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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】配管構造および配管システム
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
E03C1/12 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018159643
(22)【出願日】2018-08-28
(65)【公開番号】P2020033729
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】渕上 斉太
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 総
(72)【発明者】
【氏名】木村 英治
(72)【発明者】
【氏名】徳丸 武司
(72)【発明者】
【氏名】川▲高▼ 俊基
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-096116(JP,A)
【文献】特開2011-153478(JP,A)
【文献】特開2018-059271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/126
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦管に接続可能な縦管接続部と、前記縦管接続部の側面に突設されて横管を接続可能な横管接続部と、を有する集合継手と、
前記縦管接続部を覆う吸音材、及び前記吸音材を覆う遮音材を有する遮音カバーと、を備え、
前記縦管接続部の外周側面には、周方向に沿う領域の少なくとも一部に突起部が設けられ、
前記吸音材は、前記突起部に重ならないように配置され、
前記遮音材は、前記突起部を覆うように配置されることを特徴とする配管構造。
【請求項2】
前記突起部は、前記横管接続部の上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記突起部は、前記横管接続部の下方に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記突起部は、前記周方向の全周にわたって設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配管構造。
【請求項5】
前記突起部における前記外周側面からの突出高さは、前記吸音材の厚さ寸法と同等以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配管構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配管構造と、
建築構造物の躯体に固定され、前記遮音材を介して前記突起部を挟持する支持金具と、を備えていることを特徴とする配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造および配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅等で使用される給排水用の配管として、各階層を上下に貫通する縦管と、各階層内部に延設された横管と、を接続する集合継手において、縦管に接続可能な縦管接続部と、縦管接続部の側面に突設されて横管を接続可能な横管接続部と、を有し、例えば下記特許文献1に示すような遮音カバーで覆われた配管構造が知られている。
このような集合継手に設けられる遮音カバーは、横管接続部が挿入される貫通孔が形成され、集合継手に巻き付けられて取り付けられている。遮音カバーとしては、一般的に縦管接続部を覆う吸音材と、吸音材を覆う遮音材と、を有する二層構造のものが採用され、遮音性が高められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-142003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の配管構造は、集合継手の上端部が建築構造物の躯体に対して支持するための支持金具の固定位置となっている。そして、この継手の固定部分が遮音カバーによって被覆されない部分となり、この遮音カバーによって被覆されていない部分から排水音が発生するという問題点があった。
【0005】
これに対して、例えば集合継手の上端部までを遮音カバーで被覆する場合には、遮音カバーの外側から支持金具によって把持することになる。この遮音カバーは吸音材と遮音材とからなる二層構造で厚みが大きいことから、支持金具で把持したときの支持状態が不安定になるという問題点があった。
そのため、排水音の発生を抑制することと、支持金具による支持状態を安定させることとをバランスよく達成できることが求められており、その点で改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、排水音の発生を抑えることができるとともに、支持金具による支持状態の安定性を高めることができる配管構造および配管システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る配管構造は、縦管に接続可能な縦管接続部と、前記縦管接続部の側面に突設されて横管を接続可能な横管接続部と、を有する集合継手と、前記縦管接続部を覆う吸音材、及び前記吸音材を覆う遮音材を有する遮音カバーと、を備え、前記縦管接続部の外周側面には、周方向に沿う領域の少なくとも一部に突起部が設けられ、前記吸音材は、前記突起部に重ならないように配置され、前記遮音材は、前記突起部を覆うように配置されることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る配管システムは、上述した配管構造と、建築構造物の躯体に固定され、前記遮音材を介して前記突起部を挟持する支持金具と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
本発明では、縦管接続部の外周側面の全体にわたって遮音材で覆われ、さらに突起部に重ならない位置には吸音材も配置されている。そのため、例えば集合継手内を流れる排水から生じる音などを、吸音材を介して弱めて遮音材で遮音することができるので、遮音カバーの遮音性能を効果的に確保することができ、排水音の漏れを防止することができる。
また、本発明では、縦管接続部の外周側面において周方向に沿う領域の少なくとも一部に突起部が設けられ、この突起部に対して遮音材を介して直接、支持金具を挟持させることができ、集合継手を建築構造物の躯体に支持させることができる。このとき、突起部には吸音材が重なって配置されていないので、突起部に対して遮音材のみを介して支持金具が挟持されることから、支持金具を安定した状態で支持することができる。つまり、縦管接続部と支持金具との間で動いたり隙間が生じたり、支持金具の姿勢が傾くといった支持状態が不安定になることがなくなる。
【0010】
また、本発明に係る配管構造は、前記突起部は、前記横管接続部の上方に配置されていることを特徴としてもよい。
【0011】
この場合には、躯体の床スラブ上に横管が配置される際に、縦管接続部における横管接続部の上方に配置される突起部の位置で支持された支持金具を床スラブの上面と接続することで、躯体に対して集合継手を安定した姿勢で支持させることができる。
【0012】
また、本発明に係る配管構造は、前記突起部は、前記横管接続部の下方に配置されていることを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、例えば、躯体の床スラブ下に横管が配置されるような天井配管となる際に、縦管接続部における横管接続部の下方に配置される突起部の位置で支持された支持金具を床スラブの下面と接続して吊り下げるようにして支持することで、躯体に対して集合継手を安定した姿勢で支持させることができる。
【0014】
また、本発明に係る配管構造は、前記突起部は、前記周方向の全周にわたって設けられていることが好ましい。
【0015】
この場合には、リング状の支持金具を全周にわたって突起部を挟持することができるので、より安定した状態で支持することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る配管構造は、前記突起部における前記外周側面からの突出高さは、前記吸音材の厚さ寸法と同等以上であることが好ましい。
【0017】
この場合には、吸音材が突起部よりも径方向の外側に張り出さない状態となる。そのため、遮音材が吸音材によって外側に押し出されることがなく、突起部の位置で支持される支持金具の支持状態の安定性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の配管構造および配管システムによれば、排水音の発生を抑えることができるとともに、支持金具による支持状態の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態による配管構造における集合継手の概略構成を示す正面図であって、中心軸線より紙面左が遮音カバーと支持金具を設けた図、中心軸線より紙面右側が遮音カバーを設ける前の図である。
図2】縦管接続部の上部の要部を拡大した拡大縦断面図である。
図3】縦管接続部の斜視図である。
図4図3に示す縦管接続部の正面図である。
図5図3に示す縦管接続部を上方から見た平面図である。
図6】(a)は吸音シートの平面図、(b)は遮音シートの平面図である。
図7】第1変形例による配管構造における集合継手の概略構成を示す正面図であって、中心軸線より紙面左が遮音カバーと支持金具を設けた図、中心軸線より紙面右側が遮音カバーを設ける前の図である。
図8】第2変形例による集合継手の縦管接続部の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による実施の形態の配管構造および配管システムについて、図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態による継手部1(配管構造)は、例えば、建物排水用として用いられ、床スラブ3(躯体)に形成された貫通孔31内に配置される。継手部1は、集合継手10を備えている。
【0022】
集合継手10は、上部接続管11と、上部接続管11に中間管15を介して接続された下部接続管12と、を備えている。上部接続管11は、縦管P1に接続可能な縦管接続部13と、縦管接続部13の外周側面13aに突設されて横管P2を接続可能な横管接続部14と、を有している。上部接続管11の上端部には、縦管P1が接続される。
【0023】
ここで、以下の説明において、縦管接続部13の中心軸線Oに沿う縦管接続部13の上部接続管11側を上方、下部接続管12側を下方という。また、中心軸線O方向から見た平面視で、中心軸線Oと直交する方向を径方向といい、軸方向から見た平面視で中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0024】
縦管接続部13は、堰止め板13b(図4参照)を内面に備えている。堰止め板13bは、その設置角度が垂直方向から-30°~20°とされている。設置角度が20°より傾くと、傾斜板によって旋回された旋回流が十分に堰き止められずに、横管P2への逆流が発生してしまうおそれもがでてくる。また-30°よりも傾くと受け止めた水の跳ね返りが大きくなり、流れを乱してしまうおそれがあり、管内の圧力変動が大きくなってしまうおそれがある。
【0025】
図2図5に示すように、縦管接続部13の外周側面13aには、周方向に一定の間隔をあけた複数箇所(4箇所)において径方向の外側に向けて突出する突起部130が設けられている。具体的に突起部130は、周方向に90度ピッチの間隔をあけて4組配置されている。各突起部130は、周方向に沿って延びるリブ130Aが軸方向に等間隔で3つ配列された状態で設けられている。
【0026】
図2に示すように、リブ130Aの外周側面13aから突出端130aまでの突出高さHは、後述する吸音シート21の厚さ寸法Dよりも僅かに大きい寸法で、かつ、後述する横管接続部14よりも小さい寸法となっている。図3図5に示すように、突起部130の各リブ130Aは、円周方向に同じ長さで延在し、その延長寸法は任意に設定することが可能である。後述するように、突起部130は、支持金具5(図1参照)が支持される箇所となるので、それぞれの突起部130は同一の周長となるように設定されている。突起部130は、周方向の全周にわたって間欠的に配置されている。
【0027】
集合継手10を建築構造物に施工する際に、図1に示すように、建築構造物の床スラブ3と集合継手10とを固定するためのリング状の支持金具5がリブ130Aに対して径方向の外側から後述する遮音シート22を介して挟持された状態で当接することで保持される。
【0028】
支持金具5は、周方向に二分割された環状の挟持リング51と、一端が挟持リング51に固定される第1固定部52A、及び他端が床スラブ3に固定される第2固定部52Bを有する支持連結材52と、を有している。一対の分割された挟持リング51を縦管接続部13の突起部130が配置される高さの位置で挟持し、支持連結材52を挟持リング51と床スラブ3の上面3aとの間で固定することで、集合継手10が床スラブ3に固定された状態となる。
【0029】
横管接続部14は、図1に示すように、縦管接続部13の周壁から中心軸線Oに直交する径方向の外側に向けて延びている。本実施形態の例では横管接続部14は3つ配置されている。
3つの横管接続部14のうちの2つが中心軸線Oを径方向に挟む位置に各別に配置されている。残りの横管接続部14は、中心軸線Oに直交する径方向のうち、前記2つの横管接続部14それぞれが延びる方向と、上面視で90°をなす方向に延びている。なお、横管接続部14の数量および延びる方向は、このような態様に限られず、任意に変更することができる。横管接続部14における中心軸線Oに直交する径方向の外端部には、横管P2が各別に接続される。
【0030】
上部接続管11は、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、非膨張性黒鉛を0.1~1.0重量部の割合で含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物をキャビティ内に射出充填されて得られる。
【0031】
上部接続管11の下端部に、中間管15が接続される。中間管15の外径は、上部接続管11における縦管接続部13の外径よりも小さくなっている。中間管15の周壁が、縦管接続部13の下端部の内側に嵌合されている。
【0032】
中間管15は、ポリ塩化ビニル系樹脂で構成され、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張性黒鉛とを含有する樹脂組成物を含有するものが好ましい。すなわち、中間管15は、樹脂組成物を成形することによって作製される。通常、中間管15は、樹脂組成物を押出成形することによって作製される。
また、中間管15は、中間管15の全体が樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。複層構造の場合、いずれかの層が樹脂組成物から形成されていればよい。例えば、中間管15が、表層と中間層と内層とからなる3層構造である場合には、中間層が樹脂組成物から形成されたものが挙げられ、表層、中間層、内層は吸熱剤を含有していてもよい。
なお、中間管15が熱膨張性黒鉛を含有しない場合には、熱膨張性黒鉛を含有するシート状の耐火材を中間管15の外面または中間管15を覆う遮音材の外面に巻きつけ、耐火材をスラブ3の貫通部31に埋設するようにしてもよい。
【0033】
一例として、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、熱膨張性黒鉛を1~20重量部の割合で含む樹脂組成物からなる単層構造を採用できる。あるいは、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、熱膨張性黒鉛を1~20重量部の割合で含む樹脂組成物からなる熱膨張性耐火層と、この熱膨張性耐火層の内外面を覆う熱膨張性黒鉛非含有のポリ塩化ビニル系樹脂組成物の被覆層とからなる3層構造であるものを採用できる。
【0034】
中間管15が単層構造の場合、熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、所望の耐火性が得られないおそれがあり、20重量部を超えると、加熱により熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が貫通孔31から脱落し、耐火性が低下してしまうおそれがある。
【0035】
中間管15が複層構造の場合、熱膨張性耐火材料を含む樹脂組成物としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1~20重量部の割合で含むものが好ましい。熱膨張性黒鉛の含有量は、4~18重量部の割合がより好ましく、6~16重量部の割合がさらに好ましい。
本実施形態においては、後述するように貫通孔31の内周面には段部32が形成されているため、熱膨張性黒鉛の含有量が比較的多く残渣がもろい場合であっても、残渣が段部32の載置面32aに引っかかり、スラブ3内に熱膨張後の残渣が保持され、脱落しにくくすることができる。
【0036】
中間層が熱膨張性黒鉛を含有する場合、中間層は黒色を呈する。そのため、表層と内層は黒色以外の着色剤を含有させ、中間層と区別可能にしておくことが好ましい。
表層および内層の厚みとしては、それぞれ0.3mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.6mm以上1.5mm以下が好ましい。被覆層の厚みが0.3mm以上であれば、管としての機械的強度を十分に確保でき、3.0mm以下であれば、耐火性の低下を抑制できる。
また、中間管15は、JIS K6741に記載の性能を満たすものであることが好ましい。
すなわち、熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、所望の耐火性が得られないおそれがある。熱膨張性黒鉛が20重量部を超えると、加熱により熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が貫通孔31から脱落し、耐火性が低下してしまうおそれがある。
【0037】
本実施形態で用いる熱膨張性黒鉛は、一例として、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を無機酸と強酸化剤とで黒鉛の層間に無機酸を挿入する酸処理をした後、pH調整して得られる結晶化合物を用いることができる。
無機酸として、濃硫酸、硝酸、セレン酸等を用いることができる。強酸化剤として、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等を用いることができる。
【0038】
前記pH調整により、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物であって、pH1.5~4.0に調整された熱膨張性黒鉛、および、1.3倍膨張温度が180℃~280℃の熱膨張性黒鉛を用いることができる。
【0039】
熱膨張性黒鉛のpHが1.5未満であると、酸性が強すぎて、成形装置の腐食などを引き起こしやすく、pHが4.0を超えると、ポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進効果が薄れ、十分な耐火性能が得られなくなるおそれがある。
熱膨張性黒鉛の粒径は、特に限定されないが、例えば100~400μmの範囲、好ましくは120~350μmの範囲のものを使用することができる。
【0040】
中間管15を構成する樹脂組成物には、本実施形態の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて安定剤、無機充填剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、可塑剤、熱可塑性エラストマーなどの添加剤が添加されていてもよい。
【0041】
下部接続管12は、上方よりも下方が縮径された管状をなしている。下部接続管12は、上端部に位置し、中間管15の下方に接続される接続管部16と、接続管部16の下方に接続されるとともに、下方に向かうに従い漸次、縮径する傾斜管部17と、傾斜管部17の下端部に接続されるとともに、縦管P1が接続される下側管部18と、を備えている。接続管部16、傾斜管部17、および下側管部18は、例えば合成樹脂材料の射出成形により一体に形成されている。
【0042】
接続管部16の内径は、中間管15の外径よりも大きくなっている。中間管15の周壁が、接続管部16の内側に嵌合されている。傾斜管部17の上端部における外径は、接続管部16の外径よりも小さくなっている。傾斜管部17の下端部における外径は、傾斜管部17の上端部の外径よりも小さくなっている。傾斜管部17の中心軸線O方向の大きさは、接続管部16の中心軸線O方向の大きさよりも大きくなっている。
【0043】
下側管部18の外径は、接続管部16の外径よりも小さく、かつ傾斜管部17における下端部の外径よりも大きくなっている。下側管部18の中心軸線O方向の大きさは、接続管部16の中心軸線O方向の大きさよりも小さくなっている。下側管部18の内側に、縦管P1が下方から嵌合されることにより、縦管P1が下部接続管12に接続される。
なお、上部接続管11および下部接続管12を透明にしてもよい。これにより、上部接続管11、中間管15および下部接続管12の接続状態を外部から視認することができる。また、上部接続管11および下部接続管12に、非熱膨張黒鉛や水酸化マグネシウムなどの難燃剤を配合しても良い。
【0044】
遮音カバー20は、図2に示すように、縦管接続部13の外周側面13aに径方向の外側から巻き付けられて縦管接続部13を覆う吸音シート21(吸音材、第1部材)と、吸音シート21を覆う遮音シート22(遮音材、第2部材)と、を有している。吸音シート21及び遮音シート22はそれぞれ、可撓性を有している。
【0045】
吸音シート21は、図6(a)に示すように、縦管接続部13に巻き付ける前の状態において、正面視で縦方向よりも横方向(長辺方向)に長い矩形帯状をなしている。吸音シート21は、縦方向が集合継手10の中心軸線O方向と一致するように、縦管接続部13に巻き付けられる。
【0046】
吸音シート21には、横管接続部14が嵌合される第1嵌合口24が形成されている。第1嵌合口24は、横方向に間隔をあけて3つ配置されている。第1嵌合口24は、正面視で楕円状をなし、長軸方向が縦方向と一致し、短軸方向が横方向と一致する。第1嵌合口24は、横管接続部14に挿通されることにより、横方向に広げられて真円形状を呈する。
【0047】
吸音シート21には、縦管接続部13の突起部130(リブ130A)を内側に配置させる矩形状の開口部21Aが形成されている。開口部21Aは、横方向に間隔をあけて複数(4つ)配置されている。図示の例では、左右両側に位置する開口部21Aは、半分に分割された形状をなしており、周方向に巻き付けた状態で左右の開口部21Aが対になって1つの開口部21Aが形成される。開口部21Aは、1箇所の突起部130の形状に合わせて正面視で横長形状をなしている。開口部21Aは、吸音シート21のうち、第1嵌合口24の上方に位置する部分に各別に配置されている。
【0048】
吸音シート21は、繊維材料によりシート状に形成されている。吸音シート21の素材としては、例えばフェルト、グラスウール、ロックウール等を採用することができる。図2に示すように、吸音シート21の厚みDは1~20mmで、面密度は0.1~2kg/mとなっている。
なお、吸音シート21の材料としては、繊維材料でなくてもよく、上記厚みおよび面密度の範囲内であれば、発泡ウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレンのような多孔質材料を用いても良い。
【0049】
遮音シート22は、図6(b)に示すように、縦管接続部13に巻き付ける前の状態において、正面視で縦方向よりも横方向(長辺方向)に長い矩形帯状をなしている。遮音シート22は、縦方向が集合継手10の中心軸線O方向と一致するように、縦管接続部13に巻き付けられる。
遮音シート22には、横管接続部14が嵌合される第2嵌合口25が形成されている。第2嵌合口25は、横方向に間隔をあけて3つ配置されている。第2嵌合口25は、正面視で縦長の楕円状をなし、長軸方向が縦方向と一致し、短軸方向が横方向と一致する。第2嵌合口25は、横管接続部14に挿通されることにより、横方向に広げられて真円形状を呈する。
【0050】
遮音シート22を吸音シート21の外周側に巻き付ける際には、第2嵌合口25が拡がるように遮音シート22を弾性変形させながら、横管接続部14が第2嵌合口25に挿入されて嵌合される。このため、遮音シート22の弾性復元力により、第2嵌合口25の内周縁部が、横管接続部14の外周面に密に当接している。
【0051】
遮音シート22の横方向の両端部同士は、縦管接続部13の外周側面13aのうち、横管接続部14が突設されていない部分で互いに接続される。
例えば、遮音シート22の横方向の両端部同士を径方向に互いに重ね合わされた状態で、接着テープ40により固定される。接着テープ40としては、例えば接着性および止水性のあるブチルゴムテープ等を用いることができる。
なお、遮音シート22の両端部同士は、接着テープ40に代えて、接着剤により互いに接続されてもよい。また、両端部に設けられたファスナーや面ファスナー等により着脱可能に接続されてもよい。
【0052】
遮音シート22は、基材樹脂100重量部に対して、無機フィラーを300~3000重量部含有する樹脂組成物により形成されている。基材樹脂としては、オレフィン系樹脂を採用することができる。遮音シート22の厚みは1~5mmで、面密度は1~8kg/mである。
なお、遮音シート22の基材樹脂としては、オレフィン系樹脂に限られず、改質アスファルトやエラストマー、ゴム、ポリオレフィン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂等といった弾性を備えた材料であってもよい。
【0053】
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられ、これらのうち、重量とコストのバランスから炭酸カルシウム、硫酸バリウムを用いることが好ましい。なお、これらは、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0054】
遮音シート22は可撓性を有している。遮音シート22の引張弾性率は5~500kg/cmであることが好ましい。集合継手10に巻き付けることが容易であるためである。100kg/cm程度が柔らかすぎず、硬すぎず巻きやすい。
なお、遮音シート22の片面または両面に、合成繊維不織布やガラス繊維不織布等の表面材を積層してもよい。
【0055】
集合継手10の下部は、図1に示すように、建築構造物の床スラブ3に形成される貫通孔31に挿通されている。
貫通孔31の内周面のうち、下側に位置する部分には、径方向の内側に向けて張り出した段部32が形成されている。段部32は、筒状に形成され、貫通孔31と同軸に配置されている。段部32には、上方を向く載置面32aが形成されている。
【0056】
そして遮音カバー20の下端部は、床スラブ3の上面3aと下面3bとの間に配置されている。遮音カバー20の下端部は、貫通孔31内における段部32の載置面32aに載置されている。
貫通孔31の内径は、遮音カバー20の外径よりも大きくなっている。貫通孔31の段部32の内径は、径方向に対向する集合継手10の下部接続管12における接続管部16の外径よりも大きくなっている。
【0057】
また、集合継手10のうち、少なくとも床スラブ3内に埋設された部分は、熱膨張管とされている。図示の例では、下部接続管12の接続管部16が熱膨張管とされている。
熱膨張管は、例えば床スラブ3の階下で火災が発生する等して加熱されることで、膨張して拡径する。これにより、接続管部16の外周面が、床スラブ3における貫通孔31内の段部32の内周面に当接する。このようにして、火災により発生した炎や熱が、床スラブ3の上の階に伝わることなく、遮断される。
【0058】
ここで、床スラブ3への配管構造からの振動の伝達について説明する。
集合継手10の内部に排水が流下すると、排水が集合継手10の内面に衝突することで集合継手10が振動する。この振動が集合継手10の外周面から貫通孔31の内周面を介して床スラブ3に伝達されることがある。
【0059】
ここで一般に、床スラブ3の貫通孔31から内周面に伝達された振動は、床スラブ3の上面3aおよび下面3bにおいて顕著に伝達される。振動のエネルギーが表面に偏ることで、減衰が小さく振幅が大きくなるためである。
このため、本実施形態の継手部1では、遮音カバー20の下端部を段部32に配置することで、集合継手10の外周面と、床スラブ3の上面3aにおける貫通孔31の開口周縁部と、の間に遮音カバー20を介在させている。
【0060】
このように本実施形態では、集合継手10が床スラブ3に形成された貫通孔31内に挿入され、集合継手10の下部が、床スラブ3内に埋設されている。そして、集合継手10を覆う遮音カバー20の下端部が、床スラブ3の上面3aと下面3bとの間に配置されている。このため、集合継手10の外周面と、床スラブ3の上面3aにおける集合継手10の貫通孔31の開口周縁部と、の間に遮音カバー20を介在させることができる。これにより、床スラブ3のうち、集合継手10からの振動が顕著に伝わりやすい上面3aに、集合継手10からの振動が伝わるのを、遮音カバー20の吸音シート21および遮音シート22により遮断することが可能になる。このようにして、施工される建築構造物の床スラブ3を介して異音が生じるのを確実に抑制することができる。
【0061】
また、集合継手10のうち、床スラブ3内に埋設された部分が熱膨張管であるため、仮に床スラブ3の階下で火災等による温度上昇があった場合に、熱膨張管が膨張することで、床スラブ3の上層階に階下からの熱が伝わるのを防ぐことができる。
【0062】
集合継手10には、図1及び図2に示すように、縦管P1が接続される上部接続管11の上端部には、図示しない縦パッキンを介して縦ブッシュ41が設けられ、さらに縦ブッシュ41の上端部にはキャップ部42が設けられている。
縦ブッシュ41は、図2に示すように、嵌合部41aと、嵌合部41aから下方に向けて延びる支持脚部を介して取り付けられた旋回羽根(図示省略)と、を備えている。嵌合部41aは、縦ブッシュ41の上端部より小径で上部接続管11の縦管接続部13内に嵌合する筒状をしている。
【0063】
縦パッキンは、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等の通常排水設備に使用されているゴム材料からなり、上端部が縦管P1の外周面に水密に密着するパッキンである。縦パッキンの上端面は、縦ブッシュ41の上端面とほぼ一致するように縦ブッシュ41の内側に嵌合されている。
【0064】
キャップ部42は、縦ブッシュ41の上端部に外嵌され、内側に縦管P1を挿通可能な挿通穴42aが形成されたリング状の部材である。キャップ部42は、天端リング43と、天端リング43の外周縁から下方に延びたフランジ部44と、を有している。キャップ部42は、縦パッキンが縦ブッシュ41からの離脱を防止するようになっている。そして、縦ブッシュ41、縦パッキン、及びキャップ部42は、予め組み立てて一体化したのち、縦ブッシュ41の嵌合部41aを上部接続管11の縦管接続部13に嵌合接着することができる。
また、縦ブッシュ41、及びキャップ部42は、いずれもポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、非膨張性黒鉛を0.1~1.0重量部の割合で含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物を射出成形して得られる。
【0065】
次に、上述した継手部1を施工する方法について、図面を用いて説明する。
先ず、図1に示すように、継手部1の集合継手10は、多層階建築物の排水立管路の各階の横枝管合流部に用いられ、以下のように施工される。
すなわち、中間管15と上部接続管11の嵌合接続部を含む部分を床スラブ3の貫通孔31に臨ませた状態で設置し、下側の階の縦管P1(例えば、市販品である積水化学工業社製のエスロン(登録商標)耐火VPパイプが使用できる)を下部接続管12の下側管部18に嵌合させて接着する。また、縦ブッシュ41とキャップ部42を介して上側の階の縦管P1の下端部を不図示の縦パッキンに嵌合させる。
次に、床スラブ3の貫通孔31にモルタルを充填し、中間管15と上部接続管11の嵌合接続部を含む部分をモルタル内に埋設する。
【0066】
ここで、施工前において予め縦管接続部13に遮音カバー20を取り付けておく。具体的には、先ず、図2に示すように、縦管接続部13に吸音シート21を巻き付ける。このとき、吸音シート21の各第1嵌合口24(図6(a)参照)に横管接続部14を挿通させるとともに、開口部21A内に縦管接続部13の突起部130が配置されように取り付ける。巻き付けた吸音シート21の端部同士は、例えば接着テープや接着剤などを使用して接続する。この状態において、突起部130の突出高さHが吸音シート21の厚さDよりも大きい寸法に設定されているので、突起部130の突出端130aが吸音シート21より径方向の外側に突出している。その後、吸音シート21を覆うようにして遮音シート22を巻き付ける。このとき、遮音シート22の各第2嵌合口25(図6(b)参照)に横管接続部14を挿通させて取り付ける。巻き付けた遮音シート22の端部同士は、例えば接着テープや接着剤などを使用して接続する。
【0067】
続いて、横管P2の端部を横管接続部14に挿入して横管P2を接続する。
次に、図1に示すように、一対の分割された挟持リング51を縦管接続部13の突起部130が配置される高さの位置で挟持し、支持連結材52を挟持リング51と床スラブ3の上面3aとの間で固定することで、集合継手10が床スラブ3に固定する。なお、支持金具5を取り付ける際には、突起部130は遮音シート22に覆われて見えない状態となっているので、予め遮音シート22に突起部130の位置が分かるように目印を付けておいてもよい。
このような施工手順によって集合継手10を用いた継手部1が施工される。
【0068】
次に、上述した構成の配管構造および配管システムの作用について、図面を用いて詳細に説明する。
本実施の形態では、図1に示すように、縦管接続部13の外周側面13aの全体にわたって遮音シート22で覆われ、さらに突起部130に重ならない位置には吸音シート21も配置されている。そのため、例えば集合継手10内を流れる排水から生じる音などを、吸音シート21を介して弱めて遮音シート22で遮音することができるので、遮音カバー20の遮音性能を効果的に確保することができ、排水音の漏れを防止することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、縦管接続部13の外周側面13aにおいて周方向に沿う領域の少なくとも一部に突起部130が設けられ、この突起部130に対して遮音シート22を介して直接、支持金具5を挟持させることができ、集合継手10を建築構造物の床スラブ3に支持させることができる。このとき、突起部130には吸音シート21が重なって配置されていないので、突起部130に対して遮音シート22のみを介して支持金具5が挟持されることから、支持金具5を安定した状態で支持することができる。つまり、縦管接続部13と支持金具5との間で動いたり隙間が生じたり、支持金具5の姿勢が傾くといった支持状態が不安定になることがなくなる。
【0070】
また、本実施の形態による継手部1では、突起部130は、横管接続部14の上方に配置されているので、床スラブ3上に横管P2が配置される際に、縦管接続部13における横管接続部14の上方に配置される突起部130の位置で支持された支持金具5を床スラブ3の上面3aと接続することで、床スラブ3に対して集合継手10を安定した姿勢で支持させることができる。
【0071】
さらに、本実施の形態では、図2に示すように、突起部130における外周側面13aからの突出高さHは、吸音シート21の厚さ寸法よりも大きい寸法となることから、吸音シート21が突起部130よりも径方向の外側に張り出さない状態となる。そのため、遮音シート22が吸音シート21によって外側に押し出されることがなく、突起部130の位置で支持される支持金具5の支持状態の安定性をより高めることができる。
【0072】
このように、本実施の形態による継手部1では、排水音の発生を抑えることができるとともに、支持金具5による支持状態の安定性を高めることができる。
【0073】
次に、上述した実施の形態の変形例による配管構造および配管システムについて説明する。なお、上述した第1の実施の形態の構成要素と同一機能を有する構成要素には同一符号を付し、これらについては、説明が重複するので詳しい説明は省略する。
【0074】
(第1変形例)
図7に示す第1変形例による継手部1A(配管構造)は、縦管接続部13の突起部130が横管接続部14の下方に配置された構成となっている。突起部130の具体的な構成は、上述した実施形態と同様であるので詳細な説明は省略するが、周方向に間隔をあけて複数(4つ)配置され、各突起部130が3つのリブ130Aから構成されている。遮音カバー20は、上述した実施形態と同様に吸音シート21と遮音シート22とを備えている。この場合、吸音シート21は、開口部21A(図6(a)参照)の位置が横管接続部14の下方に位置する突起部130の位置に合わせて配置されたものが使用される。
なお、第1変形例では、突起部130が横管接続部14の下方のみに配置されているが、上述した実施形態と同様に横管接続部14の上方の位置にも配置されていてもよい。
【0075】
この場合には、床スラブ3の下面3bに横管P2が配置されるような天井配管となる際に、縦管接続部13における横管接続部14の下方に配置される突起部130の位置で遮音カバー20の遮音シート22を介して支持された支持金具5を床スラブ3の下面3bと接続して吊り下げるようにして支持することで、床スラブ3に対して集合継手10を安定した姿勢で支持させることができる。
【0076】
(第2変形例)
次に、図8に示す第2変形例は、縦管接続部13の突起部131が横管接続部14の上方の位置で、周方向の全周にわたって設けられた構成となっている。突起部131は、全周にわたって連続して延在する環状リブ131Aが上下方向に3つ配列されて構成されている。この場合の遮音カバー(図示省略)の吸音シートは、突起部131を配置させるための開口部を形成することができないので、突起部131を挟んだ上下で分離したものが採用される。
【0077】
第2変形例の場合には、リング状の支持金具5(図1参照)を全周にわたって突起部131を挟持した状態で支持することができるので、より安定した状態で支持することが可能となる。
【0078】
以上、本発明による配管構造および配管システムの実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、突起部130の突出高さHが吸音シート21の厚さ寸法Dよりも僅かに大きくなり、吸音材の厚さと同等以上とし、径方向の外側に突出していて同等以上であることが好ましいが、このような寸法のものに限定されることはない。例えば、突起部における外周側面からの突出高さHが吸音シートの厚さ寸法と同等であってもよい。あるいは、突起部の突出高さHが吸音材の厚さよりも小さくなっていてもよい。
【0079】
また、突起部130は、外周上の4箇所に設置されているが、配置数量はこれに限定されることはない。要は、周方向の領域であればよく、2、3箇所であってもよいし、5箇所以上あってもかまわない。また、上述した第2変形例のように全周にわたって配置される構成であってもかまわない。
また、本実施形態では、突起部130の形状として、各突起部130が3本のリブ130Aを上下に配列させた構成とされているが、これに限定されることはなく、他の構成であってもかまわない。
【0080】
例えば、上記各実施形態においては、遮音カバー20は、正面視で縦方向よりも横方向に長い矩形帯状を呈している構成を示したが、このような態様に限られない。遮音カバー20の正面視形状は任意に変更可能である。
【0081】
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 継手部(配管構造)
3 床スラブ(躯体)
3a 上面
3b 下面
5 支持金具
10 集合継手
11 上部接続管
12 下部接続管
13 縦管接続部
14 横管接続部
20 遮音カバー
21 吸音シート(吸音材)
22 遮音シート(遮音材)
51 挟持リング
52 支持連結材
130、131 突起部
130A リブ
131A 環状リブ
130a 突出端
P1 縦管
P2 横管
H リブ(突出部)の突出高さ
D 吸音シートの厚さ寸法
O 中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8