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特許7131641情報収集システム、情報収集方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】情報収集システム、情報収集方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20220830BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20220830BHJP
   G06Q 10/06 20120101ALI20220830BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
G06Q10/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021008894
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2022112888
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】長田 武
(72)【発明者】
【氏名】正垣 隆章
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-217549(JP,A)
【文献】特開2013-257726(JP,A)
【文献】特許第6761158(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に所定の工程を実行する1以上の産業機器と通信する産業機器通信部と、
前記1以上の産業機器から受信した所定の情報に基づいて、前記対象物に実行された1以上の前記工程を特定する特定部と、
前記1以上の工程に関する工程識別情報を、前記1以上の産業機器から収集した、前記対象物に関する収集情報に付与する付与部と、
を有し、
一の前記対象物と、他の前記対象物と、の各々には、同じ前記工程が実行され、
前記付与部は、前記一の対象物の前記収集情報に付与される前記同じ工程の前記工程識別情報と、前記他の対象物の前記収集情報に付与される前記同じ工程の前記工程識別情報と、を異ならせる、
産業機器の情報収集システム。
【請求項2】
対象物に所定の工程を実行する1以上の産業機器と通信する産業機器通信部と、
前記1以上の産業機器から受信した所定の情報であって、前記1以上の産業機器側で生成された、前記対象物の対象物識別情報を含む前記所定の情報に基づいて、前記対象物識別情報に対応する前記対象物に実行された1以上の前記工程を特定する特定部と、
前記1以上の産業機器側で生成された前記対象物識別情報とは異なる対象物識別情報を生成する生成部と、
前記1以上の工程に関する工程識別情報と前記異なる対象物識別情報とを、前記1以上の産業機器から収集した、前記対象物に関する収集情報に付与する付与部と、
を有する情報収集システム。
【請求項3】
対象物に所定の工程を実行する1以上の産業機器と通信する産業機器通信部と、
前記1以上の産業機器から受信した所定の情報に基づいて、前記対象物に実行された1以上の前記工程を特定する特定部と、
前記対象物の対象物識別情報を生成する生成部と、
前記1以上の工程に関する工程識別情報と前記生成された対象物識別情報とを、前記1以上の産業機器から収集した、前記対象物に関する収集情報に付与する付与部と、
を有する情報収集システム。
【請求項4】
前記所定の情報は、前記1以上の産業機器側で前記工程ごとに生成された、次工程と前工程の少なくとも一方に関する他工程情報であり、
前記特定部は、前記1以上の産業機器から前記工程ごとに受信した前記他工程情報に基づいて、前記対象物に実行された前記1以上の工程を特定する、
請求項1~3の何れかに記載の情報収集システム。
【請求項5】
前記所定の情報は、前記1以上の産業機器により前記工程ごとに送信される、前記対象物の状態に関する状態情報であり、
前記特定部は、前記1以上の産業機器から前記工程ごとに受信した前記状態情報に基づいて、前記対象物に実行された前記1以上の工程を特定する、
請求項1~4の何れかに記載の情報収集システム。
【請求項6】
前記産業機器通信部は、複数の前記産業機器の各々と通信し、
前記情報収集システムは、一部の前記産業機器を制御する機器制御部を更に有し、
前記特定部は、前記一部の産業機器については、前記機器制御部による制御内容に基づいて、前記対象物に実行された前記1以上の工程を特定し、他の前記産業機器については、前記所定の情報に基づいて、前記対象物に実行された前記1以上の工程を特定し、
前記付与部は、前記一部の産業機器及び前記他の産業機器の各々により実行された前記工程に関する前記工程識別情報を、前記収集情報に付与する、
請求項1~5の何れかに記載の情報収集システム。
【請求項7】
前記情報収集システムは、前記1以上の工程に関する前記工程識別情報が付与された前記収集情報を、データベースに格納する格納部、
を更に有する請求項1~6の何れかに記載の産業機器の情報収集システム。
【請求項8】
前記付与部は、前記1以上の産業機器から前記工程ごとに収集した前記収集情報に、当該工程に関する前記工程識別情報を付与する、
請求項1~7の何れかに記載の産業機器の情報収集システム。
【請求項9】
前記対象物に実行可能な前記工程の経路は、複数の経路が存在し、
前記1以上の産業機器は、前記対象物に前記複数の経路のうちの何れかの経路の前記工程を実行し、
前記1以上の工程に関する前記工程識別情報は、前記経路を識別可能な情報である、
請求項1~8の何れかに記載の情報収集システム。
【請求項10】
単一の前記産業機器において、複数の前記工程が実行され、
前記特定部は、前記単一の産業機器が実行可能な前記複数の工程のうちの何れの工程が実行されたかを特定する、
請求項1~9の何れかに記載の情報収集システム。
【請求項11】
対象物に所定の工程を実行する1以上の産業機器と通信し、
前記1以上の産業機器から受信した所定の情報に基づいて、前記対象物に実行された1以上の前記工程を特定し、
前記1以上の工程に関する工程識別情報を、前記1以上の産業機器から収集した、前記対象物に関する収集情報に付与
一の前記対象物と、他の前記対象物と、の各々には、同じ前記工程が実行され、
前記一の対象物の前記収集情報に付与される前記同じ工程の前記工程識別情報と、前記他の対象物の前記収集情報に付与される前記同じ工程の前記工程識別情報と、を異ならせる、
情報収集方法。
【請求項12】
対象物に所定の工程を実行する1以上の産業機器と通信する産業機器通信部、
前記1以上の産業機器から受信した所定の情報に基づいて、前記対象物に実行された1以上の前記工程を特定する特定部、
前記1以上の工程に関する工程識別情報を、前記1以上の産業機器から収集した、前記対象物に関する収集情報に付与する付与部、
としてコンピュータを機能させ
一の前記対象物と、他の前記対象物と、の各々には、同じ前記工程が実行され、
前記付与部は、前記一の対象物の前記収集情報に付与される前記同じ工程の前記工程識別情報と、前記他の対象物の前記収集情報に付与される前記同じ工程の前記工程識別情報と、を異ならせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報収集システム、情報収集方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対象物に所定の工程をそれぞれ実行する複数の産業機器を制御する場合に、1つの製品が製造されるまでに複数の産業機器により実行された1以上の工程の情報を収集し、当該収集された複数の情報に対し、1つの製品に係る複数の工程にそれぞれ対応する複数の処理IDを付して互いに関連付ける産業機器の情報収集システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6741923号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示が解決しようとする課題は、例えば、1以上の産業機器から受信した情報に基づいて、対象物に対するトレーサビリティを確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る情報収集システムは、対象物に所定の工程を実行する1以上の産業機器と通信する産業機器通信部と、前記1以上の産業機器から受信した所定の情報に基づいて、前記対象物に実行された1以上の前記工程を特定する特定部と、前記1以上の工程に関する工程識別情報を、前記1以上の産業機器から収集した、前記対象物に関する収集情報に付与する付与部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、例えば、1以上の産業機器から受信した情報に基づいて、対象物に対するトレーサビリティを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】情報収集システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】第1実施形態における対象物及び情報の流れの一例を示す図である。
図3】システム側対象物ID及び工程IDが付与された収集情報の一例を示す図である。
図4】第1実施形態の情報収集システムで実現される機能を示す機能ブロック図である。
図5】工程管理データのデータ格納例を示す図である。
図6】対象物データベースのデータ格納例を示す図である。
図7】第1実施形態の情報収集システムで実行される処理の一例を示すフロー図である。
図8】第1実施形態の情報収集システムで実行される処理の一例を示すフロー図である。
図9】第2実施形態における対象物及び情報の流れの一例を示す図である。
図10】第2実施形態の情報収集システムで実行される処理の一例を示すフロー図である。
図11】第2実施形態の情報収集システムで実行される処理の一例を示すフロー図である。
図12】第3実施形態における対象物及び情報の流れの一例を示す図である。
図13】第3実施形態の情報収集システムで実行される処理の一例を示すフロー図である。
図14】第3実施形態の情報収集システムで実行される処理の一例を示すフロー図である。
図15】第4実施形態における対象物及び情報の流れの一例を示す図である。
図16】第4実施形態における機能ブロック図である。
図17】第4実施形態の情報収集システムで実行される処理の一例を示すフロー図である。
図18】第4実施形態の情報収集システムで実行される処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.第1実施形態]
本開示に係る情報収集システムの第1実施形態の一例を説明する。
【0009】
[1-1.情報収集システムの全体構成]
図1は、情報収集システムの全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、情報収集システム1は、制御装置10、産業機器20A~20E、及び収集装置30を含む。各装置は、Ethernet(登録商標)等の一般的なネットワーク、又は、産業用ネットワーク(いわゆるフィールドネットワーク)により、互いに通信可能に接続される。なお、産業機器20A~20Eを互いに区別しないときは、末尾のアルファベットを省略して、単に産業機器20と記載する。図1では、CPU21A~21E、記憶部22A~22E、及び通信部23A~23Eと記載しているが、以降の説明ではこれらを区別しないので、末尾のアルファベットを省略して、単にCPU21、記憶部22、及び通信部23と記載する。
【0010】
制御装置10は、1以上の産業機器20を制御する装置である。ここでの制御とは、産業機器20に工程の開始を指示することだけではなく、工程の開始は原則として指示せずに、産業機器20に対して他の最低限の指示だけを行うことも含む意味である。産業機器20が制御装置10からの何らかの指示に基づいて何らかの動作をすることが、制御に相当すればよい。図1では、制御装置10が5台の産業機器20を制御する場合を示すが、制御装置10は、任意の数の産業機器20を制御可能である。制御装置10は、1台~4台又は6台以上の産業機器20を制御してもよい。情報収集システム1全体をセルと呼ぶ場合、制御装置10は、セルコントローラと呼ばれることがある。制御装置10は、PLC(Programmable Logic Controller)のように他の名称の装置であってもよい。
【0011】
制御装置10は、CPU11、記憶部12、通信部13、及びIoT部14を含む。CPU11は、少なくとも1つのプロセッサを含む。CPU11は、circuitryの一種である。記憶部12は、揮発性メモリと、不揮発性メモリと、の少なくとも一方を含む。通信部13は、有線通信用の通信インタフェースと、無線通信用の通信インタフェースと、の少なくとも一方を含む。IoT部14は、ネットワークを介して、他のコンピュータにデータを送信するハードウェアである。例えば、IoT部14は、CPU、記憶部、及び通信部を含む。IoT部14に含まれるCPU、記憶部、及び通信部の物理的構成は、それぞれであってよい。例えば、CPU11とIoT部14の間で、定期的又は不定期的に変数等の情報の整合性が取られるようにしてもよい。なお、情報収集の機能をCPU11に持たせる場合には、IoT部14は省略してもよい。
【0012】
産業機器20は、人間が行う作業の補助又は代行をする機器、及び、その周辺機器の総称である。産業機器20は、設備と呼ばれることもある。複数の産業機器20の集まりは、ライン又はセルと呼ばれることがある。例えば、産業機器20は、PLC、ロボットコントローラ、産業用ロボット、モータコントローラ、サーボアンプ、モーションコントローラ、数値制御装置、巻線機、電力変換装置、検査装置、又は計測装置である。産業機器20は、CPU21、記憶部22、及び通信部23を含む。CPU21、記憶部22、及び通信部23の物理的構成は、それぞれCPU11、記憶部12、及び通信部13と同様であってよい。
【0013】
収集装置30は、情報を収集する装置である。ここでの収集は、受信又は取得と同じ意味である。例えば、収集装置30は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォンである。収集装置30は、CPU31、記憶部32、通信部33、操作部34、及び表示部35を含む。CPU31、記憶部32、及び通信部33の物理的構成は、それぞれCPU11、記憶部12、及び通信部13と同様であってよい。操作部34は、マウス又はキーボードなどの入力デバイスである。表示部35は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。
【0014】
なお、記憶部12,22,32の各々に記憶されるプログラム及びデータは、ネットワークを介して供給されてもよい。また、各装置のハードウェア構成は、上記の例に限られず、種々のハードウェアを適用可能である。例えば、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を読み取る読取部(例えば、メモリカードスロット)や外部機器と接続するための入出力部(例えば、USB端子)が含まれてもよい。この場合、情報記憶媒体に記憶されたプログラム及びデータが、読取部又は入出力部を介して供給されてもよい。他にも例えば、FPGA又はASICと呼ばれる回路が含まれてもよい。
【0015】
[1-2.情報収集システムの概要]
情報収集システム1では、複数の対象物の各々に対し、複数の工程の各々が所定の順序で実行される。対象物は、作業の対象となる物である。対象物は、ワークとも呼ばれる。対象物は、最終的に生産される製品、中間的な生成物、素材、又は原料の何れであってもよい。対象物は、任意の種類であってよく、例えば、半導体、電化製品、自動車、食品、飲料、医薬品、又は日用品である。工程とは、対象物に対する作業であり、例えば、加工、組み立て、搬送、把持、計測、又は検査である。工程は、産業機器20の動作ということもできる。
【0016】
第1実施形態では、制御装置10は、産業機器20から定期的又は不定期的に情報を取得し、産業機器20に最低限の指示を行う。産業機器20は、制御装置10から特段の指示を受信しなくても、個別に動作して工程を実行する。産業機器20は、工程の個々の動作が定義された工程プログラムを記憶する。産業機器20は、工程の実行条件が満たされたか否かを判定し、実行条件が満たされた場合に、工程プログラムを実行して工程を開始する。
【0017】
実行条件は、任意の条件であってよく、例えば、他の産業機器20から所定の情報を受信すること、自身に接続されたセンサから所定の信号を受信すること、産業機器20に記憶された変数が所定の値になること、又はこれらの組み合わせである。産業機器20に接続されるセンサは、任意の種類であってよく、例えば、ビジョンセンサ、トルクセンサ、モータエンコーダ、物体検出センサ、温度センサ、又は把持センサである。
【0018】
図2は、第1実施形態における対象物及び情報の流れの一例を示す図である。図2の斜線の矢印は、仮想の対象物の流れを示す。仮想の対象物は、制御装置10が内部情報として管理する対象物である。白色の矢印は、現実の対象物の流れ及び産業機器20側の情報の流れを示す。即ち、白色の矢印は、ライン又はセルにおける対象物の物理的な移動と、産業機器20間を接続するネットワーク上の情報の流れを示す。実線の矢印は、制御装置10と産業機器20とを接続するネットワークを介した情報の流れを示す。
【0019】
第1実施形態では、対象物がたどる工程の経路として、工程p1、工程p2、工程p3、工程p5、及び工程p6の順序で実行される経路と、工程p1、工程p2、工程p4、工程p5、及び工程p6の順序で実行される経路と、が存在する。即ち、工程p2の後で工程の分岐が発生する。工程p1は、産業機器20Aにより実行される。工程p2は、産業機器20Bにより実行される。工程p3及び工程p4は、産業機器20Cにより実行される。工程p5は、産業機器20Dにより実行される。工程p6は、産業機器20Eにより実行される。
【0020】
例えば、産業機器20Aは、ある対象物の工程p1を実行すると、その対象物を産業機器20側で一意に識別する機器側対象物IDを生成する。産業機器20Aは、その対象物の機器側対象物ID及び収集情報を制御装置10に送信し、機器側対象物IDを産業機器20Bに送信する。なお、機器側対象物IDは、工程p1の実行前に生成されてもよい。
【0021】
収集情報は、対象物のトレーサビリティを確保するために収集される情報である。例えば、センサにより検出された物理量、工程の開始日時、工程の終了日時、途中の処理が実行された時点の日時、アラームの有無、アラームの種類、対象物の計測結果、対象物が撮影された画像若しくは動画、対象物の測定結果、工程実行時のパラメータ、工程実行時のファームウェア情報、又はこれらの組み合わせである。収集情報に含まれる項目は、全ての産業機器20で共通であってもよいし、産業機器20に応じて定められていてもよい。機器側対象物ID及び収集情報は、工程が完了した場合に送信されるのではなく、工程の実行途中で送信されてもよい。複数の工程の各々の機器側対象物ID及び収集情報が一度にまとめて送信されてもよい。
【0022】
工程p1が完了すると、対象物は、ベルトコンベア等の搬送機器を利用して、産業機器20Bの作業範囲に移動する。以降同様にして、対象物が産業機器20C~20Eの各々の作業範囲に移動して、各工程が実行される。産業機器20B~20Eの各々は、工程p2~p6の各々を実行すると、産業機器20Aと同様にして、機器側対象物ID及び収集情報を制御装置10に送信する。産業機器20Cは、ある対象物に工程p3又は工程p4の何れか一方を実行するので、その対象物に実行した工程を識別する情報も送信する。
【0023】
制御装置10は、ある対象物に工程が実行されるたびに、その対象物の機器側対象物ID及び収集情報を受信する。第1実施形態では、制御装置10は、セル内の大まかな工程の流れを予め把握しているものとする。このため、制御装置10は、産業機器20から機器側対象物ID及び収集情報を受信すれば、どの対象物に対してどの工程が実行されたかを特定できるようになっている。ただし、工程p2の後は分岐が発生するので、制御装置10は、工程p3又は工程p4については、産業機器20Cから受信した情報に基づいて、実行された工程を特定するものとする。
【0024】
制御装置10は、ある対象物の機器側対象物ID及び収集情報を受信すると、その対象物に実行された工程を一意に識別する工程IDを生成する。制御装置10は、ある対象物の工程p6が完了すると、その対象物を制御装置10側で一意に識別するシステム側対象物IDを生成する。個々の対象物のシステム側対象物ID及び工程IDは、その対象物の収集情報に付与される。なお、システム側対象物IDは、工程p6が完了する前に生成されてもよい。
【0025】
図3は、システム側対象物ID及び工程IDが付与された収集情報の一例を示す図である。第1実施形態では、システム側対象物ID、工程ID、及び収集情報の集まりを対象物データD1と記載する。対象物データD1は、対象物ごとに生成される。工程p6まで完了せずに途中でラインアウトした対象物についても、対象物データD1が生成されてもよい。なお、複数の対象物が組み立てられて、最終的に1つの対象物になることがあるので、この場合には、最終的に組み立てられた1つの対象物に対して1つの対象物データD1が生成される。
【0026】
図3の例では、システム側対象物IDは、年月日を示す6桁の数値と、製造番号を示す4桁の数値と、を含む。なお、年月日と製造番号は、任意の桁数であってよく、図3の例に限られない。システム側対象物IDが「2101150001」だったとすると、上6桁の「210115」は2021年1月15日を意味し、下4桁の「0001」はその日に製造された対象物を識別する製造番号を示す。例えば、製造番号は、1日に1回初期化され、対象物に対する全工程が完了するたびに、1つずつインクリメントされる。製造番号の初期値を1とすると、図3に示す対象物は、2021年1月15日に製造された1番目の対象物であることを意味する。
【0027】
図3の例では、工程IDは、固定値である「0x」の後に、8桁の数値を含む。なお、工程IDは、任意の桁数であってよく、図3の例に限られない。ある工程の工程IDにおける8桁の数値のうちの上4桁は、その工程の前工程の工程IDにおける8桁の数値のうちの下4桁である。ある工程の工程IDにおける8桁の数値のうちの下4桁は、その工程の後工程の工程IDにおける8桁の数値のうちの上4桁である。各工程の工程IDは、8桁の数値を含むことによって、その工程の前工程及び後工程の関連付けが可能になる。
【0028】
なお、工程p1は、最初の工程であり前工程が存在しないので、8桁の数値のうちの上4桁は、最初の工程であることを示す固定値「0000」になる。工程p6は、最後の工程であり後工程が存在しないので、8桁の数値のうちの下4桁は、最後の工程であることを示す固定値「FFFF」になる。これらの固定値は、一例であり、任意の値であってよい。
【0029】
制御装置10は、ある対象物への全工程が完了すると、その対象物に対応する対象物データD1を生成し、収集装置30に送信する。制御装置10は、ある日における前対象物への全工程が完了するまで、全工程が完了した対象物ごとに対象物データD1を生成し、収集装置30に送信する。なお、複数の対象物の各々の対象物データD1が蓄積されてから一度にまとめて送信されてもよい。
【0030】
以上のように、情報収集システム1は、制御装置10が産業機器20から機器側対象物ID及び収集情報を受信することによって、制御装置10が産業機器20を直接的に制御しない場合であったとしても、システム側対象物ID及び工程IDが収集情報に付与された対象物データD1を生成し、対象物のトレーサビリティを確保するようにしている。以降、この構成の詳細を説明する。
【0031】
[1-3.情報収集システムで実現される機能]
図4は、第1実施形態の情報収集システム1で実現される機能を示す機能ブロック図である。本実施形態では、制御装置10、産業機器20、及び収集装置30の各々で実現される機能について説明する。
【0032】
[1-3-1.制御装置で実現される機能]
図4に示すように、制御装置10では、データ記憶部100、生成部101、産業機器通信部102、特定部103、及び付与部104が実現される。データ記憶部100は、記憶部12とIoT部14の少なくとも一方を主として実現され、他の各機能は、CPU11とIoT部14の少なくとも一方を主として実現される。
【0033】
[データ記憶部]
データ記憶部100は、収集情報を収集するために必要なデータを記憶する。例えば、データ記憶部100は、対象物データD1と、工程管理データD2と、を記憶する。対象物データD1のデータ格納例は、図3に示した通りである。データ記憶部100は、複数の対象物の各々の対象物データD1を記憶する。
【0034】
図5は、工程管理データD2のデータ格納例を示す図である。図5に示すように、工程管理データD2は、情報収集システム1において実行される工程の基本的な情報に関するデータである。例えば、工程管理データD2には、工程の実行順、工程の名前、及び産業機器20の名前が含まれる。ユーザがエンジニアリングツールを利用して工程の実行順等を指定すると、工程管理データD2が生成されてデータ記憶部100に記録される。工程管理データD2は、制御プログラムの一部として組み込まれていてもよい。
【0035】
個々の工程は、工程の名前ではなく、番号やIDといった他の情報によって識別されてもよい。同様に、個々の産業機器20は、産業機器20の名前ではなく、IDやIPアドレスといった他の情報によって識別されてもよい。工程管理データD2には、個々の対象物に実行される工程及びその順序と、個々の工程の実行主体である産業機器20と、を識別するための情報が含まれるようにすればよい。
【0036】
なお、データ記憶部100が記憶するデータは、上記の例に限られない。例えば、データ記憶部100は、対象物データD1を生成するための中間的なデータとして、産業機器20から受信した機器側対象物ID及び収集情報のデータセットを記憶してもよい。第1実施形態では、個々の対象物に5個の工程が実行されるので、1つの対象物につき5個の収集情報が存在する。機器側対象物IDは、ある対象物に対応する5個の収集情報をグループ化するために利用される。図3の例では、機器側対象物IDが対象物データD1に含まれないものとするが、機器側対象物IDが対象物データD1に含まれてもよい。
【0037】
また例えば、データ記憶部100は、制御装置10が産業機器20に所定の指示をするための制御プログラムを記憶してもよい。第1実施形態では、産業機器20が個別に工程を実行するので、制御プログラムには、工程の開始を指示するためのコードは記述されないが、制御装置10が産業機器20の工程を制御する場合には、制御プログラムには、各工程の実行条件等が定義されるものとする。制御プログラムは、ラダー言語又はロボット言語等の任意の言語により作成可能である。
【0038】
[生成部]
生成部101は、1以上の産業機器20側で生成された機器側対象物IDとは異なるシステム側対象物IDを生成する。機器側対象物IDは、産業機器20側で対象物を独自に管理するための情報である。システム側対象物IDは、制御装置10側で対象物を独自に管理するための情報である。機器側対象物ID及びシステム側対象物IDの各々は、対象物識別情報の一例である。このため、機器側対象物ID及びシステム側対象物IDと記載した箇所は、対象物識別情報と読み替えることができる。生成部101は、対象物の対象物識別情報を生成する。
【0039】
対象物識別情報は、対象物を識別可能な情報である。対象物識別情報は、全期間の中で個々の対象物を一意に識別可能な情報であってもよいし、ある一部の期間の中で個々の対象物を一意に識別可能な情報であってもよい。対象物識別情報は、IDではなく、番号や名前といった他の情報であってもよい。対象物識別情報は、任意の形式であってよく、例えば、数字、文字、又はこれらの組み合わせによって表現される。対象物識別情報は、任意のルールによって生成されるようにすればよく、このルールは、第1実施形態の例に限られない。
【0040】
第1実施形態では、制御装置10側の対象物識別情報と、産業機器20側の対象物識別情報と、が異なる場合を説明するが、これらは同じであってもよい。即ち、制御装置10と産業機器20との間で共通の対象物識別情報が利用されてもよい。この場合、共通の対象物識別情報は、制御装置10又は産業機器20の何れによって生成されてもよいし、他の装置によって生成されてもよい。他にも例えば、産業機器20側では、特に対象物識別情報が利用されなくてもよい。
【0041】
例えば、生成部101は、リアルタイムクロック等を利用して現在の日時を取得し、システム側対象物IDの上6桁の数値(年月日)を取得する。生成部101は、当該取得された上6桁の数値に、初期値の製造番号又はインクリメントされた製造番号である4桁の数値を結合することによって、システム側対象物IDを生成する。生成部101は、ある対象物の全工程が完了すると、その対象物のシステム側対象物IDを生成する。生成部101は、システム側対象物IDを生成するたびに、製造番号をインクリメントする。生成部101は、ある日における前対象物の全工程が完了すると、製造番号を初期値に戻す。
【0042】
なお、システム側対象物IDは、任意のタイミングで生成可能であり、全工程が完了した後のタイミングに限られない。例えば、生成部101は、ある対象物の最初の工程を開始する前に、その対象物のシステム側対象物IDを生成してもよい。また例えば、生成部101は、ある対象物の最初の工程を開始してから最後の工程が完了するまでの間に、システム側対象物IDを生成してもよい。また例えば、生成部101は、複数の対象物の各々のシステム側対象物IDを一度に生成してもよい。
【0043】
[産業機器通信部]
産業機器通信部102は、対象物に所定の工程を実行する1以上の産業機器20と通信する。制御装置10と産業機器20との間の通信は、任意の方式を利用可能である。例えば、同期通信であってもよいし、非同期通信であってもよい。また例えば、定周期通信であってもよいし、非定周期通信であってもよい。産業機器通信部102は、全ての産業機器20と通信するのではなく、一部の産業機器20についてのみ通信してもよい。
【0044】
産業機器通信部102は、産業機器20に対し、任意のデータを送信可能である。例えば、産業機器通信部102は、産業機器20に対し、所定の動作を実行させるための指示を送信する。第1実施形態では、制御装置10が積極的に工程を制御するわけではないので、この指示は、工程を実行させるための指示ではなく、最低限の制御のための指示である。この指示は、任意の内容であってよく、例えば、電源のオン/オフ、障害の復旧、パラメータの変更、ファームウェアの更新、又は収集情報の収集条件の設定等である。
【0045】
産業機器通信部102は、産業機器20から、任意のデータを受信可能である。例えば、産業機器通信部102は、産業機器20に送信した指示に対する応答を受信する。第1実施形態では、産業機器20は、自発的に工程を実行して、制御装置10に対し、機器側対象物ID及び収集情報を送信するので、産業機器通信部102は、産業機器20が工程を完了したタイミング又はその前後のタイミングで、機器側対象物ID及び収集情報を受信する。産業機器通信部102は、これらを送信した産業機器20の名前も受信する。
【0046】
例えば、産業機器通信部102は、制御装置10が記憶する変数と、産業機器20が記憶する変数と、の整合性(同期)を取ってもよい。この場合、制御装置10が記憶する変数の値が、産業機器20が記憶する変数の値に変更されてもよいし、これとは逆に、産業機器20が記憶する変数の値が、制御装置10が記憶する変数の値に変更されてもよい。なお、産業機器20が主体となって変数の整合性が取られてもよい。
【0047】
[特定部]
特定部103は、1以上の産業機器20から受信した所定の情報に基づいて、対象物に実行された1以上の工程を特定する。所定の情報は、対象物に実行された1以上の工程を特定可能な情報であればよい。第1実施形態では、産業機器20の名前と機器側対象物IDとのペアが所定の情報に相当する場合を説明する。所定の情報は、第1実施形態の例に限られず、任意の情報であってよい。例えば、産業機器20の名前だけが所定の情報に相当してもよいし、機器側対象物IDだけが所定の情報に相当してもよい。
【0048】
第1実施形態では、産業機器20により機器側対象物IDが生成されるので、所定の情報は、1以上の産業機器20側で生成された、対象物の機器側対象物IDを含む。特定部103は、1以上の産業機器20から受信した機器側対象物IDに対応する対象物に実行された1以上の工程を特定する。特定部103は、産業機器20から受信した機器側対象物IDを参照し、どの対象物に対して工程が実行されたかを特定する。特定部103は、ある工程を実行した産業機器20から受信した機器側対象物IDと、他の工程を実行した産業機器20から受信した機器側対象物IDと、が同じであれば、これらの工程が同じ対象物に対して実行されたと判定する。
【0049】
第1実施形態では、単一の産業機器20Cにおいて、複数の工程p3,p4が実行されるので、特定部103は、単一の産業機器20Cが実行可能な複数の工程のうちの何れの工程が実行されたかを特定する。産業機器20Cは、対象物に工程p3又は工程p4の何れか一方を実行するので、所定の情報は、その対象物に実行された工程の名前を含む。特定部103は、産業機器20Cから受信した工程の名前を参照し、産業機器20Cが工程p3又は工程p4の何れを実行したかを特定する。
【0050】
第1実施形態では、各工程を実行する産業機器20が工程管理データD2に定義されているので、特定部103は、ある産業機器20から、ある対象物の機器側対象物ID及び収集情報を受信した場合に、その産業機器20の名前と、工程管理データD2と、に基づいて、その対象物に実行された工程を特定する。産業機器20の名前は、機器側対象物ID及び収集情報とともに制御装置10に送信されるものとする。
【0051】
特定部103は、工程管理データD2において、受信した産業機器20の名前に関連付けられている工程の名前を特定することによって、対象物に実行された工程を特定する。第1実施形態では、工程p1,2,5,6については、産業機器20の名前によって特定され、工程p3,4については、産業機器20Cから受信した工程の名前と、によって特定される。
【0052】
[付与部]
付与部104は、1以上の工程に関する工程IDを、1以上の産業機器20から収集した、対象物に関する収集情報に付与する。ここでの付与とは、工程IDと収集情報とを関連付けること、又は、工程IDと収集情報とを互いに検索可能にすることである。工程IDと収集情報の紐付けを行うことは、工程IDを収集情報に付与することに相当する。第1実施形態では、図3に示すように、1つの対象データDの中に工程ID及び収集情報をまとめることが、工程IDを収集情報に付与することに相当する。
【0053】
工程IDは、工程識別情報の一例である。このため、工程IDと記載した箇所は、工程識別情報と読み替えることができる。工程識別情報は、対象物に実行された工程を識別可能な情報であればよい。例えば、ある期間の中で同じ工程が繰り返し実行される場合、工程識別情報は、その期間の中で何回目に実行された工程であるかを識別可能であってもよいし、このような回数までは識別できなくてもよい。工程識別情報は、IDではなく、工程の番号や名前といった他の情報であってよい。工程識別情報は、任意の形式であってよく、例えば、数字、文字、又はこれらの組み合わせによって表現される。
【0054】
例えば、付与部104は、ある1日における最初の対象物の工程p1が実行された場合に、工程IDの「0x」以降の8桁の番号のうち、上4桁に固定値「0000」を設定し、初期値「0001」を下4桁に設定し、工程ID「0x00000001」を生成する。付与部104は、この工程IDを、その対象物の工程p1の収集情報に付与する。
【0055】
付与部104は、ある1日における最初の対象物の工程p2が実行された場合に、工程IDの「0x」以降の8桁の番号のうち、前工程である工程p1の工程IDの下4桁である「0001」を上4桁に設定し、この数値をインクリメントした「0002」を下4桁に設定し、工程ID「0x00010002」を生成する。付与部104は、この工程IDを、その対象物の工程p1の収集情報に付与する。
【0056】
以降同様にして、付与部104は、ある1日における最初の対象物の工程p3~p6の各々の工程ID(工程p3,p4については何れか一方のみ)を生成し、これらの工程p3~p6の各々の収集情報(工程p3,p4については何れか一方のみ)に付与する。先述したように、工程p6の工程IDの下4桁は、最後の工程であることを意味する固定値「FFFF」になる。付与部104は、ある1日における2個目の対象物の工程p1~工程p6が実行された場合も同様にして、4桁の数値をインクリメントしながら工程IDを生成し、工程p1~工程p6の各々の収集情報に付与する。
【0057】
なお、工程IDの生成方法自体は、先行技術文献で説明した特許第6741923号に記載の手法と同様であってもよい。例えば、同文献に記載されたプロセスIDと同様にして、本開示における工程IDが生成されてもよい。同様に、同文献に記載された製品IDと同様にして、本開示におけるシステム側対象物IDが生成されてもよい。工程ID及びシステム側対象物IDの各々の生成方法自体は、任意のID生成ルールに従えばよく、本実施形態で例示した手法及び同文献の手法に限られない。例えば、個々の工程が実行されるたびに連番になるように工程IDが生成されてもよいし、年月日に関係なく連番になるようにシステム側対象物IDが生成されてもよい。
【0058】
第1実施形態では、付与部104は、生成部101により生成されたシステム側対象物IDを、収集情報に更に付与する。このため、付与部104は、システム側対象物ID及び工程IDを、収集情報に付与する。図3に示すように、対象物データD1の中で工程IDと収集情報は1対1で対応するが、複数の収集情報に対して1つのシステム側対象物IDがあればよいので、システム側対象物IDと収集情報は1対多で対応する。
【0059】
第1実施形態では、工程ごとに収集情報が収集されるので、付与部104は、1以上の産業機器20から工程ごとに収集した収集情報に、当該工程に関する工程IDを付与する。付与部104は、工程IDと収集情報とが1対1で対応するように、収集情報に工程IDを付与する。1つの工程に対して複数の収集情報が存在する場合には、第1実施形態のように、工程IDと収集情報を1対1で対応付けるのではなく、工程IDと収集情報を1対多で対応付けてもよい。
【0060】
第1実施形態では、対象物に実行可能な工程の経路は、複数の経路が存在し、1以上の産業機器20は、対象物に複数の経路のうちの何れかの経路の工程を実行し、1以上の工程に関する工程IDは、経路を識別可能な情報である。図2及び図3に示すように、工程p2の後に工程p3が実行される経路と、工程p2の後に工程p4が実行される経路と、の2つの経路が存在するが、工程IDによって、何れの経路であるかを特定可能になる。
【0061】
第1実施形態では、複数の対象物の各々に図2及び図3で示した各工程が順番に実行されるので、一の対象物と、他の対象物と、の各々には、同じ工程が実行される。付与部104は、一の対象物の収集情報に付与される同じ工程の工程IDと、他の対象物の収集情報に付与される同じ工程の工程IDと、を異ならせる。例えば、ある1日の中で製造番号がインクリメントされるので、ある対象物に実行された最初の工程p1の工程IDと、その次の対象物に実行された最初の工程p1の工程IDと、は異なる。工程IDを異ならせる方法は、製造番号のインクリメントに限られず、任意の方法であってよい。例えば、工程IDの一部の数値を減少させてもよいし、数値の増減量が2以上であってもよい。
【0062】
[1-3-2.産業機器で実現される機能]
産業機器20A~20Eの各々は、機能としては同様なので、これらをまとめて産業機器20として説明する。図4に示すように、産業機器20では、データ記憶部200と、工程実行部201と、が実現される。データ記憶部200は、記憶部22を主として実現され、工程実行部201は、CPU21を主として実現される。
【0063】
[データ記憶部]
データ記憶部200は、工程を実行するために必要なデータを記憶する。例えば、データ記憶部200は、個々の工程における動作が定義された工程プログラムと、工程プログラムによって参照及び変更の少なくとも一方が行われる変数と、を記憶する。工程プログラムには、各工程の実行条件と、個々の工程の詳細な動作と、が定義されているものとする。工程プログラムは、ラダー言語又はロボット言語等の任意の言語により作成可能である。また例えば、データ記憶部200は、産業機器20の名前を記憶する。また例えば、データ記憶部200は、機器側対象物ID及び収集情報を記憶する。機器側対象物ID及び収集情報は、制御装置10に送信された後に消去されてもよい。
【0064】
[工程実行部]
工程実行部201は、工程プログラムに基づいて、工程を実行する。工程実行部201は、工程プログラムを実行し、工程の実行条件が満たされたか否かを判定する。実行条件は、任意の条件であってよく、例えば、所定の変数が所定の値になること、センサから所定の信号を受信すること、対象物が所定の位置に移動すること、所定の時刻が訪れること、他の産業機器20から所定の情報を受信すること、又は制御装置10から所定の指示を受信することである。工程実行部201は、工程の実行条件が満たされた場合に、その工程を実行する。
【0065】
第1実施形態では、工程実行部201は、工程を実行すると、制御装置10に対し、機器側対象物ID及び収集情報を送信する。なお、産業機器20から制御装置10に何らかの情報が送信される場合には、産業機器20の名前も送信されるものとする。例えば、産業機器20Aの工程実行部201は、所定のID発行ルールに基づいて、機器側対象物IDを生成する。ID発行ルールは、任意のルールであればよく、他の対象物と機器側対象物IDが重複しないようなルールであればよい。産業機器20B~20Eの各々の工程実行部201は、上記生成された機器側対象物IDを受信すればよい。
【0066】
工程実行部201は、ある対象物の工程の実行結果に基づいて、その対象物の収集情報を生成する。収集情報には、任意の内容が含まれてよく、例えば、工程の実行を開始した日時、工程の実行を完了した日時、工程が正常に完了したか否かを示すコード、収集情報が生成された日時、工程の実行時に使用したパラメータ、センサを利用して検出された物理量、又はこれらの組み合わせが含まれる。工程実行部201は、工程プログラムの実行結果、リアルタイムクロック等を利用して取得した日時、センサからの信号、又はこれらの組み合わせに基づいて、収集情報を生成する。
【0067】
[1-3-3.収集装置で実現される機能]
図4に示すように、収集装置30は、データ記憶部300と、格納部301と、を含む。データ記憶部300は、記憶部32を主として実現され、格納部301は、CPU31を主として実現される。データ記憶部300は、複数の対象物の各々の対象物データD1が格納された対象物データベースDBを記憶する。
【0068】
図6は、対象物データベースDBのデータ格納例を示す図である。図6に示すように、対象物データベースDBには、収集装置30が制御装置10から受信した複数の対象物データD1の各々が格納される。格納部301は、1以上の工程に関する工程IDが付与された収集情報を、対象物データベースDBに格納する。格納部301は、制御装置10から対象物データD1を受信するたびに、対象物データベースDBに格納する。対象物データベースDBに格納された対象物データD1は、対象物の出荷後等の任意のタイミングで取得される。例えば、対象物に不具合が発生した場合の原因の解析等に対象物データD1が利用される。
【0069】
[1-4.情報収集システムで実行される処理]
図7及び図8は、第1実施形態の情報収集システム1で実行される処理の一例を示すフロー図である。CPU11,21,31及びIoT部14の各々が、記憶部12,22,32の各々又はIoT部14に記憶されたプログラムを実行することによって、図7及び図8に示す処理が実行される。図7及び図8に示す処理は、図4に示す機能ブロックにより実行される処理の一例である。図7及び図8に示す処理は、ある1日における最初の対象物の工程p1が開始される場合に実行される。
【0070】
図7に示すように、制御装置10は、現在の年月日を取得して(S100)、製造番号を初期化する(S101)。S100において取得された年月日は、システム側対象物IDの上6桁として使用される。S101において初期化された製造番号は、インクリメントされながらシステム側対象物IDの下4桁として使用される。年月日と製造番号は、記憶部12に記憶される。
【0071】
産業機器20Aは、工程p1の実行対象となる対象物の機器側対象物IDを生成し(S102)、工程p1の工程プログラムに基づいて、その対象物に工程p1を実行する(S103)。産業機器20Aは、制御装置10に対し、機器側対象物ID及び収集情報を送信し(S104)、産業機器20Bに対し、機器側対象物IDを送信する(S105)。S104及びS105においては、産業機器20Aの名前等のように、産業機器20Aから送信された情報であることを何らか識別可能な情報も送信される。
【0072】
産業機器20Aは、所定の終了条件が満たされたか否かを判定する(S106)。終了条件は、本処理を終了させるための任意の条件であり、任意の条件であってよい。例えば、ある1日における全対象物の全工程が終了することは終了条件に相当する。また例えば、ある1日における所定の時刻が到来することは終了条件に相当する。終了条件が満たされたと判定されない場合(S106;N)、S102の処理に戻り、次の対象物の機器側対象物IDが生成されて、その対象物に対する工程p1が実行される。以降、次の対象物に対してS102~S105の処理が実行される。なお、次の対象物の工程p1は、工程を実行中の対象物の全工程が完了した後に開始されてもよい。
【0073】
制御装置10は、産業機器20Aから機器側対象物ID及び収集情報を受信すると、工程管理データD2に基づいて、対象物に実行された工程が工程p1であることを特定し(S107)、工程p1の工程IDを生成して工程p1の収集情報に付与する(S108)。工程p1の工程IDと収集情報は、互いに関連付けられて記憶部12に記憶される。
【0074】
続くS109~S128の処理は、制御装置10と産業機器20B~20Eとの間で、概ねS103~S108の処理と同様の処理が実行される。ただし、産業機器20Cは、工程p3又は工程p4の何れかを実行するので、S114において、工程p3又は工程p4の実行対象となる対象物の機器側対象物IDを産業機器20Bから受信すると、工程p3又は工程p4の何れを実行するかを決定する(S114)。S114においては、産業機器20Cは、工程p3の実行条件が満たされたか、工程p4の実行条件が満たされたか、を判定する。産業機器20Cは、工程p3及び工程p4のうち、実行条件が満たされた方の工程を実行すると決定する。例えば、工程p3と工程p4は交互に実行されてもよいし、ライン又はセル内の対象物の配置に応じて最適な方が選択されて実行されてもよい。
【0075】
S128までの処理が実行されると、制御装置10は、S100で取得した年月日と、S101で初期化された製造番号又は任意のタイミングでインクリメントされた製造番号と、を結合することによってシステム側対象物IDを生成して、全工程が完了した対象物の収集情報に付与する(S129)。S129においては、制御装置10は、5個の工程IDが付与された5個の収集情報にシステム側対象物IDを付与して、対象物データD1を生成する。制御装置10は、その後の任意のタイミングでシステム側対象物IDに含まれる製造番号をインクリメントする。
【0076】
制御装置10は、収集装置30に対し、対象物データD1を送信する(S130)。収集装置30は、対象物データD1を受信すると、対象物データベースDBに格納する(S131)。なお、S106において、終了条件が満たされたと判定された場合(S106;Y)、最後の対象物に対してS107~S131が実行された後に、本処理は終了する。ある1日における全ての対象物の全ての工程が完了するまで、S102~S131の処理が繰り返されることになる。
【0077】
第1実施形態の情報収集システム1によれば、1以上の産業機器20から受信した所定の情報に基づいて、対象物に実行された1以上の工程を特定し、当該特定された1以上の工程に関する工程IDを、1以上の産業機器20から収集した対象物に関する収集情報に付与することによって、1以上の産業機器20から受信した情報に基づいて、対象物に対するトレーサビリティを確保できる。例えば、制御装置10と1以上の産業機器20とが通信可能に接続されている場合に、制御装置10が1以上の産業機器20に具体的な制御指示を与えずに、1以上の産業機器20が個別に工程を実行することがある。このような場合であったとしても、制御装置10側(情報収集システム1側)で、1以上の産業機器20から受信した所定の情報に基づいて、対象物に実際に実行された1以上の工程を特定することによって、収集情報のトレーサビリティを確保できる。即ち、制御装置10が主体となって1以上の産業機器20の工程を制御しない場合であったとしても、どの対象物に対するどの工程の収集情報なのかを特定できる。
【0078】
また、情報収集システム1は、情報収集システム1側で何らかの対象物IDを生成して1以上の産業機器20に送信しなくても、産業機器20側で発行された機器側対象物IDに基づいて、どの対象物に対してどの工程が実行されたかを特定できる。情報収集システム1は、1以上の産業機器20から機器側対象物IDを受信すれば済むので、情報収集システム1と1以上の産業機器20との間におけるやり取りの回数を減らすことができる。その結果、情報収集システム1側の処理負荷を軽減し、かつ、情報収集システム1と1以上の産業機器20との間の通信量を削減できる。また、情報収集システム1側が主体となって1以上の産業機器20を制御しない場合であったとしても、工程が実行された対象物を確実に特定できる。
【0079】
また、情報収集システム1は、情報収集システム1側で生成されたシステム側対象物IDを、収集情報に更に付与することによって、トレーサビリティを高めることができる。例えば、1以上の産業機器20側で生成された機器側対象物IDをそのまま利用しようとすると、対象物の組み立てなどが行われた場合に、1つの製品に対して膨大な数の機器側対象物IDが含まれる可能性がある。この点、情報収集システム1側で生成したシステム側対象物IDを収集情報に付与することによって、収集情報の管理を容易化できる。例えば、対象物が最終的な製品になった場合に、1つのシステム側対象物IDを付与することによって、1つのシステム側対象物IDによって収集情報を管理できる。
【0080】
また、情報収集システム1は、1以上の工程に関する工程IDが付与された収集情報を対象物データベースDBに格納することによって、全ての工程が実行された対象物が出荷された後などの任意のタイミングで収集情報を参照できるようになり、収集情報のトレーサビリティを高めることができる。
【0081】
また、情報収集システム1は、工程ごとに収集した収集情報に、当該工程に関する工程IDを付与することによって、個々の工程の収集情報と工程IDを1対1で対応づけることができ、収集情報のトレーサビリティを高めることができる。
【0082】
また、情報収集システム1は、対象物に実行可能な工程の経路として複数の経路が存在する場合に、対象物が実際にたどった経路を特定できるので、トレーサビリティを高めることができる。
【0083】
また、情報収集システム1は、ある産業機器20が複数の工程を実行可能な場合に、対象物にどの工程が実行されたかを特定できるので、トレーサビリティを高めることができる。
【0084】
また、情報収集システム1は、位置の対象物と、他の対象物と、の各々に同じ工程が実行されたとしても、収集情報には異なる工程IDが付与されるので、いつ実行された工程なのかを区別できる。例えば、ある日の3回目に実行された工程p1と、その日の10回目に実行された同じ工程p1と、の各々の工程IDを異ならせることによって、その日の3回目の工程p1なのか、その日の10回目の工程p1なのか、を区別できるので、トレーサビリティを高めることができる。
【0085】
また、情報収集システム1は、情報収集システム1側で生成されたシステム側対象物IDを更に付与することによって、トレーサビリティの確実性を高めることができる。
【0086】
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態では、産業機器20が主体となって工程を実行する点については、第1実施形態と同様であるが、対象物に実行された工程の特定方法が第1実施形態とは異なる。第2実施形態では、産業機器20が制御装置10に機器側対象物IDを送信しなくても、対象物に実行された工程を制御装置10が特定できるようになっている。なお、第2実施形態では、機器側対象物IDが生成されなくてもよいので、システム側対象物IDを、単に対象物IDと記載する。第1実施形態と同様のその他の構成については、説明を省略する。
【0087】
図9は、第2実施形態における対象物及び情報の流れの一例を示す図である。図9の例では、産業機器20間で情報の送受信が行われなくてもよいので、白色の矢印は、現実の対象物の流れのみを示している。図9に示すように、第2実施形態では、産業機器20は、自身が実行する工程の次に実行される工程である次工程を識別する次工程IDを生成する。
【0088】
なお、制御装置10は、次工程IDの値が示す工程を予め特定可能であるものとする。例えば、次工程IDが1~6であることは、それぞれ次工程が工程p1~p6であること意味するといったように、次工程IDと次工程が何の工程であるかとの関係は、予め制御装置10に記憶されている。他にも例えば、次工程IDは、工程IDの下4桁であってもよい。この場合、産業機器20Aは、次工程IDが「n+1」(nは0以上の整数であり、例えば、対象物ごとにインクリメントされる数値である)となるように、次工程IDを生成する。同様に、産業機器20B~20Dの各々は、次工程IDが「n+1」~「n+3」(nは0以上の整数であり、例えば、ある日における何番目の対象物であるかを示す数値である)となるように、次工程IDを生成する。産業機器20Eは、次工程が存在しないので、次工程IDが固定値「FFFF」(又は、「FFFF」に変換される「9000」などの数値)となるように、次工程IDを生成してもよい。
【0089】
例えば、産業機器20Aは、ある対象物に工程p1を実行した場合に、その対象物の次工程IDとして、工程p2の次工程IDを生成し、収集情報とともに制御装置10に送信する。次工程が工程p2であることは、工程p1の工程プログラムに定義されていてもよいし、他のプログラムに定義されていてもよい。次工程になりうる候補が複数存在する場合には、その候補ごとに、次工程になるための条件が予め定められている。この条件は、センサにより検出された物理量等の情報によって判定可能な条件であり、これらの情報によってみたされると判定された条件に対応する次工程が実行される。次工程の特定方法は、これらの例に限られず、産業機器20Aは、次工程を識別可能な情報を記憶していればよい。この点は、産業機器20B~20Eも同様である。なお、収集情報は、第1実施形態と同様にして取得されるようにすればよい。
【0090】
制御装置10は、産業機器20Aから受信した次工程IDを参照し、工程p1が完了した対象物に、次工程として工程p2が実行されることを特定する。制御装置10は、工程管理データD2によって、産業機器20Bが工程p2を実行することを特定できるので、産業機器20Bから次工程ID及び収集情報を受信するのを待機する。制御装置10は、工程管理データD2によって、産業機器20Aが最初の工程である工程p1を実行することを特定できるので、第1実施形態と同様にして、工程IDを生成し、産業機器20Aから受信した収集情報に付与すればよい。
【0091】
以降、産業機器20Aと同様にして、産業機器20B~20Dの各々は、ある対象物に工程p2~p5の各々を実行した場合に、その対象物の次工程IDとして、工程p3~p6の何れかの次工程IDを生成し、収集情報とともに制御装置10に送信する。制御装置10は、産業機器20Aから次工程ID及び収集情報を受信した場合と同様にして、産業機器20B~20Dの各々から受信した次工程IDに基づいて、次工程を特定する。制御装置10は、当該特定された次工程を実行する産業機器20C~20Dの各々から次工程ID及び収集情報を受信するのを待機する。制御装置10は、次工程を特定できるので、図3のような工程IDを生成可能であり、工程IDを生成して収集情報に付与する。
【0092】
第2実施形態では、産業機器20Bが、対象物に工程p3又は工程p4の何れを実行させるかを決定するものとする。産業機器20Bは、対象物に工程p3を実行すると決定した場合に、工程p3を示す次工程IDを生成し、収集情報とともに制御装置10に送信する。産業機器20Bは、対象物に工程p4を実行すると決定した場合に、工程p4を示す次工程IDを生成し、収集情報とともに制御装置10に送信する。産業機器20Bは、工程p3又は工程p4の何れを実行すべきかを産業機器20Cに通知してもよいし、産業機器20Cがセンサの検出信号から工程p3又は工程p4の何れを実行すべきかを特定してもよい。
【0093】
産業機器20Eは、工程p5が完了した対象物に工程p6を実行すると、次工程は存在しないため、次工程が存在しないことを示す固定値を次工程IDとして生成し、収集情報とともに制御装置10に送信する。制御装置10は、次工程が存在しないことを示す次工程IDを受信した場合、最後の工程であることを特定できるので、図3のような工程p6の工程IDを生成して収集情報に付与する。制御装置10は、第1実施形態と同様にして対象物IDを生成して収集情報に付与し、全工程が完了した対象物の対象物データD1を生成する。対象物データD1の構造自体は、第1実施形態と同様である。対象物データD1が任意のタイミングで収集装置30に送信される点についても、第1実施形態と同様である。
【0094】
第2実施形態では、特定部の処理で利用される「所定の情報」は、1以上の産業機器20側で工程ごとに生成された次工程IDである。次工程IDは、他工程情報の一例である。このため、次工程IDと記載した箇所は、他工程情報と読み替えることができる。
【0095】
他工程情報は、次工程と前工程の少なくとも一方に関する情報である。他工程情報は、次工程だけを示してもよいし、前工程だけを示してもよいし、次工程と前工程の両方を示してもよい。次工程は、順序が1個後の工程である。前工程は、順序が1個前の工程である。他工程情報は、IDではなく、番号や名前等の任意の呼び名の情報であってよい。他工程情報は、任意の形式であってよく、例えば、数字、文字、又はこれらの組み合わせによって表現される。
【0096】
特定部103は、1以上の産業機器20から工程ごとに受信した次工程IDに基づいて、対象物に実行された1以上の工程を特定する。例えば、特定部103は、ある工程を実行した産業機器20から受信した次工程IDに基づいて、その次に実行される次工程を特定したり、その工程が最後の工程であることを特定したりする。また例えば、特定部103は、ある工程を実行した産業機器20から受信した前工程IDに基づいて、その前に実行された前工程を特定したり、その工程が最初の工程であることを特定したりする。
【0097】
付与部104は、第1実施形態と同様にして、特定部103により特定された工程に基づいて、工程IDを生成すればよい。例えば、付与部104は、前工程IDと次工程IDを結合して工程IDとしてもよい。なお、次工程IDは1から連番に採番され、9000は生産完了として用いられ、9001以降はNGの対象物に用いられるといったようにしてもよい。
【0098】
他工程情報が前工程を識別可能な前工程IDである場合も、次工程IDと同様にして、特定部103は前工程が特定し、付与部104は工程IDを生成して収集情報に付与すればよい。例えば、工程p1は、前工程が存在しないので、前工程IDは固定値になる。特定部103は、産業機器20Aから固定値の前工程IDを受信すると、前工程が存在せず、工程p1が最初の工程であることを特定する。付与部104は、工程p1が最初の工程であることを特定すると、その旨を示す「0000」が8桁の数値のうちの上4桁になるように工程IDを生成し、収集情報に付与する。
【0099】
工程p2の前工程は工程p1なので、特定部103は、産業機器20Bから、前工程が工程p1であることを示す前工程IDを受信すると、工程p2の前工程が工程p1であることを特定する。付与部104は、工程p1が前工程であることを特定すると、工程p1に対応する工程IDの下4桁を、工程p2に対応する工程IDの8桁の数値のうちの上4桁とする。付与部104は、この4桁の数値をインクリメントした数値を下4桁として、工程p2に対応する工程IDを生成し、収集情報に付与すればよい。
【0100】
以降同様に、特定部103は、産業機器20C~20Eの各々から、前工程が工程p2~p5の各々であることを示す前工程IDを受信すると、前工程を特定する。付与部104は、前工程に対応する工程IDの下4桁を、工程IDの生成対象となる工程に対応する工程IDの8桁の数値のうちの上4桁とする。付与部104は、この4桁の数値をインクリメントした数値を下4桁として、工程IDの生成対象となる工程に対応する工程IDを生成し、収集情報に付与すればよい。なお、特定部103は、工程管理データD2によって、工程p6が最後の工程であることを特定できるので、付与部104は、工程p6に対応する工程IDの下4桁を、固定値「FFFF」にすればよい。他工程情報は、前工程ID及び次工程IDの両方を含んでもよい。
【0101】
図10及び図11は、第2実施形態の情報収集システム1で実行される処理の一例を示すフロー図である。S200~S202の処理は、S100~S101,S103の処理と同様である。産業機器20Aは、次工程が工程p2であることを示す次工程IDを生成し、制御装置10に対し、次工程ID及び収集情報を送信する(S203)。続くS204の処理は、S106の処理と同様である。
【0102】
制御装置10は、次工程ID及び収集情報を受信すると、実行された工程が工程p1であり、かつ、次工程が工程p2であることを特定する(S205)。続くS206の処理の処理は、S108の処理と同様であるが、制御装置10が、次工程IDが示す工程p2を実行する産業機器20Bから次工程ID及び収集情報を受信することを待機する点で第1実施形態とは異なる。制御装置10は、産業機器20Bから次工程ID及び収集情報を受信した場合、S205で特定した工程p2が実行されたと判定する。即ち、制御装置10は、産業機器20Aが工程p1を実行した対象物と同じ対象物に、次工程である工程p2が実行されたと判定する。
【0103】
続くS207~S223の処理は、制御装置10と産業機器20B~20Eとの間で、概ねS202,S203,S205,S206の処理と同様の処理が実行される。産業機器20B~20Eの各々は、自身が実行すべき工程を実行すると、次工程IDを生成し、制御装置10に対し、次工程ID及び収集情報を送信する。制御装置10は、実行された工程と次工程を特定すると、工程IDを生成して収集情報に付与すればよい。ただし、第2実施形態では、産業機器20Bが次工程IDを生成するために、工程p3又はp4の何れを実行するかを決定する必要があるので、S208において、産業機器20Bは、工程p3又は工程p4のうち、実行する工程を決定する。S208の処理は、実行主体が異なるだけであり、その内容はS114の処理と同様である。S224~S226の処理は、それぞれS129~S131の処理と同様である。
【0104】
第2実施形態の情報収集システム1によれば、1以上の産業機器20側で工程ごとに生成された、次工程と前工程の少なくとも一方に関する他工程情報を受信することによって、どの対象物に対してどの工程が実行されたかを特定できる。情報収集システム1は、1以上の産業機器20から他工程情報を受信すれば済むので、情報収集システム1と1以上の産業機器20との間におけるやり取りの回数を減らすことができる。その結果、情報収集システム1側の処理負荷を軽減し、かつ、情報収集システム1と1以上の産業機器20との間の通信量を削減できる。また、情報収集システム1側が主体となって1以上の産業機器20を制御しない場合であったとしても、工程が実行された対象物を確実に特定できる。
【0105】
[3.第3実施形態]
次に、第3実施形態を説明する。第3実施形態では、産業機器20が主体となって工程を実行する点については、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるが、対象物に実行された工程の特定方法が第1実施形態及び第2実施形態とは異なる。第2実施形態では、産業機器20が次工程IDを生成したが、第3実施形態では、制御装置10が次工程IDを生成する。第1実施形態及び第2実施形態と同様のその他の構成については、説明を省略する。
【0106】
図12は、第3実施形態における対象物及び情報の流れの一例を示す図である。図12に示すように、第3実施形態では、産業機器20Aは、ある対象物に工程p1を実行した場合に、対象物の状態情報を生成し、状態情報及び収集情報を制御装置10に送信する。収集情報は、第1実施形態と同様にして取得されるようにすればよい。
【0107】
状態情報は、制御装置10側で次工程を推測可能な情報であればよく、例えば、第2実施形態において次工程IDを生成した場合の条件を判定するために必要な情報である。この場合、制御装置10は、第2実施形態において産業機器20が次工程を判定した方法と同様にして、状態情報が満たす条件に対応する工程を、次工程として決定すればよい。状態情報は、任意の情報であってよく、例えば、対象物に工程が実行された日時、センサにより検出された物理量、又は変数の値である。例えば、制御装置10が個々の工程が実行される時間間隔を予め把握している場合には、状態情報は、対象物に工程が実行された日時を含む。制御装置10は、状態情報に含まれる日時の間隔から、対象物に実行された工程を特定すればよい。収集情報が状態情報に相当してもよい。この場合、産業機器20Aは、収集情報だけを制御装置10に送信すればよい。
【0108】
制御装置10は、産業機器20Aから状態情報及び収集情報を受信すると、工程管理データD2により、最初の工程p1が産業機器20Aにより実行されることを特定できるので、産業機器20Aから収集情報を受信したことによって、新たな対象物に工程p1が実行されたことを特定できる。制御装置10は、第1実施形態と同様にして工程IDを生成し、受信した収集情報に付与する。
【0109】
制御装置10は、産業機器20Aから受信した状態情報に基づいて、工程p1の次に実行される工程を決定し、その工程を識別する次工程IDを生成する。例えば、制御装置10は、工程管理データD2を参照し、工程p1の次に工程p2が実行されることを特定する。産業機器20Aから収集情報を受信したことによって、次に工程p2が実行されることを特定できる。制御装置10は、工程p2を実行する産業機器20Bから収集情報を受信するのを待機する。
【0110】
以降、産業機器20Aと同様にして、産業機器20B~20Eの各々は、ある対象物に工程p2~p6の各々を実行した場合に、制御装置10に対し、その対象物の状態情報及び収集情報を送信する。制御装置10は、産業機器20Aから状態情報及び収集情報を受信した場合と同様にして、産業機器20B~20Eの各々から受信した状態情報に基づいて、次工程を特定する。制御装置10は、当該特定された次工程を実行する産業機器20C~20Eの各々から収集情報及び収集情報を受信するのを待機する。
【0111】
なお、工程p2の後に工程p3又は工程p4の何れが実行されるかについても、状態情報によって特定できることがある。制御装置10は、これまでに受信した収集情報や他の情報を参照し、工程p3又は工程p4の何れが実行されるかを特定する。制御装置10は、特定した工程p3又は工程p4の何れかを実行する産業機器20Cから収集情報を受信するのを待機すればよい。
【0112】
制御装置10は、産業機器20Eから状態情報及び収集情報を受信した場合に、工程p6が最後の工程であることを特定する。制御装置10は、工程p6が最後の工程であることを特定すると、対象物IDを生成して収集情報に付与し、全工程が完了した対象物の対象物データD1を生成する。対象物データD1の構造自体は、第1実施形態と同様である。対象物データD1が任意のタイミングで収集装置30に送信される点についても、第1実施形態と同様である。
【0113】
第3実施形態では、特定部の処理で利用される「所定の情報」は、1以上の産業機器20により工程ごとに送信される、対象物の状態に関する状態情報である。特定部103は、1以上の産業機器20から工程ごとに受信した状態情報に基づいて、対象物に実行された1以上の工程を特定する。例えば、特定部103は、状態情報に基づいて所定の条件を満たすか否かを判定し、満たすと判定された条件に対応する工程を次工程として特定する。この条件は、産業機器20が実行可能な工程ごとに用意されているものとする。特定部103は、状態情報が満たす条件に対応する工程を次工程として特定すればよい。なお、特定部103は、次工程ではなく、前工程を特定してもよい。この場合、状態情報は、前工程に関する条件を判定するための情報であればよい。特定部103は、次工程と前工程の両方を特定してもよい。
【0114】
図13及び図14は、第3実施形態の情報収集システム1で実行される処理の一例を示すフロー図である。S300~S302の処理は、S100~S101,S103の処理と同様である。産業機器20Aは、状態情報を生成し、制御装置10に対し、状態情報及び収集情報を送信する(S303)。続くS304の処理は、S106の処理と同様である。制御装置10は、状態情報及び収集情報を受信すると、実行された工程が工程p1であり、かつ、次工程が工程p2であることを特定する(S305)。S305の処理は、S205の処理と似ているが、S203における次工程の判定が、状態情報に基づいて制御装置10側で実行される点で異なる。続くS306の処理は、S108の処理と同様である。
【0115】
続くS307~S323の処理は、制御装置10と産業機器20B~20Eとの間で、概ねS302,S303,S305,S306の処理と同様の処理が実行される。産業機器20B~20Eの各々は、自身が実行すべき工程を実行すると、状態情報を生成し、制御装置10に対し、状態情報及び収集情報を送信する。なお、S311の処理は、S114と同様であってよい。S324~S326の処理は、それぞれS129~S131の処理と同様である。
【0116】
第3実施形態の情報収集システム1によれば、1以上の産業機器20から工程ごとに受信した状態情報に基づいて、対象物に実行された1以上の工程を特定することによって、どの対象物に対してどの工程が実行されたかを特定できる。情報収集システム1は、1以上の産業機器20から状態情報を受信すれば済むので、情報収集システム1と1以上の産業機器20との間におけるやり取りの回数を減らすことができる。その結果、情報収集システム1側の処理負荷を軽減し、かつ、情報収集システムと1以上の産業機器20との間の通信量を削減できる。また、情報収集システム1側が主体となって1以上の産業機器20を制御しない場合であったとしても、工程が実行された対象物を確実に特定できる。
【0117】
[4.第4実施形態]
次に、第4実施形態を説明する。第4実施形態では、制御装置10が一部の産業機器20の工程を制御する点で第1実施形態~第3実施形態とは異なる。第4実施形態では、制御装置10が産業機器20A及び産業機器20Bの工程を制御し、産業機器20C~20Eの各々は、第1実施形態~第3実施形態と同様に、産業機器20が主体となって工程を実行する。なお、制御装置10は、全ての産業機器20の工程を制御してもよい。第1実施形態~第3実施形態と同様のその他の構成については、説明を省略する。
【0118】
図15は、第4実施形態における対象物及び情報の流れの一例を示す図である。図15に示すように、第4実施形態では、制御装置10は、ある対象物の工程p1を開始させるための条件が満たされたか否かを判定し、その条件が満たされた場合に、産業機器20Aに対し、工程p1の開始を指示する。産業機器20Aは、指示を受信すると、工程p1を開始する。産業機器20Aは、工程p1を完了した場合に、収集情報を制御装置10に送信する。制御装置10は、産業機器20Aから収集情報を受信すると、第1実施形態と同様にして工程IDを生成し、受信した収集情報に付与する。
【0119】
制御装置10は、次の工程p2も工程p1と同様にして、産業機器20Bに工程p2の実行を指示し、産業機器20Bから受信した収集情報に、工程IDを付与する。工程p1及び工程p2は、制御装置10が主体となっているので、制御装置10は、産業機器20A及び産業装置20Bの各々から収集情報を受信すれば、どの対象物に対してどの工程が実行されたかを特定できる。
【0120】
工程p2の次の工程以降は、産業機器20側が主体となって実行されるので、第1実施形態~第3実施形態の何れかの方法が利用されるようにすればよい。図15では、第3実施形態で説明した方法を例に挙げている。制御装置10は、産業機器20Eから状態情報及び収集情報を受信した場合に、対象物IDを生成し、全工程が完了した対象物の対象物データD1を生成する。以降、第1実施形態~第3実施形態と同様にして、対象物データD1が収集装置30に送信される。
【0121】
図16は、第4実施形態における機能ブロック図である。図16に示すように、第4実施形態では、制御装置10において機器制御部105が実現される。機器制御部105は、CPU11を主として実現される。なお、第4実施形態の産業機器通信部102は、複数の産業機器20の各々と通信する。
【0122】
機器制御部105は、一部の産業機器20を制御する。機器制御部105は、1以上の産業機器20を制御すればよく、機器制御部105が制御する産業機器20の台数は、第4実施形態の例に限られない。なお、機器制御部105は、全ての産業機器20を制御してもよい。例えば、機器制御部105は、制御プログラムを実行し、制御対象の産業機器20に対し、工程の開始指示を送信する。産業機器20は、開始指示を受信すると、工程を開始する。産業機器20は、工程が完了すると、制御装置10に対し、その旨を示す応答を送信する。この応答には、収集情報が含まれるものとする。制御装置10が応答を受信すると、機器制御部105は、次に実行すべき工程を決定する。以降同様にして、機器制御部105は、制御対象の産業機器20を制御する。
【0123】
特定部103は、一部の産業機器20(図3の例では産業機器20A及び産業機器20B)については、機器制御部による制御内容に基づいて、対象物に実行された1以上の工程を特定する。特定部103は、他の産業機器20(図3の例では産業機器20C~20E)については、第1実施形態~第3実施形態の何れかで説明した所定の情報に基づいて、対象物に実行された1以上の工程を特定する。付与部104は、一部の産業機器20及び他の産業機器20の各々により実行された工程に関する工程IDを、収集情報に付与する。
【0124】
図17及び図18は、第4実施形態の情報収集システム1で実行される処理の一例を示すフロー図である。S400~S401の処理は、S100~S101の処理と同様である。制御装置10は、制御プログラムに基づいて、工程p1の実行条件が満たされたか否かを判定し、実行条件が満たされた場合に、産業機器20Aに対し、工程p1の開始指示を送信する(S402)。産業機器20Aは、開始指示を受信すると、工程p1を実行し(S403)、制御装置10に対し、収集情報を送信する(S404)。続くS405の処理は、S108の処理と同様である。
【0125】
続くS406~S409の処理は、それぞれS402~S405の処理と同様であり、制御装置10は、産業機器20Bに工程p2を実行させる。続くS410~S425の処理は、それぞれS311~S326の処理と同様である。制御装置10は、終了条件が満たされたか否かを判定する(S426)。終了条件が満たされないと判定された場合(S426;N)、S402の処理に戻り、次の対象物の工程が開始される。終了条件が満たされたと判定された場合(S426;Y)、本処理は終了する。
【0126】
第4実施形態の情報収集システム1によれば、情報収集システム1が主体となって制御する産業機器20と、情報収集システム1が主体とはならない産業機器20と、が混在する場合であったとしても、トレーサビリティを確保できる。
【0127】
[5.変形例]
なお、本開示は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0128】
例えば、工程IDの組み合わせだけでも対象物を識別可能である場合には、対象物IDが生成されなくてもよい。また例えば、情報収集システム1は、加工等が実行されずに、工程として、完成済みの製品の検査又は計測だけが実行されてもよい。また例えば、工程の分岐は発生しなくてもよい。また例えば、工程が分岐する場合には、更にその先に分岐が発生してもよい。また例えば、対象物データD1には、対象物IDが含まれずに、工程IDによって対象物が識別されてもよい。
【0129】
また例えば、上記説明した各機能は、情報収集システム1における任意の装置で実現されるようにすればよい。例えば、収集装置30で実現されるものとして説明した機能が制御装置10又は産業機器20によって実現されてもよい。また例えば、制御装置10で実現されるものとして説明した機能が収集装置30又は産業機器20によって実現されてもよい。また例えば、各機能が複数の装置によって分担されるのではなく、1つの装置によって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1 情報収集システム、10 制御装置、11,21,31 CPU、12,22,32 記憶部、13,23,33 通信部、14 IoT部、20,20A,20B,20C,20D,20E 産業機器、30 収集装置、34 操作部、35 表示部、D1 対象物データ、D2 工程管理データ、DB 対象物データベース、p1,p2,p3,p4,p5,p6 工程、100 データ記憶部、101 生成部、102 産業機器通信部、103 特定部、104 付与部、105 機器制御部、200 データ記憶部、201 工程実行部、300 データ記憶部、301 格納部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18