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特許7131626電子部品モジュール及び電子部品モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】電子部品モジュール及び電子部品モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20220830BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20220830BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20220830BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H05K9/00 R
H05K3/28 G
H01L25/00 B
H01L23/28 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020553431
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 JP2019041526
(87)【国際公開番号】W WO2020085380
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2018200597
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新開 秀樹
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-174947(JP,A)
【文献】特開2002-290131(JP,A)
【文献】特開2015-13361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 3/28
H01L 25/00
H01L 23/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する基板と、
前記基板の前記主面に設けられている電子部品と、
前記電子部品を封止する封止部と、
前記封止部を覆う金属層と、
前記封止部と前記金属層の間に設けられている磁性層と、を備え、
前記磁性層は、
磁性本体部と、
前記磁性本体部と前記金属層の間に設けられているカバーシートと、を有し、
前記カバーシートは、
前記磁性本体部に対向している第1主面と、
前記金属層に対向している第2主面と、を有し、
前記第2主面の外周端部は、前記第1主面の外周端部よりも内側に位置する、
電子部品モジュール。
【請求項2】
前記磁性層は、前記封止部の一部に設けられている、
請求項1に記載の電子部品モジュール。
【請求項3】
前記磁性層は、前記基板の厚さ方向からの平面視において、凹部又は貫通孔を有する、
請求項1又は2に記載の電子部品モジュール。
【請求項4】
前記カバーシートは、前記第2主面の外周端部が前記第1主面の外周端部よりも内側に位置するように段差を有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子部品モジュール。
【請求項5】
前記カバーシートは、前記第1主面から前記第2主面に近づくにつれて外周端部が内側に位置する傾斜面を有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子部品モジュール。
【請求項6】
前記傾斜面は、凸状の曲面である、
請求項5に記載の電子部品モジュール。
【請求項7】
基板を準備する工程と、
前記基板に電子部品を設ける工程と、
前記電子部品を封止する封止部を設ける工程と、
磁性シートを切断して磁性層を形成する工程と、
前記封止部の少なくとも一部に前記磁性層を設ける工程と、
前記封止部及び前記磁性層を覆うように金属層を設ける工程と、を有し、
前記磁性層は、
磁性本体部と、
前記磁性本体部と前記金属層の間に設けられているカバーシートと、を有し、
前記カバーシートは、
前記磁性本体部に対向している第1主面と、
前記金属層に対向している第2主面と、を有し、
前記磁性層を形成する工程では、前記第2主面の外周端部が前記第1主面の外周端部よりも内側に位置するように、前記磁性シートを切断して前記磁性層を形成する、
電子部品モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記磁性層を形成する工程では、前記磁性シートをYAGレーザ又はUVレーザで切断して前記磁性層を形成する、
請求項7に記載の電子部品モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記磁性層を形成する工程では、前記磁性シートを超硬金型で切断して前記磁性層を形成する、
請求項7に記載の電子部品モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子部品モジュール及び電子部品モジュールの製造方法に関し、より詳細には、磁性層及び金属層を備える電子部品モジュール及び電子部品モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品モジュールとして、磁性層及び金属層を備える電子部品モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された電子回路パッケージ(電子部品モジュール)は、基板と、複数の電子部品と、モールド樹脂(封止部)と、磁性膜(磁性層)と、金属膜(金属層)とを備える。複数の電子部品は、基板に搭載されている。モールド樹脂は、複数の電子部品を埋め込むよう基板の主面を覆う。磁性膜は、モールド樹脂を覆う。金属膜は、磁性膜及びモールド樹脂を覆う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5988003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の電子部品モジュールにおいて、磁性層として、磁性本体部及びカバーシートが積層されている構造が用いられることがある。この場合、カバーシートは、磁性本体部の金属層側に設けられている。このような磁性層を用いる場合、磁性層が切断された際に、切断後の磁性層の周縁では、カバーシートにバリが発生し、カバーシートの側面が磁性本体部の側面よりも外側に突出することがある。カバーシートの側面が磁性本体部の側面よりも外側に突出すると、磁性層上に金属層を設ける際に、カバーシートが突出している部分が傘となって、磁性本体部に金属層が形成しにくくなるため、カバーシートが突出している部分で金属層が分断してしまうことがある。つまり、カバーシートのうち磁性本体部よりも外側に突出する部分によって遮られる箇所ができ、当該遮られる箇所には金属層が形成されにくくなるため、金属層が分断してしまう。このため、金属層のシールド効果が低下する可能性があるという問題があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、カバーシートによる金属層の分断の可能性を低減させることができる電子部品モジュール及び電子部品モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電子部品モジュールは、基板と、電子部品と、封止部と、金属層と、磁性層とを備える。前記基板は、主面を有する。前記電子部品は、前記基板の前記主面に設けられている。前記封止部は、前記電子部品を封止する。前記金属層は、前記封止部を覆う。前記磁性層は、前記封止部と前記金属層の間に設けられている。前記磁性層は、磁性本体部と、カバーシートとを有する。前記カバーシートは、前記磁性本体部と前記金属層の間に設けられている。前記カバーシートは、第1主面と、第2主面とを有する。前記第1主面は、前記磁性本体部に対向している。前記第2主面は、前記金属層に対向している。前記第2主面の外周端部は、前記第1主面の外周端部よりも内側に位置する。
【0008】
本発明の一態様に係る電子部品モジュールの製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板に電子部品を設ける工程と、を有する。前記電子部品モジュールの製造方法は、前記電子部品を封止する封止部を設ける工程と、磁性シートを切断して磁性層を形成する工程と、を有する。前記電子部品モジュールの製造方法は、前記封止部の少なくとも一部に前記磁性層を設ける工程を有する。前記電子部品モジュールの製造方法は、前記封止部及び前記磁性層を覆うように金属層を設ける工程を有する。前記磁性層は、磁性本体部と、カバーシートとを有する。前記カバーシートは、前記磁性本体部と前記金属層の間に設けられている。前記カバーシートは、第1主面と、第2主面とを有する。前記第1主面は、前記磁性本体部に対向している。前記第2主面は、前記金属層に対向している。前記磁性層を形成する工程では、前記第2主面の外周端部が前記第1主面の外周端部よりも内側に位置するように、前記磁性シートを切断して前記磁性層を形成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様に係る電子部品モジュール及び電子部品モジュールの製造方法によれば、カバーシートによる金属層の分断の可能性を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、実施形態1に係る電子部品モジュールの断面図である。図1Bは、同上の電子部品モジュールにおける図1Aの領域A1の拡大図である。図1Cは、同上の電子部品モジュールにおける図1Aの領域A2の拡大図である。
図2図2Aは、実施形態1に係る電子部品モジュールにおける磁性層の一部の断面図である。図2Bは、同上の磁性層における図2Aの領域B1の拡大図である。図2Cは、同上の磁性層における図2Bの領域B2の拡大図である。
図3図3A及び図3Bは、実施形態1に係る電子部品モジュールの製造方法を説明するための正面図である。
図4図4A図4Fは、実施形態1に係る電子部品モジュールの製造方法を説明するための工程断面図である。
図5図5A図5Fは、実施形態1の変形例1に係る電子部品モジュールの製造方法を説明するための工程断面図である。
図6図6Aは、実施形態1の変形例2に係る電子部品モジュールの断面図である。図6Bは、同上の電子部品モジュールにおける図6Aの領域C1の拡大図である。図6Cは、同上の電子部品モジュールにおける図6Aの領域C2の拡大図である。
図7図7は、実施形態2に係る電子部品モジュールにおける磁性層の要部の断面図である。
図8図8Aは、実施形態3に係る電子部品モジュールにおける磁性層の正面図である。図8Bは、実施形態3の変形例1に係る電子部品モジュールにおける磁性層の正面図である。図8Cは、実施形態3の変形例2に係る電子部品モジュールにおける磁性層の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態1~3に係る電子部品モジュール及び電子部品モジュールの製造方法について、図面を参照して説明する。下記の実施形態等において参照する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
(実施形態1)
(1)電子部品モジュールの全体構成
実施形態1に係る電子部品モジュールの全体構成について、図面を参照して説明する。
【0013】
電子部品モジュール1は、図1Aに示すように、基板2と、複数(図示例では3つ)の電子部品3と、封止部4と、金属層5と、磁性層6と、複数(図示例では2つ)の電気接続部7とを備える。電子部品モジュール1は、複数の電気接続部7を用いて外部基板(図示せず)に実装される。
【0014】
(2)電子部品モジュールの各構成要素
以下、電子部品モジュール1の各構成要素について、図面を参照して説明する。
【0015】
(2.1)基板
図1Aに示す基板2は、複数の誘電体層及び複数の配線層を有する多層基板である。基板2は、例えば、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板である。また、基板2は、樹脂基板であってもよい。複数の誘電体層及び複数の配線層は、基板2の厚さ方向D1において積層されている。
【0016】
複数の誘電体層は、電気絶縁性を有する。複数の誘電体層は、同じ材料により形成されていてもよいし、一部の誘電体層が他の誘電体層と異なる材料により形成されていてもよい。
【0017】
複数の配線層は、複数の誘電体層に形成されている。複数の配線層は、それぞれ所定パターンに形成されている。複数の配線層の材料は、例えば、銅である。なお、複数の配線層の材料は、銅に限定されず、例えば、銀又は金であってもよい。複数の配線層は、同じ材料により形成されていてもよいし、一部の配線層が他の配線層と異なる材料により形成されていてもよい。
【0018】
基板2は、第1主面21と、第2主面22とを有する。基板2は、グランド電極を含む複数の電極を有する。グランド電極は、グランド電位となる部分と電気的に接続される。複数の配線層のいくつかは、グランド電極と電気的に接続されている。
【0019】
(2.2)電子部品
複数の電子部品3は、図1Aに示すように、基板2の第1主面21に設けられている。複数の電子部品3の各々は、例えば、チップ電子部品、受動素子、又は能動素子である。チップ電子部品は、例えば、抵抗、インダクタ、又はキャパシタである。受動素子は、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ、BAW(Bulk Acoustic Wave)フィルタである。能動素子は、RF(Radio Frequency)スイッチ、又は半導体素子である。各電子部品3は、基板2の第1主面21上に設けられている。各電子部品3は、導電性バンプ、はんだのような複数の電気接続部31を介して基板2の配線層(図示せず)と電気的に接続されている。また、電子部品3は、電子部品モジュール1より小型で、電子部品モジュール1と同様に、複数の電子部品を基板に搭載してあらかじめ組み立てられたモジュール部品であってもよい。
【0020】
複数の電子部品3は、高周波の電磁波を放射する電子部品と、低周波の電磁波を放射する電子部品とを含む。本明細書において、「低周波の電磁波」とは、数MHz以下の周波数帯の電磁波をいう。本明細書において、「高周波の電磁波」とは、低周波の周波数(上記数MHz以下の周波数帯に含まれる周波数)よりも高い周波数帯の電磁波をいう。
【0021】
(2.3)封止部
封止部4は、図1Aに示すように、複数の電子部品3を封止するように設けられている。より詳細には、封止部4は、複数の電子部品3を封止するように基板2の第1主面21上を覆って設けられている。封止部4は、各電子部品3の周囲を全て覆っている。つまり、各電子部品3は、封止部4の内側に配置されている。
【0022】
封止部4の材料は、電気絶縁性を有する樹脂等である。また、封止部4は、例えば、樹脂の他に、樹脂に混合されているフィラーを含んでいるが、フィラーは必須の構成要素ではない。樹脂は、例えば、エポキシ樹脂である。ただし、樹脂は、エポキシ樹脂に限らず、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂又はシリコーン樹脂であってもよい。フィラーは、例えば、シリカ、アルミナ等の無機フィラーである。封止部4は、樹脂及びフィラーの他に、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料を含んでいてもよい。
【0023】
(2.4)金属層
金属層5は、図1Aに示すように、封止部4を覆うように設けられている。より詳細には、金属層5は、封止部4の主面41の一部及び側面42に接するように設けられている。
【0024】
金属層5は、主部51と、側部52とを有する。主部51と側部52は一体に設けられている。主部51は、封止部4の主面41を覆うように設けられている。側部52は、主部51の周囲から基板2の厚さ方向D1に沿って延びるように設けられている。側部52は、封止部4の側面42に接するように設けられている。
【0025】
金属層5は、基板2のうちグランド電位となる配線層(図示せず)と電気的に接続されている。より詳細には、金属層5の側部52は、基板2の側面23に接しており、当該側面23から露出している基板2の配線層(図示せず)と電気的に接続されている。金属層5と電気的に接続されている配線層は、グランド電位となる配線層である。
【0026】
金属層5は、高い導電率を有する。金属層5の材料は、例えば、銅である。金属層5の材料は、他に、銀、アルミニウムであってもよい。また、金属層5は、異なる金属材料を複数層積層した構成であってもよい。例えば、封止部4との接触面に、樹脂と密着しやすいチタン、クロム、ニッケル、ステンレス等の金属を形成し、その上に銅、銀、アルミニウムのような導電率の高い金属を形成し、さらにその上にさびにくいチタン、クロム、ニッケル、ステンレス等の金属を形成した積層構造であってもよい。金属層5は、例えば、スパッタ法によって形成されている。
【0027】
金属層5は、基板2の配線層のうちグランド電位となる配線層と電気的に接続されているので、高周波のシールド効果を高めることができる。一方、金属層5内で電気的に分断している箇所が存在すると、金属層5内に分断箇所がない場合に比べて、高周波のシールド効果が低減する。本明細書において、「高周波の電磁波」とは、上述したように、低周波の周波数よりも高い周波数帯の電磁波をいう。
【0028】
(2.5)磁性層
磁性層6は、図1Aに示すように、基板2の厚さ方向D1において封止部4と金属層5の間に設けられている。
【0029】
磁性層6は、高い透磁率を有する。これにより、磁性層6は、低周波のシールド効果を高めることができる。本明細書において、「低周波の電磁波」とは、上述したように、数MHz以下の周波数帯の電磁波をいう。
【0030】
(2.6)電気接続部
複数の電気接続部7は、図1Aに示すように、基板2の第2主面22上に設けられている。各電気接続部7は、基板2の配線層(図示せず)と電気的に接続されており、上記配線層と外部基板(図示せず)とを電気的に接続するための部材である。各電気接続部7は、導電性バンプである。各電気接続部7の材料は、例えば、金属又は合金である。
【0031】
(2.7)磁性層の詳細
磁性層6は、図2Aに示すように、磁性本体部61と、第1カバーシート62と、第2カバーシート63とを備える。
【0032】
磁性本体部61は、基板2の厚さ方向D1において、第1カバーシート62と第2カバーシート63の間に設けられている。磁性本体部61は、磁性を有する。磁性本体部61の材料は、軟磁性特性を有する磁性金属である。上記磁性金属は、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、又は鉄-ニッケル系合金である。磁性本体部61の形態は、アモルファス、ナノクリスタル、焼結体を含み、磁性本体部61の形状は、箔、バルクシート、磁性材料フィラー含有の樹脂シート等がある。磁性本体部61の材料は、一般的に、金属層5の材料に比べて脆い。磁性本体部61の厚さは、例えば、30μmである。なお、磁性本体部61の厚さは、20μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0033】
第1カバーシート62は、基板2の厚さ方向D1において磁性本体部61と金属層5の間に設けられている。第1カバーシート62は、第1主面621と、第2主面622とを有する。第1主面621は、基板2の厚さ方向D1において磁性本体部61に接している。第2主面622は、基板2の厚さ方向D1において金属層5に接している。言い換えると、第1主面621は、基板2の厚さ方向D1において磁性本体部61に対向している。ここで、「第1主面621が基板2の厚さ方向D1において磁性本体部61に対向している」とは、基板2の厚さ方向D1において第1主面621が磁性本体部61に接している場合と、基板2の厚さ方向D1において他の部材を介して第1主面621が磁性本体部61に対向している場合とを含む。また、第2主面622は、基板2の厚さ方向D1において金属層5に対向している。ここで、「第2主面622が基板2の厚さ方向D1において金属層5に対向している」とは、基板2の厚さ方向D1において第2主面622が金属層5に接している場合と、基板2の厚さ方向D1において他の部材を介して第2主面622が金属層5に対向している場合とを含む。
【0034】
第1カバーシート62は、基材64と、黒色樹脂層65と、接着層66とを備える。第1カバーシート62の厚さは、10μm以下である。
【0035】
基材64は、黒色樹脂層65と接着層66の間に設けられている。基材64は、耐熱性を有することが好ましい。基材64の材料は、例えば、ポリイミドである。なお、基材64の材料は、ポリイミドに限定されず、他の合成樹脂であってもよい。基材64の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレートであってもよい。ただし、基材64は、耐熱性を有することが好ましく、耐熱性の点から、ポリイミドであるほうが好ましい。
【0036】
黒色樹脂層65は、基材64と金属層5の間に設けられている。
【0037】
接着層66は、第1カバーシート62を磁性本体部61に接着させるために設けられている。接着層66は、弾力性を有する。接着層66の材料は、耐熱性を有する材料である。接着層66の材料は、例えば、エポキシ系樹脂にゴム成分を追加した材料である。その他の材料として、シリコーン系、アクリル系であってもよい。
【0038】
第2カバーシート63は、封止部4と磁性本体部61の間に設けられている。第2カバーシート63の厚さは、10μm以下である。第2カバーシート63は、図示しないが、基材と、第1接着層と、第2接着層とを備える。基材は、基板2の厚さ方向D1において、第1接着層と第2接着層の間に設けられている。第1接着層は、磁性層6を封止部4に接着させるための層である。第2接着層は、第2カバーシート63を磁性本体部61に接着させるための層である。
【0039】
上記のような構成の磁性層6において、図1B図1C、及び図2Cに示すように、第1カバーシート62のうちの基材64及び黒色樹脂層65は、磁性本体部61よりも内側に位置する。より詳細には、基板2の厚さ方向D1からの平面視において、基材64の側面642及び黒色樹脂層65の側面652は、磁性本体部61の側面611よりも内側に位置する。つまり、図1Cの例では、磁性層6は、磁性本体部61と第1カバーシート62の基材64及び黒色樹脂層65の間に段差625を有する。
【0040】
言い換えると、磁性層6の第1カバーシート62において、第2主面622の第2外周端部624は、第1主面621の第1外周端部623よりも内側に位置する。特に、図2Cの例では、第1カバーシート62は、第2主面622の第2外周端部624が第1主面621の第1外周端部623よりも内側に位置するように、段差625を有する。
【0041】
磁性層6が上記形状を有することにより、金属層5は、図1B及び図1Cに示すように、磁性層6上に設けられるため、磁性層6の角部で分断するということを低減させることができる。これにより、金属層5が分断しにくくなり、金属層5が電気的に一体となる。例えば、金属層5において、主部51と側部52とが分断したり、側部52のうち磁性層6と接している箇所の一部分が分断したりすることを低減することができる。その結果、電子部品モジュール1のシールドを安定してグランド電位とすることができるので、金属層5のシールド効果が低減することを抑制できる。
【0042】
ところで、図1Aの例では、磁性層6は、基板2の厚さ方向D1において封止部4と金属層5の間の一部に設けられている。言い換えると、電子部品モジュール1には、封止部4と金属層5との間に磁性層6が設けられていない領域が存在する。これにより、必要な部分だけに磁性層6を設ければいいので、コストを低減させることができる。
【0043】
磁性層6は、図3A及び図3Bに示すように、磁性シート600を切断することによって形成される。磁性シート600は、磁性本体部61の元になる磁性本体部と、第1カバーシート62の元になる第1シート体と、第2カバーシート63の元になる第2シート体とを備える。磁性本体部の材料は、磁性本体部61の材料と同様である。第1シート体の材料は、第1カバーシート62の材料と同様である。第2シート体の材料は、第2カバーシート63の材料と同様である。
【0044】
実施形態1では、磁性シート600は、レーザによって切断される。レーザでの切断では、レーザ光から発生する熱により、磁性層6の第1カバーシート62が収縮する。さらに、レーザでの切断により、磁性層6の第1カバーシート62の側面626(切断面、図2C参照)の凹凸を小さくすることができる。特に、磁性シート600がYAGレーザ又はUVレーザで切断されることにより、第1カバーシート62の基材64がポリイミドであっても、磁性層6の第1カバーシート62の側面626の凹凸を小さくすることができる。
【0045】
また、磁性シート600がレーザで切断されることにより、第1カバーシート62の側面626と共に、磁性層6の磁性本体部61の側面611(切断面)の凹凸も小さくすることができる。特に、磁性シート600がYAGレーザ又はUVレーザで切断されることにより、磁性層6の磁性本体部61の側面611の凹凸を小さくすることができる。
【0046】
(3)電子部品モジュールの製造方法
以下、電子部品モジュール1の製造方法について、図3A図3B、及び図4A図4Fを参照して説明する。電子部品モジュール1は、第1工程から第8工程により製造される。
【0047】
第1工程では、図3Aに示すように、磁性層6(図1A参照)の元になる磁性シート600を準備する。
【0048】
第2工程では、図3A及び図3Bに示すように、磁性シート600を切断して複数(図示例では12枚)の磁性層6を形成する。図3Aの一点鎖線に沿って磁性シート600を切断する。
【0049】
この際に、図2Cに示すように、第1カバーシート62において、第2主面622の第2外周端部624が第1主面621の第1外周端部623よりも内側に位置するように、磁性シート600を切断して複数の磁性層6を形成する。実施形態1では、磁性シート600をレーザで切断して複数の磁性層6を形成する。レーザとしては、例えば、YAGレーザ又はUVレーザを用いる。
【0050】
第3工程では、基板2(図1A参照)を準備する。より詳細には、図4Aに示すように、複数の電子部品モジュール1の各々の基板2の元になる基板本体200を準備する。基板本体200には、主面201上にパターン金属(図示せず)が設けられている。
【0051】
第4工程では、基板2に電子部品3を設ける。より詳細には、図4Bに示すように、基板本体200に複数の電子部品3を実装する。基板本体200の主面201上に、例えば導電性バンプ、はんだのような電気接続部31を用いて、複数の電子部品3を固定する。
【0052】
第5工程では、電子部品3を封止する封止部4(図1A参照)を設ける。より詳細には、図4Cに示すように、基板本体200に設けられた複数の電子部品3を封止する封止部4の元になる封止本体400を形成する。封止本体400の材料となる樹脂を用いて、複数の電子部品3を全て覆うように封止本体400を形成する。さらに、第5工程では、基板2に複数(図示例では4つ)の電気接続部7を設ける。
【0053】
第6工程では、封止部4(図1A参照)の主面41(図1A参照)の一部に磁性層6を設ける。より詳細には、図4Dに示すように、第2工程において磁性シート600を切断して形成された複数(図示例では2つ)の磁性層6を、各磁性層6の第2カバーシート63(図2A参照)の第2接着層(図示せず)を用いて、封止本体400の主面401に貼る。これにより、封止本体400の主面401上に磁性層6を形成する。
【0054】
第7工程では、図4D及び図4Eに示すように、基板本体200及び封止本体400を切断する。より詳細には、例えば、レーザを用いて基板本体200及び封止本体400を切断する。図4Dに示す一点鎖線に沿って基板本体200及び封止本体400を切断する。なお、基板本体200及び封止本体400の切断に際して、磁性シート600は切断されず、図2Cの断面形状が維持されるようにする。その他の切断方法として、ダイシングを用いてもよい。
【0055】
第8工程では、図4Fに示すように、封止部4及び磁性層6を覆うように金属層5を設ける。より詳細には、スパッタにより金属層5を形成する。なお、金属層5の形成方法は、スパッタに限定されない。金属層5は、例えば、蒸着、めっき、銀ペースト、又はスプレーによって、形成されてもよい。
【0056】
第1工程から第8工程を行うことにより、電子部品モジュール1を製造することができる。なお、第1工程及び第2工程は、第6工程の前までに行えばよく、第3工程~第5工程の少なくとも1つと並列して行ってもよい。
【0057】
(4)効果
電子部品モジュール1では、磁性層6の第1カバーシート62において、第2主面622の第2外周端部624が第1主面621の第1外周端部623よりも内側に位置する。これにより、金属層5を磁性層6上に連続的に形成することができるので、金属層5において、安定した導通を得ることができる。言い換えると、金属層5を分断することなく磁性層6上に形成することができ、安定した導通を得ることができる。
【0058】
電子部品モジュール1では、磁性層6が封止部4と金属層5の間の一部に設けられている。これにより、必要な部分だけに磁性層6を設ければいいので、コストを低減させることができる。
【0059】
電子部品モジュール1では、第1カバーシート62が段差625を有する。これにより、金属層5を連続的に形成しやすくすることができるので、金属層5において、更に安定した導通を得ることができる。
【0060】
電子部品モジュール1の製造方法では、磁性層6の第1カバーシート62において、第2主面622の第2外周端部624が第1主面621の第1外周端部623よりも内側に位置するように、磁性シート600を切断して磁性層6を形成する。これにより、金属層5を連続的に形成することができるので、金属層5において、安定した導通を得ることができる。
【0061】
電子部品モジュール1の製造方法では、磁性シート600をYAGレーザ又はUVレーザで切断して磁性層6を形成する。これにより、レーザ光の熱で第1カバーシート62を収縮させることができるので、金属層5を連続的に形成しやすくすることができる。
【0062】
(5)変形例
以下、実施形態1の変形例について説明する。
【0063】
実施形態1の変形例1として、電子部品モジュール1の製造方法では、基板本体200及び封止本体400を切断してから、磁性層6を封止部4に設けてもよい。この場合、電子部品モジュール1は、図3A図3B図5A図5Fに示す第1工程から第8工程により製造される。
【0064】
第1工程では、実施形態1の第1工程と同様、図3Aに示すように、磁性層6の元になる磁性シート600を準備する。第2工程では、実施形態1の第2工程と同様、図3A及び図3Bに示すように、磁性シート600を切断して磁性層6を形成する。
【0065】
第3工程では、実施形態1の第3工程と同様、図5Aに示すように、複数の電子部品モジュール1の各々の基板2の元になる基板本体200を準備する。第4工程では、実施形態1の第4工程と同様、図5Bに示すように、基板本体200に複数の電子部品3を設ける。第5工程では、実施形態1の第5工程と同様、図5Cに示すように、複数の電子部品3を封止する封止本体400及び複数の電気接続部7を形成する。
【0066】
第6工程では、図5C及び図5Dに示すように、基板本体200及び封止本体400を切断する。より詳細には、例えば、レーザを用いて基板本体200及び封止本体400を切断する。図5Cに示す一点鎖線に沿って基板本体200及び封止本体400を切断する。
【0067】
第7工程では、図5Eに示すように、封止部4の主面41上に磁性層6を形成する。より詳細には、第2工程において磁性シート600を切断して形成された磁性層6を、磁性層6の第2カバーシート63の第2接着層(図示せず)を用いて、封止部4の元になる封止部4の主面41に貼ることによって、封止部4の主面41上に磁性層6を形成する。
【0068】
第8工程では、実施形態1の第8工程と同様、図5Fに示すように、金属層5を形成する。
【0069】
変形例1に係る電子部品モジュール1の製造方法であっても、第1工程から第8工程を行うことにより、電子部品モジュール1を製造することができる。
【0070】
実施形態1の変形例2として、電子部品モジュール1aは、図6Aに示すように、磁性層6及び金属層5に代えて、磁性層6a及び金属層5aを備えてもよい。
【0071】
磁性層6aは、基板2の厚さ方向D1において封止部4と金属層5aの間の全ての領域に設けられている。変形例2に係る電子部品モジュール1aにおいても、磁性層6aは、図6B及び図6Cに示すように、段差625を有する。
【0072】
金属層5aは、実施形態1の金属層5と同様、主部51aと、側部52aとを備える。主部51aと側部52aは一体に設けられている。上述したように封止部4と金属層5aの間の全ての領域(封止部4と金属層5aの主部51aの間の領域)に磁性層6aが設けられているため、主部51aは、主部51に比べて、段差がなく、平らである。
【0073】
上記の変形例1,2に係る電子部品モジュール1,1a及び電子部品モジュール1,1aの製造方法においても、実施形態1に係る電子部品モジュール1及び電子部品モジュール1の製造方法と同様の効果を奏する。
【0074】
(実施形態2)
実施形態2に係る電子部品モジュール1は、磁性層6に代えて、図7に示すような磁性層6bを備える点で、実施形態1に係る電子部品モジュール1と相違する。なお、実施形態2に係る電子部品モジュール1に関し、実施形態1に係る電子部品モジュール1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
実施形態2に係る電子部品モジュール1は、図7に示すように、磁性層6bを備える。なお、実施形態2に係る電子部品モジュール1は、実施形態1に係る電子部品モジュール1と同様、基板2と、複数の電子部品3と、封止部4と、金属層5とを備える(図1A参照)。
【0076】
磁性層6bは、磁性本体部61bと、第1カバーシート62bと、第2カバーシート63bとを備える。磁性本体部61bは、第1カバーシート62bと第2カバーシート63bとの間に設けられている。なお、実施形態2の磁性層6bに関し、実施形態1の磁性層6(図2A図2C参照)と同様の構成及び機能については説明を省略する。
【0077】
第1カバーシート62bは、第1主面621と、第2主面622と、側面626とを有し、第2主面622と側面626との間に傾斜面627を更に有する。
【0078】
傾斜面627は、第1主面621から第2主面622に近づくにつれて外周端部が内側に位置するような面である。図7の例では、傾斜面627は、凸状の曲面である。つまり、第1カバーシート62において、第2主面622と側面626の境界領域は丸まっている。
【0079】
上記のような形状の磁性層6bにより、金属層5は、磁性層6b上に設けられたときに、金属層5の一部分で分断が発生することを低減できる。金属層5のシールド効果の低下を抑制することができる。
【0080】
実施形態2に係る電子部品モジュール1の製造方法では、レーザでなく、超硬金型で磁性シート600(図3A参照)を切断する。上記超硬金型は、格子状に形成されている。上記超硬金型を磁性シート600の第1シート体側(図3Aの手前側)から押し込むことにより、磁性シート600を切断する。
【0081】
上記のように磁性シート600を超硬金型で切断して磁性層6bを形成することにより、第1カバーシート62bに、凸状の曲面である傾斜面627を形成することができる。
【0082】
実施形態2に係る電子部品モジュール1では、第1カバーシート62が、凸状の曲面である傾斜面627を有する。これにより、金属層5を連続的に形成しやすくすることができるので、金属層5において、更に安定した導通を得ることができる。
【0083】
実施形態2に係る電子部品モジュール1の製造方法では、磁性シート600を超硬金型(図示せず)で切断して磁性層6bを形成する。これにより、第1カバーシート62において、第1主面621から第2主面622に近づくにつれて外周端部が内側に位置する凸状の曲面を形成しやすくすることができるので、金属層5を連続的に形成しやすくすることができる。
【0084】
なお、実施形態2の変形例1として、電子部品モジュール1の製造方法では、実施形態1の変形例1と同様、基板本体200及び封止本体400を切断してから、磁性層6bを封止部4に設けてもよい。
【0085】
また、実施形態2の変形例2として、電子部品モジュール1では、実施形態1の変形例2と同様、封止部4と金属層5の間の全ての領域に磁性層6bが設けられていてもよい。変形例2に係る電子部品モジュール1においても、磁性層6bは、段差625を有する。
【0086】
上記の各変形例に係る電子部品モジュール1及び電子部品モジュール1の製造方法においても、実施形態2に係る電子部品モジュール1及び電子部品モジュール1の製造方法と同様の効果を奏する。
【0087】
(実施形態3)
実施形態3に係る電子部品モジュール1は、磁性層6に代えて、図8Aに示すような磁性層6cを備える点で、実施形態1に係る電子部品モジュール1と相違する。なお、実施形態3に係る電子部品モジュール1に関し、実施形態1に係る電子部品モジュール1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
実施形態3に係る電子部品モジュール1は、図8Aに示すように、磁性層6cを備える。なお、実施形態3に係る電子部品モジュール1は、実施形態1に係る電子部品モジュール1と同様、基板2と、複数の電子部品3と、封止部4と、金属層5とを備える(図1A参照)。
【0089】
磁性層6cは、磁性層6cの厚さ方向からの平面視において、凹部67を有する。言い換えると、磁性層6cは、封止部4(図1A参照)と金属層5(図1A参照)の間に設けられたときに、基板2の厚さ方向D1からの平面視において、凹部67を有する。電子部品3によっては、磁性層6cのシールド効果が不要な場合もある。あるいは、上面側から電子部品3と他の部品等とを導通させる場合もある。これらの場合、基板2の厚さ方向D1(図1A参照)において、磁性層6cのうち、該当する電子部品3と重なる位置に凹部67が形成されている。なお、実施形態3の磁性層6cに関し、実施形態1の磁性層6(図1A参照)と同様の構成及び機能については説明を省略する。
【0090】
実施形態3に係る電子部品モジュール1では、上述したように、磁性層6cが凹部67を有する。これにより、磁気シールドが不要な領域が存在する場合に対応することができる。
【0091】
実施形態3の変形例1として、電子部品モジュール1は、磁性層6cに代えて、図8Bに示すような磁性層6dを備えてもよい。磁性層6dは、磁性層6dの厚さ方向からの平面視において、円弧状の凹部67dを有する。言い換えると、磁性層6dは、封止部4(図4A参照)と金属層5(図1A参照)の間に設けられたときに、基板2の厚さ方向D1からの平面視において、円弧状の凹部67dを有する。これにより、実施形態3と同様、磁気シールドが不要な領域が存在する場合に対応することができる。
【0092】
実施形態3の変形例2として、電子部品モジュール1は、磁性層6cに代えて、図8Cに示すような磁性層6eを備えてもよい。磁性層6eは、磁性層6eの厚さ方向からの平面視において、貫通孔67eを有する。言い換えると、磁性層6eは、封止部4(図1A参照)と金属層5(図1A参照)の間に設けられたときに、基板2の厚さ方向D1からの平面視において、貫通孔67eを有する。貫通孔67eは、磁性層6eの厚さ方向に貫通している。磁性層6eでは、第1カバーシート62と磁性本体部61と第2カバーシート63とが磁性層6eの厚さ方向に並んで設けられている。これにより、実施形態3と同様、磁気シールドが不要な領域が存在する場合に対応することができる。
【0093】
上記の各変形例に係る電子部品モジュール1及び電子部品モジュール1の製造方法においても、実施形態3に係る電子部品モジュール1及び電子部品モジュール1の製造方法と同様の効果を奏する。
【0094】
なお、実施形態1~3及び変形例のそれぞれに係る電子部品モジュール1,1aにおいて、磁性層6に印字があってもよい。印字は、例えば、レーザ印字である。具体的には、黒色樹脂層の上に印字が行われる。
【0095】
以上説明した実施形態及び変形例は、本発明の様々な実施形態及び変形例の一部に過ぎない。また、実施形態及び変形例は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0096】
(態様)
以上説明した実施形態及び変形例より以下の態様が開示されている。
【0097】
第1の態様に係る電子部品モジュール(1;1a)は、基板(2)と、電子部品(3)と、封止部(4)と、金属層(5;5a)と、磁性層(6;6a;6b;6c;6d;6e)とを備える。基板(2)は、主面(第1主面21)を有する。電子部品(3)は、基板(2)の主面(第1主面21)に設けられている。封止部(4)は、電子部品(3)を封止する。金属層(5;5a)は、封止部(4)を覆う。磁性層(6)は、封止部(4)と金属層(5;5a)の間に設けられている。磁性層(6)は、磁性本体部(61;61b)と、カバーシート(第1カバーシート62;62b)とを有する。カバーシート(第1カバーシート62;62b)は、磁性本体部(61;61b)と金属層(5;5a)の間に設けられている。カバーシート(第1カバーシート62;62b)は、第1主面(621)と、第2主面(622)とを有する。第1主面(621)は、磁性本体部(61;61b)に対向している。第2主面(622)は、金属層(5;5a)に対向している。第2主面(622)の外周端部(第2外周端部624)は、第1主面(621)の外周端部(第1外周端部623)よりも内側に位置する。
【0098】
第1の態様に係る電子部品モジュール(1;1a)によれば、金属層(5;5a)を磁性層(6;6a;6b;6c;6d;6e)上に連続的に形成することができるので、金属層(5;5a)において、安定した導通を得ることができる。
【0099】
第2の態様に係る電子部品モジュール(1)では、第1の態様において、磁性層(6;6b;6c;6d;6e)は、封止部(4)の一部に設けられている。
【0100】
第2の態様に係る電子部品モジュール(1)によれば、必要な部分だけに磁性層(6;6b;6c;6d;6e)を設ければいいので、コストを低減させることができる。
【0101】
第3の態様に係る電子部品モジュール(1)では、第1又は2の態様において、磁性層(6c;6d;6e)は、基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視において、凹部(67;67d)又は貫通孔(67e)を有する。
【0102】
第3の態様に係る電子部品モジュール(1)によれば、磁気シールドが不要な領域が存在する場合に対応することができる。
【0103】
第4の態様に係る電子部品モジュール(1;1a)では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、カバーシート(第1カバーシート62)は、第2主面(622)の外周端部(第2外周端部624)が第1主面(621)の外周端部(第1外周端部623)よりも内側に位置するように段差(625)を有する。
【0104】
第4の態様に係る電子部品モジュール(1;1a)によれば、金属層(5;5a)を連続的に形成しやすくすることができるので、更に安定した導通を得ることができる。
【0105】
第5の態様に係る電子部品モジュール(1)では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、カバーシート(第1カバーシート62b)は、第1主面(621)から第2主面(622)に近づくにつれて外周端部が内側に位置する傾斜面(627)を有する。
【0106】
第5の態様に係る電子部品モジュール(1)によれば、金属層(5)を連続的に形成しやすくすることができるので、金属層(5)において、更に安定した導通を得ることができる。
【0107】
第6の態様に係る電子部品モジュール(1)では、第5の態様において、傾斜面(627)は、凸状の曲面である。
【0108】
第6の態様に係る電子部品モジュール(1)によれば、金属層(5)を連続的に更に形成しやすくすることができるので、金属層(5)において、更に安定した導通を得ることができる。
【0109】
第7の態様に係る電子部品モジュール(1;1a)の製造方法は、基板(2)を準備する工程と、基板(2)に電子部品(3)を設ける工程と、を有する。電子部品モジュール(1)の製造方法は、電子部品(3)を封止する封止部(4)を設ける工程と、磁性シート(600)を切断して磁性層(6;6a;6b;6c;6d;6e)を形成する工程と、を有する。電子部品モジュール(1)の製造方法は、封止部(4)の少なくとも一部に磁性層(6;6a;6b;6c;6d;6e)を設ける工程を有する。電子部品モジュール(1;1a)の製造方法は、封止部(4)及び磁性層(6;6a;6b;6c;6d;6e)を覆うように金属層(5;5a)を設ける工程を有する。磁性層(6;6a;6b;6c;6d;6e)は、磁性本体部(61;61b)と、カバーシート(第1カバーシート62;62b)とを有する。カバーシート(第1カバーシート62;62b)は、磁性本体部(61;61b)と金属層(5;5a)の間に設けられている。カバーシート(第1カバーシート62;62b)は、第1主面(621)と、第2主面(622)とを有する。第1主面(621)は、磁性本体部(61;61b)に対向している。第2主面(622)は、金属層(5;5a)に対向している。磁性層(6;6a;6b;6c;6d;6e)を形成する工程では、第2主面(622)の外周端部(第2外周端部624)が第1主面(621)の外周端部(第1外周端部623)よりも内側に位置するように、磁性シート(600)を切断して磁性層(6;6a;6b;6c;6d;6e)を形成する。
【0110】
第7の態様に係る電子部品モジュール(1;1a)の製造方法によれば、金属層(5;5a)を連続的に形成することができるので、金属層(5;5a)において、安定した導通を得ることができる。
【0111】
第8の態様に係る電子部品モジュール(1;1a)では、第7の態様において、磁性層(6;6a;6c;6d;6e)を形成する工程では、磁性シート(600)をYAGレーザ又はUVレーザで切断して磁性層(6;6a;6c;6d;6e)を形成する。
【0112】
第8の態様に係る電子部品モジュール(1;1a)の製造方法によれば、レーザ光の熱でカバーシート(第1カバーシート62)を収縮させることができるので、金属層(5;5a)を連続的に形成しやすくすることができる。
【0113】
第9の態様に係る電子部品モジュール(1)では、第7の態様において、磁性層(6b)を形成する工程では、磁性シート(600)を超硬金型で切断して磁性層(6b)を形成する。
【0114】
第9の態様に係る電子部品モジュール(1)の製造方法によれば、カバーシート(第1カバーシート62;62b)において、第1主面(621)から第2主面(622)に近づくにつれて外周端部が内側に位置する凸状の曲面を形成しやすくすることができるので、金属層(5;5a)を連続的に形成しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0115】
1,1a 電子部品モジュール
2 基板
21 第1主面
3 電子部品
4 封止部
5,5a 金属層
6,6a,6b,6c,6d,6e 磁性層
61,61b 磁性本体部
62,62b 第1カバーシート
621 第1主面
622 第2主面
623 第1外周端部
624 第2外周端部
625 段差
627 傾斜面
67,67d 凹部
67e 貫通孔
600 磁性シート
D1 厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8