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特許7131603スイッチ装置、車載通信装置、車載通信システム、時刻補正方法および時刻補正プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】スイッチ装置、車載通信装置、車載通信システム、時刻補正方法および時刻補正プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20220830BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20220830BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H04L7/00 990
H04L12/28 200Z
B60R16/023 P
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020504781
(86)(22)【出願日】2018-11-22
(86)【国際出願番号】 JP2018043212
(87)【国際公開番号】W WO2019171669
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】P 2018040611
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】岩田 章人
(72)【発明者】
【氏名】萩原 剛志
(72)【発明者】
【氏名】藪内 靖弘
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-123570(JP,A)
【文献】特開2013-98788(JP,A)
【文献】国際公開第2014/167703(WO,A1)
【文献】特開2015-65525(JP,A)
【文献】特開2017-98694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/00
H04L 12/28
B60R 16/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ装置であって、
車両に搭載され、異なるVLAN(Virtual Local Area Network)に属する機能部間のデータを中継する第1の中継処理を行う中継部と、
前記機能部である第1の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記機能部である第2の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記時刻補正情報を前記第2の機能部に通知する通知部とを備える、スイッチ装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記第1の機能部および前記スイッチ装置間のデータの伝搬遅延時間、ならびに前記第2の機能部および前記スイッチ装置間のデータの伝搬遅延時間にさらに基づいて前記時刻補正情報を算出する、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記機能部は、自己と同じVLANに属し、かつ前記車両に搭載された他の機能部と自己との間のデータの伝搬遅延時間を用いて前記他の機能部との時刻同期を行い、
前記通知部は、前記第2の機能部から送信された前記伝搬遅延時間を算出するためのメッセージに対する応答メッセージに前記時刻補正情報を含めて前記第2の機能部へ送信する、請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記機能部は、自己と同じVLANに属し、かつ前記車両に搭載された他の機能部と自己との間のデータの伝搬遅延時間を含めてメッセージを送信することにより前記他の機能部との時刻同期を行い、
前記算出部は、前記メッセージの前記送信時刻および前記受信時刻を用いて前記時刻補正情報を算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記中継部は、前記車両に搭載され、同じVLANに属する機能部間のデータを中継する第2の中継処理を行い、
前記算出部は、同じVLANに属する前記機能部である第3の機能部および第4の機能部と自己の前記スイッチ装置との間のデータの各伝搬遅延時間、ならびに前記スイッチ装置における前記データの滞留時間に基づく第2の時刻補正情報を作成し、
前記通知部は、前記算出部により作成された前記第2の時刻補正情報を前記第4の機能部に通知する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
車両に搭載される車載通信装置であって、
異なるVLANに属する前記車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置から、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて算出された時刻補正情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正する補正部とを備える、車載通信装置。
【請求項7】
車両に搭載され、かつ異なるVLANに属する車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置と、前記車載通信装置とを備え、
前記スイッチ装置が、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出し、算出した前記時刻補正情報を前記第2の車載通信装置へ送信し、
前記第2の車載通信装置が、前記スイッチ装置から送信された前記時刻補正情報を受信し、受信した前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正する、車載通信システム。
【請求項8】
車両に搭載され、かつ異なるVLANに属する機能部間のデータを中継するスイッチ装置における時刻補正方法であって、
前記機能部である第1の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記機能部である第2の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出するステップと、
算出した前記時刻補正情報を前記第2の機能部に通知するステップとを含む、時刻補正方法。
【請求項9】
車両に搭載される車載通信装置における時刻補正方法であって、
異なるVLANに属する前記車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置から、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて算出された時刻補正情報を取得するステップと、
取得した前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正するステップとを含む、時刻補正方法。
【請求項10】
車両に搭載され、かつ異なるVLANに属する車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置と、前記車載通信装置とを備える車載通信システムにおける時刻補正方法であって、
前記スイッチ装置が、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出するステップと、
前記スイッチ装置が、算出した前記時刻補正情報を前記第2の車載通信装置へ送信するステップと、
前記第2の車載通信装置が、前記スイッチ装置から送信された前記時刻補正情報を受信し、受信した前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正するステップとを含む、時刻補正方法。
【請求項11】
スイッチ装置において用いられる時刻補正プログラムであって、
コンピュータを、
車両に搭載され、異なるVLANに属する機能部間のデータを中継する第1の中継処理を行う中継部と、
前記機能部である第1の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記機能部である第2の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記時刻補正情報を前記第2の機能部に通知する通知部、
として機能させるための、時刻補正プログラム。
【請求項12】
車載通信装置において用いられる時刻補正プログラムであって、
コンピュータを、
異なるVLANに属する前記車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置から、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて算出された時刻補正情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正する補正部、
として機能させるための、時刻補正プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置、車載通信装置、車載通信システム、時刻補正方法および時刻補正プログラムに関する。
この出願は、2018年3月7日に出願された日本出願特願2018-40611号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2013-168865号公報)には、以下のような車載ネットワークシステムが開示されている。すなわち、車載ネットワークシステムは、車載ネットワーク上で用いられる通信規約のうち前記車載ネットワーク上における実装に依拠する部分を定義する定義データを格納するメモリを備えた車載制御装置と、前記車載制御装置に対して前記定義データを発行する通信規約発行装置とを備える。前記通信規約発行装置は、前記車載制御装置を前記車載ネットワークに参加させる登録装置から、前記車載制御装置を前記車載ネットワークに参加させるよう要求する登録要求を受け取ると、前記登録装置に対する認証を実施した上で、前記車載ネットワークに上における実装に準拠した前記定義データを作成して前記登録装置に返信する。前記登録装置は、前記通信規約発行装置が送信した前記定義データを受け取り、受け取った前記定義データを前記メモリ上に格納するよう前記車載制御装置に対して要求する。そして、前記車載制御装置は、前記登録装置から定義データを受け取って前記メモリ上に格納し、前記定義データが定義する前記部分にしたがって、前記通信規約に準拠して前記車載ネットワークを用いて通信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-168865号公報
【発明の概要】
【0004】
(1)本開示のスイッチ装置は、車両に搭載され、異なるVLAN(Virtual Local Area Network)に属する機能部間のデータを中継する第1の中継処理を行う中継部と、前記機能部である第1の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記機能部である第2の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出する算出部と、前記算出部により算出された前記時刻補正情報を前記第2の機能部に通知する通知部とを備える。
【0005】
(6)本開示の車載通信装置は、車両に搭載される車載通信装置であって、異なるVLANに属する前記車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置から、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて算出された時刻補正情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正する補正部とを備える。
【0006】
(7)本開示の車載通信システムは、車両に搭載され、かつ異なるVLANに属する車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置と、前記車載通信装置とを備え、前記スイッチ装置が、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出し、算出した前記時刻補正情報を前記第2の車載通信装置へ送信し、前記第2の車載通信装置が、前記スイッチ装置から送信された前記時刻補正情報を受信し、受信した前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正する。
【0007】
(8)本開示の時刻補正方法は、車両に搭載され、かつ異なるVLANに属する機能部間のデータを中継するスイッチ装置における時刻補正方法であって、前記機能部である第1の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記機能部である第2の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出するステップと、算出した前記時刻補正情報を前記第2の機能部に通知するステップとを含む。
【0008】
(9)本開示の時刻補正方法は、車両に搭載される車載通信装置における時刻補正方法であって、異なるVLANに属する前記車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置から、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて算出された時刻補正情報を取得するステップと、取得した前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正するステップとを含む。
【0009】
(10)本開示の時刻補正方法は、車両に搭載され、かつ異なるVLANに属する車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置と、前記車載通信装置とを備える車載通信システムにおける時刻補正方法であって、前記スイッチ装置が、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出するステップと、記スイッチ装置が、算出した前記時刻補正情報を前記第2の車載通信装置へ送信するステップと、前記第2の車載通信装置が、前記スイッチ装置から送信された前記時刻補正情報を受信し、受信した前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正するステップとを含む。
【0010】
(11)本開示の時刻補正プログラムは、スイッチ装置において用いられる時刻補正プログラムであって、コンピュータを、車両に搭載され、異なるVLAN(Virtual Local Area Network)に属する機能部間のデータを中継する第1の中継処理を行う中継部と、前記機能部である第1の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記機能部である第2の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出する算出部と、前記算出部により算出された前記時刻補正情報を前記第2の機能部に通知する通知部、として機能させるためのプログラムである。
【0011】
(12)本開示の時刻補正プログラムは、車載通信装置において用いられる時刻補正プログラムであって、コンピュータを、異なるVLANに属する前記車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置から、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて算出された時刻補正情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正する補正部、として機能させるためのプログラムである。
【0012】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備えるスイッチ装置として実現され得るだけでなく、スイッチ装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0013】
また、本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載通信装置として実現され得るだけでなく、車載通信装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0014】
また、本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載通信システムとして実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得たり、車載通信システムの一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置において用いられるアドレステーブルの一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置において用いられるARPテーブルTa2Aの一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置において用いられるARPテーブルTa2Bの一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置における算出部により算出される伝搬遅延時間の算出方法を説明するための図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る車載通信システムにおけるマスタ側の機能部の構成を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る車載通信システムにおけるスレーブ側の機能部の構成を示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係る車載通信システムにおける異なるVLANに属する機能部間の時刻補正の動作手順を定めたフローチャートである。
図10図10は、本発明の実施の形態に係る車載通信システムにおける同じVLANに属する機能部間の時刻補正の動作手順を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
従来、車載ネットワークにおけるセキュリティを向上させるための車載ネットワークシステムが開発されている。
【0017】
[本開示が解決しようとする課題]
車載ネットワークにおいてたとえばイーサネット(登録商標)接続を採用した場合、通常、IP(Internet Protocol)アドレスおよびMAC(Medium Access Control)アドレス等に関するネットワーク構成情報が各装置において作成され、各装置は、このようなネットワーク構成情報を用いて他の装置と通信を行う。
【0018】
また、イーサネットケーブルを介して接続される装置間における時刻同期を行うための技術として、gPTP(generalized Precision Time Protocol)が知られている。
【0019】
しかしながら、gPTPは、同一のVLAN(Virtual Local Area Network)に属する各装置のMACアドレスを用いて装置間の時刻同期を行うためのプロトコルであり、セキュリティ上、異なるVLANに属する装置間の時刻同期を行うことができない。
【0020】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、異なるVLANに属する車載通信装置間の時刻同期を実現することができるスイッチ装置、車載通信装置、車載通信システム、時刻補正方法および時刻補正プログラムを提供することである。
【0021】
[本開示の効果]
本開示によれば、異なるVLANに属する車載通信装置間の時刻同期を実現することができる。
【0022】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0023】
(1)本発明の実施の形態に係るスイッチ装置は、車両に搭載され、異なるVLAN(Virtual Local Area Network)に属する機能部間のデータを中継する第1の中継処理を行う中継部と、前記機能部である第1の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記機能部である第2の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出する算出部と、前記算出部により算出された前記時刻補正情報を前記第2の機能部に通知する通知部とを備える。
【0024】
このような構成により、スイッチ装置が、たとえば、第1の機能部の時刻と自己の時刻との差、および第2の機能部の時刻と自己の時刻との差を算出し、第1の機能部の時刻と第2の機能部の時刻との差を時刻補正情報として算出することができる。これにより、第2の機能部は、通知された時刻補正情報を用いて第1の機能部との時刻同期を確立することができる。したがって、異なるVLANに属する機能部間の時刻同期を実現することができる。
【0025】
(2)好ましくは、前記算出部は、前記第1の機能部および前記スイッチ装置間のデータの伝搬遅延時間、ならびに前記第2の機能部および前記スイッチ装置間のデータの伝搬遅延時間にさらに基づいて前記時刻補正情報を算出する。
【0026】
このような構成により、たとえば、第1の機能部の時刻とスイッチ装置の時刻との差、および第2の機能部の時刻とスイッチ装置の時刻との差をより正確に算出することができるため、時刻補正情報をより正確に算出することができる。
【0027】
(3)好ましくは、前記機能部は、自己と同じVLANに属し、かつ前記車両に搭載された他の機能部と自己との間のデータの伝搬遅延時間を用いて前記他の機能部との時刻同期を行い、前記通知部は、前記第2の機能部から送信された前記伝搬遅延時間を算出するためのメッセージに対する応答メッセージに前記時刻補正情報を含めて前記第2の機能部へ送信する。
【0028】
このような構成により、第2の機能部は、スイッチ装置から受信した応答メッセージに基づいて伝搬遅延時間および時刻補正情報を取得することができるため、取得した伝搬遅延時間および時刻補正情報を用いて、自己と同じVLANに属する他の機能部との時刻同期を確立することができる。
【0029】
(4)好ましくは、前記機能部は、自己と同じVLANに属し、かつ前記車両に搭載された他の機能部と自己との間のデータの伝搬遅延時間を含めてメッセージを送信することにより前記他の機能部との時刻同期を行い、前記算出部は、前記メッセージの前記送信時刻および前記受信時刻を用いて前記時刻補正情報を算出する。
【0030】
このように、同じVLANに属する機能部間で送信されるメッセージを用いて時刻補正情報を算出する構成により、時刻補正情報をたとえば定期的または不定期に更新することができるため、より正確な時刻補正情報を用いた時刻同期を行うことができる。
【0031】
(5)好ましくは、前記中継部は、前記車両に搭載され、同じVLANに属する機能部間のデータを中継する第2の中継処理を行い、前記算出部は、同じVLANに属する前記機能部である第3の機能部および第4の機能部と自己の前記スイッチ装置との間のデータの各伝搬遅延時間、ならびに前記スイッチ装置における前記データの滞留時間に基づく第2の時刻補正情報を作成し、前記通知部は、前記算出部により作成された前記第2の時刻補正情報を前記第4の機能部に通知する。
【0032】
このような構成により、第4の機能部は、第3の機能部の時刻とスイッチ装置の時刻との差、自己の時刻とスイッチ装置の時刻との差、およびスイッチ装置におけるデータの滞留時間を用いて、第3の機能部との時刻同期を確立することができる。
【0033】
(6)本発明の実施の形態に係る車載通信装置は、車両に搭載される車載通信装置であって、異なるVLANに属する前記車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置から、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて算出された時刻補正情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正する補正部とを備える。
【0034】
このような構成により、車載通信装置は、たとえば、自己の時刻と、自己と異なるVLANに属する他の車載通信装置の時刻との差を用いて、当該他の車載通信装置との時刻同期を確立することができる。したがって、異なるVLANに属する車載通信装置間の時刻同期を実現することができる。
【0035】
(7)本発明の実施の形態に係る車載通信システムは、車両に搭載され、かつ異なるVLANに属する車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置と、前記車載通信装置とを備え、前記スイッチ装置が、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出し、算出した前記時刻補正情報を前記第2の車載通信装置へ送信し、前記第2の車載通信装置が、前記スイッチ装置から送信された前記時刻補正情報を受信し、受信した前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正する。
【0036】
このような構成により、スイッチ装置が、たとえば、第1の車載通信装置の時刻と自己の時刻との差、および第2の車載通信装置の時刻と自己の時刻との差を算出し、第1の車載通信装置の時刻と第2の車載通信装置の時刻との差を時刻補正情報として算出することができる。これにより、第2の車載通信装置は、通知された時刻補正情報を用いて第1の車載通信装置との時刻同期を確立することができる。したがって、異なるVLANに属する車載通信装置間の時刻同期を実現することができる。
【0037】
(8)本発明の実施の形態に係る時刻補正方法は、車両に搭載され、かつ異なるVLANに属する機能部間のデータを中継するスイッチ装置における時刻補正方法であって、前記機能部である第1の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記機能部である第2の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出するステップと、算出した前記時刻補正情報を前記第2の機能部に通知するステップとを含む。
【0038】
このような方法により、スイッチ装置が、たとえば、第1の機能部の時刻と自己の時刻との差、および第2の機能部の時刻と自己の時刻との差を算出し、第1の機能部の時刻と第2の機能部の時刻との差を時刻補正情報として算出することができる。これにより、第2の機能部は、通知された時刻補正情報を用いて第1の機能部との時刻同期を確立することができる。したがって、異なるVLANに属する機能部間の時刻同期を実現することができる。
【0039】
(9)本発明の実施の形態に係る時刻補正方法は、車両に搭載される車載通信装置における時刻補正方法であって、異なるVLANに属する前記車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置から、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて算出された時刻補正情報を取得するステップと、取得した前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正するステップとを含む。
【0040】
このような方法により、車載通信装置は、自己の時刻と、自己と異なるVLANに属する他の車載通信装置の時刻との差を用いて、当該他の車載通信装置との時刻同期を確立することができる。したがって、異なるVLANに属する車載通信装置間の時刻同期を実現することができる。
【0041】
(10)本発明の実施の形態に係る時刻補正方法は、車両に搭載され、かつ異なるVLANに属する車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置と、前記車載通信装置とを備える車載通信システムにおける時刻補正方法であって、前記スイッチ装置が、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出するステップと、前記スイッチ装置が、算出した前記時刻補正情報を前記第2の車載通信装置へ送信するステップと、前記第2の車載通信装置が、前記スイッチ装置から送信された前記時刻補正情報を受信し、受信した前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正するステップとを含む。
【0042】
このような方法により、スイッチ装置が、たとえば、第1の車載通信装置の時刻と自己の時刻との差、および第2の車載通信装置の時刻と自己の時刻との差を算出し、第1の車載通信装置の時刻と第2の車載通信装置の時刻との差を時刻補正情報として算出することができる。これにより、第2の車載通信装置は、通知された時刻補正情報を用いて第1の車載通信装置との時刻同期を確立することができる。したがって、異なるVLANに属する車載通信装置間の時刻同期を実現することができる。
【0043】
(11)本発明の実施の形態に係る時刻補正プログラムは、スイッチ装置において用いられる時刻補正プログラムであって、コンピュータを、車両に搭載され、異なるVLANに属する機能部間のデータを中継する第1の中継処理を行う中継部と、前記機能部である第1の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記機能部である第2の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出する算出部と、前記算出部により算出された前記時刻補正情報を前記第2の機能部に通知する通知部、として機能させるためのプログラムである。
【0044】
このような構成により、スイッチ装置が、たとえば、第1の機能部の時刻と自己の時刻との差、および第2の機能部の時刻と自己の時刻との差を算出し、第1の機能部の時刻と第2の機能部の時刻との差を時刻補正情報として算出することができる。これにより、第2の機能部は、通知された時刻補正情報を用いて第1の機能部との時刻同期を確立することができる。したがって、異なるVLANに属する機能部間の時刻同期を実現することができる。
【0045】
(12)本発明の実施の形態に係る時刻補正プログラムは、車載通信装置において用いられる時刻補正プログラムであって、コンピュータを、異なるVLANに属する前記車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置から、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて算出された時刻補正情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正する補正部、として機能させるためのプログラムである。
【0046】
このような構成により、車載通信装置は、自己の時刻と、自己と異なるVLANに属する他の車載通信装置の時刻との差を用いて、当該他の車載通信装置との時刻同期を確立することができる。したがって、異なるVLANに属する車載通信装置間の時刻同期を実現することができる。
【0047】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0048】
<構成および基本動作>
[車載通信システム]
図1は、本発明の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【0049】
図1を参照して、車載通信システム301は、車両1に搭載され、スイッチ装置101と、複数の機能部(車載通信装置)111とを備える。図1では、一例として、4つの機能部111A,111B,111C,111Dを示している。機能部111は、たとえばECU(Electronic Control Unit)である。
【0050】
スイッチ装置101は、たとえばイーサネット(登録商標)ケーブル10により複数の機能部111と接続されており、自己に接続された複数の機能部111と通信を行うことが可能である。スイッチ装置101および各機能部111の接続関係は、たとえば固定されている。
【0051】
具体的には、スイッチ装置101は、機能部111からのデータを他の機能部111へ中継する中継処理を行う。スイッチ装置101および機能部111間では、たとえば、IPパケットが格納されたイーサネットフレームを用いて情報のやり取りが行われる。
【0052】
機能部111は、車外通信ECU、センサ、カメラ、ナビゲーション装置、自動運転処理ECU、エンジン制御デバイス、AT(Automatic Transmission)制御デバイス、HEV(Hybrid Electric Vehicle)制御デバイス、ブレーキ制御デバイス、シャーシ制御デバイス、ステアリング制御デバイスおよび計器表示制御デバイス等である。
【0053】
この例では、機能部111Aおよび機能部111Bは、第1のVLAN(Virtual Local Area Network)に属する。機能部111Cおよび機能部111Dは、第2のVLANに属する。
【0054】
また、第1のVLANのID(以下、「VID」とも称する。)は「1」であり、第2のVLANのVIDは「2」である。
【0055】
スイッチ装置101および機能部111は、たとえば固有のMAC(Media Access Control)アドレスを有する。また、スイッチ装置101および機能部111は、たとえば別個のIP(Internet Protocol)アドレスが固定的に与えられる。
【0056】
[スイッチ装置]
図2は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の構成を示す図である。
【0057】
図2を参照して、スイッチ装置101は、中継部51と、算出部52と、記憶部53と、複数の通信ポート54と、通知部55とを備える。中継部51は、スイッチ部61と、制御部62とを含む。
【0058】
(中継処理)
通信ポート54は、たとえばイーサネットケーブル10を接続可能な端子である。なお、通信ポート54は、集積回路の端子であってもよい。複数の通信ポート54の各々は、イーサネットケーブル10を介して複数の機能部111のうちのいずれか1つに接続されている。この例では、通信ポート54Aが機能部111Aに接続され、通信ポート54Bが機能部111Bに接続され、通信ポート54Cが機能部111Cに接続され、通信ポート54Dが機能部111Dに接続されている。
【0059】
スイッチ部61は、複数のレイヤを有する通信プロトコルに従って動作する。より詳細には、スイッチ部61は、L2(レイヤ2)スイッチとして機能することが可能であり、同じVLANに属する機能部111間で伝送されるイーサネットフレームを中継する中継処理(第2の中継処理)を行う。
【0060】
すなわち、スイッチ部61は、アドレステーブルTa1を用いて、同じVLANに属する機能部111間でデータを中継する。アドレステーブルTa1は、通信ポート54のポート番号と接続先装置のMACアドレスとの対応関係を示す。
【0061】
また、スイッチ部61は、L3(レイヤ3)中継装置としても機能することが可能であり、異なるVLANに属する機能部111間のイーサネットフレームを中継する中継処理(第1の中継処理)を行う。
【0062】
より詳細には、スイッチ部61は、アドレステーブルTa1、およびVLANごとのARP(Address Resolution Protocol)テーブルTa2A,Ta2Bを用いて、異なるVLANに属する機能部111間のデータを中継する。
【0063】
ARPテーブルTa2Aは、第1のVLANに属する各機能部111のMACアドレスとIP(Internet Protocol)アドレスとの対応関係を示す。ARPテーブルTa2Bは、第2のVLANに属する各機能部111のMACアドレスとIPアドレスとの対応関係を示す。アドレステーブルTa1、ARPテーブルTa2AおよびARPテーブルTa2Bは、記憶部53に保存されている。
【0064】
図3は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置において用いられるアドレステーブルの一例を示す図である。
【0065】
図3を参照して、アドレステーブルTa1において、通信ポート54Aのポート番号「1」とMACアドレス「MAC-A」とが対応づけられ、通信ポート54Bのポート番号「2」とMACアドレス「MAC-B」とが対応づけられ、通信ポート54Cのポート番号「3」とMACアドレス「MAC-C」とが対応づけられ、通信ポート54Dのポート番号「4」とMACアドレス「MAC-D」とが対応づけられている。
【0066】
図4は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置において用いられるARPテーブルTa2Aの一例を示す図である。
【0067】
図4を参照して、ARPテーブルTa2Aにおいて、第1のVLANに属する各機能部111について、機能部111AのMACアドレス「MAC-A」とIPアドレス「IP-A」とが対応付けられている。また、機能部111BのMACアドレス「MAC-B」とIPアドレス「IP-B」とが対応付けられている。
【0068】
図5は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置において用いられるARPテーブルTa2Bの一例を示す図である。
【0069】
図5を参照して、ARPテーブルTa2Bにおいて、第2のVLANに属する各機能部111について、機能部111CのMACアドレス「MAC-C」とIPアドレス「IP-C」とが対応付けられている。また、機能部111DのMACアドレス「MAC-D」とIPアドレス「IP-D」とが対応付けられている。
【0070】
再び図1および図2を参照して、たとえば、機能部111Aがイーサネットフレームを機能部111Bへ送信する場合、このイーサネットフレームに格納されているIPパケットには、送信元IPアドレスおよび送信先IPアドレスとして、IP-AおよびIP-Bがそれぞれ含まれる。
【0071】
機能部111Aは、自己および機能部111Bがいずれも第1のVLANに属していることから、1、MAC-BおよびMAC-Aを、VID、送信先MACアドレスおよび送信元MACアドレスとしてそれぞれイーサネットフレームに書き込む。そして、機能部111Aは、IPパケットを格納したイーサネットフレームをスイッチ装置101へ送信する。
【0072】
スイッチ装置101におけるスイッチ部61は、機能部111Aから送信されたイーサネットフレームを通信ポート54A経由で受信すると、受信したイーサネットフレームに対してレイヤ2のスイッチ処理を行うことで、当該イーサネットフレームを通信ポート54B経由で機能部111Bへ送信する。
【0073】
すなわち、スイッチ部61は、アドレステーブルTa1を参照し、受信したイーサネットフレームに含まれる送信先MACアドレスに対応するポート番号を特定する。そして、スイッチ部61は、受信したイーサネットフレームを、特定したポート番号の通信ポート54、具体的にはポート番号「2」の通信ポート54Bから送信する。
【0074】
また、機能部111Aがイーサネットフレームを機能部111Dへ送信する場合、このイーサネットフレームに格納されているIPパケットには、送信元IPアドレスおよび送信先IPアドレスとして、IP-AおよびIP-Dがそれぞれ含まれる。
【0075】
機能部111Aは、自己および機能部111Dが互いに異なるVLANに属していることから、1、デフォルトゲートウェイであるスイッチ装置101のMACアドレスおよびMAC-Aを、VID、送信先MACアドレスおよび送信元MACアドレスとしてそれぞれイーサネットフレームに書き込む。そして、機能部111Aは、IPパケットを格納したイーサネットフレームをスイッチ装置101へ送信する。
【0076】
スイッチ装置101におけるスイッチ部61は、機能部111Aから送信されたイーサネットフレームを通信ポート54A経由で受信すると、受信したイーサネットフレームに対してレイヤ3の中継処理を行うことで、当該イーサネットフレームを通信ポート54D経由で機能部111Dへ送信する。
【0077】
すなわち、スイッチ部61は、受信したイーサネットフレームに含まれるIPパケットから送信先IPアドレスを取得し、ARPテーブルTa2A,Ta2Bを参照して、受信したイーサネットフレームに含まれるVID、送信先MACアドレスおよび送信元MACアドレスを、2、MAC-Dおよびスイッチ装置101のMACアドレスにそれぞれ書き換える。
【0078】
また、スイッチ部61は、アドレステーブルTa1を参照し、イーサネットフレームに含まれる送信先MACアドレスに対応するポート番号を特定する。そして、スイッチ部61は、受信したイーサネットフレームを、特定したポート番号の通信ポート54、具体的にはポート番号「4」の通信ポート54Dから送信する。
【0079】
(伝搬遅延時間の算出)
算出部52は、複数の機能部111のうちのスレーブ側の機能部111について、自己のスイッチ装置101との間のデータの伝搬遅延時間を算出する。ここでは、機能部111Aおよび機能部111Cがマスタ側の機能部111であり、機能部111Bおよび機能部111Dがスレーブ側の機能部111であるとする。
【0080】
図6は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置における算出部により算出される伝搬遅延時間の算出方法を説明するための図である。
【0081】
図6を参照して、制御部62は、たとえば、機能部111Bおよびスイッチ装置101間のデータの伝搬遅延時間Td2を算出するための要求メッセージ(Pdelay_Req)を、通信ポート54Bを介して定期的または不定期に機能部111Bへ送信する。ここでは、制御部62は、時刻t1bにおいて要求メッセージを送信したとする。
【0082】
機能部111Bは、スイッチ装置101から送信された要求メッセージを受信すると、当該要求メッセージに対する応答メッセージ(Pdelay_Resp)をスイッチ装置101へ送信する。このとき、機能部111Bは、応答メッセージに、要求メッセージの受信時刻t2bおよび応答メッセージの送信時刻t3bを含めて送信する。
【0083】
スイッチ装置101における制御部62は、機能部111Bから送信された応答メッセージを通信ポート54B経由で受信し、受信した応答メッセージを算出部52へ出力する。また、制御部62は、要求メッセージの送信時刻t1bおよび応答メッセージの受信時刻t4bを算出部52に通知する。
【0084】
算出部52は、制御部62から受けた応答メッセージに含まれる受信時刻t2bおよび送信時刻t3b、ならびに制御部62から通知された要求メッセージの送信時刻t1bおよび応答メッセージの受信時刻t4bに基づいて、伝搬遅延時間Td2を算出する。具体的には、算出部52は、伝搬遅延時間Td2=((t4b-t1b)-(t3b-t2b))/2を算出する。
【0085】
算出部52は、機能部111Dおよびスイッチ装置101間のデータの伝搬遅延時間Td4についても、同様の方法により算出する。
【0086】
マスタ側である機能部111Aおよびスイッチ装置101間のデータの伝搬遅延時間Td1は、後述するように、機能部111Aにより算出される。また、マスタ側である機能部111Cおよびスイッチ装置101間のデータの伝搬遅延時間Td3は、後述するように、機能部111Cにより算出される。
【0087】
なお、スイッチ装置101は、伝搬遅延時間Td2,Td4を固定値として予め保持してもよい。また、機能部111Aは、伝搬遅延時間Td1を予め保持してもよい。また、機能部111Cは、伝搬遅延時間Td3を予め保持してもよい。
【0088】
(オフセット情報の算出および通知)
再び図1および図2を参照して、算出部52は、異なるVLANに属する機能部111間の時刻同期を行うための時刻補正情報を算出する。ここでは、算出部52は、機能部111Aの時刻と機能部111Cの時刻との差を示すオフセット情報を時刻補正情報として算出する場合について説明する。
【0089】
(a)機能部111Aとスイッチ装置101との時刻差
機能部111Aは、スイッチ装置101を介して定期的または不定期に機能部111BへSyncメッセージを送信する。このとき、機能部111Aは、Syncメッセージのペイロード部分におけるcorrection Fieldに、当該Syncメッセージの送信時刻ts1および伝搬遅延時間Td1を含めて送信する。
【0090】
スイッチ装置101における中継部51は、機能部111Aから送信されたSyncメッセージを通信ポート54A経由で受信する。中継部51におけるスイッチ部61は、受信したSyncメッセージを、通信ポート54Bを介して機能部111Bへ送信する。
【0091】
中継部51における制御部62は、機能部111AからのSyncメッセージに含まれる送信時刻ts1および伝搬遅延時間Td1を取得する。そして、制御部62は、取得した送信時刻ts1および伝搬遅延時間Td1、当該Syncメッセージのスイッチ部61における受信時刻(Ingress Time)ti1、ならびに当該Syncメッセージのスイッチ部61からの送信時刻(Egress Time)te1を算出部52に通知する。
【0092】
算出部52は、制御部62から通知された送信時刻ts1、伝搬遅延時間Td1および当該Syncメッセージの受信時刻ti1に基づいて、機能部111Aの時刻とスイッチ装置101の時刻との差である時刻差Tx1=ts1-Td1-ti1を算出する。
【0093】
(b)機能部111Cとスイッチ装置101との時刻差
機能部111Cは、スイッチ装置101を介して定期的または不定期に機能部111DへSyncメッセージを送信する。このとき、機能部111Cは、Syncメッセージのペイロード部分におけるcorrection Fieldに、当該Syncメッセージの送信時刻ts3および伝搬遅延時間Td3を含めて送信する。
【0094】
スイッチ装置101における中継部51は、機能部111Cから送信されたSyncメッセージを通信ポート54C経由で受信する。中継部51におけるスイッチ部61は、受信したSyncメッセージを、通信ポート54Dを介して機能部111Dへ送信する。
【0095】
中継部51における制御部62は、機能部111CからのSyncメッセージに含まれる送信時刻ts3および伝搬遅延時間Td3を取得し、送信時刻ts3、伝搬遅延時間Td3および当該Syncメッセージの受信時刻ti3を算出部52に通知する。
【0096】
算出部52は、制御部62から通知された送信時刻ts3、伝搬遅延時間Td3および当該Syncメッセージの受信時刻ti3に基づいて、機能部111Cの時刻とスイッチ装置101の時刻との差である時刻差Tx3=ts3-Td3-ti3を算出する。
【0097】
(c)機能部111Aと機能部111Cとの時刻差
また、算出部52は、算出した時刻差Tx1および時刻差Tx3に基づいて、機能部111Aの時刻と機能部111Cの時刻との差である時刻差Tx13=Tx1-Tx3を算出する。そして、算出部52は、算出した時刻差Txmを示すオフセット情報を通知部55へ出力する。
【0098】
また、制御部62は、たとえば機能部111Cから送信された要求メッセージを通信ポート54C経由で受信すると、受信した要求メッセージを通知部55へ出力する。
【0099】
通知部55は、制御部62から出力された要求メッセージを受けると、当該要求メッセージに対する応答メッセージに、算出部52から受けたオフセット情報を含めて制御部62へ出力する。
【0100】
制御部62は、通知部55から出力された応答メッセージを受けると、当該応答メッセージに、要求メッセージの受信時刻および応答メッセージの送信時刻を含めて、通信ポート54Cを介して機能部111Cへ送信する。これにより、スイッチ装置101は、算出したオフセット情報を機能部111Cに通知することができる。
【0101】
なお、算出部52は、伝搬遅延時間Td1を用いず、たとえば、機能部111AからのSyncメッセージの送信時刻ts1から、スイッチ装置101における当該Syncメッセージの受信時刻ti1を差し引いた値を、時刻差Tx1として算出してもよい。
【0102】
また、算出部52は、伝搬遅延時間Td3を用いず、たとえば、機能部111CからのSyncメッセージの送信時刻ts3から、スイッチ装置101における当該Syncメッセージの受信時刻ti3を差し引いた値を、時刻差Tx3として算出してもよい。
【0103】
また、通知部55は、応答メッセージ以外のデータにオフセット情報を含めて機能部111に通知してもよい。
【0104】
また、算出部52は、Syncメッセージ以外のデータの機能部111からの送信時刻、および当該データのスイッチ部61における受信時刻を用いて、オフセット情報を算出してもよい。
【0105】
(滞留時間情報の算出および通知)
算出部52は、制御部62から通知された、Syncメッセージのスイッチ部61における受信時刻ti、および当該Syncメッセージのスイッチ部61からの送信時刻teに基づいて、スイッチ装置101におけるデータの滞留時間TBを算出する。
【0106】
たとえば、算出部52は、機能部111Aから送信されたSyncメッセージのスイッチ部61における受信時刻ti1、およびスイッチ部61から機能部111Bへの当該Syncメッセージの送信時刻te1に基づいて、スイッチ装置101におけるデータの滞留時間TB=te1-ti1を算出する。
【0107】
また、算出部52は、算出した滞留時間TBおよび伝搬遅延時間に基づいて、第2の時刻補正情報を作成する。たとえば、算出部52は、機能部111Aから機能部111BへのSyncメッセージに含める時刻補正情報(第2の時刻補正情報)InBとして、当該Syncメッセージに含まれる伝搬遅延時間Td1、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td2を示す情報を作成する。
【0108】
なお、算出部52は、時刻補正情報InBとして、伝搬遅延時間Td1、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td2の合計値を示す情報を作成してもよい。
【0109】
また、たとえば、算出部52は、機能部111Cから機能部111DへのSyncメッセージに含める時刻補正情報(第2の時刻補正情報)In4として、当該Syncメッセージに含まれる伝搬遅延時間Td3、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td4を示す情報を作成する。
【0110】
なお、算出部52は、時刻補正情報InDとして、伝搬遅延時間Td3、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td4の合計値を示す情報を作成してもよい。
【0111】
そして、算出部52は、作成した時刻補正情報In2,In4を通知部55へ出力する。
【0112】
通知部55は、算出部52から受けた時刻補正情報In2,In4を制御部62へ出力する。
【0113】
また、制御部62は、たとえば、送信先MACアドレスとして機能部111BのMACアドレス「MAC-D」が含まれるSyncメッセージを、機能部111Aから通信ポート54A経由で受信したとする。この場合、制御部62は、当該Syncメッセージに、通知部55から受けた時刻補正情報In2を含める。
【0114】
これにより、スイッチ装置101から送信されるSyncメッセージには、伝搬遅延時間Td1、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td2が含まれる。そして、制御部62は、当該Syncメッセージを通信ポート54B経由で機能部111Bへ送信する。
【0115】
また、制御部62は、たとえば、送信先MACアドレスとして機能部111DのMACアドレス「MAC-D」が含まれるSyncメッセージを、機能部111Cから通信ポート54C経由で受信したとする。この場合、制御部62は、当該Syncメッセージに、通知部55から受けた時刻補正情報In4を含める。
【0116】
これにより、スイッチ装置101から送信されるSyncメッセージには、伝搬遅延時間Td3、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td4が含まれる。そして、制御部62は、当該Syncメッセージを通信ポート54D経由で機能部111Dへ送信する。
【0117】
[マスタ側の機能部]
図7は、本発明の実施の形態に係る車載通信システムにおけるマスタ側の機能部の構成を示す図である。図7では、図1に示す機能部111Cの構成を示す。図1に示す機能部111Aの構成は、図7に示す機能部111Cの構成と同様である。
【0118】
図7を参照して、機能部111Cは、通信部(取得部)71と、補正部72と、処理部73と、通信ポート74とを備える。
【0119】
通信ポート74は、たとえばイーサネットケーブル10を接続可能な端子である。なお、通信ポート74は、集積回路の端子等であってもよい。通信ポート74は、イーサネットケーブル10を介してスイッチ装置101に接続されている。
【0120】
(伝搬遅延時間の算出)
処理部73は、自己の機能部111Aおよびスイッチ装置101間のデータの伝搬遅延時間Td3を算出する。
【0121】
より詳細には、処理部73は、伝搬遅延時間Td3を算出するための要求メッセージを、通信部71および通信ポート74を介して定期的または不定期にスイッチ装置101へ送信する。ここでは、処理部73は、時刻t1cにおいて要求メッセージを送信したとする。
【0122】
スイッチ装置101における制御部62は、機能部111Cから送信された要求メッセージを通信ポート54C経由で受信すると、当該要求メッセージに対する応答メッセージを通信ポート54C経由で機能部111Cへ送信する。このとき、制御部62は、応答メッセージに、要求メッセージの受信時刻t2cおよび応答メッセージの送信時刻t3cを含めて送信する。
【0123】
機能部111Cにおける処理部73は、スイッチ装置101から送信された応答メッセージを通信ポート74および通信部71経由で受信する。そして、処理部73は、要求メッセージの送信時刻t1c、受信した応答メッセージに含まれる受信時刻t2cおよび送信時刻t3c、ならびに当該応答メッセージの受信時刻t4cに基づいて伝搬遅延時間Td3を算出する。具体的には、処理部73は、伝搬遅延時間Td3=((t4c-t1c)-(t3c-t2c))/2を算出する。
【0124】
そして、処理部73は、たとえば、機能部111DへのSyncメッセージに、算出した伝搬遅延時間Td3および当該Syncメッセージの送信時刻を含めて、当該Syncメッセージを通信部71および通信ポート74経由で定期的または不定期にスイッチ装置101へ送信する。
【0125】
機能部111Aにおける処理部73は、機能部111Cにおける処理部73と同様の処理を行うことにより、機能部111Aおよびスイッチ装置101間のデータの伝搬遅延時間Td1を算出する。
【0126】
そして、機能部111Aにおける処理部73は、たとえば、機能部111BへのSyncメッセージに、算出した伝搬遅延時間Td1および当該Syncメッセージの送信時刻を含めて、当該Syncメッセージを通信部71および通信ポート74経由で定期的または不定期にスイッチ装置101へ送信する。
【0127】
(オフセット情報の受信および時刻補正)
また、機能部111Cにおける処理部73は、要求メッセージを通信ポート74経由でスイッチ装置101へ送信する。
【0128】
通信部71は、スイッチ装置101から送信された、要求メッセージに対する応答メッセージを通信ポート74経由で受信し、受信した応答メッセージを補正部72へ出力する。
【0129】
上述のとおり、スイッチ装置101から送信される応答メッセージには、オフセット情報、要求メッセージの受信時刻および応答メッセージの送信時刻が含まれている。
【0130】
補正部72は、通信部71から応答メッセージを受けて、当該応答メッセージに含まれているオフセット情報、要求メッセージの受信時刻および応答メッセージの送信時刻に基づいて自己の時刻を補正する。
【0131】
ここでは、応答メッセージに含まれているオフセット情報が、機能部111Aの時刻と機能部111Cの時刻との時刻差Tx13を示すとする。この場合、補正部72は、オフセット情報の示す時刻差Tx13、要求メッセージの受信時刻および応答メッセージの送信時刻に基づいて、自己の機能部111Cの時刻を機能部111Aの時刻に合わせる補正を行う。
【0132】
これにより、機能部111Cおよび機能部111Aが時刻同期し、機能部111Cから送信されるSyncメッセージに含まれる当該Syncメッセージの送信時刻は、機能部111Aに同期した時刻となる。
【0133】
[スレーブ側の機能部]
図8は、本発明の実施の形態に係る車載通信システムにおけるスレーブ側の機能部の構成を示す図である。図8では、図1に示す機能部111Dの構成を示す。図1に示す機能部111Bの構成は、図8に示す機能部111Dの構成と同様である。
【0134】
図8を参照して、機能部111Dは、通信部(取得部)81と、補正部82と、通信ポート83とを備える。
【0135】
通信ポート83は、たとえばイーサネットケーブル10を接続可能な端子である。なお、通信ポート83は、集積回路の端子等であってもよい。通信ポート83は、イーサネットケーブル10を介してスイッチ装置101に接続されている。
【0136】
通信部81は、たとえば機能部111Cから送信されたSyncメッセージをスイッチ装置101および通信ポート83経由で受信し、受信したSyncメッセージを補正部82へ出力する。
【0137】
上述のとおり、機能部111Cは、機能部111DへのSyncメッセージに時刻補正後の送信時刻および伝搬遅延時間Td3を含めてスイッチ装置101へ送信する。また、スイッチ装置101は、当該Syncメッセージに滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td4を含めて機能部111Dへ送信する。
【0138】
このため、機能部111Dにおける補正部82が受けたSyncメッセージには、機能部111Cからの送信時刻、伝搬遅延時間Td3、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td4が含まれる。
【0139】
なお、スイッチ装置101における通知部55は、伝搬遅延時間Td3、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td4の合計値を算出し、算出した合計値をSyncメッセージに含める構成であってもよい。この場合、Syncメッセージには、機能部111Cからの送信時刻および上記合計値が含まれる。
【0140】
補正部82は、通信部81からSyncメッセージを受けて、当該Syncメッセージに含まれる送信時刻、伝搬遅延時間Td3、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td4に基づいて自己の時刻を補正する。上述のとおり、機能部111CからのSyncメッセージに含まれる送信時刻は機能部111Aに同期した時刻であるため、補正部82が時刻補正を行うことにより機能部111Dと機能部111Cとの時刻同期が確立し、これにより機能部111Dと機能部111Aとの時刻同期が確立する。
【0141】
なお、機能部111Cは、機能部111DへのSyncメッセージの送信時において、機能部111Aと同期した送信時刻を当該Syncメッセージに含める構成に限定されない。
【0142】
この場合、機能部111Cにおける処理部73は、たとえば、機能部111DへのSyncメッセージに、時刻補正前の当該Syncメッセージの送信時刻および伝搬遅延時間Td3に加えて、さらに、オフセット情報を含める。
【0143】
そして、機能部111Dにおける補正部82は、機能部111Cにより当該Syncメッセージに含められた、送信時刻、伝搬遅延時間Td3およびオフセット情報、ならびにスイッチ装置101により当該Syncメッセージに含められた、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td4に基づいて、自己の機能部111Dの時刻を補正する。これにより、機能部111Dと機能部111Cとの時刻同期が確立し、その結果、機能部111Dと機能部111Aとの時刻同期が確立する。
【0144】
[適用例]
再び図1を参照して、ここでは、機能部111Aが車外通信ECUであり、機能部111Bがナビゲーション装置であり、機能部111Cがセンサであり、機能部111Dが自動運転処理ECUであるとする。
【0145】
スイッチ装置101における図示しない処理部は、各機能部111からのデータの送信タイミングを管理する。たとえば、スイッチ装置101は、センサ111Cによる計測結果がセンサ111Cと同じVLANに属する自動運転処理ECU111Dへ定期的に送信されるように、センサ111Cに対してデータの送信時刻を指示する。
【0146】
また、たとえば、スイッチ装置101は、車外通信ECU111Aにより車両1外から取得された地図情報が車外通信ECU111Aと同じVLANに属するナビゲーション装置111Bへ定期的に送信されるように、車外通信ECU111Aに対してデータの送信時刻を指示する。
【0147】
また、たとえば、スイッチ装置101は、車外通信ECU111Aにより車両1外から取得された地図情報が車外通信ECU111Aと異なるVLANに属する自動運転処理ECU111Dへ送信されるように、車外通信ECU111Aに対してデータの送信時刻を指示する。
【0148】
このとき、スイッチ装置101は、車外通信ECU111Aから自動運転処理ECU111Dへのデータ、およびセンサ111Cから自動運転処理ECU111Dへのデータの衝突等によるパケットロスの発生を防ぐように、各データの送信時刻を設定する。
【0149】
しかしながら、車外通信ECU111Aとセンサ111Cとの時刻同期が確立していない場合、車外通信ECU111Aおよびセンサ111Cの各々が指示された送信時刻においてデータの送信を行ったとしても、機能部111Aの時刻と機能部111Cの時刻との差により、車外通信ECU111Aからのデータおよびセンサ111Cからのデータの衝突等によりパケットロスが発生する可能性がある。
【0150】
これに対して、上記のように、本発明の実施の形態に係る車載通信システム301では、互いに異なるVLANに属する車外通信ECU111Aとセンサ111Cとの時刻同期を行うことができるため、車外通信ECU111Aからのデータおよびセンサ111Cからのデータの衝突等を防ぎ、パケットロスの発生を抑制することができる。
【0151】
[動作の流れ]
車載通信システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図の各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0152】
(異なるVLANに属する機能部間の時刻補正)
図9は、本発明の実施の形態に係る車載通信システムにおける異なるVLANに属する機能部間の時刻補正の動作手順を定めたフローチャートである。ここでは、第1のVLANに属する機能部111Aと第2のVLANに属する機能部111Dとの時刻同期を確立する場合について説明する。
【0153】
また、後述する図10に示す動作により、同じVLANに属する機能部111Aおよび機能部111Bは時刻同期が確立しており、また、同じVLANに属する機能部111Cおよび機能部111Dは時刻同期が確立しているとする。
【0154】
また、機能部111Aは伝搬遅延時間Td1を算出済であり、機能部111Cは伝搬遅延時間Td3を算出済であり、スイッチ装置101は伝搬遅延時間Td2,Td4および滞留時間TBを算出済であるとする。
【0155】
図9を参照して、まず、機能部111Aが、送信先MACアドレスとして機能部111BのMACアドレス「MAC-B」が含まれるSyncメッセージをスイッチ装置101へ送信する。このとき、機能部111Aは、Syncメッセージに、当該Syncメッセージの送信時刻ts1および伝搬遅延時間Td1を含めて送信する(ステップS11)。
【0156】
次に、スイッチ装置101は、機能部111Aから受信したSyncメッセージに含まれている送信時刻ts1および伝搬遅延時間Td1を取得し、当該Syncメッセージを機能部111Bへ送信する(ステップS12)。
【0157】
次に、スイッチ装置101は、取得した送信時刻ts1および伝搬遅延時間Td1、ならびに当該Syncメッセージのスイッチ装置101における受信時刻ti1に基づいて、機能部111Aの時刻とスイッチ装置101の時刻との時刻差Tx1を算出する(ステップS13)。
【0158】
次に、機能部111Cは、送信先MACアドレスとして機能部111DのMACアドレス「MAC-D」が含まれるSyncメッセージをスイッチ装置101へ送信する。このとき、機能部111Cは、Syncメッセージに、当該Syncメッセージの送信時刻Ts3および伝搬遅延時間Td3を含めて送信する(ステップS14)。
【0159】
次に、スイッチ装置101は、機能部111Cから送信されたSyncメッセージに含まれていた送信時刻ts3および伝搬遅延時間Td3を取得し、当該Syncメッセージを機能部111Dへ送信する(ステップS15)。
【0160】
次に、スイッチ装置101は、取得した送信時刻ts3および伝搬遅延時間Td3、ならびに当該Syncメッセージのスイッチ装置101における受信時刻ti3に基づいて、機能部111Cの時刻とスイッチ装置101の時刻との時刻差Tx3を算出する(ステップS16)。
【0161】
次に、スイッチ装置101は、算出した時刻差Tx1および時刻差Tx3に基づいてオフセット情報を算出する。すなわち、スイッチ装置101は、機能部111Aの時刻と機能部111Cの時刻との時刻差Tx13を示すオフ情報を算出する(ステップS17)。
【0162】
次に、機能部111Cは、要求メッセージをスイッチ装置101へ送信する(ステップS18)。
【0163】
次に、スイッチ装置101は、機能部111Cから受信した要求メッセージに対する応答メッセージを機能部111Cへ送信する。このとき、スイッチ装置101は、応答メッセージに、スイッチ装置101における要求メッセージの受信時刻、応答メッセージの送信時刻、および算出したオフセット情報を含めて送信する(ステップS19)。
【0164】
次に、機能部111Cは、スイッチ装置101から受信した応答メッセージの示す、要求メッセージの受信時刻、応答メッセージの送信時刻、およびオフセット情報に基づいて、自己の時刻を機能部111Aの時刻に同期させる時刻補正を行う(ステップS20)。
【0165】
次に、機能部111Cは、送信先MACアドレスとして機能部111DのMACアドレス「MAC-D」が含まれるSyncメッセージをスイッチ装置101へ送信する。このとき、機能部111Cは、Syncメッセージに、時刻補正後の当該Syncメッセージの送信時刻および伝搬遅延時間Td3を含めて送信する(ステップS21)。
【0166】
次に、スイッチ装置101は、機能部111Cから受信したSyncメッセージに含まれる伝搬遅延時間Td3、ならびに算出済である滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td4に基づいて時刻補正情報In4を作成する(ステップS22)。
【0167】
次に、スイッチ装置101は、機能部111Cから受信したSyncメッセージに、作成した時刻補正情報In4を含めて機能部111Dへ送信する(ステップS23)。
【0168】
次に、機能部111Dは、スイッチ装置101から受信したSyncメッセージに含まれる機能部111Cからの送信時刻および時刻補正情報In4、すなわち時刻補正後の機能部111Cからの送信時刻、伝搬遅延時間Td3、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td4に基づいて、自己の時刻を機能部111Aの時刻に同期させる時刻補正を行う(ステップS23)。
【0169】
なお、ステップS11~S13の動作は、ステップS14~S16の動作の後であってもよいし、ステップS14~S16の動作と並行して行われてもよい。
【0170】
(同じVLANに属する機能部間の時刻補正)
図10は、本発明の実施の形態に係る車載通信システムにおける同じVLANに属する機能部間の時刻補正の動作手順を定めたフローチャートである。ここでは、第1のVLANに属する機能部111Aと同じ第1のVLANに属する機能部111Bとの時刻同期を行う場合について説明する。
【0171】
また、スイッチ装置101は、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td2を算出済であるとする。
【0172】
図10を参照して、まず、機能部111Aは、要求メッセージをスイッチ装置101へ送信する(ステップS31)。
【0173】
次に、スイッチ装置101は、機能部111Aから受信した要求メッセージに対する応答メッセージを機能部111Aへ送信する。このとき、スイッチ装置101は、応答メッセージに、要求メッセージの受信時刻t2aおよび応答メッセージの送信時刻t3aを含めて送信する(ステップS32)。
【0174】
次に、機能部111Aは、スイッチ装置101から受信した応答メッセージに含まれている受信時刻t2aおよび送信時刻t3a、当該応答メッセージの受信時刻t4a、ならびにステップS31においてスイッチ装置101へ送信した要求メッセージの送信時刻t1aに基づいて、機能部111Aおよびスイッチ装置101間のデータの伝搬遅延時間Td1を算出する(ステップS33)。
【0175】
次に、機能部111Aは、送信先MACアドレスとして機能部111BのMACアドレス「MAC-B」が含まれるSyncメッセージをスイッチ装置101へ送信する。このとき、機能部111Aは、Syncメッセージに、当該Syncメッセージの送信時刻、および算出した伝搬遅延時間Td1を含めて送信する(ステップS34)。
【0176】
次に、スイッチ装置101は、機能部111Aから受信したSyncメッセージに含まれる伝搬遅延時間Td1、ならびに算出済である滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td2に基づいて時刻補正情報In2を作成する(ステップS35)。
【0177】
次に、スイッチ装置101は、機能部111Aから受信したSyncメッセージに、作成した時刻補正情報In2を含めて機能部111Bへ送信する(ステップS36)。
【0178】
次に、機能部111Bは、スイッチ装置101から受信したSyncメッセージに含まれる機能部111Aからの送信時刻および時刻補正情報In2、すなわち機能部111Aからの送信時刻、伝搬遅延時間Td1、滞留時間TBおよび伝搬遅延時間Td2に基づいて、自己の時刻を機能部111Aの時刻に同期させる時刻補正を行う(ステップS37)。
【0179】
ところで、イーサネットケーブルを介して接続される装置間における時刻同期を行うための技術として、gPTP(generalized Precision Time Protocol)が知られている。
【0180】
しかしながら、gPTPは、同一のVLANに属する各装置のMACアドレスを用いて装置間の時刻同期を行うためのプロトコルであり、セキュリティ上、異なるVLANに属する装置間の時刻同期を行うことができない。
【0181】
これに対して、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置101では、中継部51は、車両1に搭載され、異なるVLANに属する機能部111間のデータを中継する第1の中継処理を行う。算出部52は、機能部111Aからスイッチ装置101へのデータの送信時刻ts1、機能部111Aから送信された当該データのスイッチ装置101における受信時刻ti1、機能部111Cからスイッチ装置101へのデータの送信時刻ts3、および機能部111Cから送信された当該データのスイッチ装置101における受信時刻ti3に基づいてオフセット情報を算出する。そして、通知部55は、算出部52により算出されたオフセット情報を機能部111Cに通知する。
【0182】
このような構成により、スイッチ装置101が、たとえば、機能部111Aの時刻と自己の時刻との差Tx1、および機能部111Cの時刻と自己の時刻との差Tx3を算出し、機能部111Aの時刻と機能部111Cの時刻との差Tx13を示すオフセット情報を時刻補正情報として算出することができる。これにより、機能部111Cは、通知されたオフセット情報を用いて機能部111Aとの時刻同期を確立することができる。
【0183】
したがって、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置101では、異なるVLANに属する機能部111間の時刻同期を実現することができる。
【0184】
また、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置101では、算出部52は、機能部111Aおよびスイッチ装置101間のデータの伝搬遅延時間Td1、ならびに機能部111Cおよびスイッチ装置101間のデータの伝搬遅延時間Td3にさらに基づいてオフセット情報を算出する。
【0185】
このような構成により、たとえば、機能部111Aの時刻とスイッチ装置101の時刻との差Tx1、および機能部111Cの時刻とスイッチ装置101の時刻との差Tx3をより正確に算出することができるため、オフセット情報をより正確に算出することができる。
【0186】
また、本発明の実施の形態に係る機能部111は、自己と同じVLANに属し、かつ車両1に搭載された他の機能部111と自己との間のデータの伝搬遅延時間を用いて他の機能部111との時刻同期を行う。スイッチ装置101における通知部55は、機能部111Cから送信された伝搬遅延時間Td3を算出するための要求メッセージに対する応答メッセージにオフセット情報を含めて機能部111Cへ送信する。
【0187】
このような構成により、機能部111Cは、スイッチ装置101から受信した応答メッセージに基づいて伝搬遅延時間Td3およびオフセット情報を取得することができるため、取得した伝搬遅延時間Td3およびオフセット情報を用いて、自己と同じVLANに属する機能部111Dとの時刻同期を確立することができる。
【0188】
また、本発明の実施の形態に係る機能部111は、自己と同じVLANに属し、かつ車両1に搭載された他の機能部111と自己との間のデータの伝搬遅延時間を含めてSyncメッセージを送信することにより他の機能部111との時刻同期を行う。スイッチ装置101における算出部52は、Syncメッセージの送信時刻ts1,ts3および受信時刻ti1,ti3を用いてオフセット情報を算出する。
【0189】
このように、同じVLANに属する機能部111間で送信されるSyncメッセージを用いてオフセット情報を算出する構成により、オフセット情報をたとえば定期的または不定期に更新することができるため、より正確なオフセット情報を用いた時刻同期を行うことができる。
【0190】
また、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置101では、中継部51は、車両1に搭載され、同じVLANに属する機能部111間のデータを中継する第2の中継処理を行う。算出部52は、同じVLANに属する機能部111Cおよび機能部111Dと自己のスイッチ装置101との間のデータの各伝搬遅延時間Td3,Td4、ならびにスイッチ装置101におけるデータの滞留時間TBに基づく第2の時刻補正情報を作成する。そして、通知部55は、算出部52により作成された第2の時刻補正情報を機能部111Dに通知する。
【0191】
このような構成により、機能部111Dは、機能部111Cの時刻とスイッチ装置101の時刻との差、自己の時刻とスイッチ装置101の時刻との差、およびスイッチ装置101におけるデータの滞留時間TBを用いて、機能部111Cとの時刻同期を確立することができる。
【0192】
また、本発明の実施の形態に係る機能部111では、通信部71は、車両1に搭載され、かつ異なるVLANに属する機能部111間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置101から、機能部111Aからスイッチ装置101へのデータの送信時刻ts1、機能部111Aから送信された当該データのスイッチ装置101における受信時刻ti1、機能部111Cからスイッチ装置101へのデータの送信時刻ts3、および機能部111Cから送信された当該データのスイッチ装置101における受信時刻ti3に基づいて算出されたオフセット情報を取得する。そして、補正部72は、通信部71により取得されたオフセット情報に基づいて自己の時刻を補正する。
【0193】
このような構成により、機能部111は、たとえば、自己の時刻と、自己と異なるVLANに属する他の機能部111の時刻との差を用いて、当該他の機能部111との時刻同期を確立することができる。
【0194】
したがって、本発明の実施の形態に係る機能部111では、異なるVLANに属する機能部111間の時刻同期を実現することができる。
【0195】
また、本発明の実施の形態に係る車載通信システム301では、スイッチ装置101は、車両1に搭載され、かつ異なるVLANに属する機能部111間のデータを中継する第1の中継処理を行う。また、スイッチ装置101は、機能部111Aからスイッチ装置101へのデータの送信時刻ts1、機能部111Aから送信された当該データのスイッチ装置101における受信時刻ti1、機能部111Cからスイッチ装置101へのデータの送信時刻ts3、および機能部111Cから送信された当該データのスイッチ装置101における受信時刻ti3に基づいてオフセット情報を算出し、算出したオフセット情報を機能部111Cへ送信する。そして、機能部111Cは、スイッチ装置101から送信されたオフセット情報を受信し、受信したオフセット情報に基づいて自己の時刻を補正する。
【0196】
このような構成により、スイッチ装置101が、たとえば、機能部111Aの時刻と自己の時刻との差Tx1、および機能部111Cの時刻と自己の時刻との差Tx3を算出し、機能部111Aの時刻と機能部111Cの時刻との差Tx13を示すオフセット情報を時刻補正情報として算出することができる。これにより、機能部111Cは、通知されたオフセット情報を用いて機能部111Aとの時刻同期を確立することができる。
【0197】
したがって、本発明の実施の形態に係る車載通信システム301では、異なるVLANに属する機能部111間の時刻同期を実現することができる。
【0198】
また、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置101における時刻補正方法では、まず、算出部52が、機能部111Aからスイッチ装置101へのデータの送信時刻ts1、機能部111Aから送信された当該データのスイッチ装置101における受信時刻ti1、機能部111Cからスイッチ装置101へのデータの送信時刻ts3、および機能部111Cから送信された当該データのスイッチ装置101における受信時刻ti3に基づいてオフセット情報を算出する。次に、通知部55が、算出部52により算出されたオフセット情報を機能部111Cに通知する。
【0199】
このような方法により、スイッチ装置101が、たとえば、機能部111Aの時刻と自己の時刻との差Tx1、および機能部111Cの時刻と自己の時刻との差Tx3を算出し、機能部111Aの時刻と機能部111Cの時刻との差Tx13を示すオフセット情報を時刻補正情報として算出することができる。これにより、機能部111Cは、通知されたオフセット情報を用いて機能部111Aとの時刻同期を確立することができる。
【0200】
したがって、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置101における時刻補正方法では、異なるVLANに属する機能部111間の時刻同期を実現することができる。
【0201】
また、本発明の実施の形態に係る機能部111における時刻補正方法では、まず、通信部71が、異なるVLANに属する機能部111間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置101から、機能部111Aからスイッチ装置101へのデータの送信時刻ts1、機能部111Aから送信された当該データのスイッチ装置101における受信時刻ti1、機能部111Cからスイッチ装置101へのデータの送信時刻ts3、および機能部111Cから送信された当該データのスイッチ装置101における受信時刻ti3に基づいて算出されたオフセット情報を取得する。次に、補正部72が、通信部71により取得されたオフセット情報に基づいて自己の時刻を補正する。
【0202】
このような構成により、機能部111は、自己の時刻と、自己と異なるVLANに属する他の機能部111の時刻との差を用いて、当該他の機能部111との時刻同期を確立することができる。
【0203】
したがって、本発明の実施の形態に係る機能部111における時刻補正方法では、異なるVLANに属する機能部111間の時刻同期を実現することができる。
【0204】
また、本発明の実施の形態に係る車載通信システム301における時刻補正方法では、まず、スイッチ装置101が、機能部111Aからスイッチ装置101へのデータの送信時刻ts1、機能部111Aから送信された当該データのスイッチ装置101における受信時刻ti1、機能部111Cからスイッチ装置101へのデータの送信時刻ts3、および機能部111Cから送信された当該データのスイッチ装置101における受信時刻ti3に基づいてオフセット情報を算出する。次に、スイッチ装置101が、算出したオフセット情報を機能部111Cへ送信する。そして、機能部111Cが、スイッチ装置101から送信されたオフセット情報を受信し、受信したオフセット情報に基づいて自己の時刻を補正する。
【0205】
このような方法により、スイッチ装置101が、たとえば、機能部111Aの時刻と自己の時刻との差Tx1、および機能部111Cの時刻と自己の時刻との差Tx3を算出し、機能部111Aの時刻と機能部111Cの時刻との差Tx13を示すオフセット情報を時刻補正情報として算出することができる。これにより、機能部111Cは、通知されたオフセット情報を用いて機能部111Aとの時刻同期を確立することができる。
【0206】
したがって、本発明の実施の形態に係る車載通信システム301における時刻補正方法では、異なるVLANに属する機能部111間の時刻同期を実現することができる。
【0207】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0208】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0209】
[付記1]
スイッチ装置であって、
車両に搭載され、異なるVLAN(Virtual Local Area Network)に属する機能部間のデータを中継する第1の中継処理を行う中継部と、
前記機能部である第1の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記機能部である第2の機能部から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の機能部から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて時刻補正情報を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記時刻補正情報を前記第2の機能部に通知する通知部とを備え、
前記スイッチ装置および前記機能部間において、IPパケットが格納されたイーサネットフレームを用いた情報の送受信が行われ、
前記スイッチ装置は、前記第1の機能部の時刻と自己の時刻との差、および前記第2の機能部の時刻と自己の時刻との差を算出することにより、前記第1の機能部の時刻と前記第2の機能部の時刻との差を算出し、算出した前記差を示すオフセット情報を時刻補正情報として算出する、スイッチ装置。
【0210】
[付記2]
車両に搭載される車載通信装置であって、
異なるVLANに属する前記車載通信装置間のデータを中継する第1の中継処理を行うスイッチ装置から、前記車載通信装置である第1の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、前記第1の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻、前記車載通信装置である第2の車載通信装置から前記スイッチ装置へのデータの送信時刻、および前記第2の車載通信装置から送信された前記データの前記スイッチ装置における受信時刻に基づいて算出された時刻補正情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記時刻補正情報に基づいて自己の時刻を補正する補正部とを備え、
前記車載通信装置は、車外通信ECU、センサ、カメラ、ナビゲーション装置、自動運転処理ECU、エンジン制御デバイス、AT制御デバイス、HEV制御デバイス、ブレーキ制御デバイス、シャーシ制御デバイス、ステアリング制御デバイスまたは計器表示制御デバイスであり、
前記車載通信装置は、自己、および自己と同じVLANに属し、かつ前記車両に搭載された他の機能部間のデータの伝搬遅延時間を含めてメッセージを送信することにより前記他の車載通信装置との時刻同期を行い、
前記メッセージは、前記車載通信装置から前記他の車載通信装置へ定期的または不定期に送信されるSyncメッセージである、車載通信装置。
【符号の説明】
【0211】
1 車両
10 イーサネットケーブル
51 中継部
52 算出部
53 記憶部
54,54A,54B,54C,54D 通信ポート
55 通知部
61 スイッチ部
62 制御部
71,81 通信部(取得部)
72,82 補正部
73 処理部
74,83 通信ポート
101 スイッチ装置
111,111A,111B,111C,111D 機能部(車載通信装置)
301 車載通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10