(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20220830BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G06T1/00 420C
G02B1/04
G06T1/00 400F
(21)【出願番号】P 2020215045
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0003720
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520510368
【氏名又は名称】リ ベクフン
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】リ ベクフン
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1515346(KR,B1)
【文献】特開2019-036235(JP,A)
【文献】特開平10-269340(JP,A)
【文献】特開2018-136764(JP,A)
【文献】特開2019-193102(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1179423(KR,B1)
【文献】米国特許第06154285(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
1/60
G02B 1/00 - 1/08
3/00 - 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸パターンが形成された印章(S)の映像情報を光学的に生成するための印鑑映像獲得装置(D)であって、
光源(L)から出射した光が入射される入射面11と、印章(S)の凹凸パターンにより反射された光が伝達される映像伝達面12と、反射された光を映像獲得部(C)へ出射する出射面13とを含むプリズム部10;
前記プリズム部10の映像伝達面12上に接触して備えられる高透過性弾性層20;及び
前記高透過性弾性層20の上部に備えられ、印章(S)の凹凸パターンが直接的に加圧され、前記高透過性弾性層20より透過率が低い低透過性弾性層40;を含
み、
前記入射面11を通過した光は、前記低透過性弾性層40に臨界角より大きい角度で入射され、
前記低透過性弾性層40に入射された光は、前記低透過性弾性層40と接触する前記印章(S)の凸部で吸収が行われて凹部で反射が行われ、
前記低透過性弾性層40における相対的な透過率低下によって前記低透過性弾性層40の表面に残存する印肉による光の吸収が防止されるようにすることを特徴とする鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置。
【請求項2】
凹凸パターンが形成された印章(S)の映像情報を光学的に生成するための印鑑映像獲得装置(D)であって、
光源(L)から出射した光が入射される入射面11と印章(S)の凹凸パターンにより反射された光が伝達される映像伝達面12と、反射された光を映像獲得部(C)へ出射する出射面13とを含むプリズム部10;
前記プリズム部10の映像伝達面12上に接触して備えられる高透過性弾性層20;
前記高透過性弾性層20上に接触して備えられる高透過性フィルム層30;及び
前記高透過性フィルム層30上に接触して備えられ、印章(S)の凹凸パターンが直接的に加圧され、前記高透過性弾性層20より透過率が低い低透過性弾性層40;を含
み、
前記入射面11を通過した光は、前記低透過性弾性層40に臨界角より大きい角度で入射され、
前記低透過性弾性層40に入射された光は、前記低透過性弾性層40と接触する前記印章(S)の凸部で吸収が行われて凹部で反射が行われ、
前記低透過性弾性層40における相対的な透過率低下によって前記低透過性弾性層40の表面に残存する印肉による光の吸収が防止されるようにすることを特徴とする鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置。
【請求項3】
前記低透過性弾性層40の厚さは、0.15m
mであることを特徴とする請求項1または2に記載の鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置。
【請求項4】
前記高透過性フィルム層30の厚さは、0.045乃至0.075mmであることを特徴とする請求項2に記載の鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置。
【請求項5】
前記高透過性弾性層20の厚さは、2.0m
mであることを特徴とする請求項1または2に記載の鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置(Stamp Image Acquisition Device with Excellent Clarity and Cushioning)に関するものであり、より詳細には、プリズム部の映像伝達面上に順次に接触して備えられる高透過性弾性層と低透過性弾性層との透過率の差を用いた鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印鑑は、よく印章やスタンプの凹凸パターン上に印肉やインクをつけ、紙のような表面にこれを押印することで、印肉やインクを介してパターンを現出させる。しかし、このような伝統的方式の印鑑は印肉やインクによって印章やスタンプが汚染され、維持管理が煩わしく、紙に現出された印鑑を電子文書化する過程で別途のスキャン装備を利用して印鑑をスキャンする非効率性が伴う。
【0003】
このような問題点を解決するために、最近、金融機関や公共機関では個人の意思決定を証明する印鑑を効率良く処理するために印鑑スキャナが開発され、市場に量産されている。
【0004】
これに関連する先行技術文献としては、大韓民国登録特許第10-1515346号の「凹凸型パターン映像獲得装置」(以下、「特許文献1」という)がある。前記特許文献1は、
図1aに示すようにプリズム1の情報入力面1aに密着するように弾性パッド2を備えるが、前記弾性パッド2は、順次に第1の弾性層2a、光透過層2b及び第2の弾性層2cを備えることによって、弾性パッド2の第2の弾性層2cによる押印が行われるようにしながらも、光透過層2bによって圧力が分散され、印鑑映像に歪みが生じないように提案した。
【0005】
しかし、前記特許文献1は、印章が直接に当接する第2の弾性層2cに既存印章の印肉やインクが付いている場合、次の押印の際に印鑑映像に影響することにより鮮明度が低下することはもちろん、印鑑映像の自体に歪みが生じる問題点があった。
【0006】
それだけでなく、本来の意図とは違って、第2の弾性層2cと光透過層2bの厚さがそれぞれ0.12mm前後と薄く形成されることにより、使用者が印章を押印する過程で実質的にクッション感がほとんど提供されないという限界があり、第1の弾性層2aの厚さが過度に厚く形成されることによって、不必要に素材使用量が増加するもう一つの問題点があった。
【0007】
このような問題点を解決するために、大韓民国登録特許第10-1594114号「二重弾性構造を備えたパターンイメージ獲得装置及びその方法」(以下、「特許文献2」という)が提案されている。前記特許文献2は、
図1bに示すようにプリズム1の情報入力面1aに密着するように弾性パッド2を備えるが、前記弾性パッド2と離隔され、その間に空間部4が設けられるように弾性膜3を備えることによって、印章を加圧する際、弾性膜3を媒介で弾性パッド2が押印されるようにし、離脱時に再度空間部4が設けられ、弾性膜3にのみ印肉やインクがつくだけで、弾性パッド2には直接的な影響がないようにして、鮮明度の優れた印鑑映像を提供しようとした。
【0008】
しかし、前記特許文献2は、弾性膜3の表面が印章に十分な摩擦力を提供できず、押印の過程において印章の滑り現象が発生し、これにより、使用者による細かな押印が行われない限り、印鑑映像に歪みが生じる問題点があった。
【0009】
それだけでなく、弾性膜3が薄い膜構造をとるにつれて耐久性が優れていないため、簡単に破れたり、伸びたりする問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】大韓民国登録特許第10-1515346号
【文献】大韓民国登録特許第10-1594114号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記の問題点を解決するために導出されたものであって、印章の押印過程において使用者に十分なクッション感を与えながらも、表面に印肉やインクが付いても鮮明度が優れた印鑑映像を提供することができ、不必要な弾性素材の使用量を節減しながらも耐久性に優れた鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置(D)は、凹凸パターンが形成された印章(S)の映像情報を光学的に生成するためのものであって、光源(L)から出射した光が入射される入射面11と、印章(S)の凹凸パターンにより反射された光が伝達される映像伝達面12と、反射された光を映像獲得部(C)へ出射する出射面13とを含むプリズム部10;前記プリズム部10の映像伝達面12上に接触して備えられる高透過性弾性層20;及び前記高透過性弾性層20の上部に備えられ、印章(S)の凹凸パターンが直接的に加圧され、前記高透過性弾性層20より透過率が低い低透過性弾性層40;を含むことを特徴とする。
【0013】
他の実施形態として、本発明の鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置(D)は、凹凸パターンが形成された印章(S)の映像情報を光学的に生成するためのものであって、光源(L)から出射した光が入射される入射面11と、印章(S)の凹凸パターンにより反射された光が伝達される映像伝達面12と、反射された光を映像獲得部(C)へ出射する出射面13とを含むプリズム部10; 前記プリズム部10の映像伝達面12上に接触して備えられる高透過性弾性層20;前記高透過性弾性層20上に接触して備えられる高透過性フィルム層30;及び前記高透過性フィルム層30上に接触して備えられ、印章(S)の凹凸パターンが直接的に加圧され、前記高透過性弾性層30より透過率の低い低透過性弾性層40;を含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記高透過性弾性層20及び高透過性フィルム層30は、透過率が0.8乃至1であり、前記低透過性弾性層40は、透過率が0.3乃至0.5である方が好ましい。
【0015】
さらに、前記高透過性弾性層20の厚さは、0.15mm以上である方が好ましい。
【0016】
加えて、前記高透過性フィルム層30の厚さは、0.045乃至0.075mmである方が好ましい。
【0017】
なお、前記低透過性弾性層40の厚さは、2.0mm以上である方が好ましい。
【0018】
そして、前記映像獲得部(C)には、印章(S)の凹凸パターンにより反射した光の明暗比を増加させる鮮明度補正部50を含むことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置によると、高透過性弾性層上に一定硬度の高透過性フィルム層を接触して備え、印章の押印過程において使用者に十分なクッション感を与えながらも、フィルム層によって押印圧力を分散させることができる。
【0020】
また、前記高透過性弾性層と高透過性フィルム層上に低透過性弾性層を備えて、表面に印肉やインクが残存しても鮮明度の優れた印鑑映像を提供することができる。
【0021】
さらに、低透過性弾性層と高透過性フィルム層の相対的な厚さの割合に基づいて、高透過性弾性層の素材の使用量を節減しながらも、十分な耐久性が確保できる。
【0022】
そして、一部の光透過率が低くなって反射された光の明るさが低下しても、鮮明度補正部が映像情報の明暗比(Contrast)を増加させ鮮明な印鑑映像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1a】従来技術による印鑑映像獲得装置を示す断面図である。
【
図1b】従来技術による印鑑映像獲得装置を示す断面図である。
【
図2a】本発明の一実施例による印鑑映像獲得装置を示す断面図である。
【
図2b】本発明の印鑑映像獲得装置の作動原理を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施例による印鑑映像獲得装置を示す断面詳細図である。
【
図4】本発明の他の実施例による印鑑映像獲得装置を示す断面詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置(D)について、実施例及び図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
本発明の鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置(D)は、凹凸パターンが形成された印章(S)の映像情報を光学的に生成するためのものであり、
図2a及び
図3に示すようにプリズム部10、高透過性弾性層20及び低透過性弾性層40を含むことができる。
【0026】
一方、本発明の印鑑映像獲得装置(D)は、
図1a及び
図1bに示すような従来技術による映像獲得装置と同様に、前記プリズム部10、高透過性弾性層20及び低透過性弾性層40以外に必須に光を出射する光源(L)と、反射された光に基づいて印鑑映像を生成する映像獲得部(C)とを備えなければならないが、これらの構成を含めて一つの装置に具現することができ、前記の構成は別途分離して他の装置として具現することも可能である。
【0027】
前記プリズム部10は、入射される光を反射、透過及び屈折して出射させ、印章(S)に形成された凹凸パターンによる印鑑映像を生成する構成であって、入射面11、映像伝達面12及び出射面13を含む。具体的に、前記入射面11は、光源(L)から出射した光が入射される部分に設けられた面であり、前記映像伝達面12は、印章(S)の凹凸パターンにより反射された光が伝達される部分に設けられた面であり、前記出射面13は、反射された光を映像獲得部(C)へ出射する部分に設けられた面である。
【0028】
一方、前記プリズム部10の映像伝達面12上には、順次に上述した高透過性弾性層20及び低透過性弾性層40が積層具備され得る。光源(L)から出射された光は、プリズム部10の入射面11を介して流入され、映像伝達面12を経てその上部に接触して備えられる高透過性弾性層20及び低透過性弾性層40を順次に透過して印章(S)の凹凸パターンに基づいて部分的に吸収又は反射され、反射した光は再び映像伝達面12を経て出射面13を介して映像獲得部(C)へ出射される。
【0029】
前記高透過性弾性層20は、前記プリズム部10の映像伝達面12上に接触して備えられるものであり、シリコン系又はウレタン系弾性重合体で製作され得る。前記高透過性弾性層20は、光源(L)から出射される光が吸収乃至反射することが最小化され、ほとんどが透過されるように透過率が0.8乃至1となるように形成する方が好ましい。
【0030】
一方、前記高透過性弾性層20は、使用者が印章を押印する際、最終的に圧力を受容吸収して、緩衝する機能を行うものであって、厚さが厚いほど緩衝効果が増加し得るが、自重が増加し、且つ素材使用量が増加する短所がある。
【0031】
また、実施形態によって、
図4に示すように前記高透過性弾性層20上には、高透過性フィルム層30が備えられ得る。前記高透過性フィルム層30は、高透過性弾性層20上に積層されるように接触して備えられる構成であって、前記高透過性弾性層20と同様に、高透過性フィルム層30も光源(L)から出射される光が吸収ないし反射が最小化され、ほとんどが透過されるように、透過率が0.8乃至1となるように形成する方が好ましい。
【0032】
前記高透過性フィルム層30は、一定の硬度を有するように形成されるものであって、印章の押印過程において発生する局部的な押印圧力を均等に分散させることにより、下部に備えられる高透過性弾性層20が圧力を完全に受容して緩衝させることができるように機能する。
【0033】
また、前記低透過性弾性層40は、前記高透過性弾性層20ないし高透過性フィルム層30上に接触して備えられ、印章(S)の凹凸パターンが直接的に加圧される構成であって、シリコン系又はウレタン系弾性重合体で製作され、十分な摩擦力とクッション感が提供され、使用者が印章(S)を押印する際に滑り現象が発生しないため、効果良く押印ができるとともに使用感が増進する効果もある。それだけでなく、使用者を異にすることにより、印鑑映像が異なって現出されることなく、均質で安定した映像情報の獲得が可能となる利点がある。
【0034】
ただし、
図2bに示すように、本発明の印鑑映像獲得装置(D)は、光源(L)から出射される光が低透過性弾性層40における外面の臨界角より大きい角で入射される吸収式を採用した装置であるので、印章(S)の凹凸パターンのうち低透過性弾性層40と接触する凸部には光の吸収が行われ、凹部には反射が行われる。
【0035】
そこで本発明は、人為的に低透過性弾性層40の透過率を低下させ、表面に残存する印肉によって光が吸収されないように提案したものであり、前記低透過性弾性層40が前記高透過性弾性層20より透過率が低く形成される点に技術的差別性がある。 前記低透過性弾性層40は、表面に印肉やインクが残存し、汚染された状態であっても透過率が相対的に低く形成されることにより、残存印肉やインクによって吸収される光を最小限に抑える。したがって、相対的に反射される光の量を増加させることができるので、印鑑映像に不必要な歪みが発生する現象を防止して鮮明度を確保することができる。
【0036】
上述したように、前記高透過性弾性層20及び/又は高透過性フィルム層30は、光源(L)から出射される光が吸収乃至反射が最小化され、ほとんどが透過できるように透過率が0.8乃至1となるように形成する方が好ましい。
【0037】
これにより、前記高透過性弾性層20と高透過性フィルム層30の透過率範囲を前記数値範囲に限定した状態(厚さはそれぞれ2.0mm、0.05mm)において、前記低透過性弾性層40に印肉を人為的に塗布した状態で低透過性弾性層40の透過率(厚さは0.15mm)による映像情報を導出しようとした。映像情報の結果は、残存印肉による映像歪曲があるか否かに分類した。
【0038】
(実施例1)透過率の割合による映像歪み及び明るさの低下(高透過性弾性層のみ具備)
【表1】
【0039】
(実施例2)透過率の割合による映像歪み及び明るさの低下(高透過性弾性層及びフィルム層の両方とも具備)
【表2】
【0040】
前記した実施例は、全実験をすべて記載したわけではなく、代表的な実施例のみをまとめて記載したものであり、前記表に基づいて前記高透過性弾性層20及び高透過性フィルム層30は、透過率が0.8乃至1であり、前記低透過性弾性層40は、透過率が0.5を超える場合は、残存した印肉により印鑑映像に歪みが発生するが、透過率が0.5以下で形成される場合には、特に歪みがなく本来の押印印鑑の映像が獲得されることが確認できる。
【0041】
ただし、低透過性弾性層40の透過率が0.3未満で形成される場合には、映像情報の明るさ(明度)が低下しすぎて好ましくないところ、0.3乃至0.5で形成される方が望ましく、更に好ましくは、前記高透過性弾性層20及び高透過性フィルム層30は、透過率が0.8乃至1であることを前提として、前記低透過性弾性層40の透過率は0.35乃至0.45であり得る。
【0042】
さらに、本発明の印鑑映像獲得装置(D)を作製することにおいて、
図4に示すように高透過性フィルム層30と低透過性弾性層40の相対的な厚さに基づき、使用パターンを異にする100人の使用者に基づき滑りや、特定部分への圧入が集中する現象が発生しない最適な厚さの割合を下記の実施例に基づき導出しようとした。このとき、前記高透過性弾性層20の厚さは、十分な余裕をもって2.0mmに形成した。
【0043】
(実施例3)高透過性フィルム層30の厚さが0.10mmである場合
【表3】
【0044】
(実施例4)高透過性フィルム層30の厚さが0.08mmの場合
【表4】
【0045】
(実施例5)高透過性フィルム層30の厚さが0.05mmの場合
【表5】
【0046】
(実施例6)高透過性フィルム層30の厚さが0.04mmの場合
【表6】
【0047】
前記の実施例は、全実験をすべて記載したわけではなく、代表的な実施例のみをまとめて記載したものであって、前記低透過性弾性層40は、高透過性フィルム層30の厚さとは無関係に、その厚さが0.15mmに満たない場合には、滑り現象と圧入集中現象が相対的に高く発生することが確認できる。
【0048】
また、前記低透過性弾性層40が最低0.15mmが確保されても、前記高透過性フィルム層30の厚さは、最低0.08mm以上の場合には滑り現象が発生したし、印章の圧入による曲げ現象が発生しても容易に復元が行われたが、0.04mm以下で形成される場合には滑りは少ないが、印章の枠に沿って濃くスキャンされる圧入集中現象が発生し、非復元変形が一部発生して機能性に低下が引き起こされると確認された。
【0049】
したがって、前記低透過性弾性層40は、0.15mm以上確保される方が望ましく、前記高透過性フィルム層30は、0.045乃至0.075mmで形成する方が好ましいと導出された。
【0050】
一方、前記低透過性弾性層40と高透過性フィルム層30とが構造的に最も不利な厚さで形成される場合であって、前記低透過性弾性層40が0.15mmであり、高透過性フィルム層30が0.045mmの場合に前記高透過性弾性層20の厚さは2.0mm以上であれば圧印圧力の吸収が十分に行われ、圧力解除後の弾性復元に何ら問題はないと確認された。
【0051】
また、本発明は、低透過性弾性層40によって一部光透過率が低くなって、反射された光の明るさが低下され得る。しかし、本発明の印鑑映像獲得装置(D)は、上述の映像獲得部(C)において、印章(S)の凹凸パターンにより反射された光の明暗比を増加させる鮮明度補正部50を含むことができる。これによって、前記鮮明度補正部50が映像情報の明暗比(Contrast)を増加させ鮮明な印鑑映像を提供することができる。
【0052】
以上で説明した本発明の鮮明度とクッション感が優れた印鑑映像獲得装置(D)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が、本発明の技術思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施され得ることが理解できるであろう。
【0053】
したがって、以上で記述した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならず、本発明の範囲は、前述の詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその等価概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0054】
D:印鑑映像獲得装置
S:印章
L:光源
C:映像獲得部
10:プリズム部
11:入射面
12:映像伝達面
13:出射面
20:高透過性弾性層
30:高透過性フィルム層
40:低透過性弾性層
50:鮮明度補正部