を傾斜壁部に沿って軽く伸ばした際に、当該指の爪が傾斜壁部に接触するのをより確実に抑制することができる。
【0012】
例えば、本発明の一態様に係るネイルプリンタにおいて、前記筐体は、さらに、前記一対の傾斜壁部からそれぞれ前記筐体の外部に向けて突出する一対の突部を有するように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、ユーザが筐体の開口部に挿入していない指を傾斜壁部に沿って軽く伸ばした際に、当該指の背側が傾斜壁部の突部に当たるようになる。これにより、当該指の爪が傾斜壁部に接触するのをより確実に抑制することができる。
【0014】
例えば、本発明の一態様に係るネイルプリンタにおいて、前記一対の突部はそれぞれ、前記一対の傾斜壁部に沿ってスライド可能であるように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、例えばユーザの手の大きさ等に応じて、一対の突部をそれぞれ一対の傾斜壁部に沿ってスライドさせることにより、一対の突部の各位置を容易に調節することができる。
【0016】
例えば、本発明の一態様に係るネイルプリンタにおいて、前記筐体は、さらに、前記開口部と前記一対の傾斜壁部との間にそれぞれ配置され、前記一対の傾斜壁部よりも前記筐体の外部に向けてそれぞれ突出する一対の側壁部を有するように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、ユーザは、指を筐体の開口部に挿入した状態で、筐体の開口部に挿入していない他の二指で一対の側壁部を両側から挟持することにより、当該他の二指の姿勢をより安定させることができる。
【0018】
例えば、本発明の一態様に係るネイルプリンタにおいて、前記印刷部は、前記筐体の内部に移動可能に配置されたキャリッジと、前記キャリッジに配置され、前記指の爪に向けてインクを吐出するヘッド部と、を有するように構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、指の爪にインクジェット方式による印刷を施すことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様に係るネイルプリンタによれば、印刷の実行中におけるユーザの身体的負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態1に係るネイルプリンタを示す斜視図である。
図2図1とは異なる角度から見た状態での、実施の形態1に係るネイルプリンタを示す斜視図である。
図3】筐体の一部を切り欠いた状態での、実施の形態1に係るネイルプリンタの内部構造を示す斜視図である。
図4図1のIV-IV線による、実施の形態1に係るネイルプリンタの断面図である。
図5】実施の形態1に係るネイルプリンタの使用方法を説明するための斜視図である。
図6図5のVI-VI線による、実施の形態1に係るネイルプリンタの要部断面図である。
図7】実施の形態2に係るネイルプリンタの要部断面図である。
図8】実施の形態3に係るネイルプリンタを示す斜視図である。
図9図8のIX-IX線による、実施の形態3に係るネイルプリンタの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0023】
(実施の形態1)
[1-1.ネイルプリンタの構成]
まず、図1図4を参照しながら、実施の形態1に係るネイルプリンタ2の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係るネイルプリンタ2を示す斜視図である。図2は、図1とは異なる角度から見た状態での、実施の形態1に係るネイルプリンタ2を示す斜視図である。図3は、筐体4の一部を切り欠いた状態での、実施の形態1に係るネイルプリンタ2の内部構造を示す斜視図である。図4は、図1のIV-IV線による、実施の形態1に係るネイルプリンタ2の断面図である。
【0024】
図1図4に示すように、ネイルプリンタ2は、筐体4と、印刷部6とを備えている。なお、ネイルプリンタ2は、例えばスマートフォン等の外部端末(図示せず)と無線通信可能である。ユーザは、外部端末にインストールされたアプリケーションをユーザインタフェースとして用いることにより、ネイルプリンタ2を操作することができる。
【0025】
図1図2及び図4に示すように、筐体4は、例えば樹脂製であり、箱形状に形成されている。図1及び図3に示すように、筐体4の天面4aには、ネイルプリンタ2の電源をオン又はオフするための電源スイッチ8が配置されている。
【0026】
図1図3に示すように、筐体4の前面4bには、ユーザの手の指10(図3参照)を所定方向(Y軸のプラス方向)に挿入するための開口部12が配置されている。図3に示すように、開口部12の下側(Z軸のマイナス側)には載置プレート14が配置され、開口部12の上側(Z軸のプラス側)には押さえプレート16が配置されている。載置プレート14は開口部12に対して上下方向に移動可能であり、押さえプレート16に近付く方向にバネ(図示せず)で付勢されている。
【0027】
図3に示すように、ユーザは、指10の爪18が上側を向くようにして、指10を真っ直ぐに伸ばした状態で筐体4の開口部12に挿入し、指10の腹側を載置プレート14に載置する。なお、指10の挿入方向は、筐体4の前面4bから背面4c(前面4bと反対側の面)(図4参照)に向かう方向である。これにより、指10の爪18を含む部分(例えば、指10の先端から第一関節の近傍までの部分)が筐体4の内部に配置される。この時、載置プレート14が押さえプレート16に近付く方向に付勢されることにより、例えば指10の第一関節付近が載置プレート14及び押さえプレート16により上下から挟持される。
【0028】
なお、筐体4の内部に配置された指10の爪18は、当該爪18の上方に配置された撮像素子(図示せず)により撮像される。撮像素子により撮像された爪18の画像データは、外部端末に無線で送信され、当該外部端末の表示部に表示される。ユーザは、外部端末の表示部に表示された爪18の画像データを見ながら、載置プレート14に対する指10の爪18の位置を調節する。
【0029】
図1及び図2に示すように、筐体4の開口部12の左右方向(X軸方向)における両側にはそれぞれ、一対の傾斜壁部20,22が配置されている。図4に示すように、一対の傾斜壁部20,22の各々は、筐体4の前面4bよりも背面4c側にやや奥まった位置に配置され、筐体4の前面4bから背面4cに向けて、指10の挿入方向(Y軸方向)に対して斜め下方に傾斜している。一対の傾斜壁部20,22の指10の挿入方向に対する傾斜角度θは、例えば45°である。一対の傾斜壁部20,22の各下端部は、筐体4の底面4dの近傍まで延びている。
【0030】
なお、本実施の形態では、傾斜壁部20の横幅(X軸方向における幅)を傾斜壁部22の横幅よりも大きくしたが、これに限定されない。傾斜壁部20の横幅を傾斜壁部22の横幅よりも小さくしてもよく、あるいは、傾斜壁部20の横幅と傾斜壁部22の横幅とを同じ大きさにしてもよい。
【0031】
また、本実施の形態では、一対の傾斜壁部20,22の各々を平坦状に形成したが、これに限定されず、例えば湾曲状に形成してもよい。
【0032】
また、図1図2及び図4に示すように、筐体4の開口部12と一対の傾斜壁部20,22との間にはそれぞれ、一対の側壁部24,26が配置されている。一対の側壁部24,26はそれぞれ、開口部12の左右方向における両側から下方(Z軸のマイナス方向)に延びるとともに、一対の傾斜壁部20,22よりも筐体4の外部(Y軸のマイナス方向)に突出している。
【0033】
図3及び図4に示すように、印刷部6は、筐体4の開口部12を通して筐体4の内部に配置された指10の爪18に対して、例えば色又は絵柄等の印刷によるマニキュアを施すための印刷ユニットである。本実施の形態では、印刷部6の印刷方式は、指10の爪18に対して微滴化したインクを吹き付けて印刷を施すインクジェット方式である。
【0034】
印刷部6は、筐体4の内部に移動可能に配置されている。印刷部6は、キャリッジ28と、キャリッジ28に配置されたヘッド部30(図4参照)とを有している。キャリッジ28には、各色のインクが充填されたインクカートリッジ32が交換可能に搭載されている。ヘッド部30は、インクカートリッジ32から供給されるインクを下方に向けて吐出する。
【0035】
図3及び図4に示すように、キャリッジ28は、X軸駆動機構34及びY軸駆動機構36により、筐体4の内部でX軸方向及びY軸方向に移動する。
【0036】
X軸駆動機構34は、X軸ガイドシャフト38と、X軸モータ40と、タイミングベルト42とを有している。X軸ガイドシャフト38は、筐体4の内部に配置された走査テーブル44に支持されており、X軸方向(指10の挿入方向に対して略垂直な方向)に長尺状に延びている。X軸ガイドシャフト38には、キャリッジ28が移動可能に支持されている。X軸モータ40は、例えばサーボモータであり、走査テーブル44に支持されている。X軸モータ40の駆動力は、タイミングベルト42を介してキャリッジ28に伝達される。これにより、キャリッジ28は、走査テーブル44に対して、X軸ガイドシャフト38に沿ってX軸方向に往復移動する。
【0037】
Y軸駆動機構36は、Y軸ガイドシャフト46と、Y軸モータ(図示せず)と、ギアユニット48とを有している。Y軸ガイドシャフト46は、筐体4に支持されており、Y軸方向(指10の挿入方向)に長尺状に延びている。Y軸ガイドシャフト46には、走査テーブル44が移動可能に支持されている。Y軸モータは、例えばサーボモータであり、筐体4に支持されている。Y軸モータの駆動力は、ギアユニット48を介して走査テーブル44に伝達される。これにより、走査テーブル44は、キャリッジ28と一体的にY軸ガイドシャフト46に沿ってY軸方向に往復移動する。
【0038】
キャリッジ28がX軸方向に往復移動しながら、Y軸のマイナス方向に向けて移動している状態で、印刷部6のヘッド部30から指10の爪18に向けてインクが吐出されることにより、指10の爪18に印刷が施される。
【0039】
また、図3及び図4に示すように、筐体4の内部には、印刷部6のヘッド部30をメンテナンスするためのメンテナンスユニット50が配置されている。メンテナンスユニット50は、ヘッド部30の清掃(ワイピング)及び保護(キャッピング)を行う。メンテナンスユニット50は、傾斜壁部20の近傍に配置されており、Y軸方向に往復移動可能である。
【0040】
[1-2.ネイルプリンタの使用方法]
次に、図5及び図6を参照しながら、実施の形態1に係るネイルプリンタ2の使用方法について説明する。図5は、実施の形態1に係るネイルプリンタ2の使用方法を説明するための斜視図である。図6は、図5のVI-VI線による、実施の形態1に係るネイルプリンタ2の要部断面図である。
【0041】
以下、例えばユーザが左手の五指(親指10a、人差し指10b、中指10c、薬指10d及び小指10e)をこの順に筐体4の開口部12に挿入することにより、ネイルプリンタ2により当該五指の各爪18(図3参照)に順次印刷を施す場合について説明する。
【0042】
図5及び図6に示す例では、ユーザは、左手の中指10cを筐体4の開口部12に挿入している。この時、親指10aの爪18a及び人差し指10bの爪18bには、ネイルプリンタ2により既に印刷が施されているものとする。
【0043】
上述したように、筐体4の開口部12の左右方向における両側にはそれぞれ、一対の傾斜壁部20,22が配置されている。これにより、図5及び図6に示すように、ユーザは、筐体4の開口部12に挿入していない人差し指10bを傾斜壁部20に沿って軽く伸ばすことができるとともに、筐体4の開口部12に挿入していない薬指10d及び小指10eを傾斜壁部22に沿って軽く伸ばすことができる。この時、人差し指10bを軽く伸ばした状態であっても、乾燥前の印刷済みの人差し指10bの爪18bが傾斜壁部20に接触し難くなるので、人差し指10bの爪18bに施された印刷が剥がれるおそれが少なくなる。
【0044】
したがって、ユーザは、筐体4の開口部12に挿入していない人差し指10b、薬指10d及び小指10eをしっかりと折り曲げた状態で維持する必要が無いため、印刷の実行中におけるユーザの身体的負担を軽減することができる。
【0045】
なお、ユーザは、中指10cを筐体4の開口部12に挿入した状態で、人差し指10b及び薬指10dで一対の側壁部24,26を両側から挟持してもよい。これにより、人差し指10b及び薬指10dの姿勢をより安定させることができる。
【0046】
ユーザが中指10c以外の他の親指10a、人差し指10b、薬指10d及び小指10eを筐体4の開口部12に挿入した際にも、上述と同様に、印刷の実行中におけるユーザの身体的負担を軽減することができる。
【0047】
[1-3.効果]
上述したように、本実施の形態では、筐体4の開口部12の左右方向における両側にはそれぞれ、一対の傾斜壁部20,22が配置されている。一対の傾斜壁部20,22の各々は、筐体4の前面4bから背面4cに向けて、指10の挿入方向に対して斜め下方に傾斜している。
【0048】
これにより、ユーザは、筐体4の開口部12に挿入していない指10(例えば人差し指10b、薬指10d及び小指10e)を、傾斜壁部20(又は傾斜壁部22)に沿って軽く伸ばすことができる。その結果、ユーザは、当該指10をしっかりと折り曲げた状態で維持する必要が無いため、印刷の実行中におけるユーザの身体的負担を軽減することができる。
【0049】
また、一対の傾斜壁部20,22の各々が指10の挿入方向に対して斜め下方に傾斜しているので、例えばメンテナンスユニット50等を配置するための空間を傾斜壁部20(又は傾斜壁部22)の近傍に確保することができる。その結果、ネイルプリンタ2の小型化を図ることができる。
【0050】
(実施の形態2)
[2-1.ネイルプリンタの構成]
図7を参照しながら、実施の形態2に係るネイルプリンタ2Aの構成について説明する。図7は、実施の形態2に係るネイルプリンタ2Aの要部断面図である。説明の都合上、図7では、ネイルプリンタ2Aの内部構造の図示を省略してある。なお、以下の各実施の形態において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
図7に示すように、本実施の形態のネイルプリンタ2Aでは、一対の傾斜壁部20A,22Aはそれぞれ、ヒンジ52,54(可動機構の一例)を介して筐体4Aの前面4bに傾動可能に支持されている。ユーザは、例えば手動により、傾斜壁部20Aをヒンジ52周りに傾動させることができるとともに、傾斜壁部22Aをヒンジ54周りに傾動させることができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、一対の傾斜壁部20A,22Aの各々を手動で傾動させるようにしたが、これに限定されず、例えば可動機構を構成する専用モータ(図示せず)により、一対の傾斜壁部20A,22Aの各々を自動で傾動させるようにしてもよい。あるいは、例えばキャリッジ28(図3参照)のY軸方向への移動に連動して、一対の傾斜壁部20A,22Aの各々を自動で傾動させるようにしてもよい。
【0053】
[2-2.効果]
本実施の形態では、例えばユーザの手の大きさ等に応じて、一対の傾斜壁部20A,22Aの所定方向(Y軸方向)に対する傾斜角度θを任意の角度に可変させることができる。これにより、筐体4Aの開口部12に挿入していない指10(例えば人差し指10b)を傾斜壁部20A(又は傾斜壁部22A)に沿って軽く伸ばした状態であっても、当該指10の爪18(例えば爪18b)が傾斜壁部20A(又は傾斜壁部22A)に接触するのをより確実に抑制することができる。
【0054】
(実施の形態3)
[3-1.ネイルプリンタの構成]
図8及び図9を参照しながら、実施の形態3に係るネイルプリンタ2Bの構成について説明する。図8は、実施の形態3に係るネイルプリンタ2Bを示す斜視図である。図9は、図8のIX-IX線による、実施の形態3に係るネイルプリンタ2Bの要部断面図である。説明の都合上、図9では、ネイルプリンタ2Bの内部構造の図示を省略してある。
【0055】
図8及び図9に示すように、本実施の形態のネイルプリンタ2Bでは、筐体4Bは、一対の傾斜壁部20B,22Bからそれぞれ筐体4Aの外部に向けて突出する一対の突部56,58を有している。一対の突部56,58はそれぞれ、一対の傾斜壁部20B,22Bの各傾斜方向に対して略垂直な方向(X軸方向)に長尺状に延びている。
【0056】
また、一対の突部56,58はそれぞれ、一対の傾斜壁部20B,22Bの各傾斜方向に沿ってスライド可能である。具体的には、図8に示すように、突部56は、傾斜壁部20Bの外面に形成され、且つ、傾斜壁部20Bの傾斜方向に沿って長尺状に延びる溝60に摺動可能に嵌合されている。また、突部58は、傾斜壁部22Bの外面に形成され、且つ、傾斜壁部22Bの傾斜方向に沿って長尺状に延びる溝62に摺動可能に嵌合されている。
【0057】
[3-2.効果]
本実施の形態では、図9に示すように、筐体4Bの開口部12に挿入していない指10(例えば人差し指10b)を傾斜壁部20B(又は傾斜壁部22B)に沿って軽く伸ばした際に、当該指10の背側(例えば指10の第一関節付近)が傾斜壁部20Bの突部56(又は傾斜壁部22Bの突部58)に当たるようになる。これにより、当該指10の爪18(例えば爪18b)と傾斜壁部20B(又は傾斜壁部22B)との間に間隙が形成されるので、当該指10の爪18が傾斜壁部20B(又は傾斜壁部22B)に接触するのをより確実に抑制することができる。
【0058】
また、例えばユーザの手の大きさ等に応じて、一対の突部56,58をそれぞれ一対の傾斜壁部20B,22Bの各傾斜方向に沿ってスライドさせることにより、一対の突部56,58の各位置を容易に調節することができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、一対の突部56,58をそれぞれ一対の傾斜壁部20B,22Bの各傾斜方向に沿ってスライド可能としたが、一対の突部56,58をそれぞれ一対の傾斜壁部20B,22Bに固定してもよい。
【0060】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態1~3に係るネイルプリンタ2(2A,2B)について説明したが、本発明は、これらの上記各実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0061】
例えば、上記各実施の形態において、印刷部6の印刷方式をインクジェット方式としたが、これに限定されず、他の印刷方式を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、例えば指の爪に印刷を施すためのネイルプリンタとして適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
2,2A,2B ネイルプリンタ
4,4A,4B 筐体
4a 天面
4b 前面
4c 背面
4d 底面
6 印刷部
8 電源スイッチ
10 指
10a 親指
10b 人差し指
10c 中指
10d 薬指
10e 小指
12 開口部
14 載置プレート
16 押さえプレート
18,18a,18b 爪
20,20A,20B,22,22A,22B 傾斜壁部
24,26 側壁部
28 キャリッジ
30 ヘッド部
32 インクカートリッジ
34 X軸駆動機構
36 Y軸駆動機構
38 X軸ガイドシャフト
40 X軸モータ
42 タイミングベルト
44 走査テーブル
46 Y軸ガイドシャフト
48 ギアユニット
50 メンテナンスユニット
52,54 ヒンジ
56,58 突部
60,62 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9