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特許7131995車両検知器、車両検知器の調整方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】車両検知器、車両検知器の調整方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/04 20060101AFI20220830BHJP
   H01H 35/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G08G1/04 A
H01H35/00 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018128387
(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公開番号】P2020009058
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】上岡 進治
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
(72)【発明者】
【氏名】尾張 伸行
(72)【発明者】
【氏名】野沢 隆勝
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-230872(JP,A)
【文献】実開昭53-158880(JP,U)
【文献】特開平11-257916(JP,A)
【文献】特開昭50-139974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G08G 1/00-99/00
H01H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線を挟んで互いに対向している一の投光器と一の受光器との対である投受光器を複数備え、
通常運転モード及び調整モードのうちのいずれか一方の選択を受け付ける動作モード受付部と、
前記動作モード受付部が前記調整モードの選択を受け付けた場合に、前記投光器の発光強度、及び、前記受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方を前記通常運転モードのときよりも低減させる調整部と、
複数の前記投受光器のうち評価対象とする投受光器の指定を受け付ける指定受付部と、
報知手段を通じて報知処理を行う報知処理部と、
を備え、
複数の前記投受光器を成す複数の投光器および複数の受光器は、それぞれ基板に接続されて一体にまとめられ、
前記指定受付部は、任意の一つまたは複数の前記投受光器を評価対象として指定可能であり、
前記調整部は、前記調整モードの選択を受け付けた場合に、前記評価対象とする投受光器における前記投光器の発光強度、及び、前記評価対象とする投受光器における前記受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方を前記通常運転モードのときよりも低減させ、
前記報知処理部は、前記評価対象とする全ての投受光器における受光器が予め定められた光量を受光している場合に、前記報知手段を通じて報知処理を行う
車両検知器。
【請求項2】
前記調整部は、前記動作モード受付部が前記調整モードの選択を受け付けた場合に、複数の前記投受光器のうちの一部の投受光器における前記投光器の発光強度、及び、前記一部の投受光器における前記受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方を前記通常運転モードのときよりも低減させる、
請求項1に記載の車両検知器。
【請求項3】
複数の前記投受光器は、上下方向に一列に並んで配置され、
前記一部の投受光器は、最も上の投受光器と最も下の投受光器とを含む、
請求項2に記載の車両検知器。
【請求項4】
車線を挟んで互いに対向している一の投光器と一の受光器との対である投受光器を複数備える車両検知器の調整方法であって、
動作モード受付部が、通常運転モード及び調整モードのうちのいずれか一方の選択を受け付けるステップと、
前記調整モードの選択を受け付けた場合に、調整部が、前記投光器の発光強度、及び、前記受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方を前記通常運転モードのときよりも低減させるステップと、
指定受付部が、複数の前記投受光器のうち評価対象とする投受光器の指定を受け付けるステップと、
報知手段を通じて報知処理を行うステップと、
を有し、
複数の前記投受光器を成す複数の投光器および複数の受光器は、それぞれ基板に接続されて一体にまとめられ、
前記指定を受け付けるステップでは、任意の一つまたは複数の前記投受光器を評価対象として指定可能であり、
前記低減させるステップでは、前記調整モードの選択を受け付けた場合に、前記評価対象とする投受光器における前記投光器の発光強度、及び、前記評価対象とする投受光器における前記受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方を前記通常運転モードのときよりも低減させ、
前記報知処理を行うステップでは、前記評価対象とする全ての投受光器における受光器が予め定められた光量を受光している場合に、前記報知手段を通じて報知処理を行う、
車両検知器の調整方法。
【請求項5】
車線を挟んで互いに対向している一の投光器と一の受光器との対である投受光器を複数備える車両検知器のコンピュータに、
通常運転モード及び調整モードのうちのいずれか一方の選択を受け付けるステップと、
前記調整モードの選択を受け付けた場合に、前記投光器の発光強度、及び、前記受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方を前記通常運転モードのときよりも低減させるステップと、
複数の前記投受光器のうち評価対象とする投受光器の指定を受け付けるステップと、
報知手段を通じて報知処理を行うステップと、
を実行させるプログラムであって、
複数の前記投受光器を成す複数の投光器および複数の受光器は、それぞれ基板に接続されて一体にまとめられ、
前記指定を受け付けるステップでは、任意の一つまたは複数の前記投受光器を評価対象として指定可能であり、
前記低減させるステップでは、前記調整モードの選択を受け付けた場合に、前記評価対象とする投受光器における前記投光器の発光強度、及び、前記評価対象とする投受光器における前記受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方を前記通常運転モードのときよりも低減させ、
前記報知処理を行うステップでは、前記評価対象とする全ての投受光器における受光器が予め定められた光量を受光している場合に、前記報知手段を通じて報知処理を行う、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両検知器、車両検知器の調整方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所には、料金所に進入してきた車両の存在を検知する車両検知器が設けられている場合がある。このような車両検知器としては、例えば、特許文献1に記載の車両検知器がある。
【0003】
特許文献1に記載の車両検知器は、車線を挟んで互いに対向する投光塔及び受光塔を備える透過型車両検知器である。投光塔は、上下方向に並べて配置された複数の投光器を備え、また、受光塔は、上下方向に並べて配置された複数の受光器を備えている。各投光器は、各受光器に向けて光を投光し、受光器は投光器から到来する光を検知する。投光器と受光器との間に車両が存在する場合、投光器が投光する光が車両によって遮蔽され、受光器にて検知されなくなる。車両検知器は、このような仕組みにより、車線上における車両の存在の有無を検知可能とする。
以上のような車両検知器は、各投光器から投光される光が各受光器にて正しく検知されるように、互いの光軸が一致するように設置されている必要がある。
なお、以下においては、光を投光する一の投光器と、当該光を受光する一の受光器との対を「投受光器」とも称して説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3700418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の車両検知器を路側に設置する際、設置作業者は、投光塔及び受光塔のそれぞれの設置位置及び向きを調整する際に、投光器から光を投光し、関連する受光器にて光を検知可能な状態としながら、それぞれの設置位置及び向きの調整を行う。そのようにして、投光器から投光された光が受光器にて検知された場合には、その投光器の光軸が受光器の光軸に一致したものとみなす。このようにすることで、投光塔及び受光塔の設置工程を容易化することができる。
【0006】
一般に、投光器は、その光軸方向に最も大きい光量を出射する指向性を有しているが、光軸からずれた方向にもある程度の光量を出射する。同様に、受光器は、その光軸方向から最も大きい光量を入射する指向性を有しているが、光軸からずれた方向からもある程度の光量を入射する。そのため、投光器から投光される光が受光器で検知されたとしても、必ずしも、互いの光軸が高精度に合っているとはいえない場合がある。
【0007】
本発明は、投光器の光軸に受光器の光軸を合わせる光軸調整を高精度かつ容易に行える車両検知器、車両検知器の調整方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、車両検知器(10、20)は、車線(L)を挟んで互いに対向している一の投光器(110)と一の受光器(120)との対である投受光器(130)と、通常運転モード及び調整モードのうちのいずれか一方の選択を受け付ける動作モード受付部(1121、1221)と、前記動作モード受付部が前記調整モードの選択を受け付けた場合に、前記投光器の発光強度、及び、前記受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方を前記通常運転モードのときよりも低減させる調整部(1120、1220)と、を備える。
このようにすることで、投光器の光軸を受光器の光軸に合わせる光軸調整の工程において、設置作業者によって「調整モード」が選択されると、例えば、投光器の発光強度が「通常運転モード」のときよりも低減される。これにより、投光器から光軸方向に出射する光、及び、光軸からずれた方向に出射する光の光量が一律に低減される。そうした場合、光軸調整の工程において受光器における受光光量が、検知に必要な所定光量にまで到達するためには、より高精度に、受光器の光軸と投光器の光軸とが一致している必要がある。したがって、投光器から投光された光が受光器で検知された場合における、互いの光軸の一致の度合いを高めることができる。
同様に、設置作業者によって「調整モード」が選択され、受光器の受光感度が「通常運転モード」のときよりも低減された場合、受光器における、光軸方向から入射する光、及び、光軸からずれた方向から入射する光に対する受光感度が一律に低減される。そうした場合、受光器における受光光量が検知に必要な所定光量にまで到達するためには、より高精度に、受光器の光軸と投光器の光軸とが一致している必要がある。したがって、投光器から投光された光が受光器で検知された場合における、互いの光軸の一致の度合いを高めることができる。
【0009】
また、本発明の第2の態様によれば、上述の車両検知器は、複数の前記投受光器を備え、前記調整部は、前記動作モード受付部が前記調整モードの選択を受け付けた場合に、複数の前記投受光器のうちの一部の投受光器における前記投光器の発光強度、及び、前記一部の投受光器における前記受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方を前記通常運転モードのときよりも低減させる。
これにより、全ての投受光器のうち予め定められた一部の投受光器について、投光器の発光強度及び受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方が低減される。設置作業者は、当該一部の投受光器について光軸調整を行うことで、光軸の一致の度合いを高められるだけでなく、光軸調整の工程を一層簡素化することができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様によれば、複数の前記投受光器は、上下方向に一列に並んで配置され、前記一部の投受光器は、最も上の投受光器と最も下の投受光器とを含む。
このようにすることで、上下方向の両端の投受光器で光軸調整を行うことで、その間に配される他の投受光器においても適切に光軸調整がなされる。これにより、光軸調整の工程の一層の簡素化を図ることができる。
【0011】
また、本発明の第4の態様によれば、複数の前記投受光器と、複数の前記投受光器のうち評価対象とする投受光器の指定を受け付ける指定受付部(1122、1223)と、を備え、前記調整部は、前記調整モードの選択を受け付けた場合に、前記評価対象とする投受光器における前記投光器の発光強度、及び、前記評価対象とする投受光器における前記受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方を前記通常運転モードのときよりも低減させる。
このようにすることで、設置作業者は、評価対象とする投受光器を指定して、高精度な光軸調整を行う対象とする投受光器を作業条件等に応じて所望に変更することができる。
【0012】
また、本発明の第5の態様によれば、上述の車両検知器は、前記受光器が予め定められた光量を受光していることを知らせる報知処理部(1222)を備える。
このようにすることで、設置作業者は、受光器が予め定められた光量を受光していること、すなわち、投光器の光軸に対して受光器の光軸が高精度に一致していることを容易に認識することができる。
【0013】
また、本発明の第6の態様によれば、車両検知器は、車線を挟んで互いに対向している一の投光器と一の受光器との対である投受光器を複数備える車両検知器であって、複数の前記投受光器のうち、評価対象とする投受光器の指定を受け付ける指定受付部(1223)と、前記評価対象とする投受光器における前記受光器が予め定められた光量を受光している場合に、前記評価対象とする投受光器における前記受光器が受光している旨を知らせる報知処理部(1222)と、を備える。
このようにすることで、設置作業者は、評価対象とする投受光器を指定して、光軸調整を行う対象とする投受光器を所望に変更することができる。
【0014】
また、本発明の第7の態様によれば、車両検知器の調整方法は、車線を挟んで互いに対向している一の投光器と一の受光器との対である投受光器を備える車両検知器の調整方法であって、通常運転モード及び調整モードのうちのいずれか一方の選択を受け付けるステップと、前記動作モード受付部が前記調整モードの選択を受け付けた場合に、前記投光器の発光強度、及び、前記受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方を前記通常運転モードのときよりも低減させるステップと、を有する。
【0015】
また、本発明の第8の態様によれば、車両検知器の調整方法は、車線を挟んで互いに対向している一の投光器と一の受光器との対である投受光器を複数備える車両検知器の調整方法であって、複数の前記投受光器のうち、評価対象とする投受光器の指定を受け付けるステップと、前記評価対象とする投受光器における前記受光器が予め定められた光量を受光している場合に、前記評価対象とする投受光器における前記受光器が受光している旨を知らせるステップと、を有する。
【0016】
また、本発明の第9の態様によれば、プログラムは、車線を挟んで互いに対向している投光器及び受光器を備える車両検知器のコンピュータに、通常運転モード及び調整モードのうちのいずれか一方の選択を受け付けるステップと、前記動作モード受付部が前記調整モードの選択を受け付けた場合に、前記投光器の発光強度、及び、前記受光器の受光感度のうち少なくともいずれか一方を前記通常運転モードのときよりも低減させるステップと、を実行させる。
【0017】
また、本発明の第10の態様によれば、プログラムは、車線を挟んで互いに対向している一の投光器と一の受光器との対である投受光器を複数備える車両検知器のコンピュータに、複数の前記投受光器のうち評価対象とする投受光器の指定を受け付けるステップと、前記評価対象とする投受光器における前記受光器が予め定められた光量を受光している場合に、前記評価対象とする投受光器における前記受光器が受光している旨を知らせるステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
上述の発明の各態様によれば、投光器の光軸に受光器の光軸を合わせる光軸調整を高精度且つ容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態に係る料金所の全体構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る車両検知器の構造を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る車両検知器の調整方法の処理フローを示す図である。
図4】第1の実施形態に係る車両検知器による作用、効果を説明するための図である。
図5】第2の実施形態に係る車両検知器の構造を示す図である。
図6】第3の実施形態に係る車両検知器の構造を示す図である。
図7】第3の実施形態に係る車両検知器の調整方法の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る車両検知器について、図1図4を参照しながら詳しく説明する。
【0021】
(料金所の全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る料金所の全体構成を示す図である。
図1に示すように、有料道路の料金所には、料金収受設備1が設けられている。この料金収受設備1は、例えば、有料道路の出口料金所等に設けられる。
有料道路の利用者が搭乗する車両Aは、有料道路側から一般道路側へと通じる車線Lを走行する。車線Lの幅方向両側には、右側アイランドIR及び左側アイランドILが敷設されている。料金収受設備1を構成する各種装置は、右側アイランドIR、左側アイランドIL上に設置されている。本実施形態においては、車線Lの幅方向右側(-Y方向側)に右側アイランドIRが設けられ、車線Lの幅方向左側(+Y方向側)に左側アイランドILが設けられている。
本実施形態における右側アイランドIRと左側アイランドILとは、車線Lを挟んでそれぞれ対称に形成され、車線Lに沿って延びている場合を例示している。
【0022】
料金収受設備1は、車両Aに搭乗する利用者に対して無線通信に基づく料金収受処理を行う。図1に示すように、料金収受設備1は、進入側車両検知器10と、通信停止用車両検知器20と、通信アンテナ30とを備えている。
【0023】
進入側車両検知器10は、車線Lを車線幅方向(±Y方向)に挟んで対向する投光塔11及び受光塔12を備えている。また、通信停止用車両検知器20は、車線Lを車線幅方向(±Y方向)に挟んで対向する投光塔21及び受光塔22を備えている。
進入側車両検知器10及び通信停止用車両検知器20は、それぞれの設置位置における車両Aの存在を検知可能とする。本実施形態に係る料金収受設備1では、例えば、進入側車両検知器10が車両Aの進入を検知すると、通信アンテナ30から電波が発信され、車両Aに搭載された車載器との間で料金収受処理(無線通信)が開始される。また、通信停止用車両検知器20が車両Aの“車尾抜け”(車両Aの後端部が通信停止用車両検知器20の設置位置を通り過ぎること)を検知すると、通信アンテナ30から発信されていた電波が停止するように制御される。
このように、料金収受設備1は、進入側車両検知器10及び通信停止用車両検知器20による車両の検知結果に応じて各種装置の動作を適切に制御する。
【0024】
次に、料金収受設備1が具備する各車両検知器(進入側車両検知器10、通信停止用車両検知器20)の構成、及び、各車両検知器のアイランドへの設置作業について詳しく説明する。なお、以下の説明では、進入側車両検知器10を例に説明するが、通信停止用車両検知器20及び図示しない他の車両検知器についても同様に適用される。
【0025】
(車両検知器の構造)
図2は、第1の実施形態に係る車両検知器の構造を示す図である。
図2は、進入側車両検知器10の構造を模式的に示している。以下、図2を参照しながら、進入側車両検知器10の構造について詳しく説明する。
【0026】
まず、投光塔11の構造について詳しく説明する。
【0027】
投光塔11は、複数の投光器110と、駆動回路111と、制御部112と、ケース113と、固設用部材114とを備えている。
【0028】
投光器110は、例えば赤外線LED(Light Emitting Diode)等の発光素子と、当該発光素子からの光の拡散を抑えるレンズ等とを含む。この構成により、投光器110は、その光軸Eの方向に最も大きい光量を出射するような指向性を有する。
複数の投光器110は、上下方向(±Z方向)に一列に並べて配置されている。複数の投光器110は、いずれも、受光塔12が設置されている方向(-Y方向)に光軸Eが向くように、即ち、受光器120が設置されている方向に最も大きい光量が出射されるように、基板110aに固定されている。各投光器110は、それぞれの光軸Eが互いに平行となるように取り付けられている。
【0029】
駆動回路111は、投光器110の発光素子に電圧を印加して発光させる回路である。各発光素子は、駆動回路111から所定の駆動電流を供給されることによって発光する。駆動回路111は、各投光器110に供給する駆動電流を変更可能な電気回路を有する。駆動電流の変更は、後述する制御部112からの制御信号に基づいて実行される。
【0030】
制御部112は、予め用意されたプログラムに従って動作することで、以下の調整部1120及び動作モード受付部1121としての機能を発揮する。
【0031】
調整部1120は、投光器110の発光強度を調整する。具体的には、調整部1120は、動作モード受付部1121が「調整モード」の選択を受け付けた場合に、投光器110の発光強度を「通常運転モード」のときよりも低減させる。「調整モード」及び「通常運転モード」については後述する。
調整部1120は、例えば、上述の駆動回路111に対し、「調整モード」及び「通常運転モード」のそれぞれの動作モードに応じた駆動電流を適用する。調整部1120は、「調整モード」の選択を受け付けた場合には、駆動回路111に対し「通常運転モード」の場合に比べて低い駆動電流を適用する。これにより、各投光器110は、「調整モード」が選択された場合に、「通常運転モード」の場合よりも低い発光強度で光を投光する。
【0032】
動作モード受付部1121は、進入側車両検知器10を設置する設置作業者から、「通常運転モード」と「調整モード」とのうちの一方の選択を受け付ける。動作モード受付部1121は、例えば、ケース113の外部から押下可能に設けられたスイッチSW10が押下される度に「通常運転モード」と「調整モード」とを切り替える態様であってよい。
ここで、「通常運転モード」とは、料金収受設備1が、到来する利用者(車両A)に対し実際の料金収受処理を行う際に設定される動作モードであって、投光塔11と受光塔12との間に車両Aが存在するか否かを検知する動作モードである。また、「調整モード」とは、左側アイランドIL及び右側アイランドIRにそれぞれ投光塔11及び受光塔12を設置し、光軸調整を行う際に設定される動作モードである。
【0033】
ケース113は、複数の投光器110、基板110a、駆動回路111、及び、制御部112等を覆うように形成されている。ケース113には、各投光器110によって投光される光がケース113の内部から外部へと光軸Eに沿う方向に進行可能なように開口部113aが設けられている。なお、外部からケース113の内部への雨水等の浸入を抑えるため、各開口部113aは、透明な板によって遮蔽されている。
【0034】
固設用部材114は、左側アイランドIL上の所定位置にケース113を固定設置するための部材である。固設用部材114は、ケース113の底面を左側アイランドIL表面に連結して固定するためのベース板114aと、ケース113の側面と左側アイランドIL表面とを連結して、ケース113の姿勢を固定する傾斜部材114bとを有している。
固設用部材114は、設置作業者が光軸調整の作業を行いやすいように、投光塔11全体の設置位置及び向きを調整できる可動機構を有している。
【0035】
次に、受光塔12の構造について詳しく説明する。
【0036】
受光塔12は、複数の受光器120と、検知回路121と、制御部122と、ケース123と、固設用部材124とを備えている。
【0037】
受光器120は、例えば赤外線受光PD(Photo Diode)等の受光素子と、当該受光素子へ光を集光させるレンズ等とを含む。この構成により、受光器120は、その光軸Rの方向から最も大きい光量を入射するような指向性を有する。
複数の受光器120は、上下方向(±Z方向)に一列に並べて配置される。複数の受光器120は、いずれも、投光塔11が設置されている方向(-Y方向)から光を入射可能なように、基板120aに固定されている。各受光器120は、それぞれの光軸Rが互いに平行となるように取り付けられている。
各受光器120は、投光塔11の各投光器110と対向するように配置され、各投光器110が投光する光を受光する。以下、一の投光器110及び一の受光器120の対を投受光器130とも表記して説明する。
【0038】
検知回路121は、各受光器120で所定光量以上の光量を受光しているか否かを検知する回路である。具体的には、検知回路121は、受光器120の受光素子から受光光量に応じて出力される電流を電圧レベル(励起電圧)に変換し、これを増幅器によって増幅する。そして、検知回路121は、増幅後の電圧が予め定められた判定閾値以上となっている場合には“検知”(1)を示す信号を出力し、増幅後の電圧が予め定められた判定閾値未満となっている場合には、“非検知”(0)を示す信号を出力する。
検知回路121は、更に、各受光器120で生じた励起電圧の増幅度を変更可能な電気回路を有する。増幅度の変更は、後述する制御部122からの制御信号に基づいて実行される。
【0039】
制御部122は、予め用意されたプログラムに従って動作することで、以下の調整部1220、動作モード受付部1221、及び、報知処理部1222としての機能を発揮する。
【0040】
調整部1220は、受光器120の受光感度を調整する。具体的には、調整部1220は、動作モード受付部1221が「調整モード」の選択を受け付けた場合に、受光器120の受光感度を「通常運転モード」のときよりも低減させる。
調整部1220は、例えば、上述の検知回路121に対し、「調整モード」及び「通常運転モード」のそれぞれの動作モードに応じた増幅度を適用する。調整部1220は、「調整モード」の選択を受け付けた場合には、検知回路121に対し「通常運転モード」の場合に比べて低い増幅度を適用する。これにより、各受光器120は、「調整モード」が選択された場合に、「通常運転モード」の場合よりも低い受光感度で光を検知する。
【0041】
動作モード受付部1221は、進入側車両検知器10を設置する設置作業者から、「通常運転モード」と「調整モード」とのうちの一方の選択を受け付ける。動作モード受付部1221は、例えば、ケース123の外部から押下可能に設けられたスイッチSW20が押下される度に「通常運転モード」と「調整モード」とを切り替える態様であってよい。
【0042】
報知処理部1222は、後述する報知表示器125を通じて、全ての受光器120が光を検知している場合に、その旨を設置作業者に報知する。具体的には、受光器120それぞれで受光している光量が所定光量以上となっている場合に、報知表示器125を点灯させる。これにより、設置作業者は、報知表示器125の点灯を視認することで、各受光器120で光を検知していることを認識することができる。
【0043】
ケース123は、複数の受光器120、基板120a、検知回路121、及び、制御部122等を覆うように形成されている。ケース123には、各投光器110によって投光される光がケース123の外部から内部へと進行可能なように開口部123aが設けられている。なお、外部からケース123の内部への雨水等の浸入を抑えるため、各開口部123aは、透明な板によって遮蔽されている。
【0044】
固設用部材124は、右側アイランドIR上の所定位置にケース123を固定設置するための部材である。固設用部材124は、ケース123の底面を右側アイランドIR表面に連結して固定するためのベース板124aと、ケース123の側面と右側アイランドIR表面とを連結して、ケース123の姿勢を固定する傾斜部材124bとを有している。
固設用部材124は、設置作業者が光軸調整の作業を行いやすいように、受光塔12全体の設置位置及び向きを調整できる可動機構を有している。
【0045】
報知表示器125は、受光塔12の受光器120が、投光塔11の投光器110によって投光された光を検知しているか否かを、点灯または消灯により報知可能な発光装置である。
【0046】
(車両検知器の設置方法)
図3は、第1の実施形態に係る車両検知器の設置方法の処理フローを示す図である。
次に、以上で説明した進入側車両検知器10の設置方法について、図3に示す処理フローを参照しながら詳しく説明する。
【0047】
設置作業者は、進入側車両検知器10の投光塔11及び受光塔12を左側アイランドIL及び右側アイランドIRに設置する設置工程を実行する(ステップS10)。
この設置工程(ステップS10)では、設置作業者は、まず、投光塔11を左側アイランドILに設置する(ステップS11;投光塔設置工程)。この場合、設置作業者は、固設用部材114を介して、投光塔11のケース113の車線方向(±X方向)、車線幅方向(±Y方向)、及び、上下方向(±Z方向)それぞれの設置位置を調整する。また、設置作業者は、固設用部材114を介して、投光塔11のケース113の車線方向(±X方向)の軸、車線幅方向(±Y方向)の軸、及び、上下方向(±Z方向)の軸それぞれの軸線周りについての向き(姿勢)を調整する。
【0048】
投光塔11の設置が完了すると、次に、設置作業者は、受光塔12を右側アイランドIRに設置する(ステップS13;受光塔設置工程)。この際、設置作業者は、固設用部材124を介して、受光塔12のケース123の車線方向(±X方向)、車線幅方向(±Y方向)、及び、上下方向(±Z方向)それぞれの設置位置を調整する。また、設置作業者は、固設用部材124を介して、受光塔12のケース123の車線方向(±X方向)の軸、車線幅方向(±Y方向)の軸、及び、上下方向(±Z方向)の軸それぞれの軸線周りについての向き(姿勢)を調整する。
【0049】
設置作業者は、ある程度、受光塔12のケース123の設置位置及び向きを調整した後、投光塔11のスイッチSW10を操作して「調整モード」を選択する。さらに、設置作業者は、受光塔12のスイッチSW20を操作して、同様に「調整モード」を選択する(ステップS12;低減調整工程)。
【0050】
投光塔11の制御部112の動作モード受付部1121が「調整モード」の選択を受け付けると、制御部112の調整部1120は、駆動回路111に対し、「通常運転モード」時の駆動電流よりも低い、「調整モード」用の駆動電流を設定する。これにより、全ての投光器110は、「通常運転モード」時における発光強度よりも低い発光強度の光を発する。
【0051】
また、受光塔12の制御部122の動作モード受付部1221が「調整モード」の選択を受け付けると、制御部122の調整部1220は、検知回路121に対し、「通常運転モード」時の増幅度よりも低い、「調整モード」時の増幅度を設定する。これにより、全ての受光器120は、「通常運転モード」時における受光感度よりも低い受光感度で光を検知する。
【0052】
設置作業者は、報知表示器125の点灯状態を確認しながら、受光塔12のケース123の設置位置及び向きを調整する。報知表示器125が点灯すると、設置作業者は、複数の投受光器130それぞれにおける、投光器110の光軸Eが受光器120の光軸Rにほぼ一致したと判断して、受光塔12のケース123の設置位置及び向きの調整を終了する。即ち、受光塔設置工程(ステップS13)及び設置工程(ステップS10)が終了する。
【0053】
設置工程を終了すると、設置作業者は、投光塔11のスイッチSW10を操作して、「通常運転モード」を選択する。また、設置作業者は、受光塔12のスイッチSW20を操作して、「通常運転モード」を選択する。
【0054】
投光塔11の制御部112の動作モード受付部1121が「通常動作モード」の選択を受け付けると、制御部112の調整部1120は、駆動回路111に対し、「通常運転モード」時の駆動電流を設定する。これにより、全ての投光器110は、「通常運転モード」時に適用される発光強度の光を発する。
同様に、受光塔12の制御部122の動作モード受付部1221が「通常運転モード」の選択を受け付けると、制御部122の調整部1220は、検知回路121に対し、「通常運転モード」時の増幅度を設定する。これにより、全ての受光器120は、「通常運転モード」時に適用される受光感度で光を検知する。
【0055】
(作用、効果)
図4は、第1の実施形態に係る車両検知器による作用、効果を説明するための図である。
図4を参照して、受光塔12のケース123の設置位置及び向きの調整時(調整モード時)に、投光器110と受光器120との間に車両が存在するか否かを判定する時(通常運転モード時)よりも、全ての投光器110の発光強度を低減することによって奏する作用、効果について説明する。
【0056】
図4(A)~(C)は、種々の状況における投光器110の配光特性を示している。図4(A)~(C)に示すように、投光器110は、光軸Eの方向に最も大きい光量を出射する。また、投光器110は、光の出射方向が光軸Eからずれるに従って出射される光量が小さくなるような配光特性を有している。
【0057】
また、図4(A)~(C)には、投光器110の光軸Eと、図示しない受光器120の光軸Rとを示している。説明の簡略化のため、投光器110は、受光器120の光軸R上に配置されているものとする。この場合において、受光器120は、投光器110から到来する光の光量が所定光量Ls以上となった場合に、投光器110からの光を検知するものとする。
【0058】
ここで、図4(A)を参照しながら、設置工程(ステップS10)において「調整モード」を選択しないまま(「通常運転モード」のまま)、投光塔11及び受光塔12の設置工程を行った場合を説明する。
【0059】
この場合、図4(A)に示すように、投光器110は「通常運転モード」時の発光強度で発光するため、光軸Eの光軸Rに対するずれ量がある程度大きかったとしても、光軸Rの方向に出射される光の光量が所定光量Ls以上となり得る。そうすると、光軸Eが光軸Rに対して大きくずれているにもかかわらず、受光器120は、投光器110によって投光された光を検知する。設置作業者は、受光塔12の設置位置及び向きを調整する工程中において報知表示器125の点灯を確認すると、その時点で設置工程を完了する。その結果、投光塔11及び受光塔12は、図4(A)に示すような、光軸Eと光軸Rとのずれが大きい状態で設置され得る。
【0060】
投光塔11及び受光塔12の設置完了後、例えば、投光器110の開口部113aを遮蔽する板に汚れが付着し、投光器110から開口部113aの外部に出射される光の光量が一定の割合で低減したとする。この場合、図4(A)に示すように、光軸Rに沿って受光器120に到来する光の光量は、所定光量Lsに達しなくなる。そうすると、投光塔11と受光塔12との間における車両が存在しない状態であっても、受光器120が所定光量Ls以上の光を受光しなくなり、検知できなくなる。そのため、進入側車両検知器10は、投光塔11と受光塔12との間に車両が存在するか否かの判定を行うことができなくなる。
以上のように、設置完了時には投光器110から投光される光を受光器120が検知できる状態であったとしても、光軸Eと光軸Rとのずれが大きいと、汚れ等の外的要因に対する余裕度が小さくなり、後発的に動作不良となる可能性が高まる。
【0061】
次に、図4(B)、(C)を参照しながら、設置工程(ステップS10)において、「調整モード」を選択してから、投光塔11及び受光塔12の設置工程を行った場合を説明する。
【0062】
この場合、図4(B)に示すように、投光器110は「調整モード」時の発光強度(「通常運転モード」時よりも低減された発光強度)で発光する。そうすると、光軸Eが光軸Rに対して大きくずれていると、光軸Rの方向に出射される光の光量が所定光量Lsに到達しなくなる。そのため、設置作業者は、投光器110から投光された光を受光器120に検知させるために、より高精度に、光軸Eを光軸Rに一致させる必要がある。その結果、投光塔11及び受光塔12は、図4(B)に示すような、光軸Eと光軸Rとのずれが小さい状態で設置される。
即ち、設置工程時において投光器110の発光強度を低減させることで、投光器110から投光された光が受光器120で検知された場合における、互いの光軸の一致の度合いを高めることができる。
【0063】
投光塔11及び受光塔12の設置完了後、続いて、「通常運転モード」が選択された結果、投光器110は、図4(C)に示すような配光特性を示す。ここで、例えば、投光器110の開口部113aを遮蔽する板に汚れが付着し、投光器110から開口部113aの外部に出射される光の光量が一定の割合で(図4(A)で説明した例と同程度に)低減したとする。この場合、図4(C)に示すように、光軸Rに沿って受光器120に到来する光の光量は、依然として、所定光量Lsを上回っている。
以上のように、設置工程(ステップS10)において光軸Eと光軸Rとを高精度に一致させることで、汚れ等の外的要因に対する余裕度を大きくすることができ、後発的に動作不良となる可能性を低減させることができる。
【0064】
なお、図4(A)~(C)を用いた上述の説明では、投光塔11のみについて「調整モード」を選択した場合についての作用及び効果について説明したが、第1の実施形態では、投光塔11及び受光塔12の両方で「調整モード」を選択される。これにより、設置工程において、投光器110の発光強度のみならず、受光器120の受光感度も低減され、所定光量Lsが増大するので、上述の効果がより高められる。
【0065】
以上のように、投光器110の光軸Eを受光器120の光軸Rに合わせる光軸調整(図3のステップS14)の工程において、設置作業者によって「調整モード」が選択されると、投光器110の発光強度が「通常運転モード」のときよりも低減される(図3のステップS12)。これにより、投光器110から光軸Eの方向に出射する光、及び、光軸Eからずれた方向に出射する光の光量が一律に低減される。そうした場合、光軸調整の工程において受光器120における受光光量が検知に必要な所定光量にまで到達するためには、より高精度に、受光器120の光軸Rと投光器110の光軸Eとが一致している必要がある。したがって、投光器110から投光された光が受光器120で検知された場合における、互いの光軸の一致の度合いを高めることができる。
更に、「調整モード」が選択されると、受光器120の受光感度も「通常運転モード」のときよりも低減される。これにより、受光器120における、光軸Rの方向から入射する光、及び、光軸Rからずれた方向から入射する光に対する受光感度が一律に低減される。そうした場合、光軸調整の工程において受光器120における受光光量が検知に必要な所定光量にまで到達するためには、より高精度に、受光器120の光軸Rと投光器110の光軸Eとが一致している必要がある。したがって、投光器110から投光された光が受光器120で検知された場合における、互いの光軸の一致の度合いを一層高めることができる。
以上、第1の実施形態に係る進入側車両検知器10によれば、受光塔12の設置位置及び向きの調整時に、全ての投光器110の発光強度、及び、全ての受光器120の受光感度を低減させるため、投光器110の光軸Eに受光器120の光軸Rを合わせる光軸調整を高精度且つ容易に行うことができる。この結果、第1の実施形態では、投光器110の発光強度、または、受光器120の受光感度が、汚れなどの外的要因によりある程度低減してしまったとしても、投光塔11と受光塔12との間に車両が存在するか否かの判定を続けることができる。
【0066】
<第1の実施形態の変形例>
第1の実施形態では、投光塔11及び受光塔12の両方で「調整モード」が選択されるものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。例えば、他の実施形態では、投光塔11、受光塔12のいずれか一方のみで「調整モード」が選択される態様であってもよい。この場合、進入側車両検知器10は、投光塔11の調整部1120及び動作モード受付部1121と、受光塔12の調整部1220及び動作モード受付部1221とのうち、いずれか一方のみを具備する態様であってよい。
【0067】
また、第1の実施形態では、「調整モード」の選択により、全ての投光器110の発光強度、及び、全ての受光器120の受光感度を低減するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
他の実施形態に係る車両検知器は、全ての投受光器130のうち、予め定められた一部の投受光器130における投光器110の発光強度、及び、受光器120の受光感度の少なくともいずれか一方を低減させる態様であってもよい。この場合、調整部1120は、「調整モード」が選択されると、予め定められた一部の投受光器130における投光器110の発光強度のみを低減させる。また、この場合、調整部1220は、「調整モード」が選択されると、予め定められた一部の投受光器130における受光器120の受光感度のみを低減させる。
更に、この場合、報知処理部1222は、予め定められた一部の投受光器130における受光器120の全てで光が検知された場合に、報知表示器125を点灯させる態様としてもよい。
以上のようにすることで、全ての投受光器130のうち予め定められた一部の投受光器130について、投光器110の発光強度、及び、受光器120の受光感度のうち少なくとも一方が低減される。この場合、設置作業者は、当該一部の投受光器130について光軸調整を行うだけでよくなるので、互いの光軸の一致の度合いを高めつつも、光軸調整の工程を一層簡素化することができる。
【0068】
また、上述の予め定められた一部の投受光器130とは、上下方向に並べて配置された投受光器130のうちの最も上の投受光器130と最も下の投受光器130とであってもよい。
ここで、投光塔11に内蔵されている全ての投光器110の光軸Eは、互いに平行であり、また、受光塔12に内蔵されている全ての受光器120の光軸Rは、互いに平行である。各投光器110の上下方向の配置数及び配置間隔と、各受光器120の上下方向の配置数及び配置間隔とは、同一となるように構成されている。したがって、最も上の投受光器130における投光器110の光軸Eと受光器120の光軸Rとが高精度に一致し、かつ、最も下の投受光器130における投光器110の光軸Eと受光器120の光軸Rとが高精度に一致すれば、全ての投受光器130における投光器110の光軸Eと受光器120の光軸Rとが高精度に一致したものとして扱うことができる。
このように、上下方向の両端の投受光器130で高精度な光軸調整を行うことで、その間に配される他の投受光器130においても適切に光軸調整がなされる。これにより、設置工程の一層の簡素化を図ることができる。
【0069】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る車両検知器について、図5を参照しながら詳しく説明する。
【0070】
(車両検知器の構造)
図5は、第2の実施形態に係る車両検知器の構造を示す図である。
図5は、第2の実施形態に係る進入側車両検知器10の構造を模式的に示している。図5に示すように、第2の実施形態に係る進入側車両検知器10の投光塔11は、第1の実施形態の構成に加え、更に、スイッチSW11を具備している。また、第2の実施形態に係る進入側車両検知器10の受光塔12は、第1の実施形態の構成に加え、更に、スイッチSW21を具備している。また、第2の実施形態に係る投光塔11の制御部112は、更に、指定受付部1122として機能する。また、第2の実施形態に係る受光塔12の制御部122は、更に、指定受付部1223として機能する。
【0071】
投光塔11の指定受付部1122は、スイッチSW11を介して、設置作業者から、全ての投受光器130のうち、評価対象とする投受光器130の指定を受け付ける。スイッチSW11は、例えば、複数の投光器110のそれぞれを個別に選択可能なスイッチとされている。また、受光塔12の指定受付部1223は、スイッチSW21を介して、設置作業者から、全ての投受光器130のうち、評価対象とする投受光器130の指定を受け付ける。スイッチSW21は、例えば、複数の投光器110のそれぞれを個別に選択可能なスイッチとされている。
【0072】
「調整モード」が選択されると、投光塔11の調整部1120は、評価対象とする投受光器130における投光器110の発光強度を、「通常運転モード」のときよりも低減させる。また、受光塔12の調整部1220は、評価対象とする投受光器130における受光器120の受光感度を、「通常運転モード」のときよりも低減させる。
【0073】
また、第2の実施形態に係る受光塔12の報知処理部1222は、評価対象とする全ての投受光器130における受光器120で光が検知された場合に、報知表示器125を点灯させる。
【0074】
(作用、効果)
以上のようにすることで、設置作業者は、評価対象とする投受光器130を指定して、高精度な光軸調整を行う対象とする投受光器130を所望に変更することができる。
より具体的には、例えば、以下のような効果を奏する。
【0075】
受光塔12のケース123の設置位置及び向きの調整時(図3のステップS13)では、例えば、設置作業者がケース123を手で支えながら調整を行う。この際、複数の投受光器130のうち、いくつかの投受光器130における投光器110と受光器120との間が、設置作業者の手や体などで遮られる場合がある。
第1の実施形態のように、全ての投受光器130における受光器120が所定光量以上の光量を受光している場合にのみ報知表示器125を点灯させる制御とすると、設置作業中に、いずれかの投光器110と受光器120との間が設置作業者の手などで遮られると、報知表示器125は点灯しない。したがって、受光塔12の設置位置及び向きの調整作業の速やかな実施を阻害する可能性がある。
【0076】
他方、第2の実施形態では、設置作業者が「調整モード」を選択する際、「調整モード」の対象になる投受光器130として、投光器110と受光器120との間が設置作業者の手などに遮られる可能性の低い投受光器130を、評価対象とする投受光器130として指定する。そうすると、指定された投受光器130における投光器110の発光強度、及び、受光器120の受光感度が「通常運転モード」よりも低減され、更に、指定された投受光器130における受光器120にて光が検知されている場合に、報知表示器125が点灯する。したがって、設置作業者の手や体などで遮られる可能性の低い投受光器130だけを選択して、設置作業者の手などによる遮蔽の影響を受けることなく速やかに、高精度な光軸調整を行うことができる。
【0077】
なお、第2の実施形態では、進入側車両検知器10は、投光塔11におけるスイッチSW11の操作を受け付けて評価対象とする一部の投光器110の発光強度を低減させ、かつ、受光塔12におけるスイッチSW21の操作を受け付けて評価対象とする受光器120の受光感度を低減させるものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
他の実施形態に係る進入側車両検知器10は、投光塔11におけるスイッチSW11の操作を受け付けて評価対象とする投光器110の発光強度を低減させるのみであってもよい。同様に、他の実施形態に係る進入側車両検知器10は、受光塔12におけるスイッチSW21の操作を受け付けて評価対象とする受光器120の受光感度を低減させるのみであってもよい。
【0078】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る車両検知器について、図6及び図7を参照しながら詳しく説明する。
【0079】
(車両検知器の構造)
図6は、第3の実施形態に係る車両検知器の構造を示す図である。
図6は、第3の実施形態に係る進入側車両検知器10の構造を模式的に示している。
【0080】
図6に示すように、第3の実施形態に係る進入側車両検知器10の投光塔11は、スイッチSW10を具備していない。また、制御部112は、従来の車両検知器としての一般的な機能のみを有し、第1の実施形態で説明した調整部1120及び動作モード受付部1121としての機能を有していない。つまり、第3の実施形態に係る投光塔11は、「調整モード」、「通常運転モード」としての動作モードを受け付ける機能を有しておらず、また、投光器110の発光強度を変更する機能も有していない。
【0081】
同様に、第3の実施形態に係る進入側車両検知器10の受光塔12は、スイッチSW20を具備していない。また、制御部122は、調整部1220及び動作モード受付部1221としての機能を有していない。
即ち、第3の実施形態に係る受光塔12は、「調整モード」、「通常運転モード」としての動作モードを受け付ける機能を有しておらず、また、受光器120の受光感度を変更する機能も有していない。
【0082】
ただし、第3の実施形態に係る受光塔12の制御部122は、報知処理部1222及び指定受付部1223としての機能を有する。
第3の実施形態に係る指定受付部1223は、スイッチSW22を介して、設置作業者から、全ての投受光器130のうち、評価対象とする投受光器130の指定を受け付ける。スイッチSW22は、例えば、複数の受光器120のそれぞれを個別に選択可能なスイッチとされている。
第3の実施形態に係る報知処理部1222は、評価対象として指定された受光器120の全てが光を検知した場合に、報知表示器125を点灯させてその旨を報知する。
【0083】
(車両検知器の設置方法)
図7は、第3の実施形態に係る車両検知器の設置方法の処理フローを示す図である。
次に、以上で説明した進入側車両検知器10の設置方法について、図7に示す処理フローを参照しながら詳しく説明する。
【0084】
設置作業者は、進入側車両検知器10の投光塔11及び受光塔12を左側アイランドIL及び右側アイランドIRに設置する設置工程を実行する(ステップS10a)。
この設置工程(ステップS10a)では、設置作業者は、まず、投光塔11を左側アイランドILに設置する(ステップS11;投光塔設置工程)。この投光塔設置工程は、第1の実施形態と同様である。
【0085】
投光塔11の設置が完了すると、次に、設置作業者は、受光塔12を右側アイランドIRに設置する(ステップS13a;受光塔設置工程)。この際、設置作業者は、固設用部材124を介して、受光塔12のケース123の車線方向(±X方向)、車線幅方向(±Y方向)、及び、上下方向(±Z方向)それぞれの設置位置を調整する。また、設置作業者は、固設用部材124を介して、受光塔12のケース123の車線方向(±X方向)の軸、車線幅方向(±Y方向)の軸、及び、上下方向(±Z方向)の軸それぞれの軸線周りについての向きを調整する。
【0086】
設置作業者は、ある程度、受光塔12のケース123の設置位置及び向きを調整した後、受光塔12のスイッチSW22を操作して、評価対象とする投受光器130を指定する(ステップS12a;評価対象設定工程)。この際、設置作業者は、受光塔12を支える自身の手や体などによって遮蔽される恐れのない領域に属する投受光器130を指定する。
【0087】
設置作業者は、報知表示器125の点灯状態を確認しながら、受光塔12のケース123の設置位置及び向きを調整する。報知表示器125が点灯すると、設置作業者は、複数の投受光器130それぞれにおける、投光器110の光軸Eが受光器120の光軸Rにほぼ一致したと判断して、受光塔12のケース123の設置位置及び向きの調整を終了する。即ち、受光塔設置工程(ステップS13a)及び設置工程(ステップS10)が終了する。
【0088】
(作用、効果)
以上、第3の実施形態に係る進入側車両検知器10によれば、設置作業者は、光軸が一致しているか否かの評価対象とする投受光器130を所望に指定することができる。これにより、第2の実施形態と同様に、設置作業者の手などによる遮蔽の影響を受けることなく速やかに、高精度な光軸調整を行うことができる。
また、第3の実施形態によれば、第1、第2の実施形態とは異なり、投光器110の発光強度、及び、受光器120の受光感度を低減させる操作を必要としない。これにより、より簡便に設置作業を行うことができる。
【0089】
以上、第1~第3の実施形態に係る車両検知器について詳細に説明したが、車両検知器の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。
例えば、投光塔11に対して受光塔12の位置を調整する以外に、受光塔12に対して投光塔11の位置を調整することとしてもよい。
【0090】
なお、上述の各実施形態においては、上述した制御部112及び制御部122の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0091】
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0092】
また、他の実施形態においては、第1~第3の実施形態で説明した制御部112及び制御部122が有する各機能部の一部を、ネットワークで接続された他のコンピュータが具備する態様であってもよい。
【0093】
以上のとおり、本発明に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1 料金収受設備
10 進入側車両検知器
11 投光塔
110 投光器
110a 基板
111 駆動回路
112 制御部
1120 調整部
1121 動作モード受付部
1122 指定受付部
113 ケース
113a 開口部
114 固設用部材
114a ベース板
114b 傾斜部材
12 受光塔
120 受光器
120a 基板
121 検知回路
122 制御部
1220 調整部
1221 動作モード受付部
1222 報知処理部
1223 指定受付部
123 ケース
123a 開口部
124 固設用部材
124a ベース板
124b 傾斜部材
130 投受光器
20 通信停止用車両検知器
21 投光塔
22 受光塔
30 通信アンテナ
SW10、SW11、SW20、SW21、SW22 スイッチ
L 車線
IL 左側アイランド
IR 右側アイランド
A 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7