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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】回転体の取付装置、およびレンジフード
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20220830BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
F04D29/28 L
F04D29/28 N
F24F7/06 101A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018098289
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2019203432
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】山岸 智和
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-078193(JP,U)
【文献】特開2015-059509(JP,A)
【文献】特開2015-124712(JP,A)
【文献】特開2017-090024(JP,A)
【文献】特開昭52-094509(JP,A)
【文献】特開2009-221927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝と、前記ピンが当接し、かつ弾性材料から成る緩衝部材を有し、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記ピンによって、前記緩衝部材のピン当接面における前記ピンが当接した部分を凹み弾性圧縮変形し、かつ前記ピンが前記溝に嵌まる前の回転体非取付状態では、前記緩衝部材は、前記軸挿入孔から見て前記溝の内側または/および外側に設けられ、前記緩衝部材のピン当接面は、前記溝の底部よりもモータ側に位置した構成としたことを特徴とする回転体の取付装置。
【請求項2】
モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝と、前記ピンが当接し、かつ弾性材料から成る緩衝部材を有し、
前記緩衝部材は、前記溝の底部に設けられ、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記ピンによって、前記緩衝部材のピン当接面凹み弾性変形し、かつ前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態において、前記ピンの回転伝達部分は前記緩衝部材のピン当接面よりもモータ側に位置した構成としたことを特徴とする回転体の取付装置。
【請求項3】
モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝と、前記ピンが当接し、かつ非弾性材料から成る緩衝部材を有し、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記ピンは、前記緩衝部材のピン当接面に圧着し、かつ前記ピンが前記溝に嵌まる前の回転体非取付状態では、前記緩衝部材は、前記軸挿入孔から見て前記溝の内側または/および外側に設けられ、前記緩衝部材のピン当接面は、前記溝の底部よりもモータ側に位置した構成としたことを特徴とする回転体の取付装置。
【請求項4】
モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝と、前記ピンが当接し、かつ非弾性材料から成る緩衝部材を有し、
前記緩衝部材は、前記溝の底部に設けられ、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記ピンは、前記緩衝部材のピン当接面に圧着し、かつ前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態において、前記ピンの回転伝達部分は前記緩衝部材のピン当接面よりもモータ側に位置した構成としたことを特徴とする回転体の取付装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の回転体の取付装置において、
前記ピンが前記溝に嵌まる前の回転体非取付状態では、前記緩衝部材のピン当接面は、前記ボス部のモータ軸挿入側端面より前記モータ軸の先端側に位置した回転体の取付装置。
【請求項6】
モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝を有し、
前記ピンに弾性材料から成る緩衝部材が設けられ、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記緩衝部材は前記溝の底部に圧着して弾性圧縮変形し、かつ前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態において、前記ピンの回転伝達部分は前記緩衝部材のピン当接面よりもモータ側に位置した構成としたことを特徴とする回転体の取付装置。
【請求項7】
モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝を有し、
前記ピンのモータ軸寄りまたは/およびモータ軸と反対側寄りに、弾性材料から成る緩衝部材が設けられ、
前記ボス部は、前記軸挿入孔から見て前記溝の内側または/および外側に、緩衝部材当接面を備え、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記緩衝部材は、前記緩衝部材当接面に圧着して弾性圧縮変形し、かつ前記モータ軸回転時に前記ピンが前記溝の開口側面に直接接触する構成としたことを特徴とする回転体の取付装置。
【請求項8】
モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝を有し、
前記モータ軸のうち、前記ピンよりも前記モータ軸の先端側に弾性材料から成るリング状の緩衝部材が設けられ、
前記ボス部は、前記軸挿入孔から見て溝の内側に、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ軸挿入孔と連続した緩衝部材挿入用穴を有し、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記緩衝部材は、前記緩衝部材挿入用穴に挿入し、かつ下面が緩衝部材挿入用穴の当接部に圧着して弾性圧縮変形し、前記緩衝部材挿入用穴の当接部は、前記溝の底部よりも前記モータ軸の先端側に位置した構成としたことを特徴とする回転体の取付装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の回転体の取付装置において、
前記緩衝部材は、前記ボス部または、ピンまたは、モータ軸に着脱自在に取り付けた回転体の取付装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の回転体の取付装置において、
前記ボス部の軸挿入孔に、前記モータ軸の回転抵抗となるスベリ止め部材が設けられている回転体の取付装置。
【請求項11】
フードと、送風機を備えたレンジフードであって、
前記送風機のファンは、そのファンを回転するモータのモータ軸に、請求項1から10のいずれかに記載の回転体の取付装置で取り付けられていることを特徴とするレンジフード。
【請求項12】
フードと、送風機と、フィルタを備えたレンジフードであって、
前記フィルタは、そのフィルタを回転するモータのモータ軸に、請求項1から10のいずれかに記載の回転体の取付装置で取り付けられているレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに用いる送風機のファン、フィルタなどの回転体を、その回転体を回転駆動するモータのモータ軸に取り付ける回転体の取付装置、およびその回転体の取付装置でファン、フィルタをモータ軸に取り付けたレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
レンジフードに用いる送風機は、回転体であるファンを、モータのモータ軸に取り付け、モータ軸とファンを一体として回転する構成が一般的である。
ファンをモータ軸に取り付ける装置としては、回転体のボス部をモータ軸に挿入し、ボス部の溝を、モータ軸に備えたピンに嵌め、モータ軸の回転によりピンが溝に接してモータ軸とファンを一体として回転する装置が知られている。
この取付装置は、ファンをモータ軸に簡単に取り付け出来る。
しかしながら、モータ軸のピンとボス部の溝の間にはガタが有り、ファンを回転開始、回転停止するためにモータを駆動、停止すると、ピンが溝に直接衝突する。これによりファンの回転開始時、回転停止時に振動や衝突音が発生することがしばしばあった。
このことを解消するために、特許文献1に開示された回転体の取付装置は、モータ軸のピンとボス部の溝との間に、弾性体のワッシャーを狭着することで、ファンの回転開始時、回転停止時に振動、衝突音が発生しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5092853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示され回転体の取付装置であると、ファンが回転している時には、モータ軸のピンが弾性体のワッシャーを介して溝に押しつけられている。つまり、モータ軸の回転力を弾性体のワッシャーを介してボス部に伝えることでファンを回転している。
このために、弾性体のワッシャーに大きな負荷がかかり、送風機の短い使用回数で弾性体のワッシャーが変形、破損する虞があった。
弾性体のワッシャーが変形、破損すると、ファンの回転開始時、回転停止時に振動、衝突音が発生しないようにするという効果が減少し、長期間その効果を持続できなくなってしまうので、弾性体のワッシャーを交換しなければならず、その弾性体のワッシャーの交換に手間がかかってしまう。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために為されたものであり、その目的は、回転体の回転開始時、回転停止時に発生する振動、衝突音が低減し、かつ長期間その効果を持続可能である回転体の取付装置およびレンジフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の回転体の取付装置は、モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝と、前記ピンが当接し、かつ弾性材料から成る緩衝部材を有し、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記ピンによって、前記緩衝部材のピン当接面における前記ピンが当接した部分を凹み弾性圧縮変形し、かつ前記ピンが前記溝に嵌まる前の回転体非取付状態では、前記緩衝部材は、前記軸挿入孔から見て前記溝の内側または/および外側に設けられ、前記緩衝部材のピン当接面は、前記溝の底部よりもモータ側に位置した構成としたことを特徴とする回転体の取付装置である。
【0007】
本発明の第2の回転体の取付装置は、モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝と、前記ピンが当接し、かつ弾性材料から成る緩衝部材を有し、
前記緩衝部材は、前記溝の底部に設けられ、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記ピンによって、前記緩衝部材のピン当接面凹み弾性変形し、かつ前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態において、前記ピンの回転伝達部分は前記緩衝部材のピン当接面よりもモータ側に位置した構成としたことを特徴とする回転体の取付装置である。
【0008】
本発明の第3の回転体の取付装置は、モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝と、前記ピンが当接し、かつ非弾性材料から成る緩衝部材を有し、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記ピンは、前記緩衝部材のピン当接面に圧着し、かつ前記ピンが前記溝に嵌まる前の回転体非取付状態では、前記緩衝部材は、前記軸挿入孔から見て前記溝の内側または/および外側に設けられ、前記緩衝部材のピン当接面は、前記溝の底部よりもモータ側に位置した構成としたことを特徴とする回転体の取付装置である。
【0009】
本発明の第4の回転体の取付装置は、モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝と、前記ピンが当接し、かつ非弾性材料から成る緩衝部材を有し、
前記緩衝部材は、前記溝の底部に設けられ、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記ピンは、前記緩衝部材のピン当接面に圧着し、かつ前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態において、前記ピンの回転伝達部分は前記緩衝部材のピン当接面よりもモータ側に位置した構成としたことを特徴とする回転体の取付装置である。
【0010】
本発明の第5の回転体の取付装置は、第1から第4いずれかの回転体の取付装置において、
前記ピンが前記溝に嵌まる前の回転体非取付状態では、前記緩衝部材のピン当接面は、前記ボス部のモータ軸挿入側端面より前記モータ軸の先端側に位置した回転体の取付装置である。
【0011】
本発明の第6の回転体の取付装置は、モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝を有し、
前記ピンに弾性材料から成る緩衝部材が設けられ、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記緩衝部材は前記溝の底部に圧着して弾性圧縮変形し、かつ前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態において、前記ピンの回転伝達部分は前記緩衝部材のピン当接面よりもモータ側に位置した構成としたことを特徴とする回転体の取付装置である。
【0012】
本発明の第7の回転体の取付装置は、モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝を有し、
前記ピンのモータ軸寄りまたは/およびモータ軸と反対側寄りに、弾性材料から成る緩衝部材が設けられ、
前記ボス部は、前記軸挿入孔から見て前記溝の内側または/および外側に、緩衝部材当接面を備え、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記緩衝部材は、前記緩衝部材当接面に圧着して弾性圧縮変形し、かつ前記モータ軸回転時に前記ピンが前記溝の開口側面に直接接触する構成としたことを特徴とする回転体の取付装置である。
【0013】
本発明の第8の回転体の取付装置は、モータ軸に回転体を取り付ける回転体の取付装置であって、
前記モータ軸は、前記モータ軸に固着された回転伝達用のピンを有し、
前記回転体のボス部は、前記モータ軸が挿入される軸挿入孔と、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ前記ピンが嵌まる溝を有し、
前記モータ軸のうち、前記ピンよりも前記モータ軸の先端側に弾性材料から成るリング状の緩衝部材が設けられ、
前記ボス部は、前記軸挿入孔から見て溝の内側に、モータ軸挿入側端面に開口し、かつ軸挿入孔と連続した緩衝部材挿入用穴を有し、
前記モータ軸が前記軸挿入孔に挿入され、前記ピンが前記溝に嵌まった回転体取付状態で、前記緩衝部材は、前記緩衝部材挿入用穴に挿入し、かつ下面が緩衝部材挿入用穴の当接部に圧着して弾性圧縮変形し、前記緩衝部材挿入用穴の当接部は、前記溝の底部よりも前記モータ軸の先端側に位置した構成としたことを特徴とする回転体の取付装置である。
【0014】
本発明の第9の回転体の取付装置は、第1から第8いずれかの回転体の取付装置において、
前記緩衝部材は、前記ボス部または、ピンまたは、モータ軸に着脱自在に取り付けた回転体の取付装置である。
【0015】
本発明の第10の回転体の取付装置は、第1から第9いずれかの回転体の取付装置において、
前記ボス部の軸挿入孔に、前記モータ軸の回転抵抗となるスベリ止め部材が設けられている回転体の取付装置である。
【0016】
本発明の第1のレンジフードは、フードと、送風機を備えたレンジフードであって、
前記送風機のファンは、そのファンを回転するモータのモータ軸に、第1から第10いずれかの回転体の取付装置で取り付けられていることを特徴とするレンジフードである。
【0017】
本発明の第2のレンジフードは、フードと、送風機と、フィルタを備えたレンジフードであって、
前記フィルタは、そのフィルタを回転するモータのモータ軸に、第1から第10いずれかの回転体の取付装置で取り付けられているレンジフードである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の回転体の取付装置によれば、回転体の回転開始時、回転停止時に発生する振動、衝突音が低減し、かつ長期間その効果を持続可能である。
【0019】
本発明の第1から第4の回転体の取付装置によれば、ファンをモータ軸に取り付ける時に、溝の開口側面がピンに直接接触し、緩衝部材がピンに接触しないので、溝とピンが滑るために溝をピンに嵌めこみ易く、ファンをモータ軸に取り付け易い。
【0020】
本発明の第5の回転体の取付装置によれば、緩衝部材のピン当接面は、ボス部の軸挿入側端面よりモータ軸の先端側に位置しているので、ファンを取り付ける際に溝をピンに嵌め込み易い。
【0021】
本発明の第9の回転体の取付装置によれば、緩衝部材は着脱可能であるから、長期間の使用などにより変形、破損したときに新しい緩衝部材と容易に交換できる。
【0022】
本発明の第10の回転体の取付装置によれば、回転体の回転開始時、回転停止時に発生する振動、衝突音がより一層低減し、かつより一層長期間その効果を持続可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のレンジフードの実施の形態を示す断面図である。
図2】本発明の回転体の取付装置の第1の実施の形態を示す送風機とモータの断面図である。
図3】送風機のファンの斜視図である。
図4】送風機のファンの平面図である。
図5】ファンのボス部の拡大正面図である。
図6】ファンのボス部の図5におけるA-A線断面図である。
図7】ファン取付動作の説明図である。
図8】ファン取付状態のピンとボス部の拡大正面図である。
図9】ファン取付状態のピンとボス部の図8におけるB-B線断面図である。
図10】本発明の回転体の取付装置の第2の実施の形態を示す送風機とモータの断面図である。
図11】送風機のファンの斜視図である。
図12】送風機のファンの平面図である。
図13】ファンのボス部の拡大断面図である。
図14】ファン取付状態のピンとボス部の拡大正面図である。
図15】ファン取付状態のピンとボス部の図14におけるC-C線断面図である。
図16】本発明の回転体の取付装置の第3の実施の形態を示すファンのボス部の断面図である。
図17】ファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
図18】ファン取付状態のピンとボス部の図17におけるD-D線断面図である。
図19】本発明の回転体の取付装置の第4の実施の形態を示す送風機とモータの断面図である。
図20】送風機のファンの斜視図である。
図21】送風機のファンの平面図である。
図22】ファンのボス部の拡大正面図である。
図23】ファンのボス部の図22におけるE-E線断面図である。
図24】ファン取付状態のピンとボス部の拡大正面図である。
図25】ファン取付状態のピンとボス部の図24におけるF-F線断面図である。
図26】本発明の回転体の取付装置の第5の実施の形態を示すファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
図27】本発明の回転体の取付装置の第6の実施の形態を示すファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
図28】本発明の回転体の取付装置の第7の実施の形態を示すファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
図29】本発明の回転体の取付装置の第8の実施の形態を示すファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
図30】本発明の回転体の取付装置の第9の実施の形態を示すファン非取付状態のピンとボス部の正面図である。
図31】ファン非取付状態のピンとボス部の図30におけるG-G線断面図である。
図32】ファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
図33】ファン取付状態のピンとボス部の図32におけるH-H線断面図である。
図34】本発明の回転体の取付装置の第10の実施の形態を示すファン非取付状態のピンとボス部の断面図である。
図35】ファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
図36】ファン取付状態のピンとボス部の図35におけるI-I線断面図である。
図37】本発明の回転体の取付装置の第11の実施の形態を示すファン非取付状態のピンとボス部の断面図である。
図38】ファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
図39】ファン取付状態のピンとボス部の図38におけるJ-J線断面図である。
図40】本発明の回転体の取付装置の第12の実施の形態を示すファン非取付状態のピンとボス部の断面図である。
図41】ファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
図42】ファン取付状態のピンとボス部の図41におけるK-K線断面図である。
図43】本発明の回転体の取付装置の第13の実施の形態を示すファン非取付状態のピンとボス部の正面図である。
図44】ファン非取付状態のピンとボス部の図43におけるL-L線断面図である。
図45】ファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
図46】ファン取付状態のピンとボス部の図45におけるM-M線断面図である。
図47】スベリ止め部材を備えたファンの斜視図である。
図48】スベリ止め部材を備えたファンの平面図である。
図49】スベリ止め部材を備えたファンの図48におけるN-N線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のレンジフードの実施の形態を図1に基づいて説明する。図1はレンジフードの断面図である。
レンジフード1は、フード2と、送風機3と、フィルタ4を備えている。
フード2の下面は上向きに凹み、下向きに開口した凹部20を形成している。凹部20内に整流板21が設けられ、凹部20と整流板21とで流路22を形成している。フード2の上面には送風機ボックス23が設けてある。
送風機3は、送風機ボックス23内に設けられたケーシング30と、ケーシング30に取り付けられた送風機用のモータ31と、ケーシング30内に設けられたファン32を有している。
送風機用のモータ31を回転駆動することでファン32が回転する構成としてある。
フィルタ4は、フード2の流路22内における送風機3よりも上流側に回転可能に設けてある。フィルタ4は、フィルタ用のモータ40を回転駆動することで回転する構成としてある。
【0025】
レンジフード1は、次のように作動する。
送風機用のモータ31を回転駆動してファン32を回転することで、調理時に発生した油煙等は流路22内に流入し、フィルタ4を通過してケーシング30内に吸い込まれ、排気ダクトDから排出される。
ファン32は、送風機用のモータ31のモータ軸33に、本発明の回転体の取付装置で取り付けてある。
フィルタ4は、フィルタ用のモータ40のモータ軸41に、本発明の回転体の取付装置で取り付けてある。
つまり、ファン32、フィルタ4が、本発明の回転体である。なお、図1では、ファン32、フィルタ4の取り付け構成を概略的に図示してある。
【0026】
レンジフード1は、図1に示す構成に限ることはない。
例えば、ファン32は本発明の回転体の取付装置以外の取付装置、例えば、ねじ止めで取り付け、フィルタ4は本発明の回転体の取付装置で取り付ける構成としてもよい。
また、フィルタ4は回転せずに固定して取り付ける構成としてもよい。この構成の場合は、フィルタ回転用のモータは不要である。
また、フィルタを備えていないレンジフードとすることが出来る。
【0027】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第1の実施の形態を図2から図9に基づいて説明する。図2は送風機とモータの断面図、図3は送風機のファンの斜視図、図4は送風機のファンの平面図、図5はファンのボス部の拡大正面図、図6はファンのボス部の図5におけるA-A線断面図、図7はファン取付動作の説明図、図8はファン取付状態のピンとボス部の拡大正面図、図9はファン取付状態のピンとボス部の図8におけるB-B線断面図である。
送風機3の構成を図2に基づき説明する。
図2に示すように、送風機用のモータ31のモータ軸33には、軸中心線と直角なピン取付孔34が形成され、そのピン取付孔34に回転伝達用のピン35(以下、ピン35という)が嵌合して固着して取り付けてある。
ピン35は、長手方向両端部がモータ軸33の外周面からそれぞれ突出している。つまり、モータ軸33はピン35を有し、そのピン35は軸中心線と直角である。
【0028】
ファン32は、軸心部にボス部36を有している。ボス部36はモータ軸33に挿入され、抜け止め部材5でモータ軸33から抜けないように保持することで、ファン32はモータ軸33に取り付けられる。
抜け止め部材5は、ボス部36に取り付けられるケース50と、ケース50にモータ軸33に向かう方向と、離れる方向に移動可能に取り付けられた2つの当接部材51と、2つの当接部材51をそれぞれモータ軸33から離れる方向(矢印a方向)に付勢する2つの弾性部材52を備えている。
2つの当接部材51は、モータ軸33が挿通する孔53を有し、モータ軸33の先端寄りは他の部分よりも小径で括れ部54を形成し、括れ部54よりも先端部は先細のテーパ状である。
ボス部36をモータ軸33に挿入しない状態では、2つの当接部材51は弾性部材52で移動し、2つの当接部材51の孔53の内周面における移動方向上流側の一部53aの間隔が、モータ軸33の括れ部54の径よりも狭い状態に保持される。
【0029】
ボス部36をモータ軸33に挿入する時は、2つの当接部材51の孔53をモータ軸33の先端部に押し込むことで、2つの当接部材51は弾性部材52の付勢力に抗してモータ軸33の外周面に接近する方向(反矢印a方向)に移動し、孔53をモータ軸33の括れ部54まで移動することが出来る。
2つの当接部材51の孔53が括れ部54まで移動すると、孔53の内周面における移動方向上流側の一部53aがモータ軸33の括れ部54に当接し、2つの当接部材51は両側からモータ軸33を挟み込むことで、ボス部36がモータ軸33から抜けないように保持する。
ボス部36をモータ軸33から抜き出すときは、2つの当接部材51のケース50から外側に突き出た操作部分51aを押して孔53の内周面における移動方向上流側の一部53aがモータ軸33から離れる方向に移動して孔53がモータ軸33の括れ部54と離隔し、ボス部36をモータ軸33から抜き出す。
このようにボス部36をモータ軸33に取り付け、抜き出す操作を簡単にできる。
【0030】
ボス部36の構成を図3から図6に基づき説明する。
図3から図6に示すように、ボス部36は、モータ軸33に挿入する軸挿入孔6と、ピン35が嵌り合う溝7を有している。
軸挿入孔6は、ボス部36の軸心に形成され、ボス部36のモータ軸挿入側端面36aと先端側端面36bに貫通している。
溝7は、ボス部36の軸挿入孔6よりも外周側部におけるモータ軸挿入側端面36a寄りに形成してある。
溝7は、底部70と、底部70をモータ軸挿入側端面36aまで連続する二つの開口側面71を有し、モータ軸挿入側端面36aに開口しているとともに、ボス部36の外周面36cと軸挿入孔6に亘り連続し、かつ、ボス部36の軸心に向かう直線形状である。
【0031】
溝7の最大開口幅(二つの開口側面71の間隔)はピン35の直径より広く、深さ(底部70の最もモータ軸の先端側に位置する部分からモータ軸挿入側端面36aまでの距離)はピン35の半径より深く、好ましくは直径より深く、溝7はピン35が嵌り合う大きさである。
溝7の底部70は上向きの円弧形状で、開口側面71は軸中心線と平行に対して斜めの傾斜面であり、溝7はV字形状である。底部70はV字形状でもよいし、平坦形状でもよい。
これにより、溝7をピン35に嵌め込む作業がやり易い。
溝7は、V字形状に限ることはない。例えば、二つの開口側面71が平行であるU字形状としてもよい。
溝7は、軸挿入孔6の軸中心から放射状に90度間隔で十文字状に4つ形成してある。溝7は4つに限ることはない。
【0032】
ボス部36の軸挿入孔6における軸挿入側部分(上部)は、他の部分(下部)よりも大径で、その大径の部分が円形の取付用穴60を形成している。取付用穴60の上部はモータ軸挿入側端面36aに開口し、下部は環状の段差部61を介して軸挿入孔6と連続している。
段差部61(取付用穴60の下部)は、溝7の底部70よりも低い。つまり、段差部61は溝7の底部70よりも先端側端面36b寄りに位置している。
これにより、ボス部36における溝7の軸挿入孔6側、つまり溝7の軸挿入孔6から見て内側に、後述する緩衝部材8の取付部となる取付用穴60を構成している。
【0033】
緩衝部材8は、外周面80の径(外径)が取付用穴60の径(内径)と同一(外周面80の径(外径)が取付用穴60の径(内径)よりもわずかに短い場合を含む)で、緩衝部材8の内周面81の径(内径)が軸挿入孔6の径(内径)と同一(緩衝部材8の内周面81の径(内径)が軸挿入孔6の径(内径)よりもわずかに長い場合を含む)のリング形状である。緩衝部材8は、取付用穴60に着脱可能に嵌め込んで取り付けられ、緩衝部材8の下面82が段差部61に当接している。
緩衝部材8はボス部36に対して回転可能でも、回転不可能でもよい。回転不可能な場合には、例えば、取付用穴60と緩衝部材8の外周面80を相互に嵌合する四角形、五角形などの非円形として回転不可能とする。または、緩衝部材8の下面82と段差部61に相互に係合する凹凸を形成することで回転不可能とする。
これにより、ピン35が溝7に嵌る前のファン非取付状態(つまり、回転体非取付状態)では、緩衝部材8は、軸挿入孔6から見てボス部36の溝7の内側に着脱可能に取り付けられている。
緩衝部材8の内周面81は軸挿入孔6と面一に連続するので、ボス部36の軸挿入孔6をモータ軸33に挿入する際に緩衝部材8が邪魔になることはない。
【0034】
緩衝部材8の上面83は、溝7の底部70よりもモータ側に位置しており、かつボス部36の軸挿入側端面36aよりもモータ軸33の先端側に位置している。つまり、緩衝部材8の上面83は、溝7の底部70よりも上に位置し、かつボス部36の軸挿入側端面36aよりも下に位置している。
なお、緩衝部材8は、リング形状に限ることはない。例えば、緩衝部材8を円弧形状として取付用穴60の各溝7と対向する部分にそれぞれ取り付けるようにしてもよい。
緩衝部材8は、ボス部36の取付用穴60に嵌め込んで、接着材などで回転しないように固着して取り付けてもよい。
【0035】
緩衝部材8は、弾性材料から成り、ピン35は非弾性材料から成る。ピン35を緩衝部材8に押しつけることで緩衝部材8は凹み弾性変形する構成としてある。
弾性材料としては、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー、綿などを用いることが出来る。
非弾性材料としては、ステンレス、アルミニウム等の金属や、POM(ポリアセタール)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の固い樹脂などを用いることが出来る。
【0036】
次に、ファン32をモータ軸33に取り付ける動作を図7に基づき説明する。
図7に示すように、ファン32を手で持ち、軸挿入孔6をモータ軸33に位置合わせし、ファン32をモータ軸33に向けて移動して、軸挿入孔6をモータ軸33に挿入する。
この状態で、ファン32を僅かに回転しながら更に移動して溝7をピン35に嵌め込むことで、緩衝部材8の上面83をピン35に当接して押しつけ、抜け止め部材5でボス部36がモータ軸33から抜けないように保持する。つまり、緩衝部材8の上面83がピン当接面である。
これにより、図2に示すようにファン32がモータ軸33に取り付けられる。
【0037】
ファン32をモータ軸33に取り付けたファン取付状態(つまり、回転体取付状態)を図8図9に基づき説明する。
図8図9に示すように、緩衝部材8の上面83(ピン当接面)がピン35により凹み弾性変形する。
また、溝7の開口側面71とピン35の間に隙間があるとともに、溝7の底部70とピン35の間にも隙間がある。つまり、ピン35は緩衝部材8の上面83にのみ接触し、溝7の底部70、開口側面71には接触しない。ピン35は溝7の開口側面71に接触してもよい。
以上のようにしてファン32をモータ軸33に取り付けた状態で、送風機用のモータ31を駆動してモータ軸33を回転開始すると、モータ軸33とともにピン35が回転開始し、緩衝部材8を弾性圧縮変形することによりピン35はゆっくり移動してピン35の回転伝達部分35aが溝7の一方の開口側面71に直接に接触し、ピン35でファン32に回転力を伝え、モータ軸33とファン32が一体となって回転する。ピン35の回転伝達部分35aとは、ピン35の外周面における溝7の開口側面71に最も接近している部分である。
溝7の2つの開口側面71とピン35との間に隙間がそれぞれあるものとして説明したが、溝7の片側の開口側面71とピン35との間にのみ隙間があるものでもよいし、溝7の2つの開口側面71とピン35との間には隙間がないものであってもよい。
【0038】
送風機用のモータ31を駆動停止してモータ軸33を回転停止すると、ピン35は回転停止するが、ファン32は慣性で回転し続けようとするので、緩衝部材8が弾性圧縮変形することによりピン35はゆっくり移動して溝7の他方の開口側面71がピン35の回転伝達部分35aに接触する。
このように、ファン32の回転開始時、回転停止時に緩衝部材8が弾性圧縮変形することによりピン35はゆっくり移動するので、ピン35の回転伝達部分35aが溝7の開口側面71に勢いよく衝突することがなく、振動、衝突音が低減する。なお、ファン取付状態において、モータ軸33の外周面と緩衝部材8の内周面81が接触する箇所がある場合には、その接触部分がモータ軸33の滑り止めになるので、ファン32の回転開始時、回転停止時に振動、衝突音をより一層低減できる。
また、ファン32が回転している状態では、ピン35の回転伝達部分35aが溝7の開口側面71に直接に接触するので、モータ軸33の回転力はピン35を介してボス部36に直接伝えられるから、緩衝部材8に大きな負荷がかかることがない。
したがって、緩衝部材8は送風機3の短い使用回数(短期間)で変形、破損することがなく、振動、衝突音を低減するとの緩衝部材8の効果を長期間持続可能である。
【0039】
また、ファン32をモータ軸33に取り付ける時に、溝7の開口側面71がピン35に直接接触し、緩衝部材8がピン35に接触しないので、溝7とピン35が滑るために溝7をピン35に嵌めこみ易く、ファン32をモータ軸33に取り付け易い。
また、緩衝部材8のピン当接面である上面83は、ボス部36の軸挿入側端面36aよりモータ軸の先端側に位置しているので、ファン32を取り付ける際に溝7をピン35に嵌め込み易い。
また、緩衝部材8は着脱可能であるから、長期間の使用などにより変形、破損したときに新しい緩衝部材8と容易に交換できる。
【0040】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第2の実施の形態を図10から図15に基づいて説明する。図10は送風機とモータの断面図、図11は送風機のファンの斜視図、図12は送風機のファンの平面図、図13はファンのボス部の拡大断面図、図14はファン取付状態のピンとボス部の拡大正面図、図15はファン取付状態のピンとボス部の図14におけるC-C線断面図である。
この実施の形態は、緩衝部材8を、軸挿入孔6から見てボス部36の溝7の外側に取り付けた構成が第1の実施の形態と相違し、他の構成は同様であるので、緩衝部材8の取り付け構成を説明し、他の構成の説明は省略する。
ボス部36における溝7の外側に取付部62を有している。取付部62は、溝7の底部70よりも下方に向かう円形の縦面63(ボス部36の外周面36c)と、縦面63の下端と連続した横方向に向かう環状の横面64を備えている。
【0041】
緩衝部材8は、リング形状で、内周面81が縦面63に嵌合し、下面82が横面64に接して取り付けてある。緩衝部材8の取り付け方は第1の実施の形態と同様で、緩衝部材8は着脱可能である。
このように、緩衝部材8をボス部36の溝7の外側に取り付けたので、緩衝部材8に手や工具を触れ易く、緩衝部材8の取り付け、取り外しが容易である。
緩衝部材8の上面83(ピン当接面)は、溝7の底部70よりモータ側に位置しており、モータ軸挿入側端面36aよりモータ軸33の先端側に位置している。
第1の実施の形態と同様に、ボス部36の軸挿入孔6をモータ軸33に挿入し、抜け止め部材5で抜け止めしてファン32をモータ軸33に取り付けると、図14図15に示すように、緩衝部材8の上面83がピン35により凹み弾性変形する。
また、溝7の開口側面71とピン35の間に隙間があるとともに、溝7の底部70とピン35の間にも隙間がある。つまり、ピン35は緩衝部材8の上面83にのみ接触し、溝7の底部70、開口側面71には接触しない。
溝7の2つの開口側面71とピン35との間に隙間がそれぞれあるものとして説明したが、溝7の片側の開口側面71とピン35との間にのみ隙間があるものでもよいし、溝7の2つの開口側面71とピン35との間には隙間がないものであってもよい。
【0042】
以上のようにしてファン32をモータ軸33に取り付けた状態で、送風機用のモータ31を駆動してモータ軸33を回転開始すると、第1の実施の形態と同様に、モータ軸33とともにピン35が回転開始して緩衝部材8を弾性圧縮変形し、ピン35の回転伝達部分35aが溝7の一方の開口側面71に直接に接触し、ピン35でファン32に回転力を伝え、モータ軸33とファン32が一体となって回転する。
送風機用のモータ31を駆動停止してモータ軸33を回転停止すると、ピン35は回転停止し、ファン32は慣性で回転し続けようとするので、緩衝部材8が弾性圧縮変形することによりピン35はゆっくり移動して溝7の他方の開口側面71がピン35の回転伝達部分35aに接触する。
このように、ファン32の回転開始時、回転停止時に緩衝部材8が弾性圧縮変形することによりピン35はゆっくり移動するので、ピン35が溝7の開口側面71に勢いよく衝突することがなく、振動、衝突音が低減する。
【0043】
また、ファン32が回転している状態では、ピン35が溝7の開口側面71に直接に接触するので、モータ軸33の回転力はピン35を介してボス部36に直接伝えられるから、緩衝部材8に大きな負荷がかかることがない。
したがって、緩衝部材8は送風機3の短い使用回数(短期間)で変形、破損することがなく、振動、衝突音を低減するとの緩衝部材8の効果を長期間持続可能である。
【0044】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第3の実施の形態を図16から図18に基づいて説明する。図16はファンのボス部の断面図、図17はファン取付状態のピンとボス部の正面図、図18はファン取付状態のピンとボス部の図17におけるD-D線断面図である。
この実施の形態は、第1の実施の形態と同様に緩衝部材8をボス部36の溝7の内側に取り付けるとともに、第2の実施の形態と同様に緩衝部材8をボス部36の溝7の外側に取り付けた構成で、緩衝部材8の取り付け以外の構成は第1、第2の実施の形態と同様であるので、緩衝部材8の取り付けの構成を図示して説明し、他の構成は図示を省略する。
図16に示すように、ボス部36の軸挿入孔6の上部を大径として溝7の内側に取付用穴60を形成し、溝7の外側に取付部62を形成する。取付用穴60は第1の実施の形態の取付用穴60と同様で、取付部62は第2の実施の形態の取付部62と同様である。
取付用穴60に内側の緩衝部材8Aを、第1の実施の形態と同様に嵌合して取り付ける。取付部62には外側の緩衝部材8Bを、第2の実施の形態と同様に嵌合して取り付ける。
内側の緩衝部材8Aの上面83と外側の緩衝部材8Bの上面83は同一の高さ(わずかに高さが異なる場合を含む)である。
【0045】
第1、第2の実施の形態と同様にして、ボス部36の軸挿入孔6をモータ軸33に挿入してファン32をモータ軸33に取り付ける。
このように取り付けることで、図17図18に示すように、内側の緩衝部材8Aの上面83(ピン当接面)がピン35のモータ軸33寄りに押しつけられて凹み弾性変形する。外側の緩衝部材8Bの上面83はピン35のモータ軸33と反対側寄りに押しつけられて凹み弾性変形する。
これにより、第1、第2の実施の形態と同様に、ファン32の回転開始時、回転停止時に発生する振動、衝突音を低減できる。
また、振動、衝突音を低減する効果を長期間に亘り持続可能である。
さらに、内側の緩衝部材8Aと外側の緩衝部材8Bを備えているので、振動、衝突音をより一層低減することが出来る。
【0046】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第4の実施の形態を図19から図25に基づいて説明する。図19は送風機とモータの断面図、図20は送風機のファンの斜視図、図21は送風機のファンの平面図、図22はファンのボス部の拡大正面図、図23はファンのボス部の図22におけるE-E線断面図、図24はファン取付状態のピンとボス部の拡大正面図、図25はファン取付状態のピンとボス部の図24におけるF-F線断面図である。
この実施の形態は、緩衝部材8をボス部36の溝7の底部70に取り付けた構成が第1の実施の形態と相違し、他の構成は同様であるので、緩衝部材8の取り付けの構成を説明し、他の構成の説明は省略する。
ボス部36の軸挿入孔6は、モータ軸挿入側端面36aまで同一径(わずかに径が異なる部分がある場合を含む)で連続し、軸挿入孔6の内周面における各溝7の部分に緩衝部材8を取り付ける凹陥部65がそれぞれ形成してある。
【0047】
凹陥部65は、上内面65aと、下内面65bと、2つの縦内面65cと、奥縦面65dで台形を上下反対とした形状で、上内面65aは溝7の底部70より上で、下内面65bは溝7の底部70より下で、縦内面65cは溝7の開口側面71よりも外側である。
これにより、凹陥部65は、溝7の底部70及び軸挿入孔6に開口し、かつボス部36の外周面36cには開口していない。
緩衝部材8は、凹陥部65と同一の形状(わずかに形状が異なる場合を含む)で、軸挿入孔6から凹陥部65に嵌合して取り付けてある。
緩衝部材8の下面82が凹陥部65の下内面65bに接し、上面83の両端寄り部分が上内面65aに接し、かつ上面83の中央部分が溝7に露出している。
【0048】
これにより、緩衝部材8は凹陥部65内にしっかりと取り付けられ、上下方向に動くことがないとともに、凹陥部65から抜け出ることがない。
緩衝部材8の上面83は、溝7の開口側面71の上下中間に位置し、その上面83はボス部36のモータ軸挿入側端面36aよりモータ軸の先端側に位置しており、溝7の底部70よりモータ側に位置している。
第1の実施の形態と同様に、ボス部36の軸挿入孔6をモータ軸33に挿入し、抜け止め部材5で抜け止めしてファン32をモータ軸33に取り付けると、図24図25に示すように、緩衝部材8の上面83がピン35により凹み弾性変形する。
ピン35の回転伝達部分35aは、緩衝部材8の上面83(ピン当接面)よりもモータ側に位置している。つまり、ピン35が緩衝部材8の上面83に食い込む部分は、ピン35の外周面における下半円弧部の一部分である。
また、溝7の開口側面71とピン35の間に隙間があるとともに、溝7の底部70とピン35の間にも隙間がある。つまり、ピン35は緩衝部材8の上面83にのみ接触し、溝7の底部70、開口側面71には接触しない。
溝7の2つの開口側面71とピン35との間に隙間がそれぞれあるものとして説明したが、溝7の片側の開口側面71とピン35との間にのみ隙間があるものでもよいし、溝7の2つの開口側面71とピン35との間には隙間がないものであってもよい。
緩衝部材8は凹陥部65に嵌め込んで取付したが、これに限ることはない。例えば、緩衝部材8を溝7の底部70に接着剤等で取り付けてもよい。
【0049】
以上のようにしてファン32をモータ軸33に取り付けた状態で、送風機用のモータ31を駆動してモータ軸33を回転開始すると、第1の実施の形態と同様に、モータ軸33とともにピン35が回転開始し、緩衝部材8を弾性圧縮変形し、ピン35の回転伝達部分35aが溝7の一方の開口側面71に直接に接触し、ピン35の回転伝達部分35aでファン32に回転力を伝え、モータ軸33とファン32が一体となって回転する。
ピン35の一方の開口側面71に接触する外周面の一部分(回転伝達部分35a)は、図24に示すように緩衝部材8の上面83(ピン当接面)よりもモータ側に位置しており、緩衝部材8を介在せずに直接に開口側面71に接触する。
つまり、緩衝部材8のピン当接面(上面83)は、溝7の開口側面71とピン35の接触部よりもモータ軸の先端側に位置している。
【0050】
送風機用のモータ31を駆動停止してモータ軸33を回転停止すると、ピン35は停止し、ファン32は慣性で回転し続けようとするので、緩衝部材8が弾性圧縮変形することによりピン35はゆっくり移動して溝7の他方の開口側面71がピン35の回転伝達部分35aに接触する。
このように、ファン32の回転開始時、回転停止時に緩衝部材8が弾性圧縮変形することによりピン35はゆっくり移動するので、ピン35が溝7の開口側面71に勢いよく衝突することがなく、振動、衝突音が低減する。
また、ファン32が回転している状態では、ピン35の回転伝達部分35aが溝7の開口側面71に直接に接触するので、モータ軸33の回転力はピン35を介してボス部36に直接伝えられるから、緩衝部材8に大きな負荷がかかることがない。
したがって、緩衝部材8は送風機3の短い使用回数(短期間)で変形、破損することがない。
【0051】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第5の実施の形態を図26に基づいて説明する。図26はファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
この実施の形態は、第1の実施の形態における緩衝部材8を非弾性材料としたもので、緩衝部材8の取り付けなどの構成は第1の実施の形態と同様であるので、緩衝部材8の機能を図示して説明し、他の構成は図示を省略する。
図26に示すように、ボス部36をモータ軸33に挿入してファン32をモータ軸33に取り付けた状態では、緩衝部材8の上面83がピン35に圧着し、その上面83は弾性変形しない。
これにより、ファン32が回転開始するときは、ピン35が緩衝部材8の上面83を滑りながら移動して回転伝達部分35aが一方の開口側面71に当たるので、ピン35はすべり抵抗によりゆっくり移動して一方の開口側面71に緩やかに当たるから、振動、衝突音を低減できる。
ファン32が回転停止するときも同様に他方の開口側面71がピン35の回転伝達部分35aに緩やかに当たり、振動、衝突音を低減できる。
ピン35が緩衝部材8の上面83を滑ると説明したが、ピン35が緩衝部材8の上面83に対してモータ軸方向に強固に圧着することで、ピン35が緩衝部材8の上面83を滑らずにモータ軸33の回転力をボス部36に伝達してファン32を回転させることができる。
【0052】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第6の実施の形態を図27に基づいて説明する。図27はファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
この実施の形態は、第2の実施の形態における緩衝部材8を非弾性材料としたもので、緩衝部材8の取り付けなどの構成は第2の実施の形態と同様であるので、緩衝部材8の機能を図示して説明し、他の構成は図示を省略する。
図27に示すように、ボス部36をモータ軸33に挿入してファン32をモータ軸33に取り付けた状態では、緩衝部材8の上面83がピン35に圧着し、その上面83は弾性変形しない。
これにより、ファン32が回転開始するときは、ピン35が緩衝部材8の上面83を滑りながら移動して回転伝達部分35aが一方の開口側面71に当たるので、ピン35はすべり抵抗によりゆっくり移動して一方の開口側面71に緩やかに当たるから、振動、衝突音を低減できる。
ファン32が回転停止するときも同様に他方の開口側面71がピン35の回転伝達部分35aに緩やかに当たり、振動、衝突音を低減できる。
ピン35が緩衝部材8の上面83を滑ると説明したが、ピン35が緩衝部材8の上面83に対してモータ軸方向に強固に圧着することで、ピン35が緩衝部材8の上面83を滑らずにモータ軸33の回転力をボス部36に伝達してファン32を回転させることができる。
【0053】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第7の実施の形態を図28に基づき説明する。図28はファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
この実施の形態は、第3の実施の形態における緩衝部材8を非弾性材料としたもので、緩衝部材8の取り付けなどの構成は第3の実施の形態と同様であるので、緩衝部材8の機能を図示して説明し、他の構成は図示を省略する。
図28に示すように、ボス部36をモータ軸33に挿入してファン32をモータ軸33に取り付けた状態では、内側の緩衝部材8Aの上面83はピン35のモータ軸33寄りに圧着し、その上面83は弾性変形しない。外側の緩衝部材8Bの上面83はピン35のモータ軸33と反対側寄りに圧着し、その上面83は弾性変形しない。
【0054】
これにより、ファン32が回転開始するときは、ピン35は内側の緩衝部材8Aの上面83と外側の緩衝部材8Bの上面83を滑りながら移動してピン35の回転伝達部分35aが一方の開口側面71に当たるので、ピン35はすべり抵抗によりゆっくり移動して一方の開口側面71に緩やかに当たるから、振動、衝突音を低減できる。
ファン32が回転停止するときも同様に他方の開口側面71がピン35の回転伝達部分35aに緩やかに当たり、振動、衝突音を低減できる。
しかも、ピン35は内側の緩衝部材8aの上面83と、外側の緩衝部材8Bの上面83を滑るので、より一層ゆっくり移動するから、ファン32の回転開始時、回転停止時に発生する振動、衝突音をより一層低減できる。
ピン35が緩衝部材8の上面83を滑ると説明したが、ピン35が緩衝部材8の上面83に対してモータ軸方向に強固に圧着することで、ピン35が緩衝部材8の上面83を滑らずにモータ軸33の回転力をボス部36に伝達してファン32を回転させることができる。
【0055】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第8の実施の形態を図29に基づいて説明する。図29はファン取付状態のピンとボス部の正面図である。
この実施の形態は、第4の実施の形態における緩衝部材8を非弾性材料としたもので、緩衝部材8の取り付けなどの構成は第4の実施の形態と同様であるので、緩衝部材8の機能を図示して説明し、他の構成は図示を省略する。
図29に示すように、ボス部36をモータ軸33に挿入してファン32をモータ軸33に取り付けた状態では、緩衝部材8の上面83がピン35に圧着し、その上面83は弾性変形しない。
これにより、ファン32が回転開始するときは、ピン35が緩衝部材8の上面83を滑りながら移動して回転伝達部分35aが一方の開口側面71に当たるので、ピン35はすべり抵抗によりゆっくり移動して一方の開口側面71に緩やかに当たるから、振動、衝突音を低減できる。
ファン32が回転停止するときも同様に他方の開口側面71がピン35の回転伝達部分35aに緩やかに当たり、振動、衝突音を低減できる。
ピン35が緩衝部材8の上面83を滑ると説明したが、ピン35が緩衝部材8の上面83に対してモータ軸方向に強固に圧着することで、ピン35が緩衝部材8の上面83を滑らずにモータ軸33の回転力をボス部36に伝達してファン32を回転させることができる。
【0056】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第9の実施の形態を図30から図33に基づいて説明する。図30はファン非取付状態のピンとボス部の正面図、図31はファン非取付状態のピンとボス部の図30におけるG-G線断面図、図32はファン取付状態のピンとボス部の正面図、図33はファン取付状態のピンとボス部の図32におけるH-H線断面図である。
この実施の形態は、ファン非取付状態で弾性材料から成る緩衝部材8を、ピン35に取り付け、ファン取付状態で緩衝部材8をボス部36の溝7の底部70に圧着するようにした構成が、先に説明した第1から第4の実施の形態と相違し、他の構成は同様である。
図30図31に示すように、ボス部36の軸挿入孔6はモータ軸挿入側端面36aまで同一径(わずかに径が異なる部分がある場合を含む)で連続している。
ピン35に緩衝部材8が取り付けてある。
【0057】
緩衝部材8の下面82は溝7の底部70に嵌まり合う下向き円弧形状で、上面83は平坦面で、緩衝部材8は溝7の底部70に圧着する形状である。
緩衝部材8の上面83はピン35の下側の面に接着剤などで固着してある。
緩衝部材8の高さ(モータ軸方向の寸法は)、溝7の深さよりも低い。
第1の実施の形態と同様にファン32のボス部36の軸挿入孔6をモータ軸33に挿入することで、緩衝部材8が溝7に嵌り込み、ピン35で押される。
ファン取付状態では、図32図33に示すように、緩衝部材8が溝7の底部70に圧着して弾性圧縮変形し、上面83はピン35により凹み弾性変形する。
ピン35の回転伝達部分35aは、緩衝部材8の上面83(ピン当接面)よりもモータ側に位置している。つまり、ピン35の下側の半円弧状の一部が緩衝部材8の上面に押し込まれる。
【0058】
以上のようにしてファン32をモータ軸33に取り付けた状態で、送風機用のモータ31を駆動してモータ軸33を回転開始すると、モータ軸33とともにピン35が回転開始し、緩衝部材8を弾性圧縮変形してピン35の回転伝達部分35aが溝7の一方の開口側面71に直接に接触し、ピン35でファン32に回転力を伝え、モータ軸33とファン32が一体となって回転する。
送風機用のモータ31を駆動停止してモータ軸33を回転停止すると、ピン35は回転停止し、ファン32は慣性で回転し続けようとするので、緩衝部材8が弾性圧縮変形することによりピン35はゆっくり移動して溝7の他方の開口側面71がピン35の回転伝達部分35aに接触する。
このように、ファン32の回転開始時、回転停止時に緩衝部材8が弾性圧縮変形することによりピン35はゆっくり移動するので、ピン35の回転伝達部分35aが溝7の開口側面71に勢いよく衝突することがなく、振動、衝突音が低減する。
【0059】
また、ファン32が回転している状態では、ピン35が溝7の開口側面71に直接に接触するので、モータ軸33の回転力はピン35を介してボス部36に直接伝えられるから、緩衝部材8に大きな負荷がかかることがない。
したがって、緩衝部材8は送風機3の短い使用回数(短期間)で変形、破損することがなく、振動、衝突音を低減するとの緩衝部材8の効果を長期間持続可能である。
【0060】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第10の実施の形態を図34から図36に基づいて説明する。図34はファン非取付状態のピンとボス部の断面図、図35はファン取付状態のピンとボス部の正面図、図36はファン取付状態のピンとボス部の図35におけるI-I線断面図である。
この実施の形態は、緩衝部材8をピン35に取り付けた構成が第1の実施の形態と相違し、他の構成は同様である。
図34に示すように、ピン35に緩衝部材8が設けてある。緩衝部材8は、弾性材料から成る所定の厚さを有する円形のリング形状で、ピン35のモータ軸33寄りに嵌合して取り付けてある。緩衝部材8の厚さ方向一方の側面がモータ軸33に接触し、ピン35のモータ軸33と反対側寄りは緩衝部材8の厚さ方向他方の側面よりも突出している。
ファン取付状態では、ピン35の緩衝部材8から突出したモータ軸33と反対側寄りが溝7に嵌り合う。
【0061】
ボス部36は、軸挿入孔6から見て溝7の内側に緩衝部材当接面66を備えている。
例えば、軸挿入孔6の上部における4つの溝7が開口した部分をそれぞれ内側平坦面6aとし、緩衝部材8が入り込む四角形の孔を形成する。四角形の孔はボス部36のモータ軸挿入側端面36aに開口し、内側平坦面6aの幅は緩衝部材8の径よりも広く、四角形の1辺は緩衝部材8の径より長い。
各内側平坦面6aの下部は上向きの段部で軸挿入孔6に連続し、その上向きの段部を緩衝部材当接面66としている。
緩衝部材当接面66は、溝7の底部70よりも先端側端面36b寄りである。つまり、緩衝部材当接面66は溝7の底部70より低い。
ボス部36の軸挿入孔6をモータ軸33に挿入することで、四角形の孔に緩衝部材8が入り込み、緩衝部材8の他方の側面が内側平坦面6aに接触し、緩衝部材8の下面82(円形の外周面の下部分)が緩衝部材当接面66に押しつけられる。ピン35のモータ軸33と反対側寄りが溝7に嵌まり込むようにしてある。
【0062】
図35図36に示すように、ボス部36をモータ軸33に取り付けたファン取付状態では、緩衝部材8は、その下面82が緩衝部材当接面66に圧着して弾性圧縮変形する。
ピン35の緩衝部材8の厚さ方向他方の側面から突出したモータ軸33と反対側寄りが溝7に嵌まり込む。ピン35は溝7の底部70より上に位置し、ピン35の回転伝達部分35aは溝7の底部70よりモータ側に位置している。
以上のようにしてファン32をモータ軸33に取り付けた状態で、送風機用のモータ31を駆動してモータ軸33を回転開始すると、ピン35が緩衝部材8を弾性圧縮変形しながら回転開始して、ピン35の回転伝達部分35aが溝7の一方の開口側面71に直接に接触し、ピン35でファン32に回転力を伝え、モータ軸33とファン32が一体となって回転する。
送風機用のモータ31を駆動停止してモータ軸33を回転停止すると、ピン35は回転停止し、ファン32は慣性で回転し続けようとするので、緩衝部材8を弾性圧縮変形しながらボス部36が回転して、溝7の他方の開口側面71がピン35の回転伝達部分35aに接触する。
【0063】
このように、ファン32の回転開始時、回転停止時に緩衝部材8が弾性圧縮変形することによりピン35はゆっくり移動するので、ピン35が溝7の開口側面71に勢いよく衝突することがなく、振動、衝突音が低減する。
また、ファン32が回転している状態では、ピン35が溝7の開口側面71に直接に接触するので、モータ軸33の回転力はピン35を介してボス部36に直接伝えられるから、緩衝部材8に大きな負荷がかかることがない。
したがって、緩衝部材8は送風機3の短い使用回数(短期間)で変形、破損することがなく、振動、衝突音を低減するとの緩衝部材8の効果を長期間持続可能である。
緩衝部材8は円形のリング形状に限ることはない。例えば、四角形で中央にピン35が嵌合する孔を有したものとすることができる。
【0064】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第11の実施の形態を図37から図39に基づいて説明する。図37はファン非取付状態のピンとボス部の断面図、図38はファン取付状態のピンとボス部の正面図、図39はファン取付状態のピンとボス部の図38におけるJ-J線断面図である。
この実施の形態は、緩衝部材8をピン35のモータ軸反対寄りに取り付けた構成が第10の実施の形態と相違し、他の構成は同様である。
図37に示すように、ピン35に緩衝部材8が設けてある。緩衝部材8は、弾性材料から成る所定の厚さを有する円形のリング形状で、ピン35のモータ軸33と反対側寄りに嵌合して取り付けてある。緩衝部材8の厚さ方向の側面とモータ軸33は離隔している。
ファン取付状態では、ピン35の緩衝部材8よりもモータ軸33寄り(つまり、緩衝部材8の厚さ方向の側面とモータ軸33との間の部分)が溝7に嵌り合う。
【0065】
ボス部36は、軸挿入孔6から見て溝7の外側に緩衝部材当接面66を備えている。
例えば、ボス部36の外周面36cにおける各溝7と対向した部分を外側平坦面6bとし、外周面36cを四角形状とする。外側平坦面6bの下部に上向きの段部を形成し、その上向きの段部を緩衝部材当接面66としている。
緩衝部材当接面66は、溝7の底部70よりも先端側端面36b寄りである。つまり、緩衝部材当接面66は溝7の底部70より低い。
ボス部36の軸挿入孔6をモータ軸33に挿入することで、緩衝部材8の厚さ方向の側面が外側平坦面6bに接触し、緩衝部材8の下面82(円形の外周面の一部分)が緩衝部材当接面66に押しつけられる。ピン35の緩衝部材8よりもモータ軸33寄りが溝7に嵌まり込む。
【0066】
図38図39に示すように、ボス部36をモータ軸33に取り付けたファン取付状態では、緩衝部材8は、その下面82が緩衝部材当接面66に圧着して弾性圧縮変形する。
ピン35は、その緩衝部材8よりもモータ軸33寄りが溝7に嵌まり込む。ピン35は溝7の底部70より上に位置し、ピン35の回転伝達部分35aは底部70よりモータ側に位置している。
以上のようにしてファン32をモータ軸33に取り付けた状態で、送風機用のモータ31を駆動してモータ軸33を回転開始する時の動作、及び送風機用のモータ31を駆動停止してモータ軸33を回転停止する時の動作は、第10の実施の形態と同様である。
したがって、この実施の形態においても第10の実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0067】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第12の実施の形態を図40から図42に基づいて説明する。図40はファン非取付状態のピンとボス部の断面図、図41はファン取付状態のピンとボス部の正面図、図42はファン取付状態のピンとボス部の図41におけるK-K線断面図である。
この実施の形態は、第10の実施の形態と同様に緩衝部材8をピン35のモータ軸33寄りに取り付け、第11の実施の形態と同様に緩衝部材8をモータ軸33と反対側寄りに取り付けた構成が第10、第11の実施の形態と相違し、他の構成は同様である。
図40に示すように、ピン35のモータ軸33寄りに内側の緩衝部材8Aが嵌合して設けてあり、ピン35のモータ軸33と反対側寄りに外側の緩衝部材8Bが嵌合して設けてある。
ファン取付状態では、ピン35の内側の緩衝部材8Aと外側の緩衝部材8Bとの間の中間寄りが溝7に嵌り合う。
【0068】
ボス部36は、軸挿入孔6から見て溝7の内側と外側に、内側の緩衝部材当接面66A、外側の緩衝部材当接面66Bをそれぞれ備えている。
内側の緩衝部材当接面66Aは、第10の実施の形態の緩衝部材当接面66と同様で、外側の緩衝部材当接面66Bは、第11の実施の形態の緩衝部材当接面66と同様である。
内側の緩衝部材当接面66Aと、外側の緩衝部材当接面66Bは同一の高さ(わずかに高さが異なる場合を含む)で、溝7の底部70よりモータ軸の先端側に位置している。
ボス部36の軸挿入孔6をモータ軸33に挿入することで、内側の緩衝部材8Aの下面(82A)、外側の緩衝部材8Bの下面(82B)が内側の緩衝部材当接面66A、外側の緩衝部材当接面66Bにそれぞれ押しつけられ、ピン35の中間寄りが溝7に嵌まり込む。
【0069】
図41図42に示すように、ボス部36をモータ軸33に取り付けたファン取付状態では、内側の緩衝部材8A、外側の緩衝部材8Bは、その下面(82A、82B)が内側の緩衝部材当接面66A、外側の緩衝部材当接面66Bにそれぞれ圧着して弾性圧縮変形する。
ピン35は、その中間寄りが溝7に嵌まり込む。ピン35は溝7の底部70より上に位置し、ピン35の回転伝達部分35aは底部70よりモータ側に位置している。
【0070】
以上のようにしてファン32をモータ軸33に取り付けた状態で、送風機用のモータ31を駆動してモータ軸33を回転開始する時の動作、及び送風機用のモータ31を駆動停止してモータ軸33を回転停止する時の動作は、第10、第12の実施の形態と同様である。
したがって、この実施の形態においても第10、第12の実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
しかも、ピン35のモータ軸33寄りと、モータ軸33と反対側寄りの2か所に緩衝部材8を設けたので、ファン回転開始時、回転停止時に発生する振動、衝突音をより一層低減することが出来る。
【0071】
ファン32の取り付け構成(本発明の回転体の取付装置)の第13の実施の形態を図43から図46に基づいて説明する。図43はファン非取付状態のピンとボス部の正面図、図44はファン非取付状態のピンとボス部の図43におけるL-L線断面図、図45はファン取付状態のピンとボス部の正面図、図46はファン取付状態のピンとボス部の図45におけるM-M線断面図である。
この実施の形態は、緩衝部材8をモータ軸33に設けた構成である。つまり、第1の実施の形態におけるボス部36に設けた緩衝部材8をモータ軸33に設けた構成が第1の実施の形態と相違し、他の構成は同様である。
図43図44に示すように、モータ軸33に緩衝部材8が設けてある。緩衝部材8は、弾性材料から成る所定の厚さを有する円形のリング形状で、モータ軸33のうち、ピン35よりモータ軸33の先端側に嵌合して取り付けてある。緩衝部材8の厚さ方向がモータ軸33の軸方向に向かい、厚さ方向一方の側面が上面83で、厚さ方向他方の面が下面82である。
【0072】
緩衝部材8は、モータ軸33の外周面に沿って回転可能で、かつモータ軸33の軸方向に移動可能である。つまり、緩衝部材8の内周面81の径(内径)はモータ軸33の外周面の径(外径)と同一(緩衝部材8の内周面81の径(内径)がモータ軸33の外周面の径(外径)よりわずかに長い場合を含む)で、回転及び軸方向スライド可能に嵌合してある。
ファン非取付状態では、緩衝部材8の上面83は、ピン35のモータ軸33寄りにおける下側の面に当接し、ピン35のモータ軸33と反対側寄りは緩衝部材8の外周面80から突出している。
ファン取付状態では、ピン35の緩衝部材8の外周面80から突出したモータ軸33と反対側寄りが溝7に嵌り合う。
【0073】
ボス部36の軸挿入孔6における軸挿入側部分(上部)は、他の部分(下部)よりも大径で、その大径の部分が緩衝部材挿入用穴67を形成している。緩衝部材挿入用穴67の上部はモータ軸挿入側端面36aに開口し、下部は環状上向き面を介して軸挿入孔6と連続している。その環状上向き面が当接部68である。緩衝部材挿入用穴67の内周面の径(内径)は、緩衝部材8の外周面80の径(外形)と同一(緩衝部材挿入用穴67の内周面の径(内径)が緩衝部材8の外周面80の径(外形)よりもわずかに長い場合を含む)である。
当接部68(緩衝部材挿入用穴67の下部)は、溝7の底部70よりも低い。つまり、当接部68は溝7の底部70よりも先端側端面36b寄りに位置している。
これにより、ボス部36における溝7の軸挿入孔6側、つまり溝7の軸挿入孔6から見て内側に、緩衝部材8の挿入部を構成している。
【0074】
図45図46に示すように、ファン取付状態では、ボス部36の軸挿入孔6がモータ軸33に挿入され、緩衝部材挿入用穴67が緩衝部材8に挿入して当接部68が緩衝部材8の下面82に接し、ボス部36により緩衝部材8の上面83(ピン当接面)がピン35に押しつけられ、凹み弾性変形する。
なお、ファン取付状態において緩衝部材8はボス部36に対して回転しない。例えば、緩衝部材挿入用穴67と緩衝部材8の外周面80を相互に嵌合する四角形、五角形などの非円形として回転しないようにする。または、緩衝部材8の下面82と当接部68に相互に係合する凹凸を形成することで回転しないようにする。あるいは、接着剤などで接着して回転しないようにする。
ファン取付状態では、緩衝部材8の上面83は、溝7の底部70よりもモータ側に位置しており、かつボス部36の軸挿入側端面36aよりもモータ軸の先端側に位置している。つまり、緩衝部材8の上面83は、溝7の底部70よりも上に位置し、かつボス部36の軸挿入側端面36aよりも下に位置している。
【0075】
以上のようにしてファン32をモータ軸33に取り付けた状態で、送風機用のモータ31を駆動してモータ軸33を回転開始する時の動作、及び送風機用のモータ31を駆動停止してモータ軸33を回転停止する時の動作は、第1の実施の形態と同様である。
したがって、この実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0076】
第1から第13の実施の形態の回転体の取付装置において、図47から図49に示すように、ボス部36の軸挿入孔6にスベリ止め部材9を設けることができる。図47はスベリ止め部材を備えたファンの斜視図、図48はスベリ止め部材を備えたファンの平面図、図49はスベリ止め部材を備えたファンの図48におけるN-N線断面図である。
スベリ止め部材9は、弾性材料から成るリング形状である。スベリ止め部材9の外周面90の径(外径)は軸挿入孔6の内径と同一(スベリ止め部材9の外周面90の径(外径)が軸挿入孔6の内径よりもわずかに短い場合を含む)で、内周面91の径(内径)はモータ軸33の外径と同一(内周面91の径(内径)がモータ軸33の外径よりもわずかに長い場合を含む)である。内周面91に軸方向に連続した凹溝92が周方向に間隔を置いて複数有している。
スベリ止め部材9はボス部36の軸挿入孔6に嵌合して回転しないように取り付けてあり、内周面91がモータ軸に回転可能に挿入され、スベリ止め部材9はモータ軸に対するボス部36(ファン32)の回転抵抗となる。
【0077】
スベリ止め部材9を備えたことにより、モータ軸33の回転開始時にはファン32がモータ軸33と連れ回りし、ピン35が溝7の開口側面71に衝突することが軽減される。
モータ軸33の回転停止時にはボス部36がモータ軸33に対してゆっくり回転するので、溝7の開口側面71がピン35に衝突することが軽減される。
したがって、ファン32の回転開始時、回転停止時に発生する振動、衝突音をより一層低減できる。
なお、スベリ止め部材9の上部に緩衝部材8が一体に設けてあるが、別々に設けてもよいし、緩衝部材8は第1の実施の形態以外の実施の形態のように設けることが出来る。
【0078】
以上の実施の形態では、送風機3をフード2に、モータ軸33が上下方向に向かうように取り付けしたが、これに限ることはない。例えば、送風機3をフード2に、モータ軸33が横方向に向かうように取り付けしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…レンジフード、2…フード、3…送風機、4…フィルタ、5…抜け止め部材、6…軸挿入孔、7…溝、8…緩衝部材、8A…内側の緩衝部材、8B…外側の緩衝部材、9…スベリ止め部材、31…送風機用のモータ、32…ファン、33…モータ軸、35…回転伝達用のピン、35a…回転伝達部分、36…ボス部、36a…モータ軸挿入側端面、36b…先端側端面、36c…外周面、40…フィルタ用のモータ、41…モータ軸、60…取付用穴、61…段部、65…凹陥部、66…緩衝部材当接面、67…緩衝部材挿入用穴、68…当接部、70…底部、71…開口側面、80…外周面、81…内周面、82…下面、83…上面(ピン当接面)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
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図26
図27
図28
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