(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20220830BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20220830BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20220830BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01F27/29 123
H01F41/04 B
H01G4/228 A
H01G4/30 201E
H01G4/30 201K
H01G4/30 201M
H01G4/30 512
H01G4/30 513
H01G4/30 517
H01G4/30 560
(21)【出願番号】P 2021099460
(22)【出願日】2021-06-15
(62)【分割の表示】P 2019519542の分割
【原出願日】2018-05-07
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2017101848
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】八十 徹
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-093770(JP,A)
【文献】特表2014-524154(JP,A)
【文献】国際公開第2012/121141(WO,A1)
【文献】特開昭59-092512(JP,A)
【文献】国際公開第2012/132880(WO,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02529378(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01F 27/29
H01F 41/04
H01G 4/228
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面を有する電子部品本体と、
前記電子部品本体の前記実装面に設けられた第1の焼付電極と、
前記電子部品本体の前記実装面に、前記第1の焼付電極と離間して設けられた第2の焼付電極と、を備え、
前記第1の焼付電極と前記第2の焼付電極との間には、前記実装面側から見た平面視において、前記第1の焼付電極の一部、及び、前記第2の焼付電極の一部のうち、少なくとも一方と重なるように、前記電子部品本体の内部に向かって凹む凹部が形成されており、
前記第1の焼付電極と前記第2の焼付電極とは、前記電子部品本体に埋没していることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記実装面側から見た平面視において前記凹部と重なる部分の前記第1の焼付電極及び前記第2の焼付電極は、前記凹部と面一である請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記凹部内に設けられたセラミック層をさらに備え、
前記セラミック層は、前記電子部品本体の内部に向かって凹んでおり、かつ、前記凹部上の前記第1の焼付電極の少なくとも一部、及び、前記凹部上の前記第2の焼付電極の少なくとも一部のうち、少なくとも一方を覆う請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
実装面を有する電子部品本体と、
前記電子部品本体の前記実装面に設けられた第1の焼付電極と、
前記電子部品本体の前記実装面に、前記第1の焼付電極と離間して設けられた第2の焼付電極と、を備え、
前記第1の焼付電極と前記第2の焼付電極との間には、前記実装面側から見た平面視において、前記第1の焼付電極の少なくとも一部、及び、前記第2の焼付電極の少なくとも一部のうち、少なくとも一方と重なるように、前記電子部品本体の内部に向かって凹む凹部が形成されており、
前記凹部内に設けられたセラミック層をさらに備え、
前記セラミック層は、前記電子部品本体の内部に向かって凹んでおり、かつ、前記凹部上の前記第1の焼付電極の少なくとも一部、及び、前記凹部上の前記第2の焼付電極の少なくとも一部のうち、少なくとも一方を覆うことを特徴とする電子部品。
【請求項5】
前記第1の焼付電極と前記第2の焼付電極とは、前記電子部品本体に埋没している請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記第1の焼付電極の上面に設けられた第1のめっき電極と、
前記第2の焼付電極の上面に設けられた第2のめっき電極と、をさらに備え、
前記第1のめっき電極及び前記第2のめっき電極の少なくとも一方は、前記セラミック層の一部を覆う請求項3~5のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項7】
前記セラミック層の厚みは、前記凹部の外側に向かって薄くなる請求項3~6のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項8】
前記凹部の深さは5μm以上、50μm以下である請求項1~7のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項9】
前記電子部品の厚みに対する前記凹部の深さの比率は、1/60以上、1/4以下である請求項1~8のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項10】
前記実装面に対する前記第1の焼付電極の角度は、5度以上、60度以下である請求項1~9のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項11】
前記凹部の幅は、50μm以上、200μm以下である請求項1~10のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項12】
前記第1の焼付電極の厚み、及び、前記第2の焼付電極の厚みは、前記凹部の内側に向かって薄くなる請求項1~11のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項13】
前記電子部品本体は、前記実装面側から見た平面視において、前記凹部の下方に、誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極層を含む受動素子部を有する請求項1~12のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項14】
前記凹部の下方は、前記電子部品の厚みから前記凹部の深さを差し引いた高さの1/2までの領域に位置する請求項13に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品本体の表面に端子電極が設けられた電子部品として、例えば、多層セラミック基板等の基板に実装されるチップ部品等が挙げられる。端子電極は、多層セラミック基板等の他の電子部品との接続のために用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、端子電極を備える面実装電子部品が導電性接着剤を介して基板電極上に実装された構造が開示されている。特許文献1においては、端子電極を単一の電極材料により構成することを特徴としており、実施例では、Ag-Pd合金を含むペースト材料を焼成することにより端子電極が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、積層セラミックコンデンサ等の電子部品の小型低背化、多端子化に伴い、導電性ペーストを焼き付けることにより形成された焼付電極と電子部品本体との接合面積が小さくなっている。そのため、電子部品に横からの荷重がかかった場合においては、焼付電極と電子部品本体との接合面が剥がれる虞がある。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、焼付電極と電子部品本体との固着力が大きく、外力による焼付電極の電子部品本体からの剥がれを抑制することができる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品は、実装面を有する電子部品本体と、上記電子部品本体の上記実装面に設けられた第1の焼付電極と、上記電子部品本体の上記実装面に、上記第1の焼付電極と離間して設けられた第2の焼付電極と、を備え、上記第1の焼付電極と上記第2の焼付電極との間には、上記実装面側から見た平面視において、上記第1の焼付電極の少なくとも一部、及び、上記第2の焼付電極の少なくとも一部のうち、少なくとも一方と重なるように、上記電子部品本体の内部に向かって凹む凹部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の電子部品は、上記凹部内に設けられたセラミック層をさらに備え、上記セラミック層は、上記電子部品本体の内部に向かって凹んでおり、かつ、上記凹部上の上記第1の焼付電極の少なくとも一部、及び、上記凹部上の上記第2の焼付電極の少なくとも一部のうち、少なくとも一方を覆うことが好ましい。
【0009】
本発明の電子部品は、上記第1の焼付電極の上面に設けられた第1のめっき電極と、上記第2の焼付電極の上面に設けられた第2のめっき電極と、をさらに備え、上記第1のめっき電極及び上記第2のめっき電極の少なくとも一方は、上記セラミック層の一部を覆うことが好ましい。
【0010】
本発明の電子部品において、上記セラミック層の厚みは、上記凹部の外側に向かって薄くなることが好ましい。
【0011】
本発明の電子部品において、上記第1の焼付電極の厚み、及び、上記第2の焼付電極の厚みは、上記凹部の内側に向かって薄くなることが好ましい。
【0012】
本発明の電子部品において、上記電子部品本体は、上記実装面側から見た平面視において、上記凹部の下方に、誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極層を含む受動素子部を有することが好ましい。
【0013】
本発明の電子部品の製造方法は、未焼成の電子部品本体において実装面となるべき面に導電性ペーストを塗布することにより、第1の焼付電極となるべき第1の導電性ペースト層、及び、上記第1の導電性ペースト層と離間した、第2の焼付電極となるべき第2の導電性ペースト層を形成する工程と、上記第1の導電性ペースト層と上記第2の導電性ペースト層との間に、上記第1の導電性ペースト層の少なくとも一部、及び、上記第2の導電性ペースト層の少なくとも一部のうち、少なくとも一方を覆うように樹脂ペーストを塗布することにより、樹脂ペースト層を形成する工程と、上記第1の導電性ペースト層、上記第2の導電性ペースト層、及び、上記樹脂ペースト層が上記実装面に形成された上記未焼成の電子部品本体を圧着することにより、上記実装面が平坦化された未焼成の積層複合体を得る工程と、上記未焼成の積層複合体を焼成する工程と、を備え、上記未焼成の積層複合体を焼成する工程では、上記樹脂ペースト層が焼失することによって、上記第1の焼付電極と上記第2の焼付電極との間に、上記実装面側から見た平面視において、上記第1の焼付電極の少なくとも一部、及び、上記第2の焼付電極の少なくとも一部のうち、少なくとも一方と重なるように、上記電子部品本体の内部に向かって凹む凹部が形成されることを特徴とする。
【0014】
本発明の電子部品の製造方法は、上記第1の導電性ペースト層及び上記第2の導電性ペースト層を形成する工程の後、上記第1の導電性ペースト層と上記第2の導電性ペースト層との間に、上記第1の導電性ペースト層の一部、及び、上記第2の導電性ペースト層の一部のうち、少なくとも一方を覆うようにセラミックペーストを塗布することにより、セラミックペースト層を形成する工程をさらに備え、上記樹脂ペースト層を形成する工程では、少なくとも上記セラミックペースト層の一部を覆うように上記樹脂ペーストを塗布することが好ましい。
【0015】
本発明の電子部品の製造方法は、上記未焼成の積層複合体を焼成する工程の前に、上記未焼成の積層複合体の表面をバレル研磨する工程をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、焼付電極と電子部品本体との固着力が大きく、外力による焼付電極の電子部品本体からの剥がれを抑制することができる電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子部品の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電子部品を実装面側から見た平面図である。
【
図3】
図3は、従来の電子部品の一例を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態に係る電子部品の別の一例を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の第1実施形態に係る電子部品のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
図5(b)は、凹部の下方を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係る電子部品の一例を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態に係る電子部品の別の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の電子部品の実施形態について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の実施形態の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0019】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2実施形態以降では、第1実施形態と共通の事項についての記述は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎には逐次言及しない。
【0020】
以下の実施形態では、本発明の電子部品が、多層セラミック基板等の基板に実装されるチップ部品である場合について説明する。チップ部品としては、例えば、積層フィルタ等のLC複合部品、積層セラミックコンデンサ、積層インダクタといった積層セラミック電子部品が挙げられる。また、チップ部品は、積層セラミック電子部品以外の種々のセラミック電子部品であってもよい。本発明の電子部品は、チップ部品に限らず、多層セラミック基板等の基板であってもよい。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子部品の一例を模式的に示す断面図である。
図2は、
図1に示す電子部品を実装面側から見た平面図である。なお、
図1は、
図2に示す電子部品のI-I線断面図でもある。
【0022】
図1及び
図2に示す電子部品1は、実装面11を有する電子部品本体10と、第1の焼付電極21と、第2の焼付電極22とを備えている。第1の焼付電極21及び第2の焼付電極22は、電子部品本体10の実装面11に、互いに離間して設けられている。
【0023】
図1及び
図2に示すように、第1の焼付電極21と第2の焼付電極22との間には、実装面11側から見た平面視において、第1の焼付電極21の一部、及び、第2の焼付電極22の一部と重なるように、電子部品本体10の内部に向かって凹む凹部30が形成されている。言い換えると、第1の焼付電極21の一部、及び、第2の焼付電極22の一部は、凹部30内に位置している。また、凹部30内の第1の焼付電極21及び第2の焼付電極22は、電子部品本体10の内部に向かって凹んでいる。
図1では、第1の焼付電極21と電子部品本体10との固着面積の大きさを両矢印Sで示している。
【0024】
図3は、従来の電子部品の一例を模式的に示す断面図である。
図3に示す電子部品100では、第1の焼付電極21と第2の焼付電極22との間に凹部が形成されていない。
図3では、第1の焼付電極21と電子部品本体10との固着面積の大きさを両矢印S
0で示している。
【0025】
本発明の電子部品においては、電子部品本体の実装面に設けられた2つの焼付電極の間に凹部が形成され、かつ、焼付電極の少なくとも一部が凹部内に位置している。これによって、
図1及び
図3に示すように、凹部が形成されていない従来の電子部品と比べて、焼付電極と電子部品本体との固着面積を大きくすることができる。したがって、外力による焼付電極の電子部品本体からの剥がれを抑制することができる。
【0026】
また、本発明の電子部品を基板に実装することを考えた場合、電子部品本体の実装面に凹部が形成されているため、電子部品本体が焼付電極よりも基板側に突出しにくくなる。電子部品本体が焼付電極よりも基板側に突出していると、実装時に局所的に力が生じ、電子部品が割れる虞があるが、本発明の電子部品においては、電子部品本体が焼付電極よりも基板側に突出しにくいため、このような電子部品の割れを抑制することもできる。
【0027】
本発明の第1実施形態に係る電子部品において、第1の焼付電極及び第2の焼付電極は、導電成分を含有する。電子部品本体との接合強度を高くするため、第1の焼付電極及び第2の焼付電極は、セラミック材料及び/又はガラス材料をさらに含有することが好ましい。
本明細書において、焼付電極とは、導電性ペーストを焼き付けることによって形成された電極をいう。
【0028】
第1の焼付電極及び第2の焼付電極に含有される導電成分としては、例えば、Cu、Ag、Au、Pt、Ta、W、Ni、Fe、Cr、Mo、Ti、Pd、Ru及びこれらの金属の1種を主成分とする合金等が挙げられる。第1の焼付電極及び第2の焼付電極は、導電成分として、Cu、Ag又はAuを含有することが好ましく、Cu又はAgを含有することがより好ましい。
【0029】
本発明の第1実施形態に係る電子部品において、第1の焼付電極及び第2の焼付電極の形状及び配置等は、第1の焼付電極の一部、及び、第2の焼付電極の一部が凹部内に位置するように電子部品本体の実装面に設けられている限り、特に限定されない。
【0030】
本発明の第1実施形態に係る電子部品において、第1の焼付電極の厚み、及び、第2の焼付電極の厚みは特に限定されないが、
図1に示すように、凹部の内側に向かって薄くなることが好ましい。焼付電極の端部が細くなっていると、焼付電極の端部が角張っている場合と比べてクラックの起点となりにくいため、焼付電極が電子部品本体から剥がれにくくなる。このような形状を有する焼付電極は、導電性ペーストを用いて、スクリーン印刷等の方法によって電子部品本体に印刷することによって得られる。
【0031】
図4は、本発明の第1実施形態に係る電子部品の別の一例を模式的に示す断面図である。
図4に示す電子部品1aでは、第1の焼付電極21の上面に第1のめっき電極41が設けられ、第2の焼付電極22の上面に第2のめっき電極42が設けられている。第1のめっき電極41の一部、及び、第2のめっき電極42の一部は、凹部30内に位置している。また、凹部30内の第1のめっき電極41及び第2のめっき電極42は、電子部品本体10の内部に向かって凹んでいる。
【0032】
本発明の第1実施形態に係る電子部品は、
図4に示すように、第1の焼付電極の上面に設けられた第1のめっき電極と、第2の焼付電極の上面に設けられた第2のめっき電極と、をさらに備えることが好ましい。
本明細書において、めっき電極とは、焼付電極を形成した後、電解めっき又は無電解めっきを施すことによって形成された電極をいう。
【0033】
本発明の第1実施形態に係る電子部品において、第1のめっき電極及び第2のめっき電極の形状、配置及び厚み等は、特に限定されない。
【0034】
電子部品本体の表面に設けられた焼付電極及びめっき電極は、多層セラミック基板等の他の電子部品との接続のための端子電極として機能する。端子電極と他の電子部品とは、例えば、導電性接着剤、半田付け等によって接続される。
【0035】
本発明の第1実施形態に係る電子部品において、凹部の形状は特に限定されないが、
図1に示す凹部30のように、凹部の外側から内側に向かって深くなる形状であることが好ましい。凹部には、深さが一定である領域が設けられていてもよい。
【0036】
本発明の第1実施形態に係る電子部品において、凹部の最大深さは特に限定されないが、5μm以上、50μm以下であることが好ましい。凹部を深くすることによって、凹部内の焼付電極に角度を付けることができるため、焼付電極と電子部品本体との固着力を大きくすることができる。
なお、
図1の左右方向において、凹部の深さは、一定であってもよいし、異なっていてもよい。また、
図1の紙面手前方向及び紙面奥方向において、凹部の深さは、一定であってもよいし、異なっていてもよい。
【0037】
本発明の第1実施形態に係る電子部品において、電子部品の厚みに対する凹部の最大深さの比率は、1/60以上、1/4以下であることが好ましい。
なお、電子部品の厚みとは、凹部のない部分の最大厚みを意味し、例えば300μm程度である。
【0038】
本発明の第1実施形態に係る電子部品において、焼付電極の角度(
図1中、θで示す角度)は特に限定されないが、焼付電極と電子部品本体との固着力を大きくする観点からは、5度以上、60度以下であることが好ましい。
【0039】
本発明の第1実施形態に係る電子部品において、凹部の幅は特に限定されないが、50μm以上であることが好ましい。また、凹部の幅は、例えば200μm以下である。
なお、
図1の紙面手前方向及び紙面奥方向において、凹部の幅は、一定であってもよいし、異なっていてもよい。
【0040】
図5(a)は、本発明の第1実施形態に係る電子部品のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
図5(a)に示す電子部品1bでは、電子部品本体10は、実装面11側から見た平面視において、凹部30の下方に受動素子部12を有している。
図5(a)では、受動素子部12を簡略化して示しているが、誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極層を含むコンデンサ(容量部)を示している。
【0041】
図5(b)は、凹部の下方を説明するための図である。
本明細書において、凹部の下方とは、凹部の幅方向の内側(
図5(b)中、W
0で示す範囲)にあって、かつ、凹部の最も深い箇所から厚み方向の反対側(
図5(b)中、T
0で示す範囲)に向かう領域を指す。特に、凹部の下方は、
図5(b)に示すように、電子部品の厚みから凹部の最大深さを差し引いた高さの1/2(
図5(b)中、1/2T
0で示す範囲)までの領域であることが好ましい。
【0042】
本発明の第1実施形態に係る電子部品において、電子部品本体の構成は特に限定されないが、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、電子部品本体は、実装面側から見た平面視において、凹部の下方に、誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極層を含む受動素子部を有することが好ましい。受動素子部としては、例えば、コンデンサ(容量部)、インダクタ(コイル)等が挙げられる。
【0043】
後述する方法によって電子部品が製造される場合、凹部を形成するために電子部品本体が内部に向かって押されるため、受動素子部を構成する内部電極層間の厚み方向の間隔が狭くなる。その結果、凹部が形成されない場合と比べて、例えば、コンデンサ(容量部)では単位面積当たりの容量を大きくすることができ、インダクタ(コイル)では単位面積当たりのL値を大きくすることができるため、電子部品の特性を向上させることができる。
【0044】
本発明の第1実施形態に係る電子部品において、電子部品本体の内部には、実装面に設けられた焼付電極と接続されるビア電極が設けられていてもよい。
【0045】
本発明の第1実施形態に係る電子部品は、好ましくは、以下のように製造される。
本発明の第1実施形態に係る電子部品の製造方法は、未焼成の電子部品本体において実装面となるべき面に導電性ペーストを塗布することにより、第1の焼付電極となるべき第1の導電性ペースト層、及び、上記第1の導電性ペースト層と離間した、第2の焼付電極となるべき第2の導電性ペースト層を形成する工程と、上記第1の導電性ペースト層と上記第2の導電性ペースト層との間に、上記第1の導電性ペースト層の一部、及び、上記第2の導電性ペースト層の一部を覆うように樹脂ペーストを塗布することにより、樹脂ペースト層を形成する工程と、上記第1の導電性ペースト層、上記第2の導電性ペースト層、及び、上記樹脂ペースト層が上記実装面に形成された上記未焼成の電子部品本体を圧着することにより、上記実装面が平坦化された未焼成の積層複合体を得る工程と、上記未焼成の積層複合体を焼成する工程と、を備え、上記未焼成の積層複合体を焼成する工程では、上記樹脂ペースト層が焼失することによって、上記第1の焼付電極と上記第2の焼付電極との間に、上記実装面側から見た平面視において、上記第1の焼付電極の一部、及び、上記第2の焼付電極の一部と重なるように、上記電子部品本体の内部に向かって凹む凹部が形成されることを特徴とする。
【0046】
上記の方法では、未焼成の電子部品本体において実装面となるべき面に第1の導電性ペースト層及び第2の導電性ペースト層を形成し、さらに、第1の導電性ペースト層と第2の導電性ペースト層との間に、第1の導電性ペースト層の一部、及び、第2の導電性ペースト層の一部を覆うように樹脂ペースト層を形成する。そして、第1の導電性ペースト層、第2の導電性ペースト層、及び、樹脂ペースト層が実装面に形成された未焼成の電子部品本体を圧着することにより、実装面が平坦化された未焼成の積層複合体を得る。未焼成の積層複合体では、樹脂ペースト層を含む実装面が平坦となっているため、樹脂ペースト層を焼失させることによって、樹脂シート層が存在していた部分に凹部を形成することができる。その結果、焼付電極と電子部品本体との固着力が大きい電子部品を製造することができる。
【0047】
本発明の第1実施形態に係る電子部品の製造方法は、未焼成の積層複合体を焼成する工程の前に、未焼成の積層複合体の表面をバレル研磨する工程をさらに備えることが好ましい。
【0048】
焼成間にバレル研磨を行う場合、第1の導電性ペースト層及び第2の導電性ペースト層が実装面にむき出しの状態であると、これらの導電性ペースト層がバレル研磨によって剥がれてしまう虞がある。これに対し、本発明の第1実施形態に係る電子部品の製造方法においては、第1の導電性ペースト層の一部、及び、第2の導電性ペースト層の一部が樹脂シート層によって覆われているため、バレル研磨による導電性ペースト層の剥がれを抑制することができる。
【0049】
【0050】
以下、本発明の第1実施形態に係る電子部品の製造方法の一例として、LCフィルタの製造方法の一例について説明する。
【0051】
まず、複数のセラミックグリーンシートを準備する。セラミックグリーンシートは、焼成後に誘電体層となるものである。
【0052】
セラミックグリーンシートは、例えばセラミック粉末と有機バインダと溶剤とを含有するスラリーを、ドクターブレード法等によってシート状に成形したものである。上記スラリーには、分散剤、可塑剤等の種々の添加剤が含有されていてもよい。
【0053】
特定のセラミックグリーンシートに、ビア電極を形成するための孔を形成する。孔は、例えばレーザー加工等により形成することができる。
【0054】
図6Aに示すように、未焼成の電子部品本体において実装面111となるべき面、すなわち、積層後に表面に配置されるセラミックグリーンシートの表面に、所望の形状に導電性ペーストを塗布することにより、第1の焼付電極となるべき第1の導電性ペースト層121、及び、第2の焼付電極となるべき第2の導電性ペースト層122を形成する。第1の導電性ペースト層121及び第2の導電性ペースト層122は、互いに離間して形成される。第1の導電性ペースト層121及び第2の導電性ペースト層122は、例えばCu又はAgを導電成分として含有する導電性ペーストを用いて、スクリーン印刷等の方法によって形成することができる。上記導電性ペーストには、セラミック材料及び/又はガラス材料が含有されていてもよい。第1の導電性ペースト層121及び第2の導電性ペースト層122は、スクリーン印刷に代えて、フォトリソグラフィー等の方法によって形成してもよい。なお、第1の導電性ペースト層121及び第2の導電性ペースト層122は、セラミックグリーンシートを積層した後に形成してもよい。
【0055】
次に、
図6Bに示すように、第1の導電性ペースト層121と第2の導電性ペースト層122との間に、第1の導電性ペースト層121の一部、及び、第2の導電性ペースト層122の一部を覆うように樹脂ペーストを塗布することにより、樹脂ペースト層130を形成する。樹脂ペースト層130は、例えば架橋アクリル樹脂等の樹脂材料、及び、有機ビヒクル等を含有する樹脂ペーストを用いて、スクリーン印刷等の方法によって形成することができる。樹脂ペーストは、電子部品本体を凹ませる形状に応じて、所望の形状に塗布すればよい。
【0056】
別途、特定のセラミックグリーンシートの表面にそれぞれ、所望の形状に導電性ペーストを塗布することにより、内部電極層となるべき導電性ペースト層を形成する。内部電極層となるべき導電性ペースト層は、例えばCu又はAgを導電成分として含有する導電性ペーストを用いて、スクリーン印刷等の方法によって形成することができる。また、ビア電極を形成するための孔に上記導電性ペーストを充填することにより、ビア電極となるべき導電性ペースト体を形成する。以上により、LCフィルタを構成するコイル、容量等の電極を形成することができる。
【0057】
続いて、複数のセラミックグリーンシートを積層することにより、
図6Cに示すように、第1の導電性ペースト層121、第2の導電性ペースト層122、及び、樹脂ペースト層130が実装面111に形成された未焼成の電子部品本体110が得られる。
【0058】
得られた未焼成の電子部品本体110を、例えば50℃以上80℃以下の温度、800MPa以上1400MPa以下の圧力で圧着することにより、
図6Dに示すように、実装面111が平坦化された未焼成の積層複合体210が得られる。未焼成の積層複合体210では、第1の導電性ペースト層121、第2の導電性ペースト層122、及び、樹脂ペースト層130が埋没している。
【0059】
必要に応じて、ダイサー又はマイクロカッター等を用いて未焼成の積層複合体をカットすることにより、チップ状に個片化してもよい。
【0060】
上述のとおり、焼成前に、未焼成の積層複合体の表面をバレル研磨することが好ましい。この場合、未焼成の積層複合体が、バレルと呼ばれる小箱内に誘電体層の材料より硬度の高いメディアボールとともに封入され、当該バレルを回転させることにより研磨が行われる。バレル研磨により、未焼成の積層複合体の角部及び稜線部に丸みが付けられる。
【0061】
その後、未焼成の積層複合体を焼成する。これによって、
図6Eに示すように、電子部品本体10と、電子部品本体10の実装面11に設けられた第1の焼付電極21と、電子部品本体10の実装面11に、第1の焼付電極21と離間して設けられた第2の焼付電極22と、を備える電子部品1が得られる。
【0062】
焼成する際の熱によって、樹脂ペースト層は焼失する。その結果、
図6Eに示すように、第1の焼付電極21と第2の焼付電極22との間には、実装面11側から見た平面視において、第1の焼付電極21の一部、及び、第2の焼付電極22の一部と重なるように、電子部品本体10の内部に向かって凹む凹部30が形成される。
【0063】
焼成温度は特に限定されないが、例えば800℃以上、1000℃以下であることが好ましい。
【0064】
焼成雰囲気は特に限定されず、例えば窒素雰囲気等が挙げられる。ただし、電極材料が酸化しない場合には、大気雰囲気であってもよい。
【0065】
焼成後の電子部品に対して、電解めっき又は無電解めっきを施すことによって、焼付電極の上面にめっき電極を形成してもよい。
【0066】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態では、本発明の第1実施形態と同様、第1の焼付電極と第2の焼付電極との間には、実装面側から見た平面視において、第1の焼付電極の一部、及び、第2の焼付電極の一部と重なるように、電子部品本体の内部に向かって凹む凹部が形成されている。
【0067】
さらに、本発明の第2実施形態では、凹部内にセラミック層が設けられ、該セラミック層は、電子部品本体の内部に向かって凹んでおり、かつ、凹部上の第1の焼付電極の少なくとも一部、及び、凹部上の第2の焼付電極の少なくとも一部を覆っている。
【0068】
図7は、本発明の第2実施形態に係る電子部品の一例を模式的に示す断面図である。
図7に示す電子部品2は、実装面11を有する電子部品本体10と、第1の焼付電極21と、第2の焼付電極22とを備えている。第1の焼付電極21及び第2の焼付電極22は、電子部品本体10の実装面11に、互いに離間して設けられている。
【0069】
図7に示すように、第1の焼付電極21と第2の焼付電極22との間には、実装面11側から見た平面視において、第1の焼付電極21の一部、及び、第2の焼付電極22の一部と重なるように、電子部品本体10の内部に向かって凹む凹部30が形成されている。言い換えると、第1の焼付電極21の一部、及び、第2の焼付電極22の一部は、凹部30内に位置している。また、凹部30内の第1の焼付電極21及び第2の焼付電極22は、電子部品本体10の内部に向かって凹んでいる。
【0070】
図7に示す電子部品2は、凹部30内に設けられたセラミック層50をさらに備えている。セラミック層50は、電子部品本体10の内部に向かって凹んでおり、かつ、凹部30上の第1の焼付電極21の少なくとも一部、及び、凹部30上の第2の焼付電極22の少なくとも一部を覆っている。
【0071】
本発明の第2実施形態に係る電子部品においては、凹部内にセラミック層が設けられ、該セラミック層は、電子部品本体の内部に向かって凹んでおり、かつ、凹部上の第1の焼付電極の少なくとも一部、及び、凹部上の第2の焼付電極の少なくとも一部を覆っている。これによって、2つの焼付電極の露出面の間隔(
図7中、両矢印W
1で示す長さ)を焼付電極の間隔(
図7中、両矢印W
2で示す長さ)よりも長くすることができる。したがって、焼付電極同士のブリッジを抑制することができる。
【0072】
本発明の第2実施形態に係る電子部品において、セラミック層は、凹部上の第1の焼付電極の全部を覆っていてもよいし、凹部上の第1の焼付電極の一部を覆っていてもよい。同様に、セラミック層は、凹部上の第2の焼付電極の全部を覆っていてもよいし、凹部上の第2の焼付電極の一部を覆っていてもよい。セラミック層が凹部上の第1の焼付電極を覆う範囲は、セラミック層が凹部上の第2の焼付電極を覆う範囲と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0073】
本発明の第2実施形態に係る電子部品において、セラミック層を構成するセラミック材料としては、例えば、電子部品本体を作製するためのセラミックグリーンシートに含有されるセラミック材料と同じセラミック材料を用いることができる。また、セラミック層を構成するセラミック材料は、アルミナ等の金属酸化物であってもよい。
【0074】
本発明の第2実施形態に係る電子部品において、セラミック層の厚みは特に限定されないが、
図7に示すように、凹部の外側に向かって薄くなることが好ましい。セラミック層の端部が細くなっていると、セラミック層の端部が角張っている場合と比べてクラックの起点となりにくいため、セラミック層が焼付電極から剥がれにくくなる。このような形状を有するセラミック層は、セラミックペーストを用いて、スクリーン印刷等の方法によって電子部品本体に印刷することによって得られる。
【0075】
本発明の第2実施形態に係る電子部品において、第1の焼付電極及び第2の焼付電極の構成は、本発明の第1実施形態と同じである。
【0076】
本発明の第2実施形態に係る電子部品において、第1の焼付電極の厚み、及び、第2の焼付電極の厚みは特に限定されないが、
図7に示すように、凹部の内側に向かって薄くなることが好ましい。
【0077】
図8は、本発明の第2実施形態に係る電子部品の別の一例を模式的に示す断面図である。
図8に示す電子部品2aでは、第1の焼付電極21の上面に第1のめっき電極41が設けられ、第2の焼付電極22の上面に第2のめっき電極42が設けられている。第1のめっき電極41の一部、及び、第2のめっき電極42の一部は、凹部30内に位置している。また、凹部30内の第1のめっき電極41及び第2のめっき電極42は、電子部品本体10の内部に向かって凹んでいる。さらに、第1のめっき電極41及び第2のめっき電極42は、セラミック層50の一部を覆っている。
【0078】
本発明の第2実施形態に係る電子部品は、
図8に示すように、第1の焼付電極の上面に設けられた第1のめっき電極と、第2の焼付電極の上面に設けられた第2のめっき電極と、をさらに備えることが好ましい。この場合、第1のめっき電極及び第2のめっき電極のいずれか一方がセラミック層の一部を覆うことが好ましく、第1のめっき電極及び第2のめっき電極の両方がセラミック層の一部を覆うことがより好ましい。めっき電極がセラミック層の一部を覆うことによって、セラミック層が焼付電極からより剥がれにくくなる。
【0079】
本発明の第2実施形態に係る電子部品において、第1のめっき電極及び第2のめっき電極の形状及び厚み等は、特に限定されない。
【0080】
本発明の第2実施形態に係る電子部品において、凹部の構成は、本発明の第1実施形態と同じである。凹部の好ましい最大深さ、電子部品の厚みに対する凹部の最大深さの好ましい比率、焼付電極の好ましい角度、凹部の好ましい幅についても、本発明の第1実施形態と同じである。
【0081】
本発明の第2実施形態に係る電子部品において、電子部品本体の構成は特に限定されないが、本発明の第1実施形態と同様に、電子部品本体は、実装面側から見た平面視において、凹部の下方に、誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極層を含む受動素子部を有することが好ましい。
【0082】
本発明の第2実施形態に係る電子部品において、電子部品本体の内部には、実装面に設けられた焼付電極と接続されるビア電極が設けられていてもよい。
【0083】
本発明の第2実施形態に係る電子部品は、好ましくは、以下のように製造される。
本発明の第2実施形態に係る電子部品の製造方法は、第1の導電性ペースト層及び第2の導電性ペースト層を形成する工程の後、上記第1の導電性ペースト層と上記第2の導電性ペースト層との間に、上記第1の導電性ペースト層の一部、及び、上記第2の導電性ペースト層の一部を覆うようにセラミックペーストを塗布することにより、セラミックペースト層を形成する工程をさらに備え、上記樹脂ペースト層を形成する工程では、少なくとも上記セラミックペースト層の一部を覆うように上記樹脂ペーストを塗布する。その他の工程は、本発明の第1実施形態と同様である。
上記の方法により、セラミック層を形成することができるとともに、凹部を形成することもできる。
【0084】
本発明の第2実施形態に係る電子部品の製造方法は、未焼成の積層複合体を焼成する工程の前に、未焼成の積層複合体の表面をバレル研磨する工程をさらに備えることが好ましい。
【0085】
【0086】
本発明の第1実施形態と同様に、
図9Aに示すように、未焼成の電子部品本体において実装面111となるべき面、すなわち、積層後に表面に配置されるセラミックグリーンシートの表面に、所望の形状に導電性ペーストを塗布することにより、第1の焼付電極となるべき第1の導電性ペースト層121、及び、第2の焼付電極となるべき第2の導電性ペースト層122を形成する。なお、第1の導電性ペースト層121及び第2の導電性ペースト層122は、セラミックグリーンシートを積層した後に形成してもよい。
【0087】
次に、
図9Bに示すように、第1の導電性ペースト層121と第2の導電性ペースト層122との間に、第1の導電性ペースト層121の一部、及び、第2の導電性ペースト層122の一部を覆うようにセラミックペーストを塗布することにより、セラミックペースト層150を形成する。セラミックペースト層150は、例えば、電子部品本体を作製するためのセラミックグリーンシートに含有されるセラミック材料、及び、有機ビヒクル等を含有するセラミックペーストを用いて、スクリーン印刷等の方法によって形成することができる。電子部品本体を作製するためのセラミックグリーンシートに含有されるセラミック材料に代えて、アルミナ等の金属酸化物を使用してもよい。
【0088】
続いて、
図9Cに示すように、少なくともセラミックペースト層150の一部を覆うように樹脂ペーストを塗布することにより、樹脂ペースト層130を形成する。樹脂ペーストは、電子部品本体を凹ませる形状に応じて、所望の形状に塗布すればよい。
図9Cに示すように、樹脂ペースト層130は、セラミックペースト層150で覆われていない第1の導電性ペースト層121の一部、及び、第2の導電性ペースト層122の一部を覆ってもよい。
【0089】
本発明の第1実施形態と同様に、複数のセラミックグリーンシートを積層することにより、
図9Dに示すように、第1の導電性ペースト層121、第2の導電性ペースト層122、セラミックペースト層150、及び、樹脂ペースト層130が実装面111に形成された未焼成の電子部品本体110が得られる。
【0090】
得られた未焼成の電子部品本体110を圧着することにより、
図9Eに示すように、実装面111が平坦化された未焼成の積層複合体220が得られる。未焼成の積層複合体220では、第1の導電性ペースト層121、第2の導電性ペースト層122、セラミックペースト層150、及び、樹脂ペースト層130が埋没している。
【0091】
必要に応じて、ダイサー又はマイクロカッター等を用いて未焼成の積層複合体をカットすることにより、チップ状に個片化してもよい。
【0092】
上述のとおり、焼成前に、未焼成の積層複合体の表面をバレル研磨することが好ましい。バレル研磨により、未焼成の積層複合体の角部及び稜線部に丸みが付けられる。
【0093】
その後、本発明の第1実施形態と同様に、未焼成の積層複合体を焼成する。これによって、
図9Fに示すように、電子部品本体10と、電子部品本体10の実装面11に設けられた第1の焼付電極21と、電子部品本体10の実装面11に、第1の焼付電極21と離間して設けられた第2の焼付電極22と、セラミック層50と、を備える電子部品2が得られる。
【0094】
焼成する際の熱によって、樹脂ペースト層は焼失する。その結果、
図9Fに示すように、第1の焼付電極21と第2の焼付電極22との間には、実装面11側から見た平面視において、第1の焼付電極21の一部、及び、第2の焼付電極22の一部と重なるように、電子部品本体10の内部に向かって凹む凹部30が形成される。また、凹部30内に設けられたセラミック層50は、電子部品本体10の内部に向かって凹んでおり、かつ、凹部30上の第1の焼付電極21の少なくとも一部、及び、凹部30上の第2の焼付電極22の少なくとも一部を覆っている。
【0095】
焼成後の電子部品に対して、電解めっき又は無電解めっきを施すことによって、焼付電極の上面にめっき電極を形成してもよい。
【0096】
[その他の実施形態]
本発明の電子部品、及び、電子部品の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、電子部品の構成、製造条件等に関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0097】
本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る電子部品では、凹部は、第1の焼付電極の一部、及び、第2の焼付電極の一部の両方と重なるように形成されているが、第1の焼付電極の少なくとも一部、及び、第2の焼付電極の少なくとも一部のうち、少なくとも一方と重なるように形成されていればよい。
【0098】
本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る電子部品の製造方法では、第1の導電性ペースト層の一部、及び、第2の導電性ペースト層の一部の両方を覆うように樹脂ペーストを塗布しているが、第1の導電性ペースト層の少なくとも一部、及び、第2の導電性ペースト層の少なくとも一部のうち、少なくとも一方を覆うように樹脂ペーストを塗布すればよい。
【0099】
本発明の第2実施形態に係る電子部品では、セラミック層は、凹部上の第1の焼付電極の少なくとも一部、及び、凹部上の第2の焼付電極の少なくとも一部の両方を覆うように設けられているが、凹部上の第1の焼付電極の少なくとも一部、及び、凹部上の第2の焼付電極の少なくとも一部のうち、少なくとも一方を覆うように設けられていればよい。
【0100】
本発明の第2実施形態に係る電子部品の製造方法では、第1の導電性ペースト層の一部、及び、第2の導電性ペースト層の一部の両方を覆うようにセラミックペーストを塗布しているが、第1の導電性ペースト層の一部、及び、第2の導電性ペースト層の一部のうち、少なくとも一方を覆うようにセラミックペーストを塗布すればよい。
【0101】
また、本発明の電子部品の製造方法においては、積層複合体を焼成した後に、バレル研磨を行ってもよい。
【符号の説明】
【0102】
1,1a,1b,2,2a,100 電子部品
10 電子部品本体
11 電子部品本体の実装面
12 受動素子部
21 第1の焼付電極
22 第2の焼付電極
30 凹部
41 第1のめっき電極
42 第2のめっき電極
50 セラミック層
110 未焼成の電子部品本体
111 未焼成の電子部品本体の実装面
121 第1の導電性ペースト層
122 第2の導電性ペースト層
130 樹脂ペースト層
150 セラミックペースト層
210,220 未焼成の積層複合体
S,S0 固着面積
W1 焼付電極の露出面の間隔
W2 焼付電極の間隔
θ 焼付電極の角度