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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】脱穀装置
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/48 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
A01F12/48 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021076522
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】二神 伸
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛樹
【審査官】川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-084971(JP,U)
【文献】特開平04-051820(JP,A)
【文献】特開2002-027823(JP,A)
【文献】特開2021-023102(JP,A)
【文献】特開2009-5640(JP,A)
【文献】実開昭58-91259(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/30-12/395
A01F 12/42-12/44
A01F 12/48
A01F 12/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴(11)を設けた扱室(10)の下側に処理物を受け止めて処理物中の穀粒を選別する揺動選別装置(21)を設け、該揺動選別装置(21)の下方に唐箕(25)を設けた脱穀装置において、該唐箕(25)からの選別風を案内する風路(33,36,37)を形成し、該風路(33,36,37)に選別風を整流する複数の整流体(39)を設け、
複数の整流体(39)を各々単独で回動する構成とし、各整流体(39)の回動軸をステッピングモーターにて駆動回動する構成とすると共に、揺動選別装置(21)の上方における処理物の層厚を検出する流量センサを設けて、揺動選別装置(21)上の処理物の流量を検出し、
流量センサが処理物の流量が基準量よりも多いこと検出すると、ステッピングモーターを作動させて、風路(33,36,37)に案内される唐箕(25)からの選別風を整流して選別室(20)左右両側に多く送るように、複数の整流体(39)を選別室(20)左右両側に向けて傾斜させ、
流量センサが処理物の流量が基準量よりも少ないこと検出すると、ステッピングモーターを作動させて、複数の各整流体(39)を選別室(20)前後方向又は上下方向に沿って互いに平行にさせる、ことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
流量センサが処理物の流量が基準量よりも多いこと検出した場合に、基準値よりも多い量に比例して、ステッピングモーターを作動させて、各整流体(39)を選別室(20)左右両側に向く傾斜角度が大きくなるように制御する、請求項1記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの脱穀装置としては、上部に穀稈の脱穀を行う扱室を備え、扱室の下側に脱穀された穀粒の選別を行なう選別室を備えている。選別室には、上部に処理物を受け止めて後方に移送する移送棚と処理物中の穀粒を選別するシーブよりなる揺動選別装置を設け、下部に揺動選別装置に向けて選別風を送風する唐箕を設けている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-042735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
唐箕からの選別風を3つの風路に分けて、揺動選別装置の前部と中途部と後部に送風し、揺動選別装置全体に選別風が送られるようにして、選別性能を向上する構成となっているが、単に風路を分けるだけでは、選別風が乱流となって揺動選別装置の選別性能を未だ十分に向上させるものではない。
【0005】
本発明の目的は、唐箕からの選別風を案内する風路の構成を工夫し、選別性能の優れた脱穀装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、
扱胴11を設けた扱室10の下側に処理物を受け止めて処理物中の穀粒を選別する揺動選別装置21を設け、該揺動選別装置21の下方に唐箕25を設けた脱穀装置において、該唐箕25からの選別風を案内する風路33,36,37を形成し、該風路33,36,37に選別風を整流する複数の整流体39を設け、
複数の整流体39を各々単独で回動する構成とし、各整流体39の回動軸をステッピングモーターにて駆動回動する構成とすると共に、揺動選別装置21の上方における処理物の層厚を検出する流量センサを設けて、揺動選別装置21上の処理物の流量を検出し、
流量センサが処理物の流量が基準量よりも多いこと検出すると、ステッピングモーターを作動させて、風路33,36,37に案内される唐箕25からの選別風を整流して選別室20左右両側に多く送るように、複数の整流体39を選別室20左右両側に向けて傾斜させ、
流量センサが処理物の流量が基準量よりも少ないこと検出すると、ステッピングモーターを作動させて、複数の各整流体39を選別室20前後方向又は上下方向に沿って互いに平行にさせる、ことを特徴とする脱穀装置である。
第1の本発明によれば、処理物の流量が多くて選別室20左右両側に溜まりやすい脱穀処理物を効率良く適切に選別処理でき、選別室20全体として均等に良好な選別処理が行える。また、各風路33,36,37に案内される唐箕25からの選別風が整流されて選別室20左右方向で均等に送られ、選別室20全体で均等に良好な選別処理が行える。
第2の本発明は、
流量センサが処理物の流量が基準量よりも多いこと検出した場合に、基準値よりも多い量に比例して、ステッピングモーターを作動させて、各整流体39を選別室20左右両側に向く傾斜角度が大きくなるように制御する、第1の本発明の脱穀装置である。
第2の本発明によれば、処理物の流量に応じて選別室20左右両側に溜まる脱穀処理物を効率良く適切に選別処理でき、選別室20全体として均等に良好な選別処理が行える。
本発明に関連する第1の発明は、扱胴11を設けた扱室10の下側に処理物を受け止めて処理物中の穀粒を選別する揺動選別装置21を設け、該揺動選別装置21の下方に唐箕25を設けた脱穀装置において、該唐箕25からの選別風を案内する風路33,36,37を形成し、該風路33,36,37に選別風を整流する複数の整流体39を設けた脱穀装置である。
【0007】
本発明に関連する第1の発明によれば、唐箕25からの選別風を案内する風路33,36,37を形成し、該風路33,36,37に選別風を整流する複数の整流体39を設けたので、風路33,36,37からの整流された選別風が適切に流れて揺動選別装置21の選別性能を向上させることができる。
【0008】
本発明に関連する第2の発明は、風路33,36,37に案内される唐箕25からの選別風を整流して選別室20左右両側に多く送るように複数の整流体39を選別室20左右両側に向けて傾斜して設けた本発明に関連する第1の発明の脱穀装置である。
【0009】
本発明に関連する第3の発明は、複数の整流体39を選別室20前後方向又は上下方向に沿って互いに平行に設けた本発明に関連する第1の発明の脱穀装置である。
【0010】
本発明に関連する第4の発明は、複数の整流体39の選別風を案内する方向を変更自在に設けた本発明に関連する第1の発明の脱穀装置である。
【0011】
本発明に関連する第5の発明は、風路33,36,37を複数設け、整流体39を該複数の風路33,36,37のいずれか一つ、いずれか二つまたは全てに設けた本発明に関連する第1~4のいずれかの発明の脱穀装置である。
【0012】
本発明に関連する第6の発明は、整流体39を風路33,36,37の入口側の高さBが出口側の高さAよりも低く、入口側から出口側に向かってなだらかに高くなる形状とした本発明に関連する第1~5のいずれかの発明の脱穀装置である。
【0013】
本発明に関連する第7の発明は、整流体39を出口側の高さAが風路33,36,37の出口側の高さの略半分にした本発明に関連する第1~6のいずれかの発明の脱穀装置である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の脱穀装置を備えた汎用コンバインの左側面図である。
図2】同脱穀装置の断面左側図である。
図3】同脱穀装置の扱室の断面正面図である。
図4】同脱穀装置の要部の平面図である。
図5】同脱穀装置の整流体の第2実施形態を示す要部の平面図である。
図6】同脱穀装置の整流体の第3実施形態を示す要部の平面図である。
図7】同脱穀装置の整流体の第5実施形態を示す要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態である汎用コンバインについて添付図面を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0016】
<全体構成>
汎用コンバインは、機体フレーム1の下側には土壌面を走行するための左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の上側には
脱穀・選別を行なう脱穀装置3が設けられ、脱穀装置3の前側には圃場の穀桿を収穫する刈取前処理装置4が設けられている。脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は脱穀装置3の右側に設けられたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は揚穀筒と横送り筒からなる排出筒6によって外部へ排出される。また、グレンタンク5の前側には操縦者が搭乗する操縦部7が設けられている。
【0017】
<刈取前処理装置>
刈取前処理装置4は、掻込み装置4Aと、横刈刃装置4Bと、オーガ装置4Cと、フィーダハウス4dを備えて構成されている。なお、オーガ装置4Cの上方で絡み合った穀桿を切断するために縦刈刃装置(図示省略)をオーガ装置4Cの左側に装着することもできる。
【0018】
掻込み装置4Aは、倒伏した穀桿、大豆やそば等の丈の低い穀桿、油菜や菜の花等の丈の高い穀桿をオーガ装置4Cに掻込む装置であり、オーガ装置4Cの全幅とほぼ同一幅に形成され、オーガ装置4Cの上側に設けられている。
【0019】
横刈刃装置4Bは、掻込み装置4Aで掻込まれた穀桿の株元を切断する装置であり、オーガ装置4Cの前側下部に設けられ、側面視において前側から後側に緩やかに後上がり傾斜して配置されている。
【0020】
オーガ装置4Cは、掻込み装置4Aで掻込まれた穀桿をオーガ装置4Cの左側後部に開口された送込口の前方に寄せ集めてフィーダハウス4dに引き継ぐ装置であり、フィーダハウス4dの前方に設けられ、汎用コンバインの機体の全幅とほぼ同一幅に形成されている。また、オーガ装置4Cの左右前側には、分草体4Eが装着されている。
【0021】
フィーダハウス4dは、オーガ装置4Cから引継がれた稲、麦、大豆、そば等の穀桿を脱穀装置3に揚上搬送する装置であり、オーガ装置4Cと脱穀装置3の間に設けられている。
【0022】
<脱穀装置>
脱穀装置3は、上部に穀稈の脱穀を行う扱室10を備え、扱室10の下側に脱穀された穀粒の選別を行なう選別室20を備え、選別室20の後側には、扱室10から排出される排藁(穀稈)や選別室20から排出されるワラ屑類等を切断する切断処理室50を備え、切断処理室50の後側には、切断処理室50で切断された排藁(穀稈)等を外部に排出する排出室70を備えて構成されている。
【0023】
(扱室)
扱室10の前端部に配設された前板と後端部に配設された後板には、機体前後方向に延設する扱胴11を架設する扱胴軸12の前後端部がそれぞれ回転自在に軸支され、扱室10の中板には、扱胴11の下側に張設される扱網13が装着されている。なお、中板の上部は、脱穀されながら後方に搬送される穀稈への抵抗を低減するために、上部から基部に向かって円弧状の切欠き部が形成されている。
【0024】
扱室10で脱穀処理された排藁(穀稈)は、扱胴11によって後方に搬送された後、扱室10後部の排出口から外部に排出される。
【0025】
そして、扱胴11は、前部の円錐台状の取込み螺旋部16と後部の円筒部17を備え、取込み螺旋部16の外周面には、供給された穀稈を後方に搬送するために後側に向かって傾斜した搬送螺旋16aが設けられ、取込み螺旋部16の終端部と筒部17との間には前後方向に複数の扱歯18aが溶接等によって固着された鋼材等からなる板状のプレート18が周方向に60度の間隔を持って固定されている。
【0026】
なお、扱胴11は、背面視において、反時計方向に回転する。
【0027】
(選別室)
扱室10の下側には、扱室10から漏下する脱穀処理物を穀粒とそれ以外の藁屑等とに選別するための選別室20が設けられている。
【0028】
選別室20の上部には揺動選別装置21が設けられ、選別室20の下部には揺動選別装置21に空気を送風する唐箕25と、揺動選別装置21から漏下する穀粒を回収する1番受樋28と、揺動選別装置21から漏下する枝梗等が付着した穀粒を回収する2番受樋29とが、前側から後側に向かって設けられている。なお、1番受樋28で回収された穀粒はグレンタンク5に移送され、2番受樋29で回収された穀粒等は扱胴11の前部に移送された後、再び扱胴11によって脱穀される。
【0029】
なお、1番受樋28の内部には、グレンタンク5に連通する螺旋コンベア式の1番螺旋軸28Aが配置され、2番受樋29の内部には、扱胴11の前部に連通する螺旋コンベア式の2番螺旋軸29aが配置されている。
【0030】
揺動選別装置21は、唐箕25の上側に配置された移送棚22と、移送棚22の下流側に配置されたシーブ23と、さらにシーブ23の下流側に配置されたストローラック24を備えて構成されている。
【0031】
移送棚22は、扱室10から漏下する穀粒を下流側に配置されたシーブ23に移送できればよく、移送棚22の後部を後下がりに傾斜させたり、移送棚22の上面に突起や凹凸を設けたりすることができる。
【0032】
シーブ23は、移送棚22から移送された穀粒又は扱室10から直接漏下する穀粒と藁屑等の異物とを選別する篩であり、下流側が高くなるように傾斜した薄い板状体からなる固定シーブ部材を揺動選別装置21の揺動方向に所定の間隔を空けて平行に複数並設したものである。
【0033】
ストローラック24は、シーブ23から漏下しなかった比較的大きな藁屑中から枝梗等が付着した穀粒等を篩い選別する篩である。
【0034】
唐箕25の送風口25aの後側には、上側導風体30を設ける。上側導風体30には、移送棚22の下面に向けて送風口25aからの送風を案内する上案内面31Uを設ける。上側導風体30の上方の前記唐箕ケーシング20には上側導風体30と略平行で移送棚22の下面に向けて送風口25aからの送風を案内する縦板部32を位置させる。
【0035】
即ち、唐箕ケーシング20の縦板部32の前後位置を、揺動選別装置21の移送棚22の後端よりも前側に位置させ、送風口25aからの送風を上側導風体30の上案内面31Uと縦板部32により形成される上部風路33により上方に案内し、シーブ23の前側部分に上側風路(後向き風路)34を形成する。
【0036】
また、上側導風体30の下案内面31Dと下側導風体35の上案内面35Uとの間に中間風路36を形成し、下側導風体35の下案内面35Dと下壁38との間に下部風路37を形成する。
【0037】
中間風路36は、唐箕25からの選別風をシーブ23に向けて吹き上がるように案内し、唐箕25からの選別風がシーブ23間を強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
【0038】
下部風路37は、唐箕25からの選別風をシーブ23後端部からストローラック24上面に案内し、ストローラック24が比較的大きな藁屑中から枝梗等の付着した穀粒等を篩い選別する作用を促進する。
【0039】
そして、上部風路33、中間風路36及び下部風路37には、唐箕25からの選別風を整流案内する複数の整流体としての羽根(板体)39を並列して各々設け、各風路33,36,37の選別風が選別室20を適切に流れて選別性能を向上させている。
【0040】
即ち、上部風路33を形成する上側導風体30の上案内面31Uと縦板部32に上部風路33に立ち上がる複数の羽根39を各々設け、中間風路36を形成する下側導風体35の上案内面35Uに中間風路36に立ち上がる複数の羽根39を設け、下部風路37を形成する下壁38に下部風路37に立ち上がる複数の羽根39を設ける。
【0041】
そして、各風路33,36,37の羽根39は、図4に示すように、選別室20左右両側に向けて傾斜して設け、各風路33,36,37に案内される唐箕25からの選別風が整流されて選別室20左右両側に多く送られる構成としている。
【0042】
図3に示すように、汎用コンバインは、扱網13が扱胴11の下方から扱胴軸12の左右両側にまで至るように扱胴11の下半分を覆うように設けられているので、脱穀処理物は選別室20左右両側に多く落下する。
【0043】
従って、各風路33,36,37の羽根39を選別室20左右両側に向けて傾斜して設けて、各風路33,36,37に案内される唐箕25からの選別風が整流されて選別室20左右両側に多く送られる構成としているので、選別室20左右両側に多く落下する脱穀処理物を効率良く適切に選別処理でき、選別室20全体として均等に良好な選別処理が行える。
【0044】
そして、羽根39は、各風路33,36,37の入口の基端から出口の終端まで設けられており、入口側の高さBが出口側の高さAよりも低く、入口側から出口側に向かってなだらかに高くなる形状となっている。
【0045】
また、羽根39は、出口側の高さAが各風路33,36,37の出口側の高さの略半分程度である。
【0046】
従って、唐箕25からの選別風が羽根39により効率よく整流される。
【0047】
なお、各風路33,36,37は、入口側から出口側まで略同じ高さである。
【0048】
また、各風路33,36,37に羽根39を設けた例を示したが、中間風路36及び下部風路37に羽根39を設け、上部風路33には設けない構成としても良く、各風路33,36,37の何れかに選択して羽根39を設けても良い。
【0049】
(切断処理室)
選別室20の後側には、扱室10の排出口から排出される排藁(穀稈)や、選別室20から排出されるワラ屑類等を切断するスプレッダ式の切断処理室50が設けられている。切断処理室50には、前部の上下方向中間部に扱室10から排出された排藁(穀稈)等を切断する回転刃と、前部の下部に受刃と、受刃の前後側に排藁(穀稈)等の滞留を防止する排稈ガイドを備えて構成されている。
【0050】
(排出室)
切断処理室50の後側には、切断処理室50の回転刃と受刃で切断された排藁(穀稈)を外部に拡散して排出する排出室70が設けられている。排出室70は、切断処理室50から排出された排藁(穀稈)を拡散する拡散ガイドが装着された前側排出室と、前側排出室の後部に装着された後側排出室を備えて構成されている。
【0051】
<他の実施形態>
(1)図5は、羽根39の第2実施形態を示す。
【0052】
即ち、扱網13が扱胴11の下方円弧部のみ設けられている場合、脱穀処理物は選別室20に左右方向で略均等に落下する。そこで、各風路33,36,37の羽根39を選別室20前後方向又は上下方向に沿って互いに平行に設けて、各風路33,36,37に案内される唐箕25からの選別風が整流されて選別室20左右方向で均等に送られる構成とすれば、選別室20全体で均等に良好な選別処理が行える。
【0053】
(2)図6は、羽根39の第3実施形態を示す。
【0054】
即ち、各風路33,36,37の羽根39を回動軸40にて回動自在に設け、各羽根の一端をロッド41にて連結し、該ロッド41を手動操作具にて押し引きして各羽根39の角度を変更する。
【0055】
従って、選別処理状態に応じて、羽根39の角度が変更できて、適切な選別処理が行えるようにすることができる。
【0056】
図6では、回動軸40を羽根39の中央部に設けた例を示したが、羽根39の端部に設けても良い。
【0057】
(3)羽根39の第4実施形態として、各羽根39を各々単独で回動する構成とし、各羽根39の回動軸40をステッピングモーターにて駆動回動する構成とすると共に、揺動選別装置21の前部上方(移送棚22の上方)に処理物の層厚を検出する流量センサを設けて、揺動選別装置21上の処理物の流量を検出する。
【0058】
そして、流量センサが処理物の流量が基準量よりも多いこと検出すると、ステッピングモーターを作動させて各羽根39が第1実施形態のように選別室20左右両側に向くように傾斜させる。従って、各風路33,36,37に案内される唐箕25からの選別風が整流されて選別室20左右両側に多く送られ、処理物の流量が多くて選別室20左右両側に溜まりやすい脱穀処理物を効率良く適切に選別処理でき、選別室20全体として均等に良好な選別処理が行える。
【0059】
また、流量センサが処理物の流量が基準量よりも少ないこと検出すると、ステッピングモーターを作動させて各羽根39が第2実施形態のように選別室20前後方向に沿って平行になるようにする。従って、各風路33,36,37に案内される唐箕25からの選別風が整流されて選別室20左右方向で均等に送られ、選別室20全体で均等に良好な選別処理が行える。
【0060】
なお、流量センサが処理物の流量が基準量よりも多いこと検出した場合に、基準値よりも多い量に比例して、ステッピングモーターを作動させて各羽根39を選別室20左右両側に向く傾斜角度が大きくなるようにすれば、処理物の流量に応じて選別室20左右両側に溜まる脱穀処理物を効率良く適切に選別処理でき、選別室20全体として均等に良好な選別処理が行える。
【0061】
(4)図7は、羽根39の第5実施形態を示す。
【0062】
即ち、各風路33,36,37における各羽根39を支持する軸42を縦板部32、上案内面31U、上案内面35U及び下壁38に設けた選別室20左右方向の長孔42に沿って左右移動及び固定自在に設け、各羽根39を選別室20左右方向にスライド移動調節自在に設ける。従って、選別処理状態に応じて、羽根39をスライド移動させて、適切な選別処理が行えるようにすることができる。
【符号の説明】
【0063】
10 扱室
11 扱胴
21 揺動選別装置
25 唐箕
33 風路(上部風路)
36 風路(中間風路)
37 風路(下部風路)
39 整流体(羽根)
【要約】
【課題】従来、コンバインの脱穀装置では、唐箕からの選別風を3つの風路に分けて、選別室の揺動選別装置の前部と中途部と後部に送風し、揺動選別装置全体に選別風が送られるようにして、選別性能を向上する構成としているが、単に風路を分けるだけでは、選別風が乱流となって揺動選別装置の選別性能を未だ十分に向上させるものではない。そこで、唐箕からの選別風を案内する風路の構成を工夫し、選別性能の優れた脱穀装置を提供する。
【解決手段】扱胴11を設けた扱室10の下側に処理物を受け止めて処理物中の穀粒を選別する揺動選別装置21を設け、揺動選別装置21の下方に唐箕25を設けた脱穀装置において、唐箕25からの選別風を案内する風路33,36,37を形成し、風路33,36,37に選別風を整流する複数の整流体39を設ける。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7