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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】車両用カップホルダ取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20220830BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B60N3/10 A
B60R7/06 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019014329
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2020121635
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】植松 良太
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-331863(JP,A)
【文献】特開2017-088097(JP,A)
【文献】特開2010-111223(JP,A)
【文献】特開2006-044350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の壁を形成する内装部材と、該内装部材に取り付けられて所定の飲料容器が載置されるカップホルダとを備える車両用カップホルダ取付構造において、
前記カップホルダは、前記内装部材から車内側に膨出していて上方に開口が形成されているアウタリッドと、該アウタリッドの内側に挿入され前記開口に接続され前記飲料容器の側面および底面に沿った形状を有するインナカップとを含んでいて、
前記インナカップは、前記飲料容器の底部に沿った箇所から前記内装部材側の斜め下方へ突出し該内装部材に挿し込まれる内側ツメを有し、
前記アウタリッドは、前記インナカップよりも下方に設けられ前記内装部材側の斜め下方へ突出し該内装部材に挿し込まれる1または複数の外側ツメを有することを特徴とする車両用カップホルダ取付構造。
【請求項2】
前記インナカップの側面には、前記飲料容器を露出させるよう開けられたインナ貫通領域が形成されていて、
前記アウタリッドには、前記インナ貫通領域に重なるよう開けられたアウタ貫通領域が形成されていて、
前記アウタ貫通領域の縁は、前記インナ貫通領域の縁に沿って前記インナカップ側に屈曲していることを特徴とする請求項1に記載の車両用カップホルダ取付構造。
【請求項3】
当該車両用カップホルダ取付構造はさらに、前記カップホルダの上方にて前記内装部材に取り付けられる上側装飾部材を備え、
前記上側装飾部材は、前記カップホルダの上縁と前記内装部材との境界を覆い隠すことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用カップホルダ取付構造。
【請求項4】
当該車両用カップホルダ取付構造はさらに、前記カップホルダの下方にて前記内装部材に取り付けられる下側装飾部材を備え、
前記下側装飾部材は、前記アウタリッドを貫通して前記内装部材に挿し込まれる貫通ツメを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用カップホルダ取付構造。
【請求項5】
前記アウタリッドには、側方に延びて前記内装部材の所定の範囲を覆う延長部が形成されていて、
前記外側ツメは、複数設けられていて、
前記複数の外側ツメのうち一部は前記延長部に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用カップホルダ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用カップホルダ取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車室内の内装部材、例えばインストルメントパネルには、飲料容器を載置するカップホルダが設けられている。例えば特許文献1には、インストルメントパネルコア1にドリンクホルダ5を設けた例が開示されている。このドリンクホルダ5は、カップ形状を有するロアカップ6と、円筒状のアッパカップ7、およびアッパカップ7の上端に装着されるカップベゼル8を含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-113068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のドリンクホルダ5は、ロアカップ6をねじ10の一点で締結することでのみインストルメントパネルコア1に取り付けられた状態になっている。そのため、ドリンクホルダ5は、インストルメントパネルコア1への取付精度および飲料容器の支持剛性の点で改善の余地を残している。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、簡潔な構成で取付精度および飲料容器の支持剛性の向上が可能な車両用カップホルダ取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用カップホルダ取付構造の代表的な構成は、車室内の壁を形成する内装部材と、内装部材に取り付けられて所定の飲料容器が載置されるカップホルダとを備える車両用カップホルダ取付構造において、カップホルダは、内装部材から車内側に膨出していて上方に開口が形成されているアウタリッドと、アウタリッドの内側に挿入され開口に接続され飲料容器の側面および底面に沿った形状を有するインナカップとを含んでいて、インナカップは、飲料容器の底部に沿った箇所から内装部材側の斜め下方へ突出し内装部材に挿し込まれる内側ツメを有し、アウタリッドは、インナカップよりも下方に設けられ内装部材側の斜め下方へ突出し内装部材に挿し込まれる1または複数の外側ツメを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡潔な構成で取付精度および飲料容器の支持剛性の向上が可能な車両用カップホルダ取付構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例に係る車両用カップホルダ取付構造を示す斜視図である。
図2図1(b)のカップホルダのアウタリッドとインナカップとをそれぞれ単独で示した図である。
図3図1(b)のカップホルダを各方向から示した図である。
図4図1のインストルメントパネルを各方向から示した図である。
図5図3(b)のカップホルダのA-A断面図である。
図6図3(b)のカップホルダのB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る車両用カップホルダ取付構造は、車室内の壁を形成する内装部材と、内装部材に取り付けられて所定の飲料容器が載置されるカップホルダとを備える車両用カップホルダ取付構造において、カップホルダは、内装部材から車内側に膨出していて上方に開口が形成されているアウタリッドと、アウタリッドの内側に挿入され開口に接続され飲料容器の側面および底面に沿った形状を有するインナカップとを含んでいて、インナカップは、飲料容器の底部に沿った箇所から内装部材側の斜め下方へ突出し内装部材に挿し込まれる内側ツメを有し、アウタリッドは、インナカップよりも下方に設けられ内装部材側の斜め下方へ突出し内装部材に挿し込まれる1または複数の外側ツメを有することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、カップホルダを構成するアウタリッドとインナカップのそれぞれが内装部材(例えばインストルメントパネル)に挿し込むツメを備えているため、内装部材に対して精度よく取り付けることが可能になる。特に、外側ツメと内側ツメは、それぞれアウタリッドおよびインナカップのうち飲料容器からの荷重が集まる下部に設けられているため、飲料容器に対して十全な支持剛性を確保することができる。また、外側ツメと内側ツメは、それぞれ内装部材側の斜め下方に向かって延びていて、内装部材に対して車内側から挿し込みやすく好適である。
【0011】
上記のインナカップの側面には、飲料容器を露出させるよう開けられたインナ貫通領域が形成されていて、アウタリッドには、インナ貫通領域に重なるよう開けられたアウタ貫通領域が形成されていて、アウタ貫通領域の縁は、インナ貫通領域の縁に沿ってインナカップ側に屈曲しているとよい。
【0012】
上記構成によれば、アウタ貫通領域の縁がインナ貫通領域に噛み合うことで、飲料容器の荷重をインナカップからアウタリッドに対して分散させることができる。また、アウタ貫通領域の縁によってインナカップを支えることで、インナカップの沈み込みを防ぎ、アウタリッドとインナカップとの組付精度を向上させることができる。
【0013】
当該車両用カップホルダ取付構造はさらに、カップホルダの上方にて内装部材に取り付けられる上側装飾部材を備え、上側装飾部材は、カップホルダの上縁と内装部材との境界を覆い隠すとよい。
【0014】
上記構成によれば、上側装飾部材(例えば、内装部材をインストルメントパネルとしたときのガーニッシュ)が内装部材とカップホルダとの見切り線を覆い隠すことで、見切り線の露出を防ぎ、美観の向上を図ることが可能になる。また、上側装飾部材がカップホルダの上側を覆うことで、カップホルダが飲料容器の荷重によって動こうとしたときに上側装飾部材が干渉し、カップホルダの沈み込み等を防ぐことが可能となる。
【0015】
当該車両用カップホルダ取付構造はさらに、カップホルダの下方にて内装部材に取り付けられる下側装飾部材を備え、下側装飾部材は、アウタリッドを貫通して内装部材に挿し込まれる貫通ツメを有するとよい。
【0016】
上記構成によれば、下側装飾部材(例えば、内装部材をインストルメントパネルとしたときのコラムホールカバー)の貫通ツメによって、カップホルダの下部を支え、カップホルダの飲料容器に対する支持剛性および内装部材に対する取付精度をさらに向上させることが可能となる。
【0017】
上記のアウタリッドには、側方に延びて内装部材の所定の範囲を覆う延長部が形成されていて、外側ツメは、複数設けられていて、複数の外側ツメのうち一部は延長部に設けられていてもよい。
【0018】
延長部にも外側ツメを設けることで、アウタリッドの内装部材に対する取付剛性を向上させることが可能となる。
【実施例
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0020】
図1は、本発明の実施例に係る車両用カップホルダ取付構造(以下、取付構造100)を示す斜視図である。図1(a)は、車両に実装された状態における取付構造100を示した図である。以下、図1その他の本願のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(Upward)、D(Downward)で例示する。
【0021】
本実施例では、車室内の壁を形成する内装部材として、インストルメントパネル102を例に挙げる。インストルメントパネル102は、前部座席の前方に設置される大型の樹脂部材である。インストルメントパネル102には、上下寸法の中央付近であって、ステアリングコラムが設置されるコラムホール104の右脇に、飲料容器(図示省略)を載置するカップホルダ106が設けられている。当該取付構造100は、インストルメントパネル102に対して、カップホルダ106の取付精度および飲料容器の支持剛性の向上を図っている。
【0022】
図1(b)は、図1(a)の取付構造100の各部材を分解した図である。取付構造100は、インストルメントパネル102を装飾する部材として、上側装飾部材であるガーニッシュ108、および下側装飾部材であるコラムホールカバー110を備えている。ガーニッシュ108は、カップホルダ106の上方にてインストルメントパネル102に取り付けられ、インストルメントパネル102の空調の吹出口および計器類が設置される周辺を装飾する。コラムホールカバー110は、コラムホール104の左右の側縁および下縁の周囲を装飾する。
【0023】
本実施例では、カップホルダ106は、外側のアウタリッド112と内側のインナカップ114の2つの部材で形成されている。以下、図2以降の各図を参照して、カップホルダ106の構成についてさらに説明を行う。
【0024】
図2は、図1(b)のカップホルダ106のアウタリッド112とインナカップ114とをそれぞれ単独で示した図である。図2(a)は、図1(b)のアウタリッド112を示した図である。アウタリッド112は、カップホルダ106の外装となる部材であり、全体としてインストルメントパネル102から車内側(本実施例では、車両後方側)に膨出した形状になっている。
【0025】
アウタリッド112のうち、ホルダ部116は、飲料容器を挿入する部位である。ホルダ部116は、インストルメントパネル102から大きく膨出していて、上部には飲料容器を挿入可能な寸法の開口118が形成されている。延長部120は、ホルダ部116から側方(車幅方向中央側)に延びている部位であり、インストルメントパネル102のコラムホール104側(図1(b)参照)の範囲を覆う。延長部120には、イグニッションスイッチを設置するための円形の開口122が形成されている。これらホルダ部116および延長部120の背面側(インストルメントパネル102側)は開放されている(図3(b)参照)。
【0026】
図2(b)は、図1(b)のインナカップ114を示した図である。インナカップ114は、アウタリッド112(図2(a)参照)のホルダ部116の内側に挿入される部材であり、飲料容器の側面および底面に沿った器型の形状を有している。インナカップ114は、上縁124の下側に、下方に突出した複数の挿込ツメ126を有している。挿込ツメ126はアウタリッド112の開口118に沿って形成された挿込孔128に上方から挿し込まれ、これによってインナカップ114はアウタリッド112に組み付けられる。なお、他の例として、インナカップ114の挿込ツメ126を上縁124から上方に突出させ、アウタリッド112の挿込孔128を開口118の縁の下側に設け、インナカップ114をアウタリッド112の開口118に対して下方から取り付ける構成とすることも可能である。
【0027】
図3は、図1(b)のカップホルダ106を各方向から示した図である。図3(a)は、図1(b)のカップホルダ106を正面側(本実施例では車両後方側)から示した図である。アウタリッド112のホルダ部116には、貫通領域130が形成されている。貫通領域130は、アウタリッド112とインナカップ114を貫通して形成されていて、インナカップ114内の飲料容器を露出させる他、小物類を留めておく部位として利用できる。
【0028】
図3(b)は、図3(b)のカップホルダ106を背面側(本実施例ではインストルメントパネル102(図1(b)参照)側)から示した図である。アウタリッド112に取り付けられたインナカップ114は、ホルダ部116によって正面側(本実施例では車両後方側)および下側が覆われた状態となる。
【0029】
本実施例では、アウタリッド112およびインナカップ114には、インストルメントパネル102への取付けに使用される複数のツメが設けられている。まず、アウタリッド112には、上下左右各所の縁に、複数の外側ツメ132a~132gが設けられている。また、インナカップ114には、飲料容器の底部に沿う下面134に、内側ツメ136が設けられている。なお、アウタリッド112には、インナカップ114の背面側の上部にて、インストルメントパネル102への締結用のボス孔138、および位置決め用のピン140も設けられている。
【0030】
図4は、図1のインストルメントパネル102を各方向から示した図である。図4(a)は、図1(b)のインストルメントパネル102を正面側(本実施例では車両後方側)から示した図である。図4(a)には、図3(a)のカップホルダ106を破線によって仮想的に示している。インストルメントパネル102には、カップホルダ106が取り付けられる範囲内に、各ツメ用の複数の挿込孔(外側ツメ用の挿込孔142a~142g、および内側ツメ用の挿込孔144)、スクリュ等を使用する孔146、およびピン用の孔148が設けられている。
【0031】
図4(b)は、図1(a)のインストルメントパネル102の背面側(本実施例では車両前方側)を示した図である。図4(a)では、インストルメントパネル102を、カップホルダ106が取り付けられた状態を想定して例示している。カップホルダ106は、各ツメ(外側ツメ132a~132g、および内側ツメ136)およびピン140を利用してインストルメントパネル102に設置され、スクリュ150でインストルメントパネル102に締結される。
【0032】
本実施例では、各ツメを利用して、カップホルダ106におけるインストルメントパネル102への取付精度および飲料容器の支持剛性の向上を図っている。特に、インナカップ114の内側ツメ136は、飲料容器の下方にて、飲料容器の荷重を好適に吸収する。また、複数の外側ツメ132a~132gのなかでも、インナカップ114よりも下方に位置するよう設けられた外側ツメ132a~132cは、上方からの飲料容器の荷重を吸収することで、カップホルダ106のインストルメントパネル102に対する取付精度の向上に役立っている。
【0033】
図5は、図3(b)のカップホルダ106のA-A断面図である。図5では、車両への実装時を想定して、インストルメントパネル102も登場させている。内側ツメ136は、インナカップ114のうち、飲料容器の底部を支える下面134から、インストルメントパネル102側の斜め下方に突出している。内側ツメ136によれば、飲料容器の支持剛性を好適に向上させることが可能である。
【0034】
アウタリッド112の外側ツメ132a~132c(図5では、代表して外側ツメ132aを例示)もまた飲料容器の下方に位置するよう、インナカップ114よりも下方に設けられていて、アウタリッド112の下縁152からインストルメントパネル102側の斜め下方へ突出している。外側ツメ132a~132cによれば、飲料容器の支持剛性を向上させつつ、飲料容器の荷重によるカップホルダ106の沈み込みを防ぎ、カップホルダ106のインストルメントパネル102に対する取付精度を向上させることが可能である。
【0035】
内側ツメ136および外側ツメ132a~132cは、共にインストルメントパネル102側の斜め下方に向かって延びているため、インストルメントパネル102に対して車内側から挿し込みやすく、好適である。
【0036】
再び図3(b)を参照する。アウタリッド112の複数の外側ツメ132a~132gのうち、インナカップ114よりも下方に設けられているものとしては、ホルダ部116の下縁に外側ツメ132aが設けられ、延長部120の下縁に外側ツメ132b、132cが設けられている。このように、ホルダ部116に加えて延長部120においてもインナカップ114よりも下方にて外側ツメ132b、132cを設けることで、飲料容器の荷重を好適に吸収することが可能になり、アウタリッド112のインストルメントパネル102に対する取付剛性を向上させることが可能となる。
【0037】
これらのように、当該取付構造によれば、カップホルダ106を構成するアウタリッド112とインナカップ114のそれぞれがインストルメントパネル102に挿し込む複数のツメを備えているため、インストルメントパネル102に対して精度よく取り付けることができる。特に、外側ツメ132a~132cと内側ツメ136は、それぞれアウタリッド112およびインナカップ114のうち飲料容器からの荷重が集まる下部に設けられているため、飲料容器に対して十全な支持剛性を確保することが可能になっている。
【0038】
図5に示すように、カップホルダ106には、飲料容器を露出させるよう開けられた貫通領域130が形成されている。まず、インナカップ114の側面には、飲料容器を露出させるよう開けられたインナ貫通領域130aが形成されている。そして、アウタリッド112には、インナ貫通領域130aに重なるよう開けられたアウタ貫通領域130bが形成されている。
【0039】
上述したアウタ貫通領域130bの縁154は、インナ貫通領域130aの縁156に沿ってインナカップ114側に屈曲した状態で形成されている。この構成によれば、アウタ貫通領域130bの縁154がインナ貫通領域130aに噛み合うため、飲料容器の荷重をインナカップ114からアウタリッド112に対して分散させることが可能になる。また、アウタ貫通領域130bの縁154によってインナカップ114を支えることで、インナカップ114の沈み込みを防ぎ、アウタリッド112とインナカップ114との取付精度がさらに向上する。
【0040】
図6は、図3(b)のカップホルダ106のB-B断面図である。図6においても、車両への実装時を想定していて、インストルメントパネル102に加えてガーニッシュ108およびコラムホールカバー110も登場させている。
【0041】
本実施例では、下側装飾部材であるコラムホールカバー110は、アウタリッド112の下縁152よりも車両後方側に設置される。さらに、コラムホールカバー110の上縁158には、アウタリッド112を貫通してインストルメントパネル102に挿し込まれる貫通ツメ160が設けられている。貫通ツメ160に対応して、アウタリッド112の下縁152には挿込孔162が形成され、インストルメントパネル102には挿込孔164が形成されている。これら構成によれば、コラムホールカバー110の貫通ツメ160によってカップホルダ106の下部を支え、カップホルダ106の飲料容器に対する支持剛性および内装部材に対する取付精度をさらに向上させることができる。したがって、カップホルダ106に重量の大きい飲料容器を載置した場合などにおいても、カップホルダ106の沈み込む動きを止めることが可能になる。
【0042】
上側装飾部材であるガーニッシュ108もまた、アウタリッド112の上縁166よりも車両後方側に設置される。このとき、ガーニッシュ108、アウタリッド112の上縁166とインストルメントパネル102との境界の全部または一部を覆い隠す構成となっている。この構成によれば、ガーニッシュ108がインストルメントパネル102とカップホルダ106との境目である見切り線168を覆い隠すことで、見切り線168の露出を防ぎ、美観の向上を図ることができる。また、ガーニッシュ108がカップホルダ106の上側を覆うことで、例えばカップホルダ106が飲料容器からの荷重によって下部を中心に車両後方へ回転しようとしたときにガーニッシュ108が干渉し、カップホルダ106の移動を防ぐことが可能となる。
【0043】
なお、本実施例では、車室内の壁を形成する内装部材としてインストルメントパネル102を例に挙げたが、これに限らず、内装部材は例えばドアトリムとしても実現可能である。その場合、上側装飾部材および下側装飾部材はドアトリム用のガーニッシュとして実現可能であり、この構成においてもカップホルダの取付精度および支持剛性の向上を図ることが可能となる。
【0044】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、車両用カップホルダ取付構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
100…取付構造、102…インストルメントパネル、104…コラムホール、106…カップホルダ、108…ガーニッシュ、110…コラムホールカバー、112…アウタリッド、114…インナカップ、116…ホルダ部、118…開口、120…延長部、122…開口、124…インナカップの上縁、126…挿込ツメ、128…挿込孔、130…貫通領域、130a…インナ貫通領域、130b…アウタ貫通領域、132a~132g…外側ツメ、134…下面、136…内側ツメ、138…ボス孔、140…ピン、142a~142g…外側ツメ用の挿込孔、144…内側ツメ用の挿込孔、146…スクリュ用の孔、148…ピン用の孔、150…スクリュ、152…アウタリッドの下縁、154…アウタ貫通領域の縁、156…インナ貫通領域の縁、158…コラムホールカバーの上縁、160…貫通ツメ、162…アウタリッドの貫通ツメ用の挿込孔、164…インストルメントパネルの貫通ツメ用の挿込孔、166…アウタリッドの上縁、168…見切り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6