(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】用紙の綴じ方法及び該方法によって綴じられたノート類
(51)【国際特許分類】
B42B 4/00 20060101AFI20220830BHJP
B42D 15/00 20060101ALI20220830BHJP
B42D 3/18 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
B42B4/00
B42D15/00 301A
B42D3/18 F
(21)【出願番号】P 2021073895
(22)【出願日】2021-04-26
【審査請求日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2020118175
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】598145680
【氏名又は名称】有限会社中正紙工
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝彦
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04775257(US,A)
【文献】特開2008-132655(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0237961(US,A1)
【文献】特開2008-221696(JP,A)
【文献】特開平10-315655(JP,A)
【文献】特開平05-338391(JP,A)
【文献】特開昭58-063500(JP,A)
【文献】特開2011-116067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42B 2/00-9/06
B42C 1/00-99/00
B42D 1/00-15/00
15/04-19/00
B42F 1/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一辺に沿って
一端側から他端側の間に複数の綴じ孔が同一ピッチで形成された複数枚の用紙を積層し、これらの用紙の互いに
上下で連通する前記綴じ孔に、
水引又は非金属製の紐状線材を綴じ紐として
前記綴じ孔の一端側から他端側へ順次通すことによって当該複数枚の用紙を綴じて一冊のノート類とする用紙の綴じ方法であって、
前記
綴じ紐を前記綴じ孔にそれぞれ通すとき、通される部分に前記
綴じ紐により
順次形成される複数のリング部
を、隣接する
綴じ孔に通される前記綴じ紐によって前記リング部同士
が当該
綴じ紐で互いに連結
されるように綴じることを特徴とする用紙の綴じ方法。
【請求項2】
前記水引又は前記非金属製の紐状線材は、同色又は色違いの平行な複数本を1本の綴じ紐とする請求項1に記載の用紙の綴じ方法。
【請求項3】
前記水引
又は前記非金属製の紐状線材は、
複数本を予め三つ編みにして綴じ紐と
する請求項1に記載の用紙の綴じ方法。
【請求項4】
前記非金属製の紐状線材は、天然革製、織物製、プラスチック製のいずれか
である請求項1~3のいずれかに記載の用紙の綴じ方法。
【請求項5】
前記一端側の綴じ孔から他端側の綴じ孔に向かう綴じ孔に
3本の水引のうち2本
を互いに
上下逆方向から
順に通し、
各綴じ孔に通された2本の水引を他のフリーな1本の水引と共に編み込む作業を繰り返
して綴じることを特徴とする請求項1に記載の用紙の綴じ方法。
【請求項6】
前記複数枚の用紙は、表表紙、裏表紙、
及び複数枚の中紙である請求項1
~5のいずれかに記載の用紙の綴じ方法。
【請求項7】
前記複数枚の用紙は、表表紙と裏表紙である請求項1
~5のいずれかに記載の用紙の綴じ
方法。
【請求項8】
前記中紙は、当該中紙の複数枚分の長さを有する一枚の用紙を屏風折した用紙であって、その用紙の始端頁又は終端頁を前記表表紙又は
前記裏表紙の内面に貼着する
請求項6に記載の用紙の綴じ方法。
【請求項9】
一辺に沿って
一端側から他端側の間に複数の綴じ孔を同一ピッチで有する表表紙
と、前記表表紙と同じ綴じ孔を有する裏表紙
と、及び前記表表紙と同じ綴じ孔を有する複数枚の中紙
とを含む用紙の、前記綴じ孔を揃えて積層した用紙と、
前記
一端側から他端側に並んだ綴じ孔に通される複数本の同色又は色違いの水引
又は複数本の非金属製の紐状線材による綴じ紐と、
前記綴じ孔に通された前記
綴じ紐が形成する複数のリング部と、
隣接する前記リング部
がそのリング部を形成する
前記綴じ紐で連結した
形になった連結部と、
を備えることを特徴とするノート類。
【請求項10】
前記中紙は、当該中紙の複数枚分の長さを有する一枚の用紙であって、中紙の長さに屏風折され、その用紙の始端頁又は終端頁が前記表表紙又は
前記裏表紙の内面に貼着されている用紙を備える請求項9に記載のノート類。
【請求項12】
前記連結部は、リング部を形成する
前記水引
又は前記非金属製の紐状線材を編み込んで形成する請求項9~11のいずれかに記載のノート類。
【請求項13】
前記水引
又は前記非金属製の紐状線材の一端を長く延ばしこの延ばした部分を栞に形成する請求項9~12のいずれかに記載のノート類。
【請求項14】
前記
非金属製の紐状線材は、天然革製、織物製、プラスチック製のいずれかである請求項9~13のいずれかに記載のノート類。
【請求項15】
一辺に沿って
一端側から他端側の間に複数の綴じ孔を同一ピッチで有する表表紙と、前記表表紙と同じ綴じ孔を有する裏表紙とを、前記綴じ孔を平面上で対向させて配置する表表紙及び裏表紙と、
前記
一端側から他端側に並んだ綴じ孔に通される複数本の同色又は色違いの水引
又は非金属製の紐状線材による綴じ紐と、
前記綴じ孔に通された前記綴じ紐が形成する複数のリング部と、
を備えることを特徴とするブックカバー。
【請求項16】
前記リング部は、綴じ孔を通る
綴じ紐を形成する水引
又は非金属製の紐状線材を編み込んだ形の背表紙にする請求項15に記載のブックカバー。
【請求項17】
複数本の
前記水引
又は前記非金属製の紐状線材は、予め三つ編みにし
た綴じ紐として前記綴じ
孔に通されている請求項15に記載のブックカバー。
【請求項18】
前記
非金属製の紐状線材は、天然革製、織物製、プラスチック製のいずれかである請求項15~17のいずれかに記載のブックカバー。
【請求項19】
前記水引
又は前記非金属製の紐状線材の一端を長く延ばしこの延ばした部分を栞に形成する請求項15~18のいずれかに記載のブックカバー。
【請求項20】
複数の綴じ孔を同一ピッチで有する表表紙と、前記表表紙と同じ綴じ孔を有する裏表紙と、前記表表紙と同じ綴じ孔を有する複数枚の中紙と、前記表表紙と
前記裏表紙と
前記中紙をそれらの綴じ孔において綴じるための同色又は色違いの複数本の水引
又は非金属製の紐状線材による綴じ紐と、によって形成する請求項9~14に記載のノート類を製作するための製本キット。
【請求項21】
前記中紙は、当該中紙の複数枚分の長さを有する一枚の用紙を屏風折した用紙であって、その用紙の始端頁又は終端頁が前記表表紙又は前記裏表紙の内面に貼着されている請求項20に記載の製本キット。
【請求項22】
複数本の
前記水引
又は前記非金属製の紐状線材は、予め三つ編みにして1本の綴じ紐とした請求項20又は21に記載の製本キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綴じ具として水引を用いた用紙の綴じ方法及び該方法によって製作されるノート類に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートや手帳、カレンダー、アルバム、スケッチブックなど(以下、「ノート類」と総称する)は、一辺に沿って複数の綴じ孔が同一ピッチで形成された複数枚の用紙を積層し、これらの用紙の互いに連通する前記綴じ孔に綴じ具を通して複数枚の用紙を綴じることによって製作されている。
【0003】
ところで、綴じ具としては、金属線材を軸方向に螺旋状に巻回して成るスパイラルリングや軸方向に延びる線材を切断して得られるツインリングなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記スパイラルリングやツインリングは、ノート類を開いて使用する際に、隣接するページ間にリング部が露出するため、ユーザーの手が露出したリング部に触れ、違和感を覚えるという問題がある。
【0005】
そこで、特許文献2には、綴じ具をポリプロピレンなどの合成樹脂によって構成する提案がなされている。ここで、合成樹脂は、金属に比べて比較的軟質であるため、ユーザーが綴じ具のリング部に触れても違和感や不快感を覚えることがない。
【0006】
ところが、金属製や合成樹脂製の綴じ具は不燃物であるため、可燃物である用紙と共に焼却することができない。また、使用済みのノート類を古紙として再利用(リサイクル)する場合には、綴じ具を用紙から取り外して該綴じ具と用紙とを分別する必要があり、その分別作業が面倒で多大な時間を要するために用紙のリサイクル性が悪いという問題がある。
【0007】
そこで、特許文献3には、生分解性と可燃性を有するバルカナイズドファイバー製の綴じ具が提案されている。この綴じ具は、可燃性を有するバルカナイズドテープを成形芯金に加熱状態で巻き付けて螺旋状に成形されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-202354号公報
【文献】特許第5374721号公報
【文献】特許第4772948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献3において提案されたバルカナイズドファイバー製の綴じ具は、湿度や温度などの周囲の環境の変化によって伸び、その径が大きくなって全長が短縮するために、用紙の綴じ孔から外れてしまうという欠点を有している。このため、特許文献3には、綴じ具の末端部に係止部を形成することによって前記欠点を解消する提案がなされているが、係止部を形成するための手間と時間を要する。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、紙のリサイクル性の向上に資するとともに、和風の風合いを備える嗜好性の高いノート類を製作することができる用紙の綴じ方法と該方法によって製作されるノート類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、一辺に沿って複数の綴じ孔が同一ピッチで形成された複数枚の用紙を積層し、これらの用紙の互いに連通する前記綴じ孔に、同色又は色違いの複数本の水引を綴じ紐として順次通すことによって当該複数枚の用紙を綴じて一冊のノート類とする用紙の綴じ方法であって、前記水引を前記綴じ孔にそれぞれ通すとき、通される部分に前記水引により形成される複数のリング部の隣接するリング部同士を当該水引で互いに連結することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、隣接する各2つの前記綴じ孔に前記水引をそれぞれ通して該水引に形成される複数のリング部同士をクロスさせて互いに連結する作業を繰り返すことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記綴じ孔に2本の前記水引を互いに逆方向から通し、通された2本の水引を他のフリーな1本の水引と共に編み込む作業を繰り返すことを特徴とする
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項1~8の何れかに記載の用紙の綴じ方法によって製作するノート類を特徴とする。そして請求項10に記載の発明は、請求項1~8のいずれかに記載の用紙の綴じ方法によって製作するノート類であって、中紙は、複数枚分の長さを有する一枚の用紙であって、中紙の長さに屏風折され、その用紙の始端頁又は終端頁が前記表表紙又は裏表紙の内面に貼着されている用紙であることを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項9又は10記載の発明において、予め三つ編みにして1本の綴じ紐として前記綴じ穴に通されていることを特徴とするノート類であり、請求項13記載の発明は、前記水引の一端を長く延ばしこの延ばした部分を栞に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、可燃性材料である和紙から成る水引を用紙の綴じ具として使用するため、該水引によって綴じられたノート類を古紙として再利用する場合、水引を用紙から取り外して分別する必要がなく、手間と時間を省略して紙のリサイクル性を高めることができる。また、古来から我が国において慶事などに使用されている同色又は色違いの水引を綴じ具に利用するため、この水引によって綴じられたノート類は、和風の風合いを備える嗜好性の高いものとなり、ユーザーの趣味に沿った満足度の高い製品となる。
【0017】
また、水引の綴じ孔にそれぞれ通される部分に形成される複数のリング部の隣接するもの同士をリング部を形成する水引を編み込んで互いに連結するようにしたため、湿度や温度等の環境の変化によって水引が伸縮しても、該水引のリング部が用紙の綴じ孔から外れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るノートの斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態2に係るノートの斜視図である。
【
図5】(a),(b)は本発明の実施の形態2に係るノートの綴じ方法をその工程順に示す部分斜視図である。
【
図6】実施の形態2に係るノートの綴じ方法における水引の編地組織図の一例である。
【
図7】実施の形態3に係るノートの綴じ方法における水引の編地組織図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
<実施の形態1>(隣接するリングをクロスさせて連結)
図1は本発明の実施の形態1に係るノートの斜視図、
図2は
図1のA部拡大詳細図であり、
図1に示すノート1は、厚紙などによって構成された表表紙2と裏表紙3との間に、筆記用の複数の中紙4を積層状態で配置し、これらの表表紙2と裏表紙3及び中紙4の一辺を綴じ具である同色又は色違いの3本の水引5によって綴じ込むことによって製作されている。このように製作されたノート1は、使用時に水引5による綴じ部を中心として開き、開かれた中紙4の所要のページに筆記などし、使用後は
図1に示すように閉じられる。
【0021】
ここで、表表紙2と裏表紙3及び中紙4の各一辺には、複数の円孔状の綴じ孔6が長手方向に沿ってそれぞれ同一ピッチで形成されている。なお、水引5は、贈答品の包み紙などに掛ける紅白や白黒などの帯紐であって、和紙をこより状にして糊を引き、乾燥させて固めたものであって、本実施の形態では、紅白を含む複数色の水引が綴じ具として使用されている。
【0022】
本実施の形態では、前述のように色違い(例えば、黄色と緑色及びピンク色)の3本の水引5(「
1本の綴じ紐」であるが「水引5」という)によって表表紙2と裏表紙3及び中紙4が綴じられているが、以下に水引5による綴じ方法の一例を
図2に基づいて説明する。なお、
説明の便宜上、
図2においては、水引
5のうち、綴じ孔6-2を
通って引き出された部分を5A、綴じ孔6-1を
通って引き出された部分を5Bと指称する。また、
図2で隣接する綴じ孔
6をそれぞれ6-1,6-2,6-3と表示している。
【0023】
図2に示すように、綴じ孔6-2
を下方から通ってその上
方に引き出された
部分の水引5Aは、次(
図2の右側)の綴じ孔6-3に下方から通される。
綴じ孔6-2の上方から引き出された水引5Aは、
その綴じ孔6-2に隣接する左側の綴じ孔6-1
の上方から引き出されて綴じ孔6-2に下方から通される水引5B
(この水引5Bが綴じ孔6-2の上方から引き出されて水引5Aになる)の綴じ孔6-2に通される前の部分に巻付くように引っ掛けられる(
これを、
水引5における水引5Aと5B
の部分がクロスして互いに連結される、
という)。この結果、水引5
(1本の綴じ紐)が、並んだ綴じ孔6(6-1~6-3)に
順に通されるとき、それぞれの通される部分に形成される複数のリング部5aの隣接するもの同士が互いに連結され
た形になる。
【0024】
以下、上記と同様の作業が連続的に繰り返され、上下に積層された表表紙2と裏表紙3及び中紙4の各一辺が水引5によって綴じられることによって
図1に示す一冊のノート1が製作される。
この実施の形態では、同色又は色違いの3本の水引によって表表紙2、裏表紙3及び中紙4を綴じているが、製本時間を短縮するために、この3本の水引を事前に三つ編みにして1本の水引の紐として表表紙、裏表紙及び中表紙を綴じることもできる。
【0025】
以上のように、本実施の形態によれば、可燃性材料である和紙から成る複数本の水引5を表表紙2と裏表紙3及び中紙4の綴じ具として使用するため、該水引5によって綴じられたノート1を古紙として再利用(リサイクル)する場合、水引5を表表紙2と裏表紙3及び中紙4から取り外して分別する必要がなく、手間と時間を省略して紙のリサイクル性を高めることができる。また、古来から我が国において慶事などに使用されている同色又は色違いの水引5を綴じ具に利用するため、該水引5によって綴じられたノート1は、和風の風合いを備える嗜好性の高いものとなり、ユーザーの趣味に沿った満足度の高い製品となる。
【0026】
さらに、本実施の形態では、水引5の綴じ孔6にそれぞれ通される部分に形成される複数のリング部5aの隣接するもの同士を互いに連結するようにしたため、湿度や温度等の環境の変化によって水引5が伸縮しても、該水引5のリング部5aが表表紙2と裏表紙3及び中紙4の各綴じ孔6から外れることがない。隣接するリング部5a同士の連結態様は、
図2は一例であって
図2以外の連結態様もできる。
【0027】
<実施の形態2>(隣接するリングを三つ編みで連結)
次に、本発明の実施の形態2を
図3~
図5に基づいて以下に説明する。
【0028】
図3は本発明の実施の形態2に係るノートの斜視図、
図4は
図3のB部拡大詳細図、
図5(a),(b)は本実施の形態2に係るノートの綴じ方法をその工程順に示す部分斜視図、
図6は本実施の形態2において水引が形成した編地組織図の一例を示す図である。
【0029】
本実施の形態に係るノート11は、前記実施の形態1に係るノート1と同様に、厚紙などによって構成された表表紙12と裏表紙13との間に、筆記用の複数の中紙14を積層状態で配置し、これらの表表紙12と裏表紙13及び中紙14の一辺を綴じ具である同色又は色違いの3本の水引15(151,152,153)によって綴じ込むことによって製作されている。このように製作されたノート11は、前記実施の形態1に係るノート1と同様に、使用時に水引15(151~153)による綴じ部を中心として開き、開かれた中紙14の所要のページに筆記などし、使用後は
図3に示すように閉じられる。
【0030】
ここで、表表紙12と裏表紙13及び中紙14の各一辺には、複数の円孔状の綴じ孔16が長手方向に沿ってそれぞれ同一ピッチで形成されている。
【0031】
而して、本実施の形態においては、前述のように色違い(例えば、赤色と白色及びピンク色)の3本の水引15(151~153)によって表表紙12と裏表紙13及び中紙14が
図3及び
図4に示すように綴じられているが、以下、水引15(151~153)による綴じ方法を
図5(a),(b)に基づいて説明する。
【0032】
すなわち、
図5(a)に示すように、1つの綴じ孔16に各1本の水引151,152を互いに逆方向(上方向と下方向)からそれぞれ通し、
図5(b)に示すように、通された2本の水引151,152を他のフリーな1本の水引153と共に編み込む(一例として三つ編みする)ことによって連結部15Aを形成する。そして、次に
図5(b)に示すように、連結部15Aから延びる2本の水引151,152を隣接する次の綴じ孔16に互いに逆方向(上方向と下方向)からそれぞれ通す。形成された編地組織図は、例えば
図6のようになる。
【0033】
以下、上記作業を連続的に繰り返すことによって、上下に積層された表表紙12と裏表紙13及び中紙14の各一辺が水引15によって綴じられることによって一冊のノート11が製作されるが、このノート11においては、水引15の綴じ孔16にそれぞれ通される部分に形成される複数のリング部15aの隣接するもの同士が三つ編みの連結部15Aによって互いに連結されている。
【0034】
ところで、本実施の形態においては、
図3に示すように、3本の水引15の編み込まれた部分15Bを長く延ばし、この延ばされた部分15Bをしおりとして使用すれば、ノート11の実用性が高められる。
【0035】
以上のように、本実施の形態に係るノート11においても、可燃性材料である和紙から成る水引15を表表紙12と裏表紙13及び中紙14の綴じ具として使用するため、前記実施の形態1と同様に、紙のリサイクル性が高められとともに、ノート11が和風の風合いを備える嗜好性の高いものとなり、ユーザーの趣味に沿った満足度の高い製品となる。
【0036】
また、本実施の形態に係るノート11においては、水引15の綴じ孔16にそれぞれ通される部分に形成される複数のリング部15aの隣接するもの同士が三つ編みを含む編み込みされた連結部15Aによって互いに連結されているため、湿度や温度等の環境の変化によって水引15が伸縮しても、該水引15のリング部15aが表表紙12と裏表紙13及び中紙14の各綴じ孔16から外れることがない。
【0037】
<実施の形態3>(ブックカバー、御朱印帳)
実施の形態1および2では、一辺に沿って複数の綴じ穴が同一ピッチで形成された複数枚の用紙として、表表紙、裏表紙及び複数枚の中紙を積層したものについて、本発明の綴じ方法を適用した。実施の形態3では、実施の形態1又は2の同様の綴じ方法を採用するが、上記複数枚の用紙として表表紙と裏表紙を積層したものに適用する。
まず、表表紙と裏表紙を本発明の綴じ方法で綴じたものは、ブックカバーとして使用することができる。また、表表紙と裏表紙を本発明の綴じ方法で綴じたものにおいて、中紙複数枚分の長さを有する一枚の用紙を屏風折した用紙を中紙として用い、この用紙の始端頁又は終端頁を表表紙又は裏表紙の内面に貼着させてノート類とすることができる。これは、御朱印帳として使用することができる。
本実施の形態3における水引の編地は、例えば
図7のような組織図となるよう編み上げることができる。
【0038】
なお、本発明は、ノート以外の手帳、カレンダー、アルバム、スケッチブック、などのノート類とその綴じ方法に対しても同様に適用可能である。
【0039】
また、以上の実施の形態では、水引が通される綴じ孔として円孔状のものを例示したが、綴じ孔は矩形孔状等の多角形孔状のものであっても良く、また、その数は任意である。
さらに、綴じ具としての水引の代わりに、天然革製、織物製、プラスチック製のいずれかを含む非金属製の紐状線材を使用することができる。また、綴じ具の本数も3本に限らず、複数本であれば任意であるし、複数本の水引を三つ編みにした1本の水引の紐を用いて綴じることもできる。
【0040】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1,11 ノート(ノート類)
2,12 表表紙(用紙)
3,13 裏表紙(用紙)
4,14 中紙(用紙)
5,15 水引
15A 水引の連結部
15B 水引の延長部
5a,15a 水引のリング部
6,16 綴じ孔