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特許7132028IPV6拡張ヘッダーおよび目的地オプションのためのアプリケーションを有する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】IPV6拡張ヘッダーおよび目的地オプションのためのアプリケーションを有する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/42 20220101AFI20220830BHJP
【FI】
H04L45/42
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018153280
(22)【出願日】2018-08-16
(65)【公開番号】P2019062526
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】15/692,525
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507031918
【氏名又は名称】コニカ ミノルタ ラボラトリー ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マリア ペレス
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0146746(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0069845(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1492630(CN,A)
【文献】奥山 航平 Kouhei Okuyama,"IPv6拡張ヘッダを用いた付加的なサービスの提供 Providing Additional Services with IPv6 Extension Headers 2003-OS-93", 情報処理学会研究報告 Vol.2003 No.42 IPSJ SIG Technical Reports (2003-05-09) ,2003年05月09日,第67-74頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-13/18,41/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット・プロトコル(IP)・ネットワーク環境においてデータ・パケットの処理を容易にするシステムであって、
前記システムは、コンピューター装置を有し、前記コンピューター装置は、
IPv6ネットワークと通信して、前記コンピューター装置のオペレーティング・システム上で動作するインターネット・プロトコル・バージョン6(IPv6)拡張アプリケーションを有し、
前記IPv6拡張アプリケーションは、
前記コンピューター装置用のIPv6拡張ヘッダーポリシーを設定するステップと、
拡張ヘッダーまたは目的地オプションを有する元のIPv6パケットを前記コンピューター装置上のネットワーク・スタックから取り出すステップと、
前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプション内の指定されたルートが、前記コンピューター装置用の前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従っているかどうかを判断するステップと、
前記指定されたルートが前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従っている場合、変更IPv6パケットを生成するため、前記コンピューター装置用の前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従って前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを変更し、前記変更IPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上に送信するか、または、
前記指定されたルートが前記コンピューター装置用の前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従わない場合、前記元のIPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上で送信するステップと、
を実行する、システム。
【請求項2】
前記元のIPv6パケットが前記IPv6ネットワーク上にドロップされるとき、前記IPv6拡張アプリケーションは、前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従って前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを追加または削除することによって、前記元のIPv6パケットを変更し、変更された前記元のIPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上で再送信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
さらに、ドロップされた前記元のIPv6パケットの前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを含むように前記IPv6拡張ヘッダーポリシーを更新する、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記元のIPv6パケットがネットワークパスの相互運用性問題を有する場合、前記IPv6アプリケーションは、前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従って前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを追加または削除することによって、前記元のIPv6パケットを自動的に変更し、変更された前記元のIPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上で再送信する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記IPv6拡張ヘッダーポリシーは、前記IPv6モバイル拡張ヘッダーが、送信IPv6パケットまたは受信IPv6パケットに対して前記コンピューター装置によって認識されないように構成される、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記元のIPv6パケットが、リクエスト・フォー・コメンツ(RFC)定義と互換性のないIPv6拡張ヘッダーを有し、前記元のIPv6パケットがルーターによってドロップされている場合、
前記IPv6拡張アプリケーションは、ネットワークパスを記録し、新しいIPv6拡張ヘッダーを使用するようにIPv6パケットを再設計し、再設計されたIPv6パケットを目標装置に正常に配信できる、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記IPv6拡張ヘッダーは、前記元のIPv6パケットを2つ以上のフラグメントに断片化し、前記ルーターは前記元のIPv6パケットが生成されたRFCよりも新しいRFCを有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピューター装置は、前記元のIPv6パケットを傍受し、前記IPv6拡張アプリケーションによる処理のためにIPv6パケットを送るパケット捕捉フィルターをさらに含む、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記コンピューター装置は、
少なくともコピー機能、画像読取機能、ファクシミリ(ファックス)機能、プリンター機能のうちの1つ以上を有し、印刷ジョブに基づいて用紙に画像を形成する多機能周辺装置(MFP)である、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
コンピューター装置がインターネット・プロトコル(IP)・ネットワーク環境においてデータ・パケットを処理することを可能にする方法であって、
前記方法は、インターネット・プロトコル・バージョン6(IPv6)拡張アプリケーションを提供するステップを有し、
前記IPv6拡張アプリケーションは、
前記コンピューター装置のオペレーティング・システム上で動作し、
前記コンピューター装置用のIPv6拡張ヘッダーポリシーを設定するステップと、
拡張ヘッダーまたは目的地オプションを有する元のIPv6パケットを前記コンピューター装置上のネットワーク・スタックから取り出すステップと、
前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプション内の指定されたルートが、前記コンピューター装置用の前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従っているかどうかを判断するステップと、
前記指定されたルートが前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従っている場合、変更IPv6パケットを生成するため、前記コンピューター装置用の前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従って前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを変更し、前記変更IPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上に送信するか、または、
前記指定されたルートが前記コンピューター装置用の前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従わない場合、前記元のIPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上で送信するステップと、
を実行するように構成されている、方法。
【請求項11】
前記元のIPv6パケットが前記IPv6ネットワーク上にドロップされるとき、前記IPv6拡張アプリケーションは、前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従って前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを追加または削除することによって、前記元のIPv6パケットを変更し、変更された前記元のIPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上で再送信する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、ドロップされた前記元のIPv6パケットの前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを含むように前記IPv6拡張ヘッダーポリシーを更新する、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記元のIPv6パケットがネットワークパスの相互運用性問題を有する場合、前記IPv6アプリケーションは、前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従って前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを追加または削除することによって、前記元のIPv6パケットを自動的に変更し、変更された前記元のIPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上で再送信する、請求項10~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記IPv6拡張ヘッダーポリシーは、前記IPv6モバイル拡張ヘッダーが、送信IPv6パケットまたは受信IPv6パケットに対して前記コンピューター装置によって認識されないように構成される、請求項10~請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記元のIPv6パケットが、リクエスト・フォー・コメンツ(RFC)定義と互換性のないIPv6拡張ヘッダーを有し、前記元のIPv6パケットがルーターによってドロップされている場合、
前記IPv6拡張アプリケーションは、ネットワークパスを記録し、新しいIPv6拡張ヘッダーを使用するようにIPv6パケットを再設計し、再設計されたIPv6パケットを目標装置に正常に配信できる、請求項10~請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
コンピューター装置を制御するコンピューター・プログラムであって、前記コンピューター・プログラムは、前記コンピューター装置のオペレーティング・システム上で動作するアプリケーションにデータ・パケットを処理させるように構成され、
前記処理は、
前記コンピューター装置用のIPv6拡張ヘッダーポリシーを設定するステップと、
拡張ヘッダーまたは目的地オプションを有する元のIPv6パケットを前記コンピューター装置上のネットワーク・スタックから取り出すステップと、
前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプション内の指定されたルートが、前記コンピューター装置用の前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従っているかどうかを判断するステップと、
前記指定されたルートが前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従っている場合、変更IPv6パケットを生成するため、前記コンピューター装置用の前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従って前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを変更し、前記変更IPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上に送信するか、または、
前記指定されたルートが前記コンピューター装置用の前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従わない場合、前記元のIPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上で送信するステップと、
を有する、コンピューター・プログラム。
【請求項17】
前記元のIPv6パケットが前記IPv6ネットワーク上にドロップされるとき、前記IPv6拡張アプリケーションは、前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従って前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを追加または削除することによって、前記元のIPv6パケットを変更し、変更された前記元のIPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上で再送信する、請求項16に記載のコンピューター・プログラム。
【請求項18】
さらに、ドロップされた前記元のIPv6パケットの前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを含むように前記IPv6拡張ヘッダーポリシーを更新する、請求項16または請求項17に記載のコンピューター・プログラム。
【請求項19】
前記元のIPv6パケットがネットワークパスの相互運用性問題を有する場合、前記IPv6アプリケーションは、前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従って前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを追加または削除することによって、前記元のIPv6パケットを自動的に変更し、変更された前記元のIPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上で再送信する、請求項16~請求項18のいずれか1項に記載のコンピューター・プログラム。
【請求項20】
前記IPv6拡張ヘッダーポリシーは、前記IPv6モバイル拡張ヘッダーが、送信IPv6パケットまたは受信IPv6パケットに対して前記コンピューター装置によって認識されないように構成される、請求項16~請求項19のいずれか1項に記載のコンピューター・プログラム。
【請求項21】
請求項16~20のいずれか1項に記載のコンピューター・プログラムを記録したコンピューター読取可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、データ・パケットをフィルタリングするアプリケーションを使用してデータ・パケットを処理する方法およびシステムに関し、特に、例えば、拡張ヘッダーサイズ、フラグメント化問題、および/または中間ボックス拡張ヘッダー認識問題のために、パケットがネットワーク目的地経路上でドロップ(drop)されるのを回避することができる、インターネット・プロトコル・バージョン6(IPv6)拡張ヘッダーおよび目的地オプション(destination options)の優先順位付け、選択および変更のためのアプリケーションを有する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ネットワークは、1つのパーソナル・コンピューターが、電子メッセージを使用して、ネットワーク(またはネットワーク接続)を介して他のパーソナル・コンピューターおよび/または他のネットワークデバイスと通信することを可能にすることにより、情報の通信およびアクセス能力を強化してきた。パーソナル・コンピューターまたはネットワークデバイス間で電子メッセージを転送する場合、電子メッセージは、電子メッセージ内のデータに対する操作(例えば、パケット化、ルーティング、フロー制御)を実行するプロトコル・スタックを通過することが多い。
【0003】
後継のインターネット・プロトコル・バージョン6(IPv6)が世界的に積極的に展開されているにもかかわらず、アドレス構造の最初のメジャーバージョンであるインターネット・プロトコル・バージョン4(IPv4)はインターネットの支配的プロトコルである。現在、インターネット・プロトコル・バージョン4ベース(IPv4ベース)のインターネットと、IPv6ベースのインターネットの両方のプロトコルバージョンが共存している。
【0004】
移行期間中は、既存のIPv4アプリケーションは、IPv4プロトコル・スタックとIPv6プロトコル・スタックの両方を含むデュアルスタックを使用して、新しいIPv6対応アプリケーションで動作することができる。IPv6ネットワーク・プロトコルは、ICMPv6近隣者発見(neighbor discovery)メッセージ(すなわち、近隣者発見プロトコル(Neighbor Discovery ProtocolまたはNDP))を使用してIPv6ネットワークに接続した場合、IPv6ホストまたはホストデバイス(例えば画像形成装置および他の装置)が自身を自動的に設定(すなわち、ステイトレス・アドレス自動設定)できるように準備する。最初にネットワークに接続されると、IPv6ホストは、リンクローカル・マルチキャスト隣接送信要求(link-local multicast neighbor solicitation request)を送信して、ダブルアドレス検出(dad)のための一時的なリンクローカルアドレスを通知し、問題が発生しなければ、ホストは、そのリンクローカルアドレスを使用する。ルーター要求は、ネットワーク層構成パラメーターを得るために送信される(または、ルーター通知はタイミングに応じて受信される)。ルーターは、ネットワーク層構成パラメーターを含むルーター通知パケットでこのような要求に応答する。
【0005】
IPv6拡張ヘッダーは、オプションのインターネットレイヤー情報を持つ。拡張ヘッダーは、ホップ・バイ・ホップ・オプション(Hop-by-Hop Options)を除き、パケットの目的地でのみ検査および処理される。ホップ・バイ・ホップ・オプションは、送信ノードおよび受信ノードを含むパケットのパス上のすべての中間ノードで処理する必要がある。拡張ヘッダーはオプションで、2回現れることが可能な目的地オプション以外は、最大で1回のみ現れる。ただし、ファイアウォール、ルーター、ミドルウェアボックスがネットワークパス上にあり、これらのパケットをそれぞれの選択でドロップする可能性がある場合は、しばしばこの限りではない。したがって、これらのパケットの最終的な目的地は、データ・パケットのイニシエーター(または受信機)ではなく、ネットワークパス(および対応する中間ノード)に依存しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、クライアントまたはホストデバイス、例えば多機能周辺機器(MFP)が、IPv6拡張ヘッダー・ネットワークパスを最適化することによって、IPv6ネットワークとの相互運用性(interoperability)を改善することを可能にするメカニズムを有することが望ましく、それにより、通信ネットワーク内の2つのノードなどのノード間の通信を妨げる可能性のあるIPv6拡張ヘッダーに固有の様々な問題を解決できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を考慮して、IPv6拡張ヘッダーおよび目的地オプションの優先順位付け、選択、および変更のためのアプリケーション、例えば多機能周辺機器(MFP)のアプリケーションを有することが望ましい。IPv6拡張ヘッダーおよび目的地オプションの優先順位付け、選択、および変更は、例えば、拡張ヘッダーサイズのフラグメント化(断片化)の問題または中間ボックス拡張ヘッダーの認識の問題に起因して、パケットがネットワーク目的地経路上にドロップされるのを避けることができる。
【0008】
例示的な実施形態によれば、インターネット・プロトコル(IP)・ネットワーク環境においてデータ・パケットの処理を容易にするシステムが開示されている。上記システムは、コンピューター装置を有し、上記コンピューター装置は、IPv6ネットワークと通信して、上記コンピューター装置のオペレーティング・システム上で動作するインターネット・プロトコル・バージョン6(IPv6)拡張アプリケーションを有し、上記IPv6拡張アプリケーションは、上記コンピューター装置用のIPv6拡張ヘッダーポリシーを設定するステップと、拡張ヘッダーまたは目的地オプションを有する元のIPv6パケットを上記コンピューター装置上のネットワーク・スタックから取り出すステップと、上記拡張ヘッダーまたは上記目的地オプション内の指定されたルートが、上記コンピューター装置用の上記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従っているかどうかを判断するステップと、上記指定されたルートが上記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従っている場合、変更IPv6パケットを生成するため、上記コンピューター装置用の上記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従って上記拡張ヘッダーまたは上記目的地オプションを変更し、上記変更IPv6パケットを上記IPv6ネットワーク上に送信するか、または、上記指定されたルートがコンピューター装置用の上記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従わない場合、上記元のIPv6パケットを上記IPv6ネットワーク上で送信するステップと、を実行する。
【0009】
さらなる例示的な実施形態によれば、コンピューター装置がインターネット・プロトコル(IP)ネットワーク環境においてデータ・パケットを処理することを可能にする方法が開示されている。この方法は、インターネット・プロトコル・バージョン6(IPv6)拡張アプリケーションを提供するステップを有し、前記IPv6拡張アプリケーションは、前記コンピューター装置のオペレーティング・システム上で動作し、前記コンピューター装置用のIPv6拡張ヘッダーポリシーを設定するステップと、拡張ヘッダーまたは目的地オプションを有する元のIPv6パケットを前記コンピューター装置上のネットワーク・スタックから取り出すステップと、前記拡張ヘッダーまたは目的地オプション内の指定されたルートが、前記コンピューター装置用の前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従っているかどうかを判断するステップと、前記指定されたルートが前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従っている場合、変更IPv6パケットを生成するため、前記コンピューター装置用の前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従って前記拡張ヘッダーまたは前記目的地オプションを変更し、前記変更IPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上に送信するか、または、前記指定されたルートがコンピューター装置用の前記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従わない場合、前記元のIPv6パケットを前記IPv6ネットワーク上で送信するステップと、を実行するように構成されている。
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の一実施形態によるコンピューター装置を制御するためのコンピューター・プログラムおよびそのプログラムを記録したコンピューター読取可能な記録媒体が開示されている。上記コンピューター・プログラムは、上記コンピューター装置のオペレーティング・システム上で動作するアプリケーションにデータ・パケットを処理させるように構成され、上記処理は、上記コンピューター装置用のIPv6拡張ヘッダーポリシーを設定するステップと、拡張ヘッダーまたは目的地オプションを有する元のIPv6パケットを上記コンピューター装置上のネットワーク・スタックから取り出すステップと、上記拡張ヘッダーまたは上記目的地オプション内の指定されたルートが、上記コンピューター装置用の上記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従っているかどうかを判断するステップと、上記指定されたルートが上記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従っている場合、変更IPv6パケットを生成するため、上記コンピューター装置用の上記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従って上記拡張ヘッダーまたは上記目的地オプションを変更し、上記変更IPv6パケットを上記IPv6ネットワーク上に送信するか、または、上記指定されたルートがコンピューター装置用の上記IPv6拡張ヘッダーポリシーに従わない場合、上記元のIPv6パケットを上記IPv6ネットワーク上で送信するステップと、を有する。
【0011】
上述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的であり、特許請求の範囲に記載された本発明のさらなる説明を提供することが意図されていることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本発明の実施形態を示し、説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
図1図1は、例示的な実施形態による、クライアント装置またはホスト装置、例えば、IPv6拡張ヘッダーおよび目的地オプションを優先順位付け、選択、および変更することができるアプリケーションを有するMFP(多機能周辺機器)を含むネットワークシステムを示す図である。
図2図2は、例示的な実施形態による、IPv6拡張ヘッダーおよび目的地ヘッダーを有するネットワークパケットの図である。
図3図3は、例示的な実施形態による、IPv6拡張ヘッダーおよび目的地オプションを使用するアプリケーションの実装の別の例示的実施形態を示すフローチャートである。
図4図4は、例示的な実施形態による、ネットワーク層からIPv6パケットを捕捉するためのIPフィルターを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明を実施するための最良の形態
ここで、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照し、その例を添付図面に示す。可能な限り、同じ参照番号は、図面および説明において同じまたは同様の部分を指すために使用される。
【0014】
図1は、例示的な実施形態による、クライアント装置またはホスト装置110、例えば、IPv6拡張ヘッダーおよび目的地オプションを優先順位付け、選択、および変更することができるアプリケーションを有するMFP(多機能周辺機器)を含むネットワークシステム100を示す図である。図1に示すように、システム100は、クライアント装置またはホスト装置110、例えば多機能周辺機器(MFP)または画像形成装置112、目的地ホスト装置120(目的地ホスト1)、1つ以上のIPv6ルーター140,150(IPv6ルーター1、IPv6ルーター2)、および通信ネットワーク130を有しうる。通信ネットワーク130は、クライアント装置またはホスト装置110、目標装置120、および1つ以上のIPv6ルーター140,150を互いに接続するように構成されている。例示的な実施形態によれば、クライアント装置またはホスト装置110、MFP112、目標装置120、および1つ以上のIPv6ルーター140,150は、コンピューター装置でありうる。
【0015】
例示的な実施形態によれば、本発明の実施形態による通信ネットワーク130の例には、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)およびワイドエリアネットワーク(WAN)が含まれるが、これらに限定されない。例示的な実施形態によれば、クライアント装置またはホスト装置110、目的地ホスト120、および1つ以上のIPv6ルーター140,150は、例えば無線周波数(RF)、赤外線(IR)伝送、IEEE1394、および/または他の適切な無線技術を使用することによって無線接続で接続することができる。
【0016】
例示的な実施形態によれば、クライアント装置またはホスト装置110は、プロセッサーまたは中央処理装置(CPU)、およびソフトウェア・プログラムおよびデータ(印刷されるファイルなど)を格納するための1つ以上のメモリーを含むことができる。プロセッサーまたはCPUは、クライアント装置またはホスト装置110の機能の少なくとも一部を動作および/または制御するコンピューター・プログラムの命令を実行する。クライアント装置またはホスト装置110は、コンピューター・ハードウェアを管理し、様々なソフトウェア・プログラムの効率的な実行のための共通のサービスを提供するオペレーティング・システム(OS)115を含む。例えば、ソフトウェア・プログラムは、アプリケーション・ソフトウェアおよびプリンター・ドライバー・ソフトウェアを含むことができる。
【0017】
例示的な実施形態によれば、クライアント装置またはホスト装置110は、少なくともコピー機能、画像読み取り機能、ファクシミリ(ファックス)機能、およびプリンター機能を含む多機能周辺機器(MFP)112であり、例えば、目的地ホスト120から受信した印刷ジョブ(印刷指示)に基づいて、用紙に画像を形成する。例えば、目的地ホスト120は、モバイル機器、スマートフォン、携帯情報端末、パーソナル・コンピューター、カメラ、ルーター、MFP、画像形成装置、プリンター、および/または医療機器または装置を含むことができる。例示的な実施形態によれば、通信ネットワーク130は、IPv6プロトコルを介してデータを通信し、送信する。目的地ホスト120は、印刷されるドキュメントを表すデータおよび印刷ジョブを記述する情報を送信することによって、クライアント装置またはホスト装置110に印刷ジョブを提示するように構成することができる。例示的な実施形態によれば、クライアント装置またはホスト装置110は、プリンター・コントローラ(またはファームウェア)、好ましくはハードディスクドライブの形態のメモリー部(たとえば、HDD)、画像処理部(またはデータディスパッチャー)、プリントエンジン、および入出力部(I/O)から構成される機能周辺機器(MFP)またはプリンター112である。
【0018】
例示的な実施形態によれば、スマートフォン、スマートタブレット、パーソナル・コンピューター、カメラ、ルーター、医療装置または機器、またはMFP(またはプリンター)によって具体化されうる目的地ホスト装置120は、例えば、プリンター、プリントサーバー、または多機能周辺機器(MFP)112でありうるクライアント装置またはホストデ装置110において使用可能な印刷データを生成する。例示的な実施形態によれば、目的地ホスト装置120は、プリンター・ドライバー・プログラム(以下、単にプリンター・ドライバーともいう)を備え、プリンター・ドライバーの機能を利用して、画像形成時に適用される印刷条件のデータ、および画像データを含む印刷ジョブを生成することができ、生成された印刷ジョブを例えばMFPまたはプリンター112であるクライアントまたはホスト装置110に送る。
【0019】
例示的な実施形態によれば、1つ以上のIPv6ルーター140,150は、例えば通信ネットワーク130上のコンピューター・ネットワーク間でデータ・パケット(パケット1、パケット2、パケット3)210,220,230を転送するネットワーキング装置でありうる。データ・パケット210,220,230は、その目的地ノードに到達するまで、相互接続ネットワークを構成する通信ネットワーク130を介して、あるルーター、例えばIPv6ルーター140から別のルーター、例えばIPv6ルーター150に転送することができる。例示的な実施形態によれば、1つ以上のIPv6ルーター140,150は、異なるネットワークからの2つ以上のデータラインに接続することができる。データ・パケット、例えばIPv6データ・パケットが回線の1つに到着すると、1つ以上のIPv6ルーター140,150は、IPv6パケット内のネットワークアドレス情報を読み取り、最終的な目的地を決定する。次に、1つ以上のIPv6ルーター140,150は、そのルーティングテーブルまたはルーティングポリシー内の情報を使用して、IPv6パケットをその移動上の次のネットワークに向かわせることができる。例えば、図1に示すように、IPv6パケット210は、通信ネットワーク130上において、1つ以上のIPv6ルーター140,150を経由して、目的地ホスト120に正常に送信される。しかしながら、例えば図1に示すように、本明細書で開示されるように、IPv6パケット220,230のIPv6拡張ヘッダーが互換性を有していない、または動作不能である結果、例えば、IPv6ルーター140によって、パケットがドロップされるなど、目的地ホストに正常に伝送されない可能性がある。
【0020】
図2に示すように、IPv6パケット210,220,230は、インターネット・プロトコル・バージョン6(IPv6)ネットワークにわたり、インターネット・プロトコルを介して交換されるメッセージ・エンティティである。例示的な実施形態によれば、IPv6パケット210は、アドレス指定およびルーティングのための制御情報と、ユーザーデータからなるペイロードと、で構成することができる。IPv6パケット210,220,230内の制御情報は、必須の固定ヘッダー(IPv6ヘッダー)212、拡張ヘッダー214(Extヘッダー1)、上位層ヘッダー(アッパー・レイヤー・ヘッダー)216、上位層ペイロード(アッパー・レイヤー・ペイロード)218に細分化される。拡張ヘッダーは、「次のヘッダー」フィールドを使用して変更を形成し、固定ヘッダーでは最初の拡張ヘッダーのタイプを示す。最後の拡張ヘッダーの次のヘッダー(Next Header)フィールドは、パケットのペイロード内の上位層・プロトコル・ヘッダーのタイプを示す。IPv6パケットのペイロードは、通常、上位レベルのトランスポート層プロトコルのデータグラムまたはセグメントであるが、ICMPv6などのインターネット層、またはOSPFなどのリンク層のデータでもよい。
【0021】
あるいは、例示的な実施形態によれば、IPv6パケット220,230は、必須の固定ヘッダー(IPv6ヘッダー)222、拡張ヘッダー224,234、フラグメント拡張ヘッダー226、上位層ヘッダーおよび上位層ペイロード228を含むことができる。経路最大伝送単位(mtu)よりも大きいパケットを送信するために、送信装置110,112,120はパケットをフラグメントに分割することができる。フラグメント拡張ヘッダー226は、元の(フラグメント化されていないパケット)を再構築するのに必要な情報を運ぶ。
【0022】
IPv6パケット210の固定ヘッダー212は、その最初の40オクテット(220ビット)からなる。オプションのインターネット層情報を運ぶことができる拡張ヘッダー(または目的地オプション)214は、固定ヘッダー212と上位層プロトコルヘッダ216との間に配置される。例示的な実施形態によれば、拡張ヘッダーは、IPv6リクエスト・フォー・コメンツ(Request for Comments:RFC)において定義され、ホップ・バイ・ホップ(Hop-by-Hop)オプション、目的地オプション(ルーティングヘッダーの前)、ルーティング、フラグメント、認証ヘッダー(AH)、暗号ペイロード(encapsulating security payload:ESP)、目的地オプション(上位層ヘッダーの前)とモビリティ(例えば、現在、上位層のヘッダーがない場合)を含みうる。上位層ヘッダー216は、例えば、トランスポート層のためのデータ、例えばTCPセグメントまたはUDPデータグラムを提供する。パケットに含まれるペイロードのタイプは、上位層ペイロード218内に含まれる。
【0023】
例示的な実施形態によれば、データは、クライアント装置またはホスト装置110と目的地ホスト120との間で、通信ネットワーク(またはネットワーク)130のノード間において、暗号化または非暗号化形式で、例えば、様々なインターネット層、トランスポート層、またはアプリケーション層プロトコルを使用して伝送されうる。例えば、データは、伝送制御プロトコル/インターネット・プロトコル(TCP/IP)、ユーザー・データグラム・プロトコル(UDP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、セキュア・ハイパーテキスト転送プロトコルHTTP(HTTPS)、HTTPによる動的適応型ストリーミング(DASH)、リアルタイム・ストリーミングプロトコル(RTSP)、リアルタイム転送プロトコル(RTP)、リアルタイム転送制御プロトコル(RTCP)、ファイル転送プロトコル(FTP)、WebSocket(WS),無線アクセスプロトコル(WAP)、様々なメッセージング・プロトコル(SMS、MMS、XMS、IMAP、SMTP、POP、WebDAVなど)、または他の既知のプロトコルを使用して、ネットワーク130を経由して伝送されうる。
【0024】
図1に示すように、クライアント装置またはホスト装置110は、オペレーティング・システム(OS)115と、IPv6プロトコルに準拠した拡張ヘッダーおよび目的地オプションを有するネットワーク・スタック116と、からの発信および着信データ・パケットを捕捉(または傍受)するIPv6拡張アプリケーション(またはソフトウェア・モジュール)114を有することができる。例示的な実施形態によれば、IPv6拡張アプリケーション(またはソフトウェア・モジュール)114は、好ましくは、本明細書で開示されるような拡張ヘッダーおよび目的地オプションを有するIPv6パケットを優先順位付け、選択、および変更するように構成されるアプリケーションレベル・モジュールである。例示的な実施形態によれば、例えば、クライアント装置またはホスト装置110がMFPまたはプリンター112である場合、アプリケーション(またはソフトウェア・モジュール)114は、プリンターまたはMFP112のプリンター・ドライバーおよび/またはファームウェアの一部であってもよい、または別個のソフトウェア・モジュールまたはアプリケーション、またはMFPまたはプリンター112のオペレーティング・システムへの一部であってもよい。
【0025】
例示的な実施形態によれば、IPv6拡張アプリケーション(またはソフトウェア・モジュール)114は、オペレーティング・システムとは独立にIPv6拡張ヘッダーをチェックまたは変更する能力を有するユーザーに許可できる。例えば、アプリケーション114は、最適または最適化されたIPv6拡張ヘッダー・ネットワークパスを備えたデータ・パケット210を提供することによって、クライアント装置またはホスト装置110および目的地ホスト120にIPv6ネットワークとの改善された相互運用性を提供することができる。
【0026】
例示的な実施形態によれば、例えば、管理者は、アプリケーション114を設定して、特定の目的地または経路について自動修正を実行することができる。たとえば、IPv6拡張ヘッダーには問題がある可能性があるので、IPv6拡張ヘッダーの使用は、最新のIPv6 RFC 8200標準で更新されている。要件の1つは、パケットの最初のフラグメントにおいて拡張ヘッダーがローカライズされることである。しかし、ネットワーク(またはフィールド)内の多くのホストデバイス(例えば、目的地ホスト120)は更新されない可能性がある。さらに、拡張ヘッダーで発生する可能性のある別の問題は、標準では中間ホスト/ルーターが拡張ヘッダーオプションを検査することは許されていないものの、多くのルーターおよびミドルウェアボックスは、例えばセキュリティ上の理由から相互運用性のために特定の方法で特定のパケットをフィルタリングする可能性がある(RFC 7045を参照)。これらの問題に照らして、オペレーティング・システム(OS)115に関係なく、独立してIPv6拡張ヘッダーを制御することが望ましい。
【0027】
例示的な実施形態によれば、管理者は、IPv6パケットのどの特性が所望されているか、例えば相互運用性、フラグメント化、および/またはセキュリティのための優先度を制御できることが望ましい。たとえば、相互運用性とは、経路のネットワークの優先が学習されると、そのようなネットワークには、相互運用性の目的には、新しいRFC 8200よりも以前のRFC 2460定義を使用する方が便利であることを意味する。フラグメント化とは、path mtuプロトコルRFC 8201の結果を使用してパスの最大送信単位(mtu)を学習すると、IPv6拡張パケットヘッダーをフラグメント化してはならないことを意味する。セキュリティの理由は、拡張パケットヘッダーが必要であるか、必要ではないか、そしてアプリケーションはネットワークトラフィックを送信する前にそれに応じてパケットを削除する必要があることを意味する。
【0028】
例示的な実施形態によれば、一例として、新しいRFC8200は、すべてのヘッダーが第1のフラグメントに入ることを要求する。ネットワークシステムまたはフィールド内の以前のMFP112については、オペレーティング・システム(OS)115全体を変更する必要があるかもしれないので、これは問題でありうるが、例示的な実施形態によれば、ここに開示されるIPv6拡張アプリケーション114は、例えば、図4に示すように、例えば、共同で所有された米国特許第8,432,907号および第8,699,483号に開示されているように、Berkeleyソケットフィルター、またはOS115上の任意の利用可能なパケットフィルターなどのネットワーク・パケット・フィルターを利用することができる。例示的な実施形態によれば、IPv6パケット210,220,230が生成されたときのオペレーティング・システムにかかわらず、IPv6パケット210,220,230は、管理者によって設定された優先順位に従って、パケット210,220,230を変更するために利用可能な構成およびネットワークデータベースを有するアプリケーション114に渡されうる。
【0029】
例示的な実施形態によれば、例えば、少なくとも1つのMFPまたはプリンター112を有するプリントショップまたはオフィス環境において、印刷の大部分はオフィス環境においてなされるため、管理者がモバイル拡張ヘッダーをサポートする必要がないと判断した場合、例えば、管理者によって設定されたIPv6拡張ヘッダーポリシーに基づいて、IPモバイル・ヘッダー拡張は、IPv6拡張アプリケーション114によってセキュリティ上の理由から削除されうる。例示的な実施形態によれば、管理者は、クライアント装置またはホスト装置110内の選択されたIPv6拡張ヘッダー、例えば、セキュリティに関連する企業ポリシーに基づくMFP112に基づいて、IPv6拡張ヘッダーポリシーを設定することもできる。
【0030】
例示的な実施形態によれば、例えば、クライアント装置またはホスト装置110またはMFP112のためのIPv6拡張ヘッダーポリシーは、クライアント装置またはホスト装置110またはMFP112が、IPv6モバイル拡張ヘッダーのパケットのいずれについても送受信不可能に構成されるように設定されうる。
【0031】
例示的な実施形態によれば、例えば、IPv6ヘッダーが新しいRFC定義と互換性がなく、拡張ヘッダーが2つの異なるフラグメントでフラグメント化されて送信されている場合、フラグメントは新しいルーターによってドロップされ、装置またはホスト110,112,120との間の通信を中断しうる。例示的な実施形態によれば、アプリケーション114は、ネットワークパスを記録し、IPv6パケットを目標装置またはホスト110,112,120に首尾よく配信することができる、新しい拡張ヘッダー定義を使用するようにパッケージを再設計することができる。
【0032】
例示的な実施形態によれば、IPv6拡張アプリケーション114のIPv6拡張ポリシーは、フラグメント化、相互運用性、セキュリティ、およびIPv6拡張ヘッダーの他の関連する問題を回避するように設定することができる。さらに、本明細書で開示されるようなIPv6拡張アプリケーション114の使用により、装置またはホスト110,112,120上またはこれらに関連するすべてのアプリケーションと、OS115およびネットワーク・スタック116のネットワーク層と、に対する操作性を透過的にできる。したがって、例示的な実施形態によれば、ホストまたは装置110,112,120は、そのような情報で更新されるネットワーク層に依存しない。
【0033】
例示的な実施形態によれば、例えば、パケットがクライアント装置またはホスト装置110によって生成され、ネットワーク層に送信されると、フィルター、例えばネットワークフィルタ118(図4)がパケット210,220,230を抽出し、IPv6拡張アプリケーション114へ転送される。IPv6拡張アプリケーション114は、拡張ヘッダーまたは目的地オプション214内のルートが、IPv6拡張アプリケーション層の(例えば、データベース内に)に記録されている場合、拡張ヘッダーまたは目的地オプション214内の経路の記録に従って、パケット210が変更(変更IPv6パケット)されうる。
【0034】
例示的な実施形態によれば、IPv6パケット220,230の拡張ヘッダーまたは目的地オプションの記録が存在しない場合、IPv6パケット220,230を変更せずに(すなわち元のIPv6パケット)ネットワーク130上で送信されうる。元のIPv6パケットがネットワーク130上でドロップされた場合、IPv6拡張アプリケーション114は、管理者が選択したルールに従って、拡張ヘッダー(または目的地オプション)224,234を追加または削除する優先度構成(priority configuration)(または優先度構成選択)でパケット220,230の送信を再試行する。
【0035】
例示的な実施形態によれば、例えばネットワークパスがIPv6拡張ヘッダーを認識していないなど、元のIPv6パケット220,230との相互運用性の問題がある場合、IPv6拡張アプリケーション114は、管理者が設定したIPv6拡張ヘッダーポリシーに従って、自動的に元のIPv6パケットを変更できる。
【0036】
図3は、例示的な実施形態によるIPv6拡張ヘッダーを使用するIPv6拡張アプリケーション114の実装の例示的な実施形態を示すフローチャート300である。図3に示すように、ステップ310において、管理者は、例えばMFP112によって送信されているデータ・パケットのそれぞれの構成オプションを設定することができる。例示的な実施形態によれば、構成設定は、IPv6拡張アプリケーション114によってアクセス可能である。ステップ320において、MFP112の再起動時に、ステップ310における構成設定(すなわち、新しい構成)が、IPv6拡張アプリケーション114内のIPv6データ・パケットに適用されて、例えば本明細書で開示される変更IPv6パケットを生成する。ステップ330において、IPv6拡張アプリケーション115はIPv6トラフィックを再調査して、IPv6パケットが構成オプションに準拠していることを確認する。ステップ340において、IPv6拡張アプリケーション114は、構成設定に従ってIPv6パケットを最適化する。ステップ350において、データ・パケット(またはトラフィック)210は、構成設定において許可され、以前に、例えば拡張ヘッダーまたは目的地オプションとして記録され、目的地ホスト120から送受信されることができるIPv6拡張ヘッダーを備えて目的地(例えば目的地ホスト120)に到達する。
【0037】
図4は、例示的な実施形態による、ネットワーク層116からIPv6パケットを取り込むためのIPフィルター118の図である。図4に示すように、クライアント装置またはホスト装置110、例えばMFP112は、IPv6拡張アプリケーション(またはソフトウェア・モジュール)114と、IPv6プロトコルに準拠したIPv6拡張ヘッダーおよび目的地オプションを有し、送信および受信データ・パケットを捕捉(または傍受)するIPフィルター(またはパケット捕捉フィルター)118とを有する。例示的な実施形態によれば、IPv6拡張アプリケーション(またはソフトウェア・モジュール)114は、好ましくは、本明細書で開示されるIPv6パケットを修正、変更、および判断するように構成されたアプリケーションレベル・モジュールである。例示的な実施形態によれば、IPv6拡張アプリケーション114は、クライアント装置またはホスト装置110またはMFP112のプリンター・ドライバーおよび/またはファームウェアの一部、または別個のソフトウェア・モジュールまたはアプリケーション、またはオペレーティング・システムの一部(OS)である。例示的な実施形態によれば、IPフィルター118は、開示されるように受信または送信IPv6パケットを転送する。
【0038】
例示的な実施形態によれば、IPv6パケット(またはパッケージ)は、好ましくは、IPv6通信のネットワーク130、例えばインターネットを経由して送信(broadcast)および/または送信(sent)される。例示的な実施形態によれば、IPフィルター118は、好ましくは、初期ブロードキャスト(すなわち、近隣探索)の前に、および/または、パケットが処理のためにネットワーク・スタック116に送信される前に、IPv6パケットを取り込む。例示的な実施形態によれば、IPv6拡張アプリケーション114の機能は、ネットワーク管理者または他の指定された個人によって任意に有効または無効にされることができる。
【0039】
例示的な実施形態によれば、クライアント装置またはホスト装置110、MFP112、または目的地ホスト120は、デバイスのハードウェアおよびアプリケーションプログラム間のインターフェースとして機能し、アクティビティーの管理と調整、およびホストデバイス内のリソースの共有を担当するオペレーティング・システム115(OS)を含むことができる。例示的な実施形態によれば、IPv6拡張アプリケーション114は、クライアント装置またはホスト装置110、MFP112、または目的地ホスト120のオペレーティング・システム115上で動作し、ネットワーク層はオペレーティング・システム115の下またはその一部である。本明細書で説明するIPv6拡張アプリケーション115を利用することにより、クライアント装置またはホスト装置110、MFP112、または目的地ホスト120のオペレーティング・システムは、いずれにしても変更または取り替える必要がないことが理解されよう。あるいは、別の例示的な実施形態によれば、オペレーティング・システム(OS)115は、本明細書で説明される方法を実行するように構成されうることが理解されよう。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、コンピューター装置を制御するためのコンピューター・プログラムと、そのコンピューター・プログラムを格納するコンピューター読取可能な記録媒体とが開示され、コンピューター読取可能なプログラムは、コンピューター装置のオペレーティング・システム上で動作するアプリケーションに、データ・パケットを処理させるように構成されている。上記処理は、上記コンピューター装置のためのインターネット・プロトコル・バージョン6(IPv6)拡張ヘッダーポリシーを設定するステップと、拡張ヘッダーまたは目的地オプションを有する元のIPv6パケットをコンピューター装置上のネットワーク・スタックから取り出すステップと、上記拡張ヘッダーまたは目的地オプション内の指定されたルートが、上記コンピューター装置のIPv6拡張ヘッダーポリシーに従っているかどうかを判断するステップと、指定されたルートがIPv6拡張ヘッダーポリシーに従っている場合には、変更IPv6パケットを生成するために、上記コンピューター装置のIPv6拡張ヘッダーポリシーに従って拡張ヘッダーまたは目的地オプションを変更し、変更IPv6パケットをIPv6上で送信するか、あるいは指定されたルートが上記コンピューター装置のIPv6拡張ヘッダーポリシーに従わない場合、元のIPv6パケットをIPv6ネットワーク上で送信する。
【0041】
コンピューター読取可能な記録媒体は、もちろん、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、または今後開発される他の記録媒体であってもよく、これらはすべて本発明に適用可能であるとみなすことができる。一次および二次複製品などを含むそのような媒体の複製は、間違いなく上記の媒体と同等とみなされる。さらに、本発明の実施形態がソフトウェアとハードウェアの組合せであっても、本発明の概念から全く逸脱するものではない。本発明は、そのソフトウェア部分が予め記録媒体に書き込まれ、動作上必要に応じて読み出されるように実装することができる。
【0042】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明の構造に対して様々な変更および変形が可能であることは、当業者には明らかであろう。上記を考慮して、本発明は、本発明の改変および変形を、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4