(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23C 99/00 20060101AFI20220830BHJP
F23C 13/00 20060101ALI20220830BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20220830BHJP
F23J 7/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
F23C99/00 316
F23C13/00 ZAB
B01D53/86 222
F23C99/00 317
(21)【出願番号】P 2018107509
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】赤木 万之
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-010215(JP,U)
【文献】特開平08-257365(JP,A)
【文献】中国実用新案第205690650(CN,U)
【文献】特開2000-257846(JP,A)
【文献】特開平11-118115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 99/00
F23C 13/00
B01D 53/86
F23J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、バーナから噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐と、燃焼筐内に配置された熱交換器とを備える燃焼装置であって、熱交換器に燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元する還元触媒を担持させるものにおいて、
燃焼筐内のバーナと熱交換器との間に、バーナの燃焼量を所定量以上にしたときにバーナの火炎が触れる部分に位置させて、火炎が触れることで不完全燃焼を生じさせるサブ熱交換器が配置され
、この不完全燃焼で発生する燃焼中間生成物と未燃燃料成分との少なくとも一方が熱交換器に担持させた還元触媒に還元剤として供給されることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記熱交換器は、多数のフィンとこれらフィンを貫通するパイプとを有するフィンアンドチューブ型熱交換器で構成されるが、前記サブ熱交換器は、パイプのみで構成されることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナと、バーナから噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐と、燃焼筐内に配置された熱交換器とを備える燃焼装置であって、燃焼排ガス中のNOx(窒素酸化物)を還元触媒により浄化できるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃焼装置として、熱交換器に還元触媒を担持させると共に、バーナへのガス供給路から分岐したバイパス管を介して熱交換器の配置部に燃料ガスを還元剤として供給し、燃焼排ガス中のNOxを還元触媒上で燃料ガスと反応させて還元浄化するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
然し、このものでは、バイパス管が高温の燃焼排ガスに晒されるためヒートストレス等により劣化しやすく、バイパス管からのガス漏れを生ずる危険がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、熱交換器に担持させた還元触媒にガス漏れの危険を生ずることなく還元剤を供給できるようした燃焼装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、バーナと、バーナから噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐と、燃焼筐内に配置された熱交換器とを備える燃焼装置であって、熱交換器に燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元する還元触媒を担持させるものにおいて、燃焼筐内のバーナと熱交換器との間に、バーナの燃焼量を所定量以上にしたときにバーナの火炎が触れる部分に位置させて、火炎が触れることで不完全燃焼を生じさせるサブ熱交換器が配置され、この不完全燃焼で発生する燃焼中間生成物と未燃燃料成分との少なくとも一方が熱交換器に担持させた還元触媒に還元剤として供給されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、バーナの燃焼量を所定量以上とした、燃焼排ガス中のNOxが増加する状態では、サブ熱交換器に火炎が触れて不完全燃焼することで発生する燃焼中間生成物と未燃燃料成分との少なくとも一方が熱交換器に担持させた還元触媒に還元剤として供給される。そのため、燃焼排ガス中のNOxが還元触媒上で燃焼中間生成物や未燃燃料成分と反応して還元浄化される。そして、本発明によれば、熱交換器の配置部にバイパス管で燃料ガスを供給する必要がないため、バイパス管からのガス漏れの危険を生ずることがなく、安全である。
【0008】
ところで、熱交換器は、熱交換効率を向上させ、且つ、触媒担持面積を広く確保する上で、多数のフィンとこれらフィンを貫通するパイプとを有するフィンアンドチューブ型熱交換器で構成することが望ましい。一方、サブ熱交換器もフィンアンドチューブ型熱交換器で構成したのでは、フィンに火炎が触れて、フィンが過熱劣化しやすく、耐久性が悪化する。そのため、耐久性を確保するには、サブ熱交換器は、パイプのみで構成することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照して、本発明の実施形態の燃焼装置は、バーナ1と、バーナ1から噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐2と、燃焼筐2内に配置された熱交換器3とを備えている。バーナ1は、下面が開放された箱形のバーナボディ11と、バーナボディ11の下面を覆う燃焼板12とで構成されている。バーナボディ11の上部側面には流入口11aが開設されており、この流入口11aに図外のファンを介して混合気(燃料ガスと空気との混合ガス)が供給される。燃焼板12は、中央部に大きな開口部を有する額縁状であって、この開口部に金属繊維製ニット12aを装着している。そして、バーナボディ11内に供給された混合気が金属繊維製ニット12aを介して下向きに噴出し、全一次燃焼するようにしている。
【0011】
熱交換器3は、
図1の紙面直交方向に積層した多数のフィン31とこれらフィン31を貫通するパイプ32とを有するフィンアンドチューブ型熱交換器で構成されており、パイプ32に流す水を燃焼排ガスとの熱交換で加熱する。また、燃焼筐2は、熱交換器3の収納部から更に下方に延長されており、この延長部分にパイプ41のみで構成される潜熱回収型の第2の熱交換器4を配置している。そして、第2の熱交換器4を熱交換器3の上流側に接続し、第2の熱交換器4で加熱された水を熱交換器3で更に加熱するようにしている。第2の熱交換器4を通過した燃焼排ガスは、燃焼筐2の延長部分の下面に接続される図外の排気ダクトを介して外部に排出される。
【0012】
また、本実施形態では、
図2に示す如く、熱交換器3に燃焼排ガス中のNOxを還元する白金パラジウム等の還元触媒33を担持させている。具体的には、熱交換器3のフィン31及びパイプ32の外表面に還元触媒33を担持させている。更に、燃焼筐2内のバーナ1と熱交換器3との間に、バーナ1の燃焼量を所定量以上にしたときにバーナ1の火炎が触れる部分に位置させて、火炎が触れることで不完全燃焼を生じさせるサブ熱交換器5が配置されている。そして、サブ熱交換器5に火炎が触れて不完全燃焼することで発生するCO(一酸化炭素)等の燃焼中間生成物とHC(炭化水素)等の未燃燃料成分との少なくとも一方が熱交換器3の配置部に還元剤として供給されるようにしている。尚、サブ熱交換器5は、熱交換器3の下流側又は上流側に接続される。
【0013】
以上の構成によれば、バーナ1の燃焼量を所定量以上とした、燃焼排ガス中のNOxが増加する状態では、燃焼排ガス中のNOxが熱交換器3に担持された還元触媒33上で燃焼中間生成物や未燃燃料成分と反応して還元浄化される。そして、上記従来例の如く熱交換器3の配置部にバイパス管で燃料ガスを供給する必要がないため、バイパス管からのガス漏れの危険を生ずることがなく、安全である。
【0014】
ところで、熱交換器3は、熱交換効率を向上させ、且つ、触媒担持面積を広く確保する上で、本実施形態の如くフィンアンドチューブ型熱交換器で構成することが望ましい。一方、サブ熱交換器5もフィンアンドチューブ型熱交換器で構成したのでは、フィンに火炎が触れて、フィンが過熱劣化しやすく、耐久性が悪化する。そこで、本実施形態では、サブ熱交換器5をパイプ51のみで構成して、耐久性を確保できるようにしている。
【0015】
尚、還元触媒33が劣化すると、燃焼中間生成物のひとつであるCOが還元触媒33上でCO2に効率よく変換されなくなり、外部に排出される燃焼排ガス中のCO濃度が高くなってしまう。そのため、サブ熱交換器5のパイプ51の配置や熱交換器3のパイプ32の配置を工夫することにより、サブ熱交換器5の排ガス流れ方向下流端部分と熱交換器3の排ガス流れ方向中間部分との間の領域Hでの燃焼排ガスの温度が400~900℃になるようにすることが望ましい。これによれば、還元触媒33が劣化して、還元触媒33上でCOがCO2に変換されなくても、400~900℃の温度帯で温度平衡によりCOがCO2に変化し、CO濃度を低くすることができる。
【0016】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、バーナ1として混合気を下向きに噴出する全一次燃焼式のものを用いているが、混合気を上向きに噴出するバーナを用いてもよく、更に、ブンゼン燃焼式バーナや濃淡燃焼式バーナを用いることも可能である。また、第2の熱交換器5は省略してもよい。
【符号の説明】
【0017】
1…バーナ、2…燃焼筐、3…熱交換器、31…フィン、32…パイプ、33…還元触媒、5…サブ熱交換器、51…パイプ。