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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】車両用導光体及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/236 20180101AFI20220830BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20220830BHJP
   F21S 43/249 20180101ALI20220830BHJP
   F21S 43/50 20180101ALI20220830BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220830BHJP
【FI】
F21S43/236
F21S43/245
F21S43/249
F21S43/50
F21S2/00 433
F21S2/00 435
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018163287
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020035714
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 整
(72)【発明者】
【氏名】谷口 直穂
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎之介
(72)【発明者】
【氏名】本杉 宇晃
【審査官】上尾 敬彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-011939(JP,A)
【文献】特開2016-126948(JP,A)
【文献】特開2017-147102(JP,A)
【文献】特開2015-147470(JP,A)
【文献】特開2014-007014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/236
F21S 43/245
F21S 43/249
F21S 43/50
F21S 2/00
F21W 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状であり、第1光源からの光が長手方向の一方の端部に設けられる第1入射面から入射し、入射した前記光を導光して車両搭載状態における前側の側面に設けられる第1出射面から出射する第1導光体と、
棒状であり、第2光源からの光を長手方向の一方の端部に設けられる第2入射面から入射し、入射した前記光の一部を導光して車両搭載状態における前側の側面に設けられる第2出射面から出射する基部と、前記基部を通過した前記光を長手方向の他方の端部に導光する先端部とを有する第2導光体と、
前記第1導光体の側面に接続されて当該第1導光体の長手方向に沿って設けられ、前記第2導光体の前記他方の端部が接続され、前記他方の端部からの前記光を前記第1導光体に導光可能な板状部と
を備え、
前記板状部は、平板状であり、
前記第2導光体は、前記基部において長手方向に垂直な平面による断面形状が円形であり、前記先端部において前記基部から前記板状部に向けて長手方向に垂直な平面による断面形状が円形から徐々に平板状となる形状であり、
前記板状部は、前記第2光源からの前記光を当該板状部の内側に拡散させる光拡散部を有する
車両用導光体。
【請求項2】
前記第2導光体は、前記基部が湾曲部を有し、
前記板状部は、前記第2導光体の前記湾曲部に接続される部分を有し、
前記光拡散部は、前記湾曲部に対応する位置に配置される
請求項1に記載の車両用導光体。
【請求項3】
前記光拡散部は、車両搭載状態における上下方向に多段に設けられる
請求項2に記載の車両用導光体。
【請求項4】
前記光拡散部は、前記板状部のうち車両搭載状態における前側の面に配置される
請求項2又は請求項3に記載の車両用導光体。
【請求項5】
前記光拡散部は、前記湾曲部の長手方向に沿って配置される
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の車両用導光体。
【請求項6】
前記第2導光体は、前記先端部の前記他方の端部が前記板状部のうち車両搭載状態における上方から接続され、
前記光拡散部は、前記板状部の前側の面及び後側の面のうち前記他方の端部に接続される面とは反対側の面において前記板状部と前記他方の端部との接続部分に重なる位置に配置される
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両用導光体。
【請求項7】
前記光拡散部は、前記第1導光体の長手方向に沿って配置される
請求項6に記載の車両用導光体。
【請求項8】
光源と、
前記光源からの光を導光して車両前方に出射する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用導光体と
を備える車両用灯具。
【請求項9】
車両搭載状態における前方から見た状態で、少なくとも前記第2導光体の前記先端部と、前記板状部とを覆うカバー部を備える
請求項8に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用導光体及び車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
光源からの光を導光して発光させる車両用導光体を搭載した車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような車両用導光体は、光源から出射される光を車両用導光体の長手方向の一方の端部から入射し、入射した光を長手方向に沿って導光して側面から出射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-7014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車両用導光体においては、長手方向の長さが長くなると、光源から離れるにつれて照度が低下する。これに対して、例えば複数の車両用導光体が用いられる場合には、一の車両用導光体の側面に他の車両用導光体を接続し、他の車両用導光体からの光を一の車両用導光体に供給することにより、光源から離れた部分の照度を補う構成が考えられる。しかしながら、この構成では、接続部分で点光りが生じ、見栄えが低下する場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、見栄えの低下を抑制することが可能な車両用導光体及び車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用導光体は、棒状であり、第1光源からの光が長手方向の一方の端部に設けられる第1入射面から入射し、入射した前記光を導光して車両搭載状態における前側の側面に設けられる第1出射面から出射する第1導光体と、棒状であり、第2光源からの光を長手方向の一方の端部に設けられる第2入射面から入射し、入射した前記光の一部を導光して車両搭載状態における前側の側面に設けられる第2出射面から出射する基部と、前記基部を通過した前記光を長手方向の他方の端部に導光する先端部とを有する第2導光体と、前記第1導光体の側面に接続されて当該第1導光体の長手方向に沿って設けられ、前記第2導光体の前記他方の端部が接続され、前記他方の端部からの前記光を前記第1導光体に導光可能な板状部とを備え、前記板状部は、前記第2光源からの前記光を当該板状部の内側に拡散させる光拡散部を有する。
【0007】
上記の車両用導光体において、前記第2導光体は、前記基部が湾曲部を有し、前記板状部は、前記第2導光体の前記湾曲部に接続される部分を有し、前記光拡散部は、前記湾曲部に対応する位置に配置されてもよい。
【0008】
上記の車両用導光体において、前記光拡散部は、車両搭載状態における上下方向に多段に設けられてもよい。
【0009】
上記の車両用導光体において、前記光拡散部は、前記板状部のうち車両搭載状態における前側の面に配置されてもよい。
【0010】
上記の車両用導光体において、前記光拡散部は、前記湾曲部の長手方向に沿って配置されてもよい。
【0011】
上記の車両用導光体において、前記第2導光体は、前記先端部の前記他方の端部が前記板状部のうち車両搭載状態における上方から接続され、前記光拡散部は、前記板状部の前側の面及び後側の面のうち前記他方の端部に接続される面とは反対側の面において前記接続部分に重なる位置に配置されてもよい。
【0012】
上記の車両用導光体において、前記光拡散部は、前記第1導光体の長手方向に沿って配置されてもよい。
【0013】
本発明に係る車両用灯具は、光源と、前記光源からの光を導光して車両前方に出射する、上記の車両用導光体とを備える。
【0014】
上記の車両用灯具は、車両搭載状態における前方から見た状態で、少なくとも前記第2導光体の前記先端部と前記板状部とを覆うカバー部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、見栄えの低下を抑制することが可能な車両用導光体及び車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す正面図である。
図2図2は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す正面図である。
図3図3は、本実施形態に係る車両用導光体の一例を示す正面図である。
図4図4は、本実施形態に係る車両用導光体の一例を示す背面図である。
図5図5は、図3におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。
図6図6は、図3におけるB-B断面に沿った構成を示す図である。
図7図7は、図3におけるC-C断面に沿った構成を示す図である。
図8図8は、本実施形態に係る車両用導光体において、光源を点灯させる場合の一例を示す図である。
図9図9は、変形例に係る車両用導光体の一例を示す正面図である。
図10図10は、図9におけるD-D断面に沿った構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る車両用導光体及び車両用灯具の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下の説明において、前後、上下、左右の各方向は、車両用導光体及び車両用灯具が車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向であるとする。
【0018】
図1及び図2は、本実施形態に係る車両用灯具200の一例を示す正面図である。図1はカバー部を外した状態を示し、図2はカバー部を取り付けた状態を示している。図1及び図2に示すように、車両用灯具200は、光源50と、車両用導光体100と、ランプハウジング110と、ランプレンズ120と、カバー部130とを備える。
【0019】
本実施形態において、車両用灯具200は、例えばクリアランスランプを含む。また、車両用灯具200は、ランプハウジング110とランプレンズ120とで区画される灯室内において、クリアランスランプの他に、例えばロービーム用ランプ、ハイビーム用ランプ、フォグランプ、コーナリングランプなどが配置されてもよい。カバー部130は、前方から見た状態において、光源50と、車両用導光体100の一部(後述する第2導光体20の先端部20b及び板状部30)とを覆っている。
【0020】
車両用灯具200は、車両の前部の左右両側に取り付けられている。本実施形態では、車両の前部の右側に取り付けられる車両用灯具を例に挙げて説明する。なお、車両の前部の左側に取り付けられる車両用灯具においては、車両用灯具200に対して左右対称であり、同様の説明が可能である。車両の右側に搭載される車両用灯具200において、車両の外側は右側であり、車両の内側は左側である。なお、車両の左側に搭載される車両用灯具において、車両の外側は左側であり、車両の内側は右側である。
【0021】
<光源>
光源50は、車両用導光体100に光を供給する。光源50は、第1光源51及び第2光源52を有する。第1光源51及び第2光源52は、例えばLEDやOEL、OLED(有機EL)などの半導体型光源である。第1光源51は、ランバーシアン分布を形成するように光を出射する発光面51aを有する。発光面51aは、後述の第1導光体10の第1入射面11に対向して配置される。第2光源52は、ランバーシアン分布を形成するように光を出射する発光面52aを有する。発光面52aは、後述の第2導光体20の第2入射面21に対向して配置される。
【0022】
<車両用導光体>
図3は、本実施形態に係る車両用導光体100の一例を示す正面図である。図4は、車両用導光体100の一例を示す背面図である。図5は、図3におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。図6は、図3におけるB-B断面に沿った構成を示す図である。図7は、図3におけるC-C断面に沿った構成を示す図である。図3から図7に示す車両用導光体100は、第1導光体10と、第2導光体20と、板状部30とを備える。第1導光体10、第2導光体20及び板状部30は、例えば透明な樹脂材料を用いて形成され、成型等により一部材として形成される。
【0023】
<第1導光体>
第1導光体10は、棒状であり、湾曲部10eと、直線部10fとを有する。車両用導光体100を成型した後、型抜きする際に直線部10fに力を作用させることで、型抜きを円滑に行うことができる。第1導光体10は、長手方向の一方の端部10cから他方の端部10dにかけて、長手方向に垂直な平面による断面形状が円形である。第1導光体10は、第1入射面11と、第1プリズム部12と、第1出射面13とを有する。第1入射面11は、第1導光体10の長手方向の一方の端部に設けられる。第1入射面11は、例えば平面状であり、第1光源51の発光面51aに対向し、第1光源51からの光が入射する。
【0024】
第1プリズム部12は、第1導光体10のうち車両搭載状態における後側に、当該第1導光体10の長手方向に複数並んだ状態で配置される。第1プリズム部12は、例えば第1導光体10の前側に凹んだ凹状に形成されるが、これに限定されるものではなく、第1導光体10の後面において後側に突出した凸状に形成されてもよい。第1プリズム部12は、第1入射面11から入射した光を車両の前方に向けて反射する。第1出射面13は、第1導光体10のうち車両搭載状態における前側に設けられる。第1出射面13は、例えば円筒面状であり、第1プリズム部12で反射される光を車両前方に出射する。
【0025】
<第2導光体>
第2導光体20は、棒状であり、第1導光体10の上方に配置される。第2導光体20は、基部20a及び先端部20bを有する。基部20aは、例えば長手方向に垂直な平面による断面形状が円形である。基部20aは、湾曲部20eと、直線部20fとを有する形状である。湾曲部20eは、例えば第1導光体10の湾曲部10eに対応する位置に設けられる。直線部20fは、例えば湾曲部20eに対して先端部20b側の位置に設けられる。このように、第2導光体20は、第1導光体10に沿って配置される。基部20aは、第2入射面21と、第2プリズム部22と、第2出射面23と、を有する。
【0026】
第2入射面21は、第2導光体20の長手方向の一方の端部20cに設けられる。第2入射面21は、例えば平面状であり、第2光源52の発光面52aに対向し、第2光源52からの光が入射する。
【0027】
第2プリズム部22は、第2導光体20のうち車両搭載状態における後側に、当該第2導光体20の長手方向に複数並んだ状態で配置される。第2プリズム部22は、例えば第2導光体20の前側に凹んだ凹状に形成されるが、これに限定されるものではなく、第2導光体20の後面において後側に突出した凸状に形成されてもよい。第2プリズム部22は、第2入射面21から入射した光を車両の前方に向けて反射する。第2出射面23は、第2導光体20のうち車両搭載状態における前側に設けられる。第2出射面23は、例えば円筒面状であり、第2プリズム部22で反射される光を車両前方に出射する。
【0028】
先端部20bは、第2入射面21から入射して基部20aを通過した光の一部を他方の端部20dに導光する。先端部20bは、基部20aから他方の端部20dにかけて、板状部30側に湾曲している。先端部20bは、他方の端部20dが例えば板状部30の前側の面に接続される。
【0029】
図6に示すように、先端部20bは、板状部30に向けて先細りに形成される。先端部20bは、例えば前後方向の寸法(厚さ)が、基部20a側から他方の端部20d側にかけて徐々に薄くなっている。つまり、先端部20bは、長手方向に垂直な平面による断面形状が基部20a側から他方の端部20d側にかけて円形から平板状に徐々に変形している。なお、先端部20bは、左右方向の寸法(幅)が板状部30に向けて先細りに形成されてもよい。
【0030】
<板状部>
板状部30は、平板状であり、第1導光体10の側面のうち第1出射面13とは異なる部分に接続され、長手方向に沿って配置される。本実施形態において、板状部30は、第1導光体10の側面のうち車両搭載状態における上側に配置される。板状部30は、第1導光体10の一方の端部10cから他方の端部10dにかけて長手方向の全体に亘って設けられる。板状部30は、前後方向の寸法(厚さ)が長手方向の全体に亘って均一となっている。車両用導光体100を前方から見た場合、第1導光体10の上辺が、当該第1導光体10の長手方向に沿った線状となっている。つまり、第1導光体10の上辺では、前方から見た場合に、上方又は下方に屈曲された変曲部を有しない構成となっている。
【0031】
板状部30は、第1部分31と、第2部分32とを有する。第1部分31は、第1導光体10に接続される部分である。第1部分31は、第1導光体10の長手方向のほぼ全体に亘って設けられる。第1部分31は、前方から見た状態において、長手方向に直交する方向(幅方向)の寸法が均一に設けられる。第2部分32は、第2導光体20に接続される部分である。第2部分32は、第1部分31と第2導光体20とで挟まれる領域に設けられる。第2部分32は、第2導光体20の長手方向のほぼ全体に亘って設けられる。したがって、第1導光体10と第2導光体20とは、対向する側面同士が板状部30の第1部分31及び第2部分32によって一体的に連結された状態であり、高い剛性が確保される。
【0032】
板状部30は、第2光源52からの光を導光可能である。本実施形態において、板状部30では、第2光源52から基部20a及び先端部20bを介して当該他方の端部20dに到達する光が、当該他方の端部20dに接続される前側の面に入射する。板状部30は、入射した光を第1導光体10に導光する。
【0033】
<光拡散部>
板状部30には、光拡散部として、プリズム部31aと、シボ部32aと、プリズム部32bと、プリズム部32cとが設けられる。
【0034】
プリズム部31aは、第1部分31の後側の面であって、第2導光体20の他方の端部20dに接続される接続部分に重なる位置に配置される。つまり、プリズム部31aは、第1部分31において、他方の端部20dに接続される面とは反対側の面に配置される。プリズム部31aは、第2導光体20の他方の端部20dから板状部30の内部に入射する光を、当該板状部30の後側の面において内側に拡散させることで、光が板状部30の後方に出射されることを抑制している。プリズム部31aは、例えば複数の光反射面が第1導光体10の長手方向に沿って並んだ状態のプリズム部を有する。
【0035】
プリズム部31aは、例えば他方の端部20dとの接続部分から第1導光体10の長手方向の両側にはみ出す範囲に設けられる。なお、プリズム部31aを配置する範囲については、これに限定されず、他方の端部20dとの接続部分から長手方向の一方にはみ出す範囲に設けられてもよいし、他方の端部20dとの接続部分からはみ出さない範囲に設けられてもよい。
【0036】
シボ部32aは、第2部分32の前側の面において、例えばプリズム部32b、32cが設けられる部分とは異なる部分に設けられる。シボ部32aは、例えば第2部分32のうち、光源50側の部分(上流側部分)については全面に設けられ、光源50とは反対側の部分(下流側部分)については第1導光体10に沿った部分及び第2導光体20に沿った部分に設けられる。また、第2部分32の下流側部分には、上下方向の中央部にシボ部32aが形成されない平坦部32dが設けられる。なお、平坦部32dは、設けられなくてもよい。この場合、シボ部32aは、第2部分32の下流側部分の全面に設けられる。
【0037】
プリズム部32bは、第2部分32の前側の面のうち、第2導光体20の湾曲部20eに対応する位置に設けられる。プリズム部32bは、第2入射面21から入射する光のうち湾曲部20eにおいて板状部30側に進入する光を板状部30の内部に拡散させることで、当該光が板状部30の前方に出射されることを抑制している。プリズム部32bは、例えば複数の反射面が湾曲部20eに接する部分に第2導光体20の長手方向に沿って設けられる。
【0038】
プリズム部32cは、第2部分32の前側の面のうち、第1導光体10の湾曲部10eに対応する位置に設けられる。プリズム部32cは、第2入射面21から入射する光のうち湾曲部20eにおいて板状部30側に進入して第1導光体10側に進行した光を板状部30の内部に拡散させることで、当該光が板状部30の前方に出射されることを抑制している。プリズム部32cは、例えば複数の反射面が湾曲部10eに接する部分に第1導光体10の長手方向に沿って設けられる。
【0039】
<カバー部>
図2に示すように、車両用灯具200は、カバー部130を有する。カバー部130は、車両用導光体100の前方に配置される。カバー部130は、第1開口部131及び第2開口部132を有する。第1開口部131は、第1導光体10の第1出射面13に対応する部分に設けられる。第2開口部132は、第2導光体20の第2出射面23に対応する部分に設けられる。
【0040】
車両用灯具200を前方から見た場合、カバー部130は、光源50と、車両用導光体100のうち、第1開口部131及び第2開口部132が設けられる部分以外の部分とを覆った状態で設けられる。つまり、カバー部130は、前方から見て、光源50と、第2導光体20の先端部20bと、板状部30とを覆った状態で設けられる。したがって、カバー部130により、第2導光体20と板状部30との接続部分の構成が外部から見えない構成となっている。
【0041】
図8は、本実施形態に係る車両用導光体100において、光源50を点灯させる場合の一例を示す図である。図8に示すように、第1光源51及び第2光源52から出射される光は、それぞれ第1入射面11及び第2入射面21から第1導光体10及び第2導光体20に入射する。
【0042】
第1入射面11から入射した光L1は、第1導光体10の内部において内部反射しながら長手方向に沿って導光される。この光L1は、第1プリズム部12により車両前方に向けて反射される。第1プリズム部12で反射した光L1は、第1導光体10の第1出射面13から車両前方に向けて出射される。
【0043】
第2入射面21から入射した光L2の一部は、第2導光体20の基部20aにおいて内部反射しながら長手方向に沿って導光される。この光L2は、第2プリズム部22により車両前方に向けて反射される。第2プリズム部22で反射した光L2は、第2導光体20の第2出射面23から車両前方に向けて出射される。
【0044】
なお、第2入射面21から入射した光L2の一部は、湾曲部20eにおいて板状部30の第2部分32に進入する場合がある。本実施形態では、シボ部32a、プリズム部32b及びプリズム部32cによって板状部30の内部に拡散される。このため、第2部分32に進入した光L2の一部が板状部30の前方及び後方に出射されることを抑制できる。
【0045】
また、第2入射面21から入射して基部20aを通過した光L2の一部は、先端部20bにおいて長手方向に沿って他方の端部20dに導光される。他方の端部20dに到達した光L2の一部は、他方の端部20dから板状部30に入射する。板状部30に入射した光L2の一部は、板状部30により導光されて第1導光体10に入射する。この場合、光L2の一部は、例えば第1導光体10のうち第1光源51から長手方向に離れた位置に入射する。
【0046】
本実施形態では、車両用導光体100を前方から見た場合、第1導光体10の側面のうち少なくとも第2導光体20の他方の端部20dが配置される部分の近傍では、長手方向について一定の形状であり、変曲部が形成されない構成となる。したがって、第2導光体20の他方の端部20dに到達した光L2の一部が板状部30を介して第1導光体10に入射する場合には、第1導光体10の側面において点光りの形成が抑制される。
【0047】
なお、他方の端部20dから板状部30の第1部分31に入射して後側の面に到達する光L2の一部は、プリズム部31aによって板状部30の内部に拡散される。このため、第1部分31の後面に到達した光L2の一部が板状部30の後方に出射されることを抑制できる。
【0048】
第1導光体10に入射した光L1の一部は、第1導光体10の内部において内部反射しながら長手方向に沿って導光され、第1プリズム部12により車両前方に向けて反射される。第1プリズム部12で反射した光L1の一部は、第1出射面13から車両前方に向けて出射される。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る車両用導光体100は、棒状であり、第1光源51からの光L1が長手方向の一方の端部10cに設けられる第1入射面11から入射し、入射した光L1を導光して車両搭載状態における前側の側面に設けられる第1出射面13から出射する第1導光体10と、棒状であり、第2光源52からの光L2を長手方向の一方の端部20cに設けられる第2入射面21から入射し、入射した光L2の一部を導光して車両搭載状態における前側の側面に設けられる第2出射面23から出射する基部20aと、基部20aを通過した光L2を長手方向の他方の端部20dに導光する先端部20bとを有する第2導光体20と、第1導光体10の側面に接続されて当該第1導光体10の長手方向に沿って設けられ、第2導光体20の他方の端部20dが接続され、他方の端部20dからの光を第1導光体10に導光可能な板状部30とを備え、板状部30は、第2光源52からの光L2を当該板状部30の内側に拡散させる光拡散部(31a、32a、32b、32c)を有する。
【0050】
この構成により、車両用導光体100を前方から見た場合、第1導光体10の側面のうち少なくとも第2導光体20の他方の端部20dが配置される部分の近傍では、長手方向について一定の形状となり、変曲部が形成されない構成となる。したがって、第2導光体20の他方の端部20dに到達した光L2の一部が板状部30を介して第1導光体10に入射する場合には、第1導光体10の側面において点光りの形成が抑制される。このため、点光りの形成を抑制しつつ、第2導光体20から光L2の一部を第1導光体10に供給できる。また、板状部30の光拡散部(31a、32a、32b、32c)により、第2導光体20から板状部30に進入する光を板状部30の内部に拡散させることができる。このため、第2導光体20から板状部30に進入する光が板状部30から前方及び後方に出射されることを抑制できる。これにより、見栄えの低下を抑制することが可能となる。
【0051】
本実施形態に係る車両用導光体100において、第2導光体20は、基部20aが湾曲部20eを有し、板状部30は、第2導光体20の湾曲部20eに接続される第2部分32を有し、湾曲部20eに対応する位置にプリズム部32b、32cが配置される。この構成により、第2導光体20の湾曲部20eから板状部30に進入する光を板状部30の内部に拡散させることができる。
【0052】
本実施形態に係る車両用導光体100において、プリズム部32b、32cは、車両搭載状態における上下方向に多段に設けられる。この構成により、第2導光体20の湾曲部20eから板状部30に進入する光をより確実に板状部30の内部に拡散させることができる。なお、プリズム部32b、32cについては、上下方向に多段に設けられる構成に限定されない。例えば、プリズム部32bは設けられなくてもよく、少なくともプリズム部32cが設けられていればよい。
【0053】
本実施形態に係る車両用導光体100において、シボ部32a及びプリズム部32b、32cは、板状部30のうち車両搭載状態における前側の面に配置される。この構成により、第2導光体20の湾曲部20eから板状部30に進入する光が板状部30の前方に出射されることを抑制できる。
【0054】
本実施形態に係る車両用導光体100において、プリズム部32b、32cは、湾曲部20eの長手方向に沿って配置される。この構成により、第2導光体20の湾曲部20eから板状部30に進入する光をより確実に板状部30の内部に拡散させることができる。
【0055】
本実施形態に係る車両用導光体100において、第2導光体20は、他方の端部20dが板状部30のうち車両搭載状態における上方から接続され、プリズム部31aは、板状部30のうち他方の端部に接続される面とは反対側の面である後側の面において接続部分に重なる位置に配置される。この構成では、プリズム部31aにより、他方の端部20dから板状部30内に進行する光をより確実に板状部30の内部に拡散させることができる。
【0056】
本実施形態に係る車両用導光体100において、プリズム部31aは、第1導光体10の長手方向に沿って配置される。この構成により、他方の端部20dから板状部30内に進行する光をより確実に板状部30の内部に拡散させることができる。
【0057】
本発明に係る車両用灯具200は、光源50と、光源50からの光を導光して車両前方に出射する、上記の車両用導光体100とを備える。これにより、見栄えに優れた車両用灯具200を提供することができる。
【0058】
本実施形態に係る車両用灯具200は、車両搭載状態における前方から見た状態で少なくとも第2導光体20の先端部20bと板状部30とを覆うカバー部130を備える。この構成により、第2導光体20と板状部30との接続部分の構成が外部から見えない状態とすることができる。これにより、見栄えの低下を抑制できる。
【0059】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態において、板状部30が第2導光体20のうち第1導光体10側の側面に長手方向の全体に亘って接続される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、長手方向の少なくとも一部が接続されない構成であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態において、板状部30が第1導光体10の長手方向の全体に亘って設けられる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、長手方向の一部に設けられる構成であってもよい。
【0061】
また、上記実施形態において、先端部20bが板状部30に向けて先細りに形成される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、板状部30に向けて厚さ及び幅が変化しない構成であってもよい。
【0062】
また、上記実施形態において、第1導光体10の一方の端部10cに対向して第1光源51が配置される構成を例に挙げて説明したが、第1導光体10の他方の端部10dに対向して光源を配置してもよい。これにより、他方の端部10d側からも第1導光体10に光を供給できるため、より照度を高めることが可能となる。
【0063】
また、上記実施形態において、先端部20bが板状部30の前側の面に接続される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、板状部30の後側の面に接続される構成であってもよい。この場合、プリズム部31aは、板状部30の前側の面に配置することができる。
【0064】
また、上記実施形態において、車両用灯具200のカバー部130が車両搭載状態における前方から見た状態で少なくとも第2導光体20の先端部20bと板状部30とを覆う構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、カバー部130が第2導光体20の先端部20b及び板状部30のうち少なくとも一部を覆わない構成であってもよい。
【0065】
また、上記実施形態において、車両用導光体100が左右方向に延びる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。図9は、変形例に係る車両用導光体300の一例を示す正面図である。図9に示す車両用導光体300は、第1導光体210と、第2導光体220と、板状部230とを備える。図9に示す車両用導光体300は、第1導光体210、第2導光体220及び板状部230のうち光源50側の端部が上方かつ後方に湾曲しており、光源50とは反対側の端部が下方かつ前方に湾曲した形状を有している。
【0066】
第1導光体210は、光源側湾曲部210eと、光源側直線部210fと、先端側湾曲部210gと、先端側直線部210hとを有する。光源側湾曲部210eは、光源50側の端部210cに向けて上方かつ後方に湾曲した形状である。光源側直線部210fは、光源側湾曲部210eと先端側湾曲部210gとを左右方向に接続する。先端側湾曲部210gは、光源とは反対の先端側の端部に向けて下方かつ前方に湾曲した形状である。先端側直線部210fは、先端側湾曲部210gから下方かつ前方に延びている。なお、図9では、先端側直線部210fの一部の図示を省略している。第1導光体210は、第1入射面211と、第1プリズム部212と、第1出射面213とを有する。第1プリズム部212は、例えば第1導光体210の後面において前側に凹んだ凹状に形成されるが、これに限定されるものではなく、例えば第1導光体10の後側に突出した凸状に形成されてもよい。
【0067】
また、第2導光体220は、基部220a及び先端部220bを有する。基部220aは、湾曲部220e及び直線部220fを有する。第2導光体220は、湾曲部220eが光源50側の端部220cに向けて上方かつ後方に湾曲した形状である。基部220aは、第2入射面221と、第2プリズム部222と、第2出射面223とを有する。先端部220bは、基部220aから他方の端部220dにかけて、板状部230側に延びている。先端部220bは、他方の端部220dが板状部230に上方から接続される。
【0068】
板状部230は、光源側湾曲部230eと、先端側湾曲部230gとを有する。光源側湾曲部230eは、第1導光体210の光源側湾曲部210e及び第2導光体220の湾曲部220eのそれぞれの形状に対応するように、第1部分231及び第2部分232が共に光源側が上方かつ後方に湾曲した形状となっている。
【0069】
図10は、図9におけるD-D断面に沿った構成を示す図である。図10は、第1導光体210と第2導光体220とを接続する部分の板状部230の断面構成を示している。図10に示すように、第1部分231は、第1導光体210の上部から後方に向けて延びている。なお、第1部分231は、後方に向けて上側に傾斜した状態であってもよい。第2部分232は、第1部分231の後方の端部から上方に向けて延びている。したがって、板状部230は、第1部分231及び第2部分232によりD-D断面視において略L状に形成されている。
【0070】
光源側湾曲部230eは、第2部分232の前側の面に、シボ部232aと、プリズム部232cとを有する。シボ部232aは、平坦部232d以外のほぼ全面に亘って設けられる。プリズム部232cは、第2部分232のうち第1部分231との境界部分、つまり第2部分232の下側端部に設けられる。プリズム部232cは、第1部分231との境界部分に沿って設けられ、光源側湾曲部230cの湾曲に従って上方かつ後方側に複数の反射面が並んで配置される。プリズム部232cは、第2入射面221から入射する光のうち湾曲部220eにおいて板状部230側に進入した光を第2部分232の内部に拡散させる。
【0071】
このように、プリズム部232cが設けられることにより、板状部230側に進入した光が板状部230の前方に出射されることが抑制される。また、上記のように、板状体230は、第1部分231が第1導光体210から後方に延びた状態で配置される。この構成により、例えば板状部230側に進入した光やプリズム部232cで拡散された光が第2部分232から第1部分231に進入して前方に進行する場合には、第1部分231によって第1導光体231に導光されることになるため、第1部分231から光が前方に出射されることが抑制される。これにより、板状体230から前方に光が出射されることを抑制でき、板状部230において点光りや色ムラ等が生じることを抑制できる。
【0072】
先端側湾曲部230gは、第1導光体210の先端側湾曲部210gの形状に対応するように、第1部分231の先端側が下方かつ前方に湾曲した形状となっている。先端側湾曲部230gの後面側には、プリズム部231aが設けられる。プリズム部231aが先端側湾曲部210gの後面側に設けられることにより、板状部230の第1部分231の後面に到達した光L2の一部が先端側湾曲部210gにおいて板状部230の後方に出射されることをより確実に抑制できる。
【符号の説明】
【0073】
L1,L2…光、10,210…第1導光体、10c,10d,20c,20d,210c,220c,220d…端部、10e,20e,220e…湾曲部、10f,20f,220f…直線部、11,211…第1入射面、12,212…第1プリズム部、13,213…第1出射面、20,220…第2導光体、20a,220a…基部、20b,220b…先端部、21,221…第2入射面、22,222…第2プリズム部、23,223…第2出射面、30,230…板状部、31,231…第1部分、31a,32b,32c,231a,232c…プリズム部、32,232…第2部分、32a,232a…シボ部、32d…平坦部、50…光源、51…第1光源、52…第2光源、51a,52a…発光面、100,300…車両用導光体、110…ランプハウジング、120…ランプレンズ、130…カバー部、131…第1開口部、132…第2開口部、200…車両用灯具、210e,230c,230e…光源側湾曲部、210f…光源側直線部、210g,230g…先端側湾曲部、210h…先端側直線部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10