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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】浚渫装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/88 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
E02F3/88 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018173790
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020045661
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(73)【特許権者】
【識別番号】597031391
【氏名又は名称】株式会社河本組
(73)【特許権者】
【識別番号】318012241
【氏名又は名称】オリエント技建株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 光男
(72)【発明者】
【氏名】本多 茂
(72)【発明者】
【氏名】河本 和雄
(72)【発明者】
【氏名】廣津 芳和
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-259943(JP,A)
【文献】特開2012-052287(JP,A)
【文献】特開2014-125754(JP,A)
【文献】特開2014-083501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底に配置される吸引ノズルと、
水中に配置される筐体と、
前記筐体の内部に配置される第1圧送ポンプと、
一端が前記吸引ノズルに接続され且つ他端が前記筐体に接続される第1吸引管と、
一端が前記筐体に接続され且つ他端が水上に配置される第2吸引管と、
一端が前記第1圧送ポンプに接続され且つ他端が水上に配置される圧送管と、
水上に配置され且つ前記第2吸引管を吸引する吸引ポンプと、
を備える浚渫装置。
【請求項2】
前記第2吸引管の前記一端は、前記筐体の上面に接続される請求項1に記載の浚渫装置。
【請求項3】
前記第1吸引管の前記他端から前記第2吸引管の前記一端までの距離は、前記第1吸引管の前記他端から前記圧送管の前記一端までの距離より小さい請求項1又は2に記載の浚渫装置。
【請求項4】
前記第1吸引管は、伸縮及び屈曲可能である請求項1から3のいずれか一項に記載の浚渫装置。
【請求項5】
前記吸引ノズルは、水を噴射する噴射ノズルを備える請求項1から4のいずれか一項に記載の浚渫装置。
【請求項6】
前記吸引ノズルは、筒状部を備え、
前記噴射ノズルは、前記筒状部の内部に設けられる請求項5に記載の浚渫装置。
【請求項7】
前記吸引ノズルは、吸引口を覆う格子状の防護網を備える請求項1から6のいずれか一項に記載の浚渫装置。
【請求項8】
前記第2吸引管の他端及び前記圧送管の他端に接続される回収タンクと、
一端が前記回収タンクに接続され且つ他端が前記吸引ポンプに接続される第3吸引管と、を備える請求項1から7のいずれか一項に記載の浚渫装置。
【請求項9】
前記回収タンクから土砂を排出する第2圧送ポンプを備える請求項8に記載の浚渫装置。
【請求項10】
前記回収タンクから排出された土砂を脱水する脱水装置を備える請求項8又は9に記載の浚渫装置。
【請求項11】
前記回収タンクは、台船の上に配置される請求項8から10のいずれか一項に記載の浚渫装置。
【請求項12】
前記吸引ノズルを昇降させる第1昇降装置を備える請求項1から11のいずれか一項に記載の浚渫装置。
【請求項13】
前記筐体を昇降させる第2昇降装置を備える請求項1から12のいずれか一項に記載の浚渫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浚渫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
河川、運河、湖、沈砂池、又は貯水池等の水中の底部に堆積した堆砂を取り除く浚渫方法として、水中サンドポンプによる流体輸送方法(特許文献1参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-47522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の浚渫方法では、水深の深い場所の堆砂を回収できるものの、堆積した堆砂を掘削攪拌してから吸引する必要があるため、作業環境が汚濁する。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、水深の深い場所の堆砂を回収でき且つ水の汚濁を抑制できる浚渫装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の一様態は、水底に配置される吸引ノズルと、水中に配置される筐体と、筐体の内部に配置される第1圧送ポンプと、一端が吸引ノズルに接続され且つ他端が筐体に接続される第1吸引管と、一端が筐体に接続され且つ他端が水上に配置される第2吸引管と、一端が第1圧送ポンプに接続され且つ他端が水上に配置される圧送管と、水上に配置され且つ第2吸引管を吸引する吸引ポンプと、を備える浚渫装置である。
【0007】
なお、上記の浚渫装置の様態において、第2吸引管の一端は、筐体の上面に接続されることが好ましい。
【0008】
なお、上記の浚渫装置の様態において、第1吸引管の他端から第2吸引管の一端までの距離は、第1吸引管の他端から圧送管の一端までの距離より小さいことが好ましい。
【0009】
なお、上記の浚渫装置の様態において、第1吸引管は、伸縮及び屈曲可能であることが好ましい。
【0010】
なお、上記の浚渫装置の様態において、吸引ノズルは、水を噴射する噴射ノズルを備えることが好ましい。
【0011】
なお、上記の浚渫装置の様態において、吸引ノズルは、筒状部を備え、噴射ノズルは、筒状部の内部に設けられることが好ましい。
【0012】
なお、上記の浚渫装置の様態において、吸引ノズルは、吸引口を覆う格子状の防護網を備えることが好ましい。
【0013】
なお、上記の浚渫装置の様態において、第2吸引管の他端及び圧送管の他端に接続される回収タンクと、一端が回収タンクに接続され且つ他端が吸引ポンプに接続される第3吸引管と、を備えることが好ましい。
【0014】
なお、上記の浚渫装置の様態において、回収タンクから土砂を排出する第2圧送ポンプを備えることが好ましい。
【0015】
なお、上記の浚渫装置の様態において、回収タンクから排出された土砂を脱水する脱水装置を備えることが好ましい。
【0016】
なお、上記の浚渫装置の様態において、回収タンクは、台船の上に配置されることが好ましい。
【0017】
なお、上記の浚渫装置の様態において、吸引ノズルを昇降させる第1昇降装置を備えることが好ましい。
【0018】
なお、上記の浚渫装置の様態において、筐体を昇降させる第2昇降装置を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、水深の深い場所の泥を回収でき且つ水の汚濁を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、第1実施形態の浚渫装置を示す模式図である。
図2図2は、図1の主要部を示す模式図である。
図3図3は、吸引ノズルを示す模式断面図である。
図4図4は、吸引ノズルの吸引口を示す模式拡大図である。
図5図5は、第2実施形態の浚渫装置を示す模式図である。
図6図6は、第2実施形態の浚渫装置の変形配置例を示す模式図である。
図7図7は、第3実施形態の浚渫装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る浚渫装置の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態の記載に限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能且つ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、以下の実施形態の説明において、同一構成には同一符号を付し、異なる構成には異なる符号を付すものとする。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の浚渫装置を示す模式図である。図2は、図1の主要部を示す模式図である。図3は、吸引ノズルを示す模式拡大図である。図4は、吸引ノズルを示す模式断面図である。第1実施形態の浚渫装置10は、河川、運河、湖、沈砂池、又は貯水池等の水中の底部に堆積した堆砂を浚渫する装置である。堆砂は、比重及び粘性の高い汚泥及び泥土等を含む。浚渫装置10は、堆砂の水中吸引、鉛直搬送及び水平搬送を一貫して連続的に行う。第1実施形態において、浚渫装置10は、貯水池Wの底部に堆積した堆砂Dを浚渫する。浚渫装置10は、吸引ノズル20と、中間ユニット30と、回収タンク40と、吸引ポンプ50と、第1吸引管60と、第2吸引管70と、第3吸引管80と、圧送管90と、昇降装置100と、第2圧送ポンプ110と、脱水装置120と、搬送管130と、を備える。浚渫装置10において、昇降装置100は、貯水池Wに浮かぶ台船Bの上に配置される。回収タンク40、吸引ポンプ50、第2圧送ポンプ110及び脱水装置120は、陸部Gに配置される。
【0023】
吸引ノズル20は、貯水池Wの水底に配置される。図2に示すように、吸引ノズル20は、一端20Aに吸引口22を有する。吸引口22は、貯水池Wの水底に堆積した堆砂Dに挿入される。吸引ノズル20は、吸引口22から堆砂Dを吸引する。吸引ノズル20の他端20Bは、第1吸引管60の一端60Aに対して接続される。吸引ノズル20と第1吸引管60との間の隙間は密閉される。吸引ノズル20に吸引された堆砂Dは、土砂D1として第1吸引管60を通って第1吸引管60の他端60Bの方向に搬送される。
【0024】
図3は、吸引ノズルを示す模式断面図である。図3に示すように、吸引ノズル20は、筒状部20Tと、噴射ノズル24と、を備える。噴射ノズル24は、吸引ノズル20において土砂D1の流路となる筒状部20Tの内部に設けられる。噴射ノズル24は、吸引ノズル20の内部から吸引口22に向かって水を噴射する。これにより、噴射ノズル24による噴射水は、吸引口22から吸引できない大きさの、流木、泥岩の塊等の異物を吸引口22から離間させる。噴射水の圧力は、吸引ノズル20による吸引力より大きい。噴射ノズル24は、噴射方向が可変であることが好ましい。これにより、噴射ノズル24は、吸引口22の全体に向かって水を噴射できる。噴射ノズル24を駆動する駆動装置は、例えば、貯水池Wの水上に配置される。噴射ノズル24は、水供給管26から水が供給される。水供給管26は、例えば、貯水池Wから水が供給されてもよい。
【0025】
図4は、吸引ノズルを示す模式拡大図である。図4に示すように、吸引ノズル20は、防護網28を備える。防護網28は、格子状の網である。防護網28は、吸引口22を覆う。防護網28は、吸引ノズル20内への異物混入を抑制する。防護網28の網目は、図1及び図2に示す圧送管90の内径の1/3未満であることが好ましい。これにより、圧送管90の内径の1/3以上の大きさの異物の混入を抑制する。
【0026】
図2に示すように中間ユニット30は、略直方体の筐体32と、第1圧送ポンプ34と、を備える。筐体32は、貯水池Wの水中に配置される。筐体32の内部は、貯水池Wの水中から密閉される。筐体32は、開口32A及び開口32Bを有する。開口32Aは、筐体32の底面に配置される。開口32Aは、筐体32の側面に配置されてもよい。筐体32は、開口32Aにおいて第1吸引管60の他端60Bに対して接続される。筐体32と第1吸引管60との隙間は密閉される。筐体32は、第1吸引管60を介して吸引ノズル20に接続される。筐体32は、第1吸引管60によって搬送された土砂D1を回収する。開口32Bは、筐体32の上面に配置される。筐体32は、開口32Bにおいて第2吸引管70の一端70Aに対して接続される。筐体32と第2吸引管70との隙間は密閉される。第1圧送ポンプ34は、筐体32の内部に配置される。第1圧送ポンプ34は、例えば容積式スラリーポンプである。第1圧送ポンプ34は、圧送管90の一端90Aに対して接続される。第1圧送ポンプ34と圧送管90との隙間は密閉される。第1圧送ポンプ34は、土砂D1を圧送管90に圧送する。筐体32に回収された土砂D1は、土砂D2として圧送管90を通って圧送管90の他端90Bの方向に搬送される。筐体32に回収された土砂D1の一部は、土砂D2として第2吸引管70を通って第2吸引管70の他端70Bの方向に搬送される。
【0027】
回収タンク40は、貯水池Wの水上に配置される。回収タンク40の内部は、外気から密閉される。回収タンク40は、第2吸引管70の他端70Bに対して接続される。回収タンク40と第2吸引管70との隙間は密閉される。回収タンク40は、第2吸引管70を介して筐体32に接続される。回収タンク40は、第2吸引管70によって搬送された土砂D2を回収する。回収タンク40は、圧送管90の他端90Bに対して接続される。回収タンク40と圧送管90との隙間は密閉される。回収タンク40は、圧送管90及び第1圧送ポンプ34を介して筐体32に接続される。回収タンク40は、圧送管90によって搬送された土砂D2を回収する。回収タンク40は、第3吸引管80の一端80Aに対して接続される。回収タンク40と第3吸引管80との隙間は密閉される。
【0028】
吸引ポンプ50は、貯水池Wの水上に配置される。吸引ポンプ50は、例えば真空ポンプである。吸引ポンプ50の吸気口50Aにおける最大風量は、例えば100m/minである。吸引ポンプ50の吸気口50Aは、第3吸引管80の他端80Bに対して接続される。吸引ポンプ50と第3吸引管80との隙間は密閉される。吸引ポンプ50は、第3吸引管80を介して回収タンク40に接続される。
【0029】
第1吸引管60、第2吸引管70及び第3吸引管80の内径は、圧送管90の内径より大きい。第1吸引管60、第2吸引管70及び第3吸引管80の内径は、例えば200mmである。圧送管90の内径は、例えば100mmである。
【0030】
吸引ポンプ50は、第3吸引管80を及び回収タンク40介して第2吸引管70を吸引する。これにより、筐体32、第1吸引管60及び吸引ノズル20の内部は、負圧を維持される。筐体32の内部は、高い真空度を維持することが好ましい。吸引ポンプ50は、負圧によって、吸引ノズル20に堆砂Dを吸引させ、吸引ノズル20から筐体32まで土砂D1を搬送させる。筐体32は、吸引ノズル20の吸引口22から第1高さh1となる位置に設置される。ここで、負圧による吸引が可能な高さは、トリチェリの真空原理により、絶対真空条件下であっても10m(760mmHg)である。したがって、第1高さh1は、10m未満であり、8m以下であることが好ましい。
【0031】
第1圧送ポンプ34は、筐体32内部の土砂D1を圧送管90に圧送する。第1圧送ポンプ34は、筐体32から回収タンク40まで土砂D2を圧送する。第1圧送ポンプ34が筐体32の内部の土砂D1を押す力は、吸引ポンプ50が筐体32の内部の空気を引く力よりも大きい。回収タンク40は、圧送管90の他端90Bが筐体32から第2高さh2となる位置に設置される。第2高さh2は、例えば15mである。第2高さh2、及び第1圧送ポンプ34から圧送管90の他端90Bまでの水平距離h3は、第1圧送ポンプ34の性能に依存する。回収タンク40は、水平距離h3が100m以上となる位置に設置されることもできる。
【0032】
第1実施形態において、筐体32における第1吸引管60の他端60Bから第2吸引管70の一端70Aまでの距離は、第1吸引管60の他端60Bから圧送管90の一端90Aまでの距離より小さい。これにより、第1吸引管60の他端60Bから第2吸引管70の一端70Aに向かう気流が発生する。第2吸引管70の内部は、吸引ポンプ50による吸引によって、一端70Aから他端70Bに向かう気流が発生している。筐体32に回収された土砂D1の一部は、第2吸引管70の内部の気流に乗って、土砂D2として回収タンク40まで搬送される。
【0033】
図1に示す昇降装置100は、第1実施形態において、テレスコクラムバックホウである。昇降装置100は、本体102と、本体102に対して搖動可能なブーム104と、ブーム104に対して搖動可能且つ伸縮可能なアーム106と、を有する。アーム106の先端部は、中間ユニット30の筐体32に固定されている。昇降装置100は、アーム106を伸縮させることによって吸引ノズル20、第1吸引管60及び筐体32を昇降させる。昇降装置100は、筐体32を貯水池Wの水中に支持し、吸引ノズル20の吸引口22を貯水池Wの水底の堆砂Dに挿入させる。
【0034】
第2圧送ポンプ110は、例えば容積式スラリーポンプである。第2圧送ポンプ110は、回収タンク40の排出部42及び搬送管130の一端130Aに対して接続される。第2圧送ポンプ110は、回収タンク40の排出部42から土砂D2を取り込み、搬送管130の他端130Bの方向に圧送する。回収タンク40に回収された土砂D2は、土砂D3として搬送管130を通って搬送管130の他端130Bの方向に搬送される。
【0035】
脱水装置120は、搬送管130の他端130Bに対して接続される。脱水装置120は、搬送管130によって搬送された土砂D3を回収し、土砂D3を固体と水とに分離する固液分離を行う。分離された固体は、例えば排砂地等に運ばれる。分離された水は排水処理設備等で浄化した後、例えば貯水池Wに戻される。第1実施形態において、回収タンク40に回収された土砂D2は、脱水装置120によって脱水されたが、例えば天日乾燥処理設備等によって脱水されてもよい。
【0036】
以上説明したように、第1実施形態の浚渫装置10は、水底に配置される吸引ノズル20と、水中に配置される筐体32と、筐体32の内部に配置される第1圧送ポンプ34と、一端60Aが吸引ノズル20に接続され且つ他端60Bが筐体32に接続される第1吸引管60と、一端70Aが筐体32に接続され且つ他端70Bが水上に配置される第2吸引管70と、一端90Aが第1圧送ポンプ34に接続され且つ他端90Bが水上に配置される圧送管90と、水上に配置され且つ第2吸引管70を吸引する吸引ポンプ50と、を備える。
【0037】
これにより、浚渫装置10は、吸引ポンプ50の吸引によって、吸引ノズル20から中間ユニット30の筐体32まで浚渫し、第1圧送ポンプ34の圧送によって、筐体32から水上まで浚渫する。すなわち、重い堆砂D(土砂D1)の回収を吸引で行い、高楊程の土砂D2の搬送を圧送で行うので、水深の深い場所の泥を回収でき且つ水の汚濁を抑制できる。また、吸引した土砂D1に余分な水が含まれず、含泥率20~50%程度の高濃度で回収できる。
【0038】
浚渫装置10は、第2吸引管70の一端70Aが、筐体32の上面に接続される。
【0039】
このような浚渫装置10によれば、土砂D1によって第2吸引管70が塞がることを抑制できる。
【0040】
浚渫装置10は、第1吸引管60の他端60Bから第2吸引管70の一端70Aまでの距離が、第1吸引管60の他端60Bから圧送管90の一端90Aまでの距離より小さい。
【0041】
このような浚渫装置10によれば、吸引ノズル20から第1吸引管60、筐体32及び第2吸引管70を通って第2吸引管70の他端70Bに向かう気流が発生する。これにより、第2吸引管70は、筐体32に回収された土砂D1の一部を搬送することができる。
【0042】
浚渫装置10は、吸引ノズル20が、水を噴射する噴射ノズル24を備える。
【0043】
このような浚渫装置10によれば、噴射水の圧力が吸引口22から流木、泥岩等の塊を遠ざけるので、吸引口22の異物による閉塞を抑制することができる。
【0044】
浚渫装置10は、吸引ノズル20が、筒状部20Tを備え、噴射ノズル24が、筒状部20Tの内部に設けられる。
【0045】
このような浚渫装置10によれば、より好適に吸引口22の異物による閉塞を抑制することができる。
【0046】
浚渫装置10は、吸引ノズル20が、吸引口22を覆う格子状の防護網28を備える。
【0047】
このような浚渫装置10によれば、吸引ノズル20への異物混入による第1吸引管60、第2吸引管70および圧送管90内部の閉塞を抑制することができる。
【0048】
浚渫装置10は、第2吸引管70の他端70B及び圧送管90の他端90Bに接続される回収タンク40と、一端80Aが回収タンク40に接続され且つ他端80Bが吸引ポンプ50に接続される第3吸引管80と、を備える。
【0049】
このような浚渫装置10によれば、土砂D2が回収タンク40に回収されるので、吸引ポンプ50への土砂D2の侵入を抑制できる。
【0050】
浚渫装置10は、回収タンク40から土砂D2を排出する第2圧送ポンプ110を備える。
【0051】
このような浚渫装置10によれば、回収タンク40に回収された土砂D2を順次排出するので、吸引ポンプ50及び第1圧送ポンプ34による浚渫効率を維持することができる。
【0052】
浚渫装置10は、回収タンク40から排出された土砂D3を脱水する脱水装置120を備える。
【0053】
このような浚渫装置10によれば、排出した土砂D3をより好適に処理することができる。
【0054】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の浚渫装置を示す模式図である。図5に示す浚渫装置10Aにおいて、図1に示す浚渫装置10と同一の構成については同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。浚渫装置10Aは、浚渫装置10における第1吸引管60と、昇降装置100との代わりに、第1吸引管60Fと、第1昇降装置140及び第2昇降装置150と、を備える。浚渫装置10Aにおいて、回収タンク40、吸引ポンプ50、第2圧送ポンプ110、第1昇降装置140と及び第2昇降装置150は、貯水池Wに浮かぶ台船Bの上に配置される。脱水装置120は、陸部Gに配置される。
【0055】
第1吸引管60Fは、一端20Aが吸引ノズル20の他端20Bに対して接続され、他端20Bが筐体32の開口32Aに対して接続される。吸引ノズル20と第1吸引管60Fとの隙間は密閉される。筐体32と第1吸引管60Fとの隙間は密閉される。第1吸引管60Fは、図1に示す第1吸引管60に比べ、伸縮及び屈曲可能である構成において異なる。これにより、吸引ノズル20は、筐体32に対して相対移動可能である。図5において開口32Aは、筐体32の側面に配置されるが、筐体32の底面に配置されてもよい。
【0056】
第1昇降装置140は、第2実施形態において、テレスコクラムバックホウである。第1昇降装置140は、本体142と、本体142に対して搖動可能なブーム144と、ブーム144に対して搖動可能且つ伸縮可能なアーム146と、を有する。アーム146の先端部は、吸引ノズル20に固定されている。第1昇降装置140は、アーム146を伸縮させることによって吸引ノズル20を昇降させ、吸引ノズル20の吸引口22を貯水池Wの水底の堆砂Dに挿入させる。
【0057】
第2昇降装置150は、第2実施形態において、テルハ型ホイスト式クレーンである。第2昇降装置150は、回収タンク40の上方に設置されるレール152と、レール152上を横行するトロリ154と、トロリ154から吊下げられるウインチ156と、ウインチ156によって巻上可能なワイヤ158と、を有する。ワイヤ158の先端部は、中間ユニット30の筐体32に固定されている。第2昇降装置150は、ウインチ156にワイヤ158を巻取らせることによって筐体32を昇降させ、筐体32を貯水池Wの水中に支持する。
【0058】
操作者は、例えば、第2昇降装置150によって中間ユニット30の筐体32を貯水池Wの水中における所定の位置に位置決めする。その後、第1昇降装置140によって吸引ノズル20の吸引口22を堆砂Dの所定の場所に挿入させ、吸引ポンプ50及び第1圧送ポンプ34を駆動させて浚渫を開始する。吸引口22の周辺の堆砂Dが十分に吸引された場合、使用者は、第1昇降装置140を動作させ、吸引ノズル20の位置を変更する。この際、筐体32の位置は変更しない。
【0059】
以上説明したように、第2実施形態の浚渫装置10Aは、第1吸引管60Fが、伸縮及び屈曲可能である。
【0060】
このような浚渫装置10Aによれば、筐体32に対して吸引ノズル20が相対的に移動可能なので、操作性が向上し、より好適に堆砂Dを吸引することができる。
【0061】
浚渫装置10Aは、回収タンク40が、台船Bの上に配置される。
【0062】
このような浚渫装置10Aによれば、吸引ノズル20と回収タンク40との水平距離を近くすることができるので、第1圧送ポンプ34の搬送力が向上する。または、第1圧送ポンプ34に圧送力の低いポンプを使用することができる。
【0063】
浚渫装置10Aは、吸引ノズル20を昇降させる第1昇降装置140を備える。
【0064】
このような浚渫装置10Aによれば、より好適に浚渫装置10Aを設置できる。具体的には、吸引ノズル20をより好適に堆砂Dの所定の場所に挿入できるので、水深の深い場所の泥を回収でき且つ水の汚濁を抑制できる。
【0065】
浚渫装置10Aは、筐体32を昇降させる第2昇降装置150を備える。
【0066】
このような浚渫装置10Aによれば、より好適に浚渫装置10Aを設置できる。具体的には、中間ユニット30をより好適に貯水池Wの所定の場所に位置決めできるので、操作性が向上し、より好適に堆砂Dを吸引することができる。
【0067】
(変形設置例)
図6は、第2実施形態の浚渫装置の変形配置例を示す模式図である。図6に示す浚渫装置10Bにおいて、図5に示す浚渫装置10Aと同一の構成については同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。浚渫装置10Bは、中間ユニット30の筐体32が、貯水池Wの水底に設置される。貯水池Wの水深が浅い場合は、筐体32を貯水池Wの水底に設置することができる。浚渫装置10Bは、重い堆砂D(土砂D1)の回収を吸引で行い、高楊程の土砂D2の搬送を圧送で行うので、効率的に浚渫することができる。
【0068】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の浚渫装置を示す模式図である。図7に示す浚渫装置10Cにおいて、図5に示す浚渫装置10Aと同一の構成については同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。浚渫装置10Cは、浚渫装置10Aにおける第2昇降装置150の代わりに、第2昇降装置160を備える。第2昇降装置160は、貯水池Wに浮かぶ台船Bの上に配置される。
【0069】
第2昇降装置160は、第3実施形態において、クローラクレーンである。第2昇降装置160は、本体162と、本体162に対して搖動可能なブーム164と、ブーム164の先端から巻上可能なワイヤ166と、を有する。ワイヤ166の先端部は、中間ユニット30の筐体32に固定されている。第2昇降装置160は、ワイヤ166を巻取らせることによって筐体32を昇降させ、筐体32を貯水池Wの水中に支持する。
【0070】
浚渫装置10Cは、より好適に浚渫装置10Cを設置できる。具体的には、中間ユニット30をより好適に貯水池Wの所定の場所に位置決めできるので、操作性が向上し、より好適に堆砂Dを吸引することができる。
【0071】
なお、実施形態において説明した各構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施形態内の他の構成と組み合わせてもよい。また、これらの各構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施形態とは異なる他の実施形態内の構成と組み合わせてもよい。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の改変を行ってもよい。
【符号の説明】
【0072】
10、10A、10B、10C 浚渫装置
20 吸引ノズル
22 吸引口
24 噴射ノズル
26 水供給管
28 防護網
30 中間ユニット
32 筐体
34 第1圧送ポンプ
40 回収タンク
42 排出部
50 吸引ポンプ
60、60F 第1吸引管
70 第2吸引管
80 第3吸引管
90 圧送管
100 昇降装置
110 第2圧送ポンプ
120 脱水装置
130 搬送管
140 第1昇降装置
150、160 第2昇降装置
20A、60A、70A、80A、90A、130A 一端
20B、60B、70B、80B、90B、130B 他端
32A、32B 開口
50A 吸気口
20T 筒状部
102、142、162 本体
104、144、164 ブーム
106、146 アーム
152 レール
154 トロリ
156 ウインチ
158、166 ワイヤ
W 貯水池
B 台船
G 陸部
D 堆砂
D1、D2、D3 土砂
h1 第1高さ
h2 第2高さ
h3 水平距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7