(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3225 20160101AFI20220830BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220830BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G09G3/3225
G09G3/20 611J
G09G3/20 612U
G09G3/20 631V
G09G3/20 641P
G09G3/20 641Q
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2017231895
(22)【出願日】2017-12-01
【審査請求日】2020-11-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520333321
【氏名又は名称】深▲セン▼通鋭微電子技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】特許業務法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野々村 哉
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-224286(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0342585(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、階調補正回路と、上記表示パネルの輝度を制御する輝度コントロール回路と、を備えた表示装置であって、
上記階調補正回路は、
入力画像データに基づく上記表示パネルの全画素の輝度を1フレーム分積算したフレーム輝度を、上記表示パネルの全画素数に最大輝度を示す階調値を乗じた値で割った値に基づいて、点灯率を算出し、
予め点灯率毎に算出された入力階調と出力階調との対応を定める第1の補正関数
に基づいて特定された、上記第1の補正関数を生成するための第1のパラメータを
記憶するルックアップテーブルから、算出した上記点灯率に基づいて上記第1のパラメータを取得するとともに、
上記輝度コントロール回路からの上記表示パネルの輝度の制御に関する輝度コントロールパラメータに基づいて、上記第1のパラメータを補正し、上記第1の補正関数とは異なる第2の補正関数を生成するための第2のパラメータを取得し、
上記第2のパラメータに基づいて、上記第1の補正関数に代えて上記第2の補正関数を生成し、当該第2の補正関数に基づいて上記入力画像データの階調を補正
し、
さらに、上記輝度コントロール回路から供給されるガンマ電圧設定値に基づいて、上記補正後の入力画像データをガンマ補正した出力信号を、上記表示パネル内の自発光型表示素子に対して電圧のパラメータとして出力するガンマ回路を備え、
上記輝度コントロールパラメータは、上記輝度コントロール回路から上記ガンマ回路に供給される上記ガンマ電圧設定値を含む
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記輝度コントロール回路は、上記輝度コントロールパラメータの値が上記表示パネルの輝度設定を所定値以上にする値である場合に、上記入力画像データの階調を補正することを特徴とする請求項
1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄型、高画質、及び低消費電力である表示装置として、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイが知られている。この有機ELディスプレイには、電流で駆動される自発光型表示素子である有機EL素子、及び有機EL素子を駆動するための駆動用(制御用)トランジスタを含む画素回路がマトリクス状に複数配置されている。
【0003】
例えば、有機ELディスプレイで明るい画面を表示した場合、多くの画素が高い輝度で点灯するので、駆動電流量が増加し、消費電力が上がる。このような際には、有機ELパネルに電圧を供給する電源の能力の低下、すなわち、電源ドロップの発生や配線抵抗等が原因で、有機ELパネルへの供給電圧が低下し、有機ELディスプレイの輝度低下による表示品位の低下が生じるという問題がある。
【0004】
特許文献1には、電圧降下による電流への影響を緩和するように、入力されてくる画素データを補正データにより補正する表示装置が開示されている。特許文献1に開示されている表示装置は、画素データが供給される順序に合わせて電圧降下の計算を行いながら画素データを補正する構成となっている。
【0005】
特許文献2には、画素データの可変範囲に対応する全ての階調値と、各階調値での発光時に自発光素子で消費される電力値とを対応付けたルックアップテーブルと、ルックアップテーブルを参照して、各画素データに対応して消費される電力値を求め、これら電力値をフレーム単位で加算することによりフレーム単位の消費電力値を算出して、表示全体の消費電力を検出する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-216801号公報(2009年9月24日公開)
【文献】特開2007-156045号公報(2007年6月21日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
表示パターン(表示画面)の消費電力の見積もり手法として、例えば、各画素の階調値の1フレーム分の累積値を用いたり、階調値が閾値を超える画素の数を積算したものを用いたりすることができるが、特許文献1に記載の補正方法及び特許文献2に記載の消費電力検出手法は、何れも、実際使用される階調電圧データに変化する前の入力された階調電圧データをそのまま用いて消費電力の見積もりの算出を行っている。
【0008】
以下、実際使用される階調電圧データに変化する前の入力された階調電圧データをそのまま用いて消費電力の見積もりの算出を行った場合の問題点について説明する。
【0009】
図7は、入力される階調電圧データを、輝度コントロール回路でガンマ電圧変化した場合を示す図である。
【0010】
図示しているように、入力される階調電圧データを、輝度コントロール回路でガンマ電圧変化前、すなわち、ガンマ電圧変化していない場合と、輝度コントロール回路でガンマ電圧変化後、すなわち、ガンマ電圧変化した場合とにおいては、同じn階調でも、対応する電圧が異なり、消費電力も異なる。
【0011】
したがって、特許文献1及び特許文献2の場合のように、輝度コントロール回路でガンマ電圧変化後、すなわち、ガンマ電圧変化した場合の階調電圧データではなく、輝度コントロール回路でガンマ電圧変化前、すなわち、ガンマ電圧変化していない場合の階調電圧データを基に消費電力の見積もりの算出を行うと、入力される階調電圧データに対して、輝度コントロール回路でガンマ電圧変化された消費電力分の補正を全く反映できない。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、入力画像データに対して、輝度コントロール回路が行った表示パネルの輝度の制御に関する消費電力の変化分の補正を反映させることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置は、表示パネルと、階調補正回路と、上記表示パネルの輝度を制御する輝度コントロール回路と、を備えた表示装置であって、上記階調補正回路は、入力画像データの輝度に関するデータに基づいて第1の補正関数を生成するための第1のパラメータを取得するとともに、上記輝度コントロール回路からの上記表示パネルの輝度の制御に関する輝度コントロールパラメータに基づいて、上記第1のパラメータを補正し、第2の補正関数を生成するための第2のパラメータを取得し、上記第2の補正関数に基づいて上記入力画像データの階調を補正することを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、入力画像データに対して、輝度コントロール回路が行った表示パネルの輝度の制御に関する消費電力の変化分の補正を反映させることができる表示装置を実現できる。
【発明の効果】
【0015】
入力画像データに対して、輝度コントロール回路が行った表示パネルの輝度の制御に関する消費電力の変化分の補正を反映させることができる表示装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態1に係る表示装置の回路構成を示す図である。
【
図2】
図1に図示した表示装置に備えられた点灯率算出部において、点灯率を算出するステップを説明するための図である。
【
図3】(a)は、
図1に図示した表示装置に備えられたルックアップテーブルに格納された点灯率毎の入力輝度と出力輝度との補正関数を生成するための各パラメータを示す図であり、(b)は、各パラメータに基づく入力輝度と出力輝度との補正関数の一例を示す図である。
【
図4】(a)は、
図1に図示した表示装置に備えられた輝度コントロール回路が、輝度コントロールを行った場合における入力画像データ(階調データ)と出力電圧との関係の一例を示す図であり、(b)は、
図3の(b)に図示した入力輝度と出力輝度との補正関数に、輝度コントロール分の補正を加えた入力輝度と出力輝度との補正関数を示す図である。
【
図5】輝度コントロール回路が表示パネルの表示輝度を高く設定した場合と、低く設定した場合とにおいて、ACL回路が行う補正を説明するための図である。
【
図6】輝度コントロール回路が表示パネルの表示輝度を低く設定した場合において、用いられる補正関数の一例を示す図である。
【
図7】入力される階調電圧データを、輝度コントロール回路でガンマ電圧変化した場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について
図1から
図6に基づいて説明すれば、次の通りである。以下、説明の便宜上、特定の実施形態にて説明した構成と同一の機能を有する構成については、同一の符号を付記し、その説明を省略する場合がある。
【0018】
なお、以下の各実施形態においては、表示装置に備えられた表示素子の一例として、電流で駆動される自発光型表示素子である有機EL素子を備えた有機EL表示装置を例に挙げて説明するが、発光量によって消費電力が変化する表示素子を備えた表示装置であれば、特に限定されない。
【0019】
〔実施形態1〕
以下においては、
図1から
図5に基づき、本発明の実施形態1に係る有機EL表示装置について説明する。
【0020】
(有機EL表示装置)
図1は、有機EL表示装置の回路構成を示す図である。
【0021】
図示しているように、有機EL表示装置には、点灯率算出部2と補正パラメータ算出部3と補正関数算出部4と補正データ算出部5とを含むACL回路1(Auto Current Limiter Circuit)と、ルックアップテーブル(LUT)6と、輝度コントロール回路7と、PWM(Pulse Width Modulation)制御回路8と、ガンマ回路9と、表示パネル10とが備えられている。
【0022】
点灯率算出部2は、入力画像データ(階調データ)に基づいて、詳しくは後述する点灯率を算出し、補正パラメータ算出部3に出力する。
【0023】
補正パラメータ算出部3は、点灯率算出部2で算出された上記点灯率に応じて、ルックアップテーブル(LUT)6を参照し、該当点灯率における入力輝度(入力階調)と出力輝度(出力階調)との補正関数(第1の補正関数)を生成するための各パラメータ(IP、EP、CP;第1のパラメータ)を取得する。
【0024】
そして、パラメータ(IP、EP、CP)に、輝度コントロール回路7から得た輝度コントロールパラメータ(ガンマ電圧(ガンマ電圧設定値)、PWMパラメータ)を適用し、輝度コントロール分の補正が反映された入力輝度(入力階調)と出力輝度(出力階調)との補正関数(第2の補正関数)を生成するための最終的な各パラメータ(IP’、EP’、CP’;第2のパラメータ)を取得し、補正関数算出部4に出力する。
【0025】
補正関数算出部4は、最終的な各パラメータ(IP’、EP’、CP’)から曲線近似にて補正関数を算出するとともに、該当補正関数における領域毎の傾き(SLOPEA~E)を取得し、補正データ算出部5に出力する。
【0026】
補正データ算出部5は、補正関数算出部4から得た該当補正関数における領域毎の傾き(SLOPEA~E)に基づいて、入力画像データ(階調データ)を補正した補正後の画像データ(階調データ)を出力する。
【0027】
輝度コントロール回路7は、補正パラメータ算出部3に出力した輝度コントロールパラメータ(ガンマ電圧(ガンマ電圧設定値)、PWMパラメータ)に基づいて、PWM制御回路8及びガンマ回路9を制御し、表示パネル10の輝度を制御する。すなわち、輝度コントロール回路7は、PWM制御回路8にPWMパラメータを供給するとともに、ガンマ回路9にガンマ電圧(ガンマ電圧設定値)を供給する。
【0028】
PWM制御回路8は、輝度コントロール回路7によって、所定のPWMパラメータに設定されており、PWM制御回路8は、上記所定のPWMパラメータに基づいたPWM出力信号を表示パネル10に出力する。
【0029】
ガンマ回路9は、輝度コントロール回路7によって、所定のガンマ値(ガンマ電圧設定値)に設定されており(本実施形態においては、ガンマ値2.2に設定)、ガンマ回路9は、上記所定のガンマ値(ガンマ電圧設定値)に基づいたガンマ補正後の出力信号を表示パネル10に出力する。
【0030】
表示パネル10は、本実施形態においては、自発光型表示素子である有機EL素子を備えた有機EL表示パネルであり、赤色発光有機EL素子が備えられたRピクセルと、緑色発光有機EL素子が備えられたGピクセルと、青色発光有機EL素子が備えられたBピクセルとで1画素を構成する場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。
【0031】
(点灯率算出部)
図2は、点灯率算出部2において、点灯率を算出するステップを説明するための図である。
【0032】
図2に図示したステップ1(S1)においては、
図2中の(式1)に基づいて、一つのRピクセルと、一つのGピクセルと、一つのBピクセルとで構成される1画素単位の輝度(L)を算出する。
【0033】
本実施形態においては、各色の輝度係数として、CVF_R=0.299、CVF_G=0.587、CVF_B=0.114を用いた場合を一例に挙げて説明するが、各色の輝度係数の合計が1となるのであれば、これに限定されることはない。
【0034】
また、本実施形態においては、
図2中の(式1)におけるR、G及びBは、Rピクセル、Gピクセル及びBピクセルの各々の10bitの階調データであり、Lは上記Rピクセルと上記Gピクセルと上記Bピクセルとで構成される1画素単位の輝度を示す10bitの輝度データである場合を一例に挙げて説明するが、上記階調データ及び上記輝度データのデータ量は、10bitに限定されることはない。
【0035】
図2に図示したステップ2(S2)においては、
図2中の(式2)に基づいて、1画素単位の輝度(L)を1フレーム分積算し、フレーム輝度(Lf)を算出する。
【0036】
図2中の(式2)におけるwidthは、表示パネル10のX方向の画素数であり、lineは、表示パネル10のY方向の画素数であり、(x、y)は、表示パネル10のある画素の座標を意味する。
【0037】
図2に図示したステップ3(S3)においては、
図2中の(式3)に基づいて、点灯率(lightting rate)を算出する。
【0038】
以上のように、点灯率算出部2においては、上述したステップ1(S1)からステップ3(S3)によって、10bitのデータに規格化された点灯率を算出できる。
【0039】
なお、本実施形態においては、10bitのデータに規格化された点灯率を算出する場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはない。
【0040】
(ルックアップテーブル(LUT))
図3の(a)は、ルックアップテーブル(LUT)6に格納された点灯率毎の入力輝度(入力階調)と出力輝度(出力階調)との補正関数を生成するための各パラメータを示す図であり、
図3の(b)は、上記各パラメータに基づく入力輝度(入力階調)と出力輝度(出力階調)との補正関数の一例を示す図である。
【0041】
図3の(a)に図示するように、輝度コントロールパラメータ(ガンマ電圧(ガンマ電圧設定値)、PWMパラメータ)がある値の場合で行った事前評価で算出した点灯率と補正量の関係をもとに作成したルックアップテーブル(LUT)6には、点灯率によって選択される複数種類の入力輝度と出力輝度との補正関数を生成するための各パラメータが格納されている。
【0042】
すなわち、ルックアップテーブル(LUT)6には、事前の表示パネル10の評価等で、点灯率毎の好ましい補正関数を算出しておき、点灯率毎の好ましい補正関数を生成するための各パラメータが格納されている。
【0043】
本実施形態においては、点灯率を8つの範囲に分け、複数種類の入力輝度と出力輝度との補正関数を生成するための各パラメータが、ルックアップテーブル(LUT)6に格納されている場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、点灯率は複数の範囲に分ければよく、複数種類の入力輝度と出力輝度との補正関数を生成するための各パラメータが格納されていればよい。
【0044】
なお、点灯率を複数の範囲に分ける場合における、その境界値は、本実施形態においては、0、150・・・900、1203を用いているが、これに限定されることはなく、適宜設定することができる。
【0045】
補正関数を生成するための各パラメータは、Inflection Point(IP)、Control Point(CP)及びEnd Point(EP)からなる3点である。
【0046】
図3の(a)に図示されているように、本実施形態においては、IPは仕様と設計規模の関係からX及びYを共通にしており、EPは、1023階調のポイントなので、実質的にX方向は固定(1023)になっており、CPは、Control Point XとControl Point Yで規定されている場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。
【0047】
図3の(b)は、上述した複数種類の入力輝度と出力輝度との補正関数中のある1つの補正関数を示しており、低輝度(低入力階調)側は直線で、高輝度(高入力階調)側は近似曲線で、なめらかに補正されている。
【0048】
例えば、点灯率150の場合は、IP_2が規定するIPと、EP_2が規定するEPと、XCP_2及びXCP_2が規定するCPからなる3点から求まる近似曲線を使用し、点灯率900の場合は、IP_7が規定するIPと、EP_7が規定するEPと、XCP_7及びXCP_7が規定するCPからなる3点から求まる近似曲線を使用する。
【0049】
上記3点から近似曲線を求める際には、上記3点で指定された直線の折曲げを、各2点間の中点どうしを結びながら曲線近似し、
図3の(b)に図示するように、特定の点灯率における上記3点に基づく入力輝度(入力階調)と出力輝度(出力階調)との補正関数(補正カーブ)を得ることができる。
【0050】
一方、CPを、EPとIPを結ぶ直線上に設定し、直線状の階調補正関数としてもよい。
【0051】
なお、IPは、近似曲線の開始ポイントを意味し、EPは、最大点輝度(近似曲線の終点)を意味し、CPは、近似曲線を計算するための演算点であり、例えば、CPを、EPとIPを結ぶ直線上に設定した場合、補正関数は直線となる。
【0052】
本実施形態においては、点灯率算出部2で算出された点灯率が0の場合は、ルックアップテーブル(LUT)6における点灯率0に対応する各パラメータを参照し、点灯率が150の場合は、ルックアップテーブル(LUT)6における点灯率150に対応する各パラメータを参照し、点灯率が300の場合は、ルックアップテーブル(LUT)6における点灯率300に対応する各パラメータを参照し、点灯率が450の場合は、ルックアップテーブル(LUT)6における点灯率450に対応する各パラメータを参照し、点灯率が600の場合は、ルックアップテーブル(LUT)6における点灯率600に対応する各パラメータを参照し、点灯率が750の場合は、ルックアップテーブル(LUT)6における点灯率750に対応する各パラメータを参照し、点灯率が900の場合は、ルックアップテーブル(LUT)6における点灯率900に対応する各パラメータを参照し、点灯率が1023の場合は、ルックアップテーブル(LUT)6における点灯率1023に対応する各パラメータを参照するようになっている。
【0053】
そして、本実施形態においては、点灯率が1以上150未満である場合、点灯率が151以上300未満である場合、点灯率が301以上450未満である場合、点灯率が451以上600未満である場合、点灯率が601以上750未満である場合、点灯率が751以上900未満である場合、点灯率が901以上1023未満である場合、例えば、点灯率が50の場合などには、点灯率50に対応する各パラメータは線形補間で算出している。
【0054】
具体的には、点灯率が50の場合は、対応する各パラメータとして、
図3(a)に図示した、点灯率0に対応する各パラメータであるIP_1、EP_1、XCP_1及びYCP_1の値と、点灯率150に対応する各パラメータであるIP_2、EP_2、XCP_2及びYCP_2の値との差分(IP_2-IP_1、EP_2-EP_1、XCP_2-XCP_1及びYCP_2-YCP_1)に50/(150-0)を掛けた値をそれぞれ用いている。
【0055】
なお、このような線形補間を用いた各パラメータの算出は、ACL回路1に備えられた補正パラメータ算出部3で行うことができる。
【0056】
(補正パラメータ算出部及び補正関数算出部)
補正パラメータ算出部3は、点灯率算出部2で算出された点灯率に応じて、ルックアップテーブル(LUT)6を参照し、該当点灯率における入力輝度(入力階調)と出力輝度(出力階調)との補正関数を生成するための各パラメータ(IP、EP、CP)を取得する。
【0057】
そして、補正パラメータ算出部3は、各パラメータ(IP、EP、CP)に、輝度コントロール回路7から得た輝度コントロールパラメータ(ガンマ電圧、PWMパラメータ)を適用し、輝度コントロール分の補正が反映された入力輝度(入力階調)と出力輝度(出力階調)との補正関数を生成するための最終的な各パラメータ(IP’、EP’、CP’)を取得し、補正関数算出部4に出力する。
【0058】
図4の(a)は、輝度コントロール回路7が、輝度コントロールを行った場合における入力画像データ(階調データ)と出力電圧との関係の一例を示す図である。
【0059】
図4の(a)に図示するように、入力画像データ(階調データ)が例えば0~1023等の10bitのデータであり、例えば、500という階調を示す階調データであっても、ガンマ電圧やPWMパラメータによる輝度コントロールがされる前と後とでは、その出力電圧及び消費電力が全く異なり、電源ドロップや配線抵抗等による表示パネル10における輝度の低下量も全く異なる。
【0060】
したがって、輝度コントロールがされる前のデータである入力画像データ(階調データ)のみを基に消費電力の見積もりの算出を行うと、入力画像データ(階調データ)に対して、輝度コントロール回路で輝度変化された消費電力分の補正を全く反映できない。
【0061】
そこで、本実施形態においては、補正パラメータ算出部3が、各パラメータ(IP、EP、CP)に、輝度コントロール回路7から得た輝度コントロールパラメータ(ガンマ電圧、PWMパラメータ)を適用し、輝度コントロール分の補正が反映された入力輝度(入力階調)と出力輝度(出力階調)との補正関数を生成するための最終的な各パラメータ(IP’、EP’、CP’)を取得するようになっている。
【0062】
補正パラメータ算出部3は、各パラメータ(IP、EP、CP)に、輝度コントロール回路7から得た輝度コントロールパラメータ(ガンマ電圧、PWMパラメータ)に応じた近似係数を乗じて、最終的な各パラメータ(IP’、EP’、CP’)を取得する。
【0063】
なお、輝度コントロール回路7から得た輝度コントロールパラメータ(ガンマ電圧、PWMパラメータ)に応じた近似係数は、ルックアップテーブル(LUT)に格納されていてもよい。
【0064】
本実施形態においては、輝度コントロール回路7から得た輝度コントロールパラメータ(ガンマ電圧、PWMパラメータ)は、8bitのデータである場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはない。
【0065】
図4の(a)の場合は、輝度コントロール回路7が表示パネル10の表示輝度を50%に輝度コントロールした場合を想定している。
【0066】
したがって、ルックアップテーブル(LUT)6に格納されている点灯率によって選択される複数種類の入力輝度と出力輝度との補正関数を生成するための各パラメータが、輝度コントロールパラメータが255の場合で行った事前評価で算出した点灯率と補正量の関係をもとに作成されている場合には、表示輝度50%に該当する輝度コントロールパラメータは127であり、ルックアップテーブル(LUT)6から取得した各パラメータ(IP、EP、CP)のY軸成分に、127/255(=50%)に該当する近似係数である0.5を乗じたものを補正後のパラメータ(IP’、EP’、CP’)とすることができ、補正パラメータ算出部3は、補正後のパラメータ(IP’、EP’、CP’)を補正関数算出部4に出力する。
【0067】
図4の(b)は、
図3の(b)に図示した入力輝度(入力階調)と出力輝度(出力階調)との補正関数に、輝度コントロール分の補正を加えた入力輝度(入力階調)と出力輝度(出力階調)との補正関数を示す図である。
【0068】
補正関数算出部4においては、
図4の(b)に図示するように、補正後のパラメータ(IP’、EP’、CP’)から求まる近似曲線を使用し、なめらかな階調補正関数を得るとともに、この得られた階調補正関数におけるA~Eの5領域の傾き(SLOPE A~E)を求め、補正データ算出部5に出力する。
【0069】
なお、
図3の(b)に図示する、ルックアップテーブル(LUT)6に格納されている点灯率によって選択される複数種類の入力輝度と出力輝度との補正関数を生成するための各パラメータは、輝度コントロールパラメータが中間階調である127の場合で行った事前評価で算出した点灯率と補正量の関係をもとに作成しており、
図4の(b)に図示する補正後のパラメータ(IP’、EP’、CP’)は、輝度コントロールパラメータが127より大きい場合であり、ルックアップテーブル(LUT)6から取得した各パラメータ(IP、EP、CP)のY軸成分に、該当する近似係数を乗じたものである。
【0070】
(補正データ算出部)
補正データ算出部5は、補正関数算出部4から得た階調補正関数におけるA~Eの5領域の傾き(SLOPE A~E)に基づいて、入力画像データ(階調データ)を補正した補正後の画像データ(階調データ)を出力する。
【0071】
図5は、輝度コントロール回路7が表示パネル10の表示輝度を高く設定した場合と、低く設定した場合とにおいて、ACL回路1が行う補正を説明するための図である。
【0072】
図5の(a)及び
図5の(b)は、表示パネル10に同じ画像を表示する場合、すなわち、点灯率が、例えば、700の画像を表示する場合の階調と輝度の関係を示す図である。
【0073】
図5の(a)は、輝度コントロール回路7により、255階調が輝度700cdとなるように、輝度設定が高くされた場合であり、
図5の(b)の場合は、輝度コントロール回路7により、255階調が輝度500cdとなるように、輝度設定が低くされた場合である。
【0074】
図5の(a)に図示するように、輝度コントロール回路7により、255階調が輝度700cdとなるように設定した場合には、電源ドロップで255階調が輝度650cd程度に下がり、実測のガンマカーブ(実線)は、電源ドロップ有りのガンマ2.2の理想カーブ(点線)や電源ドロップ無しのガンマ2.2の理想カーブ(点線)から大きくずれる。
【0075】
図5の(b)に図示するように、輝度コントロール回路7により、255階調が輝度500cdとなるように設定した場合には、電源ドロップで255階調が輝度490cd程度に下がり、実測のガンマカーブ(実線)は、電源ドロップ有りのガンマ2.2の理想カーブ(点線)や電源ドロップ無しのガンマ2.2の理想カーブ(点線)から若干ずれる程度である。
【0076】
図5の(c)は、ルックアップテーブル(LUT)6に格納されている点灯率によって選択される各パラメータから生成される入力輝度と出力輝度との補正関数の一つであり、点灯率は700で、ルックアップテーブル(LUT)6に格納されている点灯率によって選択される各パラメータは、輝度コントロールパラメータが255の場合で行った事前評価で算出した点灯率と補正量の関係をもとに作成されている場合である。
【0077】
輝度コントロール回路7が輝度設定を高くしても低くしても、点灯率は変わらないので、点灯率に基づいて、
図5の(c)に図示する一つの補正関数(第1の補正関数)を生成するための各パラメータ(IP、EP、CP)(第1のパラメータ)が選択される。
【0078】
図5の(d)は、輝度コントロール回路7が255階調が輝度700cdとなるように設定した場合と、255階調が輝度500cdとなるように設定した場合とにおける入力画像データ(階調データ)と出力電圧との関係の一例を示す図である。
【0079】
図5の(e)は、輝度コントロール回路7が行った表示パネル10の輝度の制御に関する消費電力の変化分の補正を反映させるため、点灯率に基づいて選択された各パラメータ(IP、EP、CP)(第1のパラメータ)のY軸成分に、該当する近似係数を乗じて得た、補正後のパラメータ(IP’、EP’、CP’)(第2のパラメータ)から生成される補正関数(第2の補正関数)である。
【0080】
図5の(e)中の高い輝度の場合の補正関数は、輝度コントロール回路7が、255階調が輝度700cdとなるように設定した場合の補正関数であり、
図5の(e)中の低い輝度の場合の補正関数は、輝度コントロール回路7が、255階調が輝度500cdとなるように設定した場合の補正関数である。
【0081】
図5の(f)は、輝度設定が高い時、すなわち、輝度コントロール回路7が、255階調が輝度700cdとなるように設定した場合の補正後の実測のガンマカーブと、輝度設定が低い時、すなわち、輝度コントロール回路7が、255階調が輝度500cdとなるように設定した場合の補正後の実測のガンマカーブとを図示しており、輝度設定が高い時の補正後の実測のガンマカーブは、輝度設定が高い時の電源ドロップ有りのガンマ2.2の理想カーブ(点線)に略一致しており、輝度設定が低い時の補正後の実測のガンマカーブは、輝度設定が低い時の電源ドロップ有りのガンマ2.2の理想カーブ(点線)に略一致している。
【0082】
以上のように、本実施形態の有機EL表示装置には、点灯率算出部2と補正パラメータ算出部3と補正関数算出部4と補正データ算出部5とを含むACL回路(階調補正回路)1と、ルックアップテーブル(LUT)6と、輝度コントロール回路7と、PWM制御回路8と、ガンマ回路9と、表示パネル10とが備えられているので、入力画像データに対して、輝度コントロール回路7が行った表示パネル10の輝度の制御に関する消費電力の変化分の補正を反映させることができる有機EL表示装置を実現できる。
【0083】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0084】
本実施形態においては、輝度コントロール回路7が、輝度設定を所定値未満で低くした場合、例えば、255階調が輝度500cd未満となるように設定した場合には、入力輝度(入力階調)をそのまま出力輝度(出力階調)として出力する補正関数(第2の補正関数)を用いる点において、上述した実施形態1とは異なる。
【0085】
図6中の高い輝度の場合の補正関数は、輝度コントロール回路7が、255階調が輝度500cd以上となるように設定した場合における補正関数の一例を示しており、
図6中の低い輝度の場合の補正関数は、輝度コントロール回路7が、255階調が輝度500cd未満となるように設定した場合の補正関数である。
【0086】
すなわち、本実施形態においては、輝度コントロール回路7は、輝度コントロールパラメータの値が表示パネル10の輝度設定を所定値以上、例えば、255階調が輝度500cd以上とする値である場合に、入力輝度(入力階調)を補正するようになっており、輝度コントロールパラメータの値が表示パネル10の輝度設定を所定値未満、例えば、255階調が輝度500cd未満とする値である場合には、入力輝度(入力階調)をそのまま出力輝度(出力階調)として出力するようになっている。
【0087】
上述した実施形態1において、
図5の(b)に基づいて説明したように、輝度コントロール回路7による輝度設定が低い時には、電源ドロップによる輝度の低下も少なく、実測のガンマカーブは、電源ドロップ有りのガンマ2.2の理想カーブや電源ドロップ無しのガンマ2.2の理想カーブから若干ずれる程度である。
【0088】
したがって、本実施形態のように、輝度コントロール回路7が、輝度設定を所定値未満で低くした場合に、入力輝度(入力階調)をそのまま出力輝度(出力階調)として出力する補正関数(第2の補正関数)を用いてもよい。
【0089】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る表示装置は、表示パネルと、階調補正回路と、上記表示パネルの輝度を制御する輝度コントロール回路と、を備えた表示装置であって、上記階調補正回路は、入力画像データの輝度に関するデータに基づいて第1の補正関数を生成するための第1のパラメータを取得するとともに、上記輝度コントロール回路からの上記表示パネルの輝度の制御に関する輝度コントロールパラメータに基づいて、上記第1のパラメータを補正し、第2の補正関数を生成するための第2のパラメータを取得し、上記第2の補正関数に基づいて上記入力画像データの階調を補正することを特徴としている。
【0090】
本発明の態様2に係る表示装置においては、上記態様1において、上記入力画像データの輝度に関するデータは、上記入力画像データに基づく上記表示パネルの全画素の輝度を1フレーム分積算したフレーム輝度を、上記表示パネルの全画素数に最大輝度を示す階調値を乗じた値で割った値に基づいて算出された点灯率であってもよい。
【0091】
本発明の態様3に係る表示装置においては、上記態様1または2において、上記輝度コントロールパラメータは、上記表示パネルの輝度を制御するために、上記輝度コントロール回路からPWM制御回路に供給されるPWMパラメータを含んでいてもよい。
【0092】
本発明の態様4に係る表示装置においては、上記態様1から3の何れかにおいて、上記輝度コントロールパラメータは、上記表示パネルの輝度を制御するために、上記輝度コントロール回路からガンマ回路に供給されるガンマ電圧設定値を含んでいてもよい。
【0093】
本発明の態様5に係る表示装置においては、上記態様1から4の何れかにおいて、上記輝度コントロール回路は、上記輝度コントロールパラメータの値が上記表示パネルの輝度設定を所定値以上にする値である場合に、上記入力画像データの階調を補正してもよい。
【0094】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、表示装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 ACL回路(階調補正回路)、2 点灯率算出部、3 補正パラメータ算出部、4 補正関数算出部、5 補正データ算出部、6 ルックアップテーブル(LUT)、7 輝度コントロール回路、8 PWM制御回路、9 ガンマ回路、10 表示パネル