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特許7131742血管プロテーゼを受容し、その展開を補助するための柔軟部材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】血管プロテーゼを受容し、その展開を補助するための柔軟部材
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20220830BHJP
【FI】
A61F2/966
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019508843
(86)(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 US2017054000
(87)【国際公開番号】W WO2018064325
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】62/401,628
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399125104
【氏名又は名称】メリット・メディカル・システムズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Merit Medical Systems,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン モウアー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アダムス
(72)【発明者】
【氏名】ジーク イラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ホール
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー シンドリッチ
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0066128(US,A1)
【文献】特開2016-32769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0256306(US,A1)
【文献】特表平7-502673(JP,A)
【文献】国際公開第2014/162400(WO,A1)
【文献】国際公開第02/068037(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/966
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテーゼ送達カテーテルアセンブリであって、
外部シースと、
前記外部シース内に配設された内部シースと、
前記内部シースの外部表面の一部分を包囲し、拘束されたプロテーゼに係合するように構成された柔軟部材と、
前記外部シースに動作可能に連結し、前記外部シースを拘束されたプロテーゼに対して離散的な増分で近位に変位させて、前記拘束されたプロテーゼを部分的に展開するように構成されたアクチュエータと、
複数の係合ハウジングラグを有するハウジングと、
前記外側シースに連結し、ハウジング係合アームと、前記ハウジング係合アームの遠位端に設けられる角度をなす部分と、を有するキャリアと、
を備え、
前記角度をなす部分は前記ハウジング係合アームに対して斜めに配置され、
前記キャリアの前記ハウジング係合アームの遠位端に設けられた前記角度をなす部分が前記係合ハウジングラグと係合し前記キャリアの遠位の移動を阻止する、プロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記柔軟部材のデュロ硬度が、ショアAスケールで10以上、60以下である、請求項1に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記柔軟部材が、シリコーン、ポリエーテルブロックアミド、又は熱可塑性エラストマのうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記柔軟部材の壁厚が、12.7マイクロメートル以上、1270マイクロメートル以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記柔軟部材が、前記内部シースの円周の周囲に配設されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記柔軟部材の長さが、前記拘束されたプロテーゼの長さ以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記柔軟部材の長さが、前記拘束されたプロテーゼの長さ以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記柔軟部材が、前記拘束されたプロテーゼの長さに沿って長手方向に連続する、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記柔軟部材が、前記拘束されたプロテーゼの内側表面に沿って周方向に連続する、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記内部シースと前記外部シースとの間に配設された環状空間を更に備え、前記柔軟部材が、前記環状空間内に配設されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記内部シース及び前記柔軟部材の各々に対する前記外部シースの近位の変位が、前記プロテーゼを少なくとも部分的に展開するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記柔軟部材が、前記拘束されたプロテーゼの長手方向の変位を制限するように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記内部シースと前記外部シースとの間に配設された中間シースを更に備え、前記中間シースの遠位端が、前記柔軟部材の近位に配設されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項14】
前記外部シース及び前記内部シースが、アクチュエータに動作可能に連結されており、前記アクチュエータの変位が、前記内部シースに対して前記外部シースを変位させて、前記プロテーゼを少なくとも部分的に展開するように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記プロテーゼが、ステントである、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロテーゼ送達カテーテルアセンブリ。
【請求項16】
展開装置を準備する方法であって、
外部シース、及び前記外部シース内に配設された内部シース、を備える、送達カテーテルアセンブリを得ることと、
前記内部シースの表面の少なくとも一部分にプロテーゼに係合するように構成された柔軟部材をコーティングすることを含み、
前記送達カテーテルアセンブリは、
前記外部シースに動作可能に連結し、前記外部シースを拘束されたプロテーゼに対して離散的な増分で近位に変位させて、前記拘束されたプロテーゼを部分的に展開するように構成されたアクチュエータと、
複数の係合ハウジングラグを有するハウジングと、
前記外側シースに連結し、ハウジング係合アームと、前記ハウジング係合アームの遠位端に設けられる角度をなす部分と、を有するキャリアと、
を備え、
前記角度をなす部分は前記ハウジング係合アームに対して斜めに配置され、
前記キャリアの前記ハウジング係合アームの前記遠位端に設けられた前記角度をなす部分が前記係合ハウジングラグと係合し前記キャリアの遠位の移動を阻止する、方法。
【請求項17】
前記柔軟部材の周囲に前記プロテーゼを位置付けることと、
前記柔軟部材の周囲に前記プロテーゼを拘束することと、を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記プロテーゼが前記柔軟部材の周囲に拘束されるように、前記プロテーゼ上に前記外部シースを配設することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記柔軟部材が、浸漬、噴霧、押出、又は再流動のうちの少なくとも1つによって前記内部シースの少なくとも一部の表面上にコーティングされている、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2016年9月29日に出願された米国仮出願第62/401,628号、表題「PLIANT MEMBERS FOR RECEIVING AND AIDING IN THE DEPLOYMENT OF VASCULAR PROSTHESES」の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、医療用装置に関する。より具体的には、本開示は、ステント及びステントグラフトなどの自己拡張型血管プロテーゼのための展開装置を含む、血管プロテーゼ展開装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本明細書に開示される実施形態は、添付の図面と併用して、以下の記載及び添付の特許請求の範囲からより完全に明白となるであろう。これらの図面は、典型的な実施形態のみを描写しており、それらの実施形態は、図面と関連付けて追加の特異性及び詳細と共に記載されるであろう。
図1】展開装置の斜視図である。
図2図1の展開装置の一部分の断面図である。
図3A図1及び図2の展開装置のラチェット摺動部構成要素の斜視図である。
図3B図3Aのラチェット摺動部の断面図である。
図4図1及び図2の展開装置のキャリア構成要素の側面図である。
図5図1及び図2に示した展開装置の別の部分の断面図である。
図6図1及び図2に示した展開装置の更に別の部分の断面図である。
図7】本明細書に記載される特定の横断面を例示している図1の展開装置の正面図である。
図8図1の展開装置の安全部材の斜視図である。
図9図1の展開装置の送達カテーテルアセンブリの一部分の側面図である。
図10図1の展開器具の送達カテーテルアセンブリの別の部分の側面図である。
図11A】展開装置の別の実施形態の斜視図である。
図11B】平面11B-11Bに沿った図11Aの展開装置の送達カテーテルアセンブリの一部分の断面図である。
図11C】平面11C-11Cに沿った図11Aの展開装置の送達カテーテルアセンブリの一部分の断面図である。
図11D図11Aの展開器具の送達カテーテルアセンブリの別の部分の側面図である。
図12A】第1の状態のプロテーゼを有する図11Aの展開装置の送達カテーテルアセンブリの更に別の部分の側面図である。
図12B】第2の状態の図12Aの送達カテーテルアセンブリの部分の側面図である。
図12C】第3の状態の図12Aの送達カテーテルアセンブリの部分の側面図である。
図13A】送達カテーテルアセンブリの別の実施形態の一部分の断面図である。
図13B図13Aの送達カテーテルアセンブリの部分の側面図であり、外部シースが取り外されている。
図14】展開装置の別の実施形態の斜視図である。
図15図14の展開装置の一部分の断面図である。
図16A図14及び図15の展開装置のラチェット摺動部構成要素の斜視図である。
図16B図16Aのラチェット摺動部の断面図である。
図17図14及び図15の展開装置のキャリア構成要素の側面図である。
図18図14及び図15に示した展開装置の別の部分の断面図である。
図18A図18に示した展開装置の一部分の部分破断図である。
図19図14及び図15に示した展開装置の更に別の部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
展開装置は、患者の体内のある位置に医療器具を送達し、その医療器具を患者の体内で展開するように構成することができる。本明細書で引用される具体的な例は血管構造内の装置の展開を指し得るが、同様の概念及び装置を、胃腸管内(例えば、食道、腸、胃、小腸、結腸、及び胆管内を含む)、呼吸器系(例えば、気管、気管支、肺、鼻腔、及び洞内を含む)、又は体内、体腔内(例えば、尿管、尿道、及び/若しくは上述した内腔のいずれか)並びに他の身体構造内の両方の任意の他の位置での医療器具の配置及び展開を含む、体内の様々な他の位置で使用することができる。
【0005】
更に、本明細書の具体的な例は、ステントなどの血管プロテーゼの展開を指し得るが、ステント、ステントグラフト、シャント、グラフト等を含む多種多様な医療器具の展開は本開示の範囲内にある。更に、本明細書に開示される展開装置は、展開時に体腔内で拡張するように構成されたステントを含む自己拡張型医療器具を送達かつ展開するように構成され得る。
【0006】
本明細書で使用する場合、医療器具の送達とは、一般に、医療器具の体腔に沿った治療部位への変位を含む体内における医療器具の配置を指す。例えば、送達は、けん縮したステントの挿入部位から治療位置までの血管内腔に沿った変位を含む。医療器具の展開とは、医療器具が治療のポイントで身体と相互作用するように、体内での医療器具の配置を指す。例えば、展開は、ステントが拡張して血管構造の内腔と接触するように、けん縮されたか、さもなければ拘束された自己拡張型ステントを展開装置から取り外すことを含む。
【0007】
本開示の範囲内の展開装置は、医療器具を徐々に展開させるように構成されてもよい。徐々に起こる展開は、展開中に施術者に提供される制御の程度に起因して、医療器具の所望の配置を容易にすることができる。施術者は、例えば、ステントの残りの部分を展開する前に、ステントの一部を展開し、血管構造内の配置を調整するか、又はステントの位置を確認したいと望む場合がある。このようなプロセスは、ステントが完全に展開されるまで、施術者がステントの一部を展開し、配置を確認し、追加の部分を展開し、配置を再度確認するなど、反復的であり得る。
【0008】
本開示の範囲内の展開装置は、医療器具が展開された程度に関する視覚、可聴、触覚、又は他のフィードバックを提供するように構成することができる。複数タイプのフィードバックは、医療器具の位置又は展開の程度に関する複数の表示により、処置に対する施術者の制御のレベルを向上させることができる。
【0009】
更に、本開示の範囲内の展開装置は、例えば、装置を展開するために使用される力を減少させるためのレバーの使用を通して、展開中にある程度の機械的利点を提供することができる。したがって、機械的利点は、使用中のユーザの快適性及び制御のレベルを増加させることができる。また更に、本開示の範囲内の展開装置は、人間工学的に設計され得、施術者が手又は体を再度位置付けることなく、装置に直接係合し、装置を利用することができるように配設された作動入力を提示する。本開示の範囲内の展開装置は、片手で作動するようにも構成され得、左右どちらの手でも使用するように構成され得る。
【0010】
本明細書において一般に記載され、図において図示される本実施形態の構成要素は、多種多様の構成で配置され設計され得ることが容易に理解される。したがって、図に表される様々な実施形態の以下のより詳細な記載は、本開示の範囲を制限するものではなく、単に様々な実施形態を表す。実施形態の様々な態様が図面で提示される一方で、図面は、具体的に示されない限りは縮尺に合わせて描かれているとは限らない。
【0011】
「に接続される」及び「に連結される」という句は、機械的、電気的、磁気的、電磁気的、流体的、及び熱的相互作用を含む2つ又は3つ以上の実体の相互作用の任意の形態を指す。2つの構成要素は、それらが互いに直接接触していないとしても、互いに連結されている場合がある。例えば、2つの構成要素は、中間構成要素を介して互いに連結され得る。
【0012】
「近位」及び「遠位」という方向を示す用語は、医療用装置上の反対側の位置を指すように本明細書で使用される。装置の近位端は、施術者による装置の使用時に、施術者に最も近い装置の端と定義される。遠位端は、装置の長手方向に沿って近位端と反対側の端部、又は施術者から最も遠い端である。
【0013】
ここでも、以下で具体的に説明する実施形態は、ステント展開装置を具体的に参照しているが、以下に説明する概念、装置、及びアセンブリは、体内の多種多様な位置に広範囲の医療器具を展開するのに同様に適用可能である。
【0014】
図1は、展開装置100の斜視図である。展開装置100は、展開装置100の近位端に隣接するハンドルアセンブリ102を備える。細長い送達カテーテルアセンブリ104は、ハンドルアセンブリ102から、遠位先端部又は送達先端部174まで遠位に延在する。ハンドルアセンブリ102は、施術者が送達カテーテルアセンブリ104内に配設されたステントを展開し、ないしは別の方法で操作することを可能にするように構成された1つ又は2つ以上の構成要素を用いて近位のユーザ入力を提供することができる。
【0015】
使用中に、ハンドルアセンブリ102は、患者の体外に配設することができる一方、送達カテーテルアセンブリ104は、患者の体内の治療位置まで前進される。例えば、送達カテーテルアセンブリ104は、挿入部位(例えば、大腿部又は頚部挿入部位など)から血管構造内の治療位置まで前進させることができる。以下で更に詳細に説明するように、送達カテーテルアセンブリ104は、血管構造の解剖学的構造内の湾曲部、旋回部、又は他の構造を通って前進されるように構成することができる。ここでもまた、以下で詳述するように、ステントは、施術者がハンドルアセンブリ102の1つ又は2つ以上の構成要素の操作を通して、送達カテーテルアセンブリ104の遠位端からステントを展開することができるように、送達カテーテルアセンブリ104の一部分内に配設されてもよい。
【0016】
図2は、図1の展開装置100の一部分の断面図である。具体的には、図2は、図1の展開装置100の一部分の側面図であり、展開装置100が図1に示すように位置付けられるときに、展開装置100の長手方向軸に垂直に延在し、かつこれと交差する横断面を通って取られたものである。展開装置100の長手方向軸は、図2に示した中間シース160などのハンドルアセンブリ102と重なる送達カテーテルアセンブリ104の構成要素の中心に沿うなど、送達カテーテルアセンブリ104の中心に沿って延在する。
【0017】
ハンドルアセンブリ102は、ユーザによって握持され、ないしは別の方法で操作されるように構成され、また送達カテーテルアセンブリ104は、患者の体内の治療位置まで長手方向軸に沿って延在するように構成されるために、送達カテーテルアセンブリ104は、ハンドルアセンブリ102から離れる方向に遠位方向に延在する。近位方向は、送達先端部174からハンドルアセンブリ102に向かって延在している長手方向軸に沿って画定された方向に相関して反対である。
【0018】
図2は、断面図によって露出されたハンドルアセンブリ102の種々の内部構成要素を示す。送達カテーテルアセンブリ104の一部分は、ハンドルアセンブリ102から延在するようにも示されている。ハンドルアセンブリ102は、ハウジング110を備える。ハウジング110は、図示するように、施術者のための把持面を提供する、ハンドルアセンブリ102の特定の構成要素を包囲する。
【0019】
ハウジング110は、アクチュエータ120に動作可能に連結する。以下で更に詳細に説明するように、ハウジング110に対するアクチュエータ120の操作は、ステントを展開させるように構成することができる。図示された実施形態では、アクチュエータ120は、ピン112によってハウジング110に回転可能に連結する。ピン112は、ハウジング110から延在し、またハウジング110の1つ又は2つ以上の他の部分と一体に形成されてもよい。図示するように、ピン112は、アクチュエータ120内のピン孔122を通って延在する。
【0020】
アクチュエータ120とハウジング110とを動作可能に連結するための他の配置もまた、本開示の範囲内である。例えば、ピン112は、アクチュエータ120の一部分と一体に形成され得、また、ハウジング110に形成された開口部、スリーブ、又は孔に受容され得る。ヒンジなどの別個の連結構成要素を含む他のタイプの回転可能な連結具の設計もまた、本開示の範囲内である。また更に、変形可能なフランジなどのコンプライアント機構を利用して、アクチュエータ120、ハウジング110、又はその両方と一体的に形成されたコンプライアント連結具を含む、アクチュエータ120とハウジング110とを回転可能に連結してもよい。更に、アクチュエータ(アクチュエータ120など)をハウジング(ハウジング110など)に摺動可能に連結することは、本開示の範囲内である。アクチュエータ120がハウジング110に対して回転、平行移動、又は他の変位を通して操作される構成は、全て本開示の範囲内である。
【0021】
アクチュエータ120は、孔122から延在する入力部121を備える。図示した実施形態では、入力部121は、ハウジング110に対して少なくとも部分的に露出した表面を備える。動作の際に、ユーザは、図2の「入力」と表記された矢印によって示される入力部121に力を及ぼすことによってアクチュエータ120を操作し、展開装置(図1の100)の概ね長手方向軸に向かって入力部121を変位させ、アクチュエータ120をハウジング110に対してピン112を中心として回転させることができる。「入力」と表記された矢印によって示されるような力によるアクチュエータ120の変位は、アクチュエータ120の「押し下げ」又は「ハウジング110に対するアクチュエータ120の押し下げ」に相当する。
【0022】
アクチュエータ120は、ピン孔122から延在する搬送アーム123を更に備えてもよい。搬送アーム123は、搬送アーム123及び入力部121の両方がアクチュエータ120の残りの部分と一体的に形成される実施形態など、入力部121に強固に連結してもよい。搬送アーム123は、ラチェット摺動係合部124まで延在している。「入力」と表記された矢印によって示された方向における入力部121の押し下げは、アクチュエータ120がピン112を中心として回転すると、搬送アーム123を変位させる。
【0023】
したがって、入力部121の押し下げは、ラチェット摺動係合部124をハウジング110に対して変位させる。ラチェット摺動係合部124のこの変位は、近位平行移動構成要素及び垂直平行移動構成要素を有するピン112を中心とした回転として理解することができ、入力部121が「入力」と表記された矢印によって示される方向に回転すると、(ハウジング110に対して)ラチェット摺動係合部124を近位方向及び垂直方向の両方に変位させるであろう。
【0024】
ばね115は、アクチュエータ120とハウジング110との間に配設されてもよい。ばね115は、「入力」と表記された矢印によって示される方向のアクチュエータ120の変位に抵抗するように構成されてもよく、またユーザがそれを押し下げた後に、アクチュエータを図2に示す相対位置に戻すように構成されてもよい。ハンドルアセンブリ102が拘束されていないとき、ばね115は、したがって、図2に示すように、ハウジング110に対するアクチュエータ120の相対位置を維持する(又は相対位置に戻す)ことができる。
【0025】
図示した実施形態では、ばね115は、アクチュエータ120のばね出っ張り部125及びハウジング110のばね突起部111と係合する。ばね突起部111は、ハンドルアセンブリ102の移動可能な内部構成要素(以下に更に詳述するキャリア140など)からオフセットされたばね115のための軸受面を提供することができる。図示した実施形態では、3つのばね突起部111が示されているが、より多い又はより少ない数の突起部、又は隆起部、出っ張り部、肩部などの他の形状の使用も本開示の範囲内である。
【0026】
図示した実施形態は、板ばね115を含む。コイルばね、ピストンアセンブリ、コンプライアント機構などの他の付勢要素なども同様に本開示の範囲内である。場合によっては、ハウジング110及びアクチュエータ120の一方又は両方のコンプライアント部分は、ばね115によって提供されるものと同様の付勢力を提供することができる。ばね115などの板ばねは、アクチュエータ120がハウジング110に対して回転するか又は押し下げられるときに、ばね115の圧縮に係わらず、比較的一定の付勢力を提供するように構成することができる。
【0027】
アクチュエータ120がハウジング110に対して押し下げられると、ばね115が圧縮し、ラチェット摺動係合部124が上述のように変位する。ここでも、ハウジング110に対するラチェット摺動係合部124の変位は、近位構成要素及び垂直構成要素を有するものとして理解することができる。
【0028】
ラチェット摺動係合部124は、ラチェット摺動係合部124の変位が同様にラチェット摺動部130を変位させるように、ラチェット摺動部130に動作可能に連結してもよい。ラチェット摺動部130は、ラチェット摺動部130がハウジング110に対して近位又は遠位にのみ変位するように構成されるように拘束されてもよい。したがって、ラチェット摺動係合部124のラチェット摺動部130への動作可能な連結は、ラチェット摺動係合部124の変位の近位又は遠位の構成要素のみがラチェット摺動部130に搬送されるように、ラチェット摺動係合部124とラチェット摺動部130との間の摺動相互作用を可能にし得る。別の言い方をすれば、ラチェット摺動部130は、展開装置100の長手方向軸に平行な方向に変位してもよく、一方、入力変位は展開装置100の長手方向軸に対して所定の角度であってもよい。図2に示す構成では、安全部材180が、ラチェット摺動部130の近位の変位を防止することができることに留意されたい。安全部材180(その取り外しを含む)は、以下でより詳細に論じられる。ラチェット摺動部130及び関連構成要素の変位に関する本明細書の論議は、したがって、安全部材180が取り外されているハンドルアセンブリ102の構成に関する開示として理解することができる。
【0029】
アクチュエータ120がハウジング110に対して押し下げられると、ラチェット摺動部130は、したがって、ハウジング110に対して近位に変位することができる。ラチェット摺動部130及びアクチュエータ120の一方又は両方もまた、アクチュエータ120の押し下げ及び/又はラチェット摺動部130の近位の変位を阻止するために積極的な停止部が存在するように、ハウジング110と相互作用することができる。この積極的な停止部は、ハウジング110に一体的に形成された特徴部を含む、係合出っ張り部、肩部、ラグ、戻り止め、又はハウジング110に連結した他の特徴部であってもよい。
【0030】
アクチュエータ120のフルストロークは、したがって、図2に示す非拘束位置から、アクチュエータ120が押し下げられたときにハウジング110との相互作用によって引き起こされる積極的な停止部までの変位に相当し得る。完全な又は部分的なストローク後のアクチュエータ120の解除は、ばね115によって提供される付勢力に起因して、アクチュエータ120を非拘束状態に戻す結果をもたらし得る。図2に示す非拘束状態は、ユーザ入力による拘束がないことを指す。この状態では、ばね115は、部分的に圧縮されてもよく、アクチュエータ120とハウジング110との間の相互作用は、アクチュエータ120が押し下げられるのと反対方向に、又は戻り方向に、ピン112を中心としてアクチュエータ120が回転するのを防止することができる。言い換えれば、アクチュエータ120とハウジング110(又はハウジング110の特徴部)との間の相互作用は、アクチュエータ120の戻り動作に対しても同様に積極的な停止部を形成することができる。
【0031】
図1及び図2の両方を参照すると、アクチュエータ120及びハウジング110は、アクチュエータ120が押し下げられ又は戻されるときに、外部材料(施術者の手又は外科用ドレープなど)の挟み込みが最小になるように連結され得る。例えば、アクチュエータ120は、ハウジング110と嵌合するように、かつハウジング110内に摺動するように構成されたシェルを備えてもよい。構成要素は互いに摺動して回転することができるが、構成要素の接合面は、外部材料の挟み込み又は他の係合を最小にするために、十分に接近し及び/又は滑らかであり得る。この接近した及び/又は滑らかな接合面は、アクチュエータ120がハウジング110内に変位させられる際のアクチュエータ120の縁部での相互作用、及び/又はアクチュエータ120が非拘束位置に戻った際のピン112付近のアクチュエータ120の一部での相互作用を指してもよい。
【0032】
また図1及び図2に示すように、アクチュエータ120の入力部121は、使用中にアクチュエータ120の取り扱い又は把持を容易にするための隆起部又は他の特徴部を備えることもできる。
【0033】
再び図2を参照すると、ラチェット摺動部130は、したがって、アクチュエータ120が押し下げられている間に近位に変位させることができる。ここでも、そのような変位は、図2に示される安全部材180が取り外された構成に相当し得る。ラチェット摺動部130の近位の変位はまた、ラチェット摺動部130上の1つ又は2つ以上のキャリア係合ラチェットラグ136と、キャリア140に連結するラチェット摺動係合アーム146との間の相互作用により、キャリア140を近位に変位させることができる。
【0034】
図3Aは、図1及び図2の展開装置100のラチェット摺動部130の斜視図である。図3Bは、図3Aのラチェット摺動部130の断面図であり、ラチェット摺動部130の長手方向中心線に沿って配設された垂直面を通って取られている。ラチェット摺動部130が図2のハンドルアセンブリ102内に配設されると、この横断面は展開装置100の長手方向軸と交差するであろう。
【0035】
図2図3A、及び図3Bに示すように、ラチェット摺動部130は、複数のキャリア係合ラチェットラグ136を備えてもよい。キャリア係合ラチェットラグ136は、ラチェット摺動部130の長手方向に沿って等間隔で離間配置されてもよい。これらの図では、例示的なキャリア係合ラチェットラグを参照番号136で示し、一方、ラチェット摺動部130の遠位端に配設された最も遠位のキャリア係合ラチェットラグを参照番号136aで示している。
【0036】
ラチェット摺動部130は、ラチェット摺動安全開口部139とアクチュエータ係合開口部134とを更に備える。これらの特徴部については以下により詳細に説明する。
【0037】
上述のように、アクチュエータ120のラチェット摺動係合部124とラチェット摺動部130との間の相互作用は、ラチェット摺動部130をハウジング110に対して近位に変位させることができる。キャリア140とキャリア係合ラチェットラグ136のうちの1つとの間の係合はまた、ラチェット摺動部130がハウジング110に対して近位に変位されるとき、キャリア140も近位に変位させることができる。図2の構成において、キャリア140のラチェット摺動係合アーム146は、最も遠位のキャリア係合ラチェットラグ136aと係合している。
【0038】
図4は、図1及び図2の展開装置100のキャリア140の側面図である。図4に示すように、ラチェット摺動係合アーム146は、キャリア140の長手方向軸から離れる方向に径方向に延在している。キャリア140が図2のハンドルアセンブリ102内に配設されるとき、キャリア140の長手方向軸は、展開装置100の長手方向軸に沿って配設される。
【0039】
図5は、図1及び図2に示した展開装置100の一部分の断面図である。具体的には、アクチュエータ120、ラチェット摺動部130、及びキャリア140は、図2と同じ相対位置で、かつ図2と同じ横断面に沿って図5で示されている。
【0040】
図2~5を参照すると、アクチュエータ120がハウジング110に対して押し下げられている間、アクチュエータ120はピン孔122を中心として回転する。この回転が、アクチュエータ120のラチェット摺動係合部124の変位を引き起こす。ラチェット摺動係合部124の近位の変位に相関するこの変位の構成要素はまた、アクチュエータ120のラチェット摺動係合部124とラチェット摺動部130のアクチュエータ係合開口部134との間の相互作用により、ラチェット摺動部130を近位に平行移動させる。別の言い方をすれば、アクチュエータ係合開口部134を画定する壁又は面は、アクチュエータ120が変位するときにラチェット摺動部130が変位するように、ラチェット摺動係合部124に接触してもよい。
【0041】
ラチェット摺動部130の近位の変位はまた、キャリア係合ラチェットラグ136とラチェット摺動係合アーム146との間の相互作用により、キャリア140を近位に変位させる。図示した実施形態では、ラチェット摺動係合アーム146の遠位表面は、最も遠位のキャリア係合ラチェットラグ136aの近位面と接触している。この接触は、ラチェット摺動係合アーム146の遠位表面に近位の力を及ぼし、キャリア140を近位方向に変位させる。したがって、ラチェット摺動部130及びキャリア140は、アクチュエータ120がストロークの終わりに達するまで近位に移動するであろう。
【0042】
図6は、図2に示す同じ相対位置におけるハウジング110及びキャリア140の断面図である。図6の横断面は、展開装置の長手方向軸に沿って延在している。しかしながら、図6の横断面は、図2図3B、及び図5の横断面に水平に直交に延在している。
【0043】
図6に示すように、キャリア140は、キャリア140の長手方向軸から離れる方向に径方向に延在するハウジング係合アーム148を備える。ハウジング110は、複数のキャリア係合ハウジングラグ118を備える。図6において、例示的なキャリア係合ハウジングラグは参照番号118で示され、これと共に、最も遠位にあるキャリア係合ハウジングラグは参照番号118aで示されている。
【0044】
図2図6を参照すると、アクチュエータ120とラチェット摺動部130とキャリア140との間の相互作用が、キャリア140をハウジング110に対して変位させると(図示され、また上記に述べられているように)、キャリア140のハウジング係合アーム148(図6に示す)は、キャリア係合ハウジングラグ118のうちの1つとの接触により径方向内向きに偏向する。例えば、図6に示す位置から、最も遠位のキャリア係合ラチェットラグ136aとキャリア140のラチェット摺動係合アーム146との間の相互作用がキャリア140を近位に引き寄せるとき、最も遠位のキャリア係合ハウジングラグ118aは、ハウジング係合アーム148を径方向内向きに変位させる。ハウジング係合アーム148は、ハウジング係合アーム148の遠位端が最も遠位のキャリア係合ハウジングラグ118aの近位に位置付けられるまで径方向内向きに偏向し続けて、この時点で、ハウジング係合アーム148は、図6に示す径方向外向きの構成に戻るであろう。ハウジング係合アーム148が最も遠位のキャリア係合ハウジングラグ118aの近位に移動する点は、ハウジング係合アーム148と次のキャリア係合ハウジングラグ118(近位方向に移動している)との間の係合がストロークの終わりに起こるようにアクチュエータ120のストロークに対応してもよく、これは、ラチェット摺動部130及び/又はアクチュエータ120と、ストロークの端部を画定するハウジング110上の積極的な停止部との間の接触に対応し得る。
【0045】
ストローク後にアクチュエータ120が解除されると、ばね115とハウジング110とアクチュエータ120との間の相互作用は、アクチュエータ120を上述した非拘束位置(図2に示す位置)に戻すであろう。アクチュエータ120のピン孔122を中心とした対応する回転は、したがって、遠位方向の変位の構成要素を含むラチェット摺動係合部124の変位に相関するであろう。ラチェット摺動係合部124とアクチュエータ係合開口部134との間の相互作用は、次いで、ラチェット摺動部130の遠位の変位に相関するであろう。したがって、アクチュエータ120がストロークの終わりに解除されるとき、アクチュエータ120、ばね115、及びラチェット摺動部130は、図2に示すようにハウジングに対して同じ位置に戻る。
【0046】
しかしながら、アクチュエータ120が非拘束位置に戻ると、ハウジング係合アーム148とキャリア係合ハウジングラグ118との間の相互作用は、キャリア140の遠位の変位を防止する。具体的には、ハウジング係合アーム148の遠位表面は、キャリア係合ハウジングラグ118の近位の対向面と接触することになり、キャリア140がストローク前の位置に戻ることを防止するであろう。上記にて論じられた例示的なストロークでは、最も遠位のキャリア係合ハウジングラグ118aは、ストローク中にハウジング係合アーム148を変位させ、またハウジング係合アーム148は、ストローク後に最も遠位のキャリア係合ハウジングラグ118aと係合した。その後のストロークは、キャリア140を複数のキャリア係合ハウジングラグ118に沿って近位方向に移動させる。
【0047】
アクチュエータ120が非拘束状態に戻ると、キャリア140のラチェット摺動係合アーム146の径方向内向きの変位は、キャリア140とキャリア係合ハウジングラグ118間の係合がキャリア140の遠位の変位を阻止するので、ラチェット摺動部130がキャリア140に対して遠位に移動することを可能にする。
【0048】
図2図6を参照すると、特に図5の図を参照すると、キャリア140に対するラチェット摺動部130の遠位の変位は、キャリア係合ラチェットラグ136とラチェット摺動係合アーム146との間の相互作用を形成し、ラチェット摺動係合アーム146を径方向内向きに変位させる。キャリア係合ラチェットラグ136の近位対向面は、この相互作用を容易にするために角度をなしてもよい。上述した例示的なストロークでは、最も遠位のキャリア係合ラチェットラグ136aの間の係合がキャリア140を近位方向に変位させたが、アクチュエータ120が戻っている間に、ラチェット摺動係合アーム146がキャリア係合ラチェットラグ136の近位になるまで、次のキャリア係合ラチェットラグ136(近位方向に)は、ラチェット摺動係合アーム146の径方向内向きの変位を引き起こす。ラチェット摺動係合アーム146の遠位面が、ここでは次のキャリア係合ラチェットラグ136(ここでも、近位方向に)の近位面と係合しているが、その時点でラチェット摺動係合アーム146は径方向外向きの位置(図5に示されたものに類似)に戻る。ラチェット摺動部130の、後続のキャリア係合ラチェットラグ136と係合するために移動するのに十分な変位は、アクチュエータ120の戻りに対応するラチェット摺動部130の変位の大きさに対応することができる。ストローク後のアクチュエータ120の後続の戻りは、複数のキャリア係合ラチェットラグ136がストローク後にキャリア140と連続的に係合できるようにラチェット摺動部130を移動させる。
【0049】
したがって、上述したように、フルストロークにわたってアクチュエータ120を押し下げることは、次いで、アクチュエータ120を非拘束位置に戻し、その結果、キャリア140をハウジング110に対して、長手方向に沿っての隣接するキャリア係合ハウジングラグ118間の距離に相当する離散的な増分で変位させる。アクチュエータ120及びハウジング110に関連付けられた積極的な停止部と、キャリアアーム(例えば、ラチェット摺動係合アーム146及びハウジング係合アーム148)と、ラグ(例えば、キャリア係合ハウジングラグ118及びキャリア係合ラチェットラグ136)との相互作用を組み合わせて、キャリア140が徐々に変位するにつれて、ユーザに触覚及び可聴フィードバックを与えることもできる。更に、ハウジング110内の1つ又は2つ以上の開口部は、ユーザがキャリア140の相対位置を観察することを可能にし、キャリア140の位置に関する更なるフィードバックを提供してもよい。
【0050】
以下に詳述するように、キャリア140のハウジング110に対する相対位置は、ステントの展開装置100からの展開の程度に相関し得る。したがって、キャリア140に関する視覚、可聴、及び触覚フィードバックは、ユーザに、展開装置100の使用中のステントの展開に関する情報を提供する。この情報は、施術者がステント展開の程度を迅速かつ直感的に推測することができるため、展開中の制御の増加に相関し得る。
【0051】
上で概説したように、触覚及び/又は可聴フィードバックは、キャリア140、ラチェット摺動部130、ハウジング110、及び/又はアクチュエータ120の相互作用から生じたものである。例えば、ラチェット摺動係合アーム146又はキャリア140のハウジング係合アーム148が径方向内向きに偏向し、その後外向きに戻ると、可聴及び/又は触覚応答があり得る。
【0052】
この装置は、ステントの相対的な展開の視覚フィードバックのために又はそれに関連して構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、ハウジング110は、施術者がキャリア140のハウジング110に対する位置を観察することを可能にする覗き窓を備えてもよい。更に、ハウジング110上のしるしが、キャリア140の位置をステントの展開の程度に相関させてもよい。
【0053】
キャリア140の変位の増分が、標準的なステントの長さ又は測定単位に相関してもよい。例えば、多くのステントは、1cmの増分でサイズ調整される。1cmの増分でのキャリア140の変位の増分の構成は、したがって、ステントの長さと1:1の比で直接相関させるであろう。ストロークがより長い長さ(2、3、4、又は5cmなど)若しくはより短い長さ(0.01、0.1、0.25、0.5、又は0.75cmなど)と相関する実施形態を含む任意の他の比も、同様に本開示の範囲内である。
【0054】
いくつかの実施形態では、キャリア140、ラチェット摺動部130、ハウジング110、及び/又はアクチュエータ120の相互作用は、追加のキャリア係合ラチェットラグ136及び/又はキャリア係合ハウジングラグ118を備え得る。例えば、キャリア係合ラチェットラグ136は、アクチュエータ120及び/又はハウジング110に対してラチェット摺動部130の半連続ラチェットを可能にするように離間配置され得る。このような実施形態は、図14図19に示した展開装置400に関して以下で更に詳細に記載されている。
【0055】
展開装置100は、種々のステント長さと動作可能な汎用装置として構成されてもよい。いくつかの実施形態において、施術者は、ステントを展開するのに必要とされるストロークの数を展開装置100に装填されたステントの長さとそのまま同一と見なしてもよい(4センチメートルのステントについて4ストロークなど)。更に、最大長がキャリア140の走行の最大長さに関連する状態で、展開装置100の単一の設計が、種々の長さのステントで利用されてもよい。
【0056】
アクチュエータ120の押し下げの性質は、片手での動作を容易にすることが可能であり、人間工学的に設計され得る。第1に、施術者は、アクチュエータを押し下げるのに展開装置を片手で握るだけであり、もう一方の手は他の治療ニーズに自由に動けるようになる。更に、施術者の手が展開装置の長手方向軸から離れる方向に横方向に延在する状態で展開装置が把持される方向及び例えば、作動させるために長手方向に把持することとは対照的に押し下げが横方向であることは、人間工学的に望ましい場合がある。横方向の把持及び入力は、施術者が他の治療ツールに対して不便なスタンスに移動する必要なく、送達カテーテルアセンブリ104が患者の体内に配設される場合に使用するために展開装置100をより容易に提供することができる。更に、アクチュエータ120の入力部121には、指で引き金を引くこと又は同様な作動機構と比べて、作動用の施術者の手のより大きな部分の使用を容易にする、施術者が把持するための追加の表面が設けられてもよい。
【0057】
キャリア140の変位の増分は、ステントの部分的展開を更に容易にし、施術者がステントを徐々に展開させることを可能にし、これらの増分間でステントの位置を見込み調整又は確認することができる。
【0058】
また更に、展開装置100は、展開装置100の設計を変更することなく、アクチュエータ120と接触して、右手若しくは左手のいずれかで、又は指若しくは手掌で把持して使用するように構成されてもよい。これらの特徴は、ユーザの快適性及び制御を更に増加させ得る。キャリア140に関する位置を確認するためのハウジング110の覗き窓は、ハウジング110の片側又は両側に位置してもよく、ステントの長さ又は他の因子と相関するしるしに関連付けられてもよい。
【0059】
更に、アクチュエータ120の入力部121及び搬送アーム123の相対的長さは、ステントを展開させるときに機械的利点を提供するように構成されてもよい。これは、使用中の快適性及び制御を増加させることができる。入力部121の長さ-その遠位端からピン孔122までの搬送アーム123の長さ-ピン孔122からラチェット摺動係合部124までに対する比は、1.5:1以上、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1又はそれ以上などであってもよい。この比は、本装置によって提供される機械的利点と相関する。場合によっては、提供される機械的利点は、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1又はそれ以上であってもよい。別の言い方をすれば、入力部121の走行の長さのラチェット摺動係合部124の走行の対応する長さに対する比は、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1又はそれ以上であってもよい。したがって、入力部121に対して加えられる入力の力は、ラチェット摺動部130上にラチェット摺動係合部124によって及ぼされるより大きな力を結果としてもたらすことができる。ラチェット摺動部130に及ぼされる力対入力の力の比は、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1又はそれ以上であってもよい。
【0060】
図7は、2つの横断面を例示している展開装置100の正面図である。具体的には、平面A-Aは展開装置100の長手方向軸に沿って垂直に延在し、露出された構成要素を右から左の方向に見ることができる。平面A-Aは、図2図3B、及び図5の横断面に相当する。平面B-Bもまた、展開装置100の長手方向軸から延在するが、平面B-Bは、それから水平に延在している。平面B-Bは、図6の横断面に相当し、上から下方向まで見られる。展開装置100の長手方向軸は、両平面A-A及びB-B内にあり、これらの平面間の交線として定義される線は、本明細書で言及される長手方向軸と同じ線である。
【0061】
更に、上で述べたように、展開装置100は、安全部材180を備えることができる。図8は、展開装置100の安全部材180の斜視図である。安全部材180は、展開装置100の一部の外表面上にスナップ留めするように構成された円形又は部分的に円形の開口部で構成されてもよい。図2及び図8の両方を参照すると、安全部材180は、ラチェット摺動安全開口部(図3Aの139)及びハウジング110の類似の安全開口部(図示せず)を通って延在する安全ラグ189を備えることができる。安全ラグ189がこれらの開口部内に配設されるとき、安全ラグ189は、キャリア140及びラチェット摺動部130の近位の変位を防止し、これによって、ステントの意図しない展開を防止することができる。施術者は、送達カテーテルアセンブリ104の治療領域への変位中に、安全部材180を定位置に置いたままにすることができる。キャリア140、ラチェット摺動130、及びアクチュエータ120間の相互作用のために、安全部材180は、安全ラグ189が開口部を通って延在するときに、アクチュエータ120の変位を同様に防止する。
【0062】
図示した実施形態において、安全ラグ189は、ハウジング110及びラチェット摺動部130の底部を通って延在する。他の実施形態において、安全ラグ189は、ハウジング110の上面を通って延在し得、キャリア140と相互作用するが、ラチェット摺動部130とは直接相互作用しない。それにもかかわらず、キャリア140に対するだけの近位の変位の防止は、ラチェット摺動部130及びアクチュエータ120の変位も、これらの要素間の相互作用のために防止するであろう。
【0063】
いくつかの実施形態において、安全部材180は、展開装置100につなぎ止められてもよく、又は摺動スイッチ若しくはハウジング110又は展開装置100の他の構成要素に動作可能に連結する他の要素を備えてもよい。図示した実施形態において、安全部材180は、取り外し可能に連結する。
【0064】
図9は、展開装置100の送達カテーテルアセンブリ104の一部分の側面図である。具体的には、図9は、送達カテーテルアセンブリ104の遠位セクションの側面図である。図10は、図9に示す送達カテーテルアセンブリ104の同じ長手方向セクションの側面図であるが、外部シース(図9の150)が取り外され、他の構成要素を示している。
【0065】
図1図2図9、及び図10を参照すると、送達カテーテルアセンブリ104は、上述のように展開装置100が操作されると、ステントを展開させるように構成することができる。送達カテーテルアセンブリ104は、ハンドルアセンブリ102から延在する外部シース150を備えることができる。外部シース150は、キャリア140に固定連結することができる。送達カテーテルアセンブリ104は、中間シース160と内部シース170を更に備えることができ、両方とも外部シース150内に配設され、両方ともハウジング110に固定連結する。したがって、キャリア140のハウジング110に対する近位の変位は、外部シース150を両方の中間シース160及び内部シース170に対して近位に変位させるであろう。
【0066】
外部シース150はキャリア140から遠位方向に延在するシャフトセクション156を備えることができる。シャフトセクション156の遠位端において、外部シース150は、シャフトセクション156から遠位方向に延在する屈曲ゾーン154を備えることができる。最後に、外部シース150は、屈曲ゾーン154から遠位方向に延在するポッド152を備えることができる。(図9に示すように、ポッド152は透明であってもよい。)
【0067】
外部シース150のシャフトセクション156は、屈曲ゾーン154及び/又はポッド152とは異なる剛性及び/又はデュロ硬度を有してもよい。外部シース150の遠位端に向かう可撓性は、送達カテーテルアセンブリ104のガイドワイヤ上の走行性を改善することができ、また低外傷性とすることができ、一方より硬いシャフトは、よりねじれ耐性であり、及び/又は変位並びに/若しくはトルクをシャフトセクション156に沿って伝達することができる。
【0068】
ポッド152は、けん縮された、ないしは別の方法で拘束されたステントを保持するように構成することができる。ポッド152のステントからの取り外しは、ステントが自己拡張し、これによって展開することを可能にし得る。ポッド152が任意の相対的長さであること、屈曲ゾーン154が任意の相対的長さであること、及びシャフトセクション156が任意の相対的長さであることは、本開示の範囲内である。したがって、場合によっては、拘束されたステントは、外部シース150のこれらの部分のうちの1つ、2つ、又は3つ全ての中にあってもよい。例えば、図示した実施形態において、環状空間176(以下に更に記載する)は、ポッド152並びに屈曲ゾーン154及びシャフトセクション156の一部分に沿って延在するけん縮したステントを受容するように構成されている。他の実施形態において、環状空間176は、ポッド152部分とちょうど相関してもよく、これは、装置が、けん縮したステントをポッド152の部分内だけに保持するように構成されることを意味する。
【0069】
送達カテーテルアセンブリ104の遠位先端部174は、内部シース170に連結し及び/又はこれと一体に形成されてもよい。内腔172は、展開装置100の近位端から遠位先端部174まで内部シース170に沿って延在することができる。ハウジング110に連結するルアー附属品113は、内腔172と連通することができる。ガイドワイヤは、したがって、ルアー附属品113を通って内腔172を経て延在し、遠位先端部174から出ることができる。更に、ルアー附属品113に導入された流体は、内腔172を洗い流すために利用することができる。
【0070】
内部シース170は、例えば、内部シース170の近位端で、ハウジングに固定することができる。ハウジング110にまた固定された中間シース160は、内部シース170の一部の上を延在することができる。中間シース160及び内部シース170は、互いに直接固定されてもよく、又は固定されなくともよい。いくつかの実施形態において、中間シース160は、内部シース170の上に緊密に滑り嵌めになっていてもよい。
【0071】
内部シース170は、中間シース160の遠位端を超えて遠位に延在し、中間シース160の遠位端に近位に延在する遠位先端部174に隣接して、内部シース170と外部シース150との間に環状空間176を形成する。環状空間176は、けん縮されたステントを保持するように構成することができる。
【0072】
展開装置100が、キャリア140をハウジング110に対して徐々に変位させるように操作されると、外部シース150は、内部シース170及び中間シース160に対して徐々に近位に変位される。中間シース160の遠位端は、ステントの近位端と相互作用し、ステントが外部シース150によって引き戻されることを防止する。したがって、ステントは徐々に露出され、自己拡張し展開することを可能にする。
【0073】
いくつかの実施形態において、中間シース160の流体開口162は、中間シース160の壁及び内部シース170の壁を通って延在し、内腔172と流体連通することができる。この流体開口162は、したがって、内腔172内の流体が流体開口162を通って環状空間176まで移動することができるので、環状空間176と内腔172との間の流体連通を提供することができる。この連通は、使用中に環状空間176を洗い流すために使用することができ、環状空間176内の又はけん縮したステントの周囲の空気又は他の不必要な材料を取り除くように構成されてもよい。
【0074】
遠位先端部174は、可撓性材料を含んでもよく、また非外傷性であるように構成されてもよい。遠位先端部174は、PEBAX(登録商標)ポリエーテルブロックアミドを含むナイロンを含んでもよい。
【0075】
場合によっては、ねじれ耐性及び/又は伸張を増加させるために、編組又はコイル補強材が、外部シース150、中間シース160、及び/又は内部シース170に付加されてもよい。補強用部材は、ステンレス鋼、ニチノール、又は他の材料を含んでもよく、断面が丸形状、扁平、矩形などであってもよい。
【0076】
外部シース150、中間シース160、及び/又は内部シース170のうちの1つ、2つ、又は全ては、それらの長さに沿って様々なデュロ硬度又は他の特性を有するように構成されてもよい。場合によっては、外部シース150は、ショアDスケールで72~100のデュロ硬度を有する近位セクションを有するように構成されてもよく、又はショアDスケールで100超であってもよい。外部シース150の第2の部分は、ショアDスケールで63のデュロ硬度を含んでもよく、遠位セクションは、ショアDスケールで40~55のデュロ硬度を有してもよい。これらの値のいずれか、又はこれらの範囲のいずれかの限界は、いずれかの方向で15単位まで変化してもよい。場合によっては、第2の部分は、外部シース150の遠位端から約6インチで開始するであろうし、遠位セクションは、外部シース150の遠位端から約3インチで開始するであろう。これらのセクションは、上述したシャフトセクション156、屈曲ゾーン154、及びポッド152に相当してもよく、又は相当しなくともよい。中間シース160は、硬度及び長さの同じ範囲内で様々なデュロ硬度を有するように構成されてもよい。
【0077】
内部シース170、中間シース160、及び外部シース150のうちのいずれかは、それらの長さに沿って異なるデュロ硬度又は屈曲ゾーンを有してもよく、これらのゾーンは、種々の方法で重なり合い、送達カテーテルアセンブリ104の全体に対して種々の応力/歪みプロファイルを形成することができる。このようなゾーンの重なり合いは、移行ゾーンにおけるねじれる傾向性を含む、ねじれる傾向性を低減し得る。更に、ハウジング110は、歪み解放部材116(図2に示すような)に連結してもよい。
【0078】
外部シース150、中間シース160、及び内部シース170のいずれかは、PEBAX(登録商標)ポリエーテルブロックアミドを含むナイロンから構成されてもよい。更に、製造中に、これらの部材のいずれかは、摩擦を低減するために、材料を「フロスティング」加工することを通して、押出中に材料に対して空気を吹き付けることによって、又は押出中に添加剤を使用することによってなど、低摩擦外部表面を有するように構成されてもよい。
【0079】
場合によっては、製造中に、遠位先端部174は、外部シース150との接合面に引っ張られ、内部シース170を張力でプレストレスしてもよい。これは、滅菌中の材料のクリープ又は伸張のいかなる影響も低減し、遠位先端部174を外部シース150とぴったりと入れ子状態で保つことができる。更に、製造中に、外部シース150とキャリア140との間の接合面ゾーンは、公差域を有するように構成されてもよく、これは、外部シース150が、キャリア140の内径に沿って複数の点でキャリア140に連結することができることを意味する。この公差は、組立中の製造の不一致又は変動が取り込まれることを可能にし、遠位先端部174と外部シース150との間のぴったりとした入れ子状態を確実にすることができる。同様な公差嵌合が、内部シース170及び/又は中間シース160に適用されてもよく、これらのハウジング110に連結した部材は、ルアー附属品113の内径に沿って嵌合ゾーンを含む。
【0080】
場合によっては、外部シース150は、ステントが展開された程度に相関するしるしを含んでもよい。これらのしるしは、ハウジング110に対する外部シース150の位置に相当してもよい。例えば、外部シース150がハウジング110内に引き込まれると、異なるしるしが露出及び/又は被覆される。
【0081】
更に、場合によっては、展開装置100は、展開装置100の患者からの撤退の際にステントが展開され、遠位先端部174を外部シース150内に入れ子状態にした後に、外部シース150が、遠位に変位され得るように構成されてもよい。このような構成は、ステントの展開後にキャリア140を1つ又は2つ以上の要素から係合解除するハンドルアセンブリ102の特徴部を含んでもよい。
【0082】
図11A図11Dは、ある点で上述の展開装置100に類似する、展開装置200の一実施形態を示す。したがって、同様の特徴には、同様の参照番号が、先頭の桁を「2」に増分して割り当てられている。例えば、図11A図11Dに示す実施形態は、いくつかの点で図1図9、及び図10の遠位先端部174に類似し得る遠位端部274を含む。それゆえ、同様に特定される特徴に関して上述された、関連性のある開示は、以降では繰り返されない場合がある。更に、図1図10に示される展開装置200及び関連構成要素の特有の特徴は、図面の参照番号で示されないか識別されない、又は具体的にそれ以降に記載される説明にて取り上げられない場合がある。しかしながら、そのような特徴は、他の実施形態で示される特徴、及び/又は、そのような実施形態に関して説明される特徴と、明白に同じもの、あるいは実質的に同じものとすることができる。したがって、そのような特徴の関連する記載は、図11A図11Dに示す展開装置200及び関連構成要素の特徴と同等に適用される。図1図10に図示された展開装置100及び関連構成要素に対して記載される特徴の任意の好適な組み合わせ、並びにそれらの変更例は、図11A図11Dの展開装置200及び関連構成要素と使用可能であり、逆も同様である。この開示のパターンは、後続の図に示され、かつ以降で説明される、更なる実施形態にも等しく適用されるものであり、先頭の桁を更に増分することができる。
【0083】
図11Aは、展開装置200の斜視図である。展開装置200は、展開装置200の近位端に隣接するハンドルアセンブリ202を備える。細長い送達カテーテルアセンブリ204は、ハンドルアセンブリ202から送達先端部274まで遠位に延在する。ハンドルアセンブリ202は、施術者が送達カテーテルアセンブリ204内に配設されたプロテーゼを展開し、ないしは別の方法で操作することを可能にするように構成された1つ又は2つ以上の構成要素を用いて近位のユーザ入力を提供することができる。上述のように、本明細書の具体的な例はステントなどのプロテーゼを指し得るが、血管プロテーゼ、ステント、ステントグラフト、シャント、グラフト等を含むが、これらに限定されない他のプロテーゼも本開示の範囲内にある。
【0084】
図11Bは、平面11B-11Bに沿った図11Aの展開装置200の送達カテーテルアセンブリ204の一部分の断面図である。具体的には、図11Bは、送達カテーテルアセンブリ204の遠位部分の断面図である。図11Cは、平面11C-11Cに沿った図11Aの展開装置200の送達カテーテルアセンブリ204の一部分の断面図である。図11Dは、図11Bに示す送達カテーテルアセンブリ204の同じ長手方向セクションの側面図であるが、外部シース(図11Bの250)が取り外され、他の構成要素を示している。
【0085】
図11B図11Dを参照すると、送達カテーテルアセンブリ204は、外部シース250を備え得る。送達カテーテルアセンブリ204は、中間シース260と内部シース270とを更に備え、これらの各々は、外部シース250内に配設され得る。更に、内部シース270は、中間シース260内に配設され得る。特定の実施形態では、送達カテーテルアセンブリ204は、中間シース260を欠く場合がある。いくつかの実施形態では、外部シース250は、中間シース260及び内部シース270の各々に対して変位し得る。
【0086】
外部シース250及び内部シース270の各々の間に環状空間276を配設することができる。特定の実施形態では、環状空間276又は環状空間276の一部分は、けん縮した、ないしは別の方法で拘束されたステントを受容及び/又は保持するように構成され得る。外部シース250の拘束されたステントの周囲からの取り外し又は変位は、ステントが自己拡張し、これによって展開することを可能にし得る。環状空間276が任意の相対的長さであることは本開示の範囲内である。したがって、場合によっては、拘束されたステントは、環状空間276の長さの一部分のみに沿って配設され得る。いくつかの他の例では、拘束されたステントは、環状空間276の実質的に全長に沿って配設され得る。
【0087】
様々な実施形態において、中間シース260を内部シース270に直接連結することができる。様々な他の実施形態では、中間シース260を内部シース270に直接連結することはできない。例えば、中間シース260は、内部シース270の上に緊密に滑り嵌めになっていてもよい。
【0088】
示されるように、内部シース270は、中間シース260の遠位端を越えて遠位に延在し、内部シース270と遠位先端部274に隣接する外部シース250との間に環状空間276を形成又は形作ることができる。更に、環状空間276は、遠位先端部274近くから中間シース260の遠位端近くまで近位に延在し得る。環状空間276は、けん縮又は拘束されたステントを保持するように構成され得る。
【0089】
柔軟部材290は、内部シース270を部分的に包囲してもよいし、内部シース270の周囲に配設されてもよい。図示するように、柔軟部材290を内部シース270の円周の周囲に配設することができる。例えば、柔軟部材290を内部シース270の外部表面の一部分に連結することができる。柔軟部材290を環状空間276の一部分内に配設することもできる。いくつかの実施形態では、柔軟部材290は、ステント若しくは拘束されたステントに係合し、かつ/又はそれを保持するように構成され得る。別の言い方をすれば、柔軟部材290は、ステント若しくは拘束されたステントを少なくとも部分的に把持、係留、掴持、及び/又は握持することができる。特定の実施形態では、ステントを柔軟部材290の周囲に配設することができ、次いで、ステントを柔軟部材290の周囲に拘束、けん縮、及び/又は装填することができる。更に、以下で更に詳細に論じられるように、装填されたステントの一部分(例えば、装填されたステントの内部表面)を柔軟部材290の一部分(例えば、柔軟部材290の外部表面)内に刷り込むことができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、柔軟部材290は、2つ又は3つ以上の層を備え得る。特定の実施形態では、柔軟部材290は、2つ又は3つ以上の材料を含み得る。材料の各々は、異なる又は様々な特性、例えば、厚さ、デュロ硬度、弾性等の変動を有し得る。ある特定の実施形態では、柔軟部材290は、内部層を備え得、内部層は、内部シース270に付着するか又はそれと連結するように構成されている(例えば、内部層を内部シース270への最適な付着のために設計することができる)。更に、柔軟部材290は、外部層を備えることができ、外部層は、ステント若しくは拘束されたステントに従うか、又は刷り込まれるように構成されている。例えば、柔軟部材の内部層はグラフト化ポリオレフィン(例えば、OREVAC(登録商標))を含み得、柔軟部材の外部層は熱可塑性エラストマ(例えば、CHRONOPRENE(商標))を含み得る。内部シース270の一部分はポリエーテルブロックアミド(例えば、PEBAX(登録商標))で形成されていてもよく、OREVAC(登録商標)内部層はPEBAX(登録商標)内部シースと連結するか又はそれと結合(例えば、強結合)を形成することができる。別の言い方をすれば、OREVAC(登録商標)を、PEBAX(登録商標)及びCHRONOPRENE(商標)の各々の間でタイ層として使用することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、柔軟部材290は、拘束されたステントの長手方向の変位を制限又は防止するように構成され得る。例えば、柔軟部材290は、拘束されたステントの長手方向の変位が制限又は防止されるように、拘束されたステントを把持することができる。特定の実施形態では、柔軟部材290は、拘束されたステントが虚脱すること又は蛇腹式に開くこと(例えば、ステント自体が長手方向に重畳すること)を制限又は防止するように構成され得る。例えば、柔軟部材290は、拘束されたステントに軸方向の支持を提供することができる。更に、柔軟部材290は、拘束されたステントの1つ又は2つ以上の部分を部分的に包囲するように構成され得、柔軟部材290が拘束されたステントの少なくとも一部に一致することを意味する。例えば、柔軟部材290は、拘束されたステントの内部表面、形状、縁部、及び/又はテクスチャの部分に一致し得る。
【0092】
拘束されたステント(例えば、拘束されたステントの内部表面)を柔軟部材290の周囲に少なくとも部分的に刷り込むことができる。いくつかの実施形態では、柔軟部材290の周囲に螺旋のステント(例えば、螺旋のステントの幾何学形状を有するステント)を刷り込むことは、螺旋のステントのコイルの列を支持し得る。柔軟部材290の周囲に螺旋のステントを刷り込むことは、螺旋のステントのコイルの各列を支持し得る。いくつかの他の実施形態では、柔軟部材290の周囲に非螺旋のステント(例えば、非螺旋のステントの幾何学形状を有するステント)を刷り込むことは、非螺旋のステントのコイルの列を支持し得る。柔軟部材290の周囲に非螺旋のステントを刷り込むことは、非螺旋のステントのコイルの各列を支持し得る。
【0093】
特定の実施形態では、柔軟部材290の存在により、外部シース250上での近位方向の変位又は引き戻しのために必要な力を増加させることができる。例えば、柔軟部材290及び/又は環状空間276内の拘束されたステントの配列により、内部シース270及び外部シース250の各々の間により密着した嵌合をもたらすか又は形成することができる。しかしながら、上述のように、展開装置によって提供され得る機械的利点に少なくとも部分的に起因して、ステントは、依然として、ユーザによって容易に展開可能であり得る。
【0094】
様々な実施形態では、送達カテーテルアセンブリ204は、アクチュエータを含む展開装置に連結され得、アクチュエータは、アクチュエータ120と同様である。アクチュエータ120は、展開装置に機械的利点を提供し得る。更に、このような機械的利点は、施術者が、柔軟部材290の周囲に配設されたステントを展開するために展開装置を使用するのを手伝うことができる。
【0095】
柔軟部材290は、可撓性、展性、成形性、柔軟性、及び/又は補充性である1つ又は2つ以上の材料から形成され得る。例えば、柔軟部材290は、1つ又は2つ以上のシリコーン、ポリエーテルブロックアミド(例えば、PEBAX(登録商標))、熱可塑性エラストマ(例えば、CHRONOPRENE(商標))、及び/又は他の好適な材料を含み得る。上述のように、柔軟部材290は、複数の材料から形成され得る(例えば、柔軟部材290は、2つ又は3つ以上の層を含み得る)。柔軟部材290は、浸漬、噴霧、及び/又は再流動技術を使用して、内部シース270に適用され得るか、又はその上に配設され得る。表面(例えば、内部シース270の表面)に柔軟部材290を適用又は配設する他の好適な方法もまた、本開示の範囲内である。
【0096】
図示のように、柔軟部材290は、内部シース270の一部分を長手方向に沿って、及び/又は環状空間276の一部分を通って延在することができる。柔軟部材290は、様々な長さを有し得る。いくつかの実施形態では、柔軟部材290は、遠位先端部274の近位端近くから中間シース260の遠位端近くの位置まで延在し得る。いくつかの他の実施形態では、柔軟部材290は、遠位先端部274の近位端及び中間シース260の遠位端の各々の間で長手方向の距離の一部分のみに沿って延在し得る。示されるように、中間シースの遠位端を柔軟部材290の近位に配設することができる。
【0097】
送達カテーテルアセンブリ204は、様々な長さを有するステントを受容及び/又は保持するように構成され得る。様々な実施形態では、柔軟部材290は、ステントの長さを超える長さを有し得る。様々な他の実施形態では、柔軟部材290は、ステントの長さに実質的に等しい長さを有し得る。様々な他の実施形態では、柔軟部材290は、ステントの長さを下回る長さを有し得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、柔軟部材290は、ステントの長さに沿って長手方向に連続していることがある。例えば、柔軟部材290は、拘束されたステントの全長に沿って長手方向に延在し得る。特定の実施形態では、柔軟部材290は、ステントの内側表面に沿って周方向に連続していることがある。例えば、柔軟部材290は、拘束されたステントの全内周に沿って延在し得る。
【0099】
柔軟部材290は、様々なデュロ硬度を有し得る。いくつかの実施形態では、柔軟部材290のデュロ硬度は、ショアAスケールで約10~約60、ショアAスケールで約15~約45、ショアAスケールで約20~約30、ショアAスケールで約23~約27、又は別の好適なデュロ硬度であり得る。いくつかの他の実施形態では、柔軟部材290のデュロ硬度は、ショアAスケールで約25であり得る。
【0100】
柔軟部材290はまた、ある範囲の壁厚(例えば、柔軟部材290の内部表面から柔軟部材290の外部表面までの距離)であり得る。特定の実施形態では、柔軟部材290の壁厚は、約0.001インチ(25.4マイクロメートル)~約0.050インチ(1270マイクロメートル)を含む約0.0005インチ(12.7マイクロメートル)~約0.050インチ(1270マイクロメートル)、又は別の好適な厚さであり得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、化合物又は薬剤を、柔軟部材290及び/若しくは柔軟部材290の外部表面に装填することができる。例えば、抗凝固物質薬剤を柔軟部材290に装填し、かつ/又はその上にコーティングすることができる。
【0102】
遠位先端部174に関する上述と同様に、送達シースアセンブリ204の遠位先端部274は、内部シース270に連結し及び/又はこれと一体に形成されてもよい。更に、内腔272は、展開装置200の近位端から遠位先端部274まで内部シース270に沿って延在することができる。
【0103】
特定の実施形態では、外部シース250は、内部シース270及び中間シース260の各々に対して近位に変位又は徐々に変位し得る。中間シース260の遠位端は、ステントの近位端と係合又は相互作用し、ステントが外部シース250によって引き戻されることを防止することができる。したがって、ステントを徐々に露出させ、自己拡張し展開することを可能にすることができる。
【0104】
送達カテーテルアセンブリ104に関して上述のように、外部シース250、中間シース260、及び/又は内部シース270は、それらの長さに沿って様々なデュロ硬度又は他の特性を有するように構成されてもよい。
【0105】
図13Aは、送達カテーテルアセンブリ304の別の実施形態の一部分の断面図である。図13Bは、送達カテーテルアセンブリ304の部分の側面図であり、外部シース(図13Aの350)が取り外され、他の構成要素を示している。図示のように、柔軟部材390は、複数の環状輪392を含み得る。環状輪392の各々は、個別又は別個の環状輪であり得る。いくつかの実施形態では、環状輪392は、内部シース370の長さの一部分に沿って実質的に均等に離間配置され得る。いくつかの他の実施形態では、環状輪392は、内部シース370の長さの一部分に沿って平らでないパターンで離間配置され得る。別の言い方をすれば、環状輪392は、内部シース370の長さの一部分に沿って断続的な様式で配設され得る。
【0106】
環状輪392は、内部シース370の周囲を部分的に包囲し得るか又はその周囲に配設され得る。図示するように、柔軟部材390の環状輪392の各々は、内部シース370の円周の周囲に配設され得る。例えば、柔軟部材390の環状輪392の各々は、内部シース370の外部表面の一部分に連結され得る。いくつかの実施形態では、環状輪392のサブセットは内部シース370を完全に包囲し得、環状輪392の別のサブセットは内部シース370を部分的だけ包囲し得る。
【0107】
柔軟部材390の環状輪392の各々はまた、環状空間376の一部分内に配設され得る。いくつかの実施形態では、柔軟部材390の環状輪392のうちの1つ又は2つ以上は、ステント若しくは拘束されたステントに係合し、かつ/又はそれを保持するように構成され得る。別の言い方をすれば、柔軟部材390の環状輪392のうちの1つ又は2つ以上は、ステント若しくは拘束されたステントを少なくとも部分的に把持、係留、掴持、及び/又は握持することができる。
【0108】
特定の実施形態では、ステントは、ステントの遠位端部分に整列させるように配設された第1の環状輪392、ステントの中間部分に整列させるように配設された第2の環状輪392、及び/又はステントの近位端部分に整列させるように配設された第3の環状輪392の周囲に配設され得る。特定の他の実施形態では、複数の環状輪392を、ステントの遠位端部分、中間部分、又は近位端部分のうちの1つにのみ整列させるように配設することができる。ステントに対する1つ又は2つ以上の環状輪392の他の構成(すなわち、配列)も本開示の範囲内にある。
【0109】
ステントは、柔軟部材390の1つ又は2つ以上の環状輪392の周囲に拘束、けん縮、及び/又は装填され得る。更に、装填されたステントの一部分(例えば、装填されたステントの内部表面)は、柔軟部材390の1つ又は2つ以上の環状輪392の一部分(例えば、柔軟部材390の1つ又は2つ以上の環状輪392の外部表面)内に刷り込まれ得る。
【0110】
拘束されたステント(例えば、拘束されたステントの内部表面)は、柔軟部材390の1つ又は2つ以上の環状輪392の周囲に少なくとも部分的に刷り込まれ得る。いくつかの実施形態では、柔軟部材390の1つ又は2つ以上の環状輪392の周囲に螺旋のステント(例えば、螺旋のステントの幾何学形状を有するステント)を刷り込むことは、螺旋のステントのコイルの列を支持し得る。柔軟部材390の1つ又は2つ以上の環状輪392の周囲に螺旋のステントを刷り込むことは、螺旋のステントのコイルの各列を支持し得る。いくつかの他の実施形態では、柔軟部材390の1つ又は2つ以上の環状輪392の周囲に非螺旋のステント(例えば、非螺旋のステントの幾何学形状を有するステント)を刷り込むことは、非螺旋のステントのコイルの列を支持し得る。柔軟部材390の1つ又は2つ以上の環状輪392の周囲に非螺旋のステントを刷り込むことは、非螺旋のステントのコイルの各列を支持し得る。
【0111】
図示のように、柔軟部材390の複数の環状輪392は、内部シース370の一部分を長手方向に沿って、及び/又は環状空間376の一部分を通って(すなわち、最も近位の環状輪392から最も遠位の環状輪392まで)延在し得る。いくつかの実施形態では、柔軟部材390の複数の環状輪392は、遠位先端部374の近位端近くから中間シース360の遠位端近くの位置まで延在し得る。いくつかの他の実施形態では、柔軟部材390の複数の環状輪392は、遠位先端部374の近位端及び中間シース360の遠位端の各々の間で長手方向の距離の一部分のみに沿って延在し得る。示されるように、中間シース360の遠位端を柔軟部材390の複数の環状輪392の近位に配設することができる。
【0112】
送達カテーテルアセンブリ304は、様々な長さを有するステントを受容及び/又は保持するように構成され得る。様々な実施形態では、柔軟部材390の複数の環状輪392は、ステントの長さを超える長さ(すなわち、最も近位の環状輪392から最も遠位の環状輪392までの長さ)を有し得る。様々な他の実施形態では、柔軟部材390の複数の環状輪392は、ステントの長さに実質的に等しい長さを有し得る。様々な他の実施形態では、柔軟部材390の複数の環状輪392は、ステントの長さを下回る長さを有し得る。
【0113】
図12Aは、第1の状態の図11Aの展開装置200の送達カテーテルアセンブリ204の遠位部分の側面図である。図12B及び図12Cは、それぞれ第2の状態及び第3の状態の送達カテーテルアセンブリ204の遠位部分の側面図である。
【0114】
図12Aを参照すると、ステント35は、柔軟部材290の周囲に及び/又は環状空間276内に拘束、けん縮、又は配設され得る。第1の状態では、図示のように、外部シース250は、ステント35が拘束された構成にあるように、ステント35の上に配設され得る。拘束されたステント35は、柔軟部材290に沿って(例えば、拘束されたステント35の近位端と中間シース260の遠位端との間に)間隙又は空間が存在するように、柔軟部材290の一部分のみに沿って遠位先端部274の近位端から延在し得る。いくつかの実施形態では、拘束されたステント35は、実質的に柔軟部材290の全長に沿って延在し得る。いくつかの他の実施形態では、拘束されたステント35は、柔軟部材290よりも長くてもよい。例えば、場合によっては、拘束されたステント35の一部分のみが柔軟部材290内に配設されている。
【0115】
図12Bは、第2の状態の送達カテーテルアセンブリ204の遠位部分を示す。図示のように、送達カテーテルアセンブリ204の遠位部分を血管45(例えば、患者の血管)内に配設することができる。ステント35を展開するために、外部シース250は、中間シース260、内部シース270、及び/又は柔軟部材290に対して近位に配設され得る。明確にするために、図12B及び図12Cの柔軟部材290上に示されるパターンは、例えば、図11Dの柔軟部材290上に示されるパターンとは特定の点で異なる。本明細書において本開示は、図12B及び図12Cの柔軟部材290を目的とするが、図11Dの柔軟部材290に関し、逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、外部シース250、中間シース260、及び/又は内部シース270は、展開装置100に関して上述のように、アクチュエータに動作可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、外部シース250、中間シース260、及び/又は内部シース270は、展開装置100に関して上述のように、ハウジングに動作可能に連結され得、ハウジングは、アクチュエータに動作可能に連結され得る。
【0116】
更に、アクチュエータの変位は、内部シース270及び/又は中間シース260に対して外部シース250を変位させるように構成され得る。上述のように、送達カテーテルアセンブリ204のいくつかの実施形態は、中間シース260を欠く場合がある。外部シース250の近位の変位は、拘束されたステント35の一部分を露出させ得、したがって、ステント35は、少なくとも部分的に展開し得る。例えば、柔軟部材290及び拘束されたステント35の部分が外部シース250の遠位端の遠位に配設されているため、ステント35の遠位部分は、柔軟部材290から離れる方向に径方向に延在し、部分的に展開し得る。
【0117】
特定の実施形態では、上述のように、展開装置及び/又はアクチュエータは、ステント35を徐々に展開するように構成され得る。例えば、外部シース250は、段階的に、又は徐々に、内部シース270、柔軟部材290、及び拘束されたステント35に対して近位に配設されるように構成され得る。様々な実施形態では、柔軟部材290は、ステント35の展開を補助し得るか又は向上させ得る。例えば、柔軟部材290は、ステント35の展開中に、ステント35の過剰な展開(例えば、ステント35の送達カテーテルアセンブリ204からの「飛び出し」及び/又はステント35の内部シース270からの飛び降り)を制限又は防止し得る。更に、柔軟部材290は、例えば、ステントの過剰な展開又は跳躍を制限又は防止することによってステント35の展開の精度を向上させることができる。
【0118】
特定の実施形態では、柔軟部材290は、ステント35の展開された部分がステント35の展開中に押し出され、かつ/又は短縮され得るように、ステント35の拘束された部分を把持又は支持し得る。例えば、送達カテーテルアセンブリ204及び/又は展開装置200は、柔軟部材290内に少なくとも部分的に配設されたステント35の一部分がステント35の展開中に押し出され、かつ/又は短縮され得るように、移動又は操作され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、送達カテーテルアセンブリ204は、ユーザが患者の解剖学的構造などの特徴に基づいてステント35の長さ(例えば、ステント35のカスタム長さ)を選択し得るように、ステント35の展開中にステント35の長さを調整する(例えば、ステント35を短縮することができる)ように構成され得る。特定の実施形態では、送達カテーテルアセンブリ204は、ユーザがステント35の展開中にステント35を押し出し、かつ/又は引っ張ってステント35の長さを制御又は決定し得るように、十分な剛性及び/又は展開制御を有し得る。様々な実施形態では、柔軟部材290は、ステント35がステント35の展開の大部分にわたって送達カテーテルアセンブリ204及び/又は展開装置200と連通(例えば、直接的な物理的連通)したままであり得るように構成され得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、ステントは、ステントの列を入れ子状態にし、かつ/又ははめ込むことを可能にするように、又は許容するように構成され得る。例えば、ステントは、複数の列を備え、複数の列の各列は、隣接する列の外部表面の少なくとも一部の周囲に配設されるように構成されている。このような構成は、ステントの有効な長さがユーザによってステントの展開中に調整され得るステントを提供することができる。
【0121】
ステント35の一部分の展開時に、ステント35(例えば、ステント35の遠位端)を血管45の壁47に対して配設するか又はそれと係合させることができる(例えば、図12B参照)。展開装置200を介したステント35上での押し出し又は引っ張りにより、ステント35を圧縮し(すなわち、ステント35のコイル間の距離を低減する)、かつ/又は展開されるが、壁47と係合されていないステント35の一部分に沿ってステント35を伸展させる(すなわち、ステント35のコイル間の距離を増加させる)ことができる。このような長さの調整中に、ステント35の非展開部分の少なくとも一部を柔軟部材290によって係合することができる。このような構成は、ステント35の展開中に向上した可撓性を施術者に提供し得る。例えば、施術者は、例えば、分岐血管又は患者内の他の構造において又はその周囲で、ステント35の長さに対する調整(例えば、小さい調整)を行うことができる。柔軟部材290なしで、ステント35は、上述のような長さの調整を試みている間に、送達カテーテルアセンブリ204及び/又は環状空間276内で虚脱し得るか又は蛇腹式に開き得る。
【0122】
図12Cは、第3の状態の送達カテーテルアセンブリ204を示し、外部シース250の遠位端は、ステント35の近位端に対して近位に配設されている。したがって、第3の状態において、ステント35は、血管45内で完全に展開し得る。いくつかの実施形態では、ステント35は、それが血管45の壁47と係合するか又は相互作用するように展開し得る。
【0123】
展開装置200を準備又は装填する方法を本明細書において開示する。いくつかの実施形態では、展開装置200を準備する方法は、送達カテーテルアセンブリ204を得ることを含み得る。送達カテーテルアセンブリ204は、外部シース250と内部シース270とを含み得、内部シース270は、外部シース250内に配設されている。
【0124】
特定の実施形態では、送達カテーテルアセンブリ204は、中間シース260を更に含み得、中間シース260は、外部シース250と内部シース260との間に配設されている。加えて、中間シース260の遠位端は、外部シース250の遠位端及び内部シース270の遠位端の近位に配設され得る。
【0125】
様々な実施形態では、展開装置200を準備する方法は、内部シース270の少なくとも一部に柔軟部材290を適用することを含み得る。例えば、柔軟部材290は、内部シース250の外部表面に適用することができ、柔軟部材290は、内部シース270に連結することができる。柔軟部材290は、浸漬、噴霧、押出、再流動、又は別の好適な技術のうちの少なくとも1つによって、内部シース270に適用することができる。
【0126】
上述のように、柔軟部材290は、ステント35を係合及び/又は保持するように構成され得る。更に、ステント35は、柔軟部材290の少なくとも一部の周囲に配設又は位置付けることができ、ステント35は、柔軟部材290内に拘束、けん縮、又は装填することができる。
【0127】
展開装置200を準備する方法は、ステント35の一部分の上に外部シース250を配設することを更に含み得る。ステント35に対する外部シース50のこのような構成は、柔軟部材290内でステント35を拘束するのを補助し得る。ステント35が拘束された構成にあるとき、中間シース260の遠位端は、柔軟部材290の近位端の近位に配設され得る。
【0128】
ステント35を展開する方法も提供する。いくつかの実施形態では、送達カテーテルアセンブリ204を得ることができる。送達カテーテルアセンブリ204は、外部シース250と、中間シース260と、内部シース270とを備え得る。更に、柔軟部材290は、内部シース270の一部分を包囲し得る。ステント35を展開する方法は、柔軟部材290の周囲にステント35を位置付けること、及び/又は柔軟部材290内にステント35を拘束することを含み得る。様々な実施形態では、外部シース250も、(例えば、ステント35が柔軟部材290の一部分内に拘束されるように)ステント35の上に配設され得る。
【0129】
特定の実施形態では、ステント35を展開する方法は、アクチュエータ、例えば、送達カテーテルアセンブリ204に動作可能に連結されたアクチュエータを変位させることを更に含み得る。アクチュエータの変位は、ステント35が部分的に展開されるように、柔軟部材290及び拘束されたステント35の各々に対して外部シース250を近位に変位させるように構成され得る。上述のように、アクチュエータは、ステント35を徐々に展開するように構成され得る。したがって、ステント35を展開する方法はまた、アクチュエータの各変位の後に部分的に展開されたステント35の位置を調整することを含み得る。ステント35が完全に展開されるまで、アクチュエータを変位させることができ、かつ/又はステント35の位置を調整することができる。理解され得るように、本明細書に提供される方法の各々を展開装置100及びその構成要素と共に使用するために適合させることができる。
【0130】
図14は、展開装置400の斜視図である。展開装置400は、展開装置400の近位端に隣接するハンドルアセンブリ402を備える。細長い送達カテーテルアセンブリ404は、ハンドルアセンブリ402から遠位先端部又は送達先端部474まで遠位に延在する。ハンドルアセンブリ402は、施術者が送達カテーテルアセンブリ404内に配設されたステントを展開し、ないしは別の方法で操作することを可能にするように構成された1つ又は2つ以上の構成要素を用いて近位のユーザ入力を提供することができる。
【0131】
展開装置100に関して上述のように、使用中に、ハンドルアセンブリ402は、患者の体外に配設され得るが、送達カテーテルアセンブリ404は、患者の体内の治療位置まで前進される。以下で詳述するように、ステントは、施術者がハンドルアセンブリ402の1つ又は2つ以上の構成要素の操作を通して、送達カテーテルアセンブリ404の遠位端からステントを展開することができるように、送達カテーテルアセンブリ404の一部分内に配設されてもよい。
【0132】
図15は、図14の展開装置400の一部分の断面図である。具体的には、図15は、図14の展開装置400の一部分の側面図であり、展開装置400が図14に示すように位置付けられるときに、展開装置400の長手方向軸に垂直に延在し、かつこれと交差する横断面を通って取られたものである。展開装置400の長手方向軸は、図15に示した中間シース460などのハンドルアセンブリ402と重なる送達カテーテルアセンブリ404の構成要素の中心に沿うなど、送達カテーテルアセンブリ404の中心に沿って延在する。
【0133】
ハンドルアセンブリ402は、ユーザによって握持され、ないしは別の方法で操作されるように構成され、また送達カテーテルアセンブリ404は、患者の体内の治療位置まで長手方向軸に沿って延在するように構成されるために、送達カテーテルアセンブリ404は、ハンドルアセンブリ402から離れる方向に遠位方向に延在する。近位方向は、送達先端部474からハンドルアセンブリ402に向かって延在している長手方向軸に沿って画定された方向に相関して反対である。
【0134】
図15は、断面図によって露出されたハンドルアセンブリ402の種々の内部構成要素を示す。送達カテーテルアセンブリ404の一部分は、ハンドルアセンブリ402から延在するようにも示されている。ハンドルアセンブリ402は、ハウジング410を備える。ハウジング410は、図示するように、施術者のための把持面を提供する、ハンドルアセンブリ402の特定の構成要素を包囲する。
【0135】
アクチュエータ420は、ハウジング410に動作可能に連結する。以下で更に詳細に説明するように、ハウジング410に対するアクチュエータ420の操作は、ステントを展開させるように構成することができる。図示された実施形態では、アクチュエータ420は、ピン412によってハウジング410に回転可能に連結する。ピン412は、ハウジング410から延在し、またハウジング410の1つ又は2つ以上の他の部分と一体に形成されてもよい。図示するように、ピン412は、アクチュエータ420内のピン孔422を通って延在する。アクチュエータ120及びハウジング110に関して上述のように、アクチュエータ420及びハウジング410を動作可能に連結するための他の配置も本開示の範囲内である。
【0136】
アクチュエータ420は、ピン孔422から延在する入力部421を備える。図示した実施形態では、入力部421は、ハウジング410に対して少なくとも部分的に露出した表面を備える。動作の際に、ユーザは、図15の「入力」と表記された矢印によって示される入力部421に力を及ぼすことによってアクチュエータ420を操作し、展開装置(図14の400)の概ね長手方向軸に向かって入力部421を変位させ、アクチュエータ420をハウジング410に対してピン412を中心として回転させることができる。「入力」と表記された矢印によって示されるような力によるアクチュエータ420の変位は、アクチュエータ420の「押し下げ」又は「ハウジング410に対するアクチュエータ420の押し下げ」に相当する。
【0137】
アクチュエータ420は、ピン孔422から延在する搬送アーム423を更に備えてもよい。搬送アーム423は、搬送アーム423及び入力部421の両方がアクチュエータ420の残りの部分と一体的に形成される実施形態など、入力部421に強固に連結してもよい。搬送アーム423は、ラチェット摺動係合部424まで延在している。「入力」と表記された矢印によって示された方向における入力部421の押し下げは、アクチュエータ420がピン412を中心として回転すると、搬送アーム423を変位させる。
【0138】
したがって、入力部421の押し下げは、ラチェット摺動係合部424をハウジング410に対して変位させる。ラチェット摺動係合部424のこの変位は、近位平行移動構成要素及び垂直平行移動構成要素を有するピン412を中心とした回転として理解することができ、入力部421が「入力」と表記された矢印によって示される方向に回転すると、(ハウジング410に対して)ラチェット摺動係合部424を近位方向及び垂直方向の両方に変位させるであろう。
【0139】
ばね415は、アクチュエータ420とハウジング410との間に配設されてもよい。ばね415は、「入力」と表記された矢印によって示される方向のアクチュエータ420の変位に抵抗するように構成されてもよく、またユーザがそれを押し下げた後に、アクチュエータ420を図15に示す相対位置に戻すように構成されてもよい。ハンドルアセンブリ402が拘束されていないとき、ばね415は、したがって、図15に示すように、ハンドル410に対するアクチュエータ420の相対位置を維持する(又は相対位置に戻す)ことができる。
【0140】
アクチュエータ420がハウジング410に対して押し下げられると、ばね415が圧縮し、ラチェット摺動係合部424が上述のように変位する。ここでも、ハウジング410に対するラチェット摺動係合部424の変位は、近位構成要素及び垂直構成要素を有するものとして理解することができる。
【0141】
ラチェット摺動係合部424は、ラチェット摺動係合部424の変位が同様にラチェット摺動部430を変位させるように、ラチェット摺動部430に動作可能に連結してもよい。ラチェット摺動部430は、ラチェット摺動部430がハウジング410に対して近位又は遠位にのみ変位するように構成されるように拘束されてもよい。したがって、ラチェット摺動係合部424のラチェット摺動部430への動作可能な連結は、ラチェット摺動係合部424の変位の近位又は遠位の構成要素のみがラチェット摺動部430に搬送されるように、ラチェット摺動係合部424とラチェット摺動部430との間の摺動相互作用を可能にする。別の言い方をすれば、ラチェット摺動部430は、展開装置400の長手方向軸に平行な方向に変位してもよく、一方、入力変位は展開装置400の長手方向軸に対して所定の角度であってもよい。図15に示す構成では、安全部材480(安全部材180と同様)が、ラチェット摺動部430の近位の変位を防止できることに留意されたい。ラチェット摺動部430及び関連構成要素の変位に関する本明細書の論議は、したがって、安全部材480が取り外されているハンドルアセンブリ402の構成に関する開示として理解することができる。
【0142】
アクチュエータ420がハウジング410に対して押し下げられると、ラチェット摺動部430は、したがって、ハウジング410に対して近位に変位することができる。ラチェット摺動部430及びアクチュエータ420の一方又は両方もまた、アクチュエータ420の押し下げ及び/又はラチェット摺動部430の近位の変位を阻止するために積極的な停止部が存在するように、ハウジング410と相互作用することができる。この積極的な停止部は、ハウジング410に一体的に形成された特徴部を含む、係合出っ張り部、肩部、ラグ、戻り止め、又はハウジング410に連結した他の特徴部であってもよい。示されるように、積極的な停止部をラチェット摺動部430の近位端の近位に配設することができる。例えば、ラチェット摺動部430の近位端は、ラチェット摺動部430の近位端の近位に配設されたハウジング410の一部分(例えば、出っ張り部、肩部等)と相互作用することができる。したがって、ハンドルアセンブリ402は、ラチェット摺動部430がアクチュエータ420の押し下げ中に可能な限り変位するか又は「走行する」ように構成されてもよい。
【0143】
アクチュエータ420のフルストロークは、したがって、図15に示す非拘束位置から、アクチュエータ420が押し下げられたときにハウジング410との相互作用によって引き起こされる積極的な停止部までの変位に相当し得る。アクチュエータ420の部分的なストロークは、図15に示す非拘束位置から、アクチュエータ420が押し下げられたときにハウジング410との相互作用によって引き起こされる積極的な停止部の各々及び/又はその前の任意の位置までの変位に相当し得る。フルストローク又は部分的なストローク後のアクチュエータ420の解除は、ばね415によって提供される付勢力に起因して、アクチュエータ420を非拘束状態に戻す結果をもたらし得る。図15に示す非拘束状態は、ユーザ入力による拘束がないことを指す。この状態では、ばね415は部分的に圧縮されてもよく、アクチュエータ420とハウジング410との間の相互作用は、アクチュエータ420が押し下げられるのと反対方向に、又は戻り方向に、ピン412を中心としてアクチュエータ420が回転するのを防止することができる。言い換えれば、アクチュエータ420とハウジング410(又はハウジング410の特徴部)との間の相互作用は、アクチュエータ420の戻り動作に対しても同様に積極的な停止部を形成することができる。
【0144】
継続して図15を参照すると、ラチェット摺動部430は、したがって、アクチュエータ420が押し下げられている間に近位に変位させることができる。ここでも、そのような変位は、安全部材480が取り外された構成に相当し得る。ラチェット摺動部430の近位の変位はまた、ラチェット摺動部430上の1つ又は2つ以上のキャリア係合ラチェットラグ436と、キャリア440に連結するラチェット摺動係合アーム446との間の相互作用により、キャリア440を近位に変位させることができる。いくつかの実施形態では、キャリア440を外部シース450に連結することができる。例えば、キャリア440を、外部シース450に固定して、かつ/又は強固に連結することができる。特定の実施形態では、内部シース470をハンドルアセンブリ402に連結することができる。例えば、内部シース470を、ハンドルアセンブリ402に固定して、かつ/又は強固に連結することができる。
【0145】
図16Aは、図14及び図15の展開装置400のラチェット摺動部430の斜視図である。図16Bは、図16Aのラチェット摺動部430の断面図であり、ラチェット摺動部430の長手方向中心線に沿って配設された垂直面を通って取られている。ラチェット摺動部430が図15のハンドルアセンブリ402内に配設されると、この横断面は展開装置400の長手方向軸と交差するであろう。
【0146】
図15図16A、及び図16Bに示すように、ラチェット摺動部430は、複数のキャリア係合ラチェットラグ436を備え得る。キャリア係合ラチェットラグ436は、ラチェット摺動部430の長手方向に沿って等間隔で離間配置されてもよい。示されるように、複数のキャリア係合ラチェットラグ436を半連続的に配設することができる。例えば、連続的なキャリア係合ラチェットラグ436を、互いに約5mm以下、互いに約4mm以下、互いに約3mm以下、互いに約2mm以下、互いに約1mm以下、又は互いに任意の他の好適な距離で離間配置することができる。これらの図では、例示的なキャリア係合ラチェットラグを参照番号436で示し、一方、ラチェット摺動部430の遠位端に配設された最も遠位のキャリア係合ラチェットラグを参照番号436aで示している。
【0147】
ラチェット摺動部430は、ラチェット摺動安全開口部439(ラチェット摺動安全開口部139と同様)を更に備える。ラチェット摺動部430は、以下でより詳細に論じられるアクチュエータ係合開口部434を更に備え得る。
【0148】
上述のように、アクチュエータ420のラチェット摺動係合部424とラチェット摺動部430との間の相互作用は、ラチェット摺動部430をハウジング410に対して近位に変位させることができる。キャリア440とキャリア係合ラチェットラグ436のうちの1つとの間の係合はまた、ラチェット摺動部430がハウジング410に対して近位に変位されるとき、キャリア440も近位に変位させることができる。図15の構成において、キャリア440のラチェット摺動係合アーム446は、最も遠位のキャリア係合ラチェットラグ436aと係合している。
【0149】
図17は、図14及び図15の展開装置400のキャリア440の側面図である。図17に示すように、ラチェット摺動係合アーム446は、キャリア440の長手方向軸から離れる方向に径方向に延在している。キャリア440が図15のハンドルアセンブリ402内に配設されるとき、キャリア440の長手方向軸は、展開装置400の長手方向軸に沿って配設される。
【0150】
示されるように、ラチェット摺動係合アーム446は、ラチェット摺動係合アーム446の遠位端で角度をなす部分又は「足指の爪」部447を備える。図示されるように、角度をなす部分447は、キャリア440の長手方向軸に対してラチェット摺動係合アーム446の径方向の延長部よりも大きい角度でキャリア440の長手方向軸から離れる方向に半径方向に延在している。いくつかの実施形態では、角度をなす部分447は、角度をなす部分を欠くラチェット摺動係合アームと比較して、ラチェット摺動係合アーム446と所定のキャリア係合ラチェットラグ436との間の係合を向上させ得る。例えば、(図16A及び図16Bに示すように)複数のキャリア係合ラチェットラグ436の半連続配列に少なくとも部分的に起因して、ラチェット摺動係合アーム446の角度をなす部分447は、ラチェット摺動係合アーム446が所定のキャリア係合ラチェットラグ436で又はそれに隣接してラチェット摺動部430の少なくとも一部に隣接して又はそれに対して径方向に偏向することを可能にし得るか、又は許容し得る。角度をなす部分447は、ラチェット摺動係合アーム446のためのクリアランスを提供し、隣接するラグがラチェット摺動係合アーム446の位置と干渉することなく、かつ完全な係合を防止することなく、角度をなす部分が(緊密に離間配置された場合でも)キャリア係合ラチェットラグ436に係合することを可能にし得る。
【0151】
図18は、図14及び図15に示した展開装置400の一部分の断面図である。具体的には、アクチュエータ420、ラチェット摺動部430、及びキャリア440は、図15と同じ相対位置で、かつ図15と同じ横断面に沿って図18で示されている。図18Aは、図18の断面図の一部分の部分切り欠き図である。図示のように、ラチェット摺動部430の一部分は、この表示で切り離されて、ラチェット摺動係合部424とアクチュエータ係合開口部434との係合を示す。
【0152】
図15図18Aを参照すると、アクチュエータ420がハウジング410に対して押し下げられている間、アクチュエータ420はピン孔422を中心として回転する。この回転が、アクチュエータ420のラチェット摺動係合部424の変位を引き起こす。ラチェット摺動係合部424の近位の変位に相関するこの変位の構成要素はまた、アクチュエータ420のラチェット摺動係合部424とラチェット摺動部430のアクチュエータ係合開口部434との間の相互作用により、ラチェット摺動部430を近位に平行移動させる。別の言い方をすれば、アクチュエータ係合開口部434を画定する壁又は面は、アクチュエータ420が変位するときにラチェット摺動部430が変位するように、ラチェット摺動係合部424に接触してもよい。
【0153】
ラチェット摺動部430の近位の変位はまた、キャリア係合ラチェットラグ436とラチェット摺動係合アーム446との間の相互作用により、キャリア440を近位に変位させる。図示した実施形態では、ラチェット摺動係合アーム446の角度をなす部分447の遠位表面は、最も遠位のキャリア係合ラチェットラグ436aの近位面と接触している。この接触は、ラチェット摺動係合アーム446の角度をなす部分447の遠位表面に近位の力を及ぼし、キャリア440を近位方向に変位させる。したがって、ラチェット摺動部430及びキャリア440は、アクチュエータ420がストロークの終わり(例えば、部分的なストローク又はフルストロークのいずれか)に達するまで近位に移動するであろう。
【0154】
図19は、図15に示す同じ相対位置におけるハウジング410及びキャリア440の断面図である。図19の横断面は、展開装置400の長手方向軸に沿って延在している。しかしながら、図19の横断面は、図15図16B、及び図18の横断面に水平に直交に延在している。
【0155】
図19に示すように、キャリア440は、キャリア440の長手方向軸から離れる方向に径方向に延在するハウジング係合アーム448を備える。ハウジング410は、複数のキャリア係合ハウジングラグ418を備える。図19において、例示的なキャリア係合ハウジングラグは参照番号418で示され、これと共に、最も遠位にあるキャリア係合ハウジングラグは参照番号418aで示されている。
【0156】
示されるように、ハウジング係合アーム448は、ハウジング係合アーム448の遠位端で角度をなす部分又は「足指の爪」部449を備える。図示されるように、角度をなす部分449は、キャリア440の長手方向軸に対してハウジング係合アーム448の径方向の延長部よりも大きい角度でキャリア440の長手方向軸から離れる方向に半径方向に延在している。いくつかの実施形態では、角度をなす部分449は、角度をなす部分を欠くハウジング係合アームと比較して、ハウジング係合アーム448と所定のキャリア係合ハウジングラグ418との間の係合を向上させ得る。例えば、複数のキャリア係合ハウジングラグ418の半連続配列に少なくとも部分的に起因して、ハウジング係合アーム448の角度をなす部分449は、ハウジング係合アーム448が所定のキャリア係合ハウジングラグ418で又はそれに隣接してラチェット摺動部430の少なくとも一部に隣接して又はそれに対して径方向に偏向することを可能にし得るか、又は許容し得る。上述の角度をなす部分447と同様に、角度をなす部分449は、ハウジング係合アーム448のためのクリアランスを提供し、隣接するラグがハウジング係合アーム448の位置と干渉することなく、かつ完全な係合を防止することなく、角度をなす部分449が(緊密に離間配置された場合でも)キャリア係合ハウジングラグ418に係合することを可能にし得る。
【0157】
図15図19を参照すると、アクチュエータ420とラチェット摺動部430とキャリア440との間の相互作用が、キャリア440をハウジング410に対して変位させると(図示され、また上記に述べられているように)、キャリア440のハウジング係合アーム448(図19に示す)は、キャリア係合ハウジングラグ418のうちの1つとの接触により径方向内向きに偏向する。例えば、図19に示す位置から、最も遠位のキャリア係合ラチェットラグ436aとキャリア440のラチェット摺動係合アーム446との間の相互作用がキャリア440を近位に引き寄せるとき、最も遠位のキャリア係合ハウジングラグ418aは、ハウジング係合アーム448を径方向内向きに変位させる。ハウジング係合アーム448は、ハウジング係合アーム448の遠位端が最も遠位のキャリア係合ハウジングラグ418aの近位に位置付けられるまで径方向内向きに偏向し続けて、この時点で、ハウジング係合アーム448は、図19に示す径方向外向きの構成に戻るであろう。ハウジング係合アーム448が最も遠位のキャリア係合ハウジングラグ418aの近位に移動する点は、ハウジング係合アーム448と(近位方向に移動する)次のキャリア係合ハウジングラグ418との間の係合がストロークの終わりに生じるように、アクチュエータ420のストローク(例えば、部分的なストローク又はフルストローク)に相当し得る。いくつかの実施形態では、各キャリア係合ハウジングラグ418(又はキャリア係合ハウジングラグ418の各々の少なくとも一部)を、キャリア係合ハウジングラグ418の一部分がキャリア係合ラチェットラグ436の一部分に相当するように配設することができる。
【0158】
更に、アクチュエータ420のストロークは、複数のキャリア係合ハウジングラグ418を通過したキャリア440の変位に相当し得る。したがって、緊密に離間配置されたキャリア係合ハウジングラグ418の場合、アクチュエータ420は、キャリア440がキャリアハウジング係合ラグ418に沿って前進するとき、キャリア440を半連続範囲にわたって変位させるように構成され得る。アクチュエータ420を部分的に押し下げると、キャリア440をキャリア係合ハウジングラグ418に沿って、かつそれを通過して変位させることができ、アクチュエータ420の解放時には、キャリア440を、直近に通過したキャリアハウジング係合ラグ418と係合させたままにすることができる。したがって、キャリア440の変位の増分は、アクチュエータ420のストロークの長さではなく、キャリアハウジング係合ラグ418の間隔に相当し得る。
【0159】
ストローク後にアクチュエータ420が解除されると、ばね415とハウジング410とアクチュエータ420との間の相互作用は、アクチュエータ420を上述した非拘束位置(図15に示す位置)に戻すであろう。アクチュエータ420のピン孔422を中心とした対応する回転は、したがって、遠位方向の変位の構成要素を含むラチェット摺動係合部424の変位に相関するであろう。ラチェット摺動係合部424とアクチュエータ係合開口部434との間の相互作用は、次いで、ラチェット摺動部430の遠位の変位に相関するであろう。したがって、アクチュエータ420がストロークの終わりに解除されるとき、アクチュエータ420、ばね415、及びラチェット摺動部430は、図15に示すようにハウジング410に対して同じ位置に戻る。
【0160】
しかしながら、アクチュエータ420が非拘束位置に戻ると、ハウジング係合アーム448とキャリア係合ハウジングラグ418との間の相互作用は、キャリア440の遠位の変位を防止する。具体的には、ハウジング係合アーム448の角度をなす部分449の遠位表面は、キャリア係合ハウジングラグ418の近位の対向面と接触することになり、キャリア440がストローク前の位置に戻ることを防止するであろう。上述の例示的なストロークでは、最も遠位のキャリア係合ハウジングラグ418aは、ストローク中にハウジング係合アーム448を変位させ、またハウジング係合アーム448は、ストローク後に最も遠位のキャリア係合ハウジングラグ418aと係合した。その後のストロークは、キャリア440を複数のキャリア係合ハウジングラグ418に沿って近位方向に移動させる。
【0161】
アクチュエータ420が非拘束状態に戻ると、キャリア440のラチェット摺動係合アーム446の径方向内向きの変位は、キャリア440とキャリア係合ハウジングラグ418との間の係合がキャリア440の遠位の変位を阻止するので、ラチェット摺動部430がキャリア440に対して遠位に移動することを可能にする。
【0162】
図15図19を参照すると、特に図18の図を参照すると、キャリア440に対するラチェット摺動部430の遠位の変位は、キャリア係合ラチェットラグ436とラチェット摺動係合アーム446の角度をなす部分447との間の相互作用を形成し、ラチェット摺動係合アーム446を径方向内向きに変位させる。キャリア係合ラチェットラグ436の近位対向面は、この相互作用を容易にするために角度をなしてもよい。アクチュエータ420が押し下げられている間に、最も遠位のキャリア係合ラチェットラグ436aの間の係合はキャリア440を近位方向に変位させることができ、アクチュエータ420が戻っている間に、ラチェット摺動係合アーム446の角度をなす部分447がキャリア係合ラチェットラグ436の近位になるまで、別のキャリア係合ラチェットラグ436(近位方向に)は、ラチェット摺動係合アーム446の径方向内向きの変位を引き起こすことができる。ラチェット摺動係合アーム446の角度をなす部分447の遠位表面が、ここでは別のキャリア係合ラチェットラグ436(ここでも、近位方向に)の近位面と係合しているが、その時点でラチェット摺動係合アーム446は径方向外向きの位置(図18に示されたものに類似)に戻る。
【0163】
フルストローク時に、第1のキャリア係合ラチェットラグ436間の係合は、キャリア440を近位方向に変位させることができ、アクチュエータ420が戻っている間に、ラチェット摺動係合アーム446の角度をなす部分447がフルストローク中に複数のキャリア係合ラチェットラグ436に対して近位に移動するとき、複数の次のキャリア係合ラチェットラグ436(近位方向に)は、ラチェット摺動係合アーム446の径方向内向きの変位を引き起こし得る。ラチェット摺動係合アーム446の角度をなす部分447の遠位表面が、ここでは第2のキャリア係合ラチェットラグ436(ここでも、近位方向に)の近位面と係合しているが、その時点でラチェット摺動係合アーム446の角度をなす部分447は径方向外向きの位置(図18に示されたものに類似)に戻る。このような構成では、複数のキャリア係合ラチェットラグ436を、ストローク中に係合した第1のキャリア係合ラチェットラグ436と、同じストロークの終わりに係合した第2のキャリア係合ラチェットラグ436との間に配設することができる。例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ以上のキャリア係合ラチェットラグ436を、単一のストローク中に係合した第1のキャリア係合ラチェットラグ436と、その単一のストロークの終わりに係合した第2のキャリア係合ラチェットラグ436との間に配設することができる。
【0164】
ラチェット摺動部430の、後続のキャリア係合ラチェットラグ436と係合するために移動するのに十分な変位は、アクチュエータ420の戻りに対応するラチェット摺動部430の変位の大きさに対応することができる。少なくとも部分的なストローク後にアクチュエータ420が一回戻ると、複数のキャリア係合ラチェットラグ436がストローク中にキャリア440に連続的に係合し得るようにラチェット摺動部430を移動させることができる。
【0165】
したがって、上述したように、フルストロークにわたってアクチュエータ420を押し下げることは、次いで、アクチュエータ420を非拘束位置に戻し、その結果、キャリア440をハウジング410に対して、長手方向に沿っての複数のキャリア係合ハウジングラグ418間の距離に相当する離散的な増分で変位させることができる。部分的なストロークにわたってアクチュエータ420を押し下げることは、次いで、アクチュエータ420を非拘束位置に戻し、その結果、キャリア440をハウジング410に対して、長手方向に沿っての隣接するキャリア係合ハウジングラグ418間の距離に相当する離散的な増分で変位させることができる。
【0166】
以下に詳述するように、キャリア440のハウジング410に対する相対位置は、ステントの展開装置400からの展開の程度に相関し得る。したがって、キャリア440に関する視覚、可聴、及び触覚フィードバックは、ユーザに、展開装置400の使用中のステントの展開に関する情報を提供する。この情報は、施術者がステント展開の程度を迅速かつ直感的に推測することができるため、展開中の制御の増加に相関し得る。
【0167】
いくつかの構成では、細長い送達カテーテルアセンブリ404の少なくとも一部は、展開装置400の使用中に延長及び/又は伸展されてもよい。展開装置400の構成(例えば、複数のキャリア係合ラチェットラグ436の半連続配列を含む)は、キャリア440のラチェット摺動部430に対する変位の2つ以上の増分を可能にし得るか、又は許容し得る。更に、展開装置400の構成は、ステントの微調整された展開を可能にし得るか、又は許容し得る。例えば、ステントを、約1mmの増分、約2mmの増分、約3mmの増分、約4mmの増分、約5mmの増分、又は任意の他の好適な増分で展開することができる。
【0168】
キャリア440の変位の増分は、約0.5mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約10mm、約25mm、約50mm、約100mm、又は任意の他の好適な変位の増分であり得る。キャリア440の徐々に起こる変位は、ステントの部分的展開を更に容易にし、施術者がステントを徐々に展開させることを可能にし、これらの増分間でステントの位置を見込み調整又は確認することができる。
【0169】
更なる詳細なしに、当業者は、前述の記載を使用して、本開示をその最大限利用し得ると考えられる。本明細書に開示される実施例及び実施形態は、単に例証及び例示であり、決して本開示の範囲を制限するものではないと解釈されるべきである。当業者にとっては、本開示の利益をもって、上記の実施形態の詳細が本開示の根本にある原則から逸脱することなく変更可能であることは明白であろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図18A
図19