(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】無人搬送車のバッテリ交換装置
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20220830BHJP
B60L 53/80 20190101ALN20220830BHJP
【FI】
B60K1/04 A
B60L53/80
(21)【出願番号】P 2018175580
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三木 康浩
【審査官】岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-011463(JP,U)
【文献】特開2014-065331(JP,A)
【文献】特開2002-347626(JP,A)
【文献】実開昭60-048303(JP,U)
【文献】特開2004-026067(JP,A)
【文献】特開2019-206242(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104960505(CN,A)
【文献】中国実用新案第205573911(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00- 6/12,7/00- 8/00,16/00,
17/10-17/26
B60L 1/00- 3/12,7/00-13/00,
15/00-58/40
B60S 5/00, 5/06
B62B 1/00- 5/08
B66C 1/00- 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを搭載する無人搬送車のバッテリ交換装置であって、
前記バッテリが交換可能な位置まで操作されて移動する台車と、
前記バッテリを搬送する搬送アームと、
前記台車に設けられ、前記搬送アームの支点を、前記バッテリに向けてスライド可能に保持するスライド機構と、
前記支点のスライドをロックする第1ロック機構と、
前記台車と、前記無人搬送車をロックする第2ロック機構と、
を備え、
前記第1ロック機構は、前記第2ロック機構
がロックされることに連動して、前記第1ロック機構をロック解除状態にする、
無人搬送車のバッテリ交換装置。
【請求項2】
前記搬送アームは、
一端に前記支点が設けられる第1アームと、
前記第1アームと固定され、前記第1アームを操作する第2アームと、
前記第1アームの他端に揺動可能に設けられ、前記バッテリを保持する保持部と、
を有し、
前記支点は、前記スライド機構に対し回転可能に保持され、前記保持部が前記バッテリを保持した位置から前記スライド機構の前記無人搬送車側の端部まで、前記第2アームの操作によってスライドする、
請求項1に記載の無人搬送車のバッテリ交換装置。
【請求項3】
前記保持部は、
前記バッテリを引っ掛けるフックを含み、前記フックを下方に移動させて前記バッテリを引っ掛け、前記フックを上方に移動させて前記バッテリを放すハンガー部と、
前記ハンガー部の下方向に当接し、前記ハンガー部を支持する支持部と、
前記支持部を回転させ、前記ハンガー部を上下に作動させる回転部と、
を具備し、
前記回転部は、前記バッテリと当接することで回転する、
請求項2に記載の無人搬送車のバッテリ交換装置。
【請求項4】
第1台座と、
前記第1台座に隣接し、前記搬送アームが前記バッテリを搬送可能な位置に配置される第2台座と、
前記第2台座に隣接して配置される第3台座と、
前記第3台座の前記バッテリをロックする第3ロック機構と、
前記第1台座の前記バッテリをロックする第4ロック機構と、
をさらに備え、
前記第4ロック機構は、前記第3ロック機構
がロックされることに連動して、前記第1台座の前記第2台座側を下げるととともに、前記第4ロック機構をロック解除状態にする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の無人搬送車のバッテリ交換装置。
【請求項5】
前記搬送アームの回転操作により前記第2台座の前記第1台座側を持ち上げるリフト機構と、
をさらに備える、請求項4に記載の無人搬送車のバッテリ交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車のバッテリ交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場内において使用される、無人搬送車が知られている。特許文献1の無人搬送車では、バッテリが搭載され、バッテリは端子を介して無人搬送車に電力を供給する。また、特許文献2の従来例では、バッテリを作業者によって交換する作業が開示されている(特許文献2の
図9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-197609号公報
【文献】特開2009-261217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような無人搬送車では、バッテリの電力がなくなると交換を行う必要がある。無人搬送車のバッテリは、重量が重く、交換作業が容易ではない。また、例えば、特許文献1の無人搬送車のバッテリを交換する際には、バッテリを適切に脱着しなければ、無人搬送車の端子や無人搬送車を破損するおそれがある。さらに、特許文献2の従来例のように、バッテリを作業者によって交換した場合、作業者への負担が大きくなる。
【0005】
本発明の課題は、無人搬送車を破損することなく、容易にバッテリ交換作業を行える、無人搬送車のバッテリ交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無人搬送車のバッテリ交換装置は、バッテリを搭載する無人搬送車のバッテリ交換装置である。この無人搬送車のバッテリ交換装置は、台車と、搬送アームと、スライド機構と、第1ロック機構と、第2ロック機構と、を備える。台車は、無人搬送車のバッテリを交換可能な位置まで操作されて移動する。搬送アームは、バッテリを搬送する。スライド機構は、台車に設けられ、搬送アームの支点を、バッテリに向けてスライド可能に保持する。第1ロック機構は、支点のスライドをロックする。第2ロック機構は、台車と、無人搬送車をロックする。第1ロック機構は、第2ロック機構がロックされることに連動して、第1ロック機構をロック解除状態にする。
【0007】
この無人搬送車のバッテリ交換装置では、第1ロック機構によって搬送アームと台車がロックされた状態となる。これにより、台車は、搬送アームを操作することで、無人搬送車のバッテリを適切に取り外し可能な位置まで確実に移動する。さらに、台車と無人搬送車は第2ロック機構によって相対位置がロックされる。これにより、バッテリ交換時に台車と無人搬送車との間の相対位置がずれることを防止できる。この結果、無人搬送車を傷めることなくバッテリ交換ができる。また、台車と無人搬送車がロックされた状態となると、第1ロック機構がロック解除状態となり、搬送アームの支点が台車上をバッテリに向けてスライド可能な状態となる。これにより、台車とバッテリの相対位置が固定された状態で、搬送アームの支点がスライド可能な状態になる。すなわち、バッテリと搬送アームの支点との距離を、可変させることができる。この結果、支点を可変させながら搬送アームを操作することができ、バッテリを容易に交換することができる。
【0008】
搬送アームは、第1アームと、第2アームと、保持部と、を有してもよい。第1アームは、一端に支点が設けられる。第2アームは、第1アームが固定され、第1アームを操作する。保持部は、第1アームの他端に揺動可能に設けられ、バッテリを保持する。支点は、スライド機構に対し回転可能に保持され、保持部がバッテリを保持した位置からスライド機構の無人搬送車側の端部まで、第2アームの操作によってスライドする。
【0009】
この構成によれば、第2アームの操作によって、第1アームの支点をバッテリに向かってスライドさせる一方で、第1アームを、スライド機構に対して回転させることができる。これにより、支点がスライドすることで、支点から保持部までの距離は一定ながら、支点からバッテリに向けた方向の水平方向成分の変位量を、バッテリの上昇方向への変位量に変換し、他端をバッテリに対して垂直に上げることができる。また、保持部は、他端に揺動可能に設けられる。このため、第1アームの水平方向に対する角度が変化しても、保バッテリおよび保持部は、自重によって重力方向を維持する。このため、バッテリおよび保持部は、無人搬送車に対し垂直に上昇する。この結果、無人搬送車に対し垂直に設けられるバッテリ格納壁や、バッテリ端子などを傷めることなく、バッテリを持ち上げることができる。さらに、支点がバッテリに近づくことで、支点からバッテリの重量がかかる保持部までの距離が近くなる。すなわち、支点に対し作用点の位置が近くなる。これにより、バッテリが、第1アームを回転させる力(モーメント)が小さくなり、第2アームにかる力が小さくなる。この結果、第2アームの操作に必要とする力が小さくなり、バッテリを容易に持ち上げることができる。
【0010】
保持部は、ハンガー部と、支持部と、回転部と、を具備してもよい。ハンガー部は、バッテリを引っ掛けるフックを有してもよい。ハンガー部は、フックを下方に移動させてバッテリを引っ掛ける。ハンガー部は、フックを上方に移動させてバッテリを放す。支持部は、ハンガー部の下方向に当接し、ハンガー部を支持する。回転部は、支持部を回転させ、ハンガー部を上下に作動させる。回転部は、バッテリと当接することで回転する。
【0011】
この構成によれば、ハンガー部は、回転部とバッテリが当接することで、自動的に上下作動する。これにより、ハンガー部を操作することなく、自動的にバッテリを引っ掛けることができる。
【0012】
無人搬送車のバッテリ交換装置は、第1台座と、第2台座と、第3台座と、第3ロック機構と、第4ロック機構と、をさらに備えてもよい。第2台座は、第1台座に隣接し、搬送アームがバッテリを搬送可能な位置に配置される。第3台座は、第2台座に隣接して配置される。第3ロック機構は、第3台座のバッテリをロックする。第4ロック機構は、第1台座のバッテリをロックする。第4ロック機構は、第3ロック機構がロックされることに連動して、第1台座の第2台座側を下げるとともに、第3ロック機構をロック解除状態にする。
【0013】
この構成によれば、例えば、無人搬送車から取り出したバッテリが、第2台座から第3台座へ移動した場合、移動したバッテリが第3ロック機構によってロックされる。第3ロック機構によってロックされると、これに連動して第1台座の第2台座側が下がり、第1台座に置かれたバッテリのロックが解除状態になる。これにより、例えば、第1台座に充電されたバッテリが置かれた場合、充電されたバッテリが第1台座から第2台座へスライドして移動する。すなわち、無人搬送車から取り出したバッテリが、搬送アームがバッテリを搬送可能な第2台座に一旦置かれ、その後、第2台座から第3台座へ移動する。無人搬送車から取り出したバッテリが第3台座に移動すると、第1台座から充電されたバッテリが自動的に第2台座に移動する。これにより、リフト機構によって第2台座を持ち上げるだけで、充電されたバッテリを簡単に第2台座に供給することができる。
【0014】
無人搬送車のバッテリ交換装置は、リフト機構をさらに備えてもよい。リフト機構は、搬送アームの回転操作により作動してもよい。このような構成であれば、無人搬送車から取り出したバッテリが第2台座に置かれた場合、リフト機構によって第2台座の第1台座側が持ち上げられることで、バッテリは、第3台座へスライドして移動する。すなわち、作業者は搬送アームから手を放すことなく、無人搬送車からバッテリを取り出し、充電されたバッテリを取り付けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る無人搬送車用のバッテリ交換装置では、無人搬送車を破損することなく、容易にバッテリ交換作業を行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の無人搬送車のバッテリ交換装置の上面斜視図。
【
図2】本発明の無人搬送車のバッテリ交換装置の側面図。
【
図3】本発明の無人搬送車のバッテリ交換装置の上面斜視図のAA断面図。
【
図4】本発明の第1ロック機構と第2ロック機構を説明するための模式図。
【
図5】本発明の無人搬送車のバッテリ交換装置によるバッテリ取り出し手順を示す図。
【
図6】本発明の第1ロック機構の作動状態を示す図。
【
図7】本発明の第2ロック機構の作動状態を示す図。
【
図9】本発明の第3ロック機構のロックと第4ロック機構のロック解除を説明するための図。
【
図10】本発明の無人搬送車のバッテリ交換装置によるバッテリ搭載手順を示す図。
【
図11】第2ロック機構によるロック解除の作動を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1および
図2に示すように、無人搬送車のバッテリ交換装置2は、台車4と、搬送アーム6と、スライド機構8と、第1ロック機構10と、第2ロック機構12と、第1台座14と、第2台座16と、第3台座18と、第3ロック機構20と、第4ロック機構22と、リフト機構24と、を備える。
【0019】
図2に示すように、台車4は、フレーム42と、車輪44と、を有する。フレーム42は梯子状のフレームであり、フレームを構成する部材に、上述の各機構と第1台座14から第3台座18が設けられる。フレーム42の下面には、車輪44が固定され、台車4が操作されて無人搬送車Cに搭載されたバッテリPを交換可能な位置まで移動できるように構成される。また、台車4は、第1台座14に交換用のバッテリQを搭載して、無人搬送車Cまで移動できるように構成される。
【0020】
図1および
図3に示すように、搬送アーム6は、第1アーム62と、第2アーム64と、保持部66と、を有する。搬送アーム6には、バッテリPおよび交換用バッテリQを吊り上げた際の重量が、保持部66を介して伝達される。
図1に示すように、第1アーム62は、角状の金属製棒状部材で構成される。
図3に示すように、第1アーム62の一端には、搬送アーム6の支点Oが設けられる。第2アーム64は、第1アーム62に対して垂直に固定され、作業者によって第1アーム62の操作が行われる操作部68が具備される。すなわち、搬送アーム6はバッテリP、および、バッテリQを持ち上げた際に、第1アーム62の支点Oと反対側の端部(他端)が作用点となり、第2アーム64の操作部68が力点となり、支点Oを支点とする梃の役割をする。
【0021】
図1および
図3が示すように、保持部66は、第1アーム62の支点と反対側の端部(他端)に設けられバッテリを保持する。また、保持部66は、第1アーム62の他端に、台車4の車幅方向(以下単に「車幅方向」と記す)に揺動可能に設けられる。
図3に示すように、保持部66は、ハンガー部70と、支持部72と、回転部74を具備する。
図1に示すように、ハンガー部70は、フック76と、4本のハンガーアーム78aから78dとを含む。ハンガーアーム78aから78dは、板状部材77に回転可能に支持される。ハンガーアーム78aから78dの先端には、バッテリを引っ掛けるフック76がそれぞれ設けられる。
図3に示すように、支持部72は、回転部74に固定され、ハンガーアーム78の下方に設けられた開閉部材79と当接して、ハンガーアーム78を支持する。支持部72は、回転部74が回転すると同時に回転し、開閉部材79から離れることで、ハンガー部70の先端のフック76を下方に移動させる。一方、支持部72が開閉部材79に再び当接すると、ハンガー部70の先端のフック76を上方に移動させる。
図3の拡大図は回転部74の断面図である。回転部74は、内部に螺子溝75aと、螺子溝75aに対応した凸部75bが設けられ、回転部74がバッテリに当接すると、凸部75bが螺子溝75aに沿って移動することで、回転部74を1/8回転させるように構成されている。すなわち、回転部74によって、支持部72が回転させられ、ハンガー部70が上下作動する。
【0022】
図4に示すように、スライド機構8は、スライドレール82を有する。スライドレール82は、車幅方向に延設され固定される。スライド機構8は、支点Oがスライドレール82上をスライド可能となるように保持する。スライド機構8は、台車4に無人搬送車Cが横付けされた際に、支点Oが無人搬送車Cに向けてスライドする。また、支点Oは、スライド機構8のスライドレール82に対して回転可能に保持され、第1アーム62がスライドレール82に対して回転する。
【0023】
第1ロック機構10は、ロックカム101と、ロック部材102と、復帰部材105と、第1バネ106と、を有する。ロックカム101は、台車4に対して回転可能に保持される。また、ロックカム101は、スライドレール82の支点Oの通路上に通路を塞ぐように配置され、支点Oが車幅方向にスライドすることをロックする。本実施形態では、ロックカム101は、台車4に無人搬送車Cが横付けされた場合、スライドレール82の無人搬送車Cが横付けされる側(以下無人搬送車C側と記す)と反対側の端部82a近傍に配置される。また、支点Оがスライドレール82の端部82aと、ロックカム101で挟み込まれることで、搬送アーム6が端部82aでロックされる。このように、無人搬送車C側と反対側の端部82aで搬送アーム6がロックされることで、作業者は台車4を操作しやすくなる。また、作業者は、搬送アーム6を操作して、バッテリ交換装置2を無人搬送車Cのバッテリが交換可能な位置まで、容易に移動させることができる。
【0024】
ロック部材102は、一端にフランジ104が設けられ、他端に棒材107を介してフランジ107aと107bが設けられる。ロック部材102は、台車4に対して、無人搬送車C側と反対側にスライド可能に保持される一方、第1バネ106によって無人搬送車C側に付勢されている。すなわち、ロック部材102は、フランジ104が無人搬送車Cのバッテリ格納壁N(
図7参照)と当接する間はバッテリ格納壁Nに押されて、無人搬送車C側と反対側にスライドされた状態を維持する。しかし、ロック部材102は、台車4が無人搬送車Cと離れると、第1バネ106によって初期状態(
図7(a)参照)に戻される。ロック部材102は、初期状態ではフランジ107aおよび107bがロックカム101と当接して、ロックカム101の回転をロックする。一方、フランジ104が無人搬送車C側と反対側に押された状態(
図7(b)参照)では、フランジ107aおよび107bがロックカム101から離れ、ロックカム101は回転可能な状態となり、支点Oがロックカム101を回転させて車幅方向にスライド可能な状態となる。
図1および
図4が示すように、復帰部材105は、第2ロック機構12へ向けて延設される棒状部材であり、ロック部材102と固定される。復帰部材105は、ロック部材102が初期状態に戻る際に、第2ロック機構12と当接(
図11(c)参照)して、第2ロック機構12を初期状態(
図11(d)参照)に戻す。
【0025】
図3および
図4に示すように、第2ロック機構12は、カム122と、ガイド124と、マグネット126と、を有する。カム122は、台車4に揺動可能に固定される。
図3に示すように、カム122の下面には、カムローブが設けられ、無人搬送車Cが横づけされると(
図5(b)参照)、無人搬送車Cのバッテリ格納壁Nを乗り越えて、台車4と無人搬送車Cの相対位置が変わらないようにロックする。カム122の上面には、ガイド124が設けられ、搬送アーム6が操作されて、台車4と無人搬送車Cが接近することで、無人搬送車Cのバッテリ格納壁Nに当接して上昇する。マグネット126は、カム122が上昇した状態を維持できるように、カム122が上昇した状態を磁力で維持する。一方、ロック部材102が、初期状態に戻る際に、復帰部材105がガイド124に当接することで、カム122が下がり、第2ロック機構12が初期状態に戻る。
【0026】
図2に示すように、第1台座14は、複数のローラが設けられたレール142と、ウェイト143aおよび143bと、支柱144と、を有する。レール142は、交換用のバッテリQが第2台座16に向けてローラ上を円滑に移動するように、第1台座14の上面に車幅方向に間を空けて設けられる。ウェイト143aおよび143bは、レール142の下面にそれぞれ固定され、バッテリQが第2台座16へ移動したのち、第1台座14を自動的に初期状態に戻す。支柱144は、一端が台車4に固定され、反対側の端部は、第1台座14を回転可能に支持する。支柱144は、第1台座14の長手方向中央に対し、第2台座16と反対側にオフセットして配置され、後述する第3ロック機構20のロックが解除されると、第2台座16側へ傾く。第1台座14は、第2台座16よりも高い位置に配置され、第1台座14が第2台座16側へ傾くと、第1台座14の第2台座16側の端部と、第2台座16の第1台座14側の端部の高さが一致し、バッテリQがスムーズに移動するように設けられる。
【0027】
第2台座16は、複数のローラが設けられたレール162と、支柱164と、を有する。第2台座16は、搬送アーム6がバッテリPまたはバッテリQを搬送可能な位置に配置される。レール162は、バッテリPが第3台座18に向けてローラ上を円滑に移動するように、第2台座16の上面に車幅方向に間を空けて設けられる。また、第1台座14から交換用バッテリQが移動してきた際も、レール162により円滑に移動する。支柱164は、一端が台車4に固定され、反対側の端部は、第2台座16を回転可能に支持する。支柱164は、第2台座16の長手方向中央に対し、第3台座18側にオフセットして配置され、リフト機構24によって第2台座16の第1台座14側が持ち上げられる。第2台座16の第3台座18側の端部の高さは、第3台座の第2台座16側の端部の高さと一致し、バッテリPがスムーズに移動するように設けられる。
【0028】
第3台座18は、複数のローラが設けられたレール182と支柱184と、を有する。レール182は、第2台座16から移動してきたバッテリPが、ローラ上を円滑に移動するように、第3台座18の上面に車幅方向に間を空けて設けられる。支柱184は、一端が台車4に固定され、他端は第3台座18に固定される。支柱184は、第3台座18の第2台座16側が高くなるように傾斜を設けて第3台座18を支持する。
【0029】
第3ロック機構20は、ロック部材202と、第1リンク部材204a、第2リンク部材204bと、第2バネ204cと、第1リンク支点O3と、を有する。ロック部材202は、L字型の部材である。
図1に示すように、ロック部材202は、第3台座18の車幅方向の略中央に設けられ、バッテリPが第3台座18に移動した際に、バッテリPの角をロックする。
図2に示すように、第1リンク部材204aは、一端がロック部材202と固定され、他端が第2リンク部材204bと回転可能に接続される。第1リンク部材204aの中央付近には、第1リンク支点O3が設けられ、台車4と回転可能に接続される。第2リンク部材204bは、一端が第1リンク部材204aと回転可能に接続され、他端が後述する第3リンク部材224と回転可能に接続される。第2バネ204cは、一端が台車4に固定され、第2リンク部材204bが初期状態(
図9(a)参照)を維持するように第2リンク部材204bを付勢する。
【0030】
第4ロック機構22は、ロック部材222と、第3リンク部材224と、第2リンク支点O4と、リンク支持部226と、を有する。ロック部材222は、L字型の部材である。
図1に示すように、ロック部材222は、第1台座14の車幅方向の略中央に設けられ、台車4が無人搬送車Cまで操作されて移動している際に、交換用のバッテリQが第1台座14から移動しないように交換用のバッテリQの角をロックする。
図2に示すように、ロック部材222は、第3リンク部材224および第2リンク部材204bを介して第1リンク部材204aと接続され、第3ロック機構20のロックと連動してロック解除状態となる。第3リンク部材224は、一端が第2リンク部材204bと回転可能に接続され、他端はロック部材222と固定される。また、第3リンク部材224は、第2リンク支点O4を介して第1台座14と回転可能に接続される。
【0031】
リンク支持部226は、第3リンク部材224に固定される。第3リンク部材224は、リンク支持部226を介して、第1台座14を台車4に対して支持する。リンク支持部226は、初期状態では台車4の支持台座46の上に載った状態となり、第1台座14を支持する。しかし、第3リンク部材224が第2リンク支点O4を支点として傾くと、リンク支持部226は、支持台座46から外れ、第1台座14が支持されなくなる。これにより、第1台座14は、第2台座16と反対側にオフセットして配置された支柱144を支点として、第2台座側が下がる(
図9(b)および
図9(c)参照)。すなわち、第4ロック機構22は、第3ロック機構20と連動して、第1台座14の第2台座16側を下げるとともに、第4ロック機構22をロック解除状態にする。
【0032】
図3に示すように、リフト機構24は、リフト部材242と、リフト支点O5と、を有する。リフト部材242は、L字型の部材である。
図2に示すように、リフト機構24は、第2台座16の、第1台座14側に設けられる。
図3に示すように、リフト支点O5は、リフト部材242のL字の頂点部分に設けられる。リフト部材242は、リフト支点O5を介して台車4に回転支持される。リフト部材242は、搬送アーム6の第1アーム62が回転すると当接し(
図5(e)参照)、リフト支点O5を支点として回転する。これにより、リフト部材242の一端が、第2台座16の第1台座14側と当接し、第2台座16を持ち上げる。
【0033】
次に、
図5から
図11を用いて、無人搬送車Cからバッテリを取り外しと設置の手順について説明する。なお、本実施形態では、バッテリPおよび交換用のバッテリQは、バッテリートレーに載せられ、バッテリートレーには取手Sが設けられる。しかし、これに限定されるものではなく、バッテリPおよび交換用のバッテリQに直接的に取手Sを設けてもよい。
【0034】
図5(a)に示すとおり、無人搬送車Cのバッテリ交換装置2は、搬送アーム6がスライド機構8を介して台車4にロックされた状態で、無人搬送車CのバッテリPの交換可能位置まで、操作部68が操作されて移動する。
図5(b)が示すように、無人搬送車Cにバッテリ交換装置2が横付されると、
図6(a)から
図6(b)が示すように、第2ロック機構12のカム122が無人搬送車Cのバッテリ格納壁Nに乗り上げる。
図6(c)が示すように、バッテリ交換装置2が作業者に操作されて、さらに無人搬送車Cと近づくと、カム122がバッテリ格納壁Nを乗り越えて、バッテリ交換装置2と台車4の相対位置関係がロックされる。また、
図7(a)および
図7(b)に示すとおり、このとき第1ロック機構10のフランジ104もバッテリ格納壁Nに当接することで、ロック部材102が押され、フランジ107aおよび107bがロックカム101から離れる。
図7(b)が示すとおり、フランジ107aおよび107bがロックカム101から離れると、ロックカム101は回転がロックされた状態から、回転可能な状態となる。ロックカム101が回転可能な状態となると、搬送アーム6の支点Oのロックが解除され、無人搬送車CのバッテリPに向けてスライド可能な状態となる。すなわち、第1ロック機構10は、第2ロック機構12とバッテリ格納壁Nを介して連動する。これにより、無人搬送車Cと台車4の相対位置が固定された状態で、支点Oがスライド可能となる。
【0035】
図5(b)に示すとおり、搬送アーム6の支点Oがスライド可能な状態となると、作業者によって第2アーム64の操作部68が操作されて、バッテリPを保持部66で保持可能な位置まで、搬送アーム6の支点Oがスライドされる。これと同時に、搬送アーム6を、支点Oを中心として回転させて、バッテリPの直上まで移動させる。保持部66をバッテリPの直上まで移動させると、
図8(a)から
図8(c)に示すとおり、回転部74をバッテリPに当接させて、支持部72を1/8回転させる(
図8(b)参照)。さらに、保持部66を持ち上げると、支持部72が1/8回転し、支持部72が、開閉部材79から離れる(
図8(c)参照)。支持部72が開閉部材79から離れると、ハンガー部70のハンガーアーム78aから78dを下がり、フック76がバッテリPを格納したバッテリートレーの取手Sに引っ掛かる。これにより、バッテリPを持ち上げ可能な状態となる。
【0036】
図5(c)に示すように、バッテリPが持ち上げ可能な状態となると、作業者により搬送アーム6の第2アーム64がバッテリPの方向にさらにスライド操作される。このとき、台車4と無人搬送車Cの相対位置関係が固定されている。さらに、支点Oから作用点となる保持部66までの距離は固定である。したがって、支点Oが、バッテリPに向けて水平方向に変位すると、保持部66は、バッテリPの上方へ変位する。すなわち、第1アーム62が、支点Oを中心として持ち上がる方向に回転する。このように、支点OがバッテリPに向かってスライドしながら上方に回転することで、支点Oから第1アームの保持部66の取付点(作用点)までの水平方向の距離が短くなる。これにより、力点として機能する操作部68に掛かる負荷が小さくなる。また、支点Oがスライドすることで、支点Oから保持部66までの距離は一定ながら、支点ОからバッテリPへ向けた方向の水平方向成分の変位量を、バッテリPの上昇方向への変位量を変換し、保持部66をバッテリPに対して垂直に上げることができる。これにより、無人搬送車Cに垂直に延設されたバッテリ端子Gを傷めることなく、バッテリを持ち上げることができる。また、同様に無人搬送車Cに垂直に延設されたバッテリ格納壁Nも傷めることなく、バッテリPを持ちあげることができる。
【0037】
図5(d)に示すように、バッテリPが持ち上がると、作業者により搬送アーム6が、無人搬送車C側と反対側の端部82a(
図4参照)までスライド操作されて戻され、第2台座16にバッテリPが置かれる。
【0038】
図5(e)に示すように、回転部74を再びバッテリPに当接させて、回転部74が回転することで、支持部72が開閉部材79に当接し、ハンガーアーム78aから78dが上昇する。これにより、バッテリートレーの取手Sからフック76が離れる。フック76が離れると、作業者によって搬送アーム6が回転操作され、第1アーム62が、リフト機構24のリフト部材242に押す。これにより、第2台座16の第1台座14側が持ち上げられる。
【0039】
図9(a)および
図9(b)が示すように、第2台座16の第1台座14側が持ち上げられると、第2台座16に置かれたバッテリPは、第3台座18に向けて移動する。バッテリPが第3台座18に移動すると、第3ロック機構20によりバッテリPがロックされる。第3ロック機構20によってバッテリPがロックされると、第3ロック機構20のリンク部材204aから204cを介して第4ロック機構22が連動し、ロック解除状態となる。また、これと同時に、第1台座14を支持していた第3リンク部材224が傾き、リンク支持部226は、支持台座46から外れる。これにより、第1台座14が第2台座16側に傾く。
図9(c)が示すように、第1台座14が傾くと、交換用のバッテリQが第2台座16に移動する。すなわち、交換用のバッテリQは、搬送アーム6が交換用のバッテリQを搬送可能な位置に移動する。その後、交換用のバッテリQの重さがなくなり、ウェイト143aおよび143bによって、第1台座14が初期状態に戻される。
【0040】
図10(a)に示すように、交換用のバッテリQが第2台座16に移動すると、保持部66で交換用のバッテリQを保持する。
図10(b)が示すように、保持部66が交換用のバッテリQを保持すると、搬送アーム6が、支点Oを中心として回転操作されて、交換用のバッテリQを持ち上げるとともに、無人搬送車Cに向けて支点Oをスライド操作させる。
図10(c)に示すように、交換用のバッテリQを無人搬送車Cの直上まで移動させると、搬送アーム6を、第1アーム62を下げる方向に回転操作されるとともに、無人搬送車C側と反対側に向けて支点Oをスライド操作される。これにより、交換用のバッテリQが無人搬送車Cのバッテリ格納壁N内に垂直に下され、設置される。このように、交換用のバッテリQを、垂直に下すことで、無人搬送車Cに垂直に延設されたバッテリ端子Gを傷めることなく、交換用のバッテリQを設置することができる。また、同様に無人搬送車Cに垂直に延設されたバッテリ格納壁Nも傷めることなく、交換用のバッテリQを設置することができる。
【0041】
図10(d)が示すように、交換用のバッテリQが無人搬送車Cに設置されると、回転部74をバッテリに当接操作されて、ハンガー部70が上方に作動し、フック76が交換用バッテリQの取手Sから離れる。フック76が取ってSから離れると、搬送アーム6の支点Oが再びスライドレール82の無人搬送車C側の端部82b(
図4参照)までスライド操作される。搬送アーム6がスライド操作されて、支点Oが端部82bを押すことで、台車4を無人搬送車Cに向けて近づける。このとき、
図11(a)が示すように、ガイド124が、無人搬送車Cのバッテリ格納壁Nに当接する。
図11(b)に示すように、台車4と無人搬送車Cがさらに近づけられると、ガイド124は、バッテリ格納壁Nに沿って上昇し、カム122を持ち上げる。その後、カム122は、マグネット126により、一時的に上昇状態が維持される。この状態で、作業者によって、搬送アーム6が無人搬送車C側と反対側にスライド操作されて、支点Oが端部82aまでスライドする。支点Oが端部82aまで移動すると、台車4は、無人搬送車Cから離され、第2ロック機構のロックが解除される。また、
図11(c)が示すように、台車4から無人搬送車Cが離されると、ロック部材102が初期状態に戻ることで、第1ロック機構10のロックカム101が再びスライドレール82を閉鎖し、支点Оの車幅方向のスライドがロックされる。また、ロック部材102のフランジ104が初期状態に戻ることで、復帰部材105がガイド124と当接し、カム122を下方へ押し戻し、第2ロック機構12が初期状態に戻る。
【0042】
このようにして、バッテリPが無人搬送車Cから取り上げられ、交換用のバッテリQが無人搬送車Cに設置されて、バッテリの交換作業が終了する。なお、その後、バッテリPが第3台座18から取り除かれると、第2バネ204cによって、第3ロック機構20および第4ロック機構22についても、初期状態に戻る。これにより、第1ロック機構10から第4ロック機構22までの全てが、初期状態に戻る。このため次回、無人搬送車Cのバッテリ交換装置2を使用する際に、作業者はロック機構を初期状態に戻す作業を必要としない。
【0043】
以上説明した通り、本発明の無人搬送車Cのバッテリ交換装置2では、バッテリ交換作業の手順において、作業者は操作部68だけを操作することによって、バッテリ交換作業が終了する。これにより、無人搬送車Cのバッテリを容易に交換することができる。また、本発明の無人搬送車Cのバッテリ交換装置2はモータなどの動力を必要としない。これにより、水平な面に無人搬送車Cがあれば、無人搬送車Cのバッテリをどこでも交換可能である。また、本発明の無人搬送車Cのバッテリ交換装置2では、支点Oをスライドさせることで、支点と力点の水平方向の距離を変化させることで、力点となる操作部68の負荷を軽減することができる。さらに、支点Oがスライドすることで、バッテリPおよび交換用バッテリQを無人搬送車Cに対して垂直上下方向に搬送できる。これにより、無人搬送車Cのバッテリ端子Gやバッテリ格納壁Nを傷めることがない。すなわち、作業者の負担を軽減しながらも無人搬送車Cを傷めることもなく、バッテリの交換作業が行える。
【符号の説明】
【0044】
2 :バッテリ交換装置, 4:台車, 6:搬送アーム, 8:スライド機構
10:第1ロック機構, 12:第2ロック機構, 14:第1台座
16:第2台座, 18:第3台座, 20:第3ロック機構, 22:第4ロック機構
24:リフト機構, 62:第1アーム, 64:第2アーム, 66:保持部
70:ハンガー部, 72:支持部, 74:回転部, 76:フック, 82a:端部
82b:端部, C:無人搬送車, O:支点, P:バッテリ
Q:交換用のバッテリ