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▶ ザクト ロボティクス リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】自動挿入装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/32 20160101AFI20220830BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
A61B34/32
A61B17/34
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019514882
(86)(22)【出願日】2017-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 IL2017050584
(87)【国際公開番号】W WO2017203531
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-12
(31)【優先権主張番号】62/341,097
(32)【優先日】2016-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516263568
【氏名又は名称】ザクト ロボティクス リミテッド
【住所又は居所原語表記】8 HaTochen Street Industry Park North PO Box 3097 3079861 Caesarea,ISRAEL
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100140327
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 千秋
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド、 オファー
(72)【発明者】
【氏名】ボロデッツ、 エデュアード
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101972159(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104739512(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/32
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具を対象者の体内に挿入し操縦するための自動化装置であって、
前記自動化装置は、少なくとも5つの自由度を有し、
前記自動化装置は、
装置ベースと、
前記装置ベースに結合され、第1の駆動機構の第1部分を含む、第1のプラットフォームと、
前記第1のプラットフォームに結合された第2のプラットフォームであって、前記第1の駆動機構の第2部分と、第2の駆動機構の第1部分とを含み、前記第1の駆動機構が前記第2のプラットフォームを第1の直線方向へ推進するよう構成されて前記少なくとも5つの自由度のうち第1の自由度を提供する、第2のプラットフォームと、
前記第2のプラットフォームに結合された第3のプラットフォームであって、前記第2の駆動機構の第2の部分を含み、前記第2の駆動機構が前記第3のプラットフォームを、前記第1の直線方向に直交する第2の直線方向へ推進するよう構成されて前記少なくとも5つの自由度のうち第2の自由度を提供する、第3のプラットフォームと、
前記第3のプラットフォームに結合された第1および第2のピストン機構であって、各ピストン機構が、
シリンダと、
その少なくとも一部が前記シリンダ内に配置されているピストンと、
前記ピストンを前記シリンダの内外に制御可能に推進させるように構成された第3の駆動機構とを備えた、第1および第2のピストン機構とを備え、
前記第1および第2のピストン機構のそれぞれの前記第3の駆動機構が前記少なくとも5つの自由度のうち第3および第4の自由度を提供し、前記第3の自由度は、前記第1の直線方向と平行な軸を中心とした回転方向の自由度であり、前記第4の自由度は、前記第2の直線方向と平行な軸を中心とした回転方向の自由度であり、
前記第1および第2のピストン機構の前記ピストンの遠位端が結合された共通ジョイントと、
前記共通ジョイントに結合され、前記医療器具を当該共通ジョイントに結合するよう構成されたエンドエフェクタと、
対象者の身体の方向に前記医療器具を推進するように構成されて前記少なくとも5つの自由度のうち第5の自由度を提供する挿入機構とを備えた、自動化装置。
【請求項2】
前記シリンダおよび前記ピストンの軸と、前記ピストンと前記共通ジョイントとの結合点を結ぶ線とが、単一の平面内に配置される、請求項1に記載の自動化装置。
【請求項3】
前記第1および第2のピストン機構の前記ピストンの遠位端は、ピストンエンドジョイントを介して前記共通ジョイントに結合され、各ピストンエンドジョイントは、少なくとも1つの回転自由度を有する、請求項1または2に記載の自動化装置。
【請求項4】
前記第1および第2のピストン機構の前記シリンダの近位端が、前記単一の平面内に位置する単一のシャフトに結合される、請求項2に記載の自動化装置。
【請求項5】
前記シリンダの前記近位端は、シリンダ端ジョイントを介して前記単一のシャフトに結合され、各シリンダ端ジョイントは、少なくとも1つの回転自由度を有する、請求項4に記載の自動化装置。
【請求項6】
前記第3の駆動機構は、
ねじ付きシャフトと、
前記ねじ付きシャフトに作動的に連結され、前記ピストンに堅固に連結された雌ねじ付きナットとを備え、
前記ねじ付きシャフトの回転は、前記ピストンの直線運動をもたらす、請求項1~5のいずれか1項に記載の自動化装置。
【請求項7】
前記エンドエフェクタが、第1のジンバルを介して前記共通ジョイントに結合された、請求項6に記載の自動化装置。
【請求項8】
前記第1のジンバルは、回転ジョイントを介して前記共通ジョイントに結合された、請求項7に記載の自動化装置。
【請求項9】
前記第2のプラットフォームが、延長アームと、前記エンドエフェクタを前記延長アームに結合する第2のジンバルとをさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の自動化装置。
【請求項10】
前記挿入機構の少なくとも第1の部分が前記エンドエフェクタに結合される、請求項1~9のいずれか1項に記載の自動化装置。
【請求項11】
前記医療器具を受け入れて前記エンドエフェクタに結合するよう構成された挿入モジュールをさらに備え、挿入モジュールが前記挿入機構の少なくとも第2の部分を備え、前記挿入機構の前記第2の部分が前記挿入機構の前記第1の部分に動作可能に結合するように構成される、請求項10に記載の自動化装置。
【請求項12】
前記自動化装置は、対象者の身体上の選択された入口点に位置する仮想遠隔運動中心を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の自動化装置。
【請求項13】
前記医療器具の角度作業空間は、円錐形状を形成し、前記円錐の頂点は、前記仮想遠隔運動中心に位置する、請求項12に記載の自動化装置。
【請求項14】
少なくとも1つの位置合わせ要素をさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の自動化装置。
【請求項15】
前記装置ベースは、前記対象者の身体に固定するように構成された、請求項1~14のいずれか1項に記載の自動化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介入処置(interventional procedures)の分野に関し、特に、対象者の体内のターゲット内への医療器具の自動挿入のための装置、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の臨床診療において使用される多くの日常的な処置は、生検、薬物送達、ならびに他の診断および治療手順のための、針およびカテーテルなどの医療器具の経皮的挿入を含む。挿入処置の目的は、病変、腫瘍、器官または血管であり得るターゲット領域に、適切な医療器具の先端を安全かつ正確に配置することである。このような医療器具の挿入を必要とする処置の例としては、ワクチン接種、血液/流体サンプリング、局所麻酔、組織生検、カテーテル挿入、低温アブレーション、電解アブレーション、近接照射療法、神経外科、脳深部刺激、および種々の低侵襲手術が挙げられる。
【0003】
軟組織における針の誘導および操縦は、良好な三次元協調、患者の解剖学的構造の知識、および高レベルの経験を必要とする複雑な作業である。したがって、これらの機能を実行するために、画像誘導自動(例えば、ロボット(robotic))システムが提案されている。そのようなシステムの中には、Stoianoviciの米国特許第7,008,373号、「System and method for robot targeting under fluoroscopy」、Glozmanらの米国特許第8,348,861号、「Controlled Steering of a Flexible Needle」、Neubachらの米国特許第8,663,130号、「Ultrasound Guided Robot for Flexible Needle Steering」、およびGlozmanらの米国出願第15/027,439号、「Gripper for Robotic Image Guided Neeedle Insertion」に記載されているものがある。
【0004】
近年、身体装着型自動化装置が導入されている。これらの装置のいくつかは、挿入点を選択し、針を挿入点およびターゲットと整列させるのを助ける案内装置であり、医師は手動で針を挿入する。他のものは、針をターゲットに向かって挿入する操縦装置である。例えば、Guptaらの米国特許出願公開第2006/0229641号、「Guidance and Insertion System」、Kimの米国特許出願公開第2009/0112119号、「Rotating Biopsy Device and Biopsy Robot」、Clearyらの米国特許出願公開第2014/0371584号、「Patient Mounted MRI and CT Compatible Robot for Needle Guidurance in Interventional Procedures」、およびGlozmanらの米国特許出願公開第2016/0249990号「Shaft Manipulation」に開示されている。
【0005】
しかしながら、医療器具を患者の体内のターゲット内に正確にかつ確実に操縦することができ、挿入装置のための薄型作業空間を維持しながら、医療器具のための大きな角度の作業空間を提供する自動挿入装置が依然として必要とされている。
【0006】
本明細書のこのセクションおよび他のセクションで言及される刊行物の各々の開示は、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、診断および/または治療の目的で、医療器具(例えば、針)を対象者の身体に挿入するための、新しい例示的な自動化システムおよび装置を記載する。
【0008】
いくつかの実装形態では、挿入装置、プロセッサ、およびコントローラを含む、挿入システムが開示される。挿入システムは、撮像システムと連動して動作するように構成されてもよい。利用される撮像モダリティは、X線透視法、CT、コーンビームCT、CT透視法、MRI、超音波、または任意の他の適切な撮像モダリティのうちの任意の1つであり得る。
【0009】
プロセッサは、とりわけ、イメージングシステム(例えば、CT、MRI)からの画像を受信し、処理し、ディスプレイ上に表示するように、経路内の障害物を回避しながら、入口点からターゲットまでの医療器具(例えば、針)のための最適経路を計算するように、および計算された最適経路に従ってターゲットに向かって針を操縦するための命令を提供するように、構成され得る。いくつかの実施態様では、針の操縦は、閉ループ方式で制御され、すなわち、プロセッサは、コントローラを介して挿入装置に運動コマンドを生成し、ニードルの実際の位置に関するフィードバックを受信し、次いで、このフィードバックは、リアルタイム経路補正のために使用される。最適経路ならびに経路補正は、二次元平面または三次元空間のいずれかで計算および実行することができる。いくつかの実施態様では、入口点、ターゲット、および骨または血管などの障害物は、取得された画像のうちの1つ以上上で医師によって手動でマーキングされる。
【0010】
自動針挿入およびリアルタイム操縦は、手動針挿入よりも多くの利点を有する。例えば、医師が手動で針を挿入し、例えば、針が体内に挿入されているときの組織の動きのためにターゲットに到達しないときにしばしば必要とされるような、針を引き抜き、再挿入する必要性を排除する。また、自動針操縦は、処置の精度を改善することにより、小さなターゲットに到達することを可能にし、従って、例えば、悪性新生物のより早期の検出を可能にする。さらに、ヒューマンエラーのリスクが著しく低いため、患者にとっての安全性が向上する。さらに、このような処置は、処置中の放射線被曝を最小限に抑えるので、医療従事者にとってより安全である。自動化された装置は、例えば病院の外からのような遠隔の場所から制御され得るので、医師が処置室にいる必要性はもはやない。
【0011】
いくつかの実施態様では、挿入装置は、少なくとも1つの可動プラットフォームと、少なくとも1つの可動プラットフォームに結合された2つのピストン機構と、医療器具が直接または挿入モジュールによって結合されるエンドエフェクタとを含む。各ピストン機構は、シリンダと、少なくとも部分的にシリンダ内に配置されたピストンと、エンドエフェクタを操作するためにピストンをシリンダの内外に推進するように構成された駆動機構とを含むことができる。いくつかの実施態様では、2つのピストンの遠位端は、共通のジョイントに結合されてもよく、シリンダの近位端は、共通のシャフトに結合されてもよく、またはそれぞれ別個のシャフトに結合されてもよい。いくつかの実施態様では、シリンダ、ピストン、ピストンの共通ジョイント、およびシリンダのシャフトはすべて、実質的に単一の平面内に配置され、より大きな角度運動を可能にし、したがって、挿入装置のエンドエフェクタおよび医療器具のためのより大きな作業空間を可能にする。実質的に単一の平面に位置するシリンダ、ピストン、ピストンの共通ジョイント、およびシリンダのシャフトは、特に、シリンダ、ピストン、およびシリンダのシャフトの軸(すなわち、長手方向軸)、ならびに共通ジョイントを介してピストンの軸間を接続する線を指し、すべてが単一の平面に位置することを理解することができる。いくつかの実施態様では、シリンダの共通シャフトの軸(または別個のシャフトの軸)は、共通ジョイントを介してピストンの軸間を接続する線に平行であってもよく、シリンダシャフト(または複数のシャフト)の軸(または複数の軸)、共通ジョイントを介してピストンの軸間を接続する線、およびシリンダおよびピストンの軸は、ほぼ台形を形成してもよい。
【0012】
ピストンおよびシリンダ機構は、本開示全体を通して、モータ駆動リニアアクチュエータアセンブリとして説明および例示され、作動ロッドは「ピストン」と呼ばれ、スラストチューブまたは外側ハウジングは、流体作動装置との類似により「シリンダ」と呼ばれる。しかしながら、電動機(モータ)駆動装置は一般に、最も単純で最も制御可能な実施であると理解されるが、従来の空気圧シリンダまたは油圧シリンダをそれらの関連するピストンと共に使用して装置を実施することも可能であることを理解されたい。したがって、シリンダおよびピストンという用語は、本開示全体にわたって使用され、特許請求される場合、任意の制御可能な直線運動生成装置を含むと理解される。
【0013】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、1つ以上のジンバルを介して挿入装置の少なくとも1つの可動プラットフォームのうちの1つに連結され得る。例えば、エンドエフェクタは、2つのジンバルによって可動プラットフォームに連結されてもよく、第1のジンバルはその上端に位置し、第2のジンバルはその下端に位置する。いくつかの実施態様では、シリンダ、ピストン、ピストンの共通ジョイント、およびシリンダシャフトの全てが単一の平面内に留まる一方で、シリンダの内外へのピストンの推進がジンバルの回転をもたらすように、第1の(上部)ジンバルは、軸方向ジョイントを介してピストンの共通ジョイントに結合されてもよく、第2の(下部)ジンバルは、別の軸方向ジョイントを介して可動プラットフォームの延長アーム部材に結合されてもよい。
【0014】
伸長アームおよびピストン機構の組み合わせは、エンドエフェクタ(つまりエンドエフェクタに連結された針)を、挿入装置の金属構成要素(たとえば、モータおよび歯車)から遠ざける。したがって、画像誘導手順において走査されて、挿入手順中の針の位置を追跡し、決定するためにスキャンされる領域において、針に近接する領域の画像化アーチファクトを最小限にする。
【0015】
いくつかの実施態様では、挿入装置は、いくつかの自由度(DOF)を有することができる。例えば、装置は、前後および左右の直線移動、前後および左右の回転、ならびに、対象者の身体に向かう縦針移動、の5つのDOFを有することができる。いくつかの実施態様では、装置は、Zプラットフォーム、Xプラットフォーム、およびトップアセンブリを備えることができる。トップアセンブリは、2つのピストン機構を含む。ZプラットフォームおよびXプラットフォームはそれぞれ、Zプラットフォームの上部に、XプラットフォームをZ軸に沿って推進させるボールねじ機構などの駆動機構の一部を含むことができる。Xプラットフォームおよびトップアセンブリは、それぞれ、Xプラットフォームの上部に、Z軸に垂直であり得るX軸に沿ってトップアセンブリを推進する、ボールねじ機構でもあり得る、別の駆動機構の一部を含んでもよい。したがって、Zプラットフォーム、Xプラットフォーム、およびトップアセンブリの組み合わせは、トップアセンブリ、したがってそれに結合されたエンドエフェクタの完全な平面移動を可能にする。いくつかの実装形態では、トップアセンブリの各ピストン機構は、シリンダと、例えばボールねじ機構を介してシリンダの内外に移動可能なピストンとを含むことができる。ピストンの動きを制御することは、装置に2つの回転DOFを提供する。いくつかの実施形態では、長手方向の針の移動は、挿入機構によって可能にされる。この挿入機構は、エンドエフェクタに連結され得るか、または、エンドエフェクタと、エンドエフェクタに連結可能であって針を含む挿入モジュールとの間で分割され得る。
【0016】
一般的には、針軌道は直線状であることが好ましいが、ターゲット(例えば、腫瘍、病変)の位置、障害物(例えば、骨、血管)の存在などに起因して、直線状の軌道が必ずしも計画可能であるとは限らず、したがって、計画された軌道は、ある程度の湾曲を有し得る。また、計画軌道が直線的であっても、例えば、挿入処置中のターゲットおよび/または障害物の移動により、計画直線軌道に必ずしも追従できない場合がある。このような場合、針軌道は、例えば、上述の米国特許第8,348,861号に記載されるように、挿入手順の間に調節され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタの遠隔運動中心(Remote Center of Motion)(RCM)は、仮想的であり得、対象者の身体上の針入口点に位置し得、すなわち、仮想RCMは、設計によって固定されず、選択された入口点に従って変化する。針入口点が選択されると、ユーザは、選択された入口点を仮想RCMとして設定することができる。次いで、システムのソフトウェアは、例えば、上述の米国特許第8,348,861号に記載されているように、逆運動学アルゴリズムを使用して、入口点を仮想RCMとして維持するために、エンドエフェクタが回転されている間に、Xプラットフォームおよび/またはトップアセンブリから必要とされる直線運動を決定することができる。針の入口点に配置される仮想RCMは、直線軌道が追従できない場合、および/または針が患者の体内に挿入されているときに計画された軌道(直線軌道またはその他)が調整を必要とする場合、皮膚/組織の裂傷を防止する。
【0018】
いくつかの実施態様では、針の全体の角度のある作業空間は、その頂点が仮想RCM、すなわち選択された針入口点である円錐形状を形成することができる。
【0019】
したがって、本開示に記載される装置の例示的な実装に従って、医療器具を対象者の身体に挿入するために、以下を備えた自動化装置が提供される。
【0020】
(i)少なくとも1つの可動プラットフォーム;
(ii)シリンダ、ピストン、および駆動機構を含む、第1および第2のピストン機構。前記ピストンの少なくとも一部は、シリンダ内に配置されている。前記駆動機構は、ピストンをシリンダの内外に制御可能に推進するように構成されている;
(iii)対象者の身体の方向に医療器具を推進するように構成された挿入機構。ここで、第1および第2のピストン機構のピストンの遠位端は、共通ジョイントに連結されている。
【0021】
このような自動化装置では、シリンダおよびピストンの軸線、およびピストンと共通ジョイントとの結合点を結ぶ線はすべて、実質的に単一の平面内に位置することができる。軸は、シリンダおよびピストンの長手方向軸とすることができる。
【0022】
さらに、このような自動化装置では、第1および第2のピストン機構のピストンの遠位端は、ピストン端ジョイントを介して共通ジョイントに結合され得、各ピストン端ジョイントは、少なくとも1つの回転自由度を有する。上記2つの装置のいずれにおいても、第1および第2のピストン機構のシリンダの近位端は、同じく単一平面内に位置する単一シャフトに連結することができる。その場合、シリンダの近位端は、シリンダ端ジョイントを介して単一のシャフトに連結されてもよく、各シリンダ端ジョイントは、少なくとも1つの回転自由度を有する。
【0023】
さらに、上述のいずれかの代替的な実装では、少なくとも1つの可動プラットフォームは、以下を備えることができる。
【0024】
(i)第1の直線方向に移動するように適合された第1のプラットフォーム;
(ii)第1のプラットフォームに結合され、第1の直線方向に対して実質的に垂直な第2の直線方向に移動するように適合された、第2のプラットフォーム。ここで、第1および第2のピストン機構は、第2のプラットフォームに連結される。
【0025】
さらに、これらの装置のいずれにおいても、駆動機構は、ねじ付きシャフトと、ねじ付きシャフトに動作可能に結合され、ピストンに堅固に接続された雌ねじ付きナット(internally threaded nut)とを備え、ねじ付きシャフトの回転がピストンの直線運動をもたらすようにしてもよい。
【0026】
上述の装置のさらに他の例示的な実装は、共通ジョイントに連結されたエンドエフェクタをさらに含んでもよい。エンドエフェクタは、第1のジンバルを介して共通ジョイントに結合されてもよく、第1のジンバルは、回転ジョイントを介して共通ジョイントに結合されてもよい。
【0027】
上述の装置のいずれにおいても、第2のプラットフォームは、延長アームと、延長アームに結合された第2のジンバルとをさらに備えることができる。次いで、挿入機構の少なくとも第1の部分をエンドエフェクタに連結することができる。後者の場合、装置は、挿入モジュールをさらに含んでもよく、挿入モジュールは、医療器具と、挿入機構の少なくとも第2の部分とを備え、挿入機構の第1の部分は、挿入機構の第1の部分に動作可能に結合するように構成される。
【0028】
上述の装置のいずれにおいても、自動化装置は、対象者の身体上の選択された入口点に位置する仮想RCMを備えることができる。そして、医療器具の角度作業空間(angular workspace)は、円錐形状を形成し、円錐の頂点は、仮想RCMに位置する。
【0029】
さらなる実装は、少なくとも1つの位置合わせ要素をさらに備える、前述したような装置を含む。前述の装置は、対象者の身体に固定するように適合されたベース(基板)をさらに含んでもよい。後者の場合、ベースはプリント回路基板を含むことができ、自動化装置は、プリント回路基板を少なくとも1つの可動プラットフォームの少なくとも1つの追加のプリント回路基板に接続するように構成された少なくとも1つの電気配線をさらに含むことができる。少なくとも1つの電気配線のうちの1つ以上は、フラットフレックスケーブルを備えることができる。
【0030】
さらに他の実施形態は、少なくとも1つの可動プラットフォーム、第1のピストン機構、および第2のピストン機構のうちの1つ以上に結合されるように構成された1つ以上のセンサをさらに含む、上述の実施形態のうちのいずれかによる自動化装置を含むことができる。そのような場合、1つ以上のセンサのうちの少なくとも第1のセンサは、医療器具と身体組織との間の相互作用に関連するパラメータを測定するように構成されてもよい。第1のセンサは、力センサであってもよい。
【0031】
センサを備える上述の自動化装置のいずれにおいても、1つ以上のセンサのうちの少なくとも第2のセンサは、少なくとも1つの可動プラットフォーム、第1のピストン、および第2のピストンのうちの1つ以上の動きを監視するように構成されてもよい。
【0032】
本開示のさらなる実施態様によれば、医療器具を対象者の体内に挿入するための自動化装置がさらに提供される。この自動化装置は、以下を含む。
【0033】
(i)装置ベース;
(ii)装置ベースに連結され、第1の駆動機構の第1の部分を備える第1のプラットフォーム;
(iii)第1のプラットフォームに結合された第2のプラットフォーム。第2のプラットフォームは、第1の駆動機構の第2の部分と、第2の駆動機構の第1の部分とを含む。第1の駆動機構の第2の部分は、第2のプラットフォームを第1の直線方向に推進するように構成される;
(iv)第2のプラットフォームに結合された第3のプラットフォーム。第3のプラットフォームは、第2の駆動機構の第2の部分と、第1および第2のピストンとを含む。第2の駆動機構は、第1の直線方向に対して実質的に垂直な第2の直線方向に第3のプラットフォームを推進するように構成される。第1および第2のピストンは、それらの遠位端で共通ジョイントに連結される;
(v)共通ジョイントに結合され、医療器具を共通ジョイントに結合するように構成されたエンドエフェクタ。
【0034】
このような自動化装置では、第1および第2のピストンの軸線と、共通ジョイントを介してピストン軸線を接続する線とを、実質的に単一平面内に配置することができる。
【0035】
このような自動化装置は、医療器具を備え、エンドエフェクタに連結されるように構成される挿入モジュールをさらに備え得る。さらに、そのような自動化装置では、エンドエフェクタは、第3の駆動機構の第1の部分を備えることができ、挿入モジュールは、第3の駆動機構の第1の部分に動作可能に連結可能な第3の駆動機構の第2の部分を備えることができ、第3の駆動機構は、対象者の身体の方向に医療器具に動きを与えるように構成されることができる。
【0036】
代替のさらなる実装形態では、自動化装置は、以下をさらに含むことができる。
【0037】
(vi)第1および第2のシリンダ。第1のピストンの少なくとも一部が第1のシリンダ内に配置され、第2のピストンの少なくとも一部が第2のシリンダ内に配置されている;
(vii)第1のピストンを第1のシリンダの内外に制御可能に推進するように構成された第4の駆動機構;
(viii)第2のピストンを第2のシリンダの内外に制御可能に推進するように構成された第5の駆動機構。
【0038】
このような構成では、第1および第2のシリンダの近位端は、単一のシャフトに連結されてもよく、第1および第2のシリンダおよび単一のシャフトの軸は、単一の平面内に位置してもよい。さらに、これらの自動化装置のいずれにおいても、エンドエフェクタは、第1のジンバルを介して共通ジョイントに結合されてもよく、その場合、エンドエフェクタは、第2のジンバルを介して第2のプラットフォームにさらに結合されてもよい。
【0039】
上述の装置のいずれにおいても、自動化装置は、対象者の身体上の選択された入口点に位置する仮想RCMを含むことができる。
【0040】
前述の装置は、対象者の身体に固定するように適合されたベースをさらに含んでもよい。後者の場合、ベースは、プリント回路基板を含むことができ、自動化装置は、プリント回路基板を、第1、第2、および第3のプラットフォームのうちの1つ以上に結合された少なくとも1つの追加のプリント回路基板に接続するように構成された少なくとも1つの電気配線をさらに含むことができる。少なくとも1つの電気配線のうちの1つ以上は、フラットフレックスケーブルを備えることができる。
【0041】
さらに他の実施形態は、第1のプラットフォーム、第2のプラットフォーム、第3のプラットフォーム、第1のピストン、第2のピストン、およびエンドエフェクタのうちの1つ以上に結合されるように構成された1つ以上のセンサをさらに含む、上述の実施形態のいずれかによる自動化装置を含むことができる。そのような場合、1つ以上のセンサのうちの少なくとも第1のセンサは、医療器具と身体組織との間の相互作用に関連するパラメータを測定するように構成されてもよい。その場合、1つ以上のセンサのうちの少なくとも第1のセンサは、医療器具と身体組織との間の相互作用に関連するパラメータを測定するように構成されてもよい。第1のセンサは、力センサであってもよい。
【0042】
センサを備える上述の自動化装置のいずれにおいても、1つ以上のセンサのうちの少なくとも第2のセンサは、第1のプラットフォーム、第2のプラットフォーム、第3のプラットフォーム、第1のピストン、および第2のピストンのうちの1つ以上の動きを監視するように構成され得る。
【0043】
上述のシステムおよび装置の実装は、他のシステムおよび装置実装に関連して上述した特徴のいずれかを含む、本開示で説明した特徴のいずれかをさらに含むことができる。
【0044】
本開示で使用される近位および遠位という用語は、臨床技術分野において通常の意味を有し、すなわち、近位とは、装置または物体を挿入または使用する人あるいは機械に最も近く、かつ、患者から離れた、装置または物体の端部を指し、遠位とは、患者に最も近く、かつ、装置または物体を挿入または使用する人あるいは機械から離れた、装置または物体の端部を指す。
【0045】
また、本開示全体を通して使用されるいくつかの例は、対象者の体内に針を挿入するためのシステムおよび方法に関するが、これは以下のために行われることも理解されたい。
【0046】
単純化の理由のみ、および本開示の範囲は、対象者の体内への針の挿入に限定されることを意味せず、診断および/または治療の目的で、ポート、イントロデューサ、カテーテル(例えば、切除カテーテル)、カニューレ、外科用ツール、流体送達ツール、または任意の他のこのような挿入可能なツールを含む任意の医療器具の、対象者の体内への挿入を含むと理解される。
【0047】
さらに、用語「ユーザ(user)」、「医師(doctor)」、「医師(physician)」、「臨床医(clinician)」、「技術者(technician)」、「医療従事者(medical personnel)」、および「医療スタッフ(medical staff)」は、本開示全体を通して互換的に使用され、実施される医療処置に参加する任意の人を指し得る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本開示の方法およびシステムのいくつかの例示的な実装が、添付の図面を参照して説明される。図面において、同様の参照番号は、同一または実質的に同様の要素を示す。
【0049】
図1は、医療器具を対象者の体内に挿入するための例示的なシステムの概略図を示す。
【0050】
図2は、例示的な自動挿入装置の斜視図を示す。
【0051】
図3は、例示的な自動挿入装置の分解図を示す。
【0052】
図4は、例示的な挿入装置ベースの斜視図を示す。
【0053】
図5は、自動挿入装置の例示的なロボットプラットフォームの斜視図を示す。
【0054】
図6A~6Bは、自動挿入装置の別の例示的なロボットプラットフォームの斜視図を示す。
【0055】
図7A~7Bは、自動挿入装置の例示的なトップアセンブリの斜視図を示し、図7Cは、図7A~7Bのトップアセンブリのピストンが連結される共通ジョイントの上面図である。図7Dは、図7A~7Bのトップアセンブリのピストン機構の縦断面図を示す。
【0056】
図8は、例示的な挿入アセンブリの分解図を示す。
【0057】
図9は、異なるプラットフォーム間のインターフェースを示す、例示的な自動化挿入装置の横断面図を示す。
【0058】
図10A~10Eは、挿入アセンブリの例示的な回転範囲を示す。
【0059】
図11は、例示的な挿入アセンブリの全体的な角度作業空間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1は、医療器具(例えば、針)110を対象者の身体15に挿入するためのシステム10の概略図を示す。このシステムは、対象者の身体15内への針の挿入中に針を操縦するように構成された自動挿入装置100を含む。針110は、挿入装置100が新しい針と共に繰り返し使用できるように、挿入装置100に取り外し可能に連結可能である。
【0061】
いくつかの実施態様では、システム10は、挿入手順が画像誘導されるように、撮像システムと連動して動作するように構成されてもよい。利用される撮像モダリティは、X線透視法、CT、コーンビームCT、CT透視法、MRI、超音波、または任意の他の適切な撮像モダリティのうちの任意の1つであり得る。
【0062】
挿入装置100は、図1に示されるように、対象者の身体15に直接取り付けられるように構成されてもよく、または、例えば、上述の米国特許出願第15/027,438号、および「Gripper for Robotic Image Guided Needle Insertion」という名称のGlozmanらの米国特許出願第15/027,439号に記載されるように、患者のベッド、患者のベッドに隣接して位置付けられるカート、または撮像装置に固定される専用アームまたはベースに結合されるように構成されてもよく、その両方は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
システム10はさらに、画像処理、最適な針挿入経路の計算などのための少なくとも1つのプロセッサ(図示せず)を含むコンピュータ130と、得られた画像、計算された挿入経路などを表示することができるディスプレイ131とを含む。コンピュータ130は、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、または任意の他のプロセッサベースの装置であり得る。コンピュータ130はまた、ボタン、スイッチ、キー、キーボード、コンピュータマウス、ジョイスティック、タッチセンシティブスクリーンなどの形態であり得るユーザインターフェース132を含み得る。ディスプレイ131およびユーザインターフェース132は、2つの別個の構成要素であってもよく、または、タッチセンシティブスクリーン(「タッチスクリーン」)などの単一の構成要素を一緒に形成してもよい。
【0064】
コンピュータ130は、とりわけ、撮像システム(例えば、DICOMフォーマット)から得られた画像をディスプレイ131上で受信、処理、および視覚化し、医療器具の最適経路を計算し、閉ループ方式で実行され得る針操縦を制御するように構成され得、すなわち、プロセッサは、コントローラ120を介して挿入装置100に運動コマンドを生成し、次いで、ツールの実際の位置に関するフィードバックを受信し、次いで、リアルタイム経路補正のために使用され得る。いくつかの実装形態では、最適経路は、ユーザが取得画像のうちの少なくとも1つにおいてマークする、入口点、目標、および途中で避けるための領域(「障害物」とも呼ばれる)などの、ユーザからの入力に基づいて計算することができる。他の実装形態では、プロセッサは、ターゲット、障害物、および最適なエントリポイントを識別し、マークするようにさらに構成され得る。最適経路は、二次元平面または三次元空間で計算することができる。いくつかの実施態様では、針経路は、二次元平面で計算されてもよい。しかし、例えば、組織の動きのために、計画された経路をたどることができず、また、針経路が、元の経路が計算された同じ平面にとどまるように、針経路を調整して、リアルタイムの経路補正が三次元空間で実行されるようにすることもできない。
【0065】
システム10はさらに、制御装置120(例えば、ロボット制御装置)を含み、制御装置120は、挿入装置100の動き、および対象者の身体15内のターゲット(例えば、病変または腫瘍)に向かう医療器具110の操縦を制御する。計画された軌道に応じて、針の操縦は、二次元平面または三次元空間で実行されてもよい。いくつかの実装形態では、コントローラ120は、システム10内に実装された力センサおよび/または加速度センサなどのセンサ(図示せず)の動作を制御するようにさらに構成され得る。医療器具と身体組織との間の相互作用に関連するパラメータを感知するための、例えば力センサなどのセンサの使用、および医療器具の挿入を誘導するための、および/または撮像を開始するためのセンサデータの利用は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Shochatらの共有の国際特許出願PCT/IL2016/051013号「Systems and Methods for Guiding Insertion of a Medical Tool」に記載されている。
【0066】
コントローラ120は、図1に示されるように、別個の構成要素であってもよい。あるいは、コントローラ120の少なくとも一部は、挿入装置100内および/またはコンピュータ130内に埋め込まれてもよい。
【0067】
図2は、5自由度(DOF)を有する例示的な自動挿入装置20の斜視図を示す。5つの自由度は、Zプラットフォーム230によって提供されるZ軸(前後)に沿った直線並進、Xプラットフォーム240によって提供されるX軸(左右)に沿った直線並進、X軸(前後)R1を中心とした回転、Z軸(左右)R2を中心とした回転、Y軸に沿った長手方向の針並進(挿入機構によって提供される挿入)、を含む。X軸(前後)R1を中心とした回転と、Z軸(左右)R2を中心とした回転とは、両方、トップアセンブリ250によって提供される。挿入機構は、以下に詳細に説明されるように、エンドエフェクタ(EEFF)260、EEFFに結合された挿入モジュール(IM)270の一部であってもよく、またはEEFFとIMとの間で分割されてもよい。
【0068】
挿入装置20は、ベース220をさらに含んでもよい。いくつかの実施態様では、挿入装置20は、対象者の身体に直接取り付けることができ、したがって、ベース220は、ストラップ(図2には示さず)と、ストラップをベースに接続するためのハンドル(またはアンカー)222と、ベース220の底面上の接着層(図示せず)と、またはベースを対象者の身体に取り付けるための任意の他の適切な手段とを備えることができる。他の実施例では、挿入装置20は、専用の取り付けパッド225を介して対象者の身体に取り付けられてもよい。装着パッド225は、装置ベース220の底部に、または挿入装置20を少なくとも部分的に覆うために使用される滅菌ドレープ(図2には示さず)の底部に取り付けられてもよく、または少なくとも部分的に、対象者の身体上に最初に位置付けられてもよく、次いで挿入装置20(より具体的には挿入装置のベース220)が装着パッドに結合される。装着パッドは、例えば、挿入装置を患者の身体に取り付けることによって生じる、患者に対する不快感を最小限に抑えるように、クッションとして構成されてもよい。いくつかの実施形態では、挿入手順が画像誘導される場合、取り付けパッド225は、1つ以上の基準マーカー(図示せず)を含んでもよく、これらの基準マーカーは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Rothらの共有の国際特許出願PCT/IL2016/051396号「Adjustable Registration Frame」に記載されるように、装置20が走査体積の外側にある場合、手順中の任意の時点で挿入装置の位置を決定するための調整可能な位置合わせフレームを一緒に形成する。さらなる実施態様では、挿入装置20は、専用の取り付けベース(またはクレードル)(図示せず)に装置を結合することによって、対象者の身体に取り付けることができる。例示的なアタッチメント装置は、Arnoldらの「Devices and Methods for Attaching a Medical Device to a Subject」という名称の共有の米国国際特許出願PCT/IL2017/050430に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
挿入装置20は、少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)282および電気ケーブル/配線283をさらに含んで、コントローラと、モータおよび挿入装置の他の電子構成要素との間の電気接続を提供してもよい。いくつかの実装形態では、電気ケーブルのうちの少なくとも1つは、FFC(フレキシブルフラットケーブル)、例えば、FFC284として構成され得る。このようなケーブルは、占めるスペースがより少なく、より大きな柔軟性およびより容易なケーブル管理を提供する。さらに、いくつかの実装形態では、単一のFFCを使用して、挿入装置の遠隔電子構成要素間の電気接続を提供することができる。このような場合、FFC284は、例えば、装置20の異なるプラットフォーム間で複数回折り畳まれ、曲げられて、ベース220をトップアセンブリ250に電気的に接続することができる。したがって、多数の丸いケーブルの代わりに単一のFFC284を使用してもよく、ワイヤ結合の問題を排除し、占めるスペースを少なくし、それぞれが異なる方向に移動するいくつかのベース/プラットフォームを有する複雑な挿入装置において必要とされる柔軟性を提供する。
【0070】
挿入装置20は、画像誘導手順において画像空間に装置を位置合わせするために、装置上の特定の位置に配置された基準マーカー(または位置合わせ要素)285をさらに含むことができる。
【0071】
いくつかの実施態様では、挿入装置20は、装置20の機械的および電子的構成要素を少なくとも部分的に覆い、損傷または障害から保護するハウジング(またはカバー)290を含むことができる。
【0072】
図3は、図2の例示的な挿入装置20(図3において符号30で示される)の分解図であり、装置ベース320、Zプラットフォーム330、Xプラットフォーム340、トップアセンブリ350、エンドエフェクタ360、および挿入モジュール370を示す。いくつかの実装形態では、装置ベース320は、例えば、1つ以上のストラップ325が使用者によって結合される1つ以上のストラップアンカー322、またはベース320と一緒に提供され得るストラップ325自体のような、挿入装置30を対象者の身体に取り付けるための機構の少なくとも一部を含むことができる。いくつかの実施態様では、装置のカバー(図3には示さず)はまた、ストラップアンカーなどの取り付け機構の少なくとも一部を含んでもよい。Zプラットフォーム330は、(例えば、ねじを用いて)装置ベース320に連結されてもよく、Xプラットフォーム340がZプラットフォーム330の上部でZ軸に沿って直線的に移動することを可能にする機構の少なくとも一部を含んでもよい。Xプラットフォーム340は、Z軸に沿って直線的に移動することを可能にする機構の相補的な部分と、トップアセンブリ350がXプラットフォーム340の上部でX軸に沿って直線的に移動することを可能にする機構の少なくとも一部とを含むことができる。トップアセンブリ350は、X軸に沿って直線的に移動することを可能にする機構の相補的部分を含むことができ、エンドエフェクタ360が回転することを可能にする機構をさらに含むことができる。いくつかの実装形態では、エンドエフェクタ360は、1つ以上のジンバル352および354を介してトップアセンブリに連結され得る。エンドエフェクタ360は、挿入モジュール370を受けるためのハウジング(又はフレーム)362を含むことができ、以下で詳細に説明するように、挿入機構の少なくとも一部をさらに含むことができる。挿入モジュール370は、エンドエフェクタ360が挿入機構の一部を含む場合、挿入機構全体、または挿入機構の相補的部分を含むことができ、さらに、対象者の身体に挿入される医療器具310を含むことができる。このような医療器具は、針(例えば、生検針)、導入器、カテーテルなどであり得る。いくつかの実施態様では、医療器具310は、挿入モジュール370と一体であってもよい。他の実装形態では、医療器具310は、挿入処置を開始する前に医療スタッフのメンバーによって挿入モジュール370に結合されるように、挿入モジュール370から分離されてもよい。
【0073】
図4は、例示的な装置ベース40の斜視図を示す。ベースは、直接、または専用の取り付けパッドまたは取り付けベース(両方とも図4に示されていない)を介して、対象者の身体に取り付けるためのベースプレート410を含み得る。ベースプレート410は、Zプラットフォーム(図4には示さず)を受け入れてそれに結合するための、くぼみ412の形態などの専用領域を含むことができる。装置ベース40はさらに、ストラップ/ベルト425が結合されてベース40(したがって挿入装置)を対象者の身体に固定することができる複数のアンカー420を含むことができる。あるいは、ストラップ/ベルト425は、挿入装置が次に結合される取り付けパッドまたは取り付けベースに結合されてもよい。装置ベース40は、さらに、CPUなどの装置の電子コンポーネントと、ベースPCB430とコントローラ(図4には示されていない)にベースPCB430を接続するケーブル442などの外部コンポーネントとの間の電気接続を提供する電気配線と、ベースPCB430とXプラットフォームPCB(図4には示されていない)との間の電気接続を提供するFFC444などの挿入装置のベースPCB430と他の電子コンポーネントとの間に接続する少なくとも1つのプリント回路ボード430を含むことができる。
【0074】
装置ベース40はさらに、画像誘導手順において挿入装置を画像空間に位置合わせするプロセスにおいて利用される、基準マーカー450などの1つ以上の位置合わせ要素を含むことができる。
【0075】
図5は、挿入装置の例示的なZプラットフォーム50の斜視図を示す。Zプラットフォーム50は、複数のねじ(図示せず)および対応するソケット502を使用することなどによって、装置ベース(図5に図示せず)に連結されてもよく、Zプラットフォーム50の上部およびZ軸に沿ったXプラットフォーム(図5に図示せず)の移動を可能にする駆動機構の少なくとも一部を含んでもよい。いくつかの実施態様では、駆動機構は、ボールねじ(または、親ねじ)機構を含むことができる。ボールねじ機構は、XプラットフォームをZ軸に沿って推進させる機構の一例に過ぎず、他の適切な推進機構を代わりにまたは追加して実施できることを理解されたい。
【0076】
いくつかの実施態様では、Zプラットフォーム50は、ピニオン516およびギア518を介してモータ514(例えば、ブラシレス電気モータ)によって回転されるねじ付きシャフト512を含むことができ、Xプラットフォームは、その底面に結合された、雌ねじ付きナット(図5には示さず)を含むことができ、ねじ付きシャフト512の回転は、ナットの線形運動に変換され、したがって、Z軸に沿ったXプラットフォームの線形運動に変換される。いくつかの実装形態では、ねじ付きシャフトおよびナットは、一体型ユニットとして予め組み立てられて提供されてもよく、Xプラットフォームは、予め組み立てられたシャフトおよびナット(すなわち、ボールねじ機構)がZプラットフォームに固定された後にのみ、ねじ付きナットに固定されてもよい。しかしながら、本開示において、シャフト512は、Zプラットフォーム50の一部として参照され、ナットは、Xプラットフォームの一部として参照されることに留意すべきである。なぜなら、シャフトは、Zプラットフォーム上で静止したままであり(回転するが)、ナットは、Xプラットフォームと一体として移動するからである。
【0077】
モータ514は、ドイツ、SchonaichのFaulhaberによって製造された回転磁気エンコーダモデルIEM3-1024などの回転エンコーダを備えることができる。エンコーダは、モータとは別個に設けてもよいし、モータとそのエンコーダの両方が参照番号514で示されるように、モータの一体部分として設けてもよい。
【0078】
Zプラットフォーム50は、例えば、Xプラットフォームの底面に取り付けられ、レール520に沿って自由に移動できるようにレール520と結合するように構成されたキャリッジ(図5には示さず)を介して、XプラットフォームのZ軸に沿った移動を案内する1つ以上のレール520をさらに含むことができる。リニアエンコーダ、例えば、スイス、コロンビアのPosic Ltd.によって製造されたリニア磁気エンコーダモデルID1101Lは、Z軸に沿ったXプラットフォームの動きを監視するために使用され得る。エンコーダスケール525は、レール520の少なくとも1つに隣接して配置することができ、エンコーダリーダ(図5には示さず)は、Xプラットフォームの底部に連結することができる。Xプラットフォームの移動を制限し、Xプラットフォームの移動がレールの端部に到達するのを防止するために、リミットスイッチもまた利用され得る。Xプラットフォームの移動がレールの端部に到達すると、Xプラットフォームおよび/またはレールの適切な機能を妨害するか、またはXプラットフォームおよび/またはレールの損傷さえ引き起こし得るからである。リミットスイッチは、レール520のうちの少なくとも1つの各端部の近くに互いに対向して配置された光(例えば、赤外線)源および光検出器を有する光結合器などのセンサ540と、Xプラットフォームの底面に結合された少なくとも1つのセンサフラグ(図5には示さず)とを含むことができ、それにより、フラグが光源と光検出器との間を通過し、放射光が光検出器に到達するのを阻止するとき、警告を促すことができ、および/またはXプラットフォームの移動を自動的に停止することができる。開示される装置において実施されるリミットスイッチは、光センサに限定されず、近接センサ(磁場、キャパシタンスなど)に基づくリミットスイッチなどの他のタイプのリミットスイッチもまた使用され得ることが理解され得る。
【0079】
図6Aは、挿入装置の例示的なXプラットフォーム60の底面斜視図を示す。Xプラットフォーム60は、その底面に結合され、Zプラットフォームのねじ付きシャフトと嵌合する雌ねじ付きナット602を含むことができる。Zプラットフォームのモータおよびギアによるねじ付きシャフトの回転は、Z軸に沿ったナット602の、したがってXプラットフォーム60の直線運動に変換される。また、Xプラットフォーム60のZ軸に沿った直線運動を案内し、方向付けるように、Zプラットフォームのレールと噛み合い、それに沿って摺動するキャリッジ604も示されている。Xプラットフォーム60は、その底面に結合され、Zプラットフォームのエンコーダスケール(図6Aには示されていない)と連動して動作してZ軸に沿ったXプラットフォーム60の移動を監視するリニアエンコーダリーダ606と、Xプラットフォームの移動を制限し、Zプラットフォームのレールの端部に到達するのを防止するためにZプラットフォームのリミットスイッチセンサ(図6Aには示されていない)と連動して動作するリミットスイッチフラグ608とをさらに含んでもよい。
【0080】
図6Bは、Xプラットフォーム60の上面斜視図を示す。Xプラットフォーム60は、Xプラットフォーム60の頂部上およびX軸に沿った頂部アセンブリ(図6Bには示さず)の移動を可能にする駆動機構の少なくとも一部を含むことができる。いくつかの実施態様では、駆動機構は、ボールねじ(または、親ねじ)機構を含むことができる。ボールねじ機構は、X軸に沿ってトップアセンブリを推進する機構の一例に過ぎず、他の適切な推進機構が、代替的または追加的に、実施され得ることが理解され得る。
【0081】
いくつかの実施態様では、Xプラットフォーム60は、ピニオン616および1つ以上の歯車618および619を介してモータ614(例えば、ブラシレス電気モータ)によって回転されるねじ付きシャフト612を含むことができ、トップアセンブリは、その底面に連結された、雌ねじ付きナット(図6Bには示さず)を含むことができ、ねじ付きシャフト612の回転は、ナット(つまりトップアセンブリ)のX軸に沿った直線運動に変換される。いくつかの実装形態では、ねじ付きシャフトおよび雌ねじ付きナットは、一体型ユニットとして予め組み立てられて提供されてもよく、トップアセンブリは、予め組み立てられたシャフトおよびナット(すなわち、ボールねじ機構)がXプラットフォームに固定された後に、ねじ付きナットに固定されてもよい。しかし、本開示では、シャフト612がXプラットフォームと一体として移動し、ナットが一体としてトップアセンブリと一緒に移動するので、シャフト612はXプラットフォーム60の一部と称され、ナットはトップアセンブリの一部と称されることに留意されたい。
【0082】
モータ614は、ドイツ、SchonaichのFaulhaberによって製造された回転磁気エンコーダモデルIEM3-1024などの回転エンコーダを備えることができる。エンコーダは、モータから分離されてもよく、モータとそのエンコーダの両方が符号614で示されるように、モータと一体的に設けられてもよい。
【0083】
Xプラットフォーム60は、例えば、トップアセンブリの底面に取り付けられ、レール622に沿って自由に移動できるようにレール622と結合するように構成されたキャリッジ(図6Bには示さず)を介して、トップアセンブリのX軸に沿った移動を案内する1つ以上のレール622をさらに含むことができる。
【0084】
ZプラットフォームとXプラットフォームの組み合わせは、トップアセンブリの完全な平面移動を可能にする。
【0085】
スイス、コロンビアのPosic Ltd.によって製造されたリニア磁気エンコーダモデルID1101Lなどのリニアエンコーダを使用して、X軸に沿ったトップアセンブリの動きを監視することができる。エンコーダスケール625は、レール622のうちの少なくとも1つに隣接して配置されてもよく、エンコーダリーダ(図6Bに示されていない)は、トップアセンブリの底部に結合されてもよい。トップアセンブリの移動を制限し、それがレール622の端部に到達することを防止するために、リミットスイッチもまた利用され得る。トップアセンブリがレール622の端部に到達すると、挿入装置の適切な機能を破壊し得るか、またはトップアセンブリおよび/またはレール622に損傷を与え得るからである。リミットスイッチは、レール622のうちの少なくとも1つの各端部の近くに配置された、互いに対向して配置された光源および光検出器を有する光カプラなどのセンサ644と、トップアセンブリの底面に結合された少なくとも1つのセンサフラグ(図6Bには示さず)とを含むことができる。開示される装置において実施されるリミットスイッチは、光センサに限定されず、近接センサ(磁場、キャパシタンスなど)に基づくリミットスイッチなどの他のタイプのリミットスイッチが、代替的に使用され得ることが理解され得る。
【0086】
Xプラットフォーム60は、複数のXプラットフォームの電子部品を収容する少なくとも1つのPCB630と、電気配線とをさらに含むことができる。いくつかの実装形態では、装置ベースのPCBとトップアセンブリのPCBとの間の電気接続を提供するFFC650は、Xプラットフォーム60に機械的に結合され得る。
【0087】
図7Aは、挿入装置の例示的なトップアセンブリ70の底面斜視図を示す。トップアセンブリ70は、Xプラットフォームのねじ付きシャフトと嵌合する雌ねじ付きナット702が底面に結合されるベース700を含むことができる。Xプラットフォームのモータおよび歯車によるねじ付きシャフトの回転は、ナット702(つまり上部ベース700およびトップアセンブリ70全体)のX軸に沿った直線運動に変換される。また、X軸に沿ったトップアセンブリ70の直線運動を案内し、方向付けるように、Xプラットフォームのレールと噛み合い、それに沿って摺動するキャリッジ704も示されている。トップアセンブリ70は、その底面に結合され、Xプラットフォームのエンコーダスケール(図7Aには示さず)と連動して動作してX軸に沿ったトップアセンブリ70の移動を監視するリミットスイッチフラグ706と、Xプラットフォームのリミットスイッチセンサ(図7Aには示さず)と連動して動作してトップアセンブリ70の移動を制限してXプラットフォームのレールの端部に到達するのを防止するリミットスイッチフラグ708とをさらに含むことができる。
図7Bは、トップアセンブリ70の上面斜視図を示す。トップアセンブリ70は、ベース部分700と、ベース部分700から延びるアーム部材710とを含むことができる。延長アーム710は、その遠位端に結合された下部ジンバル715を含むことができ、この下部ジンバル715に、装置のエンドエフェクタ(図7Bには示さず)が結合される。下部ジンバル715は、軸方向ジョイント712を介してアーム部材710に結合されて、アーム710がその角度位置を維持しながらジンバル715(つまりエンドエフェクタ)の回転を可能にすることができる。いくつかの実装形態では、トップアセンブリアーム710は、画像誘導手順において、挿入装置を画像空間に位置合わせするプロセスにおいて利用される、少なくとも1つの位置合わせ要素717を、トップアセンブリアーム710に結合されて含むことができる。位置合わせ要素717は、例えば、炭素製の管(またはロッド)を含むことができる。いくつかの実装形態では、トップアセンブリ70は、例えば、対象者の体内への医療器具の挿入中に医療器具に及ぼされる力を測定するために、アーム部材710に取り付けられた力センサ(図示せず)をさらに含み得る。力センサのリアルタイム測定は、上述の国際特許出願PCT/IL2016/051013号に全て記載されている以下の機能の1つ以上を提供する。(i)ゲーティング(gating)機能:すなわち、関心領域の撮像を開始するための最適な時間/段階を規定するために使用されてもよい。(ii)モニタリングおよびガイダンス機能:すなわち、挿入手順の進行をモニタリングし、針がその予め計画された軌道をたどっていることを検証するのを補助するために使用されてもよい。(iii)安全機能:すなわち、臨床医に警告するために使用されてもよく、好ましくは、骨や血管などの障害物に針が衝突/進入したことを検出すると、挿入手順の自動停止を促進するために使用されてもよい。
【0088】
トップアセンブリ70は、トップアセンブリのベース部分700およびアーム部材710の上方に配置されたピストン機構720をさらに含むことができる。アーム部材710およびピストン機構720は、針(図7Bには示さず)を装置の金属部品(例えば、モータおよび歯車)から離す。これにより、挿入手順の間に針の位置を追従し、決定するために走査される針近接領域における、画像化アーチファクトの発生を最小限にすることができる。
【0089】
いくつかの実施態様では、各ピストン機構720は、シリンダ722と、例えばボールねじ機構を介してシリンダ722の内外に移動可能なピストン724とを含むことができる。ボールねじ機構は、ピストンをシリンダの内外に推進させる機構の一例に過ぎず、他の適切な推進機構を実施してもよいことが理解されよう。
【0090】
いくつかの実施態様では、各ピストン機構720は、ピニオン744およびギア746を介して、シリンダ722内に配置されたねじ付きシャフト(図7Bには示さず)を回転させるモータ742を含むことができる。ピストン724は、シリンダ722内に配置されるその近位端に、ねじ付きシャフトに動作可能に連結される雌ねじ付きナット(図7Bには示されない)を含んでもよく、その結果、ねじ付きシャフトの回転は、必要に応じて、ナット(したがって、シリンダ722の内外のピストン)の直線運動に変換される。モータ742には、その回転を監視する回転エンコーダ743を設けることができる。
【0091】
いくつかの実施態様では、各ピストン724の遠位端は、少なくとも2つの回転DOFを有する別個のジョイントに結合されてもよく、両方のジョイントは、エンドエフェクタに直接接続されてもよい(図7Bには示さず)。このような別個のジョイントは、例えば、ボールソケットジョイントとして、カルダンジョイントとして、または任意の他の適切なジョイントとして構成され得る。他の実装形態では、図7Bの斜視図および図7Cの上面図から示されるように、ピストン724の遠位端ジョイント725は、共通ジョイント726に結合され得、共通ジョイント726は、次に、上部ジンバル728に結合され、上部ジンバル728に、装置のエンドエフェクタ(図7Bおよび7Cに示されていない)が、下部ジンバル715への結合に加えて、それに結合される。そのような実装形態では、遠位端ジョイント725は、1つの回転DOFを有することができ、共通ジョイント726は、2つの回転DOFを有することができる。さらに、そのような実装形態では、例えば、カルダンジョイントを備え、各シリンダ722に2つのDOFを提供し得るピストンの遠位端ジョイント725およびシリンダの近位端ジョイント723は、シリンダ722およびピストン724がすべて同じ平面上に配置され得るように、互いに平行であり得る。上部ジンバル728を共通ジョイント726に接続する軸方向ジョイント727は、シリンダ722、ピストン724および共通ジョイント726がすべて、連結されたエンドエフェクタが回転している上部ジンバル728と同じ平面上にとどまることを可能にする。シリンダ722およびピストン724はすべて、単一の平面内に配置され、両方のシリンダ722のカルダンジョイント723の水平軸も、単一のシャフト(またはアクスル(axle))730に結合されることを可能にするが、いくつかの実装形態では、各カルダンジョイント723は、別個のシャフトに結合されてもよい。シリンダ722、ピストン724、共通ジョイント726およびシャフト730がすべて同一平面上に配置されるこの構成は、より大きな角度移動を可能にし、したがって、エンドエフェクタのより大きな作業空間を可能にし、ボールソケットジョイントの制限なしに、例えば、単純でコンパクトな設計におさまる。上部ジンバル728および下部ジンバル715は図に示されていることを理解されたい。図7A~7Cは、エンドエフェクタに連結するための2つのアームを有し、いくつかの実施態様では、ジンバルの一方または両方が、エンドエフェクタに連結するための1つのアームのみを有することができ、または、それらはそれぞれ、エンドエフェクタに連結するのに適した任意の他の適切な構成を有することができる。
【0092】
トップアセンブリ70は、1つ以上のPCBをさらに含んでもよく、例えば、PCB719は、トップアセンブリのベース部分700に取り付けられてもよく、追加のPCB729は、シリンダ722の各々に結合されてもよい。リニアエンコーダ、例えば、スイス、コロンビアのPosic Ltd.によって製造されたリニア磁気エンコーダモデルID1101Lは、シリンダ722内のピストン724の動きを監視するために使用され得る。リニアエンコーダのスケール7242はピストン724に結合され、エンコーダリーダ7244はシリンダ722に結合される。ピストン724の移動を制限し、ピストン724がねじ付きシャフトの端部に到達するのを防止するために、リミットスイッチ7246を利用することもできる。
【0093】
図7Dは、図7A~7Bのピストン機構の1つの断面図を示す。上述したように、各ピストン機構720は、シリンダ722と、ボールねじ機構を介してシリンダ722の内外に移動可能なピストン724とを含むことができる。各ピストン機構720は、ピニオン744およびギア746を介してシリンダ722内に配置されたねじ付きシャフト748を回転させるモータ742を含むことができる。ピストン724は、シリンダ722内に配置されるその近位端に、ねじ付きシャフト748に動作可能に結合される雌ねじ付きナット749を含むことができ、ねじ付きシャフト748の回転が、ナット749(つまりピストン724)の、シリンダ722の内外への直線運動に変換される。
【0094】
図8は、エンドエフェクタ80および挿入モジュール85を含む例示的な挿入アセンブリの分解図を示す。挿入モジュール85は、それらの中心線で針855を包む領域を除いて、それらの幅に沿って互いに結合された2つの可撓性ストリップ852を含むことができる。可撓性ストリップ852は、その長さの少なくとも一部に沿って、中心線に沿った針位置の両側に延びる穿孔8522を有することができる。挿入モジュール85は、突起を有するローラ(図示せず)をさらに含んでもよい。これにより、ストリップ852の穿孔8522がローラ上の突起と係合し、ローラが適切な方向に逆回転すると、二重ストリップ-針アセンブリが遠位方向、すなわち患者の身体に向かって押される。次いで、ストリップ852が針855から剥がれ、針855が患者の体内に侵入する。挿入モジュール85は、針ヘッド859とストリップ852の近位端とを一緒に固定する針ヘッドホルダ858をさらに含むことができる。
【0095】
エンドエフェクタ80は、挿入モジュール85を受け入れるためのフレーム802を備えることができる。一旦フレーム802に挿入されると、挿入モジュール85は、例えば、ねじ804、またはスナップ嵌め機構などの任意の他の適切な固定機構を使用して、その中にロックされ得る。エンドエフェクタ80は、モータエンコーダ(図示せず)を備えた歯車付きモータ812(すなわち、モータおよび遊星歯車システム)、傘歯車814、およびPCB816を含むことができるモータアセンブリ810をさらに含むことができる。モータアセンブリ810は、以下のように挿入機構を作動させることができる。ギア付きモータ812は、傘歯車814を回転させ、傘歯車814は、それが結合される挿入モジュール85の傘歯車854を回転させる。次いで、挿入モジュール85の傘歯車854が、挿入モジュール85のローラを回転させ、ローラの逆回転が、ローラの突起およびストリップの穿孔からなる「タイミングベルト状」機構を介して、結合されたストリップ852を下方に引っ張る。
【0096】
いくつかの実施態様では、エンドエフェクタのフレーム802は、挿入モジュール85が挿入された後、傘歯車854がフレーム802の外側に留まり、エンドエフェクタのモータ組立体810の傘歯車812への結合を可能にするように、挿入モジュールの傘歯車854のシャフト856を受け入れるための専用スロット8022を含んでもよい。
【0097】
エンドエフェクタ80は、そのフレーム802に結合され得る1つ以上の位置合わせ要素808をさらに含み得る。
【0098】
例示的な挿入アセンブリのさらなる詳細および実施形態は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「Needle Insertion Guide」のGaliliらとの共有の国際特許出願PCT/IL2015/051158号に開示されている。
【0099】
いくつかの実施態様では、挿入モジュール85は、使い捨てユニットであり、エンドエフェクタ80は、再使用可能であり、すなわち、新しい使い捨て挿入モジュール85と共に繰り返し使用することができる。このような場合、エンドエフェクタ80は、挿入装置の一体型ユニットであってもよい。他の実施形態では、エンドエフェクタ80は、使い捨てとすることもでき、したがって、自動挿入装置とは別個に設けることができる。このような場合、エンドエフェクタ80および挿入モジュール85は、単一の使い捨てユニットとして提供されてもよい。
【0100】
図9は、挿入装置90の横断面図を示し、異なるプラットフォーム間の界面を示す。上述したように、Z軸に沿ったXプラットフォームおよびX軸に沿ったトップアセンブリの両方の移動は、ボールねじ機構を介して推進され得る。さらに、Xプラットフォームおよびトップアセンブリの両方の直線運動は、レールキャリッジ機構を介して案内され得る。
【0101】
Z-Xプラットフォーム:
Zプラットフォーム930は、ねじ付きシャフト932を含むことができ、Xプラットフォーム940は、シャフト932に動作可能に結合された雌ねじ付きナット948を含むことができる。モータ934およびギヤ(図9には示さず)によるシャフト932の回転は、Z軸に沿ったナット948(つまりXプラットフォーム940)の直線運動に変換される。さらに、Zプラットフォーム930は1つ以上のレール936を含むことができ、Xプラットフォーム940は1つ以上の対応するキャリッジ944を含むことができ、これらのキャリッジ944はレール936に動作可能に結合され、レール936に沿って自由に動くことができ、Xプラットフォームの直線運動をZ軸に沿って案内する。
【0102】
Xプラットフォーム-トップアセンブリ:
Xプラットフォーム940はねじ付きシャフト942を含み、トップアセンブリ950は雌ねじ付きナット958を含み、これはシャフト942に動作可能に連結される。モータ(図9には示されていない)およびギア945および946によるシャフト942の回転は、X軸に沿った、ナット958(つまりトップアセンブリ950)の直線運動に変換される。さらに、Xプラットフォーム940は、1つ以上のレール(図9には示さず)を含むことができ、トップアセンブリ950は、1つ以上の対応するキャリッジ(図9には示さず)を含むことができ、これらのキャリッジは、レールに動作可能に結合され、X軸に沿ってトップアセンブリの直線運動を案内するために、レールに沿って自由に(またはスライドして)移動することができる。また、図9には、ねじ付きシャフト954が配置されたトップアセンブリのシリンダ952も示されている。
【0103】
図10A図10Dは、装置の挿入アセンブリ、すなわち、EEFFおよびIMの例示的な回転範囲を示す4つの異なる状態のトップアセンブリ1000を示す。
【0104】
図10Aは、挿入アセンブリ1100がその最大後向き回転角θにある、すなわち、挿入アセンブリ1100が装置からX軸を中心に最大に回転される、トップアセンブリ1000の側面図を示す。後方角度は、両方のピストン1010をシリンダ1020から前方に推進し、針ヘッド1112を前方に回転させ、針先端1110を後方に、すなわち装置に向かって指向させることによって達成される。図示されるように、針の回転およびその挿入の両方の操作は、一般的に針ヘッドで針を操作する従来技術のシステムとは異なり、患者の身体に近い上部ジンバル1030およびEEFF1120の結合ポイントで実行される。針の全長の回転および挿入に必要な運動(これは相当であり得る)を生じさせる必要がないので、開示される挿入システムによって必要とされる作業空間は、従来技術のシステムの作業空間よりもかなり小さい。さらに、本開示の装置は、前述の米国特許出願第15/027,438号に記載されているように、駆動機構の寸法および作業空間が針の長さに依存しない一方で、可変長の針を駆動することができる。
【0105】
図10Bは、挿入アセンブリ1100がその最大前向き回転角θ=45度にある、すなわち、挿入アセンブリ1100がX軸を中心として装置に向かって最大に回転される、トップアセンブリ1000の側面図を示す。前方角度は、両方のピストン1010をシリンダ1020内に後方に推進し、針ヘッド1112を後方に回転させ、針先端1110を前方に、すなわち装置から離れる方向に向けることによって達成される。
【0106】
図10Cは、挿入アセンブリ1100がその最大右回転角度θ=45度(図10Eにおいて以下に示される)にあるトップアセンブリ1000の上面図を示す、すなわち、挿入アセンブリ1100は、Z軸の周りで右に最大に回転される(ページレイアウトを参照する「右」方向)。直角は、両方のシリンダ1020aおよび1020bを右に回転させることによって達成される。このような回転は、右ピストン1010aが右シリンダ1020bから推進されるよりも、左ピストン1010bを左シリンダ1020bからさらに推進することによって達成される。挿入アセンブリ1100を右に回転させると、針ヘッド1112が右に回転し、針先端1110が左を向く。
【0107】
図10Dは、挿入アセンブリ1100が、最大左回転角0=45度(図10Eに示される)で、すなわち、挿入アセンブリ1100が、Z軸を中心に最大回転され、左側に最大回転される、トップアセンブリ1000の上面図を示す。左角度は、両方のシリンダ1020a、1020bを左に回転させることによって達成される。このような回転は、左ピストン1010bが左シリンダ1020bから推進されるよりも右ピストン1010aを右シリンダ1020aからさらに推進することによって達成される。挿入アセンブリ1100を左に回転させると、針ヘッド1112が左に回転し、針先端1110が右を向く。
【0108】
図に示すように挿入アセンブリ1100がその全回転範囲にわたって回転しているとき、トップアセンブリのアーム部材1050は静止したままであり、シリンダ1020aおよび1020b、ピストン1010aおよび1010b、シャフト1025および共通ジョイント1060はすべて同じ平面上に留まる。
【0109】
図10Eは、それぞれ、図10Cおよび図10Dの挿入アセンブリの最大左右回動角θおよびθを示す。また、針がY軸に平行であり、挿入アセンブリがその最大右回転角および最大左回転角にそれぞれ到達するときの上部ジンバルの位置1090A、1090B、および1090Cも示されている。左右の最大回転角の間の上部ジンバルの軌道は、X-Y平面上に円弧を形成する。挿入アセンブリが最大前方角度と最大後方角度との間で回転しているときの上部ジンバルの軌道もまた、Z-Y平面上で円弧を形成することが理解できる。
【0110】
図10A~10Eにおいては、最大の針回転角は、θ=θ=θ=θ=45度であるが、これは、単純化のためだけであることが理解されるべきである。なお、最大回転角度θ、θ、θ、θは必ずしも等しくなくてもよい。また、45度に限らず、45度よりも大きくても小さくてもよい。
【0111】
図11は、2つの回転自由度を有する挿入アセンブリ1100の長手方向軸の全体的な作業空間1200を示し、2つの回転自由度の1つ目は図10A~10Bに示され、2つ目は図10C~10Eに示されたものである。いくつかの実施形態では、挿入アセンブリ1100の遠隔運動中心(RCM)は、仮想的であり、針の入口点に位置し得る。挿入アセンブリの回転軸は、図10Eに示されるように、装置のトップアセンブリの下部ジンバルに位置するが、仮想RCMの位置は、Z軸に沿ったXプラットフォームおよび/またはX軸に沿ったトップアセンブリの直線運動を介して、針の入口点に維持される。
【0112】
針入口点が選択されると、ユーザは、選択された入口点を仮想RCMとして設定することができる。次いで、システムのソフトウェアは、例えば、上述の米国特許第8,348,861号に記載されているように、逆運動学アルゴリズムを使用して、仮想RCMとして入口点を維持するために、挿入アセンブリが回転されている間に、Xプラットフォームおよび/またはトップアセンブリから必要とされる直線運動を決定することができる。針入口点において維持される仮想RCMは、直線状の針軌道が追従できない場合、および/または針が挿入されているときに計画された軌道(直線状またはその他)が調整を必要とする場合、皮膚/組織の裂傷を防止する。
【0113】
作業空間1200は、その頂点1500が仮想RCMであり、針の入口点に位置する円錐形状を形成することができる。挿入アセンブリの作業空間は、必ずしもすべての軸において対称である必要はないことを理解することができる。最大回転角度が、例えば、上記の図10A図10Eに示されるように、全ての軸の周りで同一である場合、図11に示されるように、作業空間は全ての軸に関して対称である。すなわち、形成された円錐の横断面は円である。しかし、X軸周りの最大回転角度がZ軸周りの最大回転角度と異なっている場合(例えば、θ=θ=45度であり、θ=θ=55度である場合)、形成された円錐の横断面は楕円である。いくつかの実装形態では、最大回転角度は、各方向において異なり得る。さらに、角度作業空間は、X軸を中心とする回転およびZ軸を中心とする回転と必ずしも等しくなく、したがって、作業空間は、例えば、長方形となり得る。
【0114】
本明細書では特定の実施形態を詳細に開示したが、これは例示の目的のみのために例示として行ったものであり、添付の特許請求の範囲に関して限定することを意図するものではない。特に、特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な置換、変更、および修正がなされ得ることが企図される。他の態様、利点、および修正は、以下の特許請求の範囲内であると考えられる。提示される特許請求の範囲は、本明細書で開示される実装形態および特徴の代表である。他のクレームされていない実施および特徴も考えられる。したがって、他の実施は、特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B-7C】
図7D
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11