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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20220830BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220830BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20220830BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/48 G
H01L21/60 321E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017235683
(22)【出願日】2017-12-08
(65)【公開番号】P2019102765
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(72)【発明者】
【氏名】山本 勲
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 裕一
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-043820(JP,A)
【文献】特開2006-156748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/48
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性のチップ搭載領域、ゲート接続領域、および、前記チップ搭載領域と前記ゲート接続領域を除いた残余の領域が同一平面に定義された実装フレームと、
オン状態において第1主電極と第2主電極の間に主電流が流れる第1の半導体素子を含み、前記チップ搭載領域に搭載された第1の半導体チップと、
オン状態において第1主電極と第2主電極の間に主電流が流れる第2の半導体素子を含み、前記チップ搭載領域に搭載された第2の半導体チップと、
前記第1の半導体チップを挟んで前記実装フレームの上方に配置された第1部品、及び、前記第1部品と分離されて前記第2の半導体チップを挟んで前記実装フレームの上方に配置された第2部品を有する板状の導電性クリップと、
前記第1の半導体素子と前記第2の半導体素子のそれぞれのオンオフ動作を制御するコントロール回路を含み、前記残余の領域において前記実装フレームに搭載されたコントローラチップと
を備え、
前記第1の半導体素子の前記実装フレームに対向する主面に配置された前記第1の半導体素子のゲートが、前記コントローラチップとボンディングワイヤによって電気的に接続する前記実装フレームの前記ゲート接続領域と接し、
前記第2の半導体素子の前記導電性クリップに対向する主面に配置された前記第2の半導体素子のゲートが、ボンディングワイヤによって前記コントローラチップと電気的に接続し、
前記第1の半導体素子の前記第2主電極と前記第2の半導体素子の前記第1主電極が前記チップ搭載領域により短絡され、前記第1の半導体素子と前記第2の半導体素子が縦続接続し
平面視において前記第1の半導体素子と前記コントローラチップが第1方向に並んで配置され、平面視で前記第1方向に垂直な第2方向に前記第1の半導体素子と前記第2の半導体素子が並んで配置され、前記第1の半導体素子の前記第1方向の長さが前記第2の半導体素子より相対的に短いことにより生じる領域に前記第2の半導体素子と並べて前記コントローラチップが配置されており、かつ、前記第2の半導体素子の前記第1方向の長さが、前記第1の半導体素子と前記コントローラチップが配置された領域よりも長い、半導体パッケージ。
【請求項2】
前記実装フレームが第1の電源端子と第2の電源端子を有し、
前記導電性クリップの前記第1部品を介して、前記第1の半導体素子の前記第1主電極と前記第1の電源端子が電気的に接続され、
前記導電性クリップの前記第2部品を介して、前記第2の半導体素子の前記第2主電極と前記第2の電源端子が電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記第1の電源端子が、前記第1の半導体素子と前記第2の半導体素子を駆動するための電源電圧が印加される端子であり、前記第2の電源端子が接地端子であって
前記第1の半導体素子と前記第2の半導体素子の接続点から出力電圧を供給する電源装置の一部を構成することを特徴とする請求項2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記第1の半導体素子と前記第2の半導体素子が縦型半導体素子であって、
前記第1の半導体チップと前記第2の半導体チップのそれぞれにおいて、互いに対向する主面に前記第1主電極と前記第2主電極がそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記第1の半導体素子がnチャネル型のFETであり、前記第2主電極としてソースを前記実装フレームに向けて、前記第1の半導体チップが前記実装フレームにフリップチップ実装されていることを特徴とする請求項4に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記第2の半導体素子がnチャネル型のFETであり、前記第1主電極としてドレインを前記実装フレームに向けて、前記第2の半導体チップが前記実装フレームにフリップチップ実装されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の半導体パッケージ。
【請求項7】
前記導電性クリップが、前記第1の半導体チップ及び前記第2の半導体チップの端部に沿って折れ曲がりながら、前記実装フレームに向かって延伸していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体素子を含む半導体チップが搭載される半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップが搭載される半導体パッケージについて、高性能化及び高品質化のための開発が進められている。例えば、アナログパワーデバイス用の半導体パッケージなどに、実装フレームと板状の導電性クリップによって半導体チップを挟むように構成した半導体パッケージが使用されている。
【0003】
電気的な接続に導電性クリップを使用することにより、ボンディングワイヤを用いる場合などと比較して、半導体パッケージの低インピーダンス化を実現できる。また、板状の導電性クリップを使用することにより、半導体パッケージの放熱性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2009-534869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、導電性クリップを介して半導体チップの出力を半導体パッケージの端子に取り出す構成により、出力経路の低インピーダンス化が制限されるという問題が生じる。
【0006】
上記問題点に鑑み、本実施形態は、導電性クリップを使用し、且つ出力経路のインピーダンスを低下させた半導体パッケージを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の一態様によれば、導電性のチップ搭載領域、ゲート接続領域、および、チップ搭載領域とゲート接続領域を除いた残余の領域が同一平面に定義された実装フレームと、オン状態において第1主電極と第2主電極の間に主電流が流れる第1の半導体素子を含み、チップ搭載領域に搭載された第1の半導体チップと、オン状態において第1主電極と第2主電極の間に主電流が流れる第2の半導体素子を含み、チップ搭載領域に搭載された第2の半導体チップと、第1の半導体チップを挟んで実装フレームの上方に配置された第1部品、及び、第1部品と分離されて第2の半導体チップを挟んで実装フレームの上方に配置された第2部品を有する板状の導電性クリップと、第1の半導体素子と第2の半導体素子のそれぞれのオンオフ動作を制御するコントロール回路を含み、残余の領域において実装フレームに搭載されたコントローラチップとを備え、第1の半導体素子の実装フレームに対向する主面に配置された第1の半導体素子のゲートが、コントローラチップとボンディングワイヤによって電気的に接続する実装フレームのゲート接続領域と接し、第2の半導体素子の導電性クリップに対向する主面に配置された第2の半導体素子のゲートが、ボンディングワイヤによってコントローラチップと電気的に接続し、第1の半導体素子の第2主電極と第2の半導体素子の第1主電極がチップ搭載領域により短絡され、第1の半導体素子と第2の半導体素子が縦続接続し、平面視において第1の半導体素子とコントローラチップが第1方向に並んで配置され、平面視で第1方向に垂直な第2方向に第1の半導体素子と第2の半導体素子が並んで配置され、第1の半導体素子の第1方向の長さが第2の半導体素子より相対的に短いことにより生じる領域に第2の半導体素子と並べてコントローラチップが配置されており、かつ、第2の半導体素子の第1方向の長さが、第1の半導体素子とコントローラチップが配置された領域よりも長い、半導体パッケージが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、導電性クリップを使用し、且つ出力経路のインピーダンスを低下させた半導体パッケージを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る半導体パッケージの構成を示す模式的な断面図である。
図2】実施形態に係る半導体パッケージに搭載される半導体チップにより構成される出力モジュールの回路図である。
図3】実施形態に係る半導体パッケージの構成を示す模式的な平面図である。
図4】実施形態に係る半導体パッケージを用いて構成される電源装置の回路図である。
図5】比較例の半導体パッケージの構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0011】
また、以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。実施形態は、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【0012】
実施形態に係る半導体パッケージは、図1に示すように、導電性のチップ搭載領域15を有する実装フレーム10と、チップ搭載領域15にそれぞれ搭載された第1の半導体チップ21及び第2の半導体チップ22と、実装フレーム10の上方に配置された板状の導電性クリップ30とを備える。第1の半導体チップ21と第2の半導体チップ22を間に挟んで、実装フレーム10と導電性クリップ30が配置されている。
【0013】
導電性クリップ30は、第1の半導体チップ21を挟んで実装フレーム10の上方に配置された第1部品31と、第2の半導体チップ22を挟んで実装フレーム10の上方に配置された第2部品32を有する。第1部品31と第2部品32とは分離して配置されている。
【0014】
第1の半導体チップ21は、オン状態において第1主電極と第2主電極の間に主電流が流れる第1の半導体素子T1を含む。第2の半導体チップ22は、オン状態において第1主電極と第2主電極の間に主電流が流れる第2の半導体素子T2を含む。
【0015】
第1の半導体素子T1と第2の半導体素子T2は、縦型半導体素子である。即ち、第1の半導体チップ21と第2の半導体チップ22のそれぞれにおいて、互いに対向する主面に第1主電極と第2主電極がそれぞれ配置されている。以下では、第1の半導体素子T1及び第2の半導体素子T2がnチャネル型のMOSFETである場合について説明する。図1では、第1の半導体素子T1及び第2の半導体素子T2の第1主電極をドレインD、第2主電極をソースSとして示している(以下において同様。)。なお、図1では図示されていないが、ゲートGがソースSと同一の主面に配置されている。
【0016】
実装フレーム10のチップ搭載領域15は、図1に図示されていない出力端子に連結している。第1の半導体素子T1の第2主電極であるソースSと、第2の半導体素子T2の第1主電極であるドレインDのそれぞれが、チップ搭載領域15に接している。
【0017】
即ち、第1の半導体素子T1のソースSを実装フレーム10に向けて、第1の半導体チップ21が実装フレーム10にフリップチップ実装されている。そして、第2の半導体素子T2のドレインDを実装フレーム10に向けて、第2の半導体チップ22が実装フレーム10にフリップチップ実装されている。
【0018】
なお、第1の半導体チップ21及び第2の半導体チップ22と実装フレーム10との接合や、第1の半導体チップ21及び第2の半導体チップ22と導電性クリップ30との接合には、錫(Sn)、鉛(Pb)、銀(Ag)などの金属又はこれらの合金を含有する導電性接着材などが使用される。例えば、これらの接合に半田接合が用いられる。図1に示した例では、第1の半導体チップ21と実装フレーム10とは接合材211により接合され、第2の半導体チップ22と実装フレーム10とは接合材221により接合されている。第1の半導体チップ21と導電性クリップ30の第1部品31とは接合材212により接合され、第2の半導体チップ22と導電性クリップ30の第2部品32とは接合材222により接合されている。
【0019】
図1に示すように、実装フレーム10は、第1の電源端子11と第2の電源端子12を有する。導電性クリップ30の第1部品31を介して、第1の半導体素子T1のドレインDと第1の電源端子11が電気的に接続されている。そして、導電性クリップ30の第2部品32を介して、第2の半導体素子T2のソースSと第2の電源端子12が電気的に接続されている。
【0020】
導電性クリップ30の端部は、図1に示すように折り曲げられている。即ち、第1の半導体チップ21及び第2の半導体チップ22の端部に沿って折れ曲がりながら、導電性クリップ30は実装フレーム10に向かって延伸している。
【0021】
このように実装フレーム10に向けて屈曲させることにより、導電性クリップ30の第1部品31の端部は、実装フレーム10の第1の電源端子11に接続されている。また、導電性クリップ30の第2部品32の端部は、実装フレーム10の第2の電源端子12に接続されている。
【0022】
導電性クリップ30の材料には、導電性のよい銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)などが使用される。例えば、厚み200μm程度のCu板が導電性クリップ30に使用される。
【0023】
なお、樹脂成形するなどして、第1の半導体チップ21及び第2の半導体チップ22が搭載された実装フレーム10を封止材によって被覆することが好ましい。例えばエポキシ樹脂などによるモールド封止によって、半導体チップの保護や半導体パッケージの補強などができる。図1では、モールド材60によって半導体パッケージがモールド封止された例を示した。
【0024】
上記のように、図1に示した半導体パッケージでは、第1の半導体素子T1のソースSと第2の半導体素子T2のドレインDがチップ搭載領域15により短絡され、第1の半導体素子T1と第2の半導体素子T2が縦続接続している。このため、例えば図2に示す出力モジュールM1が半導体パッケージに構成される。出力モジュールM1では、第1の電源端子11は、第1の半導体素子T1及び第2の半導体素子T2を駆動するための電源電圧Vccが印加される電源端子である。また、第2の電源端子12は、接地端子(GND端子)である。そして、第1の半導体素子T1のソースSと第2の半導体素子T2のドレインDとの接続点が、出力端である。
【0025】
図2に示す出力モジュールM1は、第1の半導体素子T1と第2の半導体素子T2のそれぞれのオンオフ動作を制御するコントロール回路50を備える。コントロール回路50を集積化したコントローラチップを実装フレーム10に搭載することにより、2つのMOSFETとこれらのMOSFETを駆動するコントロール回路を備える出力モジュールM1を1つの半導体パッケージで実現できる。
【0026】
図2に示す出力モジュールM1は、第1の半導体素子T1をハイ側スイッチング素子、第2の半導体素子T2をロー側スイッチング素子とした構成である。例えば、出力モジュールM1を用いて、ハイ側スイッチング素子とロー側スイッチング素子の接続点から出力電圧Voutを供給する電源装置を構成可能である。
【0027】
図3に、第1の半導体チップ21、第2の半導体チップ22、及びコントロール回路50を含むコントローラチップ23を搭載した半導体パッケージのレイアウト例を示す。なお、図1図3のI-I方向に沿った断面図である。
【0028】
第1の半導体素子T1のゲートGはソースSと同一の主面に配置されており、このゲートGは、実装フレーム10のゲート接続領域16と接している。ゲート接続領域16は、ボンディングワイヤ41によってコントローラチップ23と電気的に接続されている。また、第2の半導体素子T2のゲートGは、ボンディングワイヤ42によってコントローラチップ23と電気的に接続されている。チップ搭載領域15は、出力端子13と連結している。
【0029】
図4に、図2に示す出力モジュールM1を電源装置の一部に使用した例を示す。図4に示した電源装置は、出力モジュールM1と、出力モジュールM1を制御する制御モジュールM2を備える。制御モジュールM2は、処理回路401と、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)されたパルス信号を出力するデジタルPWM回路402と、電気信号のアナログデジタル変換を行うADC回路403を備える。
【0030】
処理回路401は、以下に説明するように、出力モジュールM1から出力される電圧に応じてデジタルPWM回路402を制御する。
【0031】
デジタルPWM回路402は、処理回路401からの信号に基づいてパルス信号Pを生成する。パルス信号Pは、出力モジュールM1のコントロール回路50に送信される。
【0032】
コントロール回路50は、デジタルPWM回路402からのパルス信号Pに応じて、第1の半導体素子T1と第2の半導体素子T2のオンオフ動作を制御する。これにより、所定の出力電圧Voutが出力モジュールM1から供給される。
【0033】
図4に示すように、第1の半導体素子T1と第2の半導体素子T2との接続点に、インダクタLoを介して、接地(GND)との間に出力キャパシタCoと負荷500が接続されている。負荷500は、例えばCPU(central processing unit)やDDR方式のSDRAMなどのメモリ装置、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(digital signal processor)、モータ制御ICなどである。図4に示した電源装置では、インダクタLoと出力キャパシタCoとの接続点が、負荷500に供給する出力電圧Voutが出力される出力端である。
【0034】
ADC回路403は、出力電圧Voutをモニタし、出力電圧Voutをデジタル値に変換して処理回路401に出力する。処理回路401は、ADC回路403でモニタした出力電圧Voutと目標出力電圧との差に応じてデジタルPWM回路402を制御し、出力電圧Voutが一定値になるように調整する。上記のように、図4に示した電源装置によれば、PWM制御によって出力電圧Voutを目標出力電圧に設定することができる。
【0035】
図5に、比較例の半導体パッケージの構成を示す。図5に示した比較例は、第1の半導体チップ21と、第2の半導体チップ22が、実装フレーム10Aと導電性クリップ30Aに挟まれている。そして、図2に示した回路と同様に第1の半導体素子T1と第2の半導体素子T2が縦続接続されている。即ち、第1の半導体素子T1のソースSと第2の半導体素子T2のドレインDが接続されている。
【0036】
ただし、比較例のパッケージと図1に示した半導体パッケージとは、半導体チップの上下の向きや導電性クリップ30Aによって接続される箇所が異なる。即ち、第1の半導体素子T1のドレインDを実装フレーム10Aに向けて、第1の半導体チップ21が実装フレーム10Aのチップ搭載領域15Aにフリップチップ実装されている。そして、第2の半導体素子T2のソースSを実装フレーム10Aに向けて、第2の半導体チップ22が実装フレーム10Aのチップ搭載領域15Bにフリップチップ実装されている。チップ搭載領域15Aとチップ搭載領域15Bとは、絶縁分離されている。そして、第1の半導体素子T1のソースSと第2の半導体素子T2のドレインDが導電性クリップ30Aに接している。
【0037】
なお、第1の半導体チップ21とチップ搭載領域15Aが接合材211によって接合され、第2の半導体チップ22とチップ搭載領域15Bが接合材221によって接合されている。第1の半導体素子T1のソースSと導電性クリップ30Aが接合材212によって接合され、第2の半導体素子T2のドレインDと導電性クリップ30Aが接合材222によって接合されている。
【0038】
比較例の半導体パッケージでは、例えば電源電圧が印加される電源端子にチップ搭載領域15Aが連結し、接地端子にチップ搭載領域15Bが連結する。これにより、図2に示すような、電源端子と接地端子の間に第1の半導体素子T1と第2の半導体素子T2が縦続接続された回路が構成される。
【0039】
上記のように、図5に示した比較例の半導体パッケージでは、導電性クリップ30Aによって第1の半導体素子T1と第2の半導体素子T2が接続されている。この点が、実装フレーム10によって第1の半導体素子T1と第2の半導体素子T2が接続される図1に示した実施形態に係る半導体パッケージと異なる。
【0040】
比較例の半導体パッケージでは、第1の半導体素子T1と第2の半導体素子T2の接続点である出力端が、導電性クリップ30Aに接続されている。そして、導電性クリップ30Aが半導体パッケージの出力端子13Aに接続されている。つまり、出力端から半導体パッケージの出力端子13Aまでの出力経路に、導電性クリップ30Aが含まれる。
【0041】
一方、図1に示した半導体パッケージでは、第1の半導体素子T1と第2の半導体素子T2の接続点である出力端が、実装フレーム10のチップ搭載領域15に接している。つまり、出力端から半導体パッケージの出力端子13までの出力経路に導電性クリップ30を含まない。
【0042】
即ち、実施形態に係る半導体パッケージでは、比較例とは異なり、出力端が実装フレーム10に直接に接続されている。このため、図1に示した半導体パッケージによれば、出力経路の寄生抵抗や寄生インダクタンスを抑制することができる。その結果、出力経路のインピーダンスをより低くすることができる。
【0043】
また、図5に示した比較例の半導体パッケージでは、実装フレーム10Aが、チップ搭載領域15Aとチップ搭載領域15Bに分離されている。このため、実装フレーム10Aから、半導体パッケージの外部下側に露出する端子形状も分離される。つまり、チップ搭載領域15Aとチップ搭載領域15Bの間隔に対応する分だけ端子面積が小さくなる。端子面積は放熱性に影響するため、比較例の半導体パッケージの放熱性の最大化が制限される。
【0044】
これに対し、図1に示した半導体パッケージでは、第1の半導体素子T1と第2の半導体素子T2が単一のチップ搭載領域15に搭載されるため、半導体パッケージの外部下側に露出される端子面積を比較例よりも大きくできる。したがって、実施形態に係る半導体パッケージによれば、放熱性を向上させることができる。
【0045】
実施形態に係る半導体パッケージは、例えば以下のようにして形成される。先ず、第1の電源端子11、第2の電源端子12、出力端子13、チップ搭載領域15を有する実装フレーム10を準備する。
【0046】
次に、半導体チップを実装フレーム10に搭載する。このとき、既に説明したように、第1の半導体素子T1のソースSと第2の半導体素子T2のドレインDがチップ搭載領域15に接するように、第1の半導体チップ21と第2の半導体チップ22を実装フレーム10にフリップチップ実装する。
【0047】
次いで、所定のワイヤーボンディングを行う。即ち、第2の半導体素子T2のゲートGとコントローラチップ23とを電気的に接続する。また、実装フレーム10のゲート接続領域16とコントローラチップ23とを電気的に接続する。
【0048】
その後、第1の半導体素子T1のドレインDと実装フレーム10の第1の電源端子11とを接続するように、導電性クリップ30の第1部品31を配置する。また、第2の半導体素子T2のソースSと実装フレーム10の第2の電源端子12とを接続するように、導電性クリップ30の第2部品32を配置する。
【0049】
以上により、導電性クリップ30を使用し、且つ、出力経路のインピーダンスを低下させることのできる半導体パッケージが形成される。
【0050】
(その他の実施形態)
上記のように実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は実施形態を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0051】
例えば、既に述べた実施形態の説明においては、2つのMOSFETとこれらのMOSFETを制御するコントロール回路を含む出力モジュールM1を1つの半導体パッケージで実現する例を示したが、他の構成を1つの半導体パッケージによって実現してもよい。例えば、それぞれがMOSFETを含む2つの半導体チップのみを半導体パッケージに搭載してもよい。或いは、図4に示した電源装置の全体を1つの半導体パッケージで実現してもよい。
【0052】
また、上記では第1の半導体素子T1及び第2の半導体素子T2がnチャネル型のMOSFETである場合について説明したが、これらの半導体素子がpチャネル型のMOSFETであってもよい。あるいは、他のタイプのFETやFET以外のトランジスタであってもよい。
【0053】
また、図4において制御モジュールM2がデジタル方式の回路により構成される場合を示したが、制御モジュールM2はこの構成に限られない。例えば、制御モジュールM2を、出力電圧Voutと内部基準電圧を比較する誤差増幅器やPWMコンパレータなどのアナログ回路により構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本実施形態の半導体パッケージは、半導体チップを搭載するパッケージ全般に利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
10…実装フレーム
11…第1の電源端子
12…第2の電源端子
13…出力端子
15…チップ搭載領域
21…第1の半導体チップ
22…第2の半導体チップ
23…コントローラチップ
30…導電性クリップ
31…第1部品
32…第2部品
50…コントロール回路
M1…出力モジュール
T1…第1の半導体素子
T2…第2の半導体素子
図1
図2
図3
図4
図5