(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】コインホッパ、コインホッパユニット、コイン処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/26 20190101AFI20220830BHJP
G07D 1/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G07D11/26
G07D1/00 Z GBL
(21)【出願番号】P 2019172811
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000116987
【氏名又は名称】旭精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山宮 毅人
(72)【発明者】
【氏名】榎本 稔
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-067325(JP,A)
【文献】特開2010-191016(JP,A)
【文献】特開2015-125624(JP,A)
【文献】特開平05-006473(JP,A)
【文献】実開昭54-014595(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00 - 3/16
G07D 9/00 - 13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留容器に貯留されたコインを一枚ずつ排出するコインホッパと、
前記コインホッパを固定するケースと、
前記ケースに配置された検出部と、
前記コインホッパに配置された被検出部と、
を有し、
前記検出部と前記被検出部が契合した場合は、前記ケースに前記コインホッパが装着でき、前記検出部と前記被検出部が契合しない場合は、前記ケースに前記コインホッパが装着できないコインホッパユニットにおいて、
前記検出部は、前記ケースに設けられた取り付け部に固定する識別部材を有し、
前記識別部材は、前記取り付け部に対向する側に突起を有し、前記取り付け部は、所定角度毎に前記識別部材を固定するために前記所定角度毎に前記突起に契合する複数の孔を有し、前記識別部材を前記取り付け部に取り付ける場合に平面視で取り付け方向が
前記所定角度毎に段階的に決められており、
前記被検出部は、前記コインホッパに設けられた収納部に固定する被識別部材を有し、前記被識別部材を前記収納部に取り付ける場合に平面視で取り付け方向が前記所定角度毎に段階的に決められており、
前記識別部材の取り付け方向と前記被識別部材の取り付け方向に応じて、前記検出部と前記被検出部が契合するか否かが決められることを特徴とするコインホッパユニット。
【請求項2】
前記ケースは、底面と、前記底面から厚み方向に突出し、周囲を形成する壁部と、前記ケースを複数のエリアに区分する仕切板と、を有することを特徴とする請求項1に記載のコインホッパユニット。
【請求項3】
貯留容器に貯留されたコインを一枚ずつ排出するコインホッパと、
前記コインホッパを固定するケースと、
前記ケースに配置された検出部と、
前記コインホッパに配置された被検出部と、
を有し、
前記検出部は、前記ケースに設けられた取り付け部に固定する識別部材を有し、前記識別部材を前記取り付け部に取り付ける場合に平面視で取り付け方向が所定角度毎に段階的に決められており、
前記被検出部は、前記コインホッパに設けられた収納部に固定する被識別部材を有し、前記被識別部材を前記収納部に取り付ける場合に平面視で取り付け方向が前記所定角度毎に段階的に決められており、
前記識別部材の取り付け方向と前記被識別部材の取り付け方向に応じて、前記検出部と前記被検出部が契合するか否かが決められ、
前記ケースは、底面と、前記底面から厚み方向に突出し、周囲を形成する壁部と、前記ケースを複数のエリアに区分する仕切板と、を有し、
前記取り付け部は、前記エリアの略中央に配置されていることを特徴とするコインホッパユニット。
【請求項4】
前記コインホッパは前記仕切板に対応する位置に、前記厚み方向からの平面視で前記仕切板と前記コインホッパが重なるように、前記コインホッパの一方側の側面に前記仕切板が入り込むように段差部が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のコインホッパユニット。
【請求項5】
前記コインホッパは、外部基板と電気的に接続する第1コネクタを有し、
前記第1コネクタは、前記コインホッパの裏面に設けられた開口を有する凹部に収納され、前記開口は、前記コインホッパの一方側の側面の近傍に配置され、
前記コインホッパが前記ケースに装着された場合に、前記第1コネクタの長手方向が前記仕切板に平行に配置され、
前記ケースは、前記開口に対向する位置に貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のコインホッパユニット。
【請求項6】
前記外部基板と接続され、前記第1コネクタと接続する第2コネクタが前記貫通孔に挿通され、前記第2コネクタの長手方向が前記仕切板に平行になるように配置されて前記ケースに固定されており、
前記第2コネクタの一方側の固定部が前記ケースの短手方向の中央を含む位置で固定されていることを特徴とする請求項5に記載のコインホッパユニット。
【請求項7】
貯留容器に貯留されたコインを一枚ずつ排出するコインホッパと、
前記コインホッパを固定するケースと、
前記ケースに配置された検出部と、
前記コインホッパに配置された被検出部と、
を有し、
前記検出部は、前記ケースに設けられた取り付け部に固定する識別部材を有し、前記識別部材を前記取り付け部に取り付ける場合に平面視で取り付け方向が所定角度毎に段階的に決められており、
前記被検出部は、前記コインホッパに設けられた収納部に固定する被識別部材を有し、前記被識別部材を前記収納部に取り付ける場合に平面視で取り付け方向が前記所定角度毎に段階的に決められており、
前記識別部材の取り付け方向と前記被識別部材の取り付け方向に応じて、前記検出部と前記被検出部が契合するか否かが決められており、
前記ケースは、底面と、前記底面から厚み方向に突出し、周囲を形成する壁部と、前記ケースを複数のエリアに区分する仕切板と、を有し、
前記コインホッパは前記仕切板に対応する位置に、前記厚み方向からの平面視で前記仕切板と前記コインホッパが重なるように、前記コインホッパの一方側の側面に前記仕切板が入り込むように段差部が設けられており、
前記コインホッパは、外部基板と電気的に接続する第1コネクタを有し、
前記第1コネクタは、前記コインホッパの裏面に設けられた開口を有する凹部に収納され、前記開口は、前記コインホッパの一方側の側面の近傍に配置され、
前記コインホッパが前記ケースに装着された場合に、前記第1コネクタの長手方向が前記仕切板に平行に配置され、
前記ケースは、前記開口に対向する位置に貫通孔が形成されており、
前記外部基板と接続され、前記第1コネクタと接続する第2コネクタが前記貫通孔に挿通され、前記第2コネクタの長手方向が前記仕切板に平行になるように配置されて前記ケースに固定されており、
前記第2コネクタの一方側の固定部が前記ケースの短手方向の中央を含む位置で固定されていることを特徴とするコインホッパユニット。
【請求項8】
前記取り付け部は、前記エリアの略中央に配置されていることを特徴とする請求項2または請求項7に載のコインホッパユニット。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載のコインホッパユニットと、
前記コインホッパユニットから排出されるコインを搬送する搬送路と、
を有し、前記搬送路が前記コインホッパユニットに沿って配置されていることを特徴とするコイン処理装置。
【請求項10】
コインを貯留する貯留容器と、
貯留容器から供給される前記コインを搬送する搬送路と、
前記搬送路から前記コインを一枚ずつ排出する排出口と、
外部に配置された検出部に契合する被検出部と、
を有するコインホッパにおいて、
前記被検出部は、前記コインホッパの裏面に開口を有する窪み状の収納部に配置され、
前記被検出部は、取り付け方向を所定角度毎に段階的に変えることで前記検出部に対して契合するか否かを決める被識別部材を有し、
前記収納部は、前記所定角度毎に前記被識別部材を固定でき、
使用する前記コインの種類毎に前記被識別部材の前記取り付け方向を変えて固定し、
前記被検出部は、平面視で前記コインホッパの重心を含む位置に配置されることを特徴とす
るコインホッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コインを一枚ずつ排出するコインホッパ、コインホッパを有するコインホッパユニット、およびコインホッパユニットを備えるコイン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流通貨幣である硬貨、ゲーム機等で使用されるメダルやトークン等の代用貨幣などの円盤状体、あるいは六角形や八角形などの多角形状の板状体の硬貨、メダル、トークン等を、一枚ずつ排出するコインホッパが知られている。これら硬貨、メダル、トークン等を以下コインと称する。
【0003】
例えば、コインホッパは、コインをバラ積みして貯留する貯留容器の下部に、貯留容器から供給されるコインを一枚ずつ保持する開口部を複数備えたディスクが配置され、このディスクの下方に搬送路が設けられている。ディスクを回転させることで、開口部に入ったコインを搬送路に沿って環状に搬送する。コインは、搬送路に配置された排出機構により、必要に応じて移動方向を変えることで排出口から、一枚ずつ排出することができる。例えば、可動式のピン、ローラー、板などを駆動制御し、搬送路から排出口方向へ導くようにコインの移動方向を変えて排出する。
【0004】
また、コインの種別毎、例えば金種毎にコインホッパを備え、排出するコインの枚数を金種毎に制御し、釣銭など所望の金額のコインを排出する硬貨処理装置が知られている。この様な硬貨処理装置として特開2019-79318号公報などが知られている。
【0005】
硬貨処理装置は、金種に応じたコインホッパをベルトに沿って配置し、そのベルトの回転方向の先に硬貨を受ける皿が配置されている。コインホッパから排出されるコインがベルト上に載るように、コインホッパの排出口がベルト方向に向けられて配置されている。
【0006】
一般的に、各々の金種に対応するコインホッパを配置するので、ベルトに沿って複数台のコインホッパが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
コインホッパは、電源、制御信号などを配線する必要があり、硬貨処理装置の制御回路とコインホッパの制御回路とをコネクタを用いて接続している。コインホッパを装置の所定位置に載置すると、コインホッパ側のコネクタと、硬貨処理装置本体側のコネクタが接続できるように構成している。また、コネクタが破損すると、正常な信号の入出力ができなくなる問題が生じる。
【0009】
また、コインを搬送するベルトに対して、コインホッパを精度良く配置する必要があり、また、コインホッパはコインが入っていると、かなりの重量になり、着脱時の取り扱いを容易にすることが望まれている。
【0010】
また、金種に対応したコインホッパを、ケースの決められた位置に配置することが必要であり、位置を間違えると払出す硬貨の金種に誤りを生じる。例えば、釣銭などを誤った金額で払い出してしまうなどの問題が生じる。金種に対応したコインホッパを、装置の予め決められた位置だけに載置することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のコインホッパユニットは、貯留容器に貯留されたコインを一枚ずつ排出するコインホッパと、前記コインホッパを固定するケースと、前記ケースに配置された検出部と、前記コインホッパに配置された被検出部と、を有し、前記検出部と前記被検出部が契合した場合は、前記ケースに前記コインホッパが装着でき、前記検出部と前記被検出部が契合しない場合は、前記ケースに前記コインホッパが装着できないコインホッパユニットにおいて、前記検出部は、前記ケースに設けられた取り付け部に固定する識別部材を有し、前記識別部材は、前記取り付け部に対向する側に突起を有し、前記取り付け部は、所定角度毎に前記識別部材を固定するために前記所定角度毎に前記突起に契合する複数の孔を有し、前記識別部材を前記取り付け部に取り付ける場合に平面視で取り付け方向が前記所定角度毎に段階的に決められており、前記被検出部は、前記コインホッパに設けられた収納部に固定する被識別部材を有し、前記被識別部材を前記収納部に取り付ける場合に平面視で取り付け方向が前記所定角度毎に段階的に決められており、前記識別部材の取り付け方向と前記被識別部材の取り付け方向に応じて、前記検出部と前記被検出部が契合するか否かが決められることを特徴とする。
また、本発明のコインホッパユニットは、貯留容器に貯留されたコインを一枚ずつ排出するコインホッパと、前記コインホッパを固定するケースと、前記ケースに配置された検出部と、前記コインホッパに配置された被検出部と、を有し、前記検出部は、前記ケースに設けられた取り付け部に固定する識別部材を有し、前記識別部材を前記取り付け部に取り付ける場合に平面視で取り付け方向が所定角度毎に段階的に決められており、前記被検出部は、前記コインホッパに設けられた収納部に固定する被識別部材を有し、前記被識別部材を前記収納部に取り付ける場合に平面視で取り付け方向が前記所定角度毎に段階的に決められており、前記識別部材の取り付け方向と前記被識別部材の取り付け方向に応じて、前記検出部と前記被検出部が契合するか否かが決められ、前記ケースは、底面と、前記底面から厚み方向に突出し、周囲を形成する壁部と、前記ケースを複数のエリアに区分する仕切板と、を有し、前記取り付け部は、前記エリアの略中央に配置されていることを特徴とする。
また、本発明のコインホッパユニットは、貯留容器に貯留されたコインを一枚ずつ排出するコインホッパと、前記コインホッパを固定するケースと、前記ケースに配置された検出部と、前記コインホッパに配置された被検出部と、を有し、前記検出部は、前記ケースに設けられた取り付け部に固定する識別部材を有し、前記識別部材を前記取り付け部に取り付ける場合に平面視で取り付け方向が所定角度毎に段階的に決められており、前記被検出部は、前記コインホッパに設けられた収納部に固定する被識別部材を有し、前記被識別部材を前記収納部に取り付ける場合に平面視で取り付け方向が前記所定角度毎に段階的に決められており、前記識別部材の取り付け方向と前記被識別部材の取り付け方向に応じて、前記検出部と前記被検出部が契合するか否かが決められており、前記ケースは、底面と、前記底面から厚み方向に突出し、周囲を形成する壁部と、前記ケースを複数のエリアに区分する仕切板と、を有し、前記コインホッパは前記仕切板に対応する位置に、前記厚み方向からの平面視で前記仕切板と前記コインホッパが重なるように、前記コインホッパの一方側の側面に前記仕切板が入り込むように段差部が設けられており、前記コインホッパは、外部基板と電気的に接続する第1コネクタを有し、前記第1コネクタは、前記コインホッパの裏面に設けられた開口を有する凹部に収納され、前記開口は、前記コインホッパの一方側の側面の近傍に配置され、前記コインホッパが前記ケースに装着された場合に、前記第1コネクタの長手方向が前記仕切板に平行に配置され、前記ケースは、前記開口に対向する位置に貫通孔が形成されており、前記外部基板と接続され、前記第1コネクタと接続する第2コネクタが前記貫通孔に挿通され、前記第2コネクタの長手方向が前記仕切板に平行になるように配置されて前記ケースに固定されており、前記第2コネクタの一方側の固定部が前記ケースの短手方向の中央を含む位置で固定されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のコイン処理装置は、上述のコインホッパユニットと、前記コインホッパユニットから排出されるコインを搬送する搬送路と、を有し、前記搬送路が前記コインホッパユニットに沿って配置されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のコインホッパは、コインを貯留する貯留容器と、貯留容器から供給される前記コインを搬送する搬送路と、前記搬送路から前記コインを一枚ずつ排出する排出口と、外部に配置された検出部に契合する被検出部と、を有するコインホッパにおいて、前記被検出部は、前記コインホッパの裏面に開口を有する窪み状の収納部に配置され、前記被検出部は、取り付け方向を所定角度毎に段階的に変えることで前記検出部に対して契合するか否かを選択する被識別部材が固定されており、前記収納部は、前記被識別部材に対応した形状を有し、前記所定角度毎に前記被識別部材を収納して固定でき、使用する前記コインの種類毎に前記被識別部材の前記取り付け方向を変えて固定し、前記被検出部は、平面視で前記コインホッパの重心を含む位置に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所望のコインホッパを装置の所定位置に間違いなく載置することが容易となる。コインホッパの載置位置を間違えなくなり、容易に着脱できるので、コネクタなどコインホッパの損傷を低減乃至防止することができる。本発明によれば、装置の所定位置に容易に間違いなく配置できるコインホッパを提供できる。また、金種に対応したコインホッパを予め決められた位置に載置することが容易にできるコインホッパユニットを提供できる。また、該コインホッパユニットを備えたコイン処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、コインホッパユニットの斜視図である。
【
図3】
図3は、コインホッパの貯留容器を一つ取り除いた状態のコインホッパユニットの斜視図である。
【
図4】
図4は、コインホッパを3台取り除いた状態のコインホッパユニットの斜視図である。
【
図7】
図7は、誤挿入防止ボディーの斜視図である。
【
図8】
図8は、コインホッパユニットの底面図である。
【
図11】
図11は、コインホッパの裏面側からの斜視図である。
【
図12】
図12は、コネクタの接続を説明するための図である。
【
図13】
図13は、誤挿入防止ピンと誤挿入防止ボディーが契合している状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係わるコインホッパユニットの斜視図である。コインホッパユニット1は、ケース3に4台のコインホッパ2を載置したユニットである。各コインホッパ2は、第1のコイン4、第2のコイン5、第3のコイン6、第4のコイン7の金種の異なる4種類のコインに対応している。各コインホッパ2のコインの排出口8は同一の方向に向けられている。ケース3の予め決められた位置に、外形が同形状のコインホッパ2が配置されている。各コインホッパ2のコインの排出口8の先端は、ケース3の縁から外側に突出するように配置されている。例えば、ケース3に沿ってベルトを配置した場合に、ベルトの上方に排出口8が位置するように配置でき、排出口8から排出したコインをベルト上に確実に載せることができる。
【0018】
この様なコインホッパユニット1は、コインホッパ2のコインの排出口8を所望の位置に揃えて配置することが容易である。精度良くコインホッパ2を配置でき、またコインホッパ2を金種毎に決められた位置に配置できるので、金種の異なるコインを誤って排出することを防止できる。
【0019】
図2は、コイン処理装置の概略図である。コイン処理装置10は、8種類の金種に対応するため、8台のコインホッパ2を、4台ずつ2列にして用いている。一つのコインホッパユニット1は、4台のコインホッパ2が配置されている。ベルト11の両側にコインホッパユニット1が配置されている。両側に配置することで、ベルト11の長さを短くしている。
【0020】
コインホッパ2の排出口8からベルト11の上にコインが排出される。コインを載せるベルト11を、受け皿9方向に搬送し、ベルト11の端部から、受け皿9へコインを落とす。各コインホッパ2から排出したコインを、受け皿9へ集めることができる。
【0021】
例えば、日本国の硬貨の場合には、1円、5円、10円、50円、100円、500円の硬貨が一般的に使用されている。6種類の金種に対応するコインホッパ2を利用すれば足りるので、1つのコインホッパユニット1にコインホッパ2を3台搭載し、ベルト11に両側にそれぞれ配置する構成にしても良い。また、一つのユニットに4台のコインホッパ2を搭載し、排出コインの数が多くなる1円、10円、100円などの金種の対応するコインホッパ2の何れかを2台使い、その排出枚数を制御する構成にしても良い。
【0022】
コインホッパ2は、コイン処理装置10の本体側に設ける不図示の制御手段により制御される。本体側とコインホッパ2側は後述のコネクタにより電源、信号線等が接続される。コインホッパ2側のコネクタを第1コネクタ、本体側のコネクタを第2コネクタとして、第1コネクタと第2コネクタを接続する。これにより、本体側の基板である外部基板とコインホッパ2側の制御基板の電源、信号線などを電気的に接続する。本体側の制御手段である外部基板は、例えば各コインホッパ2を駆動制御し、排出するコインの枚数などの制御や、ベルト11の駆動制御などを行い、受け皿9へ、金種毎に制御された枚数のコインを払出す。
【0023】
例えば、コインホッパ2の排出口8は、上方から見た場合に、コインホッパユニット1のケース3の端部からコインの排出方向へ、コインの直径の1/4から2/3程度突出して設けることが好ましい。排出口8は、ベルト11に近づくほど高さを低くし配置し、排出口8から飛び出すように排出したコインが、さらに排出口8の傾斜により、ベルト11の方向に落ちるように移動する。また、排出口8の先端が突出して設けられていれば、ベルト11の両側にコインホッパユニット1を配置することで、コインホッパユニット1の間の距離を短くでき、装置の小型化ができる。
【0024】
また、排出口8は、コインホッパ2を正面視したときに一方側に、ここでは右側に偏った位置に配置している。これにより、コインホッパユニット1をベルト11の両側に対向するように配置したときに、お互いのユニットの排出口8同士が対向すること無く、互い違いに配置されている。排出されるコイン同士がぶつかることで予期せぬ不具合が生じることを低減乃至防止できる。
【0025】
図3は、コインホッパの貯留容器を一つ取り除いた状態のコインホッパユニットの斜視図である。図は、コインホッパユニット1の端部に配置されているコインホッパ2の貯留容器12を外した状態の図である。コインホッパ2について説明する。
【0026】
コインホッパ2は、コインを貯留する貯留容器12、コインを搬送するディスク14、コインの環状搬送路15、ディスク14の駆動装置、制御回路や環状搬送路15などの構成部品を格納するベース13、貯留容器12内に貯留されたコインを撹拌する撹拌部材17を含み構成されている。
【0027】
撹拌部材17はディスク14の回転方向に回転駆動され、貯留容器12内のコインを撹拌する。
【0028】
ディスク14は、貯留容器12とベース13との間に配置されている。また、貯留容器12は、上部が開口している。この上部の開口からコインを投入できる。貯留容器12の底部にディスク14を臨む略円形の開口部を備えている。該開口部方向へ向かい底面が傾斜し、略漏斗状に形成され、バラ積みされたコインが、ディスク14方向へ落ちる構成となっている。底面の傾斜により、載置されるコインが自重によって自然滑落するよう設定されている。貯留容器12にバラ積みされたコインは、この斜面に沿ってディスク14方向に案内され、ディスク14に設けられた開口部16へ供給される。貯留容器12の底部の開口の径は、ディスク14の径より小さい。ディスク14が貯留容器12とベース13に挟まれ、抜けないように拘束できる。
【0029】
ディスク14が回転することで、開口部16に保持されたコインは、環状搬送路15上を摺動し、環状に搬送される。また、ディスク14の中央に設けられ、ディスク14と共に回転する撹拌部材17によって、貯留されているコインが撹拌される。
【0030】
コインホッパ2には、コインを1枚ずつ排出する排出口8が設けられている。環状搬送路15上を環状に搬送されるコインの移動方向を、不図示の排出手段によって、排出口8方向へ変えることで、コインが排出される。例えば、可動式のピン、ローラー、板などを駆動制御することで、コインの移動方向を排出口8方向へ導くように変えて排出する。
【0031】
図4は、コインホッパを3台取り除いた状態のコインホッパユニットの斜視図である。コインホッパユニット1には4台のコインホッパ2を装着できるエリアがあり、本例では、コインホッパ2を端部のエリアに1台装着した状態を表している。ケース3は、各コインホッパ2を配置するエリアが、仕切板18によって区分されている。これにより、コインホッパ2をケース3上に配置するときの案内板となり、また位置的な目安ともなる。3枚の仕切板18によって、4つのエリアに等分に区分されている。各エリアに1台のコインホッパ2を配置することができる。
【0032】
ケース3は、長方形状の平板状の底面を有する基台の外周部から、底面の厚み方向、すなわち垂直方向に壁部が形成されている。ケース3は、周囲4辺に壁部を備え、底面と対向する上方が開口した容器状に形成されている。また、ケース3の短手方向に沿って仕切板18が3カ所設けられ、コインホッパ2を収納する4つの等しいエリアを形成している。仕切板18は壁部と一体に形成されている。仕切板18の厚みは壁部と同じに形成し、リブとしても機能し、強度の向上に寄与している。また、ケース3は、重量のあるコインホッパ2を載置するので、金属製あるいは樹脂製の剛性の高い物で作られるのが好ましい。仕切板18は別体で着脱できるようにしても良い。仕切板18は、壁部間に一枚の板状に設けられているのが好ましいが、断続的に、あるいは開口部などを設けた部分的に形成されたものでも良い。
【0033】
各エリアには台座19が設けられており、この台座19はエリアの中央部分を含む位置に設けられている。この台座19の上に、装着するコインホッパ2を識別するための識別部材である誤挿入防止ピン20が固定される。台座19の外周は、誤挿入防止ピン20の外周と同形状となっている。台座19は、識別部材である誤挿入防止ピン20の取り付け部として、ケース3の底面から突出して設けられている。誤挿入防止ピン20には、中央に、中空の円柱状の中央ピン21が突出して設けられている。また、誤挿入防止ピン20には、中心から所定距離に配置され、円柱状の周囲ピン22が突出して設けられている。中央ピン21の方が周囲ピン22より太く形成されている。誤挿入防止ピン20は台座19上にネジ等で固定され、周囲ピン22の方向を様々な方向に変えることができる。
【0034】
誤挿入防止ピン20は、ケース3に装着するコインホッパ2を検出するための識別部材である。この識別部材を含む検出部は、後述するコインホッパ2に固定する被識別部材である誤挿入防止ボディーを含む被検出部と契合するか否かによって、コインホッパ2の装着可否を検出することができる。誤挿入防止ピン20は、コインホッパ2の外部に配置された検出部として機能する。誤挿入防止ピン20はケース3の台座19、すなわち取り付け部に固定することができる。周囲ピン22を8方向、すなわち45度毎に方向を変えて配置することができる。すなわち配置する方向に応じて複数種類、ここでは8種類の識別が、同形状の識別部材によって可能となる。また、識別部材の配置角度を視認することで対象となる物を確認することができる。このように、誤挿入防止ピン20は、4つのエリアで同じ形状の物が使用されるが、周囲ピン22の方向の違いにより、8種類の金種に対応したコインホッパ2を選択的に配置することができる。言い換えれば、異なるコインの種類毎に、識別部材および被識別部材の取り付け角度を変えることで、種類を識別することができる。
【0035】
コインホッパ2を取り付けていない3エリアの誤挿入防止ピン20は、それぞれ異なる方向に周囲ピン22が配置されているので、それぞれ異なる金種のコインホッパ2が装着可能となっている。
【0036】
各エリアには、仕切板18に沿ってコネクタ孔23が設けられている。このコネクタ孔23は、例えばコイン処理装置10の本体側のコネクタである。本体側の制御基板と接続しているソケット24が、コネクタ孔23に挿通され、ケース3の底面の表裏を貫いた状態で、ケース3に固定されている。本体側の制御基板は、コインホッパ2から見ると外部基板となり、コネクタを介して接続することになる。ソケット24の両端において、ネジ25でケース3に固定している。ソケット24の長手方向が仕切板18に沿って配置され、短手方向がケース3の壁部に沿って配置されている。それぞれが、仕切板18、壁部の各々の近傍になるように、矩形のエリアの角部に配置されている。コインホッパ2を装着する場合に、コインホッパ2の周囲を仕切板18と壁部が一種の案内部となり、これらに沿って移動させることで装着位置が決まり、装着しやすくなる。また、嵌合する部材も、これら案内する部材の近傍にあることが好ましい。
【0037】
コインホッパ2の貯留容器12の一方側の第1側面26は略平面状に形成されている。コインホッパ2のベース13の一方側の第2側面27の少なくとも一部は、第1側面26に対しても略平面状に形成されている。コインホッパ2の一方側の第1側面26、第2側面27を含む側面は、仕切板18を超えて隣のエリアにはみ出さないように構成されている。また、各エリアにコインホッパ2が格納できるようにしている。
【0038】
次に
図5、
図6、
図7を用いて、各エリアに識別部材を配置することで、対応する金種以外のコインホッパ2がセットできないようにする誤挿入防止機構について説明する。
図5は、ケースの平面図である。
図6は、誤挿入防止ピンの斜視図である。
図7は、誤挿入防止ボディーの斜視図である。
【0039】
ケース3は、長方形状の基台の底面の周囲に垂直に側壁が形成され、底面に対向している上方が開口している。四方の側壁で壁部を構成している。短手方向の側壁に平行に仕切板18が設けられ、第1エリア29、第2エリア30、第3エリア31、第4エリア32の4エリアに仕切られている。仕切板18は、ケース3の底面から垂直に形成されている。また、仕切板18は、板状に形成されているが、部分的に開口を設けることもできる。
【0040】
ケース3の各エリアの略中央部に台座19が配置され、その台座19上に、識別部材である誤挿入防止ピン20が固定される。誤挿入防止ピン20は、厚み方向から見た場合、すなわち平面視で円周上に等間隔に8カ所の突出部が設けられ、そのうちの1カ所に円柱状の突起である周囲ピン22が形成されている。平面視において8カ所の突出部の先端は周囲ピン22の外周の形状に相当する。誤挿入防止ピン20の中心を中心とする2つの同心円の間に、8カ所の突出部と、周囲ピン22の先端方向の部分の大凡半分が入るように構成されている。
【0041】
ケース3に誤挿入防止ピン20を固定する場合に、各々の誤挿入防止ピン20の中央ピン21に対する周囲ピン22の方向が、異なる8方向に向くように配置することができる。8種類のコインホッパ2の識別ができるように配置することができる。
【0042】
一点鎖線で示される中央線28は、ケース3の短手方向の中央を通る線を示している。誤挿入防止ピン20は、中央ピン21が中央線を含む位置に配置されている。好ましくは、コインホッパ2を、誤挿入防止ピン20の厚み方向から見た場合、すなわち平面視したときの重心の位置を含む位置に配置されている。コインホッパ2をケース3に装置着するときに、ケース3の開口側から載置するので、略中央に重心があれば、取り扱い易くなる。コインホッパ2は、コインが貯留されている場合は特に重くなるので、着脱操作等の作業時に取り扱いを容易にすることが望まれている。重心が中央付近にあれば取り扱いし易い。
【0043】
ケース3上に配置される誤挿入防止ピン20の周囲ピン22の方向によって、装着できる金種のコインホッパ2が決まる。例えば、第1エリア29では周囲ピン22が紙面上右下方向に配置され、第2エリア30では右方向、第3エリア31では右斜め上方向、第4エリア32では上方向に配置されている。これに基づき、4つの異なる金種に対応したコインホッパ2を間違えずにセットすることができるようになる。
【0044】
また、ソケット24の長手方向と、ケース3の短手方向の側壁および仕切板18は平行であり、ソケット24は、これらの近傍に沿って配置されている。また、ソケット24の短手方向は、ケース3の長手方向の壁に平行に配置され、一方側の壁の近傍に配置される。ケース3の仕切板18で区切られたエリアの角に、ソケット24の長手方向がケース3の側壁あるいは仕切板18に沿って、ソケット24の短手方向がケース3の壁部に沿って配置されている。仕切板18及び壁部に近い位置に、沿うようにソケット24が配置されているので、これらを案内部材として、これらに沿ってコインホッパを装着することで、コネクタの嵌合を正確に行うことができる。
【0045】
ケース3にコインホッパ2を装着する場合に、コインホッパ2を側壁あるいは仕切板に沿って移動させので、この近傍に平行に配置するのが好ましい。また、ソケット24をケース3に固定する固定部では、一方側に配置されたネジ25が、中央線28を含む位置に配置されている。誤挿入防止ピン20とソケット24の位置をなるべく近い位置にするためである。双方ともコインホッパ2と嵌合する部材であるので、離れているより近い位置の方が扱いやすくなる。一方で、仕切板18などに沿った位置にも配置するのが好ましいので、可能な限り近づけたいが、他の部材の配置にも関係するので、少なくとも中央線28に一部が重なる位置に配置することが好ましい。
【0046】
誤挿入防止ピン20のマーク33は、周囲の突出部に設けられている。このマーク33の裏面側の対応する位置に周囲突起が突出している。周囲突起は突出部の周囲ピン22の中心に対応する位置に設けられている。すなわち誤挿入防止ピン20の中心から同一半径の円周上に設けられている。また、台座19の8カ所の突出部にも対応する位置に貫通孔が設けられている。すなわち、台座19の中心から、前述の半径の円周上に等間隔に8カ所の貫通孔が設けられている。誤挿入防止ピン20の周囲の8カ所の突出部は、マーク33の位置する円周と、突出部の先端を通る円周間に配置されている。マーク33の位置する円周を裾として、先端方向に曲面が構成されている。何れの突出部も同形状である。
【0047】
台座19に設けられた貫通孔と前述の裏面側の周囲突起は、台座19に誤挿入防止ピン20をセットする場合の位置決め部材ともなっている。貫通孔に周囲突起を嵌めることで、段階的に決められた角度で誤挿入防止ピン20の方向を決めることができる。また、中央ピン21は円柱状の突出部であり、中央が開口している。この開口の中央部にネジ孔があり、台座19にセットされた誤挿入防止ピン20をネジによって固定する。中央ピン21と周囲ピン22の高さは同じに構成されている。これらの高さは、なるべく低く構成することが好ましい。コインホッパ2内に挿入されるので、高くなるほど、コインホッパ2が大型化してしまう。また、台座19はケース3に形成され、各エリアのほぼ中央部に配置される。台座19および誤挿入防止ピン20は、コインホッパ2の位置を決める部材としても兼用できる。
【0048】
ケース3には、コインホッパ2を識別する識別部材を含む検出部が配置されていることに他ならない。被検出部はコインホッパ2に配置される。
【0049】
一方、コインホッパ2側には、誤挿入防止ピン20に対応する被識別部材である誤挿入防止ボディー34が固定されている。誤挿入防止ボディー34は、誤挿入防止ピン20の中央ピン21に対応する窪みである第1凹部35、周囲ピン22に対応する窪みである第2凹部36を備える。
【0050】
また、誤挿入防止ボディー34の第1凹部35の中央には、コインホッパ2に固定するために設けられた貫通孔であるネジ孔37が設けられ、コインホッパ2にネジによって固定される。また、コインホッパ2に誤挿入防止ボディー34が固定された場合に、第2凹部36の位置に応じて、ケース3に装着できる位置が決まることになる。すなわち、ケース3に配置された誤挿入防止ピン20の周囲ピン22に対応した位置に、コインホッパ2に固定された誤挿入防止ボディー34の第2凹部36が配置されている場合に装着が可能となる。第2凹部36を金種に応じた位置に配置することで、金種に対応したコインホッパ2となる。被識別部材である誤挿入防止ボディー34を含む被検出部がコインホッパ2側に設けられることで、装着可否の識別を行うことができる。
【0051】
このように構成することで、誤挿入防止ピン20、誤挿入防止ボディー34、コインホッパ2、ケース3は、金種が変わっても同一形状の物を使用することができる。すなわち、装着位置を変えることで、8種類の金種に対応することができるので、部品を効率的に使用することができる。また、ケース3に固定される誤挿入防止ピン20の周囲ピン22の位置から、装着すべきコインホッパ2の金種を容易に判断することもできる。また、コインホッパ2の裏面に配置された誤挿入防止ボディー34の第2凹部36の位置から、使用する金種を容易に判別できる。視認する場合に、円周上に配置された物の位置によって判別するので、直線上に並べられた物の位置による場合に比べ、何番目にあるのか迷うことも無く、容易に判別ができる。
【0052】
所定角度毎に配置方向を変えることで識別できる対象を変えるためには、円や正多角形状の基台に、凸部や凹部を設ける形状でもよい。また、中央ピン21が無い形状でも良い。また一方、方向を変えても配置しやすく、配置方向が視認しやすいことが望まれている。また、ケースに誤挿入防止ボディー34を配置し、コインホッパ2に誤挿入防止ピン20を配置しても良い。すなわち凸部と凹部を逆に配置することも可能である。
【0053】
図8は、コインホッパユニットの底面図である。コインホッパユニット1の裏面側から見たときの図である。4台のコインホッパ2がケース3に配置されている状態である。各コインホッパ2は、第1のコイン4、第2のコイン5、第3のコイン6、第4のコイン7の各々の専用のコインホッパ2として、ケース3に配置されている。
【0054】
ケース3の底面には、各コインホッパ2に対応するエリアに、中央孔38と周囲孔39が設けられている。周囲孔39は、中央孔38を中心にした同一円周上に8個、隣同士の間隔が等間隔になるように配置している。中央孔38は、誤挿入防止ピン20の中央ピン21に対応する位置に配置され、周囲孔39は、誤挿入防止ピン20の周囲ピン22および突出部に対応する位置に配置されている。誤挿入防止ピン20のマーク33の裏面側の対応する位置に周囲突起40が設けられているが、この突起が、この周囲孔39に挿入される。すなわち、ケース3の裏面側から、この突起が、周囲孔39のどの位置に挿入されているかが分かる様になっている。
【0055】
例えば、第4のコイン7用のコインホッパ2に対応するケース3の周囲孔39では、中央孔38の紙面右方と左方の周囲孔39に周囲突起40が挿入されていることが分かる。同様に、第1のコイン4用のコインホッパ2では、中央孔38の紙面左斜め上と右斜め下側の周囲孔39に、周囲突起40が挿入されている。第2のコイン5用のコインホッパ2では、中央孔38の紙面上と下側の周囲孔39に、周囲突起40が挿入されている。第3のコイン6用のコインホッパ2では、中央孔38の紙面右斜め上と左斜め下側の周囲孔39に、周囲突起40が挿入されている。
【0056】
ケース3の裏面側の中央孔38からは、誤挿入防止ピン20を固定するネジ41を確認することができる。
【0057】
上述のように構成することで、ケース3の裏面側から、周囲孔39のどの位置に周囲突起40が配置されているかを確認することで、誤挿入防止ピン20の周囲ピン22の方向を確認することができる。すなわち、ケース3の裏面側から、装着するコインホッパ2の金種が分かる。また、中央孔38からネジ41を確認することで、誤挿入防止ピン20が固定されているかについても確認できる。
【0058】
この様に、ケース3の裏面側からでも設定される金種や誤挿入防止ピン20の固定状況など各種確認が可能に構成されているので、コイン処理装置10にセットされた場合の確認の仕方のバリエーションが増え広がり、確認の確実性が向上する。
【0059】
次にコインホッパ2について
図9から
図11を用いて説明する。
図9は、コインホッパの斜視図である。
図10は、コインホッパの正面図である。
図11は、コインホッパの裏面側からの斜視図である。ここでは、第4のコイン7用のコインホッパ2について説明する。また、ボディー収納部52における誤挿入防止ボディー34の第2凹部36の配置方向に基づいて、ケース3への装着可能位置が決まる。金種毎に第2凹部36の配置方向を変えることで、誤ってケース3へ装着できないようにすることができる。誤挿入防止ボディー34は、第1凹部35の中央に設けられたネジ孔を介し、固定手段としてネジ53を用いてコインホッパ2に固定される。また、誤挿入防止ボディー34とボディー収納部52の隙間に楔のようなものを嵌め込み固定することもできる。
【0060】
コインホッパ2は、上部にコインを貯留する貯留容器12、下部にディスク14、コインの環状搬送路15、その駆動装置などの部材を収納するベース13が備わる。コインの排出口8は、正面傾斜部47の上側に配置されている。ベース13の正面側は、ケース3の壁面と対向する正面下部46の上方に正面傾斜部47が構成されている。正面下部46は、ケース3の壁面に対して、装着したときに対向し、平行になるように配置される。すなわち、ケース3の壁面に沿って正面下部46を移動させることができる。また、正面傾斜部47は、上方に行くに従い正面下部46から突出する方向に張り出す。例えば、第4のコイン7を排出する排出口8の端部である正面傾斜部47の縁が突出して構成される。この突出した正面傾斜部47の下方にベルト11の一部が上面視で重なるように配置することで、排出される第4のコイン7をベルト11などの搬送路にコインを好適に載せることができる。
【0061】
貯留容器12の一方側の側面である第1側面26とベース13の一方側の側面の一部である第2側面27は、略平面状に構成されている。また、貯留容器12の他方側の側面である第3側面42とベース13の他方側の側面の一部である第4側面43は、略平面状に構成されている。また、第4側面43のベース13のケース3の仕切板18に対応する部分には、段差部45を設け、第4側面43に対して段差部45だけシフトした位置に第5側面44が形成されている。これにより、ケース3にコインホッパ2を装着した場合に、仕切板18の他方側の面と、第3側面42と、第4側面43とが略平面状に配置される。
【0062】
ベース13の背面側には、ケース3の壁面と対向する背面下部48が構成されている。背面下部48は、ケース3の壁面に対して、装着したときに対向し、平行になるように配置される。すなわち、ケース3の壁面に沿って背面下部48を移動させることができる。
【0063】
コネクタ収納部49は、コインホッパ2のベース13の底面に設けられた開口部が略長方形状の凹部である。その凹部の底面にヘッダ50がネジ51によって固定されている。ヘッダ50は、コインホッパ2を動作させるための信号、電源等を供給するために設けられている。ヘッダ50の長手方向は、第5側面44に対して平行に配置されている。コネクタ収納部49は、ヘッダ50を囲うように配置されているので、他の物との物理的接触を防止できる。
【0064】
ボディー収納部52は、誤挿入防止ボディー34を挿入して固定するために、ベース13の底面に設けられた凹部である。開口部は誤挿入防止ボディー34の外周の形状に相当する形状を有している。8方向に異なる方向に誤挿入防止ボディー34を配置することが容易にできる。誤挿入防止ボディー34の第2凹部36を金種毎に定めた所定方向に向けてボディー収納部52に挿入し、固定手段としてネジ53によって固定する。外れなければ接着剤等の他の方法によって固定しても良い。ボディー収納部52とヘッダ50はなるべく近い位置に配置することが好ましい。ボディー収納部52をベース13の底面の略中央に配置し、その近傍に第3側面42、第4側面43、第5側面44に平行になるようにヘッダ50を収納するコネクタ収納部49が配置されている。ボディー収納部52は、コインホッパ2をケース3にセットしたときに台座19の根元まで嵌るように、誤挿入防止ボディー34を奥の方に配置している。
【0065】
ヘッダ50はコネクタのオス側であり、ソケット24はコネクタのメス側である。逆に構成することも可能である。
【0066】
ケース3にコインホッパ2を装着する場合に、ケース3の壁面または仕切板18を案内部としてコインホッパ2の正面下部46、背面下部48、第2側面27、第5側面44を沿うように、好ましくは摺動させて装着することで、所望の位置に装着できる。
【0067】
また、ケース3にコインホッパ2が装着されていれば、装着されているコインホッパ2の第1側面26、第2側面27、仕切板18に対して、装着するコインホッパ2の第3側面42、第4側面43、第5側面44を沿うように装着する。好ましくは摺動させながら装着することで、所望の位置に装着できる。また逆に、装着されているコインホッパ2の第3側面42、第4側面43、仕切板18に対して、装着するコインホッパ2の第1側面26、第2側面27を沿うように装着する。好ましくは摺動させて装着することで、所望の位置に装着できる。
【0068】
コインホッパ2に段差部45を、ケース3に仕切板18が設けられているので、ケース3にコインホッパ2を配置したときに、干渉せずに、コインホッパ2間の隙間を低減乃至無くすことができるので、小型化ができる。隣り合うコインホッパ2の隙間を狭く、または無く配置することができる。また、コインホッパ2間の隙間をコインの厚み未満にすることができ、隙間に不慮または故意の原因によりコイン等が挟まることを防止でき、予期せぬ不具合を防止できる。また、貯留容器12を仕切板18の厚み分サイズを大きくすることもできる。
【0069】
コインホッパ2の側面またはケース3の仕切板および壁面は、コインホッパ2を装着する場合に、好適な位置に配置するための案内手段となるので、作業性が向上し、また、装着ミスによる破損等の問題も解消できる。
【0070】
また、コインホッパ2の重心を上面視でボディー収納部52と重なる位置に配置するように構成することで、装着するときに、左右前後のバランスが良くなり、装着性が向上する。特に貯留容器12にコインが多く入っている場合に、重量が大きくなり、取り扱いを容易にすることが望まれている。
【0071】
また、コインホッパ2を装着する場合に、ヘッダ50の配置されている側である第3側面42、第4側面43、および第5側面44側を、既にケース3に配置されているコインホッパ2あるいはケース3の壁面に沿って移動させることが好ましい。装着するコインホッパ2の強度の弱いヘッダ50を、ソケット24へ好適に案内することができる。これは、ソケット24は、仕切板18に対して平行に配置されており、また、ヘッダ50は第4側面43、第3側面42に平行に配置されているからである。コネクタに最も近い部分を摺動させて装着することで、ソケット24とヘッダ50の嵌合が確実に行うことができる。また、ソケット24とヘッダ50を含むコネクタは、フローティングコネクタを構成しているので、嵌合後に、多少の位置の移動があったとしても破損や接触不良となることは無い。
【0072】
コインホッパ2の裏面には、裏面側の強度を向上させるためにリブ55を正面側と背面側の間に複数本配置し、また、ボディー収納部52の縁及びコネクタ収納部49の縁、裏面の周囲の縁の部分にも構成されている。また、足54が裏面の4方の角の近傍に配置されている。リブ55の先端は平坦に形成され、ケース3の底面にリブ55の平坦に形成された先端の全面が接触するように構成している。リブがコインホッパ2の裏面側に広く分布しているので、安定してケース3へ載置することができる。ケース3の各エリアには、足54に対応する位置に貫通孔が設けられ、ケース3にコインホッパ2を装着したときに嵌るようにしている。足54の高さは、ケース3の底面の厚みより小さく構成され、装着しても突出することは無く、ケース3の裏面側から、コインホッパ2が装着されているか否かも確認できる。
【0073】
図12は、コネクタの接続を説明するための図である。ケース3にコインホッパ2が装着されている状態で、ソケット24付近をケース3の短手方向に切断した場合のコインホッパ2の部分的な斜視図である。
図13は、誤挿入防止ピンと誤挿入防止ボディーが契合している状態を説明するための図である。ケース3にコインホッパ2が装着されている状態で、誤挿入防止ピン20及び誤挿入防止ボディー34の部分をケース3の短手方向に切断した場合のコインホッパ2の部分的な斜視図である。
【0074】
ケース3のケース高56が
図12に双方矢印で示されている。ケース高56は、ケース3の壁部及び仕切板18の高さを表している。ソケット高57が
図12に双方矢印で示されている。ソケット高57は、ソケット24のケース3の底面からの高さである。ケース高56の方がソケット高57より大きい。また、ヘッダ50は、コネクタ収納部49内に収まるように配置され、先端が開口から突出しないように構成している。ピン高58が
図13に双方向矢印で示されている。ピン高58は、誤挿入防止ピン20の周囲ピン22及び中央ピン21のケース3の底面から高さである。ケース高56の方がピン高58より大きい。また、ソケット高57はピン高58より大きい。
【0075】
コインホッパ2をケース3に装着する場合に、コインホッパ2の側面がケース3の壁部及び仕切板18に、背面下部48がケース3の壁部に当接させ、好ましくはその状態で摺動させて挿入する。ケース3の仕切板18により区切られたエリアの内周とコインホッパ2の外周の形状の公差、また、ケース3に固定された誤挿入防止ピン20とコインホッパ2に固定された誤挿入防止ボディー34の形状の公差がある。それら公差によって、コネクタが破損しないように、ソケット24とヘッダ50を含むコネクタのフローティング機構により、コインホッパ2の装着開始から終了までの間、挿入方向に対して直角方向にコネクタの部品が変形あるいは移動する。ソケット24とヘッダ50の先端が嵌り、契合できることが判明した後で、挿入しながら接触の適正位置に移動するので、確実に契合できる。嵌るか否かが分からないような位置関係で、無理矢理契合させるわけではないので、破損等を防止できる。
【0076】
ソケット24にヘッダ50の一部を挿入された状態で、誤挿入防止ピン20が誤挿入防止ボディー34に挿入され、その後さらに深く挿入されコインホッパ2がケース3の底面に到達し、装着した状態になる。
【符号の説明】
【0077】
1 コインホッパユニット
2 コインホッパ
3 ケース
4 第1のコイン
5 第2のコイン
6 第3のコイン
7 第4のコイン
8 排出口
9 受け皿
10 コイン処理装置
11 ベルト
12 貯留容器
13 ベース
14 ディスク
15 環状搬送路
16 開口部
17 撹拌部材
18 仕切板
19 台座
20 誤挿入防止ピン
21 中央ピン
22 周囲ピン
23 コネクタ孔
24 ソケット
25 ネジ
26 第1側面
27 第2側面
28 中央線
29 第1エリア
30 第2エリア
31 第3エリア
32 第4エリア
33 マーク
34 誤挿入防止ボディー
35 第1凹部
36 第2凹部
37 ネジ孔
38 中央孔
39 周囲孔
40 周囲突起
41 ネジ
42 第3側面
43 第4側面
44 第5側面
45 段差部
46 正面下部
47 正面傾斜部
48 背面下部
49 コネクタ収納部
50 ヘッダ
51 ネジ
52 ボディー収納部
53 ネジ
54 足
55 リブ
56 ケース高
57 ソケット高
58 ピン高