(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】異常検知回路
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20220830BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220830BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20220830BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 670C
G09G3/20 670N
G09G3/20 612E
G09G3/20 612L
G09G3/20 621A
G09G3/20 612T
G02F1/133 550
B60K35/00 Z
(21)【出願番号】P 2018137846
(22)【出願日】2018-07-23
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 明
(72)【発明者】
【氏名】山本 恭輝
(72)【発明者】
【氏名】伊東 祐徳
(72)【発明者】
【氏名】井上 泰伸
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026899(JP,A)
【文献】特開2018-044779(JP,A)
【文献】特開平11-174408(JP,A)
【文献】実開平01-055465(JP,U)
【文献】特開2000-305522(JP,A)
【文献】実開昭58-063569(JP,U)
【文献】特開昭59-116052(JP,A)
【文献】特開昭63-210670(JP,A)
【文献】特開2002-267696(JP,A)
【文献】特開平09-159701(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079636(WO,A1)
【文献】特開2006-047962(JP,A)
【文献】特開2005-157321(JP,A)
【文献】特開2012-220238(JP,A)
【文献】特開2018-004887(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194107(WO,A1)
【文献】特開2016-177279(JP,A)
【文献】特開2010-122513(JP,A)
【文献】特開2006-119225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G09G 3/20
G02F 1/133
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分圧回路と、
前記複数の分圧回路の各出力から一つを選択して出力する第1セレクタと、
前記第1セレクタの出力と基準電圧とを比較する第1コンパレータと、
前記第1コンパレータの出力に基づき異常を検知する第1検知部と、
前記第1セレクタの出力を前記第1コンパレータの反転入力端子に供給し、前記基準電圧を前記第1コンパレータの非反転入力端子に供給する第1の接続状態と、前記第1セレクタの出力を前記第1コンパレータの非反転入力端子に供給し、前記基準電圧を前記第1コンパレータの反転入力端子に供給する第2の接続状態とのいずれかを選択するスイッチ部と、
液晶表示パネルの複数のソースchから一つを選択する第2セレクタと、
前記第2セレクタによって選択されたソースchから出力される電圧と前記第2セレクタによって選択されたソースchの表示階調に応じて設定される閾値電圧とを比較する第2コンパレータと、
前記第2コンパレータの出力に基づき異常を検知する第2検知部と、
を備え、
前記複数の分圧回路はそれぞれ別々の監視対象電圧を分圧し、
(a)前記液晶表示パネルを備える液晶表示装置の垂直同期信号
に同期して前記第1セレクタの選択が切り替わり、前記液晶表示装置の水平同期信号
に同期して前記第2セレクタの選択が切り替わる
か、
(b)前記液晶表示装置の前記水平同期信号に同期して前記第1セレクタの選択が切り替わり、前記液晶表示装置の前記水平同期信号に同期して前記第2セレクタの選択が切り替わるか、
(c)前記液晶表示装置の前記垂直同期信号に同期して前記第1セレクタの選択が切り替わり、前記液晶表示装置の前記垂直同期信号に同期して前記第2セレクタの選択が切り替わるか、
(d)前記液晶表示装置の前記水平同期信号に同期して前記第1セレクタの選択が切り替わり、前記液晶表示装置の前記垂直同期信号に同期して前記第2セレクタの選択が切り替わるか、のいずれかで、前記第1セレクタの選択及び前記第2セレクタの選択が切り替わる、異常検知回路。
【請求項2】
前記閾値電圧は、前記第2セレクタによって選択されたソースchの表示階調に第1所定階調を加えて得られる階調に対応する第1閾値電圧であり、
前記第2セレクタによって選択されたソースchから出力される電圧と前記第2セレクタによって選択されたソースchの表示階調から第2所定階調を引いて得られる階調に対応する第2閾値電圧とを比較する第3コンパレータを備え、
前記第2検知部は、前記第2コンパレータの出力及び前記第3コンパレータの出力に基づき異常を検知する、請求項1に記載の異常検知回路。
【請求項3】
前記第2セレクタによって選択されたソースchの表示階調が所定範囲である場合、前記第2コンパレータ及び前記第3コンパレータのいずれか一方が比較結果にかかわらず出力を固定する、請求項2に記載の異常検知回路。
【請求項4】
複数の分圧回路と、
前記複数の分圧回路の各出力から一つを選択して出力する第1セレクタと、
前記第1セレクタの出力と基準電圧とを比較する第1コンパレータと、
前記第1コンパレータの出力に基づき異常を検知する第1検知部と、
前記第1セレクタの出力を前記第1コンパレータの反転入力端子に供給し、前記基準電圧を前記第1コンパレータの非反転入力端子に供給する第1の接続状態と、前記第1セレクタの出力を前記第1コンパレータの非反転入力端子に供給し、前記基準電圧を前記第1コンパレータの反転入力端子に供給する第2の接続状態とのいずれかを選択するスイッチ部と、
液晶表示パネルの複数のソースchが前記液晶表示パネルを備える液晶表示装置の表示に影響を与えない期間において前記複数のソースchから出力される電圧の合成値が所定量以上変化するタイミングを認識する認識部と、
前記認識部によって認識された前記タイミングで、前記液晶表示パネルのコモン電極に印加されるコモン電圧に所定の大きさ以上のパルスが出現しているか否かを判定し、前記判定の結果に基づき異常を検知する第3検知部と、
を備え、
前記複数の分圧回路はそれぞれ別々の監視対象電圧を分圧し、
前記液晶表示装置の垂直同期信号又は水平同期信号に同期して前記第1セレクタの選択が切り替わる、異常検知回路。
【請求項5】
前記液晶表示パネルの複数のソースchが前記液晶表示装置の表示に影響を与えない期間において前記複数のソースchから出力される電圧の合成値が所定量以上変化するタイミングを認識する認識部と、
前記認識部によって認識された前記タイミングで、前記液晶表示パネルのコモン電極に印加されるコモン電圧に所定の大きさ以上のパルスが出現しているか否かを判定し、前記判定の結果に基づき異常を検知する第3検知部と、
を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の異常検知回路。
【請求項6】
前記コモン電圧と許容下限値電圧とを比較する第4コンパレータと、
前記コモン電圧と許容上限値電圧とを比較する第5コンパレータと、
前記第4コンパレータの出力及び前記第5コンパレータの出力に基づき異常を検知する第4検知部と、を備え、
前記第3検知部は、前記許容下限値電圧を第1パルス検知電圧に置換して前記第4コンパレータを用い、前記許容上限値電圧を第2パルス検知電圧に置換して前記第5コンパレータを用いて前記判定を行う、請求項4又は請求項5に記載の異常検知回路。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の異常検知回路を備える、液晶表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の液晶表示装置を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の異常を検知する異常検知回路に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に異常が生じると、液晶表示装置の液晶表示パネルに正常な映像が表示されなくなる。液晶表示装置の異常を検知する異常検知回路を液晶表示装置に搭載することで、液晶表示装置に異常が生じた場合に例えば異常を使用者に知らせる、映像表示を停止する等の各種対応をとることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、動作時に異常を自律的に検出可能な液晶表示装置が開示されている。しかしながら、特許文献1で開示されている液晶表示装置では、画像を表示する表示部の他に液晶の配向状態を示す計測信号を出力する計測部を画素回路に設ける必要があった。したがって、特許文献1で開示されている液晶表示装置では、特殊な液晶表示パネルを用いる必要があった。
【0005】
本発明は、上記の状況に鑑み、特殊な液晶表示パネルを用いずに液晶表示装置の異常を検知することができる異常検知回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中に開示されている異常検知回路は、複数の分圧回路と、前記複数の分圧回路の各出力から一つを選択して出力する第1セレクタと、前記第1セレクタの出力と基準電圧とを比較する第1コンパレータと、前記第1コンパレータの出力に基づき異常を検知する第1検知部と、を備え、液晶表示装置の垂直同期信号又は水平同期信号に同期して前記第1セレクタの選択が切り替わる構成(第1の構成)である。
【0007】
また上記第1の構成の異常検知回路において、前記セレクタの出力を前記コンパレータの反転入力端子に供給し、前記基準電圧を前記コンパレータの非反転入力端子に供給する第1の接続状態と、前記セレクタの出力を前記コンパレータの非反転入力端子に供給し、前記基準電圧を前記コンパレータの反転入力端子に供給する第2の接続状態とのいずれかを選択するスイッチ部を備える構成(第2の構成)であってもよい。
【0008】
また上記第1又は第2の構成の異常検知回路において、液晶表示パネルの複数のソースchから一つを選択する第2セレクタと、前記第2セレクタによって選択されたソースchから出力される電圧と前記第2セレクタによって選択されたソースchの表示階調に応じて設定される閾値電圧とを比較する第2コンパレータと、前記第2コンパレータの出力に基づき異常を検知する第2検知部と、を備え、液晶表示装置の水平同期信号又は垂直同期信号に同期して前記第2セレクタの選択が切り替わる構成(第3の構成)であってもよい。
【0009】
また上記第3の構成の異常検知回路において、前記閾値電圧は、前記第2セレクタによって選択されたソースchの表示階調に第1所定階調を加えて得られる階調に対応する第1閾値電圧であり、前記第2セレクタによって選択されたソースchから出力される電圧と前記第2セレクタによって選択されたソースchの表示階調から第2所定階調を引いて得られる階調に対応する第2閾値電圧とを比較する第3コンパレータを備え、前記第2検知部は、前記第2コンパレータの出力及び前記第3コンパレータの出力に基づき異常を検知する構成(第4の構成)であってもよい。
【0010】
また上記第4の構成の異常検知回路において、前記第2セレクタによって選択されたソースchの表示階調が所定範囲である場合、前記第2コンパレータ及び前記第3コンパレータのいずれか一方が比較結果にかかわらず出力を固定する構成(第5の構成)であってもよい。
【0011】
また上記第1~第5いずれかの構成の異常検知回路において、液晶表示パネルの複数のソースchが前記液晶表示パネルを備える液晶表示装置の表示に影響を与えない期間において前記複数のソースchから出力される電圧の合成値が所定量以上変化するタイミングを認識する認識部と、前記認識部によって認識された前記タイミングで、前記液晶表示パネルのコモン電極に印加されるコモン電圧に所定の大きさ以上のパルスが出現しているか否かを判定し、前記判定の結果に基づき異常を検知する第3検知部と、を備える構成(第6の構成)であってもよい。
【0012】
また上記第6の構成の異常検知回路において、前記コモン電圧と許容下限値電圧とを比較する第4コンパレータと、前記コモン電圧と許容上限値電圧とを比較する第5コンパレータと、前記第4コンパレータの出力及び前記第5コンパレータの出力に基づき異常を検知する第4検知部と、を備え、前記第3検知部は、前記許容下限値電圧を第1パルス検知電圧に置換して前記第4コンパレータを用い、前記許容上限値電圧を第2パルス検知電圧に置換して前記第5コンパレータを用いて前記判定を行う構成(第7の構成)であってもよい。
【0013】
本明細書中に開示されている他の異常検知回路は、液晶表示パネルの複数のソースchから一つを選択するセレクタと、前記セレクタによって選択されたソースchから出力される電圧と前記第2セレクタによって選択されたソースchの表示階調に応じて設定される閾値電圧とを比較するコンパレータと、前記コンパレータの出力に基づき異常を検知する検知部と、を備え、液晶表示装置の水平同期信号又は垂直同期信号に同期して前記セレクタの選択が切り替わる構成(第8の構成)である。
【0014】
本明細書中に開示されている更に他の異常検知回路は、液晶表示パネルの複数のソースchが前記液晶表示パネルを備える液晶表示装置の表示に影響を与えない期間において前記複数のソースchから出力される電圧の合成値が所定量以上変化するタイミングを認識する認識部と、前記認識部によって認識された前記タイミングで、前記液晶表示パネルのコモン電極に印加されるコモン電圧に所定の大きさ以上のパルスが出現しているか否かを判定し、前記判定の結果に基づき異常を検知する検知部と、を備える構成(第9の構成)である。
【0015】
本明細書中に開示されている液晶表示装置は、上記第1~第9いずれかの構成の異常検知回路を備える構成(第10の構成)である。
【0016】
本明細書中に開示されている車両は、上記第10の構成の液晶表示装置を備える構成(第11の構成)である。
【発明の効果】
【0017】
本明細書中に開示されている異常検知回路は、特殊な液晶表示パネルを用いずに液晶表示装置の異常を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】第1実施形態に係る異常検知回路の構成を示す図
【
図5】第2実施形態に係る異常検知回路の構成を示す図
【
図8】第3実施形態に係る異常検知回路の構成を示す図
【
図9】ソース電圧の合成値とコモン電圧との関係を示す図
【
図10】液晶表示装置の状態とバックライトの状態との関係を示す図
【
図12】第4実施形態に係る異常検知回路の構成を示す図
【
図13】ソース電圧の合成値とコモン電圧との関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<1.液晶表示装置の構成例>
図1は、液晶表示装置の一構成例を示すブロック図である。液晶表示装置10は、画素アレイ11と、システム電源部12と、タイミング制御部13と、GPU(Graphics Processing Unit)14と、ゲートドライバ15と、ソースドライバ16と、不図示のバックライトと、を有する。ゲートドライバ15は、複数のゲートドライバICを備える。各々のゲートドライバICは、レベルシフタ15Aと、出力段のスイッチ(不図示)と、を含む。システム電源部12、タイミング制御部13、ソースドライバ16、及び後述する異常検知回路17は、1チップの半導体集積回路装置18内に形成される。なお、本実施形態とは異なり、システム電源部12、タイミング制御部13、ソースドライバ16、及び後述する異常検知回路17を複数のチップで構成してもよい。
【0020】
図2に示すように、画素アレイ11は、複数行複数列に配置された複数の画素回路11Aと、複数行に対応してそれぞれ設けられた複数のゲート線GLと、複数列に対応してそれぞれ設けられた複数のソース線SLと、を有する。各ゲート線GLの一端はゲートドライバ15に接続される。各ソース線SLの一端はソースドライバ16に接続される。
【0021】
画素回路11Aは、TFT(Thin Film Transistor)11Bと、液晶セル11Cと、を有する。なお、本実施例とは異なりTFTの代わりにTFT以外のスイッチであってゲート線GLに印加される電圧に応じてオン/オフ制御可能なスイッチを用いてもよい。各TFT11Bのゲートは、対応するゲート線GLに接続される。各TFT11Bのソースは、対応するソース線SLに接続される。各TFT11Bのドレインは、対応する液晶セル11Cを介してコモン電圧が印加される不図示のコモン電極に接続される。液晶セル11Cは、互いに対向する2枚の透明電極と、その2枚の透明電極の間に封入された液晶と、を有する。
【0022】
ゲート線GLがLowレベルになっている場合、すなわちゲート線GLに後述の負電源電圧VOFFが印加されている場合、TFT11Bはオフ状態になる。一方、ゲート線GLがHighレベルになっている場合、すなわちゲート線GLに後述の正電源電圧VONが印加されている場合、TFT11Bはオン状態になる。TFT11Bがオン状態のときに、ソース線SLの電圧がTFT11Bのドレインと液晶セル11Cとの間の記憶ノードN1に書き込まれ、記憶ノードN1に書き込まれた電圧はTFT11Bがオン状態からオフ状態に切り替わることによって記憶ノードN1にて保持される。液晶セル11Cの光透過率は、記憶ノードN1に書き込まれた電圧に応じて変化する。画素アレイ11がノーマリホワイト型であれば、記憶ノードN1に書き込まれた電圧が上記のコモン電圧と等しいときに液晶セル11Cの光透過率が最大になる。一方、画素アレイ11がノーマリブラック型であれば、記憶ノードN1に書き込まれた電圧が上記のコモン電圧と等しいときに液晶セル11Cの光透過率が最小になる。
【0023】
図1に戻ってシステム電源部12は、入力電圧VIN(例えば+3.3V)の供給を受けて動作し、アナログ系正電源電圧AVDD(例えば+6V)アナログ系負電源電圧-AVDD(例えば-6V)、ロジック系電源電圧VDD(例えば+5V、+1.8V、+1.2V)、正電源電圧VON(例えば+28V)、及び負電源電圧VOFF(例えば-12V)をそれぞれ生成して装置各部に供給する。システム電源部12は上記の電源電圧を含む多数の電源電圧及び多数の基準電圧を生成する。
【0024】
タイミング制御部13は、ロジック系電源電圧VDDの供給を受けて動作し、GPU14から供給される映像信号V-SIGに基づいて、ゲートドライバ15及びソースドライバ16の動作のタイミングを制御する。
【0025】
ゲートドライバIC内のレベルシフタ15Aは、正電源電圧VON及び負電源電圧VOFFの供給を受けて動作し、タイミング制御部13から供給される制御信号のレベルをシフトする。
【0026】
ゲートドライバ15内の複数のゲートドライバICは、画素アレイ11の複数のゲート線GLを所定時間ずつ順次選択する。ゲートドライバ15内の複数のゲートドライバICは、選択したゲート線GLをHighレベルにする。
【0027】
本実施例では、上記の通りゲートドライバ15は、複数のゲートドライバICを有する。各ゲートドライバICには複数のゲート線GLが割り当てられ、各ゲート線GLはいずれか1つのゲートドライバICに接続される。なお、本実施形態とは異なり、ゲートドライバ15が単一のゲートドライバICによって構成されてもよい。
【0028】
また本実施例では、液晶表示パネルのガラス基板に各ゲートドライバICがCOG(Chip On Glass)実装される。なお、本実施形態とは異なり、各ゲートドライバICがガラス基板に実装されずガラス基板以外の基板(例えばプリント回路基板など)に実装されてもよい。また、本実施形態とは異なり、画素アレイと各ゲートドライバICの出力段スイッチに相当する回路部分とを備えるタイプのパネル(Gate In Panel(GIP)或いはGate On Array(GOA)等と称されるタイプのパネル)を用いてもよい。当該タイプのパネルを用いる場合には、ゲートドライバICのうち出力段スイッチに相当する回路部分だけが液晶表示パネル上に形成され、シフトレジスタ15Aは液晶表示パネルの外部に配置される。
【0029】
ソースドライバ16は、各ソース線SLを介して、ゲートドライバ15によって選択されたゲート線GLに対応する各画素回路11Aの記憶ノードN1に、映像信号V-SIGに応じたレベルの電圧すなわち表示階調に対応する電圧を書き込む。
【0030】
ソースドライバ16は、アナログ系正電源電圧AVDD及びアナログ系負電源電圧-AVDDの供給を受けて動作する。ソースドライバ16は、液晶表示パネルのガラス基板にCOG(Chip On Glass)実装されている。なお、本実施形態とは異なり、ソースドライバ16がCOF(Chip On Film)実装されてもよい。
【0031】
また、本実施形態とは異なり、ソースドライバ16が複数のソースドライバICによって構成されてもよい。
【0032】
不図示のバックライトは、画素アレイ11の背面に光を面照射する。画素アレイ11の背面から入射した光は、画素アレイ11の各画素において、各液晶セル11Cの光透過率に応じて輝度調整された後、画素アレイ11の正面から出射する。
【0033】
液晶表示装置10は、異常検知回路17をさらに有する。以下、異常検知回路17の各例である第1~第4実施形態に係る異常検知回路17A~17Dについて説明する。
【0034】
<2.第1実施形態に係る異常検知回路>
図3は、第1実施形態に係る異常検知回路17A(以下、異常検知回路17Aと称す)の構成を示す図である。上述した通りシステム電源部12は多数の電源電圧及び多数の基準電圧を生成する。システム電源部12によって生成される電圧に異常があると、液晶表示装置10は正常な表示を行えない。そこで、異常検知回路17Aは、システム電源部12によって生成される電圧を監視対象として異常検知を行う。
【0035】
異常検知回路17Aは、複数の分圧回路21_1~21_n(nは2以上の自然数)と、セレクタ22と、コンパレータ23と、スイッチ部24と、フィルタ回路25と、レベルシフタ26と、ロジック回路27と、を有する。
【0036】
複数の分圧回路21_1~21_nはそれぞれ、監視対象である電圧V1~Vnを分圧し、分圧DV1~DVnを出力する。なお、
図3に示す構成では、電圧V1及びVnは正電圧であり、V2は負電圧である。
【0037】
セレクタ22は、複数の分圧回路21_1~21_nから出力される各分圧DV1~DVnから一つを選択して出力する。そして、液晶表示装置10の垂直同期信号Vsyncに同期してセレクタ22の選択が切り替わる。したがって、
図4に示す期間P1ではセレクタ22は正の分圧DV1を選択し、
図4に示す期間P2ではセレクタ22は負の分圧DV2を選択し、
図4に示す期間Pnではセレクタ22は正の分圧DVnを選択する。
【0038】
コンパレータ23は、セレクタ22の出力と基準電圧VREF1とを比較する。
【0039】
スイッチ部24は、セレクタ22の出力をコンパレータ23の反転入力端子に供給し、基準電圧VREF1をコンパレータ23の非反転入力端子に供給する第1の接続状態と、セレクタ22の出力をコンパレータ23の非反転入力端子に供給し、基準電圧VREF1をコンパレータ23の反転入力端子に供給する第2の接続状態とのいずれかを選択する。正電圧の低電圧異常を検知する場合、セレクタ22が正の分圧を選択し、スイッチ部24が第1の接続状態を選択する。一方、負電圧の低電圧異常を検知する場合、セレクタ22が負の分圧を選択し、スイッチ部24が第2の接続状態を選択する。
【0040】
スイッチ部24を上記のように動作させることにより、正電圧の低電圧異常を検知する場合であっても負電圧の低電圧異常を検知する場合であっても、低電圧異常が生じていなければコンパレータ23の出力はローレベルになり、低電圧異常が生じていればコンパレータ23の出力はハイレベルになる。低電圧異常が生じるときのコンパレータ23の出力論理が正電圧の低電圧異常を検知する場合と負電圧の低電圧異常を検知する場合とで逆になっても構わなければ、スイッチ部24を設けなくてもよい。スイッチ部24を設けないのであれば、低電圧異常が生じるときのコンパレータ23の出力論理が正電圧の低電圧異常を検知する場合と負電圧の低電圧異常を検知する場合とで逆になることをロジック部27に認識させればよい。そして、正電圧の低電圧異常を検知する場合と負電圧の低電圧異常を検知する場合とが切り替わるタイミングをロジック部27に認識させればよい。
【0041】
フィルタ回路25はコンパレータ23の出力からノイズを除去する。レベルシフタ26はフィルタ回路25の出力電圧のレベルをシフトする。本実施形態とは異なり、レベルシフタ26をフィルタ回路25の前段に設けてもよい。また、本実施形態とは異なり、コンパレータ23がフィルタ回路25及びレベルシフタ26の少なくとも一方を内蔵してもよい。
【0042】
ロジック回路27は、レベルシフタ26の出力に基づき監視対象である電圧の低電圧異常を検知する。例えば、セレクタ22が分圧DV1を選択している期間P1において、ロジック回路27は、レベルシフタ26の出力がハイレベルであれば電圧V1の低電圧異常を検知する。
【0043】
各期間P1~Pnにおいてロジック回路27がどのタイミングでレベルシフタ26の出力を取り込むかは、ロジック回路27のレジスタ設定によって当該タイミングを変更できることが好ましい。例えば、当該タイミングは、垂直ブランキング期間内などの監視対象である電圧が安定している期間内であることが好ましい。
【0044】
低電圧異常を検知する機能をイネーブルにするかディセーブルにするかを監視対象である電圧毎にロジック回路27のレジスタ設定によって制御できることが好ましい。
【0045】
また、ロジック回路27は、ある一定期間で低電圧異常が何回検知されたかを監視対象である電圧毎にカウントし、規定回数以上になった場合に低電圧異常を確定させてもよい。そして、ある一定期間の長さ及び規定回数を監視対象である電圧毎にロジック回路27のレジスタ設定によって制御できることが好ましい。
【0046】
ロジック回路27は、監視対象である電圧の低電圧異常を検知すると、異常検知信号を例えばGPU14に送信してもよい。異常検知信号の送信に代えて又は加えて、例えばGPU14によってロジック回路27から監視対象である電圧の低電圧異常に関する情報が読み出されるようにしてよい。また、監視対象である電圧の低電圧異常が検知された後の処理内容もロジック回路27のレジスタ設定によって変更できることが好ましい。
【0047】
異常検知回路17Aは、監視対象である電圧の低電圧異常を検知するタイミングを監視対象である電圧毎にずらしているため、コンパレータ23の個数を低減することができる。監視対象である電圧の低電圧異常を検知するタイミングは液晶表示装置10の垂直同期信号Vsyncに同期しているため、異常検知回路17A用のタイミング信号を新たに生成する必要もない。したがって、異常検知回路17Aは、監視対象である電圧が多数であっても回路規模が小さい。
【0048】
なお、本実施形態では、液晶表示装置10の垂直同期信号Vsyncに同期してセレクタ22の選択が切り替わったが、液晶表示装置10の水平同期信号に同期してセレクタ22の選択が切り替わるようにしてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、監視対象である電圧の低電圧異常を検知したが、監視対象である電圧の高電圧異常を検知してもよい。
【0050】
また、本実施形態では、監視対象である全ての電圧に対して一つのコンパレータを設けたが、監視対象である複数の正電圧に対して一つのコンパレータを設け、監視対象である複数の負電圧に対してもう一つ別のコンパレータを設けてもよい。
【0051】
<3.第2実施形態に係る異常検知回路>
図5は、第2実施形態に係る異常検知回路17B(以下、異常検知回路17Bと称す)の構成を示す図である。異常検知回路17Bは、
図2に示すTFT11Bのゲートとソースが短絡した場合、ソースドライバ16の隣接する出力端子間が短絡した場合、ソースドライバ16が故障した場合等の異常を検知することができる。本実施形態ではソース線SLの本数が1920本である場合を例に挙げて説明を行う。
【0052】
異常検知回路17Bは、全てのソースchから出力される正側電圧SP1~SP960及び負側電圧NP1~NP960を8つに分けて異常検知を行っている。そのうちの一つである正側電圧SP1~SP240の異常検知について説明する。
【0053】
セレクタ31P_1は、1ch~480chから一つを選択する。そして、液晶表示装置10の水平同期信号Hsyncに同期してセレクタ31P_1の選択が切り替わる。奇数chから正側電圧が出力されるときには、
図6に示す期間P1でセレクタ31P_1は1chを選択し、
図6に示す期間P2でセレクタ31P_1は3chを選択する。一方、偶数chから正側電圧が出力されるときには、
図6に示す期間P1でセレクタ31P_1は2chを選択し、
図6に示す期間P2でセレクタ31P_1は4chを選択する。したがって、
図6に示す期間P1では、セレクタ31P_1によって選択されたソースchから正側電圧SP1が出力され、
図6に示す期間P2では、セレクタ31P_1によって選択されたソースchから正側電圧SP2が出力される。
【0054】
D/Aコンバータ32P_1は、セレクタ31P_1によって選択されたソースchの表示階調(デジタルデータ)に第1所定階調を加えて得られる階調に対応する上側第1閾値電圧(アナログ電圧)を出力する。D/Aコンバータ32P_1は第1所定階調に関するデータをロジック回路40から受け取る。第1所定階調はロジック回路40のレジスタ設定によって変更できることが好ましい。
【0055】
D/Aコンバータ33P_1は、セレクタ31P_1によって選択されたソースchの表示階調(デジタルデータ)に第2所定階調を引いて得られる階調に対応する下側第2閾値電圧(アナログ電圧)を出力する。なお、第2所定階調は第1所定階調と同一であってもよく異なっていてもよい。D/Aコンバータ33P_1は第2所定階調に関するデータをロジック回路40から受け取る。第2所定階調はロジック回路40のレジスタ設定によって変更できることが好ましい。
【0056】
図7に示す特性線T1は表示階調に対応する正側電圧を示す特性線であり、
図7に示す特性線T2は上側第1閾値電圧を示す特性線であり、
図7に示す特性線T3は下側第2閾値電圧を示す特性線である。
【0057】
コンパレータ34P_1は、セレクタ31P_1によって選択されたソースchから出力される正側電圧と上側第1閾値電圧を比較する。ただし、表示階調が(256-第1所定階調)~255である領域R3(
図7参照)では、コンパレータ34P_1の比較結果にかかわらずコンパレータ34P_1の出力をローレベルに固定する。
【0058】
コンパレータ35P_1は、セレクタ31P_1によって選択されたソースchから出力される正側電圧と下側第2閾値電圧を比較する。ただし、表示階調が0~(第2所定階調-1)である領域R1では、コンパレータ35P_1の比較結果にかかわらずコンパレータ35P_1の出力をローレベルに固定する。
【0059】
レベルシフタ36P_1はコンパレータ34P_1の出力電圧のレベルをシフトする。レベルシフタ37P_1はコンパレータ35P_1の出力電圧のレベルをシフトする。
【0060】
ORゲート38P_1はレベルシフタ36P_1の出力とレベルシフタ37P_1の出力との論理和を出力する。フィルタ回路39P_1はORゲート38P_1の出力からノイズを除去する。
【0061】
ロジック回路40は、フィルタ回路39P_1の出力に基づき正側電圧SP1~SP240の異常を検知する。例えば、セレクタ31P_1によって選択されたソースchから正側電圧SP1が出力される期間P1において、フィルタ回路39P_1の出力がハイレベルであればロジック回路40は正側電圧SP1の異常を検知する。ここで、正側電圧SP1の異常とは、正側電圧SP1を出力するソースchに対応する階調が(正側電圧SP1を出力するソースchの表示階調-第2所定階調)以上(正側電圧SP1を出力するソースchの表示階調+第1所定階調)以下の範囲外であることを意味している。
【0062】
水平同期信号Hsyncの各周期(各期間P1、P2、P3、P4、・・・)においてロジック回路40がどのタイミングでフィルタ回路39P_1の出力を取り込むかは、ロジック回路40のレジスタ設定によって当該タイミングを変更できることが好ましい。
【0063】
異常を検知する機能をイネーブルにするかディセーブルにするかを監視対象であるソース出力ch毎にロジック回路40のレジスタ設定によって制御できることが好ましい。
【0064】
また、ロジック回路40は、ある一定期間で異常が何回検知されたかを監視対象であるソース出力ch毎にカウントし、規定回数以上になった場合に異常を確定させてもよい。そして、ある一定期間の長さ及び規定回数を監視対象であるソース出力ch毎にロジック回路40のレジスタ設定によって制御できることが好ましい。
【0065】
ロジック回路40は、監視対象であるソースchから出力される電圧の異常を検知すると、異常検知信号を例えばGPU14に送信してもよい。異常検知信号の送信に代えて又は加えて、例えばGPU14によってロジック回路40から監視対象であるソースchから出力される電圧の異常に関する情報が読み出されるようにしてよい。また、監視対象であるソースchから出力される電圧の異常が検知された後の処理内容もロジック回路40のレジスタ設定によって変更できることが好ましい。
【0066】
なお、本実施形態では、全てのソースchから出力される正側電圧SP1~SP960及び負側電圧NP1~NP960を8つに分けて異常検知を行っているが、分ける個数は8つに限定されない。また、ソースドライバ16がソースchから正側電圧のみを出力するドライバであれば、負側の回路は不要であるので、異常検知回路17Bから負側の回路(
図5に示すセレクタ31N_1~31N_8、D/Aコンバータ32N_1~32N_8及び33N_1~33N_8、コンパレータ34N_1~34N_8及び35N_1~35N_8、レベルシフタ36N_1~36N_8及び37N_1~37N_8、ORゲート38N_1~38N_8、並びにフィルタ回路39N_1~39N_8)を取り除くことができる。本実施形態とは異なり、レベルシフタをORゲートの後段に設けフィルタ回路をORゲートの前段に設けてもよい。また、本実施形態とは異なり、各コンパレータがフィルタ回路及びレベルシフタの少なくとも一方を内蔵してもよい。
【0067】
異常検知回路17Bは、全てのソースchから出力される正側電圧SP1~SP960及び負側電圧NP1~NP960を8つに分けた分割単位それぞれにおいて、監視対象であるソースchから出力される電圧の異常を検知するタイミングを監視対象であるソース出力ch毎にずらしているため、コンパレータの個数を低減することができる。監視対象であるソースchから出力される電圧の異常を検知するタイミングは液晶表示装置10の水平同期信号Hsyncに同期しているため、異常検知回路17B用のタイミング信号を新たに生成する必要もない。したがって、異常検知回路17Bは、監視対象であるソース出力chが多数であるにもかかわらず回路規模が小さい。なお、本実施形態では、液晶表示装置10の水平同期信号Hsyncに同期してセレクタ31P_1~31P_4及び31N_1~31N_4の選択が切り替わったが、液晶表示装置10の垂直同期信号に同期してセレクタ31P_1~31P_4及び31N_1~31N_4の選択が切り替わるようにしてもよい。
【0068】
<4.第3実施形態に係る異常検知回路>
図8は、第3実施形態に係る異常検知回路17C(以下、異常検知回路17Cと称す)の構成を示す図である。
【0069】
図2に示す画素アレイ11では、ソースchから出力される電圧が変化すると、その変化が液晶セル11Cを通してコモン電極に伝搬してコモン電圧にパルスが出現する。したがって、コモン電圧に出現し得るパルスを利用して、液晶表示パネルが正常に駆動しているか否かを監視して、液晶表示パネルの駆動異常を検知することができる。
【0070】
しかしながら、コモン電極は全ての液晶セル11Cに接続されているので、全てのソースchから出力される電圧の変化がコモン電圧に影響を与える。そして、液晶表示パネルが任意の映像を表示している期間は、映像の内容に応じて各ソースchから出力される電圧の値が決まるため、液晶表示パネルが正常に駆動していてもコモン電圧に大きなパルスが出現するとは限らない。
【0071】
例えば、あるソースchから出力される電圧が増加方向に変化するときに、他のソースchから出力される電圧が減少方向に変化すると、それらの変化は相殺されてコモン電極に伝搬するため、コモン電圧に出現するパルスは小さくなる。上述した相殺が起こらない場合でも例えばソースchから出力される電圧の変化が小さければ、コモン電圧に出現するパルスは小さくなる。
【0072】
そこで、液晶表示パネルの駆動異常検知の精度を向上させる観点から、異常検知回路17Cは、液晶表示パネルの複数のソースchが液晶表示装置10の表示に影響を与えない期間において複数のソースchから出力される電圧の合成値が所定量以上変化するタイミングで、コモン電圧に所定の大きさ以上のパルスが出現しているか否かを判定する。
【0073】
異常検知回路17Cは、D/Aコンバータ41及び42と、コンパレータ43と、レベルシフタ45及び46と、ORゲート47と、フィルタ回路48と、ロジック回路49と、を有する。
【0074】
D/Aコンバータ41は、上側判定値(デジタルデータ)を上側判定電圧(アナログ電圧)A1に変換して出力する。D/Aコンバータ41は上側判定値をロジック回路49から受け取る。上側判定値はロジック回路49のレジスタ設定によって変更できることが好ましい。
【0075】
D/Aコンバータ42は、下側判定値(デジタルデータ)を下側判定電圧(アナログ電圧)B1に変換して出力する。D/Aコンバータ42は下側判定値をロジック回路49から受け取る。下側判定値はロジック回路49のレジスタ設定によって変更できることが好ましい。
【0076】
レベルシフタ45はコンパレータ43の出力電圧のレベルをシフトする。レベルシフタ46はコンパレータ44の出力電圧のレベルをシフトする。
【0077】
ORゲート47はレベルシフタ45の出力とレベルシフタ46の出力との論理和を出力する。フィルタ回路48はORゲート47の出力からノイズを除去する。
【0078】
ロジック回路49は、フィルタ回路48の出力に基づき液晶表示パネルの駆動異常を検知する。具体的には、ロジック回路49は、液晶表示パネルの複数のソースchが液晶表示装置10の表示に影響を与えない期間において複数のソースchから出力される電圧の合成値が所定量以上変化するタイミングを認識し、そのタイミングでフィルタ回路48の出力がローレベルであれば液晶表示パネルの駆動異常を検知する。
【0079】
例えば
図9に示すタイミングTM1及びTM2では、フィルタ回路48の出力がハイレベルであるため、ロジック回路49が液晶表示パネルの駆動異常を検知しない。
図9に示すように複数のソースchから出力される電圧の合成値SOをタイミングTM1で大きく増加させるには、例えばタイミングTM1で全てのソースchから出力される電圧を一定量増加させるとよい。同様に、
図9に示すように複数のソースchから出力される電圧の合成値SOをタイミングTM2で大きく減少させるには、例えばタイミングTM2で全てのソースchから出力される電圧を一定量減少させるとよい。
【0080】
液晶表示パネルの複数のソースchが液晶表示装置10の表示に影響を与えない期間としては、例えば、
図10に示す液晶表示装置10の起動シーケンスの終盤期間PDP1を挙げることができる。起動シーケンスの終盤期間PDP1であれば、ソースドライバ16がソースchから電圧を出力することが可能となっている。また、起動シーケンスの終盤期間PDP1であれば、液晶表示パネルのバックライトが消灯しているので、液晶表示装置10の表示をユーザが視認することができないためにソースchが液晶表示装置10の表示に影響を与えない。
【0081】
液晶表示パネルの複数のソースchが液晶表示装置10の表示に影響を与えない期間としては、例えば、
図1に示す液晶表示装置10の通常表示において
図11に示す灰色領域のゲート線GLが選択されている期間を挙げることができる。
図11に示す灰色領域は、液晶表示パネルの画面が液晶表示装置10のベゼルで覆われている領域である。
図11に示す灰色領域の表示は、ベゼルで覆われているためユーザが視認することができない。したがって、
図11に示す灰色領域のゲート線GLが選択されている期間は、ソース電圧が液晶表示装置10の表示に影響を与えない期間となる。
【0082】
異常検知回路17Cは、液晶表示装置10の表示に影響を与えずに液晶表示パネルの駆動異常を検知することができる。
【0083】
ロジック回路49がどのタイミングでフィルタ回路48の出力を取り込むかは、ロジック回路49のレジスタ設定によって当該タイミングを変更できることが好ましい。
【0084】
また、ロジック回路49は、ある一定期間で異常が何回検知されたかをカウントし、規定回数以上になった場合に異常を確定させてもよい。そして、ある一定期間の長さ及び規定回数をロジック回路49のレジスタ設定によって制御できることが好ましい。
【0085】
ロジック回路49は、液晶表示パネルの駆動異常を検知すると、異常検知信号を例えばGPU14に送信してもよい。異常検知信号の送信に代えて又は加えて、例えばGPU14によってロジック回路49から液晶表示パネルの駆動異常に関する情報が読み出されるようにしてよい。また、液晶表示パネルの駆動異常が検知された後の処理内容もロジック回路49のレジスタ設定によって変更できることが好ましい。
【0086】
本実施形態とは異なり、レベルシフタをORゲート47の後段に設けフィルタ回路をORゲート47の前段に設けてもよい。また、本実施形態とは異なり、コンパレータ43及び44それぞれがフィルタ回路及びレベルシフタの少なくとも一方を内蔵してもよい。
【0087】
<5.第4実施形態に係る異常検知回路>
図12は、第4実施形態に係る異常検知回路17D(以下、異常検知回路17Dと称す)の構成を示す図である。異常検知回路17Dは、異常検知回路17Cにスイッチ部50を追加した構成である。
【0088】
スイッチ部50は、コモン電圧をコンパレータ43の非反転入力端子及びコンパレータ44の反転入力端子に供給し、D/Aコンバータ41の出力をコンパレータ43の反転入力端子に供給し、D/Aコンバータ42の出力をコンパレータ44の非反転入力端子に供給する第1の接続状態と、コモン電圧をコンパレータ43の反転入力端子及びコンパレータ44の非反転入力端子に供給し、D/Aコンバータ41の出力をコンパレータ43の非反転入力端子に供給し、D/Aコンバータ42の出力をコンパレータ44の反転入力端子に供給する第2の接続状態とのいずれかを選択する。
【0089】
スイッチ部50が第1の接続状態を選択しているとき、異常検知回路17Dは、異常検知回路17Cと等価になる。
【0090】
スイッチ部50が第2の接続状態を選択しているとき、異常検知回路17Dは、コモン電圧が許容下限電圧以上であって許容上限電圧以下である許容範囲内であるかを判定する。スイッチ部50は、液晶表示装置10が通常表示を行っているときに、第2の接続状態を選択する。
【0091】
スイッチ部50が第2の接続状態を選択しているとき、D/Aコンバータ41は許容上限データ(デジタルデータ)を許容上限電圧(アナログ電圧)A2に変換して出力し、D/Aコンバータ42は許容下限データ(デジタルデータ)を許容下限電圧(アナログ電圧)B2に変換して出力する。
図13に示すように許容上限電圧A2は上側判定電圧A1より大きく、許容下限電圧B2は下側判定電圧B1より小さい。
【0092】
D/Aコンバータ41は許容上限データをロジック回路49から受け取り、D/Aコンバータ42は許容下限データをロジック回路49から受け取る。許容上限データ及び許容下限データはロジック回路49のレジスタ設定によって変更できることが好ましい。
【0093】
コモン電圧が許容範囲外であれば、フィルタ回路48の出力がローレベルになり、ロジック回路49がコモン電圧の異常を検知する。
【0094】
<6.用途>
上記した液晶表示装置は、例えば、
図14で示す車両101に搭載される。上記した液晶表示装置を
図14で示す車両101に搭載する場合、例えばカーナビゲーションの地図表示などを行うCID (Center Information Display)102、インストルメント・クラスタ103、電子サイドミラーシステムの表示装置104L及び104R、電子バックミラーシステムの表示装置105などの少なくとも一つに利用するとよい(
図15参照)。なお、インストルメント・クラスタ103は、複数の計器に関する表示を行う1つの液晶表示装置で構成されてもよく、各々が少なくとも1つの計器に関する表示を行う複数の液晶表示装置で構成されてもよい。
【0095】
<7.留意点>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0096】
例えば異常検知回路17A~17Dの少なくとも二つを同一の液晶表示装置に搭載されてもよい。この場合、複数の異常検知回路で共用化できる部分(例えばロジック回路)については共用化することが好ましい。
【0097】
すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0098】
10 液晶表示装置
11 画素アレイ
17、17A~17D 異常検知回路
101 車両