(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】患者移送用自動膨張式エアマットレス
(51)【国際特許分類】
A61G 1/00 20060101AFI20220830BHJP
A47C 27/08 20060101ALI20220830BHJP
A61G 1/048 20060101ALI20220830BHJP
A61G 1/044 20060101ALI20220830BHJP
A61G 1/04 20060101ALI20220830BHJP
A61G 1/02 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
A61G1/00 702
A47C27/08 Z
A47C27/08 B
A61G1/048
A61G1/044
A61G1/04
A61G1/02 703
(21)【出願番号】P 2020123222
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2020-07-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0088518
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0008597
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520267428
【氏名又は名称】キム,デ ジョン
【氏名又は名称原語表記】KIM,DAE JONG
【住所又は居所原語表記】Seyoung Checevil 110 dong 701ho,Suyeong-ro 327 Yongdam-dong,Sangdang-gu,Cheongju-si,Chungcheongbuk-do,28745 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】キム,デ ジョン
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-011727(JP,U)
【文献】実開昭62-142363(JP,U)
【文献】特表2017-513770(JP,A)
【文献】特開2010-107026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0291203(US,A1)
【文献】特開2016-129992(JP,A)
【文献】特開平09-084889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 1/00
A47C 27/08
A61G 1/048
A61G 1/044
A61G 1/04
A61G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーによって充填膨張されるとき、一定の厚さのプレートの形態を形成する本体のマットレス部と、
前記本体のマットレス部の長さ方向の一側面に設置され、それ自体が繰り広げられるとき、前記本体のマットレス部の一面を覆う保護カバー部と、
前記本体のマットレス部の下部面に大略均等に複数設置されて床の衝撃を吸収するクッションのホイール部と、を備え
、内部のエアーを除去した後一面にクッションのホイール部が露出される直方体の形態でパッキングされる、患者移送用自動膨張式エアマットレス。
【請求項2】
前記クッションホイール部は、前記本体のマットレス部の下部面にエンボッシングの形態で設置されるクッション本体と、前記クッション本体の外側中央部に設置されるホイール固定部と、前記ホイール固定部に回転可能に結合するホイールと、を備える、請求項1に記載の患者移送用自動膨張式エアマットレス。
【請求項3】
前記本体のマットレス部の上部面の4つの端部にそれぞれ結合する4つの側面パッド部をさらに備え、
前記本体のマットレス部と前記側面パッド部のそれぞれは、第1のパッド接合部によって結合し、前記4つの側面パッド部の互いに隣接する側面の間には、第2のパッド接合部が伸縮可能に結合され、
前記4つの側面パッド部の中のいずれか1つは、前記の本体のマットレス部とガス配管チャネルを通じて流体疎通可能に連結される、請求項1に記載の患者移送用自動膨張式エアマットレス。
【請求項4】
前記本体のマットレス部は、圧縮空気又は不活性ガスを含むガスを貯蔵したガスカプセルに連結されて、前記本体のマットレス部の内部空間にエアーを供給するエアー注入口又はエアー供給手段をさらに備える、請求項1に記載の患者移送用自動膨張式エアマットレス。
【請求項5】
前記ガスカプセル又はこれに対応するガスタンクは、前記本体のマットレス部に内蔵される、請求項4に記載の患者移送用自動膨張式エアマットレス。
【請求項6】
前記保護カバー部又はこれに対応するカバーは、不織布の成分からなるエアー浄化フィルター(Air Prefilter)、その下層で活性炭含有で組成された炭素ろ過フィルターであるチャコールフィルター(Charcoal filter)、前記チャコールフィルターの下層で微細粉塵や有害物質の粒子を遮断する防塵フィルター(Dustproof Filter)層からなる、請求項1に記載の患者移送用自動膨張式エアマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者移送用エアマットレスに関し、より詳しくは、災害や事故発生のとき、移動するのに体の不自由な患者の身体などを横たえて迅速に移動可能にし、天井やどこかから飛んでくる落下物による傷害を防止するだけでなく、階段などで迅速に移動するときの衝撃を緩和するように設計されている、患者移送用自動膨張式エアマットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の消防庁国火災情報センター(韓国)の統計資料を見れば、医療施設の火災件数が2015年に67件、2016年に68件、2017年73件であり、ますます増加し続ける傾向にある。
【0003】
また、医療施設の場合、火災のとき、病院の特性上、一人で身動きのできない脆弱な患者の避難方法や動線確保が容易ではなく、多くの人命被害が予想される。
【0004】
このように、火災発生時に各医療施設では、独自の避難方法が備えられているが、脆弱な患者1人あたり大人2人、あるいは4人いればこそ避難が可能であり、人手が不足するとき一人で歩行することができない脆弱な患者層が多い場合、当該施設では、人命被害が大きく発生することになりかねない。このことによって、火災発生時の効率的な患者の避難方法が必要なのが実情である。
【0005】
また、脆弱な施設の火災発生時には、天井のような上部構造物などから古鉄やその他の壁体のかけらが落下することがあり得るため、一人で身動きのできない患者を保護することができる保護装備が要求される。
【0006】
また、一方では、建物の内部で火災が発生する場合、炎よりは一酸化炭素中毒や煙による窒息で命が危うい場合が発生することがあり得る。煙は、主に、短い時間で非常に急速に拡散し、主に天井に沿って四方に拡散する特徴がある。したがって、建物に火災が発生する場合、数分以内に迅速な避難が必要である。
【0007】
火災避難時、エレベーターが運行される昇降通路は、炎と煙の煙突の役割をするため、エレベーターに乗っていると窒息する確率が高いため、エレベーターを利用することは非常に危険であり、したがって、階段を利用して避難する必要がある。
【0008】
したがって、建物の火災発生時の車椅子のユーザー、高齢者などの移動弱者は、避難するときに問題が発生することがあり得、階段で移動が不可能な車椅子ユーザーや疾病などにより歩行が困難な患者は、適時に避難できず、事故に遭う場合が多く発生する可能性がある。
【0009】
これと関連した従来技術の一例として、韓国登録特許第10-0938925号公報(2010.01.19.)(特許文献1)には、遭難救助用救命帯(救命ベルト)が開示されている。
【0010】
前記従来技術は、外部から供給されたエアーによって広がって浮力を有するが、マット状に形成されるようにエアーを供給するためのエアー注入口、マットの内部に供給されたエアーを排出させるエアー排出口、及び内側の圧力に対応するように多数の繊維糸を垂直方向に配置する本体と、本体の内部にエアーを供給するエアー供給部と、本体と一体に形成されてエアー供給部を収容するが、内部を開閉させることができるように防水されるジッパー、及び前面に救助者が把持して引っ張れるように牽引ロープを設置する収納部と、本体のエアー注入口に一側が連結され、他側はエアー供給部の注入孔にネジ結合されて互いに連通されるように構成され、所定の位置にエアーを断続するバルブ付き連結管と、本体の後端部で本体がエアー供給部から解けず、固定された状態を維持するようにベルクロ(登録商標)テープが形成された固定バンドと、を備える遭難救助用救命帯を開示する。
【0011】
しかし、前記従来技術は、火災事故の避難時に救命帯の上段へ飛んで来たり落ちたりする落下物を防げなくて、患者への2次事故が発生できる問題点、患者を建物の階段に移送するのに多数の人手が必要な点などの、患者を建物の階段などに安全に移送するにあたって補完しなければならない事項が多い。このように、現在、建物火災発生時に重症外傷患者などの患者を安全に移送することができる方案が要求されている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、従来技術の問題点を解決するために案出されたものとして、本発明の目的は、災害事故や火災発生時に移動が不便な患者の移送において発生される火炎、煙、及びどこかから飛んでくる落下物による傷害を防止することができる、患者移送用自動膨張式エアマットレスを提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、火災発生などの非常時にエアー又はガスの注入で短時間にエアマットレス全体が、エアーカプセル構造に自動的に膨張して患者を保護しながら移送することができる、患者移送用自動膨張式エアマットレスを提供することにある。
【0015】
本発明のもう1つの目的は、患者などの移動弱者を階段や粗い地面などを介して移送する際に、移動弱者に加わる外部からの衝撃を効果的に遮断することができる、患者移送用自動膨張式エアマットレスを提供することにある。
【0016】
本発明のもう1つの目的は、重量が軽く、保管しやすく、最小限の人手でも、患者の移送を容易に遂行できる、患者移送用自動膨張式エアマットレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述した技術的課題を解決するための本発明の一側面による、患者移送用自動膨張式エアマットレスは、エアーによって充填・膨張されるとき、一定の厚さのプレートの形態を形成する本体のマットレス部と、前記本体のマットレス部の長さ方向の一側面に設置され、それ自体が繰り広げられるとき、前記本体のマットレス部の一面を覆う保護カバー部と、前記本体のマットレス部の下部に設置されて床の衝撃を吸収するクッションホイール(cushion wheel)部と、を備える。
【0018】
一実施形態において、前記クッションホイール部は、前記本体のマットレス部の下部面にエンボッシングの形で設置されるクッション本体と、前記クッション本体の外側中央部に設置されるホイール固定部と、前記ホイール固定部に回転可能に結合するホイールと、を備える。
【0019】
一実施形態において、患者移送用自動膨張式エアマットレスは、前記本体のマットレス部の上部面の4つのエッジ部分にそれぞれ結合する4つの側面パッド部と、をさらに備える。ここで、前記本体のマットレス部と前記側面パッド部のそれぞれは、第1のパッド接合部によって結合し、前記4つの側面パッド部の互いに隣接した側面の間には、第2のパッド接合部が伸縮可能に結合される。そして、前記4つの側面パッド部の中のいずれか1つは、前記の本体のマットレス部とガス配管のチャネルを通じて流体疎通可能に連結される。
【0020】
一実施形態において、患者移送用自動膨張式エアマットレスは、前記本体のマットレス部の圧縮空気又は不活性ガスを含むガスを貯蔵したガスカプセルに連結されて、前記本体のマットレス部の内部空間にエアーを供給するエアー注入口又はエアー供給手段をさらに備える。
【0021】
一実施形態において、前記ガスカプセル又はこれに対応するガスタンクは、前記本体のマットレス部に内蔵され得る。もちろん、実装によっては、ガスカプセル又はこれに対応するガスタンクは、前記本体のマットレス部の外部に設置されたものであり得る。
【0022】
一実施形態において、前記ガスタンクに加えて、あるいはガスタンクの代わりに酸素タンクを備えることができる。その場合には、エアマットレスを使用して酸素呼吸器の使用が必要な移動弱者も移送することも可能になる。
【0023】
一実施形態において、前記保護カバー部又はこれに対応するカバーは、不織布の成分からなるエアー浄化フィルター(Air Prefilter)、その下層に活性炭含有で組成された炭素ろ過フィルターであるチャコールフィルター(Charcoal filter)、前記チャコールフィルターの下層に微細粉塵や有害物質の粒子を遮断する防塵フィルター(Dustproof Filter)層からなることができる。
【0024】
前述した技術的課題を解決するための本発明の他の側面に沿った、患者移送用自動膨張式エアマットレスは、エアーによって充填・膨張される長方形のマットの形態で形成される本体のマットレス部と、前記本体のマットレス部の長さ方向の両側からそれぞれ巻き込まれたり折りたたまれたりするように設置され、エアーを介してアーチ型ドーム形状に充填・膨張されながら前記本体のマットレス部の上部を覆う構造を有する保護カバー部と、前記本体のマットレス部の下部に連結され、一定の間隔で配置されて床の衝撃を吸収することができる1つ以上の下部保護マットと、を備えることを特徴とする。
【0025】
一実施形態において、前記本体のマットレス部は、圧縮されたエアーやガスを貯蔵する圧縮ガスのカプセルを内蔵し、一側に形成されたハンドル又は作動スイッチを引っ張ることでエアーを自動供給できるようにするエアー供給手段を含み得る。
【0026】
一実施形態において、前記本体のマットレス部、保護カバー部、及び下部保護マットは、互いに連通されるように連結管を介して連結され、前記本体のマットレス部が充填・膨脹されるとき、同時に充填・膨脹される。
【0027】
一実施形態において、前記本体のマットレス部は、一側に延長突出させて肩に掛け担いで移動できるように、ショルダーストラップの形態又はハンドル付きストラップの形態のうちいずれか1つで形成される牽引ロープが結合されて形成され得る。
【0028】
一実施形態において、前記保護カバー部は、不織布成分からなるエアー浄化フィルター(Air Prefilter)、その下層に活性炭含有で組成された炭素ろ過フィルターであるチャコールフィルター(Charcoal filter)、及び前記チャコールフィルターの下層に微細粉塵や有害物質粒子を遮断する防塵フィルター(Dustproof Filter)層からなる。
【0029】
一実施形態において、前記下部保護マットは、下部側で地面と接触する部分での摩擦力を最小化するためにぷっくりと飛び出す丸い形状からなるエンボッシング部をさらに含んでなされる。
【0030】
一実施形態において、前記エンボッシング部の内部には、緩衝作用をするボールスプリングを内蔵して、移送時の床の衝撃を吸収する構造を有するようになされる。
【0031】
一実施形態において、前記下部保護マットは、下部側で地面と接触する部分での摩擦力を最小化するためにぷっくりと飛び出す丸い形状からなるボールスプリングをさらに含んでなされる。
【発明の効果】
【0032】
前述した、患者移送用自動膨張式エアマットレスを使用する場合には、災害や火災事故発生時に移動が不便な患者を効果的に移送することができるだけでなく、患者の移送時に移送路上で落下する落下物によって患者が傷害されるのを防止するだけでなく、炎と煙から患者を保護することができる効果がある。
【0033】
また、本発明によれば、ソフトなマット構造からなる移送道具として、非常時にエアマットレスの全体が、エアー又はガスで、短時間で膨張して、あらかじめ設定された形態を備え、階段などへの移動時にも外部からの衝撃を効果的に吸収することがことができ、高層ビル、山岳地形及びスキー場、並びに飛行機や船舶などの少人数でも移動弱者を迅速かつ安全に避難させることができるという効果がある。
【0034】
また、本発明によれば、全体的に鉄製フレーム方式ではなく、防炎素材のウレタン素材で製作されたエアマットレスを使用することにより、重量が軽く、使用後に巻いたり折りたたんだりして収納でき、保管が容易な利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態による、患者移送用自動膨張式エアマットレス(以下、簡単に「患者移送用エアマットレス」という)を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による患者移送用エアマットレスの側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による患者移送用エアマットレスの底面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による患者移送用エアマットレスが非常時充填されてエアーカプセルの形態をなす構造を示す例示図である。
【
図5】本発明の一実施形態による保護カバー部の層別構造を示す構成図である。
【
図6A】本発明の患者移送用エアマットレスを使用する実施方法を示す例示図である。
【
図6B】本発明の患者移送用エアマットレスを使用する実施方法を示す例示図である。
【
図6C】本発明の患者移送用エアマットレスを使用する実施方法を示す例示図である。
【
図7】本発明の他の実施形態による患者移送用エアマットレスが非常時充填されてエアーカプセルの形態をなす構造を示す例示図である。
【
図8】
図7の構造による底面部を示す例示図である。
【
図9】
図7を上部から見た構造を示す例示図である。
【
図10】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに採用できるボールスプリングを説明するための図である。
【
図11】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに対する斜視図である。
【
図12】
図11のエアマットレスを下部側から眺めた斜視図である。
【
図13】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに対する斜視図である。
【
図14】
図13の患者移送用エアマットレスの背面側斜視図である。
【
図15】
図14の背面側に設置されるエンボッシングホイール部を説明するための概略図である。
【
図16】
図15のエンボッシングホイール部に採用することができる構造を説明するための部分平面図である。
【
図17】
図13の患者移送用エアマットレスから膨張用内部ガスを排出した状態を説明するための例示図である。
【
図18】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに対する斜視図である。
【
図19】
図18の患者移送用エアマットレスの横断面図である。
【
図20】
図18の患者移送用エアマットレスを実装した製品に対する部分斜視図である。
【
図21】
図18の患者移送用エアマットレスに採用することができるエンボッシングホイール部とハンドルストラップに対する例示図である。
【
図22】
図20の患者移送用エアマットレスから内部のガスを抜く過程でエアマットレスの状態を説明するための例示図である。
【
図23】
図20の患者移送用エアマットレスから内部のガスをほとんど除去した状態で、その一部が折りたたまれたエアマットレスの状態を示す例示図である。
【
図24】
図20の患者移送用エアマットレスを折りたたんだ状態とそのサイズを説明するための図である。
【
図25】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに適用することができる技術的構成の例示図である。
【
図26】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに適用することができる技術的構成の例示図である。
【
図27】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに適用することができる技術的構成の例示図である。
【
図28】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに適用することができる技術的構成の例示図である。
【
図29】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに適用することができる技術的構成の例示図である。
【
図30】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに適用することができる技術的構成の例示図である。
【
図31】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに適用することができる技術的構成の例示図である。
【
図32】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに適用することができる技術的構成の例示図である。
【
図33】本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに適用することができる技術的構成の例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の利点、特徴、及びそれを達成する方法は、添付される図面とともに詳しく後述されている実施形態を参照すると明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、異なる多様な形態で実装され、単に本実施形態は、本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲によって定義されるだけである。明細書全体にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0037】
以下、本発明の実施形態によって患者移送用自動膨張式エアマットレスを説明するための図面を参照して、本発明について説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態による、患者移送用自動膨張式エアマットレスを示す平面図であり、
図2は、
図1の側面図であり、
図3は、
図1の底面図である。また、
図4は、本発明の一実施形態による、患者移送用自動膨張式エアマットレスが、非常時充填されてエアーカプセルの形態をなす構造を示す例示図である。
【0039】
図1~
図4を参照して、本発明の一実施形態による、患者移送用自動膨張式エアマットレスを説明すると、次の通りである。
【0040】
本実施形態による、患者移送用自動膨張式エアマットレス1は、エアー又はガスによって充填されて、所定の高さを維持することができる長方形のマットレス形状の本体のマットレス部10と、非常時ドーム形状に膨張されて移送患者を落下物や火魔から保護できる保護カバー部20と、本体のマットレス部10の下側の底面部において床や階段での移送時の床の衝撃を吸収できる下部保護マット30と、を備える。
【0041】
本体のマットレス部10は、圧縮空気又は圧縮ガスのようなエアーが瞬間的に供給されて、一定の高さに膨らむように設計される長方形のマットレスである。
【0042】
本体のマットレス部10の内部の一側に内蔵されるエアー供給手段11を介してエアーを発生させ、これを内側に供給されるようにするエアー注入口(図示せず)と供給されたエアーを排出させるエアー排出口(図示せず)と、が備えられるが、エアー排出口には、開閉可能な開閉口(図示せず)が含まれる。開閉口は、シール可能な形態のジッパー又は2重ベルクロ(登録商標)テープ(面ファスナー)のタイプの開閉部材が適用され得るが、これに限定されるものではなく、シール可能な開閉方法は、ほとんど適用可能である。
【0043】
したがって、本体のマットレス部10には、エアー供給手段11を操作できるように連結されたハンドル又は作動スイッチ(図示せず)を所定の位置から突出するように備えられる。このとき、前記ハンドルは、引っ張る構造であり得る。
【0044】
本体のマットレス部10に供給されるエアー供給手段11は、圧縮された空気やガスを貯蔵して簡単な操作(爆発、化学反応など)によりエアーを供給できる手段であれば何でも可能である。
【0045】
一例として、膨脹式のエアーバッグ原理を、本発明に適用することができる。ナトリウムと窒素からなるアジ化ナトリウム(NaN3、sodium azide)という物質は、エアーバッグを瞬時に膨らすために使用する非常に安全な物質であって、前記物質に酸化鉄と呼ばれる化合物を混ぜておいた状態で、連結されたハンドル又は作動スイッチを引っ張ることで反応させて窒素を生成するようになれば、このとき出てくる窒素ガスが本体のマットレス部10を満たして瞬間的に膨らむようにできる。
【0046】
なお、本体のマットレス部10の内側にアジ化ナトリウムカプセル、少量の酸化鉄(Fe2O3)、及び起爆装置を含むようにエアー供給手段11を設計することができる。
【0047】
他の例としては、本体のマットレス部10の内部に圧縮空気室(room)又は二酸化炭素ガスが圧縮されているガスカプセルを内蔵するエアー供給手段11を設計することもできる。その場合には、エアー供給手段11に連結されたハンドル又は作動スイッチを引っ張ることで、密封されたガスカプセルが張り裂けるようになり、このとき、瞬間的に空気が本体のマットレス部10の内部を一定の空気圧力に充填されるようにできる。
【0048】
また、本体のマットレス部10には、患者を移送する場合、牽引できる一定の長さの牽引ロープ12と、移送のときに患者を固定できるように、本体の両側面で一定の間隔で形成される複数の固定ロープ13とが結合されて形成される。
【0049】
牽引ロープ12は、堅固な材質の紐として、本発明において患者移送用自動膨張式エアマットレスに患者を含めて移送時に少なくとも一人でも移送を可能にするためである。牽引ロープ12は、本体のマットレス部10の長さ方向から上側及び下側に延長突出させて形成することができる。
【0050】
牽引ロープ12は、肩に掛け担いで移動できるようにショルダーストラップの形態に形成されたり、ハンドル付きの紐の形態に形成されたりできる。
【0051】
固定ロープ13は、患者を十分に固定させるためにベルクロ(登録商標)(面ファスナー)のタイプ、リング連結のタイプ、ロープ結束のタイプなどのベルトの形態に形成され得る。
【0052】
なお、本体のマットレス部10の一側面にはヘッドレスト(図示せず)が、さらに形成され得る。このとき、ヘッドレストは、本体のマットレス部10と通気されるように連結されて患者の頭を支えてくれたり、患者の移送時に頭部に加わる衝撃を緩和させてくれたりする。
【0053】
ヘッドレスト部分には、前述したエアー供給手段11が備えられる。また、追加に非常用エアー供給手段などが収納されるように設計され得る。ここで、非常用エアー供給手段は、有事の際迅速な内部充填用のためのガス(GAS)又は圧縮空気などを保管する手動式タンクなどである。
【0054】
保護カバー部20は、本体のマットレス部10の長さ方向の両側に位置するように形成され、平常のときは、患者が落傷(落ちたり倒れたりして怪我をすること)することを防止する落傷防止バンプの役割をすることができ、有事の際広げられながら膨らんで移送患者を落下物又は火魔から保護することができるように、エアーカプセルの形態を形成する保護カバーである。保護カバー部20は、連結管によって本体のマットレス部10に連結される連通構造とともに備えられる。
【0055】
保護カバー部20は、本体のマットレス部10の両側に長さ方向に対応するように1ペアで備えるのが好ましい。本体のマットレス部10の両側にそれぞれ備えられる保護カバー部20は、本体のマットレス部10と連通して供給されるエアー(又はガス)を使用して充填されて膨張されながら、アーチ型ドーム形状で、患者の全身を覆って、火災時の火魔による患者の事故や患者移送時に体温を維持する保温機能を実現することができ、落下物による傷害を防止し、患者を保護する役割を遂行することができる。
【0056】
このような保護カバー部20は、内部にエアーを供給していないときには、患者を覆う毛布のような役割として、患者の保護と保温のための保護カバーの機能だけを遂行することもできる。
【0057】
このためには、保護カバー部20は、本体のマットレス部10が連結されたハンドルや作動スイッチによって動作されるとき、エアーが供給されるように、追加のエアー注入口(図示せず)を備えるようになり、保護カバー部20の内側に供給されたエアーを排出させるエアー排出口(図示せず)を追加に備えることができる。
【0058】
なお、本実施形態の患者移送用エアマットレス1において下部保護マット30は、本体のマットレス部10の下部に設置されて階段や粗い地面での移送のときに、外部の衝撃を吸収するようになされる。
【0059】
下部保護マット30は、本体のマットレス部10の下部で一定の間隔で複数個が配置される構造としてクッション機能を遂行する衝撃吸収マットであり得る。
【0060】
なお、下部保護マット30は、本体のマットレス部10のエアー注入口から注入されたエアーを連通するようにエアー注入口を形成することができ、連結管によって連結されてエアーの供給を受けることができるように設計される。この場合には、下部保護マット30は、本体のマットレス部10が作動してエアーの供給を受けるとき、同時にエアーの供給を受け、瞬間的に膨らんで膨張するようになされる。
【0061】
このような下部保護マット30は、下部側の地面と接触する部分では、床又は地面との摩擦力を最小化するためにぷっくりと飛び出す丸い形状からなるエンボッシング部31をさらに含んでなされる。
【0062】
エンボッシング部31は、地面との摩擦を最小限にする役割をすることで、階段や粗い床からの衝撃を緩和し、最小限の人手でも、患者の移送を容易にすることができる利点がある。
【0063】
図5は、本発明の一実施形態による保護カバー部の層別構造を示す構成図であって、前記エアー浄化フィルター、チャコールフィルター(charcoal filter)、及び防塵フィルターを全体的に2重構造を有するように形成して設計された例示を示している。
【0064】
図5を参照すると、保護カバー部20は、最も最外側に形成される不織布成分からなるエアー浄化フィルター(Air Prefilter)層が構成され、その下層に活性炭含有で組成された炭素ろ過フィルターであるチャコールフィルター(Charcoal filter)が形成され、前記チャコールフィルターの下層では、微細粉塵のような有害物質の粒子を遮断して、防塵やほこりの遮断性能を有する防塵フィルター、例えばKF94指数以上の防塵フィルター(Dustproof Filter)を含む層を形成させることで、ほこりや火災による有毒ガスのような外部空気の浄化機能を遂行することができる。
【0065】
このような保護カバー部20は、その構造全体が2重に構成されて、さらに強力なエアー浄化機能を遂行するように実装され得る。また、保護カバー部20の最下段層は、高弾性炭素繊維(High elastic fiber)の材質で構成されて患者移送時エアマットレスの下部での外部衝撃を低減するようになされる。
【0066】
なお、保護カバー部20は、内部全体を空気で充填することができる形態で提供されるのが好ましいが、追加に保護カバー部20は、その一部にのみエアーを充填することができるエアーフレーム(図示せず)と、それぞれのエアーフレームを連結する連結フレームの構造を含み、エアーフレームと連結フレームとの間に落下物を防止するエアーが供給されないカバー部を形成するように設計され得る。
【0067】
エアーフレームと連結フレームは、本体のマットレス部10の長さ方向の両側でそれぞれ所定の間隔で複数個のペアで形成され、巻き込まれていたり折りたたまれていたりするように備えられ、供給されるエアーによってアーチ形状に膨張されて膨らみ上がってカバー部によって患者を保護するドーム構造を形成することができる。
【0068】
なお、エアーフレームと連結フレームも本体のマットレス部と連通するように構成されてエアーが供給され、内側に供給されたエアーを排出させる開閉可能な開閉口を含み得る。
【0069】
エアーフレームは、保護カバー部20と類似した形態のドーム形状に膨張されるが、ただし全体的にエアーを供給することではなく、エアーフレームと連結フレームの内部にのみエアーを供給して膨張する構造の差異のみ有し得る。
【0070】
図6A~
図6Cは、本発明の患者移送用自動膨張式エアマットレスを使用する実施方法を示す例示図である。
【0071】
図6Aに示すように、本発明の患者移送用自動膨張式エアマットレスは、平時に患者及び移動が不自由な方のベッドに備えておくことができる。このとき、本発明の保護カバー部は、患者の落傷を防止する手段として使用される。
【0072】
そして、
図6Bに示すように、災害や火災などのような事故発生時に自動膨張式エアー供給手段に連結されたハンドル又は作動スイッチを作動させると、保護カバー部がドーム形態に膨張し広げられて内部空間を形成し、患者を包み込むエアーカプセル構造を成すようになる。このような状態でストレッチャを押して患者を移送することも可能である。
【0073】
なお、患者のベッドやストレッチャを使用せずにエアーパッドのみを使用して患者を移送することができる。すなわち、
図6Cに示すように、本体のマットレス部から長さ方向に延長突出した牽引ロープを使用してエアマットレスの上の患者を移送することができる。牽引ロープは、肩に掛け担いで移動できるように、ショルダーストラップの形態の紐で形成されたり、ハンドル付き紐の形態に形成されたりするが、
図6Cではハンドル付き紐の形態で患者を移送する例を図示している。
【0074】
なお、本発明の構成による患者移送用エアマットレスは、下部保護マットとその下部に形成されたエンボッシング部によって床からの衝撃や摩擦を低減することができるため、
図6Cのように階段のような場所を介して患者を移送する場合にも、患者を保護しながら、簡単に最小の一人や少人数で患者を移送することができる。特に、患者移送時、保護カバー部を介して患者の全身をドーム形状のカプセルの形態で包み込んで落下物に対する傷害を防ぐだけでなく、保護カバー部に形成されている空気の保護層から火災による有害な煙のエアー浄化機能を複合的に遂行して、患者を最大限保護することができる。
【0075】
図7は、本発明の他の実施形態による、患者移送用自動膨張式エアマットレスが、非常時充填されてエアーカプセルの形態をなす構造を示す例示図であり、
図8は、
図7の底面部を示す例示図であり、
図9は、
図7を上部から見た構造を示す例示図である。
【0076】
図7~
図9を参照すると、本実施形態による患者移送用エアマットレスは、本体のマットレス部10が屈曲形状を有して膨張するように設計され得る。これは、患者の移送に伴う衝撃をより効果的に緩衝することができ、これによって、連結される下部保護マット30の個数を2個~3個まで減らす効果を提供することができる。
【0077】
以上、察して見たような本発明の患者移送用自動膨張式エアマットレスは、短時間でエアマットレスの全体がエアーカプセル構造に膨張できるようにして、災害や火災発生時に移動弱者を階段や粗い地面での移送時に外部の衝撃を吸収できるようにして迅速に安全な場所に避難することができるようにし、山岳地形だけでなく、川や海などのような水上でもエアーによる浮力が作用して患者を簡単に避難させることができ、最小の一人や少人数でも、患者の移送を容易にすることができる、患者移送用自動膨張式エアマットレスを提供できるものである。
【0078】
図10は、本発明のもう1つの実施形態による、患者移送用自動膨張式エアマットレスに採用することができるボールスプリングを説明するための図である。
【0079】
図10を参照すると、本実施形態による、患者移送用自動膨張式エアマットレスは、先立って説明した実施形態のエンボッシング部を代替するボールスプリングを備えることができる。
【0080】
ボールスプリングは、下部保護マット30に部分的に挿入され、挿入された部分の少なくとも一端が下部保護マット30に固定され得る。ボールスプリングは、線形弾性部材を球形状やコイル形状に巻いて製造され得る。
【0081】
一方、前述したボールスプリングは、エンボッシング部を代替するものに限定されず、エンボッシング部と組み合わせられた形態を備えることができる。一例として、ボールスプリングはエンボッシング部31の内部で緩衝作用をする形で内蔵され得る。その場合には、ボールスプリングは、コイル形状のスプリング32としてエンボッシング部31に包まれており、エンボッシング部の摩擦を最小限に抑えて、ボールスプリングによって移送時の床の衝撃を吸収する構造からなることができる。
【0082】
また、一方で、前述した実施形態では、エアーの膨脹式カプセル構造を使用することに言及したが、本発明は、そのような構成に限定されず、他の圧縮ガスや所定の内蔵された化学薬品とエアーの化学反応によって生成されるガスによって実装されることも可能である。
【0083】
図11は、本発明のもう1つの実施形態による、患者移送用自動膨張式エアマットレスの斜視図であり、
図12は、
図11のエアマットレスを下部側から眺めた斜視図である。
【0084】
図11及び
図12を参照すると、本実施形態によるエアマットレス100は、床パッド110、緩衝部材120、膨張調節部130、第1の側面パッド150及び第2の側面パッド160を含む。
【0085】
床パッド110は、それ自体がある程度の強度を有することができ、実装によって膨張調節部130の操作に応じて、一部のガスが充填されて平坦なマットとしての強度が増加するように構成される。
【0086】
緩衝部材120は、床パッド110の下部に配置され、ガス充填によって膨張され、エアマットレス100が地面や床面に接触するときにエアマットレス100と地面あるいは床面との接触面積や抵抗を減少させ、それによって、小さな力でもエアマットレス100やエアマットレス100に横たわった患者などの人を引いて移送できるように機能する。
【0087】
膨張調節部130には、圧縮ガスが貯蔵されたタンクとタンク内のガスの入出力のための配管の開閉を調節するためのバルブ等の開閉手段が備えられる。
【0088】
第1の側面パッド150と第2の側面パッド160は、床パッド110の側面に平坦にあるいは最小の体積で取り付けられており、膨張調節部130のバルブなどの操作に応じて供給されるガスでその内部が充填され、その体積が膨張して、床パッド110の側面に一定の高さに建てられる。このとき、第1の側面パッド150と第2の側面パッド160の境界を形成する垂直面は、一体に形成されてガス充填前やガス充填後にも接合された状態を維持するように設置される。
【0089】
このためには、第2の側面パッド160は、膨張された状態で床パッド110に一体に連結される部分の断面積より、床パッド110から一定の高さだけ離れて位置する上端部の断面積が小さい所定の厚さのプレート形態を備える。
【0090】
一方、第1の側面パッド150は、床パッド110に一体に連結される部分の断面積と床パッド110から一定の高さだけ離れて位置する上端部の断面積が、ほぼ同じサイズを有する所定の厚さの四角形プレートの形態を備えることができる。
【0091】
前述した場合には、第1の側面パッド150と第2の側面パッド160が、ガス充填により膨張されると、第1の側面パッド150は、第2の側面パッド160の形態に応じて、床パッド110の側面で床パッド110の上部側に少し傾いた形状を有するように設置され得る。
【0092】
なお、第1の側面パッド150には、カバーが一体に連結されて備えられる。カバーはジ、ッパー操作に応じて互いに対向する1ペアの第1の側面パッド150を連結し、第1の側面パッド150と第2の側面パッド160の上部の開口部を覆うことができるように設置される。
【0093】
カバーは、
図4の保護カバー部20に対応することができる。また、カバーは、防炎布の機能を担うことができる。また、緩衝部材120は、
図1~
図10を参照して、先立って説明した実施形態の下部保護マット30やエンボッシング部31に対応し、床マット110は、本体のマットレス部10に対応し、膨張調節部130は、エアー供給手段11に対応する。
【0094】
本実施形態のエアマットレス100は、膨張された状態で長さ175mm~200mm、幅500mm~700mm、高さ300mm~500mmを備え、床マット110、第1及び第2の側面パッド(150、160)のそれぞれの厚さが10mm~100mmのサイズを有するように製作される。
【0095】
図13は、本発明のもう1つの実施形態による、患者移送用自動膨張式エアマットレス(以下、簡単に「患者移送用エアマットレス」という)に対する斜視図である。
図14は、
図13の患者移送用エアマットレスの背面側斜視図である。
図15は、
図14の背面側に設置されるエンボッシングホイール部を説明するための概略図である。
図16は、
図15のエンボッシングホイール部に採用することができる構造を説明するための部分平面図である。そして、
図17は、
図13の患者移送用エアマットレスから膨張用内部ガスを排出した状態を説明するための例示図である。
【0096】
図13及び
図14を参照すると、本実施形態による患者移送用エアマットレス200は、本体のマットレス部210と、カバー220と、クッションホイール部260と、を備える。本体のマットレス部210は、頭の固定ユニット212、ボディ固定ユニット214、骨盤固定ユニット216、第1の接合手段230、締結手段240、ハンドルストラップ242、エアー注入口251、及びエアー排出口253を含む。カバー220の一側端には、第2の接合手段(
図21の参照符号222参照)が備えられる。
【0097】
本体のマットレス部210は、柔軟な材料からなり、内部にガス又はエアーが充填されるときに一定の長さと一定の幅を有した薄い厚さのプレート形状を有するように形成され得る。本体のマットレス部210は、第1の主面又は上部面210aと第2の主面又は下部面210bを備える。
【0098】
上部面210aには、患者等の移動弱者が横たわったとき移動弱者の頭を固定するための頭部固定ユニット212、移動弱者のボディを固定するためのボディ固定ユニット214、及び移動弱者の骨盤を固定するための骨盤固定ユニット216が設置される。
【0099】
上部面210aの長さ方向で一端部に頭部固定ユニット212が配置され、他端部に向けてボディ固定ユニット214と骨盤固定ユニット216が記載された順に配置される。骨盤固定ユニット216の一端は、上部面210の大略中間に固定され得る。
【0100】
頭部固定ユニット212は、柔軟な材質のシート形状の第1の本体と第1の本体の両端を本体のマットレス部210の上部面210aに固定結合する第1の締結部211を備えることができる。ボディ固定ユニット214は、柔軟な材質のシート形状の第2の本体と第2の本体の両端を本体のマットレス部210の上部面210aに固定結合する第2の締結部213を備えることができる。そして骨盤固定ユニット214は、柔軟な材質のシート形状の第3の本体と第3の本体の3ケ所を本体のマットレス部210の上部面210aに固定結合する第3の締結部215を備えることができる。第3の本体と第3の締結部215との間の3つの連結部材のうちの2つは着脱部材を介在して互いに連結される。着脱部材は、雌雄一対のプラスチックバックル(216a、216b)などを含み得る。
【0101】
本体のマットレス部210の一方の側面には、第1の接合手段230が備えられる。第1の接合手段230は、カバー220の一側に備えられる第2の接合手段と着脱可能に接合される。第1の接合手段230及び第2の接合手段は、ベルクロ(登録商標)(面ファスナー)などからなることができる。
【0102】
下部面210bには、締結手段240と、ハンドルストラップ242と、エアー注入口251と、エアー排出口253と、が備えられる。下部面210bには、また、クッションホイール部260が備えられる。
【0103】
締結手段240は、下部面210bの長さ方向で、その両端部の底に1ペアずつ固定設置される。締結手段240は、下部面210bに一端が固定されたプラスチックバックルを含み得る。このような締結手段240は、1ペアをなす他のプラスチックバックルと結合して牽引ロープ(
図1の参照符号12を参照)に連結される。
【0104】
ハンドルストラップ242は、下部面210bの四辺にそれぞれ設置される。ハンドルストラップ242は、長さ方向に延びる辺の端部に2個ずつ配置され得る。このようなハンドルストラップ242は、半環状でその両端が下部面210bに固定されて下部面210bの上部から下部面210bの外側までの範囲において回動可能に設置され得る。
【0105】
エアー注入口251は、下部面210bの任意の位置、例えば片側のコーナーの部分に配置され得る。エアー注入口251は、挿入固定型注入口又はねじ結合型注入口を備え、チェックバルブが結合されたコネクターを介してガスタンク又はガスカプセルに連結される。ガスタンクやガスカプセルは、本体のマットレス部210に収納することができ、実装によっては、外部に独立して備えられる。ガスタンクは、エアータンク、不活性ガスタンクなどと称され得る。
【0106】
一方、前述したガスタンクに加えて、あるいはガスタンクの代わりに酸素タンクを備えることができる。その場合には、エアマットレスを使用して、酸素呼吸器の使用が必要な移動弱者も移送可能になる。
【0107】
エアー排出口253は、本体のマットレス部210の内部の空間に充填されるガスやエアーを放出するための開閉可能な構造を備える。エアー排出口253は、ガスで充填された本体のマットレス部210の内部の圧力に耐えることができる耐久性と信頼性を有する開閉構造を備える。エアー排出口253は、エアー注入部251と隣接するように配置され得るが、これに限定されない。
【0108】
クッションホイール部260は、
図15に示すように、本体のマットレス部210の下部面210bに配置される。複数のクッションホイール部260は、下部面210bの所定の位置260aに大略均等に配置され得る。
【0109】
各クッションホイール部260は、
図16に示すように、下部面210bに固定付着されるクッション本体262と、クッション本体262の中央部に結合するホイール固定部264と、ホイール固定部264に回転可能に結合するホイール266と、を備えることができる。
【0110】
クッション本体262は、下部面210bに対して弾性材料の突出した形態又はエンボッシング形態で設置される。クッション本体262は、ゴム材質などからなる。また、クッション本体262の内部には、スプリングや、別の弾性部材が追加に挿入され得る。
【0111】
ホイール固定部264は、クッション本体262で最も多く突出した部分、すなわち、エンボッシング形状の中央部にその一端が結合し、ホイール266にその他端が結合してクッション本体262上で自由自在に回転し、ホイール266を支持するようになされる。
【0112】
前述した本実施形態の患者移送用エアマットレス200は、
図17に示すように、内部のガスを抜いた状態で柔軟な構成要素が互いに自由に重畳された形態を有することができ、構成要素を本体のマットレス部210の上部面210a上に置いた状態で、本体のマットレス部210を長さ方向の一端部から他端部まで巻き込んだり折りたたんで保管したりして携帯するように、その体積が小さくなる。
【0113】
図18は、本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに対する斜視図である。
図19は、
図18の患者移送用エアマットレスの横断面図である。
図20は、
図18の患者移送用エアマットレスを実装した製品に対する部分斜視図である。
図21は、
図18の患者移送用エアマットレスに採用することができるエンボッシングホイール部とハンドルストラップに対する例示図である。
【0114】
図18~
図21を参照すると、本実施形態による患者移送用エアマットレス200Aは、本体のマットレス部210と、カバー220と、クッションホイール部260と、側面パッド部270と、パッド接合部(291、292)と、を備える。本体のマットレス部210には、頭部固定ユニット、ボディ固定ユニット、骨盤固定ユニット、締結手段、ハンドルストラップ242、エアー注入口、エアー排出口及び第3の接合手段280が含まれる。カバー220の一側端には、第2の接合手段222が含まれ得る。
【0115】
本体のマットレス部210は、柔軟な材料からなり、その内部にガス又はエアーが充填されるときに一定の長さと一定の幅を有した薄い厚さのプレート形状を有するように形成され、上部面210aの端の部分でパッド接合部(291、292)を介して側面パッド部270と一体に連結される。
【0116】
本体のマットレス部210と本体のマットレス部210の4辺の端部に結合する4つの側面パッド部270のそれぞれは、本体のマットレス部210の内部空間210cと側面パッド部270の内部空間270aが、少なくとも1つ以上の柔軟な材質のガスチャンネル配管255を介して互いに流体疎通可能に連結される。4つの側面パッド部270のそれぞれは、本体のマットレス部210と流体疎通可能に連結されるが、これに限定されない。実装によっては4つの側面パッド部270の中のいずれか1つが本体のマットレス部210と流体疎通可能に連結され、残りの側面パッド部が第2のパッド接合部292の内部で流体疎通可能に連結される。そして、少なくともいずれか1つの側面パッド部270は、独立して、エアー注入口251a、エアー排出口253a、又はその両方を含み得ることはもちろんである。
【0117】
本体のマットレス部210の上部面210aは、患者等の移動弱者が横たわったとき移動弱者の頭を固定するための頭部固定ユニットが設置される第1の部分212x、移動弱者のボディを固定するためのボディ固定ユニットが設置される第2の部分214x、及び移動弱者の骨盤を固定するための骨盤固定ユニットが設置される第3の部分216xを含み得る。
【0118】
本体のマットレス部210の下部面210bには、締結手段と、ハンドルストラップ242と、エアー注入口と、エアー排出口と、が備えられる。また、下部面210bには、クッションホイール部260が備えられる。
【0119】
側面パッド部270は、本体のマットレス部210の4つの辺の端部で本体のマットレス部210の上部面210aから一定の高さ(例えば、500mm~700mm)を有するように設置される。このような側面パッド部270は、パッド接合部(291、292)を介して本体のマットレス部210に一体に結合され、本体のマットレス部210にエアー(air)などのガスが注入されるときに、共にあるいは同時に膨張してあらかじめ設定された壁の形態を形成し、本体のマットレス部210からガスが排出されるときに共に収縮して、柔軟な形態を形成することができる。
【0120】
4つの側面パッド部270のうちの3つの側面パッド部270の上部面には、第3の接合手段280が備えられる。第3の接合手段280は、カバー220の一側に備えられる第2の接合手段222と着脱可能に接合され得る。第2の接合手段222及び第3の接合手段280は、ベルクロ(登録商標)(面ファスナー)などからなることができる。
【0121】
パッド接合部(291、292)は、第1のパッドの接合部291と、第2のパッド接合部292と、を備えることができる。第1のパッド接合部291は、本体のマットレス部210の4つの辺の端部のそれぞれに4つの側面パッド部270を本体のマットレス部210に固定し、第2のパッド接合部292は、4つの側面パッド部の互いに隣接した面の間で伸縮可能なエッジ部分を形成するように設置される。
【0122】
このように、本実施形態による患者移送用エアマットレス200Aは、側面パッド部270とパッド接合部(291、292)、及びそれに伴う構成要素(例えば251a、253a、280)の変更や追加を除いて、実質的
図13~
図17を参照して、先立って説明した患者移送用エアマットレスと実質的に同一の構成要素を備えることができる。したがって、重複する構成要素についての説明は省略する。
【0123】
図22は、
図20の患者移送用エアマットレスから内部のガスを抜く過程でエアマットレスの状態を説明するための例示図である。
図23は、
図20の患者移送用エアマットレスから内部のガスをほとんど除去した状態で、その一部が折りたたまれたエアマットレスの状態を示す例示図である。そして、
図24は、
図20の患者移送用エアマットレスを折りたたんだ状態とそのサイズを説明するための図である。
【0124】
図22~
図24を参照すると、本実施形態による患者移送用エアマットレス200Aは、充填マット部210と側面パッド部270の内部空間でエアー、不活性ガスなどのガスを除去してその体積を縮小させることができる。
【0125】
一例として、患者移送用エアマットレス200Aから内部のガスを抜き始めると、
図22に示すように、本体のマットレス部210の形態と側面パッド部270の形態が縮み込まれて、
図23に示すように、ガスが抜けて平坦になった本体のマットレス部210上に、ガスが抜けて平坦になった側面パッド部270とカバー220などが重畳された形態を有し得る。
【0126】
患者移送用エアマットレス200Aから内部のガスを除去した後、ユーザーは、直接あるいは所定の装備を使用して
図23に示すように、エアマットレス200Aを折りたたんだり巻いたりしてその体積をさらに縮小させることができる。体積が縮小された患者移送用エアマットレス200Aは、一例として
図24の(a)に示すように一面にクッションホイール部が露出される直方体の形態の体積でパッキング(packing)され得る。直方体の形態にパッキングされた患者移送用エアマットレス200Aは、
図24の(b)及び(c)に示すように、長さ(L1)500mm~700mm、幅(W1)200mm~300mm、厚さ(T1)150mm~200mmまで縮小された体積を有し得る。
【0127】
このような自動膨張式のパッキング可能な患者移送用エアマットレス200Aを使用すると、携帯や保管が容易であり、火災などの事故発生時に移動が不便な患者などの移動弱者を少人数で効率的に移送することが可能である。前述した実施形態では、側面パッドは、側面パッド部に対応される。
【0128】
図25~
図33は、本発明のもう1つの実施形態による患者移送用エアマットレスに適用することができる技術的構成の例示図である。
【0129】
まず、本実施形態によるバンパー型エアマットレスは、
図25に示すように、本体のマットレス部210と1つの側面パッド部270との間に流体疎通可能な複数のガスチャンネルあるいはエアーチャンネルを形成する4つのガス連結配管255を備えることができる。4つ以上のガス連結配管255を使用すると、本体のマットレス部210を介して側面パッド部270をガスやエアーで効果的に迅速に充填することができる。
【0130】
なお、
図26に示すように、本体のマットレス部や側面マッド部にはエアー注入口251aとエアー排出口253aが備えられる。特に、本実施形態のエアー注入口251aは、圧力バルブの機能を備える。このような圧力バルブの機能を備えたエアー注入口251aは、圧力バルブと呼ばれることができ、本体のマットレス部や側面マッド部の内部に一定以上の過度な圧力が形成されるときに、一定量のガス又はエアーを自動放出することにより、本体のマットレス部や側面マッド部の内部の圧力が過度に大きくなるのを防止する。これは、階段などのように激しい凹凸の床上をエアマットレスに患者を乗せて移動するときに階段の段差のエッジなどによりエアマットレスに加わる外部からの衝撃により本体のマットレス部や側面マッド部の内部の圧力が瞬間的に過度に大きくなって、本体のマットレス部や側面マッド部が破損されたり、張り裂けたりするのを防止することができる。
【0131】
なお、
図27に示すように、エアー注入口には、手動ポンプ300が連結され得る。つまり、エアー注入口は、手動ポンプ300のノズルが挿入されて固定される構造を備えることができる。これにより、本実施形態のエアマットレスでは、特定の場合に応じては、手動の方式で、本体のマットレス部や側面マッド部の内部に外部のガスやエアーを充填することができる。
【0132】
なお、
図28~
図31に示すように、側面パッド部270を有するバンパー型エアマットレスは、その長さ方向の前後面と側面にハンドル242を備えることができる。このようなハンドル242を使用すれば、バンパー型エアマットレスの長さ方向の前面と背面に設置される牽引ロープ12を利用して、バンパー型エアマットレスを引っ張る方式以外に人がハンドル242を使用して効果的にバンプ型エアマットレスを持ち上げて移動することができる。このようなハンドル242の構成は、ポータブルエアマットレスにも実質的に同じように適用することができる。たとえば、ポータブルエアマットレスの背面に設置されるハンドル242は、
図31に示した通りである。
【0133】
なお、
図31及び
図32に示すように、ガス供給手段の一種で圧力バルブの機能がない主エアー注入口又は第2のエアー注入口252の位置は、任意の位置に変更され得る。前述した実施形態のエアマットレスでは、第2のエアー注入口252がハンドル242とクッションホイール部260が設置された本体のマットレス部の下端部に配置されるが、本発明は、このような構成に限定されず、エアマットレスの上に人が横たわったとき、本体のマットレス部上で人の足部分に第2のエアー注入口252を設置したり、側面パッド部の外側に配置されたりすることができる。
【0134】
なお、
図32及び
図33に示すように、所定の長さの配管を有するチェックバルブ400を利用して、外部のガス容器500を着脱することができる。チェックバルブ400を使用すれば、エアマットレスの内部に搭載されるガスボンベと外部の高圧ガスのガス容器500をチェックバルブ400を介して互いに連結したり取り外したりすることができ、外部のガス容器500をガスボンベに連結した場合には、ガスボンベやエアーカプセルにエアーを充填することができる。この場合には、内蔵されたガスボンベやエアーカプセルを操作して、本体のマットレス部や側面パッド部の内部をエアーで充填できることは勿論である。
【0135】
本発明の権利範囲は、前記詳しい説明よりは、後述する特許請求の範囲によって示され、請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導き出されるすべての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。加えて、上述する過程で記述された構成の動作順序は、必ずしも時系列的な順序で遂行される必要はなく、各構成及び段階の遂行順序が変わっても、本発明の要旨を充足するならば、このような過程は、本発明の権利範囲に属することができるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0136】
1 エアマットレス
10 本体のマットレス部
11 エアー供給手段
12 牽引ロープ
13 固定ロープ
20 保護カバー部
30 下部保護マット
31 エンボッシング部