(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】内燃機関の吸気構造
(51)【国際特許分類】
F02M 35/10 20060101AFI20220830BHJP
F02M 26/19 20160101ALI20220830BHJP
F02M 26/44 20160101ALI20220830BHJP
【FI】
F02M35/10 311E
F02M26/19 331
F02M26/44
(21)【出願番号】P 2018208563
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】西川 勝
(72)【発明者】
【氏名】高安 則夫
(72)【発明者】
【氏名】中山 和俊
(72)【発明者】
【氏名】土橋 謙祐
(72)【発明者】
【氏名】宮本 雅信
(72)【発明者】
【氏名】岩室 信夫
(72)【発明者】
【氏名】古賀 裕次
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-030504(JP,A)
【文献】特開平10-281015(JP,A)
【文献】特開2000-080963(JP,A)
【文献】特開2010-038106(JP,A)
【文献】特開2016-098745(JP,A)
【文献】特開2017-082740(JP,A)
【文献】実開昭54-069221(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第19908962(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/19
F02M 26/44
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気ポートに接続されたインテークマニホールドに前記内燃機関から排出されたガスを還流する排気還流通路が接続される内燃機関の吸気構造であって、
前記排気還流通路は、
排気還流バルブにより還流量が調整された排気還流ガスを単一の通路で流す上流路と、
前記上流路の下流端に設けられ上流路を二股に分岐する分岐部と、
前記インテークマニホールドの外壁に沿って形成される
とともに前記分岐部にて分岐された二本の第一通路部と、
前記第一通路部から屈曲して前記インテークマニホールドの内部に接続される第二通路部と、を備え、
前記第二通路部は、
前記第二通路部と前記インテークマニホールドとが接続される第一開口孔とは反対側の端部に形成された第二開口孔と、
前記第二開口孔を覆う蓋部と、を有する
ことを特徴する内燃機関の吸気構造。
【請求項2】
前記第一通路部は、前記インテークマニホールドの外壁に一体形成される、
ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の吸気構造。
【請求項3】
前記インテークマニホールドは、前記吸気ポートが配せられるシリンダヘッドとの接合面にフランジを有し、
前記第一通路が屈曲する屈曲部から前記フランジまで前記第一通路部の延長方向に延びるリブが前記インテークマニホールドに形成される、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の吸気構造。
【請求項4】
前記第二通路部は、前記蓋部を取り外した際に前記第二開口孔から前記第一開口孔が視認できるよう直線形状で形成される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関。
【請求項5】
内燃機関の吸気ポートに接続されたインテークマニホールドに前記内燃機関から排出されたガスを還流する排気還流通路が接続される内燃機関の吸気構造であって、
前記排気還流通路は、
前記インテークマニホールドの外壁に沿って形成されるとともに前記分岐部にて分岐された二本の第一通路部と、
前記第一通路部から屈曲して前記インテークマニホールドの内部に接続される第二通路部と、を備え、
前記第二通路部は、
前記第二通路部と前記インテークマニホールドとが接続される第一開口孔とは反対側の端部に形成された第二開口孔と、
前記第二開口孔を覆う蓋部と、を有し、
前記インテークマニホールドは、前記吸気ポートが配せられるシリンダヘッドとの接合面にフランジを有し、
前記第一通路が屈曲する屈曲部から前記フランジまで前記第一通路部の延長方向に延びるリブが前記インテークマニホールドに形成される、
ことを特徴とする内燃機関の吸気構造。
【請求項6】
前記第一通路部は、前記インテークマニホールドの外壁に一体形成される、
ことを特徴とする請求項5記載の内燃機関の吸気構造。
【請求項7】
前記第二通路部は、前記蓋部を取り外した際に前記第二開口孔から前記第一開口孔が視認できるよう直線形状で形成される
ことを特徴とする請求項5又は6記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関の吸気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンから排出される排気の一部を排気還流ガスとしてインテークマニホールドに導入し、気筒に再度吸気させることで、排気中の窒素化合物(NOx)の低減を図る内燃機関の吸気構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、排気還流ガスをインテークマニホールドに供給する排気還流供給口がインテークマニホールドの壁部の箇所に設けられている。
排気還流ガス供給口からインテークマニホールド内部に供給される排気還流ガスには、未燃焼物、油分、水分が含まれているため、排気還流ガスと新気とが合流する部分には、排気還流ガスが新気で冷却されることで発生する凝縮水が未燃焼物や油分と混じりヘドロ状の堆積物が付着しやすい。
すなわち、排気還流ガス供給口の周辺や排気還流ガス供給口に対向する壁部の箇所には排気還流ガスに起因する堆積物が付着しやすく、堆積物が付着することで排気還流ガスおよび新気が流通する空間が狭くなり、排気還流ガスと新気の混合が円滑になされにくくなり、燃焼安定性を図る上で不利となる。
そのため、このような堆積物の付着状況を点検することができれば好ましい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インテークマニホールド内における排気還流ガスに起因する堆積物の付着状況を点検できる内燃機関の吸気構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、内燃機関の吸気ポートに接続されたインテークマニホールドに前記内燃機関から排出されたガスを還流する排気還流通路が接続される内燃機関の吸気構造であって、前記排気還流通路は、排気還流バルブにより還流量が調整された排気還流ガスを単一の通路で流す上流路と、前記上流路の下流端に設けられ上流路を二股に分岐する分岐部と、前記インテークマニホールドの外壁に沿って形成されるとともに前記分岐部にて分岐された二本の第一通路部と、前記第一通路部から屈曲して前記インテークマニホールドの内部に接続される第二通路部と、を備え、前記第二通路部は、前記第二通路部と前記インテークマニホールドとが接続される第一開口孔とは反対側の端部に形成された第二開口孔と、前記第二開口孔を覆う蓋部と、を有することを特徴する。
また、本発明は、内燃機関の吸気ポートに接続されたインテークマニホールドに前記内燃機関から排出されたガスを還流する排気還流通路が接続される内燃機関の吸気構造であって、前記排気還流通路は、前記インテークマニホールドの外壁に沿って形成されるとともに前記分岐部にて分岐された二本の第一通路部と、前記第一通路部から屈曲して前記インテークマニホールドの内部に接続される第二通路部と、を備え、前記第二通路部は、前記第二通路部と前記インテークマニホールドとが接続される第一開口孔とは反対側の端部に形成された第二開口孔と、前記第二開口孔を覆う蓋部と、を有し、前記インテークマニホールドは、前記吸気ポートが配せられるシリンダヘッドとの接合面にフランジを有し、前記第一通路が屈曲する屈曲部から前記フランジまで前記第一通路部の延長方向に延びるリブが前記インテークマニホールドに形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、排気還流通路の第二通路部は、一端がインテークマニホールドに接続される第一開口孔に接続されるとともに他端が第二開口孔に接続されるため、第二開口孔からインテークマニホールドの内部を点検することが可能となり排気還流ガスに起因する堆積物の付着状況を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態の内燃機関の吸気構造が適用された内燃機関を車両の前方から見た正面図である。
【
図2】実施の形態の内燃機関の吸気構造が適用された内燃機関を車両の斜め前方から見た斜視図である。
【
図5】インテークマニホールドの細長通路部の開口を斜め下方から見た斜視図である。
【
図6】インテークマニホールドの細長通路部の開口を斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、本発明の吸気構造が適用されたエンジン(内燃機関)の構成について説明する。
なお、以下の図面において、符号FRは車両前方を示し、符号UPは車両上方を示し、符号HLは車幅方向を示す。
図1、
図2に示すように、エンジン10は、エンジン本体12と、インテークマニホールド14と、エキゾーストマニホールドと、排気還流装置とを含んで構成されている。
エンジン本体12は、シリンダブロック16と、シリンダヘッド18とを含んで構成されている。
シリンダブロック16にピストンを収容する気筒20(シリンダ室)(
図3参照)が形成され、各気筒20の燃焼室がシリンダヘッド18に形成され、本実施の形態では、4つの気筒20が車幅方向に沿って直線状に配列されている。
インテークマニホールド14は、気筒20が並べられた方向に対して直交する方向のシリンダヘッド18の一側に配置され、エキゾーストマニホールドは、シリンダヘッド18の他側に配置されている。
図3、
図4に示すように、インテークマニホールド14は、シリンダヘッド18の吸気ポート22と吸気管24とを接続するものであり、エキゾーストマニホールドは、シリンダヘッド18の排気ポートと排気管とを接続するものである。
【0009】
各気筒20に新気を供給する吸気通路は、吸気管24の吸気通路部と、インテークマニホールド14の吸気通路部26と、シリンダヘッド18の吸気ポート22とを含んで構成され、
図3、
図4、
図5に示すように、インテークマニホールド14の吸気通路部26は、縦通路部28と湾曲通路部30と細長通路部32とを有している。
縦通路部28は、吸気通路部26における吸気の流れの上流側に位置して上下方向に延在し、縦通路部28の下端にスロットルバルブ34が設けられ、スロットルバルブ34の弁体3402の開閉により吸気量の調整がなされる。
細長通路部32は、吸気通路部26における吸気の流れの下流側に位置し、気筒20の配列方向に沿って延在し細長形状を呈している。本実施の形態では、細長通路部32は、車幅方向に延在している。
細長通路部32は、インテークマニホールド14の壁部である上壁3202、下壁3204、一対の端面壁3206、背面壁3208で形成されている。
上壁3202と下壁3204は、細長通路部32の上下方向に対向しており、一対の端面壁3206は、細長通路部32の長手方向において対向しており、背面壁3208は、シリンダヘッド18と反対側でそれら上壁3202、下壁3204、一対の端面壁3206の端部を接続している。
背面壁3208と反対側でそれら上壁3202、下壁3204、一対の端面壁3206の内側が細長形状の開口3210となっており、開口3210の外側にフランジ3212が設けられている。すなわち、インテークマニホールド14は吸気ポート22が配せられるシリンダヘッド18との接合面にシリンダヘッド結合用のフランジ3212を有している。
フランジ3212がシリンダヘッド18に結合された状態で、細長通路部32は開口3210を介して4つの気筒20の各吸気ポート22に接続される。
湾曲通路部30は、斜め上方に凸状に設けられ、縦通路部28の上端と、細長通路部32の長手方向の中央部とを接続しており、湾曲通路部30を形成する壁部3002は、上壁3202と下壁3204と背面壁3208とに接続されている。
【0010】
図1、
図2に示すように、排気還流装置36は、燃焼室から排出された排気ガスを排気還流ガスとしてインテークマニホールド14に排気還流通路38を介して還流するものである。
図3、
図4に示すように、排気還流通路38における排気還流ガスの流れの下流側に位置する箇所38Aは、インテークマニホールド14の外壁に一体に設けられている。
この下流側に位置する箇所38Aは、排気還流ガスの流れの上流側に位置する上流路3802と、上流路3802の下流側に設けられた排気還流分配部3804とを備えている。
排気還流分配部3804は、上流路3802の下流端に設けられた分岐部3804Aと、分岐部3804Aとインテークマニホールド14の内部とを接続する複数の分岐通路3804Bとを有し、このような構成からなる排気還流分配部3804はインテークマニホールド14の外壁に一体に設けられている。
本実施の形態では、分岐通路3804Bは2つ設けられ、各分岐通路3804Bは分岐部3804Aと細長通路部32とを接続しており、分岐部3804Aは単一の通路から複数の通路に排気還流ガスの通路が分岐される箇所である。
【0011】
上流路3802における排気還流ガスの流れの上流端に排気還流バルブ40が設けられ、
図4において符号3805は2つの分岐通路3804Bのうちの一方の上流端を示している。
排気還流バルブ40は、弁体4002の開閉によりインテークマニホールド14に導入される排気還流ガスのガス流量(還流量)を調整するものである。
詳細には、排気還流ガスの流れの上流端に位置する壁部3810の箇所に排気還流バルブ結合用フランジ3814が設けられ、この排気還流バルブ結合用フランジ3814に排気還流バルブ40が連結されている。
排気還流バルブ40は、弁体4002の開閉によりインテークマニホールド14に導入される排気還流ガスの還流量を調整するものである。
【0012】
図4に示すように、各分岐通路3804Bは、インテークマニホールド14の外壁に沿って延在形成される第一通路部3804B-1と、第一通路部から屈曲してインテークマニホールド14の内部である細長通路部32に接続される第二通路部3804B-2とを備えている。
詳細には、第一通路部3804B-1と第二通路部3804B-2とは屈曲部3804B-3を介して接続されている。
そして、
図6に示すように、屈曲部3804B-3からフランジ3212まで、第一通路部3804B-1の延長方向に延びるリブ3812がインテークマニホールド14に一体形成されている。
図4、
図5、
図6に示すように、第二通路部3804B-2は、第二通路部3804B-2と細長通路部32とが接続されるインテークマニホールド14の壁部である上壁3202の箇所に形成された第一開口孔3806と、第一開口孔3806とは反対側の第二通路部3804B-2の端部に形成された第二開口孔3816と、第二開口孔3816を覆う蓋部44とを備えている。
第一開口孔3806は、各分岐通路3804Bからインテークマニホールド14の内部に排気還流ガスを供給する排気還流ガス供給口として機能し、第二開口孔3816は、第一開口孔3806に対向するインテークマニホールド14の内部の箇所を視認する点検口として機能する。
第二通路部3804B-2は、蓋部44を取り外した際に第二開口孔3816から第一開口孔3806が視認できるように直線形状で形成され、本実施の形態では、第一開口孔3806と第二開口孔3816とはほぼ同軸上に形成されている。
第二開口孔3816の周囲には、インテークマニホールド14の壁部から円筒状壁部3818が膨出され、この円筒状壁部3818の内側空間は第二開口孔3816と連続状に形成され、円筒状壁部3818の上端にガスケット42を介して着脱可能に取着される蓋部44により第二開口孔3816の開閉が行われる。
排気還流ガスは、各分岐通路3804Bの第一通路部3804B-1、第二通路部3804B-2から第一開口孔3806を通って細長通路部32に供給される。
【0013】
また、各分岐通路3804Bの第一開口孔3806は、細長通路部32の長手方向に間隔をおいた箇所に設けられ、湾曲通路部30の外側に位置する細長通路部32の箇所に対向している。
詳細には、各分岐通路3804Bの第一開口孔3806は、細長通路部32の長手方向の中央の両側に位置して上壁3202に設けられ、湾曲通路部30の外側に位置する下壁3204の部分に対向している。
本実施の形態では、
図3に示すように、細長通路部32に連通して、細長通路部32の長手方向に4つの吸気ポート22が設けられ、各分岐通路3804Bの第一開口孔3806は、中央の2つの気筒20の吸気ポート22と、それら気筒20の外側の吸気ポート22との間で中央の2つの気筒20の吸気ポート22寄りに位置している。
言い換えると、内燃機関に配列された気筒20の配列方向と直交する直交方向からインテークマニホールド14を見た正面視において、分岐部3804Aはシリンダヘッド18に配列された吸気ポート22の開口の中間に配置され、各分岐通路3804Bは、分岐部3804Aと吸気ポート22の開口の中間とを結ぶ線を跨ぐように配置されている。
また、各分岐通路3804Bは、分岐部3804Aと吸気ポート22の開口の中間とを結ぶ線を対称軸として線対称に配置されている。
【0014】
各分岐通路3804Bの第一開口孔3806は、細長通路部32の長手方向に間隔をおいた箇所に設けられ、すなわち、第一開口孔3806が複数設けられ、第一開口孔3806が単一の場合に比較して、排気還流ガスと新気とが効率よく混合され、各気筒20へ供給される排気還流ガス量のバラツキを低減でき、各気筒20の燃焼安定性を向上させる上で有利となっている。
また、各第一開口孔3806は、湾曲通路部30の外側に位置する細長通路部32の箇所に対向し、本実施の形態では、2つの第一開口孔3806は、湾曲通路部30の外側に位置する下壁3204の箇所に対向している。これにより、排気還流ガスが新気と混合することによって冷却され、排気還流ガスの水分が凝縮されインテークマニホールド14の内部で凝縮水が生じても、凝縮水は湾曲通路部30の外側の箇所で生じ、凝縮水は新気の流れによって湾曲通路部30から吸気ポート22へ向かう方向に流され、各気筒20において蒸発する。そのため、凝縮水がスロットルバルブ34に流入することが抑制され、冬季において、スロットルバルブ34の凍結を防止でき、エンジン10を安定して運転する上で有利となる。
本実施の形態では、
図3に示すように、細長通路部32に連通して、細長通路部32の長手方向に4つの吸気ポート22が設けられ、2つの分岐通路3804Bの第一開口孔3806は、中央の2つの気筒20の吸気ポート22と、それら気筒20の外側の吸気ポート22との間で中央の2つの気筒20の吸気ポート22寄りに位置し、排気還流ガスと新気とが効率よく混合され、各気筒20へ供給される排気還流ガス量のバラツキを低減でき、各気筒20の燃焼安定性を向上させる上で有利となっている。
【0015】
次に作用効果について説明する。
エンジン10の運転中、スロットルバルブ34から縦通路部28に導入された新気は湾曲通路部30を介して細長通路部32に至り、細長通路部32の中央から長手方向に沿って両側に拡がりながら各吸気ポート22に導入される。
ここで、排気還流ガスの還流を行なうための条件が成立すると、不図示の排気還流ガス制御部により排気還流バルブ40が開かれる。
すると、上流路3802から各分岐通路3804Bに導入された排気還流ガスは、各第一開口孔3806から細長通路部32の長手方向に沿って拡がる新気に合流することで新気と混合され各吸気ポート22へ分配される。
【0016】
この場合、各第一開口孔3806からインテークマニホールド14内部に供給される排気還流ガスには、未燃焼物、油分、水分が含まれているため、排気還流ガスと新気とが合流する部分の壁部には、排気還流ガスが新気で冷却されることで発生する凝縮水が未燃焼物や油分と混じりヘドロ状の堆積物が付着しやすい。
すなわち、第一開口孔3806に対向する下壁3204の箇所には排気還流ガスに起因する堆積物が付着しやすく、堆積物が付着することで排気還流ガスおよび新気が流通する空間が狭くなり、排気還流ガスと新気の混合が円滑になされにくくなり、燃焼安定性を図る上で不利となる。
本実施の形態では、第二通路部3804B-2は、インテークマニホールド14の壁部である上壁3202の箇所に形成された第一開口孔3806と、第一開口孔3806とは反対側の第二通路部3804B-2の端部に形成された第二開口孔3816と、第二開口孔3816を覆う蓋部44とを備えている。
そのため、蓋部44を取り外すことで、第二開口孔3816から第一開口孔3806に対向する下壁3204の箇所を視認でき、排気還流ガスに起因する堆積物の付着状況を点検することが可能となり排気還流ガスに起因する堆積物の付着状況を確認することができる。
そして、堆積物の付着状況によってはインテークマニホールド14の内部を清掃し、排気還流ガスと新気の混合を円滑に行わせ、燃焼安定性を図る上で有利となる。
【0017】
また、本実施の形態では、第一通路部3804B-1がインテークマニホールド14の外壁と一体に形成されているので、第一通路部3804B-1を利用してインテークマニホールド14の壁部の肉厚を増やすことができ、インテークマニホールド14の強度を向上させる上で有利となる。
また、本実施の形態では、屈曲部3804B-3からフランジ3212まで、第一通路部3804B-1の延長方向に延びるリブ3812がインテークマニホールド14に一体形成されているので、インテークマニホールド14の壁部の強度を向上させ、また、インテークマニホールド14のシリンダヘッド18に対する取付強度を向上させる上で有利となる。
また、本実施の形態では、第二通路部3804B-2は、蓋部44を取り外した際に第二開口孔3816から第一開口孔3806が視認できるように直線形状で形成されているので、第一開口孔3806に対向するインテークマニホールド14の内部を視認しやすく、排気還流ガスに起因する堆積物の付着状況を点検する上でより有利となる。
【0018】
また、本実施の形態では、インテークマニホールド14の壁部から膨出した円筒状壁部3818が設けられているため、円筒状壁部3818によって壁部3810が補強されるため、インテークマニホールド14の壁部の強度を向上させ、また、排気還流バルブ40の取付強度を向上させる上でより有利となる。
【0019】
なお、第二開口孔3816は、2つの第一開口孔3806の一方にのみ設けるようにしてもよいが、言い換えると、第一開口孔3806が複数ある場合少なくとも1つの第一開口孔3806に第二開口孔3816を設けるようにしてもよいが、本実施の形態のように、第一開口孔3806が複数設けられ、それに対応して第二開口孔3816を複数設けると、インテークマニホールド14の内部において排気還流ガスに起因する堆積物の付着状況を点検する上で有利となる。
【符号の説明】
【0020】
10 エンジン(内燃機関)
14 インテークマニホールド
18 シリンダヘッド
22 吸気ポート
3212 フランジ
38 排気還流通路
3804B-1 第一通路部
3804B-2 第二通路部
3804B-3 屈曲部
3806 第一開口孔
3812 リブ
3816 第二開口孔
44 蓋部