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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20220830BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20220830BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20220830BHJP
   H04W 36/16 20090101ALI20220830BHJP
【FI】
H04M11/00 301
H04W4/38
H04W24/08
H04W36/16
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020193384
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082053
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2020-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】石原 康
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-072729(JP,A)
【文献】特開2013-258616(JP,A)
【文献】特開2005-236795(JP,A)
【文献】特開2019-174279(JP,A)
【文献】国際公開第2015/155951(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03J9/00-9/06
H04B7/24-7/26
H04L12/00-12/22
12/50-12/54
12/64-12/66
12/701-12/711
12/715-12/725
12/733-12/745
12/751-12/771
12/801
12/805-12/877
12/883-12/917
12/923-12/955
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04Q9/00-9/16
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、
前記サーバと第1通信方式により通信する親局と、
前記親局と第1通信方式により無線通信可能に接続され、予め設けられた通信時刻において、前記親局を介して前記サーバと通信する子局と、
前記子局と前記第1通信方式により通信し、かつ、前記子局の保守を行う保守装置と、前記第1通信方式よりも大容量のデータ通信が可能な第2通信方式により通信することにより、前記子局と前記保守装置との間の通信を中継する中継アダプタと、
を備え、
前記サーバは、前記親局を介して前記子局に保守モードの開始時刻を送信し、
前記子局は、前記保守モードの開始時刻に、前記中継アダプタとの通信が可能な待機状態に遷移する、
通信システム。
【請求項2】
前記中継アダプタは、移動可能であり、
前記保守モードの開始時刻後に前記中継アダプタを前記子局の通信圏外から前記子局の通信圏内に移動させた場合に、前記子局と前記中継アダプタとの間の通信を確立する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記中継アダプタは、前記子局の通信圏内に設置されている、
請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記サーバ、前記親局及び前記子局により構成される通信システムは、前記子局により測定されたデータを前記サーバにより収集するシステムである、
請求項1から3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記子局は、河川に設けられ、前記河川の水位を測定し、前記測定したデータを前記サーバに送信する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記子局は、前記保守装置からの要求を受けて前記保守モードを終了する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1通信方式はLPWA(Low Power Wide Area)通信方式であり、前記第2通信方式はLTE(Long Term Evolution)通信方式である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
サーバは、予め設けられた通信時刻において、親局を介して子局に保守モードの開始時刻を第1通信方式により送信
前記子局、前記保守モードの開始時刻に、前記子局の保守を行う保守装置との通信を中継する中継アダプタとの通信が可能な待機状態に遷移し、
記中継アダプタは、前記子局と前記第1通信方式により通信し、かつ、前記保守装置と、前記第1通信方式よりも大容量のデータ通信が可能な第2通信方式により通信することにより、前記子局と前記保守装置との間の通信を中継する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム、子局、通信方法及び通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
LPWA(Low Power Wide Area)無線ネットワークを提供するサービス(以下、LPWAサービスと呼ぶ)が知られている。LPWAとは、低消費電力で広域無線通信が可能な物理層での通信規格であり、この規格を利用したネットワークアーキテクチャサービスがLPWAサービスである。このサービスを利用することで、LPWA通信機能を有する端末が、最寄りのLPWA基地局を介して、ネットワークに接続することが可能になる。これにより、LPWAサービスの利用者は、ネットワークに接続された複数の端末を一元的に管理することができる。
LPWAサービスでは、LPWA基地局や端末からのデータをまとめる仕組みが既に用意されている。よって、LPWAサービスの利用者は、LPWA基地局に接続できる端末を準備することで、容易に自身のIoTシステムとしてサービスを提供することができる。また、LPWAサービスは、広く全国にサービスを提供できる環境が構築されているため、サービス利用者は、自らが置局設計をしたり、基地局を設置したりする必要がない。よって、これらのメンテナンスにかかる手間や費用を削減できるというメリットがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、LPWAの通信方式による通信(以下、LPWA通信と呼ぶ)及びLTE(Long Term Evolution)の通信方式による通信(以下、LTE通信と呼ぶ)を行うことが可能なセンター装置及び車両側システムを備えるデータ通信システムが開示されている。この通信システムでは、センター装置は、LPWA通信を用いて車両側システムから車両情報を取得する。また、車両側システムは、センター装置から受信したACKに含まれる情報に基づいて、通信方式をLPWA通信からLTE通信に切り替え、センター装置に対してコンテンツ要求を行う。これに対し、センター装置は、LTE通信により車両側システムへコンテンツデータを送信する。このようにすることで、特許文献1の通信システムでは、車両側システムから車両情報を効率良く収集し、コンテンツデータを車両側に効率良く配信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-57256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようなLPWAサービスの一例として、例えば、図13のようなシステムがある。同図では、河川に複数の子局(端末)が設置されており、各子局は、河川の水位をセンシングし、水位データを最寄りの親局(LPWA基地局)に送信する。水位データは、親局、LPWAネットワークを介してサーバに送信される。サーバで蓄積されたデータは、インターネット上で見える化され、活用することができる。
【0006】
この例のように、LPWAサービスは多くのIoTシステムで使用されている。しかし、多くのLPWAサービスでは、通信料は安価に設定されるものの、通信量には過大な制約がある。例えば、あるLPWAサービスでは、1回の通信に最大11Byteの情報しか送ることができない。また、同サービスでは、1日の通信回数が、ダウンリンクとアップリンクでそれぞれ12回までに制限されている。このような制約を受けるため、LPWAサービスでは、子局のバージョンアップのように比較的容量の大きな通信(以下、大容量通信と呼ぶ)を行うことができない。
【0007】
したがって、子局の保守に大容量通信が必要な場合には、LPWAサービス利用者(以下、子局管理者と呼ぶ)は、別の方法を用いて保守を行う必要がある。別の方法とは、例えば、図14に示すように、保守作業に用いる保守装置と子局とを有線で直接接続し、通信を行う方法である。
このような場合、子局管理者又は専門の作業者が子局の設置場所に保守装置を持参し、子局の装置筺体を開け、有線接続を行う必要がある。子局が遠方に設置されている場合には、移動のために長時間を要することとなる。また、子局は人の手が届かない場所や危険な場所に設置されていることがあり、作業が困難な場合も想定される。さらに、セキュリティの観点から、筺体の開閉方法が複雑になっており、有線接続が困難な場合もある。
【0008】
上記のような問題を解決するために、予め、LPWAサービスとは別の通信機能を子局に搭載し、大容量通信時にのみ、これを利用することが考えられる。しかし、LPWAサービスには不要な通信デバイスや通信方法を子局に搭載することとなるため、コストアップに繋がるという問題がある。
特許文献1で開示された技術では、このような問題については考慮されていない。
【0009】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、子局の保守を効率的に行うことができる通信システム、子局、通信方法及び通信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示にかかる通信システムは、
サーバと、
前記サーバと第1通信方式により通信する親局と、
前記親局と第1通信方式により無線通信可能に接続され、前記親局を介して前記サーバと通信する子局と、
前記子局と前記第1通信方式により通信し、かつ、前記子局の保守を行う保守装置と第2通信方式により通信することにより、前記子局と前記保守装置との間の通信を中継する中継アダプタと、
を備え、
前記サーバは、前記親局を介して前記子局に保守モードの開始時刻を送信し、
前記子局は、前記保守モードの開始時刻に、前記中継アダプタとの通信が可能な待機状態に遷移するものである。
【0011】
本開示にかかる子局は、
サーバと通信する親局と、第1通信方式により無線通信を行い、
前記親局を介して前記サーバから保守モードの開始時刻を受信し、
前記保守モードの開始時刻に、保守を行う保守装置との通信を第2通信方式により行う中継アダプタとの第1通信方式による通信が可能な待機状態に遷移するものである。
【0012】
本開示にかかる通信方法は、
サーバが、親局を介して子局に保守モードの開始時刻を第1通信方式により送信するステップと、
前記子局が、前記保守モードの開始時刻に、前記子局の保守を行う保守装置との通信を中継する中継アダプタとの通信が可能な待機状態に遷移するステップと、
を備え、
前記中継アダプタは、前記子局と前記第1通信方式により通信し、かつ、前記保守装置と第2通信方式により通信することにより、前記子局と前記保守装置との間の通信を中継するものである。
【0013】
本開示にかかる通信プログラムは、
サーバと通信する親局と、第1通信方式により無線通信を行う処理と、
前記親局を介して前記サーバから保守モードの開始時刻を受信する処理と、
前記保守モードの開始時刻に、保守を行う保守装置との通信を第2通信方式により行う中継アダプタとの第1通信方式による通信が可能な待機状態に遷移する処理と、
をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0014】
本開示により、子局の保守を効率的に行うことができる通信システム、子局、通信方法及び通信プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態2にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
図3】実施形態2にかかる子局の構成を示すブロック図である。
図4】実施形態2にかかる中継アダプタの構成を示すブロック図である。
図5】実施形態2にかかる子局、親局、サーバの通常モードにおける処理を示すシーケンス図である。
図6】実施形態2にかかる通信システムの通常モード及び保守モードにおける処理を示すシーケンス図である。
図7】実施形態2にかかる子局の処理を示すフローチャートである。
図8】実施形態2にかかる中継アダプタを子局の電波圏内に移動させる場合の説明図である。
図9】実施形態2にかかる中継アダプタが子局の電波圏内に設置されている場合の説明図である。
図10】実施形態3にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
図11】実施形態3にかかる保守装置の構成を示すブロック図である。
図12】実施形態1から3にかかる通信システムにおける子局等のハードウエア構成例を示す図である。
図13】関連する技術にかかるLPWAサービスの説明図である。
図14】関連する技術にかかるLPWAサービスにおける子局の保守作業の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる通信システム10の構成を示すブロック図である。通信システム10は、サーバ11、親局12、子局13、中継アダプタ14を備えている。
【0017】
サーバ11は、親局12と第1通信方式により通信する。また、サーバ11は、親局12を介して子局13と通信する。
親局12は、サーバ11と第1通信方式により通信する。
子局13は、親局12と第1通信方式により無線通信可能に接続され、親局12を介してサーバ11と通信する。
中継アダプタ14は、子局13と第1通信方式により通信し、かつ、子局13の保守を行う保守装置と第2通信方式により通信することにより、子局13と保守装置との間の通信を中継する。
また、サーバ11は、親局12を介して、子局13に対し、子局13の保守を行う保守モードの開始時刻を送信する。そして、子局13は、この保守モードの開始時刻に、中継アダプタ14との通信が可能な待機状態に遷移する。
【0018】
以上説明したように、本実施形態にかかる通信システム10では、子局13がサーバ11から保守モードの開始時刻を受信し、その時刻に、子局13は、中継アダプタ14との通信が可能な待機状態に遷移する。また、中継アダプタ14が、子局13と保守装置との間の通信を中継するので、保守モードの開始時刻後に、子局13と保守装置とが通信可能となる。中継アダプタ14は、上記の中継において、子局13とは第1通信方式により通信し、保守装置とは第2通信方式により通信する。したがって、本実施形態にかかる通信システム10によれば、第1通信方式による通信の制約を受けることなく、子局13の保守を効率的に行うことができる。
【0019】
<実施形態2>
実施形態2は、上述した実施形態1の具体例である。
図2は、本実施形態にかかる通信システム1000の構成を示すブロック図である。通信システム1000は、サーバ400、LPWAネットワーク300、親局200a及び200b、子局100a~100c、中継アダプタ500、LTEネットワーク600、保守装置700を備えている。
【0020】
サーバ400、親局200a及び200b、子局100a~100cにより構成される通信システムは、例えば、子局100a~100cにより測定されたデータをサーバ400により収集するシステムである。
本実施形態では、一例として、子局100a~100cにより測定された水位データをサーバ400により収集するシステムを含む通信システム1000を用いて説明を行う。したがって、本実施形態では、子局100a~100cは、河川に設けられており、子局100a~100cは、河川の水位を測定し、測定したデータをそれぞれサーバ400に送信する。子局100a~100cは、河川の中だけでなく、河川近傍において設置されてもよい。子局100a~100cは、それぞれ最寄りの親局200a又は200bを介し、LPWAネットワーク300を経由してサーバ400に測定データ(センシングデータ)を送信する。図2に示す例では、子局100a及び子局100bは親局200a、子局100cは親局200bが最寄りの親局200である。なお、同図の例に限らず、子局100は4つ以上あってよく、親局200は3つ以上あってよい。
【0021】
サーバ400は、LPWAネットワーク300を介して親局200a及び200bと通信を行う。また、サーバ400は、LPWAネットワーク300、親局200a、200bを介して、子局100a~100cと通信を行う。サーバ400は、子局100a~100cにより測定された水位データを受信し、受信したデータを図示しない記憶装置に記憶する。
【0022】
また、サーバ400は、子局100a~100cの各種設定を管理する。具体的には、サーバ400は、親局200a又は200bを介し、子局100a~100cに対して、各子局の設定に必要な情報である子局設定情報を送信する。
【0023】
子局設定情報には、子局100a~100cが水位センシングをする際のパラメータ値、上り通信時刻Tu、下り通信時刻Td、保守モード開始時刻Ts、保守用パスワードの情報が含まれる。上り通信時刻Tuは、子局100a~100cがサーバ400に測定データを送信する時刻である。下り通信時刻Tdは、子局100a~100cがサーバ400に子局設定情報のリクエストを送信する時刻である。サーバ400は、現在時刻tが下り通信時刻Tdになると、子局100a~100cのリクエストに応じて、子局設定情報を送信する。
【0024】
保守モード開始時刻Tsは、子局100a~100cが通常モードから保守モードに移行する時刻である。保守モード開始時刻Tsに、子局100a~100cは、中継アダプタ500との通信が可能な待機状態に遷移する。なお、子局100a~100cの保守を行わない場合、サーバ400は、保守モード開始時刻TsにNullを入れて子局設定情報を送信する。
【0025】
保守用パスワードは、子局100a~100cの保守を行うためのパスワードである。子局管理者は、保守モードにおいて子局100a~100cと中継アダプタ500との通信が確立した後、保守装置700から保守用パスワードを入力することにより認証を行う。保守用パスワードの認証に成功すると、保守装置700は、中継アダプタ500を介して子局100a~100cと通信可能となり、子局管理者は、保守装置700から子局100a~100cの保守が行えるようになる。
【0026】
LPWAネットワーク300は、LPWA通信方式(第1通信方式)に準拠した通信ネットワークである。LPWA通信方式は、LTE通信方式と比較して、容量の小さなデータ通信に適している。
【0027】
親局200a及び200bは、サーバ400とLPWA通信を行う。また、親局200a及び200bは、子局100a~100cとLPWA通信方式により無線通信可能に接続されている。通信システム1000においては、親局200aは子局100a及び100bと、親局200bは子局100cと、それぞれ無線通信可能に接続されている。親局200a及び200bは、接続しているそれぞれの子局100から測定データを受信し、受信した測定データを、LPWAネットワーク300を介してサーバ400に送信する。
【0028】
子局100a~100cは、例えば、電池により動作する、水位センサなどのIoTデバイスである。
まず、図3に示すブロック図を用いて、子局100の構成について説明する。子局100a~100cのそれぞれは、同図に示す子局100と同様の構成である。子局100は、センサ部110、通信制御部120、LPWA通信部130を備えている。
【0029】
センサ部110は、例えば、水位をセンシングする水位センサである。センサ部110は、センシングにより取得した測定データを通信制御部120に出力する。センサ部110は、水位センサに限らず、例えば、温度センサ、画像センサ、電流センサなど、種々の情報を感知し、数値化するセンサであってよい。
【0030】
通信制御部120は、主にデータリンク層以降で動作する機能部である。
通信制御部120は、現在時刻tが保守モード開始時刻Tsであるか否かを判定する。現在時刻tが保守モード開始時刻Tsになると、子局100は、通常モードから保守モードに移行し、そうでない場合は通常モードを継続する。通常モードとは、子局100が測定データの送信などの通常の動作を行うモードである。また、保守モードとは、プログラムのバージョンアップなど、子局100の保守を行うモードである。
【0031】
通信制御部120は、子局100の現在のモードが通常モードであるか、又は保守モードであるかを判定する。通信制御部120は、判定結果に応じて、子局100が親局200又は中継アダプタ500と接続できるように通信を制御する。
【0032】
子局100が通常モードの場合、子局100は、最寄りの親局200と通信を行う。この場合、通信制御部120は、物理層においては、LPWA通信部130が有するLPWA通信規格を用いて、通信を制御する。また、通信制御部120は、データリンク層以降においては、LPWAサービスの通信方式に合致するよう、ビット配列やフォーマットなどを制御する。
【0033】
通信制御部120は、センサ部110から出力された測定データを取得して、LPWA通信部130に出力する。通信制御部120は、予め設けられた上り通信時刻Tuにおいて、測定データをサーバ400に送信するよう通信を制御する。また、通信制御部120は、予め設けられた下り通信時刻Tdにおいて、子局設定情報のリクエストをサーバ400に送信するよう通信を制御する。通信制御部120は、サーバ400から受信した子局設定情報に基づいて、子局設定情報の更新を行う。なお、子局設定情報や測定データは、図示しない記憶装置に一時的に格納されてよい。
【0034】
通信制御部120は、現在時刻tが保守モード開始時刻Tsになると、子局100と最寄りの中継アダプタ500とのLPWA通信が可能な待機状態に遷移するよう、通信を制御する。保守モード開始時刻Tsは、最寄りの親局200を介してサーバ400から送信される子局設定情報に含まれている。通信制御部120は、物理層においては、通常モード時同様、LPWA通信部130が有するLPWA通信規格を用いて通信を制御する。一方、データリンク層以降では、通信制御部120は、子局管理者の任意の仕様により、ビット配列やフォーマットなどを制御する。
【0035】
通信制御部120は、中継アダプタ500との通信が可能な待機状態において、子局100の電波圏内に入った中継アダプタ500を検出し、中継アダプタ500との通信を確立する。また、通信制御部120は、保守モード開始時刻Tsから、中継アダプタ500を検出しないまま、待ち受けタイムアウト時間Toが経過したか否かを判定する。待ち受けタイムアウト時間Toを経過した場合、通信制御部120は、中継アダプタ500との通信を行わず、保守モード開始時刻Tsの初期化を行い、再び通常モードに戻る。
【0036】
通信制御部120は、中継アダプタ500との通信確立後に保守装置700から受信した保守用パスワードの認証を行う。また、通信制御部120は、保守装置700からの終了コマンド(要求)を受けて、保守装置700との大容量通信を終了するよう通信を制御する。これにより、子局100は、保守モードを終了する。通信制御部120は、保守モード開始時刻TsにNullを代入し、保守モード開始時刻Tsを初期化する。
【0037】
LPWA通信部130は、LPWA通信により、最寄りの親局200及びLPWAネットワーク300を介してサーバ400と通信する。LPWA通信部130は、通信制御部120から出力された測定データを取得する。LPWA通信部130は、通常モードにおいて、現在時刻tが上り通信時刻Tuになると、サーバ400に測定データの送信を行う。また、現在時刻tが下り通信時刻Tdになると、LPWA通信部130は、子局設定情報のリクエスト送信をサーバ400に行い、サーバ400から子局設定情報を受信する。
【0038】
LPWA通信部130は、保守モードにおいて、中継アダプタ500との通信が確立された後、中継アダプタ500を介して保守装置700からパスワードを受信する。保守用パスワードの認証が成功した場合、LPWA通信部130は、保守装置700との大容量通信を行う。LPWA通信部130は、保守装置700から終了コマンドを受信し、大容量通信を終了する。
【0039】
上記のような構成により、子局100a~100cは、親局200a又は200bとLPWA通信方式により無線通信可能に接続され、親局200a又は200bを介してサーバ400と通信することができる。よって、子局100a~100cが測定したデータは、最寄りの親局200からLPWAネットワーク300を介してサーバ400に送信される。このようにして、子局100a~100cからサーバ400への上り通信が行われる。
また、サーバ400から子局100への下り通信も同様にして行われる。サーバ400から送信されたデータは、LPWAネットワーク300を介して親局200a又は200bに送信され、そこから子局100a~100cに送信される。
【0040】
通常モードでは、上記の上り通信及び下り通信において、LPWAサービスが提供する親局200とLPWAネットワーク300を経由するため、LPWAサービスにおける通信制約の対象となる。よって、この通信経路では、大容量通信を行うことができない。
【0041】
図4は、中継アダプタ500の構成を示すブロック図である。中継アダプタ500は、制御部510とLPWA通信部520、LTE通信部530を備えている。
制御部510は、物理層の規格をLPWA通信方式からLTE通信方式に変換する。
LPWA通信部520は、LPWA通信により、電波圏内の子局100からデータを受信する。
LTE通信部530は、LTE通信により、LTEネットワーク600を介して保守装置700と通信を行う。また、LTE通信部530は、制御部510により変換されたデータを、LTE通信により保守装置700に送信する。
【0042】
上記のような構成により、中継アダプタ500は、子局100とLPWA通信方式により通信し、かつ、子局100の保守を行う保守装置700とLTE通信方式により通信することにより、子局100と保守装置700との間の通信を中継する。図2の例では、中継アダプタ500は、子局100cとLPWA通信を行い、かつ、保守装置700とLTE通信を行うことにより、子局100cと保守装置700との間の通信を中継している。
【0043】
また、中継アダプタ500は、電池を内蔵することで、移動が可能である。例えば、保守モード開始時刻Ts後に、作業者が中継アダプタ500を子局100の電波圏外から子局100の電波圏内に移動させた場合に、子局100と中継アダプタ500との間の通信を確立することができる。
【0044】
このように、中継アダプタ500を介し、子局100と保守装置700との間で通信を行えば、LPWAサービスが提供する親局200及びLPWAネットワーク300を使用する必要がない。よって、この通信経路によれば、LPWAサービスの通信制約の対象とならず、大容量通信を行うことができる。
【0045】
なお、図2では、中継アダプタ500が1つのみ示されているが、中継アダプタ500は、複数あってもよい。その場合、子局100は、保守モード開始時刻Tsに待機状態に遷移した後、最寄りの中継アダプタ500を検出し、その中継アダプタ500との間で通信を行う。
【0046】
LTEネットワーク600は、LTE通信方式(第2通信方式)に準拠した通信ネットワークである。LTE通信方式は、LPWA通信方式と比較して、大容量のデータ通信が可能な通信方式である。また、LTEネットワーク600に代えて、遠隔での通信が可能な他の通信方式による通信ネットワークを用いてもよい。
【0047】
保守装置700は、子局管理者が、子局100a~100cの保守作業のために使用する装置である。保守装置700は、例えば、子局100a~100cの保守を行うことが可能なパーソナルコンピュータである。
保守装置700は、LTEネットワーク600を介して、中継アダプタ500と通信を行う。また、中継アダプタ500と子局100a~100cとの通信が確立すると、保守装置700は、LTEネットワーク600及び中継アダプタ500を介して、子局100a~100cと通信を行うことができる。子局管理者は、保守装置700を操作することにより、子局100a~100cに対して設定の変更等を行うことができる。
また、図2において、サーバ400と保守装置700とは別個に示されているが、これに限られない。サーバ400と保守装置700とは、同一のマシンにより実現されてよい。
【0048】
続いて、図5に示すシーケンス図を用いて、通常モードにおいて、子局100、親局200、サーバ400のそれぞれが行う処理を説明する。同図に示すように、子局100は、LPWA通信により、最寄りの親局200を介してサーバ400との通信を行う。
【0049】
子局100は、現在時刻tが上り通信時刻Tu(Tu1、Tu2、Tu3、…)になると、測定データをサーバ400に送信する。測定データには、子局100がセンシングした河川の情報が含まれる。
【0050】
また、子局100は、現在時刻tが下り通信時刻Td(Td1、Td2、…)になると、サーバ400に対して子局設定情報のリクエストを送信する。サーバ400は、このリクエストに応じて子局100に対して子局設定情報を送信し、子局100は、これを受信する。
【0051】
上記のように、子局100は、サーバ400において予め設けられた上り通信時刻Tu及び下り通信時刻Tdにのみ、データの送信又は受信を行う。子局100は、消費電力を削減するために、それ以外の時刻においてはデータの送信及び受信のいずれも行わない。
【0052】
続いて、図6に示すシーケンス図を用いて、保守モードにおいて、通信システム1000の各構成のそれぞれが行う処理を説明する。まず、現在時刻tが保守モード開始時刻Tsになると、子局100は、通常モードから保守モードに移行する。子局100は、中継アダプタ500からのLPWA通信を常に待ち受ける待機状態に遷移する。
【0053】
次に、中継アダプタ500を、子局100のLPWA通信の電波圏内(通信圏内)に移動させる。例えば、図8に示すように、中継アダプタ500は、予め子局100の最寄りの拠点に郵送されている。作業者は、最寄りの拠点から中継アダプタ500を持参するなどして、子局100のLPWA電波圏内に中継アダプタ500を移動させる。中継アダプタ500が子局100のLPWA電波圏内に入ると、子局100が中継アダプタ500を検出する。これにより、中継アダプタ500は、子局100との間の通信を確立する。
【0054】
図6に戻り説明を続ける。中継アダプタ500は、LTEネットワーク600を介して子局管理者の保守装置700との通信を行うことができる。よって、中継アダプタ500が子局100との間の通信を確立することにより、中継アダプタ500を介して、子局100と保守装置700との間の通信が確立される。子局100と保守装置700との間の通信が確立されると、子局管理者は、保守装置700から保守用パスワードを入力する。
【0055】
子局100は、通常モード時にサーバ400から受信した子局設定情報に含まれる保守用パスワードと、保守装置700に入力された保守用パスワードとを比較する。これらが一致していた場合、保守用パスワードの認証は成功し、子局100と保守装置700との間で大容量通信を行うことができる。保守用パスワードが一致していなかった場合、子局100は、再び中継アダプタ500との通信の待機状態に戻る。
【0056】
大容量通信が完了すると、子局管理者は、保守モードを終了させる終了コマンドを保守装置700に入力する。子局100は、終了コマンドを受信し、子局100と保守装置700との間の大容量通信が終了する。そして、子局100は、保守モードから再び通常モードへと戻る。
【0057】
なお、子局100は、中継アダプタ500の待機状態を開始した後、待機状態を維持したまま待ち受けタイムアウト時間Toが経過した場合にも、自動的に保守モードを終了し、通常モードに戻る。また、子局100は、保守モードの終了時には、保守モード開始時刻TsにNullを代入し、保守モード開始時刻Tsを初期化する。
【0058】
なお、上記の説明では、作業者が中継アダプタ500を子局100の電波圏内に持ち運ぶことで、大容量通信を実現したが、これに限られない。
例えば、図9に示すように、中継アダプタ500は、子局100の電波圏内に予め設置されていてもよい。このようにすることで、作業者が中継アダプタ500を移動させることなく、中継アダプタ500は子局100との通信を確立させることができる。中継アダプタ500は、子局100の近傍の所定の位置に固定されてもよいし、例えば、最寄りの拠点が子局100の電波圏内に存在するような場合などには、固定されなくてもよい。中継アダプタ500を固定して設置した場合には、他のエリアへの中継アダプタ500の移動が困難となるが、電波圏内にある子局100に対して、必要なときに速やかに大容量通信を行うことが可能となる。
【0059】
続いて、図7に示すフローチャートを用いて、子局100が行う処理を説明する。
まず、通信制御部120は、現在時刻tが保守モード開始時刻Tsであるか否かを判定する(S101)。現在時刻tが保守モード開始時刻Tsである場合(S101のYes)、子局100は保守モードに移行し、そうでない場合(S101のNo)は通常モードを継続する。
【0060】
保守モードに移行すると(S101のYes)、子局100は、中継アダプタ500との通信が可能な待機状態に遷移する。通信制御部120は、子局100の電波圏内において中継アダプタ500を検出したか否かを判定する(S102)。中継アダプタ500を検出した場合(S102のYes)、通信制御部120は、中継アダプタ500との通信を確立する(S103)。LPWA通信部130は、保守装置700で入力された保守用パスワードを受信する。通信制御部120は、受信した保守用パスワードの認証を行う(S104)。保守用パスワードの認証に成功した場合(S104のYes)、LPWA通信部130は、大容量通信を開始する(S105)。保守用パスワードの認証に失敗した場合(S104のNG)、ステップS102の処理に戻る。
【0061】
LPWA通信部130が保守装置700から終了コマンドを受信すると(S106)、大容量通信は終了し、子局100は、保守モードから通常モードに戻る。通信制御部120は、保守モード開始時刻TsにNullを代入し、保守モード開始時刻Tsを初期化する(S107)。子局100は、再びステップS101の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0062】
ステップS102において、通信制御部120が中継アダプタ500を検出しなかった場合(S102のNo)、通信制御部120は、現在時刻tが、保守モード開始時刻Tsから待ち受けタイムアウト時間Toを経過しているか否かを判定する(S108)。上記時間を経過している場合(S108のYes)、ステップS107の処理に進む。上記時間を経過していない場合(S108のNo)、ステップS102の処理に戻る。
【0063】
ステップS101において、現在時刻tが保守モード開始時刻Tsでない場合(S101のNo)、子局100は、通常モードを継続する。通信制御部120は、現在時刻tが上り通信時刻Tuであるか否かを判定する(S110)。現在時刻tが上り通信時刻Tuである場合(S110のYes)、LPWA通信部130は、サーバ400に対して測定データの送信を行い(S111)、ステップS101の処理に戻る。現在時刻tが上り通信時刻Tuでない場合(S110のNo)、通信制御部120は、現在時刻tが下り通信時刻Tdであるか否かを判定する(S112)。現在時刻tが下り通信時刻Tdである場合(S112のYes)、LPWA通信部130は、サーバ400に対して子局設定情報のリクエスト送信を行う(S113)。LPWA通信部130は、サーバ400から子局設定情報を受信し(S114)、通信制御部120は、子局設定情報の更新を行う(S115)。そして、再びステップS101の処理に戻る。
【0064】
以上説明したように、本実施形態にかかる通信システム1000によれば、子局100は、予め設けられた保守モード開始時刻Tsに通常モードから保守モードに移行し、中継アダプタ500との通信が可能な待機状態に遷移する。中継アダプタ500が子局100の電波圏内に入ると、これらの間の通信が確立することにより、子局100と保守装置700との間でLTE通信が確立し、これらの間で大容量通信が可能となる。したがって、LPWA通信における通信量の制約を受けることなく、短時間でアップデートプログラムのような大容量データの送受信を行うことができる。これにより、子局管理者は、遠隔地からでも効率的に子局100の保守を行うことができる。
【0065】
これにより、子局管理者の移動時間や筺体の開閉に要する時間を削減することができる上、子局100の設置場所の状況によらず、安全に作業を行うことができる。また、中継アダプタ500を移動させる作業者は、特別な知識を必要としないため、作業者が子局100の電波圏内に中継アダプタ500を持ち込むだけで大容量通信を行うことができる。さらに、子局100は、通常モードと保守モードとを区別し、同じLPWA通信機能を切り替えることができるので、新たな通信用部材を必要とすることなく、比較的安価に大容量通信を行うことができる。
【0066】
<実施形態3>
本実施形態にかかる通信システム1000aは、実施形態2で説明した通信システム1000における中継アダプタ500が、保守装置700として機能するものである。実施形態2においては、保守時に子局管理者が保守装置700を用いて子局100と通信し、保守を行ったが、本実施形態では、保守にかかる処理をマクロとして予め中継アダプタ500に記憶させておく。これにより、中継アダプタ500を保守用の装置として用いることができる。この場合、保守時に子局管理者が子局100と通信する必要がないため、中継アダプタ500は、LTE通信機能を必要としない。
【0067】
図10は、本実施形態にかかる通信システム1000aの構成を示すブロック図である。
通信システム1000aは、サーバ400、LPWAネットワーク300、親局200a及び200b、子局100a~100c、保守装置700aを備えている。
保守装置700aは、子局100a~100cとLPWA通信を行い、子局100a~100cの保守を行う。子局100a~100cは、保守モード開始時刻Tsに、保守装置700aとの通信が可能な待機状態に遷移する。
【0068】
図11は、保守装置700aの構成を示すブロック図である。保守装置700aは、制御部710及びLPWA通信部720を備えている。制御部710及びLPWA通信部720は、実施形態2における中継アダプタ500の制御部510及びLPWA通信部520にそれぞれ対応している。ただし、制御部710は、LPWA通信方式とLTE通信方式との変換を行わなくてもよい。また、制御部710は、子局100a~100cの保守にかかる処理を実行するマクロ機能を備えている。上記以外の構成については、実施形態2で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態にかかる通信システム1000aによれば、実施形態2と同様の効果を奏することができる。また、子局管理者が子局100と通信を行うことなく、保守を行うことができる。
【0070】
<実施形態4>
本実施形態にかかる通信システム1000bは、実施形態2における保守モード開始時刻Tsを設けないものである。
実施形態2にかかる通信システム1000では、子局100の消費電力を削減するため、子局100は事前に設定された下り通信時刻Tdでのみデータの受信を行い、それ以外にはデータの受信は行わない。しかし、例えば、子局100に低消費電力が必要とされておらず、データの受信が常時可能な場合には、通常モード時に、中継アダプタ500からの信号を常に待ち受けるようにしてもよい。その場合、子局100は、中継アダプタ500が子局100の電波圏内に入った際に中継アダプタ500を検出し、保守モードに移行する。このようにすることで、予め保守モード開始時刻Tsを設けることなく、子局管理者の任意のタイミングで保守を行うことができる。
【0071】
通信システム1000bの構成は、実施形態2において図2を用いて説明した通信システム1000と同様である。通信システム1000bは、サーバ400、LPWAネットワーク300、親局200a及び200b、子局100a~100c、中継アダプタ500、LTEネットワーク600、保守装置700を備えている。子局100a~100cは、常時、中継アダプタ500との通信が可能な待機状態である。
【0072】
以上説明したように、本実施形態にかかる通信システム1000bによれば、実施形態2と同様の効果を奏することができる。また、子局管理者は、任意のタイミングで保守を行うことができる。
【0073】
<ハードウエアの構成例>
上述の例において、子局100等の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、子局100等の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
【0074】
図12は、子局100等を実現するコンピュータ900のハードウエア構成を例示するブロック図である。コンピュータ900は、スマートフォンやタブレット端末などといった可搬型のコンピュータである。コンピュータ900は、子局100等を実現するために設計された専用のコンピュータであってもよいし、汎用のコンピュータであってもよい。
【0075】
例えば、コンピュータ900に対して所定のアプリケーションをインストールすることにより、コンピュータ900で、子局100等の各機能が実現される。上記アプリケーションは、子局100等の機能構成部を実現するためのプログラムで構成される。
【0076】
コンピュータ900は、バス902、プロセッサ904、メモリ906、ストレージデバイス908、入出力インタフェース910、及びネットワークインタフェース912を有する。バス902は、プロセッサ904、メモリ906、ストレージデバイス908、入出力インタフェース910、及びネットワークインタフェース912が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ904などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0077】
プロセッサ904は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ906は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス908は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又は ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0078】
入出力インタフェース910は、コンピュータ900と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース910には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
【0079】
ネットワークインタフェース912は、コンピュータ900をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、LAN(Local Area Network)であってもよいし、WAN(Wide Area Network)であってもよい。
【0080】
ストレージデバイス908は、子局100等の各機能構成部を実現するプログラム(前述したアプリケーションを実現するプログラム)を記憶している。プロセッサ904は、このプログラムをメモリ906に読み出して実行することで、子局100等の各機能構成部を実現する。
【0081】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、第1及び第2の通信方式は、LPWA通信方式及びLTE通信方式に限らず、他の通信方式を用いてもよい。例えば、第2の通信方式による通信ネットワークとして、LTEネットワーク600に代えて、Wi-fi(Wireless Fidelity、登録商標)を含む通信ネットワークを用いてもよい。
【0082】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
サーバと、
前記サーバと第1通信方式により通信する親局と、
前記親局と第1通信方式により無線通信可能に接続され、前記親局を介して前記サーバと通信する子局と、
前記子局と前記第1通信方式により通信し、かつ、前記子局の保守を行う保守装置と第2通信方式により通信することにより、前記子局と前記保守装置との間の通信を中継する中継アダプタと、
を備え、
前記サーバは、前記親局を介して前記子局に保守モードの開始時刻を送信し、
前記子局は、前記保守モードの開始時刻に、前記中継アダプタとの通信が可能な待機状態に遷移する、
通信システム。
(付記2)
前記中継アダプタは、移動可能であり、
前記保守モードの開始時刻後に前記中継アダプタを前記子局の通信圏外から前記子局の通信圏内に移動させた場合に、前記子局と前記中継アダプタとの間の通信を確立する、
付記1に記載の通信システム。
(付記3)
前記中継アダプタは、前記子局の通信圏内に設置されている、
付記1又は2に記載の通信システム。
(付記4)
前記サーバ、前記親局及び前記子局により構成される通信システムは、前記子局により測定されたデータを前記サーバにより収集するシステムである、
付記1から3のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記5)
前記子局は、河川に設けられ、
前記子局は、前記河川の水位を測定し、前記測定したデータを前記サーバに送信する、
付記1から4のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記6)
前記子局は、前記保守装置からの要求を受けて前記保守モードを終了する、
付記1から5のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記7)
前記第2通信方式は、前記第1通信方式と比較して、大容量のデータ通信が可能な通信方式である、
付記1から6のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記8)
前記第1通信方式はLPWA(Low Power Wide Area)通信方式であり、前記第2通信方式はLTE(Long Term Evolution)通信方式である、
付記1から7のいずれか1項に記載の通信システム。
(付記9)
サーバと、
前記サーバと第1通信方式により通信する親局と、
前記親局と第1通信方式により無線通信可能に接続され、前記親局を介して前記サーバと通信する子局と、
前記子局と前記第1通信方式により通信し、前記子局の保守を行う保守装置と、
を備え、
前記サーバは、前記親局を介して前記子局に保守モードの開始時刻を送信し、
前記子局は、前記保守モードの開始時刻に、前記保守装置との通信が可能な待機状態に遷移する、
通信システム。
(付記10)
サーバと、
前記サーバと第1通信方式により通信する親局と、
前記親局と第1通信方式により無線通信可能に接続され、前記親局を介して前記サーバと通信する子局と、
前記子局と前記第1通信方式により通信し、かつ、前記子局の保守を行う保守装置と第2通信方式により通信することにより、前記子局と前記保守装置との間の通信を中継する中継アダプタと、
を備える通信システム。
(付記11)
サーバと通信する親局と、第1通信方式により無線通信を行い、
前記親局を介して前記サーバから保守モードの開始時刻を受信し、
前記保守モードの開始時刻に、保守を行う保守装置との通信を第2通信方式により行う中継アダプタとの第1通信方式による通信が可能な待機状態に遷移する、
子局。
(付記12)
前記保守モードの開始時刻後に、移動可能な前記中継アダプタを前記子局の通信圏外から前記子局の通信圏内に移動させた場合に、前記中継アダプタとの間の通信を確立する、
付記11に記載の子局。
(付記13)
サーバが、親局を介して子局に保守モードの開始時刻を第1通信方式により送信するステップと、
前記子局が、前記保守モードの開始時刻に、前記子局の保守を行う保守装置との通信を中継する中継アダプタとの通信が可能な待機状態に遷移するステップと、
を備え、
前記中継アダプタは、前記子局と前記第1通信方式により通信し、かつ、前記保守装置と第2通信方式により通信することにより、前記子局と前記保守装置との間の通信を中継する、
通信方法。
(付記14)
サーバと通信する親局と、第1通信方式により無線通信を行う処理と、
前記親局を介して前記サーバから保守モードの開始時刻を受信する処理と、
前記保守モードの開始時刻に、保守を行う保守装置との通信を第2通信方式により行う中継アダプタとの第1通信方式による通信が可能な待機状態に遷移する処理と、
をコンピュータに実行させる通信プログラム。
【符号の説明】
【0083】
10 通信システム
11 サーバ
12 親局
13 子局
14 中継アダプタ
100、100a~100c 子局
110 センサ部
120 通信制御部
130 LPWA通信部
200、200a、200b 親局
300 LPWAネットワーク
400 サーバ
500 中継アダプタ
510 制御部
520 LPWA通信部
530 LTE通信部
600 LTEネットワーク
700、700a 保守装置
710 制御部
720 LPWA通信部
900 コンピュータ
902 バス
904 プロセッサ
906 メモリ
908 ストレージデバイス
910 入出力インタフェース
912 ネットワークインタフェース
1000、1000a、1000b 通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14