(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】投射用ズームレンズおよび投写型画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20220830BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20220830BHJP
G02B 13/16 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
G02B13/16
(21)【出願番号】P 2018225726
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】514274487
【氏名又は名称】リコーインダストリアルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】宮 健二
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-084636(JP,A)
【文献】特開2012-048016(JP,A)
【文献】特開2019-015828(JP,A)
【文献】特開2011-028123(JP,A)
【文献】特開2017-049422(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0241669(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大側から縮小側に向かって順に、負のパワーの第1群、正のパワーの第2群、正のパワーの第3群、負のパワーの第4群、正または負のパワーの第5群、正または負のパワーの第6群、正のパワーの第7群を配してなり、前記第5群の近傍に開口絞りを有し、
前記第1群が非球面レンズと負のパワーを有する球面レンズとの2枚で構成され、
変倍時に前記第1群及び前記第7群が固定で、広角端から望遠端への変倍時に、前記第2群、前記第3群、前記第4群、前記第5群、前記第6群が前記縮小側から前記拡大側へ、隣接群の間隔が変化しつつ移動し、前記開口絞りは前記第5群と一体に移動し、
前記拡大側の共役点が無限遠の時の空気中におけるバックフォーカス:Bf、前記広角端における全系の焦点距離:fw、前記望遠端における前記全系の焦点距離:ft、前記第1群の焦点距離:f1が、条件式:
(1) 1.0 <Bf/fw< 3.0
(2) 1.5 <ft/fw< 2.5
(3) 1.0 <|f1/fw|< 2.0
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項2】
拡大側から縮小側に向かって順に、負のパワーの第1群、正のパワーの第2群、正のパワーの第3群、負のパワーの第4群、正または負のパワーの第5群、正または負のパワーの第6群、正のパワーの第7群を配してなり、前記第5群の近傍に開口絞りを有し、
変倍時に前記第1群及び前記第7群が固定で、広角端から望遠端への変倍時に、前記第2群、前記第3群、前記第4群、前記第5群、前記第6群が前記縮小側から前記拡大側へ、隣接群の間隔が変化しつつ移動し、前記開口絞りは前記第5群と一体に移動し、
ズーミングに際して移動する5つの群のうちの1つは複数枚のレンズにより構成され、残りの群は単レンズで構成され、
前記拡大側の共役点が無限遠の時の空気中におけるバックフォーカス:Bf、前記広角端における全系の焦点距離:fw、前記望遠端における前記全系の焦点距離:ft、前記第1群の焦点距離:f1が、条件式:
(1) 1.0 <Bf/fw< 3.0
(2) 1.5 <ft/fw< 2.5
(3) 1.0 <|f1/fw|< 2.0
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項3】
請求項1記載の投射用ズームレンズであって、
ズーミングに際して移動する5つの群のうちの1つは複数枚のレンズにより構成され、残りの群は単レンズで構成されている投射用ズームレンズ。
【請求項4】
請求項1または2または3記載の投射用ズームレンズであって、
光軸上における前記第1群の最も拡大側のレンズから最も縮小側のレンズまでの距離:L1G、前記光軸上における前記第1群の最も拡大側のレンズから前記第7群の最も縮小側のレンズまでの距離:LAが、条件式:
(4) 5.0 <LA/L1G< 9.0
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項5】
請求項4記載の投射用ズームレンズであって、
ズーミングに際して移動する5つの群のうちの1つは複数枚のレンズにより構成され、残りの群は単レンズで構成されており、
前記ズーミングに際して移動する群のうち、前記単レンズで構成される4つの群のうち、正のパワーを有する群のレンズの材質の屈折率の平均値:Ndpが、条件式:
(5) 1.7 < Ndp
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項6】
請求項4または5記載の投射用ズームレンズであって、
ズーミングに際して移動する5つの群のうちの1つは複数枚のレンズにより構成され、残りの群は単レンズで構成されており、
前記ズーミングに際して移動する群のうち、前記単レンズで構成される前記4つの群のうち、前記正のパワーを有する群のレンズの材質のアッベ数
の平均値:νdpが、条件式:
(6) 35.0 < νdp
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項7】
請求項4ないし6の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
ズーミングに際して移動する5つの群のうちの1つは複数枚のレンズにより構成され、残りの群は単レンズで構成されており、
前記ズーミングに際して移動する群のうち、前記複数枚のレンズで構成される1つの群は前記第5群もしくは前記第6群であって、群内に両凹レンズと両凸レンズの接合レンズを少なくとも1組含む投射用ズームレンズ。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記第1群が非球面レンズと負のパワーを有する球面レンズとの2枚で構成され、
前記負のパワーを有する球面レンズの材質の屈折率:Nd1が、条件式:
(7) 1.55 <Nd1< 1.75
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1項に記載の投射用ズームレンズであって、
前記第1群が非球面レンズと負のパワーを有する球面レンズとの2枚で構成され、
前記負のパワーを有する球面レンズの材質のアッベ数:νd1が、条件式:
(8) 45.0 < νd1
を満足する投射用ズームレンズ。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか1項に記載の投射用ズームレンズを搭載してなる投写型画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、投射用ズームレンズおよび投射型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルやDMDパネル等の「表示デバイス」に表示された平面画像を、投射用レンズにより拡大投射する投射型画像表示装置は、コンピュータのデータ表示用などに用いられ広く普及している。
投射型画像表示装置に用いられる投射用レンズは、投射画像を拡大投射するスクリーンの最適なサイズを容易に実現できるように、ズーム機能を有する「投射用ズームレンズ」が一般的に用いられている。
【0003】
投射用ズームレンズは種々のものが提案されているが、7群構成で、最も拡大側の第1群と最も縮小側の第7群を固定して変倍(以下、「ズーミング」ともいう。)を行う投射用ズームレンズとして、特許文献1のものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、7群構成で、最も拡大側の第1群と最も縮小側の第7群を固定して変倍を行う新規な投射用ズームレンズの実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の投射用ズームレンズは、拡大側から縮小側に向かって順に、負のパワーの第1群、正のパワーの第2群、正のパワーの第3群、負のパワーの第4群、正または負のパワーの第5群、正または負のパワーの第6群、正のパワーの第7群を配してなり、前記第5群の近傍に開口絞りを有し、前記第1群が非球面レンズと負のパワーを有する球面レンズとの2枚で構成され、変倍時に前記第1群及び前記第7群が固定で、広角端から望遠端への変倍時に、前記第2群、前記第3群、前記第4群、前記第5群、前記第6群が前記縮小側から前記拡大側へ、隣接群の間隔が変化しつつ移動し、前記開口絞りは前記第5群と一体に移動し、前記拡大側の共役点が無限遠の時の空気中におけるバックフォーカス:Bf、前記広角端における全系の焦点距離:fw、前記望遠端における前記全系の焦点距離:ft、前記第1群の焦点距離:f1が、条件式:
(1) 1.0 <Bf/fw< 3.0
(2) 1.5 <ft/fw< 2.5
(3) 1.0 <|f1/fw|< 2.0
を満足する。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、7群構成で、最も拡大側の第1群と最も縮小側の第7群を固定して変倍を行う新規な投射用ズームレンズを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例1の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ構成を示す図である。
【
図2】実施例2の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ構成を示す図である。
【
図3】実施例3の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ構成を示す図である。
【
図4】実施例4の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ構成を示す図である。
【
図5】実施例5の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ構成を示す図である。
【
図6】実施例6の投射用ズームレンズの広角端および望遠端におけるレンズ構成を示す図である。
【
図7】実施例1の投射用ズームレンズの広角端におけるデータを示す図である。
【
図8】実施例1の投射用ズームレンズのズーミングに伴う群間隔の変化を示す図である。
【
図9】実施例1の投射用ズームレンズの非球面データである。
【
図10】実施例1の投射用ズームレンズの性能値と各条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図11】実施例1の投射用ズームレンズの球面収差・非点収差・歪曲収差を広角端(上図)と望遠端(下図)について示す図である。
【
図12】実施例1の投射用ズームレンズのコマ収差を広角端(上図)と望遠端(下図)について示す図である。
【
図13】実施例2の投射用ズームレンズの広角端におけるデータを示す図である。
【
図14】実施例2の投射用ズームレンズのズーミングに伴う群間隔の変化を示す図である。
【
図15】実施例2の投射用ズームレンズの非球面データである。
【
図16】実施例2の投射用ズームレンズの性能値と各条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図17】実施例2の投射用ズームレンズの球面収差・非点収差・歪曲収差を広角端(上図)と望遠端(下図)について示す図である。
【
図18】実施例2の投射用ズームレンズのコマ収差を広角端(上図)と望遠端(下図)について示す図である。
【
図19】実施例3の投射用ズームレンズの広角端におけるデータを示す図である。
【
図20】実施例3の投射用ズームレンズのズーミングに伴う群間隔の変化を示す図である。
【
図21】実施例3の投射用ズームレンズの非球面データである。
【
図22】実施例3の投射用ズームレンズの性能値と各条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図23】実施例3の投射用ズームレンズの球面収差・非点収差・歪曲収差を広角端(上図)と望遠端(下図)について示す図である。
【
図24】実施例3の投射用ズームレンズのコマ収差を広角端(上図)と望遠端(下図)について示す図である。
【
図25】実施例4の投射用ズームレンズの広角端におけるデータを示す図である。
【
図26】実施例4の投射用ズームレンズのズーミングに伴う群間隔の変化を示す図である。
【
図27】実施例4の投射用ズームレンズの非球面データである。
【
図28】実施例4の投射用ズームレンズの性能値と各条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図29】実施例4の投射用ズームレンズの球面収差・非点収差・歪曲収差を広角端(上図)と望遠端(下図)について示す図である。
【
図30】実施例4の投射用ズームレンズのコマ収差を広角端(上図)と望遠端(下図)について示す図である。
【
図31】実施例5の投射用ズームレンズの広角端におけるデータを示す図である。
【
図32】実施例5の投射用ズームレンズのズーミングに伴う群間隔の変化を示す図である。
【
図33】実施例5の投射用ズームレンズの非球面データである。
【
図34】実施例5の投射用ズームレンズの性能値と各条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図35】実施例5の投射用ズームレンズの球面収差・非点収差・歪曲収差を広角端(上図)と望遠端(下図)について示す図である。
【
図36】実施例5の投射用ズームレンズのコマ収差を広角端(上図)と望遠端(下図)について示す図である。
【
図37】実施例6の投射用ズームレンズの広角端におけるデータを示す図である。
【
図38】実施例6の投射用ズームレンズのズーミングに伴う群間隔の変化を示す図である。
【
図39】実施例6の投射用ズームレンズの非球面データである。
【
図40】実施例6の投射用ズームレンズの性能値と各条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図41】実施例6の投射用ズームレンズの球面収差・非点収差・歪曲収差を広角端(上図)と望遠端(下図)について示す図である。
【
図42】実施例6の投射用ズームレンズのコマ収差を広角端(上図)と望遠端(下図)について示す図である。
【
図43】投射型画像表示装置の実施の1形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態を説明する。
図1ないし
図6に、この発明の投射用ズームレンズの実施の形態を6例示す。これらの投射用ズームレンズはこの順に、後述する実施例1ないし6の投射用ズームレンズに対応する。
これら
図1ないし
図6において、図の左方が拡大側(スクリーンのある側)であり、右方が縮小側(表示デバイスの画像表示面がある側)である。また、上側の図は「広角端におけるレンズ配置」を示し、下側の図は「望遠端におけるレンズ配置」を示している。
図1ないし
図6に示す実施形態は、3枚の液晶パネルを用いる所謂「3板型の液晶デバイス」を表示デバイスとするものを想定している。
繁雑を避けるため、
図1ないし
図6において符号を共通化する。即ち、投射用ズームレンズは、拡大側から縮小側へ向かって順に、第1群G1、第2群G2、第3群G3、第4群G4、第5群G5、第6群G6、第7群G7を配してなり、第5群G5の近傍に開口絞りS(図中には「絞りS」と表示。)を有する。何れの例においても、開口絞りSは第5群G5の最も拡大側の面に固定的に配置されている。勿論、開口絞りSの配置は、これらの例に限らず、第5群の近傍に配置することもできる。
各群の屈折力(パワー)は、以下の通りである。
第1群G1は「負のパワー」、第2群G2及び第3群G3は「正のパワー」、第4群G4は「負のパワー」である。第5群G5および第6群G6は「正または負のパワー」を取ることができ、第7群G7は「正のパワー」である。
【0009】
各図に示す如く、第7群G7の縮小側には、色合成用のプリズムPRが配置され、その縮小側に符号IMで示すのは、3枚の液晶パネルのうちの1枚を代表して、その画像表示面を示している。
広角端(上の図)から望遠端(下の図)への変倍(ズーミング)に際しては、上記の如く、第1群G1と第7群G7は固定であって移動しない。即ち、第1群G1および第7群G7は「ズーミングに対する固定群」である。
第2群G2、第3群G3、第4群G4、第5群G5および第6群G6は「移動群」であり、これらの移動群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して何れも「拡大側」へ移動するが、その際、隣接する群の間隔が変化する。
【0010】
これら投射用ズームレンズは、以下の条件式(1)ないし(3)を満足する。
(1) 1.0 < Bf/fw < 3.0
(2) 1.5 < ft/fw < 2.5
(3) 1.0 < |f1/fw| < 2.0
これらの条件式において、「Bf」は、拡大側の共役点が無限遠の時の空気中におけるバックフォーカス、「fw」は、広角端における全系の焦点距離、「ft」は、望遠端における全系の焦点距離であり、「f1」は、第1群G1の焦点距離である。
上記の如く、この発明の投射用ズームレンズは、第5群G5及び第6群G6が「正または負のパワー」を有する。即ち、第5群G5、第6群G6のパワーの正負が逆転しても、性能を維持できる構成となっている。
また、開口絞りSを第5群G5に近接して配置することで「絞り前後における収差のバランス」が取れるように構成されている。
【0011】
条件式(1)は、長いバックフォーカスと広角性を両立させる条件である。
下限値を超えると、バックフォーカス:Bfが過小となり、図示の形態例のような場合に色合成プリズムPRの配置が困難となる。
また、上限値を超えると、バックフォーカス:Bfが過大となり、広角性の実現が困難となる。
条件式(2)は、変倍比の範囲を規定する。
条件式(2)の下限を超えると、変倍できる範囲が狭くなり、収差補正に対しては有利に働くが、投射画像の被投射面(一般的にスクリーンである。)に対する投射型画像表示装置の設置位置(スクリーンに対する距離)が制限され、設置の自由度が小さくなる。
【0012】
また、上限を超えると、設置の自由度は大きくなるが、変倍域全域における収差補正が困難になる。
条件式(3)は、広角性と収差のバランスを取る条件である。
下限値を超えると、第1群G1の負のパワーが過大となり、広角性には有利であるが、像面湾曲、歪曲収差等の収差の補正が困難となる。
上限値を超えた場合、第1群G1における負のパワーが過小となり、像面湾曲、コマ収差等の補正に対しては有利となるが、広角性の達成が困難となる。
【0013】
投射用ズームレンズは、上記構成に加えて、光軸上における第1群G1の最も拡大側のレンズから最も縮小側のレンズまでの距離:L1G、光軸上における第1群G1の最も拡大側のレンズから第7群G7の最も縮小側のレンズまでの距離:LAが、条件式:
(4) 5.0 < LA/L1G < 9.0
を満足することが好ましい。
条件式(4)は投射用ズームレンズの「コンパクト性と広角性の両立」に有効な条件である。
条件式(4)のパラメータが小さくなると、全系の長さ:LAに対する第1群G1の長さ:L1Gが長くなり、第1群G1における負のパワーを弱めることが出来、像面湾曲やコマ収差等の収差発生を抑えることが出来、良好な性能で広角性を達成することが可能となるが、条件式(4)の下限値を超えると、第1群G1の長さが過大となって、投射用ズームレンズのコンパクト化が難しくなる。
条件式(4)のパラメータが大きくなると、全系の長さ:LAに対する第1群G1の長さ:L1Gが短くなりコンパクト化には有利であるが、第1群G1における負のパワーが強くなるので、上限値を超えると、第1群G1における負のパワーが過大となって、コマ収差、像面湾曲等の諸収差の補正と広角性の達成の両立が困難となり易い。
【0014】
この発明の投射用ズームレンズは、以下の2つの構成の1以上を有する。
構成1
構成1では、投射用ズームレンズにおける第1群G1が「非球面レンズと負のパワーを有する球面レンズとの2枚」で構成される。
構成2
変倍に際しては、第2群G2ないし第6群G6の5群が移動するが、構成2では、これら5群のうちの1つの群が「複数枚のレンズ」で構成され、他の4つの群は「単レンズ」で構成される。
上記の如く、構成1と構成2は単独で有してもよいが、これら構成1と構成2とを同時に有してもよい。
構成1における、非球面レンズの使用は、収差の良好な補正と広角性に有効であり、また、負のパワーの球面レンズは像面湾曲の補正と広角化達成に有効である。
図1ないし
図6に示す実施の形態例では、第1群G1の「拡大側のレンズ」が非球面レンズであり、「縮小側の両凹レンズ」は球面レンズである。
変倍の際に移動する移動群は、変倍量に応じて拡大側および/または縮小側に移動するので、軽量であることが好まし
く、構成2の如く、5群の移動群のうちの1群のみを複数のレンズで構成し、残りの4群を単レンズで構成することにより、投射用ズームレンズを軽量化できる。
図1ないし図6の実施の形態は、構成1と構成2とを有している。
【0015】
構成2のように、移動群のうちの1群のみを複数のレンズで構成し、他の4群を単レンズで構成する場合、単レンズで構成される4群のうち、正のパワーを有する群のレンズの材質を、それらの屈折率の平均値:Ndpが、条件式:
(5) 1.7 < Ndp
を満足するように選択することが好ましい。
条件式(5)の下限値を超えると、単レンズで構成されて正のパワーをもつ移動群のレンズのレンズ面の曲率半径が大きくなり、コマ収差、球面収差の補正が困難となり易い。条件式(5)を満足することにより、大きい変倍量を達成しつつ、変倍の全領域に渡って性能を良好にすることが可能となる。
【0016】
構成2の如く、移動群のうちの1群のみを複数のレンズで構成し、他の4群を単レンズで構成する場合、単レンズで構成される4群のうち、正のパワーを有する群のレンズの材質を、それらのアッベ数:νdpの平均値が、条件式:
(6) 35.0 < νdp
を満足するものとすることが好ましい。
条件式(6)の下限値を超えると、単レンズで構成されて正のパワーをもつ移動群のレンズの材質のアッベ数が過小となり、変倍領域の全域にわたる倍率色収差、軸上色収差等の収差補正が困難となり易い。条件式(6)を満足することにより、大きい変倍量を達成しつつ、変倍の全領域にわたって良好な性能の実現が容易になる。
なお、条件式(5)および(6)は、条件式(1)ないし(3)とともに、もしくは条件式(1)ないし(4)とともに満足される。条件式(5)と(6)とは、どちらか一方が満足されてもよいが、これらが同時に満足されることが好ましい。
【0017】
移動群である第2群ないし第6群は、上記の如く、これら5群のうちの1つの群を「複数枚のレンズ」で構成し、他の群は「単レンズ」で構成することができるが、複数枚のレンズで構成される移動群を第5群G5もしくは第6群G6とすることができ、これらの場合、「複数のレンズで構成される移動群(第5群G5または第6群G6)」に「両凹レンズと両凸レンズの接合レンズ」が少なくとも1組含まれることが好ましい。
投射用ズームレンズに含まれる開口絞りは、第5群G5の近傍に配置される。このような配置では、複数枚のレンズで構成される移動群は、開口絞りを含むか絞り近傍に配置されており「画面全域に渡り性能への影響」が発生するため、両凹レンズと両凸レンズの組み合わせた接合レンズを用いることにより、収差をより低減出来るようになる。
【0018】
前述の如く、この発明の投射用ズームレンズの第1群は「非球面レンズと負のパワーを有する球面レンズとの2枚」で構成されることができる(構成1)が、この場合、負のパワーの球面レンズの材質の屈折率:Nd1が、条件式:
(7) 1.55 <Nd1< 1.75
を満足するようにすることが好ましい。
負の球面レンズの材質の屈折率:Nd1が小さくなると、球面レンズの焦点距離:fn(<0)と屈折率:Nd1の積の逆数:{1/(fn・Nd1)}である「ペッツバール和への寄与分」が負の方向に大きくなり、像面の平坦性を規定するペッツバール和の補正に有利になるが、条件式(7)の下限値を超えて材質の屈折率が小さくなると、負の球面レンズに必要とされるパワーを実現するために、レンズ面の曲率半径が小さくなり、コマ収差等の補正が難しくなり易い。
【0019】
条件式(7)の上限値を超えると、第1群G1の負の球面レンズの屈折率が大きくなるため、広角化に対しては有利になり、コマ収差に対してもレンズの曲率半径が大きくなるため有利となるが、ペッツバール和の補正に対しては不利となり易い。
【0020】
第1群が「非球面レンズと負の球面レンズの2枚」で構成される場合、負のパワーを有する球面レンズの材質のアッベ数:νd1が、条件式:
(8) 45.0 < νd1
を満足することが好ましい。
条件式(8)の下限値を超えると、倍率色収差の補正が困難となり、投影画面に「色のにじみ」等が発生し易くなり、所望の画像を得ることが困難になり易い。
【0021】
上記の投射用ズームレンズは、長いバックフォーカスをもち、広角で性能良好であり、大きい変倍範囲を有している。
【0022】
従って、上記の如き構成の投射用ズームレンズを用いることにより、設置の自由度が大きく、良好な拡大画像を投射できる投射型画像表示装置を実現できる。
【0023】
投射用ズームレンズの具体的な実施例を挙げる前に、投射型画像表示装置(プロジェクタ)について簡単に説明する。
【0024】
図43は、プロジェクタの実施の1形態を説明図的に示している。
プロジェクタ本体のケーシング1内には、投射用ズームレンズPZLと、液晶パネル等の「表示デバイス」を用いる画像生成装置ISR、ISB、ISGと、色合成用プリズムPRが装荷されている。
【0025】
画像生成装置ISRは、投射されるべきカラー画像の「赤色成分画像」を表示デバイスに表示し「赤色成分画像光LR」を生成して色合成プリズムPRに向けて放射する。
【0026】
画像生成装置ISGは、カラー画像の「緑色成分画像」を表示デバイスに表示し「緑色成分画像光LG」を生成して色合成プリズムPRに向けて放射する。
【0027】
画像生成装置ISBは、カラー画像の「青色成分画像」を表示デバイスに表示し「青色成分画像光LB」を生成して色合成プリズムPRに向けて放射する。
【0028】
色合成プリズムPRは、赤色成分画像光LR、緑色成分画像光LG、青色成分画像光LBを合成して「カラー画像光IML」とし、投射用ズームレンズPZLに入射させる。
【0029】
投射用ズームレンズPZLは、入射してくるカラー画像光IMLを、投射用結像光PRLとして、スクリーンに向けて放射する。
【0030】
投射用ズームレンズPZLとしては、請求項1ないし9に記載のもの、具体的には実施例1ないし6の何れかのものを用いることができる。
【実施例】
【0031】
以下、投射用ズームレンズの具体的な実施例を6例挙げる。
【0032】
実施例に用いられている記号の意味は以下の通りである。
【0033】
i(0≦i≦24、33、34、IMG):拡大側から数えて第i番目の面
IMG :表示デバイス(液晶パネル)の画像表示面
Ri(≧0):前記第i番目の面の曲率半径
Di(≧0):前記第i番目の面からその縮小側に隣接する面までの軸上面間隔
D0 :スクリーンから第1レンズ面(i=1)までの距離
j :拡大側から数えて第j番目のレンズ
PR :色合成プリズム
Ndj :前記第j番目のレンズの材質のd線に対する屈折率
νdj :前記第j番目のレンズの材質のアッべ数
f :全系の焦点距離
Fno :Fナンバ
Bf :バックフォーカス
ω :半画角(度)
Y :像高(mm) 。
【0034】
非球面(「*」を付した面)の表示は周知の以下の式による。
【0035】
Z=(1/Ri)・h2/[1+√{1-(K+1)・(1/Ri)2・h2}]
+ΣEm・Hm(m=3~20)
Zを光軸方向の座標、hを光軸直行方向の座標とし、軸上曲率半径:Ri、円錐定数:K、3次以降の係数:Emを与えて特定する。
【0036】
計算基準波長は、R=620nm(赤色)、G=550nm(緑色)、B=460nm(青色)である。
長さの次元を有する量の単位は特に断らない限り「mm」である。
付言すると、以下に挙げる実施例1ないし6において、開口絞りSは、第5群5Gの最も拡大側の面(i=12)に合致して設けられている。
【0037】
「実施例1」
実施例1の投射用ズームレンズは、
図1にレンズ構成を示した例である。
実施例1の投射用ズームレンズのデータを
図7に示す。
図7のデータは、広角端におけるデータである。
実施例1においては、第5群G5は正のパワー、第6群G6は負のパワーを有する。
図8の左図には、ズーミングに伴う可変間隔:D5、D7、D9、D11、D13、D22のデータを、広角端および望遠端につき示す。
また、
図8の右図には、第i群と第i+1群(i=1~6)の群間隔の、広角端および望遠端における値(左図)および、広角端(WIDE)、中間(MEAN)、望遠端(TELE)における値(右図)を示す。
図9には、実施例1の投射用ズームレンズの非球面(i=1面(i1)およびi=2面(i2))の非球面データを示す。
図10(a)には、実施例1の投射用ズームレンズの性能値を示し、(b)には、条件式(1)~(8)のパラメータの値を示す。
図10(a)の性能値における1G_fd~7G_fdは、第1群1G~第7群7Gの各群のd線に対する焦点距離(mm)を示す。
【0038】
図11および
図12に収差図を示すが、以下に示す各実施例の収差図は、拡大側の共役面(スクリーン)を物体として、表示デバイスの画像表示面を像面としたときの「像面における収差」を示している。
図11には、実施例1の投射用ズームレンズの球面収差(左図)、非点収差(中図)、歪曲収差(右図)を示す。
図11の上図(a)は広角端におけるものであり、下図(b)は望遠端におけるものである。
球面収差および非点収差の図における横軸の単位は「mm」で最大値:0.2mm、最小値:-0.2mmである。歪曲収差の図における横軸の単位は「%」で、最大値:5%、最小値:-5%である。また、非点収差の図および歪曲収差の図における縦軸は、像高:Yであり、最大値は共にY=11.15mmである。なお、非点収差の図における実線はメリディオナル光線、破線はサジタル光線を示す。
広角端におけるFナンバはFno:1.49、望遠端におけるFナンバはFno:1.78である。
図12には、実施例1の投射用ズームレンズのコマ収差を示す。上図は広角端のコマ収差図、下図は望遠端におけるコマ収差図である。0.0H~1.0Hは、像高上の位置であり、最大像高:Y=11.15mmとの対応は、以下の通りである。
0.0H 0.5H 0.7H 0.9H 1.0H
Y=0.00 Y=5.575 Y=7.805 Y=10.035 Y=11.15 。
【0039】
「実施例2」
実施例2の投射用ズームレンズは、
図2にレンズ構成を示した例である。
実施例2の投射用ズームレンズの広角端におけるデータを
図13に示す。
実施例2においては、第5群G5は負のパワー、第6群G6は正のパワーを有する。
図14の左図には、ズーミングに伴う可変間隔:D5、D7、D9、D11、D20、D22のデータを、広角端および望遠端につき示す。
また、
図14の右図には、第i群と第i+1群(i=1~6)の群間隔の、広角端および望遠端における値(左図)および広角端(WIDE)、中間(MEAN)、望遠端(TELE)における値(右図)を示す。
図15には、実施例2の投射用ズームレンズの非球面(i=1面(i1)およびi=2面(i2))の非球面データを示す。
図16(a)には、実施例2の投射用ズームレンズの性能値、(b)には、条件式(1)~(8)のパラメータの値を、
図10に倣って示す。
図17には、実施例2の投射用ズームレンズの球面収差(左図)、非点収差(中図)、歪曲収差(右図)を
図11に倣って示す。
球面収差の図における横軸の最大値:0.2mm、最小値;-0.2mmである。歪曲収差の図における横軸の単位は「%」であり、最大値:5%、最小値:-5%である。また、非点収差の図および歪曲収差の図における縦軸は、像高:Yであり、最大値は共にY=11.15mmである。
広角端におけるFナンバはFno:1.70、望遠端におけるFナンバはFno:2.08である。
図18には、実施例2の投射用ズームレンズのコマ収差を示す。上図は広角端のコマ収差図、下図は望遠端におけるコマ収差図である。0.0H~1.0Hは、像高上の位置であり、最大像高:Y=11.15mmとの対応は実施例1と同じである。
【0040】
「実施例3」
実施例3の投射用ズームレンズは、
図3にレンズ構成を示した例である。
実施例3の投射用ズームレンズの広角端におけるデータを
図19に示す。
実施例3においては、第5群G5は正のパワー、第6群G6は負のパワーを有する。
図20の左図には、ズーミングに伴う可変間隔:D5、D7、D9、D11、D13、D22のデータを、広角端および望遠端につき示す。
また、
図20の右図には、第i群と第i+1群(i=1~6)の群間隔の、広角端および望遠端における値(左図)および広角端(WIDE)、中間(MEAN)、望遠端(TELE)における値(右図)を示す。
図21には、実施例3の投射用ズームレンズの非球面(i=1面(i1)およびi=2面(i2)、i=21面(i21)、i=22面(i22))の非球面データを示す。
図22(a)には、実施例2の投射用ズームレンズの性能値、(b)には、条件式(1)~(8)のパラメータの値を、
図10に倣って示す。
図23には、実施例3の投射用ズームレンズの球面収差(左図)、非点収差(中図)、歪曲収差(右図)を
図11に倣って示す。
球面収差の図における横軸の最大値:0.2mm、最小値;-0.2mmである。歪曲収差の図における横軸は最大値:5%、最小値:-5%である。像高:Yの最大値はY=11.15mmである。
広角端におけるFナンバはFno:1.49、望遠端におけるFナンバはFno:1.78である。
図24には、実施例3の投射用ズームレンズのコマ収差を示す。上図は広角端のコマ収差図、下図は望遠端におけるコマ収差図である。0.0H~1.0Hは、像高上の位置であり、最大像高:Y=11.15mmとの対応は実施例1と同じである。
【0041】
「実施例4」
実施例4の投射用ズームレンズは、
図4にレンズ構成を示した例である。
実施例4の投射用ズームレンズの広角端におけるデータを
図25に示す。
実施例4においては、第5群G5は負のパワー、第6群G6は正のパワーを有する。
図26の左図には、ズーミングに伴う可変間隔:D5、D7、D9、D11、D20、D22のデータを、広角端および望遠端につき示す。
図26の右図には、第i群と第i+1群(i=1~6)の群間隔の、広角端および望遠端における値(左図)および広角端(WIDE)、中間(MEAN)、望遠端(TELE)における値(右図)を示す。
図27には、実施例4の投射用ズームレンズの非球面(i=1面(i1)およびi=2面(i2)、i=21面(i21)、i=22面(i22))の非球面データを示す。
図28(a)には、実施例4の投射用ズームレンズの性能値、(b)には、条件式(1)~(8)のパラメータの値を、
図10に倣って示す。
図29には、実施例4の投射用ズームレンズの球面収差(左図)、非点収差(中図)、歪曲収差(右図)を
図11に倣って示す。
球面収差の図における横軸の最大値:0.2mm、最小値;-0.2mmである。歪曲収差の図における横軸は最大値:5%、最小値:-5%である。像高:Yの最大値はY=11.15mmである。
【0042】
広角端におけるFナンバはFno:1.49、望遠端におけるFナンバはFno:1.82である。
図30には、実施例4の投射用ズームレンズのコマ収差を示す。上図は広角端のコマ収差図、下図は望遠端におけるコマ収差図である。0.0H~1.0Hは、像高上の位置であり、最大像高:Y=11.15mmとの対応は実施例1と同じである。
【0043】
「実施例5」
実施例5の投射用ズームレンズは、
図5にレンズ構成を示した例である。
実施例5の投射用ズームレンズの広角端におけるデータを
図31に示す。
実施例5においては、第5群G5は負のパワー、第6群G6は正のパワーを有する。
図32の左図には、ズーミングに伴う可変間隔:D5、D7、D9、D11、D20、D22のデータを、広角端および望遠端につき示す。
図32の右図には、第i群と第i+1群(i=1~6)の群間隔の、広角端および望遠端における値(左図)および広角端(WIDE)、中間(MEAN)、望遠端(TELE)における値(右図)を示す。
図33には、実施例5の投射用ズームレンズの非球面(i=1面(i1)およびi=2面(i2))の非球面データを示す。
図34(a)には、実施例5の投射用ズームレンズの性能値、(b)には、条件式(1)~(8)のパラメータの値を、
図10に倣って示す。
図35には、実施例5の投射用ズームレンズの球面収差(左図)、非点収差(中図)、歪曲収差(右図)を
図11に倣って示す。
球面収差の図における横軸の最大値:0.2mm、最小値;-0.2mmである。歪曲収差の図における横軸は最大値:5%、最小値:-5%である。像高:Yの最大値はY=10.6mmである。
広角端におけるFナンバはFno:1.49、望遠端におけるFナンバはFno:1.68である。
図36には、実施例5の投射用ズームレンズのコマ収差を示す。上図は広角端のコマ収差図、下図は望遠端におけるコマ収差図である。0.0H~1.0Hは、像高上の位置であり、最大像高:Y=10.6の対応は、以下の通りである。
0.0H 0.5H 0.7H 0.9H 1.0H
Y=0.00 Y=5.300 Y=7.420 Y=9.540 Y=10.600 。
【0044】
「実施例6」
実施例6の投射用ズームレンズは、
図6にレンズ構成を示した例である。
実施例6の投射用ズームレンズの広角端におけるデータを
図37に示す。
実施例6においては、第5群G5は負のパワー、第6群G6は正のパワーを有する。
【0045】
図38の左図には、ズーミングに伴う可変間隔:D5、D7、D9、D11、D20、D22のデータを、広角端および望遠端につき示す。
図38の右図には、第i群と第i+1群(i=1~6)の群間隔の、広角端および望遠端における値(左図)および広角端(WIDE)、中間(MEAN)、望遠端(TELE)における値(右図)を示す。
図39には、実施例6の投射用ズームレンズの非球面(i=1面(i1)およびi=2面(i2))の非球面データを示す。
図40(a)には、実施例6の投射用ズームレンズの性能値、(b)には、条件式(1)~(8)のパラメータの値を、
図10に倣って示す。
図41には、実施例6の投射用ズームレンズの球面収差(左図)、非点収差(中図)、歪曲収差(右図)を
図11に倣って示す。
【0046】
球面収差の図における横軸の最大値:0.2mm、最小値;-0.2mmである。歪曲収差の図における横軸は最大値:5%、最小値:-5%である。像高:Yの最大値はY=11.15mmである。
【0047】
広角端におけるFナンバはFno:1.49、望遠端におけるFナンバはFno:1.81である。
【0048】
図42には、実施例6の投射用ズームレンズのコマ収差を示す。上図は広角端のコマ収差図、下図は望遠端におけるコマ収差図である。0.0H~1.0Hは、像高上の位置であり、最大像高:Y=11.15の対応は、実施例1と同じである。
上に説明した実施例1ないし6は何れも、各実施例の収差図に示すように収差が良好に補正されて性能良好であり、長いバックフォーカスと広い画角を有し、変倍比も大きい。
【0049】
以上、発明の好ましい実施の形態について説明したが、この発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
この発明の実施の形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
G1 第1群
G2 第2群
G3 第3群
S 開口絞り
G4 第4群
G5 第5群
G6 第6群
PR 色合成用プリズム
IM 表示デバイスの画像表示面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】