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▶ ボード オブ トラスティーズ オブ ミシガン ステート ユニバーシティの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】光活性デバイス、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/46 20060101AFI20220830BHJP
   H01L 51/42 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H01L31/04 154E
H01L31/08 T
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017556155
(86)(22)【出願日】2016-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 US2016026169
(87)【国際公開番号】W WO2016176008
(87)【国際公開日】2016-11-03
【審査請求日】2019-01-31
(31)【優先権主張番号】62/153,299
(32)【優先日】2015-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502243376
【氏名又は名称】ボード オブ トラスティーズ オブ ミシガン ステート ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ラント,リチャード アール.
(72)【発明者】
【氏名】サッダード-バングサンド,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】トラヴァーズ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,マーガレット
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/102985(WO,A1)
【文献】特開2015-032606(JP,A)
【文献】国際公開第2012/063964(WO,A1)
【文献】特表2008-528706(JP,A)
【文献】国際公開第2013/167224(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0140962(US,A1)
【文献】VERON, A. C. et al.,NIR-Absorbing Heptamethine Dyes with Tailor-Made Counterions for Application in Light to Energy Conversion,ORGANIC LETTERS,2014年02月05日,Vol.16,pp.1044-1047
【文献】WICHT, G. et al.,Stability of bilayer trimethine cyanine dye/fullerene organic solar cells,SOLAR ENERGY MATERIALS & SOLAR CELLS,2013年08月22日,Vol.117,pp.585-591
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/42-51/48
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの有機塩をともに混合して対イオン合金を生成する工程であって、前記対イオン合金の前記有機塩は、同じイオンを有するが、対イオンが異なる工程;及び
第1電極と第2電極との間に対イオン合金を配置して、前記少なくとも2つの異なる有機塩を含むアクティブ層を生成する工程;を含み、
前記アクティブ層は光を収集する光活性デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記対イオンは、ハロゲン化物、アリールボレート、カルボラン、(Λ,R)-(1,1’-ビナフタレン-2,2’ジオラート)(ビス(テトラクロロ-1,2-ベンゼンジオラート)ホスフェート(V))(BINPHAT)、[Δ-トリス(テトラクロロ-1,2-ベンゼンジオラート)ホスフェート(V)](TRISPHAT)、フルオロアンチモネート、フルオロホスフェート、フルオロボレート、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全米科学財団(National Science Foundation)により授与された第CBET1254662号の下に政府支援を得て成されたものである。本発明について、政府は一定の権利を有する。
本開示は、効率的な有機、透明、及び多接合型の光電池デバイス及び光検出器デバイスのための、拡張された近赤外光を収集することができる、有機小分子塩に関する。
【発明の詳細な説明】
【0002】
〔関連特許〕
本出願は、2015年4月27日に出願された米国特許出願第62/153,299号に基づく優先権を主張する。上記出願の開示の全てを参照によりここに組み込む。
【0003】
〔背景技術〕
この節では、本開示に関連する背景技術の情報を示しているが、それらは必ずしも先行技術ではない。
【0004】
有機光電池(OPV)は、安価で高スループットの製造についてのそれらの可能性、並びに、例えば、可撓性及び透明性の太陽電池といった独自の用途についてのそれらの可能性のために、急速に商業上実現可能となってきている。しかしながら、慣用の無機電池と比較して、OPVは、通常、太陽とのスペクトルの重なりにより制限される。ほとんどの分子が、900nmを過ぎると効率的な光変換を示さず、入射する太陽光子線束のほぼ半分が未利用のままである。この領域において吸収を有する分子は、しばしば、低い開回路電圧(VOC)を示す。例えば、SnPc及びPbPcは、近950nm及び1000nmの吸収カットオフを有するが、これらは、それぞれVOCが0.42V及び0.47Vであり、現実的な励起子電圧のほぼ半分が制限される。この電圧制限及び制限されたスペクトル範囲のために、高い透明性を有する透明有機光電池(TPV)の電流デモンストレーションは、2~4%に制限されている。効率的なNIR分子のカタログを拡張することは、全整色のタンデムセル、並びに単接合型及び多接合型透明光電池の性能の向上を助ける。
【0005】
ポリメチンは、効率的な、NIR-収集性且つ可視的に透明なNIR-収集化合物への要求を満たす最も有望な分子クラスの1つである。ポリメチンは、これらの整調可能な吸収、高い減衰係数、及び高い溶解性のために、光電池用途への注目が高まっているイオン性有機塩のクラスである。近年、近赤外光において吸収極大を有するポリメチンが、不透明デバイスについては1.5~2.8%の効率で、半透明デバイス及び透明発光性太陽集光器については0.9~2.2%の効率で、OPVデバイスにおいて用いられている。
【0006】
シアニン光電池を改良するための近年の試みは、デバイス性能、光学特性及び固体状態包装へのより大きいギャップ分子の陽イオン化学及び対イオンの影響の研究に焦点が置かれている。例えば、PF は、二層デバイスにおいてClO よりも高い充填比を示す。また、フッ素化フェニル基を有する嵩高いキラル陰イオンであるΔ-TRISPHATをPF と交換することは、Voc及びJscが、より大きいギャップシステムにおいて、ほぼ50%も増加し得る。好適な対イオンとしてのΔ-TRISPHATの選択は、Δ-TRISPHAT対イオンが、固体状態においてシアニン陽イオンの偏光を減じ、また、ほぼゼロの結合長変化(BLA)を示したことを示す光物理的及び構造研究に基づいてなされた。Br、I及びPF のようなより硬い対イオンは、BLAが2~6pmを示した。それにもかかわらず、効率的な有機、透明、及び多接合型の光電池デバイス及び検出器のための、拡張された近赤外光を収集することができる、新規の有機小分子塩の開発への要求がある。
【0007】
〔概要〕
この節では、本開示の概要を示しているが、包括的な本開示の全ての範囲又は全ての特徴を示すものではない。
【0008】
本技術は、基板、前記基板内に配置されるか又は前記基板の少なくとも1つの表面上に配置される第1電極、有機塩及び場合により相補的な電子供与体又は電子受容体を含むアクティブ層、並びに第2電極を含む光活性デバイスを提供する。有機塩は、太陽スペクトルの近赤外又は赤外領域における光を選択的に吸収する。様々な実施形態において、有機塩は、ポリメチン誘導体有機陽イオンを含む。
【0009】
本技術はまた、有機塩を有するアクティブ層を備えた光活性デバイスを提供する。有機塩は対イオンを含み、ここで、対イオンは、ハロゲン化物、アリールボレート、カルボラン、(Λ,R)-(1,1’-ビナフタレン-2,2’ジオラート)(ビス(テトラクロロ-1,2-ベンゼンジオラート)ホスフェート(V))(BINPHAT)、[Δ-トリス(テトラクロロ-1,2-ベンゼンジオラート)ホスフェート(V)](TRISPHAT)、フルオロアンチモネート;フルオロホスフェート、フルオロボレート、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせから選択される。有機塩はまた、陽イオン、例えばポリメチン陽イオン又はシアニン陽イオンを含む。
【0010】
また、本技術は、ポリメチン塩を有するアクティブ層を備えた光活性デバイスを提供する。ポリメチン塩は、陽イオン及び対イオンを含む。様々な実施形態において、光活性デバイスは、可視的に透明であるか若しくは可視的に不透明な光電池、又は、可視的に透明であるか若しくは可視的に不透明な光検出器である。
【0011】
さらに、本技術は、光活性デバイスの製造方法を提供する。この方法は、少なくとも2つの有機塩を一緒に混合して陰イオン合金を生成する工程であって、ここで、該有機塩は、同じ陽イオンを有するが、陰イオンが異なる工程、及び、第1電極と第2電極との間に陰イオン合金-陽イオン対を配置する工程を含む。様々な実施形態において、少なくとも2つの有機塩は、F、Cl、I、及びBr;アリールボレート、例えばテトラフェニルボレート、テトラ(p-トリル)ボレート、テトラキス(4-ビフェニリル)ボレート、テトラキス(1-イミダゾリル)ボレート、テトラキス(2-チエニル)ボレート、テトラキス(4-クロロフェニル)ボレート、テトラキス(4-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(4-tert-ブチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TPFB)、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート(TFMPB)、[4-[ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィノ]-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]ヒドロビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]ヒドロビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート;カルボラン、(Λ,R)-(1,1’-ビナフタレン-2,2’ジオラート)(ビス(テトラクロロ-1,2-ベンゼンジオラート)ホスフェート(V))(BINPHAT)、[Δ-トリス(テトラクロロ-1,2-ベンゼンジオラート)ホスフェート(V)](TRISPHAT);フルオロアンチモネート、例えばヘキサフルオロアンチモネート;フルオロホスフェート、例えばヘキサフルオロホスフェート;フルオロボレート、例えばテトラフルオロボレート(BF );及びこれらの誘導体からなる群よりそれぞれ選択される異なる陰イオンを有する。
【0012】
適用可能性のさらなる分野は、本明細書に示した記載から明らかである。この概要における記載および特定の実施例は、例証の目的を意図したものであり、本開示内容の範囲を限定することを意図するものではない。
【0013】
〔図面〕
本明細書に記載された図面は、選択された実施形態の例証的な目的のみのためのものであり、可能なすべての態様のためのものではなく、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0014】
図1Aは、本技術の第1のデバイスの概略図である。
【0015】
図1Bは、本技術の第2デバイスの概略図である。
【0016】
図2Aは、ポリメチン陽イオン(Cy)の分子構造を示す図であり、ここで、青色の原子は窒素であり、緑色の原子は塩素である。
【0017】
図2Bは、本技術の対イオンの分子構造を示す図である:(1)I、(2)PF 、(3)SbF 、(4)Δ-TRISPHAT(TRIS)、及び(5)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TPFB)。
【0018】
図2Cは、透明又は不透明の太陽電池の典型的な構造を説明する図である。
【0019】
図3Aは、1日光下で図1Bにおいて示される各対イオンについて、代表的デバイスのJ-V曲線を示す図であり、ここで、各対イオンについて至適化された不透明デバイス構造は、ITO(120nm)/MoO3(10nm)/CyX(8~12nm)/C60(40nm)/BCP(7.5nm)/Ag(100nm)であった。
【0020】
図3Bは、暗条件下で図1Bにおいて示される各対イオンについて、代表的デバイスのJ-V曲線を示す図であり、ここで、各対イオンについて至適化された不透明デバイス構造は、ITO(120nm)/MoO3(10nm)/CyX(8~12nm)/C60(40nm)/BCP(7.5nm)/Ag(100nm)であった。
【0021】
図4Aは、種々のCy塩の正規化された減衰係数を示すグラフである。
【0022】
図4Bは、図4Aにおいて示される各Cy塩について、部分的に至適化されたデバイス構造の外部量子効率を示すグラフである。
【0023】
図5Aは、図2A及び2BのCy(4)及びCy(5)について、完全透明デバイスの透過スキャンを示す図である。
【0024】
図5Bは、ミシガン州立大学スパルタンヘルメットロゴ上に置かれた本技術の透明太陽電池デバイスの写真である。
【0025】
図6Aは、図6Dにおいて示される各Cy塩についての応答性対強度のグラフであり、ここで、応答性は、対イオンの範囲にわたって比較可能である。
【0026】
図6Bは、図6Dにおいて示される各Cy塩についての開回路電圧(VOC)対強度のグラフであり、ここで、各塩のVOCは、劇的に異なる。
【0027】
図6Cは、図6Dにおいて示される各Cy塩についての電力変換効率(PCE)対強度のグラフである。
【0028】
図6Dは、各Cy塩についてのフィルファクタ(FF)対強度のグラフであり、ここで、FFは、CyIについてはかなり低いが、低強度において回復する。
【0029】
図7Aは、CyTRISについての外部量子効率(EQE)の厚さ依存性を示すグラフである。
【0030】
図7Bは、CyTPFBについてのEQEの厚さ依存性を示すグラフである。
【0031】
図7Cは、CyPFについてのEQEの厚さ依存性を示すグラフである。
【0032】
図7Dは、CyIについてのEQEの厚さ依存性を示すグラフである。
【0033】
図8は、様々な対イオンを有するCyについて、NIRにおけるピークEQEの厚さ依存性を示すグラフであり、ここで、CyTRIS及びCyTPFBは、他の対イオンよりも、僅かに高い厚さ及び高い効率でピークを示す。
【0034】
図9Aは、近赤外(NIR)においてより深い光学活性を有する4つの有機塩膜について、正規化された透過スペクトルを示すグラフである。
【0035】
図9Bは、図9Aからのデバイスにおいて、より深いNIR活性有機塩のそれぞれについてのEQEスペクトルのグラフである。
【0036】
図10は、NIR有機塩と高圧を達成するのに適した対イオンペアリングとして同定されている更なる典型的陰イオンの分子構造を示す。
【0037】
図11は、デバイス及び透明セルに好適であると同定されているNIR有機陽イオンを選択的に収集する典型的な範囲を示す。
【0038】
図12Aは、多接合型取り込みについての相補的吸収を有する3つのセルについての吸収スペクトルを示す。
【0039】
図12Bは、向上した性能及び効率について、各サブセルにおいて相補的NIR吸収を有する多接合型の不透明又は透明セルの概略図である。
【0040】
図13は、VOC対励起子バンドギャップを示すグラフである。
【0041】
図14Aは、2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-エチル-2H-ベンゾ[e]インドール-2-イリデン)エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-3,3-ジメチル-1-エチル-1H-ベンゾ[e]インドリウム(Cy)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TPFB)及びCyテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート(TFMPB)を有するデバイスについて、J-Vデータを示すグラフである。
【0042】
図14Bは、CyTPFB及びCyTFMPBを有するデバイスについて、EQEデータを示すグラフである。
【0043】
図15Aは、CyPFとの混合物におけるモル百分率CyTPFBの関数としてVOCを示すグラフである。
【0044】
図15Bは、CyTPFBとC60との間の向上したエネルギーレベル配置、及び、CyPFとCyTPFBとの混合物を介するインタフェースギャップの同調性の配置図であり、ここで、挿入図は、フロンティアエネルギーレベル及び向上したVOCにおけるシフトについての状態密度(DOS)平均の機構を説明する。
【0045】
図16Aは、ヘプタメチン塩の陽イオン(1(1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-ジフェニルアミノ-シクロペンタ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム)及び2(1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロペンタ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム)並びに陰イオン(BF 及びテトラフェニルフルオロボレート、TPFB)の構造を示す。
【0046】
図16Bは、図14Aの構造により示される塩の正規化された薄膜吸収(1-透過)を示すグラフである。
【0047】
図16Cは、図16Aの陽イオン及び陰イオンについての高分解能質量分析m/zスペクトルのまとめであり、ここで、複数のピーク及びこれらの相対高さは、化合物の構成要素の同位体存在度を表す。
【0048】
図17Aは、光電池及び光検出器の構造に使用されるデバイス構成の図解である。
【0049】
図17Bは、電流密度-電圧(J-V)グラフである。
【0050】
図17Cは、厚さ12nmの塩を有するデバイスについての外部量子効率(EQE)曲線を示す(挿入図はNIR EQEの強調表示である)。
【0051】
図18Aは、小さい陰イオンBF から嵩高い弱配位性陰イオンTPFBへの対イオン交換後の、最低空分子軌道(LUMO)レベルの深化、及び、インタフェースギャップ(I)の増加を説明するエネルギー図である。
【0052】
図18Bは、供与体の厚さ(t)の関数としてのD-Aバンド構造の図解である。
【0053】
図19Aは、1-BFと1-TPFBとの混合物(黒色)及び2-BFと2-TPFBとの混合物(青色)について、t=6nmにおけるモル分率TPFBの関数としてのVOC(左軸)及びEQE(右軸)を示すグラフである。
【0054】
図19Bは、挿入図において示されるEQEの波長を示すグラフである:1-BF及び1-TPFBについては、1200nmであり、2-BF及び2-TPFBについては1350nmである。
【0055】
図20は、各塩供与体について比検出能Dスペクトルを示す。
【0056】
対応する符号は、複数の図面間で対応する構成要素を示している。
【0057】
〔詳細な説明〕
次に、添付されている図面を参照しながら、実施形態についてさらに詳しく説明する。
【0058】
本願明細書において用いられる用語は、特定の実施例のみを記載することを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書にて使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、複数形を含むことを意図してもよい。「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含んでいること(including)」、及び「有すること(having)」の用語は包括的(inclusive)であり、したがって、所定の特徴、要素、構成要素、ステップ、完全体(integers)、動作及び/又は成分の存在を明示する。しかし、1以上の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの集合の存在又は付加を排除しない。開放形式の用語「含むこと(comprising)」は、本願明細書において記載される様々な実施形態を記載及び請求するために使用される非限定的用語として理解されるべきであるが、ある種の実施形態において、この用語は、例えば、「からなる」又は「本質的にからなる」といったより限定的かつ制限的用語の代わりとして理解される場合もある。すなわち、構成要素、材料、成分、要素、特徴、完全体、動作、及び/又は方法ステップを記載する所与の実施形態について、本開示はまた、記載される構成要素、材料、成分、要素、特徴、完全体、動作、及び/又は方法ステップからなる又は本質的にからなる実施形態をも明確に包含する。「からなる」の場合、別の実施形態は、任意の更なる構成要素、材料、成分、要素、特徴、完全体、動作、及び/又は方法ステップを排除するが、一方「本質的にからなる」の場合、基本的及び新規の特徴に実質的に影響する任意の更なる構成要素、材料、成分、要素、特徴、完全体、動作、及び/又は方法ステップは、この実施形態から排除されるが、基本的及び新規の特徴に実施的に影響しない任意の構成要素、材料、成分、要素、特徴、完全体、動作、及び/又は方法ステップは、この実施形態に包含され得る。
【0059】
第1の、第2の、第3の、等の用語は、本願明細書において、様々なステップ、要素、成分、領域、層及び/又は区分を記載するために用いられ得るが、これらのステップ、要素、成分、領域、層及び/又は区分は、そうでないことを示していない限り、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、一つのステップ、要素、成分、領域、層又は区分を、別のステップ、要素、成分、領域、層又は区分から区別するためだけに用いられ得る。「第1の」、「第2の」及び他の数的用語のような用語は、本願明細書において用いられる場合、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、配列又は順番を意味するものではない。すなわち以下で論じる第1のステップ、要素、成分、領域、層又は区分は、例示的態様の教示から逸脱することなく、第2のステップ、要素、成分、領域、層又は区分と称してもよい。
【0060】
本開示を通して、数値は、概算的測定値、又は、所定の値からの僅かな偏差を含む範囲への限定、並びに、記載される凡その値を有する実施形態及び記載される正確な値を有する実施形態を表す。詳細な説明の最後に提示される実施例を除き、本願明細書におけるパラメータの全ての数値(例えば、量又は条件の数値)は、特許請求の範囲を含め、数値の前に「約」が実質的に存在するか否かにかかわらず、全ての場合において用語「約」によって修飾されているものと理解されるべきである。「約」は、記載の数値が、(値における正確性へのいくらかの近似;値への凡そ又は妥当な近接;ほぼ、を有して)いくらかの僅かな不正確を許容することを意味する。「約」による不正確が、この慣用の意味をもって技術的にそうでないと理解される場合は、本願明細書において使用される「約」は、少なくとも、このようなパラメータの慣用の測定及び使用の方法から生じ得るばらつきを意味する。
【0061】
本明細書にて使用される場合、範囲は、そうでないことを示していない限り、端点を含み、全範囲内の全ての個々の値及び更に分割された範囲の開示を包含する。すなわち、例えば、「AからB」又は「約Aから約B」の範囲は、A及びBを含む。特定のパラメータ(例えば温度、分子量、質量百分率等)についての値及び数値範囲の開示は、本願明細書において有用な他の値及び数値範囲を含まない。所定のパラメータについて2以上の特定の例示された値は、該パラメータについて請求され得る数値範囲の端点を定義することができると想定される。例えば、本願明細書においてパラメータXが値Aを有するとして例示され、また、値Zを有するとして例示されている場合、パラメータXは、約Aから約Zの数値範囲を有し得ると想定される。同様に、パラメータについて2以上の数値範囲の開示は、(このような範囲が入れ子になっているか、重複しているか又は異なっているかにかかわらず)開示された範囲の端点を用いて請求され得る値についての範囲の全ての可能な組み合わせを包含することが想定される。例えば、本願明細書においてパラメータXが、1~10、又は2~9、又は3~8の範囲において値を有すると例示されている場合は、パラメータXは、1~9、1~8、1~3、1~2、2~10、2~8、2~3、3~10及び3~9を含む他の数値範囲を有し得るものと想定される。
【0062】
本技術は、光活性デバイス及び光収集システム、例えば、光電池及び光検出器に関する装置及び方法を提供する。光活性デバイス及び光収集システムは、不透明、透明、ヘテロ接合型セル、又は多接合型セルであってよい。デバイス及びシステムは、太陽スペクトルの赤外(IR)領域、太陽スペクトルの近IR(NIR)領域、又は、太陽スペクトルのIR及びNIRの両領域における波長を有する光を、選択的又は優位に収集する有機塩を含む。
【0063】
図1Aを参照して、本技術は、光活性デバイス10を提供する。光活性デバイス10は、基板12、第1電極14、有機塩及び場合により相補的な電子供与体又は電子受容体を含むアクティブ層16、並びに第2電極18を含む。アクティブ層16が相補的な電子供与体又は電子受容体を含まない実施形態において、相補的な電子供与体又は電子受容体は、別の層(図示せず)において提供され得る。様々な実施形態において、光活性デバイス10は、少なくとも1つの又は複数のアクティブ層16、電子供与体又は電子受容体を含む少なくとも1つの又は複数の相補的な層、又は、少なくとも1つの又は複数の、アクティブ層16と相補的な層との両方を含む。アクティブ層16及び任意の相補的な層は、約1nmから約300nmの厚さを有するか、又は、約3nmから約100nmの厚さを有する。図示しないが、いくつかの実施形態において、光活性デバイス10はまた、層及び電極12、14、16、18のいずれかの間に位置するバッファ層を含み、これは励起子を遮断するか、仕事関数又は回収バリアを修飾するか、順序付け又は型取りを誘導するか、又は、光学スペーサとして機能する。光活性デバイス10は、Lunt et al.、“Practical Roadmap and Limits to Nanostructured Photovoltaics”(Perspective)Adv. Mat. 23、5712-5727、2011(これは参照により本願明細書に組み込まれる)において定義される励起子限界の約30%以内又は約20%以内である開回路電圧を有する。簡単にいえば、開回路電圧を限定する励起子についての形態、すなわち、励起子限界は、1日光(Sun)下で、最小のバンドギャップにより限定される理論上のショックレー-クワイサーの熱力学的に限定された開回路電圧(図13参照)のおよそ80%に従う。励起子限界における80%の因子は、励起子を分離するのに必要な最小エネルギー駆動力を説明する。あるいは、光活性デバイス10は、熱力学的限界の約50%又は約35%以内である開回路電圧を有する。
【0064】
光活性デバイス10の基板12は、技術的に既知の任意の可視的に透明であるか又は可視的に不透明な材料12であってよい。透明基板の非限定的な例としては、ガラス、低鉄ガラス、プラスチック、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ-(エチルメタクリレート)(PEMA)、(ポリ)-ブチルメタクリレート-コ-メチルメタクリレート(PBMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及び、ポリイミド、例えば、Kapton(登録商標)ポリイミドフィルム(DuPont、Wilmington、DE)が挙げられる。不透明基板の非限定的な例としては、アモルファスシリコン、結晶シリコン、ハロゲン化物ペロブスカイト、スレンレス鋼、金属、金属箔、及びガリウムヒ素が挙げられる。
【0065】
基板12は、第1電極14を含む。図1Aに示すように、第1電極14は、可視的に透明であるか又は可視的に不透明なアクティブ層膜を可能にする厚さで、非限定的な例として、溶液堆積、ドロップ・キャスティング、スピン-コーティング、ドクターブレーディング、真空蒸着、プラズマスパッタリング、又はe-ビーム蒸着により、例えば薄膜として、基板12の第1表面上に位置するか又は堆積される。しかしながら、様々な実施形態において、複数の電極14が存在してよく、例えば、基板の第1表面上及び該基板の第2の反対面上に第1電極を有するデバイスであってもよい(図示せず)。別の実施形態において、図1Bに示されるように、光活性デバイス10’は、図1Aの光活性デバイス10と同じ成分(基板12、電極14、及びアクティブ層16、及び場合によりバッファ層)を有するが、第1電極14が基板12内に位置する。したがって、基板12と電極14とが可視的に区別できないように、基板12が、電極14として作用する材料を含んでいてもよい。任意の実施形態において、第1電極14は、技術的に既知の任意の材料から成るものであってよい。電極材料の非限定的な例としては、インジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、及びガリウム亜鉛酸化物(GZO)、超薄金属(ultra-thin metals)、例えば、Ag、Au、及びAl、グラフェン、グラフェン酸化物、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。様々な実施形態において、第1電極14は、約1nm~約500nm、約1nm~約200nm、約10nm~約200nm、約15nm~約150nm、又は約500nm以下の厚さを有する。それにかかわらず、第1電極14の厚さの変化は、光活性デバイス10における複数の層12、14、16を伴う複雑な干渉の調節を経て、光活性デバイス10の可視的透明性を変化させ得ることが理解される。
【0066】
アクティブ層16は、可視的に透明な又は可視的に不透明な膜を可能にする厚さで、非限定的な例として、例えば、溶液堆積、ドロップ・キャスティング、スピン-コーティング、ドクターブレーディング、又は真空蒸着により、光活性デバイス10において電極14の表面上に位置するか又は堆積される。したがって、光活性デバイス10は、第1電極14を含み、これは、基板12と接触する第1表面、及び、アクティブ層16と直接接触する第2表面を有する。しかしながら、いくつかの実施形態において、バッファ層が、基板12と第1電極14との間に位置し、及び/又は、バッファ層が、第1電極14とアクティブ層16との間に位置する。また、第2電極18は、アクティブ層16と直接接触していてもよく、又は、バッファ層が、第2電極18とアクティブ層16との間に位置してもよい。いくつかの実施形態において、図1Bの光活性デバイス10’のように、第1電極14が基板12内に位置する。このような実施形態において、アクティブ層16は、基板12の第1表面上に、これと直接接触するように位置する。
【0067】
上述のように、アクティブ層16は、有機塩及び相補的な電子供与体又は電子受容体を含む。光活性有機塩は、非限定的な例として、例えば図9A及び9Bに示される選択された吸収プロファイルを有する、図10に示される陽イオンと図11に示される陰イオンとの任意の組み合わせから成るものであってよい。しかしながら、本願明細書に記載される陽イオン又は陰イオンのいかなる組み合わせも、光活性デバイス10において使用することができる。様々な実施形態において、有機塩は電子供与体として作用し、アクティブ層16において、C60のような電子受容体と組み合わされる。他の実施形態において、有機塩は電子受容体として作用し、電子供与体又は他の有機分子若しくは塩と組み合わされる。ここで、有機塩は、太陽スペクトルのNIR若しくはIR領域、又は、NIR及びIRの両領域の波長の光を収集する。本願明細書において用いる場合、「VIS」光は約400nm~約675nmの波長を有し、「NIR」光は約675nm~約1500nmの波長を有し、また、「IR」光は約1500nm~約1mmの波長を有する。また、本願明細書において用いられる用語「透明である」又は「可視的に透明である」とは、正反射性透過率が約50%以上の、目の明所応答により重み付けされる、平均可視的透明性を有するデバイスを指す。用語「不透明である」又は「可視的に不透明である」とは、正反射性透過率が10%以下の、目の明所応答により重み付けされる、平均可視的透明性を有するデバイスを指す。正反射性透過率が10%~50%の、目の明所応答により重み付けされる、平均可視的透明性を有するデバイスは、「半透明」である。当業者には理解されるように、有機塩は、陽イオン及び対イオン、すなわち陰イオンを含む。様々な実施形態において、有機塩は、NIR及び/又はIR光を選択的又は優位に収集するポリメチン塩又はシアニン塩であり、例えば図11に示される例示的構造である。対イオンの存在下で有機塩を形成する好適な有機陽イオン(これらはその誘導体に対して「基礎陽イオン」である)の非限定的な例としては、1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロペンタ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム(ピーク吸収1024nm)、1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-クロロ-シクロヘキサ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム(ピーク吸収1014nm)、1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロヘキサ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム(ピーク吸収997nm)、1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-ジフェニルアミノ-シクロペンタ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム(ピーク吸収996nm)、1-ブチル-2-[7-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-ヘプタ-1,3,5-トリエニル]-ベンゾ[cd]インドリウム(ピーク吸収973nm)、2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-エチル-2H-ベンゾ[e]インドール-2-イリデン)エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-3,3-ジメチル-1-エチル-1H-ベンゾ[e]インドリウム(「Cy」;ピーク吸収820nm)、N,N,N’,N’-テトラキス-(p-ジ-n-ブチルアミノフェニル)-p-ベンゾキノン-ビス-インモニウム(ピーク吸収1065nm)、4-[2-[2-クロロ-3-[(2,6-ジフェニル-4H-チオピラン-4-イリデン)エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-2,6-ジフェニルチオピリリウム、1-ブチル-2-[2-[3-[(1-ブチル-6-クロロベンゾ[cd]インドール-2(1H)-イリデン)エチリデン]-2-クロロ-5-メチル-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-6-クロロベンゾ[cd]インドリウム,1-ブチル-2-[2-[3-[(1-ブチル-6-クロロベンゾ[cd]インドール-2(1H)-イリデン)エチリデン]-2-クロロ-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-6-クロロベンゾ[cd]インドリウム、ジメチル{4-[1,7,7-トリス(4-ジメチルアミノフェニル)-2,4,6-ヘプタトリエニリデン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン}アンモニウム、5,5’-ジクロロ-11-ジフェニルアミノ-3,3’-ジエチル-10,12-エチレンチアトリカルボシアニン、2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-2H-ベンゾ[e]-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,1,3-トリメチル-1H-ベンゾ[e]インドリウム、2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロペンテン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム、2-[2-[3-[(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-プロピル-2H-インドール-2-イリデン)エチリデン]-2-(フェニルチオ)-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-3,3-ジメチル-1-プロピルインドリウム、1,1’,3,3,3’,3’-4,4’,5,5’-ジ-ベンゾ-2,2’-インドトリカルボシアニンパークロレート、2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム、3,3’-ジエチルチアトリカルボシアニン、2-[[2-[2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]-6-メチル-4H-ピラン-4-イリデン]メチル]-3-エチル、2-[7-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-1,3,5-ヘプタトリエニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本願明細書において使用される場合、有機陽イオンの「誘導体」は、基礎有機陽イオンに類似するが、例えば、種々のアルキル鎖長を有する可溶性基(例えば、図11におけるR,R’,R’’,S,S’,S’’)又は他の可溶性基での置換にみられるような軽微な変化、バリエーション、又は置換であって、図10に示されるようなバンドギャップ又は電子的特性、並びに、種々のハロゲン化物又はリガンドを有する中央のメタンの位置における置換基(X、Y)を実質的に変化させない変化、バリエーション、又は置換を含む有機陽イオンを指すか又はこれを含む。有機陽イオンと共に塩を形成する対イオン(これらはその誘導体に対して「基礎対イオン」である)又は陰イオンの非限定的な例としては、ハロゲン化物、例えば、F、Cl、I、及びBr;アリールボレート、例えば、テトラフェニルボレート、テトラ(p-トリル)ボレート、テトラキス(4-ビフェニリル)ボレート、テトラキス(1-イミダゾリル)ボレート、テトラキス(2-チエニル)ボレート、テトラキス(4-クロロフェニル)ボレート、テトラキス(4-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(4-tert-ブチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TPFB)、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート(TFMPB)、[4-[ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィノ]-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]ヒドロビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル]ヒドロビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート;カルボラン、(Λ,R)-(1,1’-ビナフタレン-2,2’ジオラート)(ビス(テトラクロロ-1,2-ベンゼンジオラート)ホスフェート(V))(BINPHAT)、[Δ-トリス(テトラクロロ-1,2-ベンゼンジオラート)ホスフェート(V)](TRISPHAT);フルオロアンチモネート、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF );フルオロホスフェート、例えばヘキサフルオロホスフェート(PF );フルオロボレート、例えば、テトラフルオロボレート(BF);これらの誘導体;及びこれらの組み合わせが挙げられる。本願明細書において使用される場合、対イオンの「誘導体」は、基礎対イオンに類似するが、有機陽イオンと塩を形成する対イオンの能力を実質的に変化させない、軽微な変化、バリエーション、又は置換を含む対イオン又は陰イオンを指すか又はこれを含む。
【0068】
図1Aに示されるように、第2電極18は、例えば、薄膜として、アクティブ層16の表面上に位置するか又は堆積される。第2電極18は、可視的に透明であるか又は可視的に不透明なアクティブ層膜を可能にする厚さで、非限定的な例として、溶液堆積、ドロップ・キャスティング、スピン-コーティング、ドクターブレーディング、真空蒸着、プラズマスパッタリング、又はe-ビーム蒸着により、アクティブ層16の表面上に位置するか又は堆積される。したがって、第2電極18は、第1電極14と接するアクティブ層の表面と反対側のアクティブ層16の表面と接触している。第2電極18は、技術的に既知の任意の材料から成るものであってよい。電極材料の非限定的な例としては、インジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化亜鉛、及びガリウム亜鉛酸化物(GZO)、超薄金属(ultra-thin metals)、例えば、Ag、Au、及びAl、グラフェン、グラフェン酸化物、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。様々な実施形態において、第2電極18は、約1nm~約500nm、約1nm~約200nm、約10nm~約200nm、約15nm~約150nm、又は約500nm以下の厚さを有する。それにかかわらず、第2電極18の厚さの変化は、光活性デバイス10における複数の層12、14、16を伴う複雑な光学干渉及び吸収の調節を介して、光活性デバイスの可視的透明性を変化させ得ることが理解される。
【0069】
さらに、第1電極14及び第2電極18に関して、デバイスが可視的に不透明である実施形態において、電極14、18の少なくとも一方が、可視的に透明である。デバイスが可視的に透明である実施形態において、第1電極14及び第2電極18の両方が可視的に透明であり、アクティブ層16における可視的透明性を至適化するように調節した厚さを有する。
【0070】
図1A又は1Bには図示しないが、様々な実施形態において、光活性デバイス10、10’は、更なるアクティブ層、例えば、電子供与体及び/又は電子受容体、電極層、又はこれらの組み合わせをさらに含む。例えば、更なるアクティブ層は、酸化モリブデン(MoO)、バソクプロイン(BCP)、C60、又はITOを含んでよい。更なる電極は、Ag、Au、Pt、Al、又はCuの層から成るものであってよい。電子受容体の更なる非限定的な例としては、C70、C84、[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル、TiO、金属酸化物、ペロブスカイト、他の有機塩、有機分子、又はポリマーが挙げられる。アクティブ層は、供与体-受容体対のストレートで平面状の(neat planar)層、混合した供与体-受容体対の混合層、又は、混合した供与体-受容体対の段階的な(graded)層から成るものであってよい。様々な実施形態において、光活性デバイス10、10’は、サブセルとして多接合型デバイス構造中に統合され、ここで、多接合型デバイスは、可視的に透明であるか又は可視的に不透明である。上述のとおり、光活性デバイスは、光電池又は光検出器であってよい。
【0071】
約700nm~約1600nmの選択的近赤外ピーク(図12A)の範囲の近赤外においてより深い選択的収集を有する有機塩は、さらに、太陽スペクトルにわたって相補的応答を有する、不透明及び透明の両方の、効率的で低コストの多接合型デバイスの開発を可能にする(図12B)。これらの有機塩はまた、陰イオンの合金化、すなわち、2以上の陰イオンを一緒に混合することにより、フロンティア軌道レベル及びヘテロ接合インタフェースギャップの正確な調整を可能にし、これは、熱力学的限界近くの電圧をもたらし(図13)、これにより、光電流及び光電圧の製造を至適化する独立した調整パラメータを提供することができる。
【0072】
したがって、本技術はまた、光活性デバイスにおける材料のフロンティアエネルギーレベル、又は、最高占有分子軌道(HOMO)、位置を調節する方法を提供する。この方法は、2以上の有機塩を一緒に混合する工程を含み、ここで、有機塩は、同じ陽イオンを有するが、陰イオンが異なる。有機塩を一緒に混合することにより、陰イオン合金、すなわち、同種の陽イオンと複数の陰イオンとを含む組成物を生成する。例えば、共通の陽イオンを有する2つの異なる有機塩から生成される陰イオン合金は、2種の陰イオンと1種の陽イオンとの混合物である。陰イオン合金は、薄膜の形態であってよい。この方法はまた、第1電極と第2電極との間に陰イオン合金を配置する工程を含む。第1電極又は第2電極の一方は、基板上に直接的に又は間接的に位置付けられる。陰イオン及び陽イオンは、本願明細書に記載される任意の陰イオン及び陽イオンであってよい。一緒に混合される異なる有機塩は、等モル量で一緒に混合されてもよく、又は、非等モル量で混合されてもよい。エネルギーレベル位置を調節することにより、カスタム光活性デバイスを製造することができる。様々な実施形態において、この方法はまた、上述のとおり、光活性デバイスにさらなる層を配置する工程を含む。
【0073】
本技術の実施形態は、以下の非限定的な実施例により、更に詳細に説明される。
【実施例
【0074】
〔実施例1〕
〔実験〕
材料及び合成:2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-エチル-2H-ベンゾ[e]インドール-2-イリデン)エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-3,3-ジメチル-1-エチル-1H-ベンゾ[e]インドリウムヨージド(CyI)は、American Dye Source(ケベック、カナダ)から購入し、使用前に、5:1 DCM:MeOH溶媒混合物を用いてシリカプラグを介して充填した。リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートエチルエーテル化合物、NaPF(98%)、及びAgSbF(98%)は、Sigma Aldrich(セントルイス、MO)から購入し、そのまま使用した。Δ-TRISPHATテトラブチルアンモニウム塩(98.5%)は、Santa Cruz Biotechnology(ダラス、TX)から購入し、C60(99.9%)は、MER(Materials and Electrochemical Research Corp、ツーソン、AZ)から購入し、バソクプロイン(BCP)は、Luminescence Technology Corp.(Hsin Chu、台湾)から購入し、MoO(99.9995%)は、Alfa Aesar(ワードヒル、MA)から購入した。全ての交換は、技術的に既知の手順に従ったが、CySbFについては、ジクロロメタン(DCM)中のAgSbFを用いて沈殿反応により交換した。より極性の高い残留CyIを容易に除去するために、溶離剤としてDCMを用いて全ての交換製品をシリカプラグを介して濾過した。
【0075】
デバイスの組み立て及び試験:ITO 1200Åで予めパターン化されたガラス基板を、石鹸、脱イオン水、及びアセトンでそれぞれ4分間、順に音波処理し、次いで、イソプロパノール中で5分間煮沸し、5分間酸素プラズマ処理を行うことにより洗浄した。全デバイスは、4.9mmのアクティブ領域で組み立てた。図2A及び2Bの化合物(1)~(4)を、異なる濃度のクロロベンゼン溶液から、600rpmで5秒間、次いで、2000rpmで20秒間スピンコーティングした。図2A及び2Bの化合物(5)を、CBにおける限定された溶解性のために、3:1 CB:DCM溶液中に溶解した。他の全ての層は、3・10-6torrより低い圧力での真空熱蒸着により、1Å/sで蒸着した。不透明デバイスのデバイス構造は以下のとおりであった:MoO(100Å)/CyX(xÅ)/C60(400Å)/BCP(75Å)/Ag(800Å)。透明デバイスのデバイス構造は、図2Cに示されるように、以下のとおりであった:MoO(100Å)/CyX(xÅ)/C60(400Å)/BCP(75Å)/Ag(20Å)/MoO(1000Å)/ITO(1000Å)。膜厚及び光学定数は、偏光解析法を用いて測定した。電流密度(J)は、暗条件及びAM1.5ソーラーシミュレーション(キセノンアークランプ)で、電圧(V)の関数として測定し、ここで、KG5フィルタを用いるNREL-較正Siリファレンスセルを用いて、強度を測定した。J-V特性は、3つの独立したデバイスセットにおいて組み立てられた少なくとも24のデバイスにわたって平均された。外部量子効率(EQE)測定は、Newport較正Si検出器を用いて較正した。
【0076】
光学特性:膜の正反射性透過率及びデバイススタックは、リファレンスサンプルを使用せずに、透過モードにおいてデュアルビームラムダ800UV/VIS分光計を用いて測定した。
【0077】
光学モデリング:励起子拡散距離は、転送行列光学モデリングを用いてEQEデータから適合させた。このモデリングはまた、不透明及び透明デバイスの両方についての光学的層厚構造を同定するために使用した。
【0078】
〔結果及び議論〕
800nmを超えて1600nmまで応答する一連の有機塩の合成、特性決定及び光電池デバイス性能が理解された。重要なコアとなるNIR活性ヘプタメチン陽イオン(Cy)を代表的有機塩として使用し、様々な対イオン置換の影響を検討した(図2A及び2B参照)。対イオン間の比較の精度を改良するために、各塩は、CyIの単一バッチから、単一ステップ溶液に基づく対イオン交換により製造した。これらの対イオンは、固体状態の光物理学的特性及びデバイス性能に対する、対イオンの大きさ、電気陰性度、及び分子構造の影響を説明するために選択した。
【0079】
図3Aは、1日光下での各対イオンについての最も代表的なデバイスのJ-V特性を示し、図3Bは、暗条件におけるJ-V特性を示す。対イオンが、J-V性能において劇的な役割を果たすことが明らかである。CyI及びCyBFは、低いフィルファクタ(0.3~0.4)を示し、一方で、CyPF、CySbF、CyTRIS、及びCyTPFBは、0.64ほどの高いフィルファクタを示す。BF 及びIはまた、最小の最も移動性の対イオンである。表1は、各対イオンについてのJ-V特性を示す。
【0080】
【表1】

各塩の正規化された減衰係数を図4Aに示し、デバイスの外部量子効率(EQE)を図4Bに示す。透明デバイスの透過スキャンを図5Aに示し、図5Bは、透明性を実証するために、ミシガン州立大学スパルタンヘルメットロゴ上に置かれた透明デバイスを示す。CyTFMPBについてのデバイスデータを、図15A及び15Bに示す。
【0081】
各対イオンについての強度に依存するJ-Vパラメータを図6A~6Dに示す。図6Bに示されるように、CySbFは、CyPFを超えて、~0.03Vという最小のVoc増大を示し、これはCyIと同等のVocであった。しかしながら、Δ-TRISPHAT及びTPFB陰イオンで、より実質的なVoc増加が観察された(CyPFのVocよりも、それぞれ0.2V及び0.3V大きい)。
【0082】
暗曲線において観察されたもっとも興味深い特徴は、順方向バイアスである。より高いVocを示す対イオンは、理想因子において対応する増加を示す。CyTPFBデバイスのVocにおける劇的な増加にもかかわらず、逆方向飽和暗電流において明確な減少はなく、Js.Vocの増大は、減少した漏れ電流により一般に理解されるが、この機構はこのケースにおいては有意ではないと考えられる。
【0083】
励起子拡散距離を特徴づけるために、EQEを、各対イオンについての厚さの関数として測定した。結果を図7A~7Dに示す。CyTPFB及びCyTRISは、励起子拡散距離、電荷収集距離又はこの両方における増大を確認する、厚さの増加を伴う有意に小さいEQEロールオフを示す。この傾向はまた図8においても見られ、ここで、ピークEQEは各陰イオンについての厚さの関数としてプロットされ、適合されたL増大の傾向に従う。実際には、電荷収集効率ηCCは、より大きな厚さで減少し得、これは、拡散距離が低く推定されやすいことを示唆する。
【0084】
移動性のイオンシャンティング及び空間電荷領域の発達がこれらのデバイスにおいて有意であったか否かを調べるために、1V30分間の条件下でデバイスをバイアスすることにより、ポーリング実験を行った。CyPF又はCyTPFBデバイスにおいて、Voc及びFFは顕著には増加しなかった。
【0085】
単一の結晶を研究する場合、TPFBが、単一の結晶において、陽イオンを取り囲む高度に対称性の環境を示すことが明らかになっている。しかしながら、本デバイスに組み込まれる膜は、結晶性を示さず、完全にアモルファスである。
【0086】
図4Aは、偏光解析法により測定された各対イオンについての正規化された減衰係数を示す。CyTPFB及びCyTRISは、CyI、CyPF及びCySbFの620~950nmと比較して、それぞれ、約650~930nm及び670~930nmの吸収範囲を有し、他の対イオンに比べて僅かに狭い吸収幅を示す。この結果は、Cy陽イオン間の増加した分離(及び対応する減少した凝集及び相互作用)と、これらの塩の結晶性固体において見られるCy陽イオンの減少した分極化との組み合わせによると考えられ得る。これらの結果は共に、吸収についての利用可能な状態の減少した分布をもたらす。ピークを狭めることが光学ギャップの~0.03eVの僅かな減少に相当するが、これは、Vocの0.3Vの増加を説明するには明らかに不十分である。
【0087】
ピークを狭めることは、透明光電池への適用のための平均可視透過率及び演色評価数を増加させるという利点を有する。明所応答の長い波長カットオフは、~675nmであり、図4Aに見られるように、CyTPFB及びCyTRISは、他の陰イオン、Cy(1)~(4)と比べ、明所応答曲線とのオーバーラップがかなり小さい。狭めることはまた、向上した性能について、多接合型透明光電池におけるClAlPc又は他のNIR供与体との競合的吸収を減少するという利点を有する。
【0088】
この研究は、陰イオン合金化又はブレンドにより、有機塩に基づく光電池におけるエネルギーレベル配置及び開回路電圧の容易な調整を可能にする分子設計ストラテジーを提供する。CyPF-CyTPFB混合物中のCyTPFB含量の増加に伴い、Vocの安定した線型的増加(図15A及び15B参照)及びJの有意な減少が観察され、これは、インタフェースギャップ調節及びHOMOレベルシフトについて予測された挙動に従う。CySbF及びCyTRIS、並びに他の陽イオン/陰イオン組み合わせとの混合についての同様の線型的挙動もまた観察される。すなわち、これは、電圧増大を担う重要な機構を同定し、このようなシステムにおけるエネルギーレベル配置の説明のサポートにおいて第一の明確な証拠である。この機構は、最高占有分子軌道(HOMO)位置を至適化して、インタフェース組み換え力学を用いて電荷移動効率により電荷生成のバランスをとるための強力で新しい調整パラメータを提供する。
【0089】
〔結論〕
800nmを超えて1600nmまでの光電流を生成する有機光電池において、対イオン交換を介して0.40Vから0.72Vまでの開回路電圧の増大が証明された。この分子の光学励起子ギャップに関連して、これは、シアニン系光電池について、励起子限界付近の、報告されている最も高いVOCである。このミッドギャップ不良状態及びイオンモビリティの排除の増加は、芳香族対イオンの立体障害による。更に、これらの新しい分子は、選択的な近赤外収集を介して透明光電池の優れた可能性を示す。この研究は、高圧近赤外吸収有機光電池及び高度に効率的な透明光電池をいかに達成するかを実証する。
【0090】
〔実施例2〕
〔導入〕
ほとんどの有機光電池(OPV)及び有機光検出器(OPD)が、タンデム太陽電池、透明太陽電池及び赤外光光検出器について、900nmを超えるこれまで十分に利用されていないスペクトル領域の光応答を証明されていない。ここで、選択的な深い近赤外(NIR)光応答を有するヘプタメチン塩は、λ=1400nm又は1600nmにおける外部量子効率(EQE)カットオフが実証される。陰イオン交換は、吸収特性の最小変化を有するフロンティア軌道レベルを深めるために示され、これは、暗電流の減少、(励起子限界に近似する)開回路電圧の増加、及び、比検出能の増加をもたらす。励起子結合エネルギー及び電荷移動効率のバランスをとることは、極めて小さいバンドギャップNIR-吸収デバイスの性能の向上に重要であることが示される。これらの有機塩は、透明及び多接合型の太陽電池のための既存の供与体材料のカタログを拡張する、赤外太陽電池及び検出器のための安価な経路を表す。
【0091】
NIR、すなわち、λ>800nmにおいて吸収する有機半導体は、広帯域且つ透明の太陽電池への適用について有望視されている。NIR光起電力応答を有する有機化合物は、シアニン、カーボンナノチューブ及びポリマーを含むことが証明されている。しかしながら、これらの研究におけるEQEは、SnNcClについては1100nmまで、及び、カーボンナノチューブについては1450nmまでしか拡張されていない。有機分子のIR吸収を赤方偏移するための設計ストラテジーは、凝集、結晶構造及び分子間近接に作用するための共役の増加及びリガンド構造の修飾を含んでいる。しかしながら、一度分子が設計され、光電子デバイスに組み込まれると、その性能は、典型的には、不定のエネルギーレベル配置に直面し、理想値よりも低い開回路電圧、低いキャリヤモビリティ及び拡散距離、並びに、1000nmを超える限定された吸収をもたらす。陰イオン電気陰性度を変化させることにより調整され得る最高占有分子軌道(HOMO)レベルを有する新しい一連のヘプタメチン塩がここで提供される。これらの有機塩は、光電池及び光検出器セルにおいて使用され、その励起子限界近くの深NIR波長及び開回路電圧において、光応答を示す。光学モデリング及び開回路電圧の調整を用いて、性能の限定因子及び性能増大のためのストラテジーが同定される。
【0092】
対イオンであるテトラフルオロボレート(BF )及びテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TPFB)と配位するヘプタメチン塩1(1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-ジフェニルアミノ-シクロペンタ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム、λmax=996nm)及び2(1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロペンタ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム、λmax=1024nm)を、図16Aに示す。図16Bに示されるように、これらの分子は、陽イオン1及び2のそれぞれについて1400nm及び1600nmを超える吸収範囲を有する。図16Cは、陽イオン及び陰イオンの質量について、m/z合成検証のまとめを示す。
【0093】
〔実験〕
1-TPFB及び2-TPFBの合成:等モル量のカリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(K-TPFB)及び1-又は2-BFのいずれかを、5:1 メタノール:ジクロロメタン(MeOH:DCM)中に10mg/mlで溶解し、反応前に、室温、窒素下で1時間撹拌した。全ての薬品は、受け取った状態で使用し(Boulder Scientific Company、Few)、溶媒はHPLCグレートであった(Sigma Aldrich)。固体の製品は、真空濾過及びMeOH洗浄を用いて回収し、最小量のDCM(~10mg/ml)に再溶解し、溶剤としてDCMを用いてシリカプラグを通過させて不純物及び未反応の1-又は2-BFを除いた。1-又は2-BFと類似色の第1画分を回収し、過剰量のDCMをロータリーエバポレータ中で55℃、20分間、大気圧下で除去した。
【0094】
1-TPFB及び2-TPFBの検証並びにイオン純度評価:陽イオン、陰イオン、及び製品の純度の検証を、Waters Acquity超高圧LCシステムに連結されたWaters Xevo G2-XS QToF 質量分析計を用いて行った。陽イオンを、正イオンモードのエレクトロスプレーイオン化(ESI)で分析し、陰イオンを、負イオンモードのESIで分析した。アセトニトリル中で溶液を調製し、50:50 水:アセトニトリルの溶離剤を用いて、2分間で直接注入した。質量スペクトルは、約20,000の質量分解能(M/ΔM、全幅-半値)で、m/z50~1,500を超えるダイナミックレンジ拡大を用いて得た。他のパラメータは、キャピラリー電圧2kV、脱溶媒和温度350℃、ソース温度100℃、コーンガス(N)0Lh-1及び脱溶媒和ガス(N)400Lh-1を含む。陽イオン1[C5148について計算されたm/zは702.3848であり、測定されたm/zは702.3641である。TPFB陰イオン[C24BF20について計算されたm/zは678.9774であり、測定されたm/zは678.9788である。陽イオン2[C4543について計算されたm/zは611.3426であり、測定されたm/zは611.3421である。TPFB陰イオン[C24BF20について計算されたm/zは678.9774であり、測定されたm/zは678.9789である。
【0095】
イオン純度の評価のために、交換前駆体及び生成物の溶液を、アセトニトリル中、10nM~500nMの異なる濃度で調製し、上述の質量分析により分析した。前駆体K-TPFB、1-BF及び2-BF対濃度についての統合イオン検出強度の較正曲線を計算し、交換生成物である1-TPFB及び2-TPFBにおけるBF 及びTPFBイオン濃度を測定した。イオン純度を測定したところ、1-TPFB及び2-TPFBの両方について、>95%TPFBであった。
【0096】
太陽電池デバイスの組み立て及び試験。パターン化されたITO基板(Xin Yan、100nm、20Ω/sq)を、石鹸、DI水、アセトン及び沸騰イソプロパノール中でそれぞれ3分間、順次に洗浄した。次いで、基板を酸素プラズマで3分間処理し、MoO(99.9995%、Alfa Aesar)を、0.1nm/s、3×10-6torrで熱蒸着した。ヘプタメチン塩が空中で凝集し、窒素環境下でジメチルホルムアミド中に溶解し、少なくとも30分間、音波処理した。溶液を濾過せずに使用し、グローブボックス中、3000rpmで30秒間スピンコーティングした。C60(99.9%、MER Corp.)、バソクプロイン(BCP、Luminescience Technology、Inc.)及び銀の連続する層を、それぞれ、0.1、0.05及び0.2nm/sで熱蒸着した。層厚は、Si基板上で、角度可変型分光エリプソメータ(J. A. Woollam)を用いて測定した。デバイス領域(平均値:5.7mm)を、陽極と陰極との間の重なりの領域として定義し、光学顕微鏡を用いて測定した。電流密度(J)は、KG5フィルタを用いるNREL-較正Siリファレンスセルを用いて、AM1.5G(100mW/mm)強度について較正されたキセノンアークランプ照明下で、Labview-制御ソースメータを用いて、電圧の関数として測定した。外部量子効率(EQE)の測定は、Newport較正Si検出器を用いて較正した。外部量子効率(EQE)の測定は、200Hzで刻まれたタングステンハロゲンランプ、ピコアンメータ及びロックイン増幅器からの単色光を用いることにより行った。IR-ファイバの末端における光強度は、350~800nm用Newport較正Siダイオード及び800~1600nm用Newport較正Geダイオードを用いて測定した。比検出能D(cm Hz1/2-1)は、短絡回路(V=0)での測定に基づいて算出した。Dは以下の式から得た:
【0097】
【数1】

式中、RはA/Wにおける応答であり、Aはデバイス領域(cm)であり、S -1はA Hz-1/2における電流スペクトルノイズ密度である。室温及び0Vで、ノイズは熱(Johnson-Nyquist)ノイズS(A Hz-1/2)により支配され、これは、下記式として見積もられる:
【0098】
【数2】

式中、kは、ボルツマン定数(J K-1)であり、Tは温度(K)であり、Rは暗所ゼロバイアスでの太陽電池の微分抵抗である。
【0099】
紫外光電子分光データは、MoO/ITO上の~10nm厚さの塩の膜上で、21.2eV(He I 放射)でのHeランプ放射を用いて記録した。試料は、空気に暴露することなく装填した。LUMO輸送レベルは、光学バンドギャップ(1-BF及び1-TPFBについては0.85eV、並びに2-BF及び2-TPFBについては0.80eV)及び算出された励起子結合エネルギー(1-BF及び1-TPFBについては0.55eV、並びに2-BF及び2-TPFBについては0.40eV)をHOMOレベルに加えることにより推定した。
【0100】
〔結果及び議論〕
図17Aに示されるように、インジウムスズ酸化物(ITO)/10nm MoO/t nm 塩/40nm C60/7.5nmバソクプロイン(BCP)/80nmAgの構造を有する太陽電池デバイスを、厚さの関数として4種の塩を用いて製造した。各有機塩の供与体層は、窒素下でN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)からスピンコーティングされ、他の層は、真空中で熱蒸着された。各塩の厚さは、溶液濃度を変化させることにより制御した。比較目的のために、類似の塩の厚さ(12±1nm)を有するデバイスについてのJ-V及びEQEを、図17B及び17Cにプロットし、平均性能の測定基準を表2に示す。BFからTPFBへの交換は、陽イオン1についてVOCを0.13から0.33Vまで、及び、陽イオン2について0.17から0.25Vまで、ほぼ2倍にする。この電圧の増大は、図18Aの陽イオン2において示されるように、フロンティアエネルギーレベルの移動及び増加したインタフェースギャップに起因する。しかしながら、この交換は、供与体-受容体の最低空分子軌道レベルオフセット(ΔLUMO)における実質的な減少に起因して、NIR EQEピークを50%以上減少させる。EQE上のインタフェースギャップにおける緩やかなシフトの影響を理解するために、1-又は2-TPFBの異なるモル比での1又は2-BFの合金化されたブレンドを調製した。TPFBモル分率の関数としてのVOC及びEQEの傾向を、図19Aにおいてプロットした。
【0101】
【表2】

純粋な塩の厚さの傾向を図19Bにプロットする。ここで、厚さの増加及びEQEの単調な増加に伴い、VOCはフラットのままであるか(1-BF及び2-BF)、又は、減少する(1-TPFB及び2-TPFB)。一般に、VOCは、5~15nmの範囲で、供与体の塩の厚さから独立している。いくつかの場合において、パラレルシャンティング経路としての厚さを有するOPV増加の開回路電圧は、より完全な膜の形成によって除かれる。しかしながら、1-及び2-TPFBの場合、VOCは、4~15nmの厚さの範囲を超えて、20%の緩やかな減少を示す。厚さの増加を伴うVOCの減少は、(1)障害が誘導するギャップテイル状態の存在に起因する組み換えの増加、(2)電界プロファイルの広がりに起因する組み換えの増加、及び、(3)(図18Bに示されるような)バンドの撓みに起因するインタフェースギャップにおけるシフトの結果である。機構(1)及び(2)は、電圧降下が生じる範囲を超えて小さい厚さ範囲(1nm)に起因する可能性が低く、すなわち、VOCの減少は、厚さの関数として、1-及び2-TPFBデバイスにおける不完全なバンドの撓みに起因する可能性が高い。対照的に、1-及び2-BFを有するデバイスは、厚さに依存する光起電力を有さず、したがって、より大きいキャリヤ密度又はより小さい誘電率から生じる、より小さい空乏幅を有する可能性が高い。
【0102】
1000nmを超える量子効率は、多くの量子ドットシステムについて、<15%までの大きさに限定されている。電流NIR EQEにおける限定因子を同定するために、成分効率を試験した。EQEは、内部効率:η(吸収)、ηED(励起子拡散)、ηCT(電荷移動)、ηCD(電荷解離)及びηCC(電荷収集)の結果として表すことができる。励起子拡散及び光学干渉モデリングを通して、EQE曲線は、100%の電荷移動、電荷解離、及び電荷収集効率と仮定して計算された効率的な励起子拡散距離に良好に適合した。この分析から、これらの4種の塩全てにおいて、効率的な拡散距離は、緩やかなEQEに起因して、約0.5nm~約1nmであることが分かった。しかしながら、吸収プロファイルが、僅か25nmの厚さの2-TPFB膜について、ピーク波長において既に70%に達していることが分かった。これは、これらのデバイスが吸収により限定されないことを示唆する。抽出された拡散距離で、光学干渉モデルは、解離インタフェースに拡散するための励起子の不能に起因して、増加した厚さを有する試験された塩の全てについて、EQEが減少することを予測する。この減少するEQEの予測された傾向は、実際には、他のより大きいギャップシアニン塩デバイスにおいて、実験的に見られる。しかしながら、この挙動は、ここでの実験の傾向と対照的であり、これは、供与体層の25nmを超える厚さについて、EQEの単調な増加を示す。これは、実際には、固有の拡散距離が0.5~1nmより長く、これらの塩のEQEは、代わりに、電荷移動、電荷解離、又は電荷収集効率により限定され、これらのうちの少なくとも1つは、100%としてモデル化されるべきではない。
【0103】
これらの成分効率(電荷移動、解離及び収集)の全てを直接区別する明確な方法はないが、他の測定からの電荷収集についての洞察を推察することができる。例えば、実験のC60EQEピーク(λ=430nm)は、増加する塩の厚さに伴って減少せず、より大きいバンドギャップを有する他の塩に基づくOPVと、大きさにおいて類似するため、これは、C60(これは、未だに、供与体塩を通して輸送される必要がある)上に由来する励起子からの正孔収集が限定因子ではないことを示唆する。すなわち、デバイスは、供与体及び受容体の最低空分子軌道と励起子結合エネルギーとの間のバランスの結果として、電荷移動又は解離効率により限定される可能性が高い。
【0104】
励起子結合エネルギーを評価するため、陰イオン混合実験を行い、EQEにおける鋭敏なカットオフの出現(図19A)を探した。実際に、インタフェースギャップ組み換えの単調な調節から始まるVOCにおける線形変化がある一方、10%TPFBのモル分率において鋭敏なEQEカットオフが存在し、これは、励起子結合エネルギーを効果的に超える濃度において利用可能な十分なエネルギー(ΔLUMO)が存在することを示唆する。この濃度を超える残りの量子効率は、フィールド-及び温度-駆動型解離の組み合わせから生じる可能性が高い。励起子解離について利用可能なエネルギーは、光学的バンドギャップからのインタフェースギャップ(VOCから計算される)を取り去ることにより推定され、1については約0.55eV及び2については約0.40eVの励起子結合エネルギーをもたらし、これは、有機分子において他に報告された値(0.2~1.4eV)に近い。これらの励起子結合エネルギーは、光学バンドギャップのおよそ50%(約0.8eV)を作り出し、インタフェースギャップ(及びしたがってVOC)を適度な値に限定し、ここで、より高いVOCを達成する能力にもかかわらず、効率的な励起子解離が未だ生じ得る。前進するいくつかのストラテジーが、励起子結合エネルギーを減少させるために研究され得る。例えば、中央メチン置換により励起子半径を増加させるために、電子/正孔軌道の非局在化を増強するように、分子修飾を設計することができる。もう一つの設計ストラテジーは、誘電率を増加させるさらに密な充填を可能にするより小さな可溶化基又は陰イオンのカップリングに関する。すなわち、これは、非常に小さいバンドギャップの有機光活性デバイスの未来の至適化について、興味深い設計チャレンジを提供する。
【0105】
光電池用途におけるこれの材料セットの究極の可能性を理解するために、励起子拡散距離100nmを有する100nmの厚さの2-TPFB層、20nmの厚さのC60層、並びに、100%に達する電荷移動及び電荷収集効率を有するデバイスのEQEをモデル化した。このようなデバイスは、25mA/cmのオーダーのJSCで約70~80%のEQEを有し、バルクヘテロ接合構造及び至適化されたエネルギーレベル調整を用いて認識することができる。インタフェースエネルギー特性又は溶媒処理条件の修正により、FF値は、約0.3から約0.65に増加し得る(多くの有機システムについて達成可能)。僅かに改良されたVOC0.55Vとの組み合わせは、ほぼショックレー-クワイサーの励起子限界であり、理想のデバイスは、高い透明度で10%効率であり、相補吸収を有する多接合型セルに良好に適合される。
【0106】
これらの塩に基づくデバイスはまた、近赤外光検出器について実行可能であることが示される。光検出器デバイスは、上述のとおり、同じ光電池構造で組み立てられた。各塩についての比検出能(D)曲線が、図20にプロットされる。ここで、Dは、EQEに比例し、ゼロバイアスでの微分抵抗に反比例する。計算されたDは、他の有機システムにおける限定された報告のものと同等であり、1-及び2-塩のそれぞれについて、λ=1140nmで6.5×1010ジョーンズ、及び、λ=1390nmで1.7×1010ジョーンズの値に達する。これらの観察は、例えば、ポルフィリンテープ(λ=1350nmで2.3×1010ジョーンズ)及び無機カーボンナノチューブ(λ=1350nmで8.8×1011ジョーンズ)のような有機システムにおいて、非常に限定された報告を良好に比較する。1-BFから1-TPFBへの陰イオンの交換は、TPFB陰イオンを有するデバイスについてのより低いノイズ電流に大きく起因する、3.7×10から5.3×1010ジョーンズまでの大きさのオーダーでの検出能を増加させる。他の有機システムと比較して、ヘプタメチン塩は、対イオン又はリガンド交換により容易に調整できる特性を有し、加えて、合成及び組み立てが容易である。さらに、これらは、広く且つ波長特異的な光応答を示し、これは、近赤外及び可視的に透明な光検出器への適用の範囲について有望である。
【0107】
まとめると、1600nmまで伸びる赤外光光応答について著しく低いバンドギャップ(0.8eV)を有する単一の有機塩が実証された。これらの塩は、光電池及び光検出器の両方において実証され、標準フラーレン受容体で5%に達するピークNIR EQEを得る。これらのヘプタメチン塩における対イオン交換の実施は、VOC、暗所飽和電流、及びDと共に、緩やかな励起子結合エネルギー(約0.4~約0.55ev)に起因する励起子解離及び量子効率における最終的なトレードオフと共に、インタフェースギャップを増加させることが示される。それでもなお、陰イオン交換及び合金化は、インタフェースギャップの容易な調整を可能にし、これらの非常に小さいバンドギャップ塩の結合エネルギーへの興味深い洞察を提供する。これらのヘプタメチン塩は、NIR光応答デバイスの範囲を拡張する新しい手法を表し、低コストの赤外光検出器及び高効率の多接合型セルの開発への新たな経路を可能にする。
【0108】
前述した実施形態の記述は、例示及び説明のために提供されたものである。これは、本開示を網羅又は限定することを意図しているものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、通例この特定の実施形態に限定されるものではなく、適用できる場合は、たとえ特別な指定や記述がなかったとしても、選択された実施形態において取り替えて使用することができる。これによって多数の変更が生じ得る。そのような変更は本開示から逸脱したとみなされるべきではなく、全てのそのような変更は本開示の範囲に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1A】本技術の第1のデバイスの概略図である。
図1B】本技術の第2デバイスの概略図である。
図2A】ポリメチン陽イオン(Cy)の分子構造を示す図である。
図2B】本技術の対イオンの分子構造を示す図である。
図2C】透明又は不透明の太陽電池の典型的な構造を説明する図である。
図3A】1日光下で図1Bにおいて示される各対イオンについて、代表的デバイスのJ-V曲線を示す図である。
図3B】暗条件下で図1Bにおいて示される各対イオンについて、代表的デバイスのJ-V曲線を示す図である。
図4A】種々のCy塩の正規化された減衰係数を示すグラフである。
図4B図4Aにおいて示される各Cy塩について、部分的に至適化されたデバイス構造の外部量子効率を示すグラフである。
図5A図2A及び2BのCy(4)及びCy(5)について、完全透明デバイスの透過スキャンを示す図である。
図5B】ミシガン州立大学スパルタンヘルメットロゴ上に置かれた本技術の透明太陽電池デバイスの写真である。
図6A図6Dにおいて示される各Cy塩についての応答性対強度のグラフである。
図6B図6Dにおいて示される各Cy塩についての開回路電圧(VOC)対強度のグラフである。
図6C図6Dにおいて示される各Cy塩についての電力変換効率(PCE)対強度のグラフである。
図6D】各Cy塩についてのフィルファクタ(FF)対強度のグラフである。
図7A】CyTRISについての外部量子効率(EQE)の厚さ依存性を示すグラフである。
図7B】CyTPFBについてのEQEの厚さ依存性を示すグラフである。
図7C】CyPFについてのEQEの厚さ依存性を示すグラフである。
図7D】CyIについてのEQEの厚さ依存性を示すグラフである。
図8】様々な対イオンを有するCyについて、NIRにおけるピークEQEの厚さ依存性を示すグラフである。
図9A】近赤外(NIR)においてより深い光学活性を有する4つの有機塩膜について、正規化された透過スペクトルを示すグラフである。
図9B図9Aからのデバイスにおいて、より深いNIR活性有機塩のそれぞれについてのEQEスペクトルのグラフである。
図10】NIR有機塩と高圧を達成するのに適した対イオンペアリングとして同定されている更なる典型的陰イオンの分子構造を示す図である。
図11】デバイス及び透明セルに好適であると同定されているNIR有機陽イオンを選択的に収集する典型的な範囲を示す図である。
図12A】多接合型取り込みについての相補的吸収を有する3つのセルについての吸収スペクトルを示す図である。
図12B】向上した性能及び効率について、各サブセルにおいて相補的NIR吸収を有する多接合型の不透明又は透明セルの概略図である。
図13】VOC対励起子バンドギャップを示すグラフである。
図14A】TPFB及びTFMPBを有するデバイスについて、J-Vデータを示すグラフである。
図14B】CyTPFB及びCyTFMPBを有するデバイスについて、EQEデータを示すグラフである。
図15A】CyPFとの混合物におけるモル百分率CyTPFBの関数としてVOCを示すグラフである。
図15B】CyTPFBとC60との間の向上したエネルギーレベル配置、及び、CyPFとCyTPFBとの混合物を介するインタフェースギャップの同調性の配置図である。
図16A】ヘプタメチン塩の陽イオン(1(1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-ジフェニルアミノ-シクロペンタ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム)及び2(1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-1H-ベンゾ[cd]インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロペンタ-1-エニル]-ビニル)-ベンゾ[cd]インドリウム)並びに陰イオン(BF 及びテトラフェニルフルオロボレート、TPFB)の構造を示す図である。
図16B図14Aの構造により示される塩の正規化された薄膜吸収(1-透過)を示すグラフである。
図16C図16Aの陽イオン及び陰イオンについての高分解能質量分析m/zスペクトルを示す図である。
図17A】光電池及び光検出器の構造に使用されるデバイス構成を示す図である。
図17B】電流密度-電圧(J-V)のグラフである。
図17C】厚さ12nmの塩を有するデバイスについての外部量子効率(EQE)曲線を示す図である。
図18A】小さい陰イオンBF から嵩高い弱配位性陰イオンTPFBへの対イオン交換後の、最低空分子軌道(LUMO)レベルの深化、及び、インタフェースギャップ(I)の増加を説明するエネルギー図である。
図18B】供与体の厚さ(t)の関数としてのD-Aバンド構造を示す図である。
図19A】1-BFと1-TPFBとの混合物(黒色)及び2-BFと2-TPFBとの混合物(青色)について、t=6nmにおけるモル分率TPFBの関数としてのVOC(左軸)及びEQE(右軸)を示すグラフである。
図19B】EQEの波長を示すグラフである。
図20】各塩供与体について比検出能Dスペクトルを示す図である。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図19A
図19B
図20