(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】精米機
(51)【国際特許分類】
B02B 7/00 20060101AFI20220830BHJP
B02B 3/06 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B02B7/00 P
B02B7/00 L
B02B3/06 101D
(21)【出願番号】P 2018194575
(22)【出願日】2018-10-15
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】597041747
【氏名又は名称】アグリテクノサーチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 廣昭
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-61327(JP,A)
【文献】実開平1-8939(JP,U)
【文献】特開2002-191995(JP,A)
【文献】特開2000-218181(JP,A)
【文献】実開昭54-39364(JP,U)
【文献】特開2018-153743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 7/00
B02B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの上部に着脱可能に装着され、玄米を貯留する玄米ホッパと、
前記ハウジングの内部における前記玄米ホッパの下方位置に配置され、玄米を精白する精白部と、
前記ハウジングに着脱可能に装着され、前記精白部にて玄米から取り除かれた糠を貯留する糠ケースと、
前記ハウジングに着脱可能に装着され、前記精白部にて精白され前記精白部から排出された精米を貯留する精米ケースとを備え、
前記ハウジングは、前記精白部の一側方および下方を開放する開口面を有しており、
前記開口面は、前記ハウジングに装着された前記糠ケースにより閉塞され、
前記精白部は、前記糠ケースが前記ハウジングから取り外された状態において前記開口面を通じて外部に露出する、
ことを特徴とする精米機。
【請求項2】
前記精白部は、軸心が前記ハウジングの前記開口面に沿った方向に配置される精白ロールと、前記精白ロールの外周部を覆う除糠網とを有し、
前記除糠網は、前記精白ロールの軸心方向に沿って引き出し可能に前記ハウジングに装着されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の精米機。
【請求項3】
前記精白ロールの前記軸心方向における一端側に配置され、前記精白部にて精白され前記精白部から排出される精米に対して排出抵抗を付与する抵抗部を有し、
前記抵抗部は、前記ハウジングに対して着脱可能に装着される、
ことを特徴とする請求項2に記載の精米機。
【請求項4】
前記糠ケースは、内部を視認可能な透明部材にて形成されている、
ことを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の精米機。
【請求項5】
前記精白部を駆動する駆動源と、前記駆動源からの駆動力を前記精白部に伝達する伝達機構とを有し、
前記ハウジングは、前記精白部を収容する精白部収容室と、前記駆動源および前記伝達機構を収容する駆動部収容室とを有し、
精白部収容室と駆動伝達部収容室とが隔離されている、
ことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載の精米機。
【請求項6】
前記糠ケースが前記ハウジングから取り外されると、前記駆動源への電源供給を遮断する遮断装置が設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の精米機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄米を精白する精米機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玄米を貯留する玄米ホッパと、玄米を精白する精白部と、精白部にて玄米から取り除かれた糠を貯留する糠ケースと、精白部にて精白された精米を貯留する精米ケースとを備えた精米機が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような精米機においては、玄米の精白を繰り返していくと、精白部を構成する精白ロールや除糠網等に玄米から取り除かれた糠が付着して徐々に堆積していき、精米能力が低下したり虫が湧いたりすることがあるため、精白部を清掃して付着した糠を取り除くことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の精米機における精白部は、周囲がハウジングやケーシング等によって覆われているとともに、ハウジングにおける糠ケースや精米ケースの着脱口から奥まった位置に配置されていたため、糠を除去するためのブラシや手が精白部に届きにくく、十分に精白部の清掃を行うことができなかった。
また、精白部をハウジングの外部から視認しにくいため、清掃状態を確認することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明においては、精白部等の清掃および清掃状態の確認を行うことが容易であり、ハウジング内を清潔に保つことができる精米機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する精米機は、以下の特徴を有する。
即ち、本発明の精米機は、ハウジングと、前記ハウジングの上部に着脱可能に装着され、玄米を貯留する玄米ホッパと、前記ハウジングの内部における前記玄米ホッパの下方位置に配置され、玄米を精白する精白部と、前記ハウジングに着脱可能に装着され、前記精白部にて玄米から取り除かれた糠を貯留する糠ケースと、前記ハウジングに着脱可能に装着され、前記精白部にて精白され前記精白部から排出された精米を貯留する精米ケースとを備え、前記ハウジングは、前記精白部の一側方および下方を開放する開口面を有しており、前記開口面は、前記ハウジングに装着された前記糠ケースにより閉塞され、前記精白部は、前記糠ケースが前記ハウジングから取り外された状態において前記開口面を通じて外部に露出する。
これにより、容易に精白部の清掃を行うことが可能であるとともに、精白部の清掃状態を確認することができ、ハウジング内を清潔に保つことができる。
【0008】
また、前記精白部は、軸心が前記ハウジングの前記開口面に沿った方向に配置される精白ロールと、前記精白ロールの外周部を覆う除糠網とを有し、前記除糠網は、前記精白ロールの軸心方向に沿って引き出し可能に前記ハウジングに装着されている。
これにより、除糠網を単独で容易に清掃することができる。また、除糠網を引き出すことで精白ロールが外部に露出することとなり、露出した精白ロールを容易に清掃することが可能となる。
【0009】
また、前記精白ロールの前記軸心方向における一端側に配置され、前記精白部にて精白され前記精白部から排出される精米に対して排出抵抗を付与する抵抗部を有し、前記抵抗部は、前記ハウジングに対して着脱可能に装着される。
これにより、ハウジングから取り外した抵抗部を単独で容易に清掃することが可能となる。
【0010】
また、前記糠ケースは、内部を視認可能な透明部材にて形成されている。
これにより、精白部における糠の付着状況を、糠ケースを通じて視認することができ、精白部の清掃を行う時期を把握しやすくなる。
【0011】
また、前記精白部を駆動する駆動源と、前記駆動源からの駆動力を前記精白部に伝達する伝達機構とを有し、前記ハウジングは、前記精白部を収容する精白部収容室と、前記駆動源および前記伝達機構を収容する駆動部収容室とを有し、精白部収容室と駆動伝達部収容室とが隔離されている。
これにより、精白部にて生じた糠が駆動部収容室内に侵入することを抑制でき、駆動源および伝達機構に糠が付着して駆動の妨げになることを抑制可能である。
【0012】
また、前記糠ケースが前記ハウジングから取り外されると、前記駆動源への電源供給を遮断する遮断装置が設けられている。
糠ケースがハウジングから取り外され精白部が外部に露出した状態で駆動源に電源が供給されると、精白部が駆動して糠が外部に飛散してしまう。しかし、電源供給の遮断装置を設けることで、糠ケースが取り外された状態で不意に精白部が駆動して糠が飛散することを防止できる。
また、糠ケースをハウジングから取り外し、さらに抵抗部および除糠網を外した場合、精白ロールが外部に露出することとなる。しかし、電源供給の遮断装置を設けることで、外部に露出した状態の精白ロールが不意に駆動されることがなく、駆動状態の精白ロールに使用者が直接触れてしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容易に精白部の清掃を行うことが可能であるとともに、精白部の清掃状態を確認することができ、ハウジング内を清潔に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0016】
図1~
図3示す精米機1は、本発明に係る精米機の一実施形態である。
以下の説明では、
図1に示すように、精米機1が使用可能に設置された状態を基準として前後、左右、および上下を定める。
【0017】
精米機1は、ハウジング2と、玄米を貯留する玄米ホッパ3と、玄米を精白する精白部5と、精白部5にて玄米から取り除かれた糠を貯留する糠ケース6と、精白部5にて精白され精白部5から排出された精米を貯留する精米ケース7と、精白部5を駆動する駆動部4と、精白部5にて精白され精白部5から排出される精米に対して排出抵抗を付与する抵抗部8とを備えている。
【0018】
ハウジング2は、精白部5を収容する精白部収容室2Aと、駆動部4を収容する駆動部収容室2Bとを有している。精白部収容室2Aと駆動部収容室2Bとは隔離壁21により隔離されている。ハウジング2は、例えばアルミダイカスト等の金属の鋳造品にて形成することができる。
【0019】
精白部収容室2Aの上方にはハウジング2の上面22が、下方にはハウジング2の下面23が、左方にはハウジング2の左側面24が、右方にはハウジング2の右側面25が、前方にはハウジング2の前面26が、後方には隔離壁21が配置されている。
【0020】
下面23は、精白部5の下方を開放する開口部23aを有している。右側面25は、精白部5の右方を開放する開口部25aを有している。下面23は開口部23aにより全体的に開放されており、右側面25は開口部25aにより全体的に開放されている。つまり、下面23は精白部5の下方を開放する開口面として形成されており、右側面25は精白部5の一側方である右方を開放する開口面として形成されている。
【0021】
ハウジング2の後端部には、駆動部収容室2Bを開閉する蓋部27が配置されている。駆動部収容室2Bは、蓋部27を閉じることにより密閉することが可能となっている。
【0022】
駆動部4は、駆動部収容室2Bの下部に配置されるモータ41と、モータ41のモータ軸41aに固設される駆動プーリ42と、モータ41の上方に配置され前後方向に延出する駆動軸43と、駆動軸43に固設される従動プーリ44と、駆動プーリ42と従動プーリ44との間に架け渡されるベルト45とを有している。
【0023】
モータ41は精白部5を駆動する駆動源であり、駆動プーリ42、駆動軸43、従動プーリ44、およびベルト45は、モータ41からの駆動力を精白部5に伝達する伝達機構を構成している。駆動軸43は、ベアリング46を介してハウジング2に回転可能に支持されている。
【0024】
駆動部4においては、モータ41が回転駆動されると、モータ41からの駆動力が、駆動プーリ42、ベルト45、および従動プーリ44を介して駆動軸43に伝達され、駆動軸43が回転することとなる。
なお、本実施形態においては、モータ41からの駆動力を駆動プーリ42、ベルト45、および従動プーリ44を介して駆動軸43に伝達するように構成しているが、モータ41の駆動軸41aを駆動軸43に直接接続して駆動するように構成することも可能である。
【0025】
玄米ホッパ3は、ハウジング2の上部に装着されている。玄米ホッパ3は、玄米を貯留するホッパ本体31と、ホッパ本体31の上端部に着脱可能に配置されるホッパ蓋32とを有している。
ホッパ本体31の上端部には開口した投入口31aが形成され、ホッパ本体31の下端部には開口した流下口31bが形成されている。ホッパ本体31は、投入口31aよりも流下口31bが小径に形成された下細りのロート形状に形成されている。
ホッパ本体31の外周面には、ホッパ本体31における玄米の貯留量を示す目盛りが付されている。
【0026】
ハウジング2の上面22には、精白部収容室2A内と外部とを連通する取入口22aが開口しており、ホッパ本体31は取入口22aと流下口31bとが連通するように上面22に載置されている。
ホッパ本体31が取入口22aと流下口31bとが連通するように載置されることで、ホッパ本体31内に貯留された玄米が、流下口31bおよび取入口22aを通じて精白部収容室2A内に流入することが可能となっている。
ホッパ本体31の流下口31bには、流下口31bを開閉可能なシャッタを設けることができる。前記シャッタを設けた場合、ホッパ本体31をハウジング2から取り外す際に前記シャッタを閉じることで、ホッパ本体31内に玄米が貯留された状態で取り外すことが可能となる。
【0027】
ハウジング2には係合具91aが取り付けられ、ホッパ本体31には被係合具91bが取り付けられており、ホッパ本体31が上面22に載置された状態で係合具91aを被係合具91bに係合させることにより、ホッパ本体31がハウジング2に固定される。このように、玄米ホッパ3は、工具を用いることなくハウジング2に装着することが可能である。また、ハウジング2に装着されたホッパ本体31は、係合具91aと被係合具91bとの係合状態を解除することにより、工具を用いることなくハウジング2から取り外すことが可能である。
このように、玄米ホッパ3のホッパ本体31は、ハウジング2の上部に着脱可能に装着されている。
【0028】
ホッパ蓋32は、ホッパ本体31の上端部に取り付けられることにより投入口31aを閉塞し、ホッパ本体31の上端部から取り外されることにより投入口31aを開放する。
【0029】
ホッパ本体31およびホッパ蓋32は、内部を視認可能な透明部材にて構成されている。これにより、ホッパ本体31内に貯留された玄米を外部から視認可能となっている。
なお、ホッパ本体31およびホッパ蓋32を構成する透明部材は、完全な透明である必要ではなく、内部を視認可能であれば、半透明であったり、着色がなされていたりしてもよい。つまり、ホッパ本体31およびホッパ蓋32を構成する透明部材は、完全な透明部材のみならず、光が透過可能な半透明部材および着色部材をも含むものである。
また、ホッパ本体31およびホッパ蓋32は透明部材にて構成することが好ましいが、清掃が行い易く構成されていれば、必ずしも透明部材にて構成されていなくても良い。
【0030】
精白部5は、精白部収容室2A内において、玄米ホッパ3の下方位置に配置されている。精白部5は、精白ロール51と、精白ロール51の外周部を覆う除糠網52とを有している。精白ロール51の軸心は、開口面であるハウジング2の下面23および右側面25に沿った方向に配置されている。
駆動部収容室2B内に配置される駆動軸43の前端部は隔離壁21を通じて精白部収容室2A内に突出しており、駆動軸43の前端部に精白ロール51があり、一体的に回転可能に構成されている。
【0031】
精白ロール51の後部における外周面には、螺旋状のねじ山部を有する螺旋溝51aが形成されている。精白ロール51の螺旋溝51aが形成されている部分は、取入口22aの下方に配置されている。
精白ロール51における螺旋溝51aよりも前方の部分の外周面には、螺旋溝51aのねじ山部と逆方向の螺旋状となる攪拌羽根51bが形成されている。
【0032】
図4に示すように、除糠網52は、精白ロール51の螺旋溝51aが形成されている部分から攪拌羽根51bが形成されている部分にわたって外嵌される、断面視正六角形状の筒部材にて形成されている。
除糠網52の後部における取入口22aの下方に位置する部分には、周面の上半部が取り除かれて上方に開口する開口部52bが形成されている。除糠網52の開口部52bよりも前方に位置する部分には、周方向を長手方向とするスリット52aが多数形成されている。
【0033】
多数のスリット52aは、前後方向に並設されている。除糠網52の開口部52bが形成されている部分の周面には、スリット52aは形成されていない。
これにより、取入口22aから精白部収容室2A内に流入してきた玄米を、下方に漏れ落とすことなく、除糠網52の開口部52bが形成されている部分によって受け止めることが可能となっている。
【0034】
図5に示すように、ハウジング2の前面26には、除糠網52の前端部における外形形状に対応した形状の嵌合孔26aが形成されており、嵌合孔26aには除糠網52の前端部が嵌合している。
除糠網52の前端部は、嵌合孔26aに嵌合することによりハウジング2の前面26に支持されている。また、除糠網52の後端部は、ハウジング2の隔離壁21によって支持されている。
【0035】
除糠網52は前後方向に沿って移動可能に構成されており、嵌合孔26aを通じて前方へ引き出すことが可能となっている。除糠網52は、嵌合孔26aを通じて前方へ引き出すことで、工具を用いることなく精白部収容室2A内から外部へ取り出すことが可能となっている。
このように、除糠網52は、精白ロール51の軸心方向である前後方向に沿って引き出し可能にハウジング2に装着されている。また、除糠網52を前方へ引き出すことにより、精白ロール51が開口部23a、25aを通じて外部に露出することとなる。
【0036】
抵抗部8は、精白ロール51の前端側に配置されており、ハウジング2の前端部に着脱可能に装着されている。精白ロール51の前端側は、精白ロール51の軸心方向における一端側である。
【0037】
抵抗部8は、ケーシング81と、抵抗板82と、抵抗バネ83と、ダイヤル84とを有している。ケーシング81は下面に開口部81cが形成された箱形状に形成されており、ケーシング81の後面には、除糠網52の前端の開口部と連通する排出口81aが開口している。抵抗板82は、排出口81aを開閉可能な円盤状部材である。
【0038】
抵抗板82は排出口81aよりも若干大径に形成されており、前後方向へ移動可能に構成されている。抵抗板82が後方へ移動してケーシング81の後面における排出口81aが形成された部分に当接することで排出口81aが閉塞され、抵抗板82が前方へ移動してケーシング81の後面との当接状態が解除されることで排出口81aが開放される。
抵抗部8においては、排出口81aが開放されると、精白部5にて玄米が精白されることにより生成された精米が、排出口81aを通じてケーシング81内に流入するように構成されている。
【0039】
抵抗部8のケーシング81は、内部を視認可能な透明部材にて構成することができる。ケーシング81を透明部材にて構成することにより、ケーシング81内における精米の流入状況等を外部から視認可能とすることができる。
なお、抵抗部8を構成する透明部材は、完全な透明である必要ではなく、内部を視認可能であれば、半透明であったり、着色がなされていたりしてもよい。つまり、抵抗部8を構成する透明部材は、完全な透明部材のみならず、光が透過可能な半透明部材および着色部材をも含むものである。
また、ケーシング81は透明部材にて構成することが好ましいが、清掃が行い易く構成されていれば、必ずしも透明部材にて構成されていなくても良い。
【0040】
抵抗バネ83は抵抗板82を後方へ向けて付勢する付勢部材であり、抵抗板82は抵抗バネ83の付勢力によりケーシング81の後面に押圧される。
ダイヤル84は前後方向に配置される軸心を中心として回動可能に構成されており、ダイヤル84を回動操作することにより、抵抗バネ83の抵抗板82に対する付勢力を調整することが可能となっている。
【0041】
ハウジング2の前面26における嵌合孔26aの下方には、係合フック26bが形成されている。ハウジング2の前端部における上端には係合具92aが取り付けられている。
一方、ケーシング81の後面における排出口81aの下方には係合孔81bが形成されており、ケーシング81の上端には被係合具92bが取り付けられている。
ハウジング2側の係合フック26bはケーシング81側の係合孔81bと係合可能に構成されており、ハウジング2側の係合具92aはケーシング81側の被係合具92bと係合可能に構成されている。
【0042】
抵抗部8をハウジング2の前方に配置した状態で、係合フック26bを係合孔81bに係合させるとともに、係合具92aを被係合具92bに係合させることで、抵抗部8がハウジング2の前端部に固定される。つまり、抵抗部8は、工具を用いることなくハウジング2に装着することができる。
また、ハウジング2に装着された抵抗部8は、係合具92aと被係合具92bとの係合状態を解除するとともに、係合フック26bと係合孔81bとの係合状態を解除することにより、工具を用いることなくハウジング2から取り外すことが可能である。
このように、抵抗部8は、ハウジング2に対して着脱可能に装着されている。
【0043】
糠ケース6は、ハウジング2に着脱可能に装着されている。
糠ケース6は、左右方向へ移動可能に構成されており、左方へ移動させることで、工具を用いることなくハウジング2に装着することが可能である。また、右方へ移動させることで、工具を用いることなくハウジング2から取り外すことが可能である。糠ケース6は、左方へ移動させることでハウジング2から取り外すことができるように構成することもできる。つまり、糠ケース6のハウジング2に対する着脱方向は、左右方向となっている。
【0044】
図6に示すように、糠ケース6は、糠を貯留する貯留部6aと、貯留部6aの右方に配置されるカバー部6cとを有しており、貯留部6aの上面は開口して開口部6bを形成している。糠ケース6の開口部6bは、糠ケース6をハウジング2に装着した状態において、精白部5の下方に位置しており、精白部5にて玄米から取り除かれた糠が開口部6bを通じて貯留部6a内に落下するように構成されている。
【0045】
ハウジング2の前端部には、左右方向に沿って延設される案内溝28が形成されており、糠ケース6には、案内溝28と摺動可能に嵌合する嵌合突起6dが形成されている。これにより、糠ケース6は左右方向に移動する際に、嵌合突起6dが案内溝28によって左右方向に案内された状態で移動することができ、円滑に移動することが可能となる。
【0046】
糠ケース6がハウジング2に装着された状態においては、ハウジング2の下面23における開口部23aが貯留部6aによって覆われており、ハウジング2の右側面25における開口部25aがカバー部6cにより覆われている。つまり、ハウジング2の開口面である下面23および右側面25の開口部23a、25aは、それぞれハウジング2に装着された糠ケース6により閉塞されている。
これにより、ハウジング2の下面23および右側面25が開口部23a、25aを有していたとしても、糠ケース6をハウジング2に装着することにより、精白部5にて玄米から取り除かれた糠が開口部23a、25aを通じて外部に漏れ出すことがない。
【0047】
一方、糠ケース6をハウジング2から取り外された状態では、ハウジング2における下面23の開口部23aおよび右側面25の開口部25aが開放され、精白部5が開口部23a、25aを通じて外部に露出することとなる。
このように、糠ケース6をハウジング2から取り外すと精白部5が外部に露出するため、開口部23a、25aからハウジング2内に手を差し入れて、容易に精白部5の清掃を行うことが可能となっている。また、開口部23a、25aを通じて精白部5の清掃状態を確認することができ、ハウジング内を清潔に保つことができる。
【0048】
また、精米機1においては、糠ケース6がハウジング2から取り外されると、精白部5を駆動する駆動部4への電源供給を遮断する遮断装置が設けられている。例えば、ハウジング2の駆動部収容室2B内に、糠ケース6がハウジング2に装着されるとオンし、ハウジング2から取り外されるとオフするスイッチ48を遮断装置として設けて、糠ケース6がハウジング2に装着されるとスイッチ48がオンして駆動部4へ電源が供給され、糠ケース6がハウジング2から取り外されるとスイッチ48がオフして駆動部4への電源供給が遮断されるように構成することができる。
糠ケース6がハウジング2から取り外され精白部5が外部に露出した状態で駆動部4に電源が供給されると、精白部5が駆動して糠が外部に飛散してしまう。しかし、電源供給の遮断装置を設けることで、糠ケース6が取り外された状態で不意に精白部5が駆動して糠が飛散することを防止できる。
また、糠ケース6をハウジング2から取り外し、さらに抵抗部8および除糠網52を外した場合、精白ロール51が外部に露出することとなる。しかし、電源供給の遮断装置を設けることで、外部に露出した状態の精白ロール51が不意に駆動されることがなく、駆動状態の精白ロール51に使用者が直接触れてしまうことを防止することができる。
【0049】
糠ケース6は、内部を視認可能な透明部材にて構成されている。これにより、糠ケース6内に貯留された糠を外部から視認可能となっている。また、右側面25の開口部25aを通じて、ハウジング2の内部に配置されている精白部5を視認することが可能である。
なお、糠ケース6を構成する透明部材は、完全な透明である必要ではなく、内部を視認可能であれば、半透明であったり、着色がなされていたりしてもよい。つまり、糠ケース6を構成する透明部材は、完全な透明部材のみならず、光が透過可能な半透明部材および着色部材をも含むものである。
また、糠ケース6は透明部材にて構成することが好ましいが、清掃が行い易く構成されていれば、必ずしも透明部材にて構成されていなくても良い。
【0050】
精米ケース7は、ハウジング2に着脱可能に装着されている。
精米ケース7は、前後方向へ移動可能に構成されており、後方へ移動させることで、工具を用いることなくハウジング2に装着することが可能である。また、前方へ移動させることで、工具を用いることなくハウジング2から取り外すことが可能である。つまり、精米ケース7のハウジング2に対する着脱方向は、前後方向となっている。但し、精米ケース7のハウジング2に対する着脱方向は、左右方向とすることも可能である。
【0051】
図7に示すように、精米ケース7の上面は開口しており、精米ケース7の前部の上面は精白部5にて玄米が精白されることにより生成された精米を取り入れる取入口7aとなっている。取入口7aは、精米ケース7がハウジング2に装着された状態で抵抗部8におけるケーシング81の下方に配置されており、ケーシング81内に流入した精米が開口部81cおよび取入口7aを通じて精米ケース7内に落下するように構成されている。
【0052】
精米ケース7の後部は、糠ケース6の下方に配置されている。精米ケース7の後部を糠ケース6の下方に配置することで、精米機1の前後方向の寸法が大きくなることを抑制しながら、精米ケース7の容量を大きくすることが可能となっている。
精米ケース7の側面には、精米の貯留量を示す目盛りが付されている。
【0053】
精米ケース7は、内部を視認可能な透明部材にて構成されている。これにより、精米ケース7内に貯留された精米を外部から視認可能となっている。
なお、精米ケース7を構成する透明部材は、完全な透明である必要ではなく、内部を視認可能であれば、半透明であったり、着色がなされていたりしてもよい。つまり、精米ケース7を構成する透明部材は、完全な透明部材のみならず、光が透過可能な半透明部材および着色部材をも含むものである。
また、精米ケース7は透明部材にて構成することが好ましいが、清掃が行い易く構成されていれば、必ずしも透明部材にて構成されていなくても良い。
【0054】
このように構成される精米機1において、駆動部4のモータ41を駆動させると、モータ41からの駆動力が駆動プーリ42、ベルト45、従動プーリ44、および駆動軸43を順に介して精白ロール51に伝達され、精白ロール51が回転駆動される。
精白ロール51が回転駆動されると、ホッパ本体31内から流下口31bおよび取入口22aを通じて精白部収容室2A内に流入してきた玄米が開口部52bから除糠網52内に流れ込み、精白ロール51の螺旋溝51aによって除糠網52内を前方に送られる。
【0055】
除糠網52内において前方に送られた玄米は、精白ロール51の攪拌羽根51bと除糠網52との間にて、攪拌羽根51bによって後方へ押し戻されつつ、摩擦力によって精白される。除糠網52内において精白されることにより玄米から取り除かれた糠は、除糠網52のスリット52aを通過して除糠網52の外部に排出され、ハウジング2の下面23における開口部25aを通じて下方へ落下し、さらに開口部6bから糠ケース6の貯留部6a内に落下する。
【0056】
一方、除糠網52内において玄米から糠が除去されることにより生成された精米は、抵抗部8の抵抗板82を抵抗バネ83の付勢力に抗して前方へ押圧し、抵抗板82とケーシング81の排出口81aとの間に生じた隙間を通じてケーシング81内に排出される。ケーシング81内に排出された精米は、開口部81cおよび取入口7aを通じて精米ケース7内に落下する。
この場合、ダイヤル84を回動操作して抵抗バネ83の抵抗板82に対する付勢力を調整することにより、攪拌羽根51bと除糠網52との間において玄米に作用する摩擦力を増減させて精米の精白度を調節することが可能である。
【0057】
このように、精米機1を駆動して玄米の精白を繰り返していくと、精白部5の精白ロール51や除糠網52等に玄米から取り除かれた糠が付着して徐々に堆積していくが、除糠網52等の精白部5における糠の付着状況を、透明部材にて構成される糠ケース6を通じて視認することが可能であるため、精白部5の清掃を行う時期を把握しやすくなっている。さらに、精白部5の清掃後などに、精白部5の清掃状態の確認を行うことが容易である。
【0058】
また、精白部5の清掃を行う場合、ハウジング2の下面23および右側面25は開口部23a、25aを有しているため、糠ケース6および精米ケース7をハウジング2から取り外して、精白部5を開口部23a、25aを通じて外部に露出させることにより、精白部5の清掃を容易にすることが可能である。
【0059】
また、精白部5の除糠網52は、抵抗部8をハウジング2から取り外した後に、嵌合孔26aを通じて前方へ引き出すことで、ハウジング2から取り外すことが可能である。これにより、取り外した除糠網52を単独で容易に清掃することができる。また、除糠網52を前方に引き出すことで精白ロール51が外部に露出することとなり、露出した精白ロール51を容易に清掃することが可能となる。さらに、ハウジング2から取り外した抵抗部8も単独で容易に清掃することが可能である。
また、糠ケース6および精米ケース7もハウジング2から取り外すことが可能に構成されているため、ハウジング2から取り外した糠ケース6および精米ケース7を単独で容易に清掃することが可能である。
【0060】
また、精米機1においては、糠ケース6のハウジング2に対する着脱方向は左右方向となっており、精米ケース7のハウジング2に対する着脱方向は前後方向となっている。
このように、糠ケース6の着脱方向と精米ケース7の着脱方向とが異なっているため、例えば糠ケース6および精米ケース7の一方をハウジング2から取り外すために引き出した際に、他方が引き連れて引き出されることがなく、糠ケース6および精米ケース7が不意にハウジング2から引き出されることを抑制可能となっている。
【0061】
また、精米機1においては、駆動部4が収容される駆動部収容室2Bは密閉可能であり、駆動部収容室2Bと精白部収容室2Aとは隔離壁21により隔離されているため、精白部収容室2Aに収容される精白部5にて生じた糠が駆動部収容室2B内に侵入することを抑制でき、駆動部4に糠が付着して駆動の妨げになることを抑制可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 精米機
2 ハウジング
2A 精白部収容室
2B 駆動部収容室
3 玄米ホッパ
4 駆動部
5 精白部
6 糠ケース
7 精米ケース
8 抵抗部
21 隔離壁
23a 開口部
25a 開口部
41 モータ
42 駆動プーリ
43 駆動軸
44 従動プーリ
45 ベルト
51 精白ロール
52 除糠網