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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20220830BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20220830BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B25F5/02
B24B23/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020545992
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(86)【国際出願番号】 JP2019035217
(87)【国際公開番号】W WO2020054616
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2018172169
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】中山 恭一
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 諒
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-087703(JP,A)
【文献】特開2015-036167(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0033846(US,A1)
【文献】特開2016-214041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F1/00-5/02
B24B23/00-23/08
B23B35/00-49/06
B23D15/00-19/08
B23D23/00-31/04
B23D45/00-65/04
B25B21/00-33/00
B25C1/00-13/00
B25D1/00-17/32
B26B13/00-17/02
B27B1/00-23/00
A01D34/68
A01G3/047
H02K5/00-5/26
H02K11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ及び前記モータを制御する第1の制御部を支持するモータハウジングと、
前記モータハウジングに接続されるハンドルハウジングと、を有し、
前記モータと前記第1の制御部の電気的接続部が、前記モータハウジングの外部に位置するとともに、前記ハンドルハウジングの内部に位置することを特徴とする、電動作業機。
【請求項2】
前記電気的接続部は、前記モータから延出するモータ側配線と、前記第1の制御部から延出する制御部側配線とを接続することで形成されることを特徴とする、請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記電気的接続部は、接続された前記モータ側配線と前記制御部側配線を少なくとも部分的に覆うコネクタを有することを特徴とする、請求項2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記第1の制御部は、前記モータへの通電用のスイッチング素子を有することを特徴とする、請求項3に記載の電動作業機。
【請求項5】
前記モータハウジングの前記電気的接続部側にはホルダが設けられ、
前記ホルダには複数のホルダ貫通穴が設けられ、
前記モータ側配線が、前記ホルダ貫通穴に挿通されることを特徴とする、請求項3または4に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記制御部側配線が、前記モータ側配線が通るものとは別の位置にある前記ホルダ貫通穴に挿通されることを特徴とする、請求項5に記載の電動作業機。
【請求項7】
前記ホルダには前記コネクタを保持するコネクタ保持部が設けられる、請求項5または6に記載の電動作業機。
【請求項8】
前記モータハウジングの一方側にギヤケースが接続され、
前記電気的接続部は、前記モータハウジングよりも他方側に位置することを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の電動作業機。
【請求項9】
前記第1の制御部を制御する第2の制御部が、前記ハンドルハウジングの内部に収容されることを特徴とする、請求項に記載の電動作業機。
【請求項10】
前記ハンドルハウジングは前記ホルダを介して前記モータハウジングに保持されることを特徴とする、請求項に記載の電動作業機。
【請求項11】
前記モータによって回転されるファンと、
前記ファンの回転によって前記モータを冷却する空気の流れを生じさせるための吸気口及び排気口を有し、
前記吸気口から流入する空気が、前記ホルダ貫通穴を通って前記モータハウジング内に流入することを特徴とする、請求項10記載の電動作業機。
【請求項12】
前記モータハウジングには、前記モータハウジングの内面から延出する複数のリブによって複数の貫通穴が形成され、
前記モータ側配線は、前記貫通穴を通って前記制御部側配線と接続されることを特徴とする、請求項3から11のいずれか一項に記載の電動作業機。
【請求項13】
前記モータ側配線は複数あり、
複数ある前記モータ側配線のうち、少なくとも2つは、それぞれ異なる位置の前記貫通穴を通ることを特徴とする、請求項12に記載の電動作業機。
【請求項14】
前記モータと前記第1の制御部との間に、前記モータの回転軸を支持する軸受を保持する軸受保持部が位置し、
前記軸受保持部に前記貫通穴が設けられることを特徴とする、請求項12又は13に記載の電動作業機。
【請求項15】
モータ及び前記モータを制御する第1の制御部を支持するモータハウジングと、
前記モータハウジングに接続されるハンドルハウジングと、
前記モータハウジングと前記ハンドルハウジングとの間に介在する中間部材と、を有し、
前記モータと前記第1の制御部の電気的接続部が、前記モータハウジングの外部に位置するとともに、前記中間部材に支持されることを特徴とする、電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータハウジングの内部にモータ及び制御部を有する電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具の高出力化が進み、発熱素子冷却のために、発熱素子や発熱素子に接続された放熱部材を冷却風が通る外部に露出させる構成(以下「素子露出構成」とも表記)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-203329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
素子露出構成の場合、電気素子やそれに通電する可能性のある部材が電力線等の配線の絶縁被覆除去部と接触して不具合を起こす恐れがある。特に、例えばモータを収容するモータハウジングの内部にコントローラ等の制御部を収容するような構成に、上記の素子露出構成を採用しようとした場合、配線(特に絶縁被覆除去部分)が制御部の通電部分や発熱部分と接触してしまう可能性がある。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、モータハウジングの内部に設けた制御部と配線との接触を抑制可能な電動作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、電動作業機である。この電動作業機は、
モータ及び前記モータを制御する第1の制御部を支持するモータハウジングと、
前記モータハウジングに接続されるハンドルハウジングと、を有し、
前記モータと前記第1の制御部の電気的接続部が、前記モータハウジングの外部に位置するとともに、前記ハンドルハウジングの内部に位置することを特徴とする。
【0007】
前記第1の制御部は、前記モータへの通電用のスイッチング素子を有してもよい。
【0008】
前記モータハウジングの前記電気的接続部側にはホルダが設けられ、前記ホルダには複数のホルダ貫通穴が設けられ、前記モータ側配線が前記ホルダ貫通穴に挿通されてもよい。また、前記制御部側配線が、前記モータ側配線が通るものとは別の位置にある前記ホルダ貫通穴に挿通されてもよい。
【0009】
前記モータハウジングの一方側にギヤケースが接続され、前記電気的接続部は、前記モータハウジングよりも他方側に位置してもよい。また、前記モータハウジングの他方側に前記ハンドルハウジングが設けられてもよい。
【0010】
前記モータによって回転されるファンと、前記ファンの回転によって前記モータを冷却する空気の流れを生じさせるための吸気口及び排気口を有し、
前記吸気口から流入する空気が、前記ホルダ貫通穴を通って前記モータハウジング内に流入するようにしてもよい。
【0011】
前記モータと前記第1の制御部の電気的接続部がコネクタを有し、前記モータハウジングの他方側には前記コネクタを保持するホルダが設けられてもよい。
【0012】
前記モータハウジングは、分割不能なように成型された筒型一体構造であってもよい。
【0013】
前記モータは、ブラシレスモータであり、前記第1の制御部は、前記モータへの電力供給を制御するインバータ回路であってもよい。
本発明の別の態様は、電動作業機である。この電動作業機は、
モータ及び前記モータを制御する第1の制御部を支持するモータハウジングと、
前記モータハウジングに接続されるハンドルハウジングと、
前記モータハウジングと前記ハンドルハウジングとの間に介在する中間部材と、を有し、
前記モータと前記第1の制御部の電気的接続部が、前記モータハウジングの外部に位置するとともに、前記中間部材に支持されることを特徴とする。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、モータハウジングの内部に設けた制御部と配線との接触を抑制可能な電動作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態1に係る電動作業機1Aの側断面図。
図2】電動作業機1Aのモータハウジング2、モータ6、制御部13、及びホルダ17の組立説明図。
図3】電動作業機1Aの、モータ6を組み込んだモータハウジング2の背面図。
図4図3の状態から制御部13を組み込んだモータハウジング2の背面図。
図5図4のモータハウジング2にホルダ17を装着した状態の背面図。
図6図5の配線6w、47wをコネクタ23によって互いに接続した状態の背面図。
図7】本発明の実施の形態2に係る電動作業機1Bの側断面図。
図8】電動作業機1Bの、モータ6を組み込んだモータハウジング2の背面図。
図9図8の状態からブリッジ・インバータ基板30を組み込んだモータハウジング2の背面図。
図10図9のモータハウジング2にホルダ17を装着した状態の背面図。
図11図10のコネクタ6n、47nを互いに接続し、ホルダ17の凹部17bに嵌め込んだ状態の背面図。
図12】電動作業機1Bの回路図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0018】
(実施の形態1) 図1図6を参照し、本発明の実施の形態1の電動作業機1Aについて説明する。図1により、電動作業機1Aの上下及び前後方向を定義する。前後方向は、モータ6の回転軸6aの延出方向と平行である。電動作業機1Aは、着脱可能に装着した電池パック14からの供給電力で動作するコードレスタイプのグラインダである。
【0019】
電動作業機1Aは、モータハウジング2、ハンドルハウジング(テールカバー)3、及びギヤケース4により、外殻が形成される。モータハウジング2の後端部に、ホルダ(中間部材)17を介してハンドルハウジング3が取り付けられ(接続され)、モータハウジング2の前端部にギヤケース4が取り付けられる(接続される)。モータハウジング2及びハンドルハウジング3は、例えば樹脂成形体である。ギヤケース4は、例えばアルミ等の金属製である。ギヤケース4は、回転軸6aの前部を回転自在に支持する軸受(ベアリング)6bを支持している。
【0020】
ハンドルハウジング3の後端部に、電動作業機1Aの電力供給源となる電池パック14が着脱可能に装着される。ハンドルハウジング3は、電動作業機1Aのハンドルを構成する。ハンドルハウジング3の下部には、トリガ7が揺動(回動)可能に支持される。トリガ7は、モータ6の電流経路に設けられた第1スイッチ11のオンオフを使用者が切り替えるための操作部である。第1スイッチ11は、好ましくは機械式の接点スイッチであり、ハンドルハウジング3内に収容され、トリガ7の上方に位置する。使用者がトリガ7を握ると、トリガ7は上方に揺動し、第1スイッチ11がオンとなる。使用者がトリガ7の握りを緩めると、トリガ7は下方に揺動し、第1スイッチ11がオフとなる。
【0021】
モータハウジング2は、分割ができないように成型された前後方向に延びる円筒形状等の筒型一体構造であり、前端及び後端が開口する。モータハウジング2は、モータ6を収容すると共に、モータ6の後部に制御部13を収容する。制御部13は、モータ6への電力供給を制御するインバータ回路や、インバータ回路を制御するマイコン(マイクロコントローラ)等を含む。モータ6は、インナーロータ型のブラシレスモータである。また、モータハウジング2の前部には、モータ6及び制御部13を冷却するためのファン10が設けられている。ファン10は回転軸6aと一体回転するようになっており、回転することで、ハンドルハウジング3の左右に設けられた吸気口3aからギヤケース4に設けられた排気口4aに至る冷却風を生成する。すなわち、ファン10の回転によって吸気口3aからハンドルハウジング3内に流入した空気は、冷却風としてモータハウジング2内に流入し、制御部13を冷却したのち、モータ6を冷却して排気口4aから外部へ排出される。ギヤケース4内には、回転伝達機構としての減速機構5が収容される。減速機構5は、一対のベベルギアを組み合わせたものであり、モータ6の回転を減速すると共に90度変換してスピンドル8に伝達する。スピンドル8の下端部には回転具(先端工具)としての砥石8aが一体回転可能に設けられる。モータ6の回転から砥石8aの回転に至るまでの機械的な構成及び動作は周知なので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0022】
図2に示すように、モータ6は、モータハウジング2に前方から挿入され、組み付けられる。制御部13は、モータハウジング2に後方から挿入され、組み付けられる。ホルダ17は、モータハウジング2の後端部にネジ止め等により固定される。図3は、モータ6を組み込んだモータハウジング2を後方から見た図である。モータハウジング2は、軸受保持部2aを有する。軸受保持部2aは、前後方向でモータ6と制御部13との間に位置する。軸受保持部2aは、リブ2b及び軸受収容部2cを含む。リブ2bは、モータハウジング2の内周面同士を渡すように格子状に延びる。格子形状を成すリブ2bによって、複数の貫通穴2dがモータハウジング2の内面と軸受収容部2cとの間に形成される。すなわち軸受保持部2aは、前後方向に貫通する複数の貫通穴2dを有する。本実施の形態において貫通穴2dは20箇所ある。軸受収容部2cは、リブ2bに支持され、軸受(ベアリング)6cを収容して保持する。この軸受6cは、モータ6の回転軸6aの後部を回転自在に支持する。リブ2b間の隙間(貫通穴2d)を通って、モータ6のステータコイルから延びる配線6wと、モータ6の回転位置検出用の磁気センサ(ホール素子等)を有するセンサ基板40から延びる信号線42wが後方に延びる。貫通穴2dは複数設けられるが、配線6wと信号線42wとはそれぞれ異なる位置にある貫通穴2dを通っており、こうすることで配線6wと信号線42wとの接触を抑制することができる。また、本実施の形態においては、配線6wは3つあり、それぞれ異なる位置にある貫通穴2dを通っている。これによって、複数ある配線6wの位置変化を規制するとともに、配線6w同士の接触を抑制できる。また、配線6wと信号線42wは、貫通穴2dを通ることで周囲にあるリブ2bによって動きが規制される。すなわち、配線6wと信号線42wとは軸受保持部2aによって無用な移動が規制されるので、配線の接続や組み立てが行いやすくなる。本実施の形態では、貫通穴2dを形成するために、上下左右に延びるリブ2bによって格子形状を成したが、一方向に延びる複数のリブによって貫通穴を形成してもよく、例えば上下に延びる複数のリブによって柵状を成すようにしてもよい。また、本実施の形態においては、複数ある配線6wは全て異なる位置の貫通穴2dを通るように構成したが、少なくとも2つの配線が異なる位置の貫通穴2dを通れば、前述の効果を奏する。また、配線の移動を規制する複数の貫通穴を軸受保持部2aの一部で兼用したが、複数の貫通穴が別の箇所に設けられていてもよい。リブ2bと貫通穴2dが、本発明の格子部に相当する。
【0023】
図4は、図3の状態から制御部13を組み込んだモータハウジング2を後方から見た図である。制御部13は、制御基板の後面にインバータ回路を構成するスイッチング素子やマイコン等を搭載している。配線47wは、インバータ回路から延びるモータ6への電力供給用配線である。図5は、図4のモータハウジング2にホルダ17を装着した状態を後方から見た図である。ホルダ17は、前後方向に延びる円筒形状であり、前端及び後端が開口する。ホルダ17は、格子状のリブ17aを有する。リブ2bと同様に格子状を成す複数のリブ17aによって、前後方向に貫通する貫通穴17cが形成される。リブ17a間の隙間(貫通穴17c)を通って、配線6wと配線47wが後方に延びる。格子状構造を成すリブ17aは、リブ2bと同様に、配線の位置変化を規制する効果を有する。図5の状態では、配線6wと配線47wとは接続されておらず、すなわちモータ6と制御部13とは電気接続がされていない状態である。図5に示すように、接続前の配線6w、47wの先端は絶縁性の材料が除去された状態となっている。図6は、図5の配線6w、47wをコネクタ23によって互いに機械的かつ電気的に接続した状態を後方から見た図である。図5の状態で先端が絶縁されていない状態の配線6wと配線47wは、互いの先端が接続される。接続は、先端部分を当接させた状態で圧力をかけて固定する方法(かしめ加工)によって行われる。コネクタ23は、配線6wと配線47wとの電気的接続部、すなわちモータ6と制御部13との電気的接続部に含まれるもので、配線6wと配線47wのそれぞれを部分的に覆う絶縁性の部材である。コネクタ23は、接続された配線6wと配線47wの先端及びその近傍を覆う。また、コネクタ23の内部は、配線6wと配線47wの太さを合わせた寸法と同等、または微小に小さくなるように構成されており、配線6wと配線47wは、摩擦力等によってコネクタ23から脱落することを抑制されている。図1に示すように、コネクタ23は、モータハウジング2の外部(後方)に位置する。具体的には、コネクタ23はハンドルハウジング3の内部に位置する。図5図6に示すように、配線6wと配線47wは、それぞれ異なる位置にある貫通穴17cを通って、互いに接続される。すなわち、最終的なモータ6と制御部13との接続線は、モータ6から延出し、モータハウジング2の外部まで延び、貫通穴17cを後方に通ってからリブ17aを乗り越えるようにして別な貫通穴17cを前方に通り、モータハウジング2内に戻って制御部13へと至るようなかたちとなる。従って、モータハウジング2の外部に位置するモータ5と制御部13との接続線(配線6w又は47w)の少なくとも一部は、リブ17aによって、モータハウジング2内に移動することが規制される。貫通穴17cは、本発明のホルダ貫通穴に相当する。図においては、一部の貫通穴17cからのみ引出し線を引いているが、本実施の形態において貫通穴17cは計8つ存在する
【0024】
本実施の形態によれば、モータ6の配線6wと、制御部13の配線47wとの電気的接続部(コネクタ23)を、モータハウジング2の外部に配置しているため、当該電気的接続部が制御部13の一部に接触することを抑制できる。特に、モータハウジング2内において制御部13のインバータ回路を構成するスイッチング素子やマイコン等の素子、その他の通電部分、ヒートシンク等が露出していても、それらに配線6w、47wの絶縁被覆除去部等が接触して不具合を起こすリスクを抑制できる。また、モータハウジング2内にコネクタ23の配置スペースを取らずに済むので、モータハウジング2の大型化を抑制できるとともに、モータハウジング2内を前後方向に通る冷却風の流れを妨げることもない。コネクタ23が位置するハンドルハウジング3内は、比較的スペースに余裕があるため、コネクタ23を配置しても問題がない。また、スペースに余裕があるハンドルハウジング3の内部にコネクタ23を配置することができるようになるので、比較的安価だが大型のコネクタ部材を採用可能となり、安価な電動作業機を実現できる。また、本実施の形態によれば、配線6wと配線47wの接続作業を行う際に、モータ6及び制御部13はいずれもモータハウジング2に支持されているので、互いに相対移動してしまうことが抑制されている。従って、一方のみが支持されている場合と比較して接続作業が非常に楽になる。
【0025】
(実施の形態2) 図7図12を参照し、本発明の実施の形態2の電動作業機1Bについて説明する。図7により、電動作業機1Bの上下及び前後方向を定義する。前後方向は、モータ6の回転軸6aの延出方向と平行である。電動作業機1Bは、外部の交流電源からの供給電力で動作するコード付きタイプのグラインダである。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0026】
ハンドルハウジング3の後端部からは、外部の交流電源50(図12)に接続するための電源コード9が延びる。ハンドルハウジング3内の前部には、補助電源・制御基板が収容されたコントローラ20が設けられる。ハンドルハウジング3の左右両側面には、実施の形態1と同様に吸気口3aが設けられる。トリガ7の前側となる位置に、第2スイッチ12が設けられる。第2スイッチ12は、図12の演算部21に電気的に接続された例えば電子スイッチ(マイクロスイッチ等)であり、トリガ7の操作に連動してオンオフが切り替わる。第2スイッチ12は、トリガ7の操作を演算部21に迅速に伝達するために設けられ、自身のオンオフによって異なるレベルの信号を演算部21に送出する。使用者がトリガ7を握ると、トリガ7が上方に揺動し、第2スイッチ12がオンとなる。使用者がトリガ7の握りを緩めると、トリガ7が下方に揺動し、第2スイッチ12がオフとなる。
【0027】
モータハウジング2は、モータ6を収容すると共に、モータ6の後部にブリッジ・インバータ基板(駆動基板)30を収容する。ブリッジ・インバータ基板30の後面に、図12のインバータ回路47を構成するスイッチング素子Q(図12のスイッチング素子Q1~Q6に対応)や、スイッチング素子Qを冷却するためのヒートシンク(放熱部材)27、電解コンデンサC2等が設けられる。モータ6とブリッジ・インバータ基板30との間に、軸受保持部2aが設けられる。
【0028】
モータ6は、モータハウジング2に前方から挿入され、組み付けられる。ブリッジ・インバータ基板30は、モータハウジング2に後方から挿入され、組み付けられる。ホルダ17は、モータハウジング2の後端部にネジ止め等により固定される。図8は、モータ6を組み込んだモータハウジング2を後方から見た図である。軸受収容部2cは、リブ2bに支持され、図7の軸受(ベアリング)28を収容保持する。軸受28は、モータ6の回転軸の後部を回転自在に支持する。配線6wの先端には、コネクタ6nが設けられる。コネクタ6nは配線6wの先端に固定された接続部品であり、金属部分が絶縁性材料で覆われているものであって、後述するコネクタ47nと係合可能なものである。
【0029】
図9は、図8の状態からブリッジ・インバータ基板30を組み込んだモータハウジング2を後方から見た図である。配線47wは、ブリッジ・インバータ基板30に設けられたインバータ回路から延びる配線である。配線47wの先端には、コネクタ47nが設けられる。コネクタ47nは配線47wの先端に固定された接続部品であり、金属部分が絶縁性材料で覆われているものであって、コネクタ6nの金属部分と係合可能なものである。図10は、図9のモータハウジング2にホルダ17を装着した状態を後方から見た図である。ホルダ17のリブ17a間の隙間(貫通穴17c)を通って、配線6w、47wが後方に延びる。図11は、図10のコネクタ6n、47nを互いに接続し、ホルダ17の凹部17bに嵌め込んだ状態を後方から見た図である。コネクタ6n、47nを互いに接続することで、配線6w、47wが互いに機械的かつ電気的に接続される。コネクタ6n、47nは、その絶縁部分が配線6wと配線47wのそれぞれを部分的に覆っている。コネクタ6n、47nの相互接続部は、配線6w、47wの電気的接続部、すなわちモータ6とブリッジ・インバータ基板30との電気的接続部である。図10に示すように、リブ17aは、複数の凹部17bを有する。図11に示すように、コネクタ6n、47n及びそれらの相互接続部が、凹部17bに嵌め込んで保持される。ハンドルハウジング3は、凹部17bに保持されたコネクタ6n、47n及びそれらの相互接続部を後方から押さえるリブを有してもよい。
【0030】
図12は、電動作業機1Bの回路図である。交流電源50は、商用電源等の外部交流電源である。交流電源50には、ヒューズFinと、バリスタZ1と、パターンヒューズF1と、コンデンサC1と、抵抗R1と、チョークコイルL1と、を含むフィルタ回路が接続される。ヒューズFinは、スイッチング素子Q1~Q6が短絡した場合の保護用である。バリスタZ1は、サージ電圧吸収用である。パターンヒューズF1は、バリスタZ1が働いた場合に線間がショートするのを防止する役割を持つ。コンデンサC1及びチョークコイルL1は、線間のノイズ除去用である。抵抗R1は、コンデンサC1の放電用である。
【0031】
前述のフィルタ回路の出力側とダイオードブリッジ15の入力側と間に、第1スイッチ11が設けられる。第1スイッチ11は、2極スイッチであり、フィルタ回路の一方の出力端子とダイオードブリッジ15の一方の入力端子との間、及びフィルタ回路の他方の出力端子とダイオードブリッジ15の他方の入力端子との間、の双方を開閉できるようになっている。整流回路としてのダイオードブリッジ15は、第1スイッチ11を介して入力される前述のフィルタ回路の出力電圧を、全波整流して直流に変換し、インバータ回路47に供給する。電解コンデンサC2は、サージ吸収用であり、ダイオードブリッジ15の出力端子間に設けられる。抵抗Rsは、モータ6に流れる電流を検出するための検出抵抗であり、モータ6の電流経路に設けられる。ダイオードブリッジ15、電解コンデンサC2、第1の制御部としてのインバータ回路47、及び抵抗Rsは、図7のブリッジ・インバータ基板30に設けられる。
【0032】
インバータ回路47は、三相ブリッジ接続されたIGBTやFET等のスイッチング素子Q1~Q6を含み、第2の制御部としての演算部21の制御に従ってスイッチング動作し、モータ6のステータコイル6e(U,V,Wの各巻線)に駆動電流を供給する。抵抗Rsの両端間の電圧により、演算部21はモータ6の電流を検出する。また、演算部21は、複数のホール素子(磁気センサ)42の出力電圧により、モータ6の回転位置(ロータ回転位置)を検出する。演算部21は、トリガ7の操作に連動する第2スイッチ12の状態(オンオフ)に応じて、モータ6の駆動及び制動を制御する。具体的には、演算部21は、トリガ7の操作により第2スイッチ12がオンされると、スイッチング素子Q1~Q6をスイッチング制御(例えばPWM制御)し、モータ6の駆動を制御する。演算部21は、トリガ7の操作により第2スイッチ12がオフされると、モータ6に制動力を与える制御(ブレーキ制御)を行う。ブレーキ制御は、例えば、インバータ回路47の上アーム側スイッチング素子Q1~Q3をオフに維持しながら下アーム側スイッチング素子Q4~Q6の少なくともいずれかを連続的ないし断続的にオンすることで、電気制動力を発生させる制御である。
【0033】
整流回路としてのもう1つのダイオードブリッジ16は、第1スイッチ11を介さずに入力される前述のフィルタ回路の出力電圧を、全波整流して直流に変換する。電解コンデンサC3は、サージ吸収用であり、ダイオードブリッジ16の出力端子間に設けられる。ダイオードブリッジ16の出力側には、IPD回路22が設けられる。IPD回路22は、インテリジェント・パワー・デバイス(Intelligent Power Device)であるIPD素子やコンデンサ等により構成された回路であり、ダイオードブリッジ16及びサージ吸収用の電解コンデンサC3によって整流、平滑された電圧を例えば約18Vに降圧するDC-DCスイッチング電源回路である。IPD回路22は、集積回路であり、消費電力が小さく省エネルギーであるというメリットがある。IPD回路22の出力電圧は、レギュレータ26によって例えば約5Vに更に降圧され、演算部21に動作電圧(電源電圧Vcc)として供給される。ダイオードブリッジ16、電解コンデンサC3、演算部21、IPD回路22、及びレギュレータ26等は、補助電源・制御基板20に設けられる。
【0034】
本実施の形態も、実施の形態1と同様に、モータ6の配線6wと、ブリッジ・インバータ基板30から延びる配線47wと、の電気的接続部(コネクタ6n、47nの相互接続部)を、モータハウジング2の外部に配置しているため、モータハウジング2内においてブリッジ・インバータ基板30のインバータ回路を構成するスイッチング素子等の通電部分やヒートシンク等が露出していても、それらに配線6w、47wの絶縁被覆除去部等が接触して不具合を起こすリスクを抑制できる。また、本実施の形態では、ハンドルハウジング3の前部(図1においてコネクタ23を配置していたスペース)に補助電源・制御基板20を配置している関係でハンドルハウジング3の前部にスペースが無いが、コネクタ6n、47n及びそれらの相互接続部をホルダ17のリブ17aの凹部17bに嵌め込んで保持することで、コネクタ6n、47n及びそれらの相互接続部を好適にモータハウジング2の外部に位置させることができる。また、コネクタ6n、47n及びそれらの相互接続部がホルダ17に固定されるので、作業時の振動や吸気口3aから排気口4aに至る冷却風によって相互接続部の位置がずれてしまうことがない。これによって、異なる相互接続部同士の接触や、風路の閉塞等を起こしてしまうことを抑制できる。
【0035】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0036】
本発明の電動作業機は、実施の形態で例示したグラインダ以外の電動作業機であってもよく、特に筒型一体構造で分割不能なように成型されるモータハウジングを有する電動作業機に好適である。
【符号の説明】
【0037】
1A,1B…電動作業機、2…モータハウジング、3…ハンドルハウジング(テールカバー)、4…ギヤケース、5…減速機構(回転伝達機構)、6…モータ、6n…コネクタ、6w…配線、7…トリガ、8…スピンドル、8a…砥石、9…電源コード、11…第1スイッチ(接点スイッチ)、12…第2スイッチ(電子スイッチ)、13…制御基板、14…電池パック、15,16…ダイオードブリッジ、17…ホルダ(中間部材)、17a…リブ、17b…凹部、20…コントローラ、21…演算部(第2の制御部)、22…IPD回路、23…コネクタ(結線部材)、26…レギュレータ、27…ヒートシンク(放熱部材)、28…軸受(ベアリング)、30…ブリッジ・インバータ基板(駆動基板)、40…センサ基板、42…ホール素子(磁気センサ)、47…インバータ回路(第1の制御部)、47n…コネクタ、47w…配線、50…交流電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12