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  • 特許-ボルテージディテクタ 図1
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  • 特許-ボルテージディテクタ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】ボルテージディテクタ
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
G01R19/165 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018100737
(22)【出願日】2018-05-25
(65)【公開番号】P2019203851
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大樹
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-111589(JP,A)
【文献】特開2008-026123(JP,A)
【文献】特開2000-293240(JP,A)
【文献】特開平10-197572(JP,A)
【文献】特開2011-107075(JP,A)
【文献】特開2012-213250(JP,A)
【文献】特開2012-251830(JP,A)
【文献】特開平08-075802(JP,A)
【文献】特開2010-223796(JP,A)
【文献】特開平5-250896(JP,A)
【文献】特開平10-256486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00-19/32
H03K 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧が入力される第1の端子に一端が接続された第1の抵抗と、前記第1の抵抗の他端にドレインが接続され出力端子にソースが接続されたNMOSトランジスタと、前記出力端子と基準電位となる第2の端子の間に接続された第2の抵抗とを有し、前記入力電圧に基づく分圧電圧を出力する分圧回路と、
前記分圧電圧と基準電圧を比較して検出信号を出力する比較回路と、を備え
前記NMOSトランジスタは、ゲートに定電圧が入力され、前記分圧電圧を所定の電圧に制限する電圧制限回路として機能する
ことを特徴とするボルテージディテクタ。
【請求項2】
前記NMOSトランジスタは、デプレッション型であって、
前記定電圧が前記基準電圧である
ことを特徴とする請求項1に記載のボルテージディテクタ。
【請求項3】
前記定電圧は、前記基準電圧が入力される電圧調整回路が出力する電圧である
ことを特徴とする請求項1に記載のボルテージディテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルテージディテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のヒステリシスを有するボルテージディテクタ400を示す回路図である。
監視端子41に入力された電圧は、分圧回路42によって分圧され、コンパレータ43の反転入力端子に入力される。コンパレータ43は、反転入力端子の電圧と非反転入力端子に入力される基準電圧回路44の出力する基準電圧とを比較した結果の信号を、NMOSトランジスタ45を介して出力端子47に出力する。また、コンパレータ43の信号は、分圧回路42の分圧比を切り替えるNMOSトランジスタ46のゲートにも入力される。
【0003】
監視端子41の入力電圧が高く分圧電圧が基準電圧より高い場合、コンパレータ43はLoの信号を出力するので、NMOSトランジスタ46はオフしている。この状態をボルテージディテクタの解除状態という。監視端子41の入力電圧が低くなって分圧電圧が基準電圧より低くなると、コンパレータ43はHiの信号を出力するので、NMOSトランジスタ46はオンする。NMOSトランジスタ46がオンすると、分圧回路42の分圧比は分圧電圧が低くなるように切り替わる。この状態をボルテージディテクタの検出状態と言う。
【0004】
このように構成されたボルテージディテクタ400は、コンパレータ43の信号に応じて分圧回路42の分圧比を切り替えることによってヒステリシスを有するので、安定した検出信号を出力することが出来る(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000‐111589号公報(図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のボルテージディテクタ400は、ボルテージディテクタが解除状態にある場合、コンパレータ43の反転入力端子に基準電圧を上回る電圧が常に入力されているので、反転入力端子を構成するトランジスタの特性が劣化してしまう。従って、ボルテージディテクタは、検出電圧および解除電圧が徐々に変化して、長期的には性能が劣化してしまう、という課題があった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされ、長期信頼性を向上することのできるボルテージディテクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のボルテージディテクタは、入力電圧に基づく分圧電圧を出力する分圧回路と、分圧電圧と基準電圧を比較して検出信号と解除信号を出力する比較回路と、分圧電圧を所定の電圧に制限する電圧制限回路と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のボルテージディテクタによれば、監視端子の電圧が解除電圧を大きく上回ったとしても、分圧電圧は定電圧をゲートに入力されたNMOSトランジスタによって制限されるため、コンパレータの反転入力端子を構成するトランジスタの特性の劣化を防止できので、長期的な性能の劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の本実施形態のボルテージディテクタを示す回路図である。
図2】本実施形態のボルテージディテクタの他の例を示す回路図である。
図3】本実施形態のボルテージディテクタの他の例を示す回路図である。
図4】従来のボルテージディテクタを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態のボルテージディテクタの回路図である。
本実施形態のボルテージディテクタ100は、分圧回路10と、コンパレータ11と、出力トランジスタ12と、基準電圧回路13と、NMOSトランジスタ14と、定電圧回路15と、を備えている。分圧回路10は、監視端子2と接地端子3の間に直列に接続された抵抗101、NMOSトランジスタ104、抵抗102、抵抗103を備える。
【0013】
コンパレータ11は、反転入力端子にNMOSトランジスタ104のソースが接続され、非反転入力端子に基準電圧回路13が接続され、出力端子が出力トランジスタ12のゲートとNMOSトランジスタ14のゲートに接続される。NMOSトランジスタ14は、ドレインとソースが抵抗103の両端に接続される。NMOSトランジスタ104は、ゲートに定電圧回路15が接続される。
【0014】
次に、本実施形態のボルテージディテクタ100の動作について説明する。
分圧回路10が出力する分圧電圧が基準電圧回路13の基準電圧より高い解除状態において、コンパレータ11はLoを出力しているので、NMOSトランジスタ14はオフしている。分圧回路10は、直列に接続された抵抗101と抵抗102、103で分圧した分圧電圧を出力する。分圧電圧は、監視端子2に入力される電圧の上昇とともに増加する。
【0015】
ここで、NMOSトランジスタはゲート・ソース間電圧が閾値電圧以下になると電流を流すことが出来なくなるため、NMOSトランジスタ104のゲート・ソース間電圧がNMOSトランジスタ104の閾値電圧と等しくなる電圧に制限される。NMOSトランジスタ104の閾値電圧をVTN、定電圧回路15が出力する電圧をVFIXとすると、NMOSトランジスタ104のソース電圧は、VFIX-VTNで表される値に制限される。即ち、定電圧回路15とNMOSトランジスタ104は、分圧電圧の電圧制限回路として機能する。従って、監視端子2に高い電圧が入力されても、分圧回路10が出力する分圧電圧はVFIX-VTNで表される値に制限される。
【0016】
従って、監視端子2に印加される電圧がボルテージディテクタの解除電圧を大きく上回ったとしても、分圧回路10から出力される分圧電圧は、NMOSトランジスタ104によって制限されるため、コンパレータ11の入力端子を構成するトランジスタの特性を劣化させることは無い。
【0017】
なお、分圧電圧が制限される電圧は、高い分圧電圧である解除電圧が基準電圧よりも高く設定されることにより、ボルテージディテクタの検出および解除動作に影響を与えない。
【0018】
以上説明したように、本実施形態のボルテージディテクタ100は、分圧回路10から出力される分圧電圧を制限するためのNMOSトランジスタ104を備えたので、検出電圧および解除電圧の精度を維持することが可能となる。
【0019】
図2は、本実施形態のボルテージディテクタの他の例を示す回路図である。
ボルテージディテクタ200は、図1のボルテージディテクタ100に対して、分圧回路10のNMOSトランジスタ104を、ゲートに基準電圧が入力されるデプレッション型のNMOSトランジスタ204に替えた構成となっている。その他の構成については、ボルテージディテクタ100と同一の回路には同一の符号を付して、詳細な説明は省力する。
【0020】
分圧回路10の分圧電圧は、デプレッション型のNMOSトランジスタ205の閾値電圧をVTND、基準電圧回路13の基準電圧をVREFとすると、VREF-VTNDで表される値に制限される。デプレッション型NMOSトランジスタの閾値電圧は負の値であるから、電圧VREF-VTNDは、常に基準電圧VREFよりも大きい値となる。従って、ボルテージディテクタ200は、閾値電圧VTNDを適宜設定することで、定電圧回路15を備えることなく、分圧電圧を所望の電圧値に制限することが可能である。
【0021】
図3は、本実施形態のボルテージディテクタの他の例を示す回路図である。
ボルテージディテクタ300は、図1のボルテージディテクタ100に対して、定電圧回路15を、電流源301とPMOSトランジスタ302で構成される電圧調整回路30に替えた構成となっている。その他の構成については、ボルテージディテクタ100と同一の回路には同一の符号を付して、詳細な説明は省力する。
【0022】
電流源301は、一方の端子が電源端子1に接続され、他方の端子がPMOSトランジスタ302のソースに接続される。PMOSトランジスタ302は、ソースがNMOSトランジスタ104のゲートに接続され、ゲートに基準電圧回路13が接続され、ドレインが接地端子3に接続される。
【0023】
電流源301とPMOSトランジスタ302は、ソースフォロワを構成している。従って、NMOSトランジスタ104の閾値電圧をVTN、PMOSトランジスタ302の閾値電圧をVTP、基準電圧をVREFとすると、分圧電圧はVREF+VTP-VTNに制限される。
【0024】
したがって、本実施形態のボルテージディテクタ300によれば、分圧電圧は、所望の電圧値に制限することが可能であり、PMOSトランジスタ302の閾値VTPによって容易に調整することが可能となる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0026】
例えば、監視端子2が電源端子1と共通に備えられているボルテージディテクタについても同様の効果が得られる。また例えば、分圧回路10の分圧比をNMOSトランジスタ14によって切り替えないボルテージディテクタについても同様の効果が得られる。
【0027】
なお、従来のボルテージディテクタ400は、監視端子41に検出電圧と解除電圧の中間の電圧が印加された状態で電源電圧が供給された場合、コンパレータ43は、反転入力端子には分圧回路42の分圧電圧が入力されているので解除信号を出力する。本発明のボルテージディテクタ100~300は、このような状況であっても、分圧回路10にNMOSトランジスタ104、またはNMOSトランジスタ204を備えているので、分圧電圧は基準電圧Vrefよりも緩やかに増加して、コンパレータ11は検出信号を出力することが出来る。即ち、本発明のボルテージディテクタ100~300によれば、電源端子1と監視端子2の電圧投入の順序に制約がない、という効果もある。
【符号の説明】
【0028】
10 分圧回路
13 基準電圧回路
11 コンパレータ
15 定電圧回路
30 電圧調整回路
301 電流源
図1
図2
図3
図4